JP2010230872A - 補給用キャリア、補給用現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジおよび画像形成装置 - Google Patents

補給用キャリア、補給用現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジおよび画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】凸部の長径の長さが2μm以上15μm以下ではない場合に比べ、搬送部材を備えた現像剤カートリッジに収容される場合であっても、白抜けの発生を抑制する。
【解決手段】補給用トナーおよび補給用キャリアを搬送する搬送部材を備えたトナーカートリッジに収容され、長径の長さが2μm以上15μm以下である凸部を表面に有する補給用キャリア。
【選択図】なし

Description

本発明は、補給用キャリア、補給用現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジおよび画像形成装置に関する。
電子写真法では、帯電工程、露光工程により潜像保持体(感光体)に静電潜像を形成し、現像工程で現像し現像像を形成し、該現像像を転写体上に転写し、定着工程において加熱等により定着し画像を得る。この様な電子写真法で用いられる静電潜像現像剤は、結着樹脂中に着色剤を分散させたトナーを単独で用いる一成分現像剤と、トナーとキャリアからなる二成分現像剤とに大別することができる。
例えば、低温定着用トナーと、粒径、粒度分布、密度や磁力をある範囲に規定したキャリアと、をトナーカートリッジに添加する方法が提案されている(例えば特許文献1および2参照)。
また、表面を平滑にしたキャリアが提案されている(例えば特許文献3および4参照)。
更に、キャリア表面を制御したキャリアの提案もなされている(例えば特許文献5および6参照)。
特開2007−316332号公報 特開2007−183592号公報 特開2006−235143号公報 特開平8−044118号公報 特開2006−124143号公報 特開2007−286078号公報
本発明は、前記凸部の長径の長さが2μm以上15μm以下ではない場合に比べ、搬送部材を備えた現像剤カートリッジに収容される場合であっても、白抜けの発生を抑制することを目的とする。
上記課題は、以下の本発明によって達成される。
即ち、請求項1に係る発明は、
補給用トナーおよび補給用キャリアを搬送する搬送部材を備えたトナーカートリッジに収容され、
長径の長さが2μm以上15μm以下である凸部を表面に有する補給用キャリアである。
請求項2に係る発明は、
前記凸部の幅に対する長径の長さの比が1.2倍以上2.5倍以下である請求項1に記載の補給用キャリアである。
請求項3に係る発明は、
前記凸部の高さが1.0μm以上5.0μm以下である請求項1または請求項2に記載の補給用キャリアである。
請求項4に係る発明は、
円形度が0.975以上である請求項1から請求項3の何れか1項に記載の補給用キャリアである。
請求項5に係る発明は、
補給用トナーと、
請求項1から請求項4の何れか1項に記載の補給用キャリアと、を含有し、
前記補給用トナーおよび前記補給用キャリアを搬送する搬送部材を備えたトナーカートリッジに収容される補給用現像剤である。
請求項6に係る発明は、
前記補給用トナーが、少なくとも着色剤、離型剤、および結晶性樹脂を含有してなる請求項5に記載の補給用現像剤である。
請求項7に係る発明は、
静電潜像を現像してトナー像を形成する現像装置を少なくとも備えた画像形成装置に対して着脱可能であり、
前記現像装置に供給するための現像剤として請求項5または請求項6に記載の補給用現像剤を収納し、
且つ前記補給用現像剤を搬送する搬送部材を備えるトナーカートリッジである。
請求項8に係る発明は、
静電潜像を現像してトナー像を形成する現像装置と、
前記現像装置に対し補給用現像剤を供給する請求項7に記載のトナーカートリッジと、
を少なくとも備えるプロセスカートリッジである。
請求項9に係る発明は、
潜像保持体と、
該潜像保持体表面に形成された静電潜像をトナー像として現像する現像装置と、
前記潜像保持体表面に形成されたトナー像を被転写体表面に転写する転写装置と、
前記被転写体表面に転写された前記トナー像を定着する定着装置と、
前記現像装置に対し補給用現像剤を供給する請求項7に記載のトナーカートリッジと、
を備える画像形成装置である。
請求項1に係る発明によれば、前記凸部の長径の長さが2μm以上15μm以下ではない場合に比べ、搬送部材を備えた現像剤カートリッジに収容される場合であっても、白抜けの発生が抑制される。
請求項2に係る発明によれば、前記凸部の幅に対する長径の長さの比が1.2倍以上2.5倍以下ではない場合に比べ、搬送部材を備えた現像剤カートリッジに収容される場合であっても、白抜けの発生が抑制される。
請求項3に係る発明によれば、前記凸部の高さが1.0μm以上5.0μm以下ではない場合に比べ、搬送部材を備えた現像剤カートリッジに収容される場合であっても、白抜けの発生が抑制される。
請求項4に係る発明によれば、円形度が0.975未満である場合に比べ、搬送部材を備えた現像剤カートリッジに収容される場合であっても、白抜けの発生が抑制される。
請求項5に係る発明によれば、本構成の補給用キャリアを有しない場合に比べ、搬送部材を備えた現像剤カートリッジに収容される場合であっても、白抜けの発生が抑制される。
請求項6に係る発明によれば、本構成の補給用キャリアを有しない場合に比べ、トナーが離型剤および結晶性樹脂を含有してなる場合であっても、白抜けの発生が抑制される。
請求項7に係る発明によれば、本構成の補給用現像剤を有しない場合に比べ、画像形成装置で使用した際に、白抜けの発生が抑制される。
請求項8に係る発明によれば、本構成のトナーカートリッジを有しない場合に比べ、画像形成装置で使用した際に、白抜けの発生が抑制される。
請求項9に係る発明によれば、本構成のトナーカートリッジを有しない場合に比べ、白抜けの発生が抑制される。
(A)から(C)は、第1実施形態に係る補給用キャリアの凸部を横方向から撮影した画像である。 (A)から(C)は、第1実施形態に係る補給用キャリアの凸部を真上方向から撮影した画像である。 (A)から(C)は、第1実施形態に係る補給用キャリアの凸部を真上方向から撮影した画像である。 第4実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。 図4に示す画像形成装置における現像装置を拡大して示す断面図である。 第3実施形態に係るトナーカートリッジの一例を示す概略断面図である。 トナーカートリッジ内に配置されるオーガーを示す斜視図である。 第4実施形態に係る画像形成装置の他の一例を示す概略構成図である。 第5実施形態に係るプロセスカートリッジの一例を示す概略構成図である。
以下、本発明について好ましい実施形態を挙げて詳細に説明する。
<第1実施形態:補給用キャリア>
第1実施形態に係る補給用キャリア(以下単に「キャリア」と称することがある)は、画像形成装置の現像装置に対して補給される補給用現像剤を構成するキャリアであり、補給用キャリアを搬送する搬送部材を備えたトナーカートリッジに収容される。また、該補給用キャリアは、長径の長さが2μm以上15μm以下である凸部を表面に有することを特徴とする。
従来から低温定着性を有するトナーが検討されているが、このトナーは低温定着性を付加するために離型剤(ワックス)や結晶性樹脂を含有しており、これらの成分がトナー表面に存在するとトナーの流動性が劣ったり、付着力が増加する。また、画像形成装置内での粒子同士(トナー−トナー、トナー−キャリア)の摩擦や機械的な負荷により更に流動性、付着性が悪化する。ここで、画像形成装置における現像装置にトナーを補給する手段として、オーガーやパドルのような搬送部材を有するトナーカートリッジを適用する場合、トナーカートリッジの壁面に付着したトナーと上記搬送部材との機械的な負荷および該負荷による発熱や装置内の温昇によりトナーの凝集が発生する。こうして形成されたトナーの凝集体を含む現像剤が現像装置に搬送されると、上記トナーの凝集体が現像されずに、或いは転写されずに、白抜け画像となる。従って、搬送部材を有するトナーカートリッジを適用して現像装置に補給用現像剤を補給する態様においては、トナーの凝集による白抜けが発生していた。これは特に低温定着性を有するトナー、即ち離型剤および結晶性樹脂を含有してなるトナーにおいては顕著であった。
これに対し、上記第1実施形態に係る補給用キャリアであれば、表面に長径の長さが2μm以上15μm以下である凸部を有しているため、得られる画像における白抜けの発生が抑制される。この効果が得られるメカニズムは必ずしも定かではないが、以下のように推察される。
トナーカートリッジ内におけるトナーの凝集の発生は、トナーカートリッジの壁面に付着した補給用トナーに対する搬送部材からの負荷によって発生するものと考えられる。しかし、壁面と搬送部材との間隙にキャリアが存在することで上記トナーの凝集体の発生が抑制される。また、補給用キャリアの表面に上記長さを有する凸部が存在することにより、壁面に付着したトナーが効率的にかき取られ、トナーの凝集体の発生が抑制されるものと推察される。
尚、前記凸部の長径の長さが2μm未満では白抜けの発生が効果的に抑制されず、一方で、前記凸部の長径の長さが15μmを超える場合には、補給用キャリア自体の流動性が低下しトナーへの負荷が増加する。
−凸部−
ここで、上記「凸部」とは、図1(A)〜(C)に示されるように、キャリアを円形として捉えた場合にその円よりも盛り上がっている部分をさす。より具体的には、図1(A)に示す点線のように、円形として捉えたキャリアの該円形部分に線を引き、該線よりも盛り上がっている領域を凸部と定義する。
尚、図1(A)に示す点線から最も高い位置までの高さを「凸部の高さ(図1(A)におけるH)」と称する。また、図2(A)〜(C)および図3(A)〜(C)に示すように、凸部(盛り上がっている部分)の端から端までの長さのうち最も長い距離を「凸部の長さ(長径の長さ)(図2(A)等におけるL)」と、凸部を真上から見た場合に凸部の長さに対して直行する方向の長さのうち最も長い距離を「凸部の幅(図2(A)等におけるW)」と称する。
・長さ(長径の長さ)
前述の通り、凸部の長さは2μm以上15μm以下であること必須であり2.0μm以上10.0μm以下であることが特に好ましい。
・幅に対する長さの比
また、凸部の幅に対する長さの比が1.2倍以上であることが好ましく、1.5倍以上であることがより好ましく、2.0倍以上であることが特に好ましい。また、上限としては2.5以下であることが好ましい。
凸部の幅に対する長さの比が上記の範囲であるということは、即ち凸部の形状が単なる突起ではなく筋状であることを表す。凸部が筋状の形状であることにより、応力の一点への集中が回避されてトナーへのダメージが抑制され、トナーカートリッジの壁面へのトナーの付着が抑制される。
・高さ
更に、凸部の高さが1.0μm以上5.0μm以下であることが好ましく、1.0μm以上4.0μm以下であることがより好ましく、2.0μm以上4.0μm以下であることが特に好ましい。
凸部の高さが上記の範囲であることにより、キャリアの流動性を損なわず、トナーに対しての負荷を低減し得るとの利点が得られる。
・測定方法
ここで、上記凸部の長さ、幅、高さの測定方法について説明する。
測定装置として超深度カラー3D形状測定顕微鏡(VK−9500:キーエンス社製)を用い、キャリア表面を150倍標準レンズ、光学ズーム3倍、ピッチ0.02μmの視野にて観察することによって、表面の凸部の長さ、幅、高さが測定される。尚、当該測定をキャリア100個について行い、平均値をとることで算出する。本明細書に記載の値は、上記の方法により測定したものである。
補給用キャリアの表面における上記凸部の長さ、長さと幅との関係、および高さを上記範囲に制御する方法としては、キャリアの作製において、被覆層形成の際の乾燥条件を調整する方法が挙げられる。詳細については後述する。
−芯材−
本実施形態に用いるキャリアの芯材としては、磁性を有する粒子(磁性粉)が樹脂中に含有され分散されてなる、樹脂分散型のキャリアとすることが好ましい。樹脂分散型キャリアとすることでトナーとの比重差が小さくなり、トナーカートリッジ内でのキャリア偏在が緩和され、トナーカートリッジ内の広範囲にわてってより効果的にトナー凝集体の発生が抑制される。
前記磁性を有する粒子(磁性粉)としては、例えば、鉄、鋼、ニッケル、コバルト等の磁性金属、これらとマンガン、クロム、希土類元素等との合金(例えば、ニッケル−鉄合金、コバルト−鉄合金、アルミニウム−鉄合金等)およびフェライト、マグネタイト等の磁性酸化物等が用いられる。これらの中でも、酸化鉄が好ましい。
これら磁性粉は、単種で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
磁性粉の体積平均粒径は、0.01μm以上1μm以下の範囲であることが好ましく、0.03μm以上0.5μm以下の範囲であることがより好ましく、0.05μm以上0.35μm以下の範囲であることが更に好ましい。
上記磁性粉の体積平均粒径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置により測定される。
また、芯材中における磁性粉の含有量としては、30質量%以上98質量%以下の範囲であることが好ましく、45質量%以上98質量%以下の範囲であることがより好ましく、60質量%以上98質量%以下の範囲であることが更に好ましい。
本実施形態におけるキャリアの芯材を構成する樹脂成分としては、架橋されたスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン−アクリル系共重合樹脂、フェノール系樹脂等を挙げられる。
また、キャリアの芯材には、目的に応じて、更にその他の成分を含有していてもよい。その他の成分としては、例えば、帯電制御剤、フッ素含有粒子などが挙げられる。
前記キャリアの芯材の製造方法は、例えば、前記磁性粉とスチレンアクリル樹脂等の絶縁性樹脂とを、バンバリーミキサー、ニーダなどを用いて溶融混練し、冷却した後に粉砕し、分級する溶融混練法(特公昭59−24416号公報、特公平8−3679号公報等)や、結着樹脂のモノマー単位と磁性粉とを溶媒中に分散して懸濁液を調製し、この懸濁液を重合させる懸濁重合法(特開平5−100493号公報等)や、樹脂溶液中に磁性粉を混合分散した後、噴霧乾燥するスプレードライ法などが知られている。
上記の溶融混練法、懸濁重合法、およびスプレードライ法はいずれも、磁性粉をあらかじめ何らかの手段により調製しておき、この磁性粉と樹脂溶液とを混合し、樹脂溶液中に磁性粉を分散させる工程を含む。
−樹脂被覆層−
本実施形態におけるキャリアは、前記の芯材を被覆する被覆層として樹脂を含有することが好ましい。
この樹脂被覆層には、キャリア用の樹脂被覆層の材料として用いられているものであれば公知のいかなるマトリックス樹脂も利用され、二種類以上の樹脂をブレンドして用いてもよい。樹脂被覆層を構成するマトリックス樹脂としては、大別すると、トナーに帯電性を付与するための帯電付与樹脂と、トナー成分のキャリアへの移行を防止するために用いられる表面エネルギーの低い樹脂とが挙げられる。
ここで、トナーに負帯電性を付与するための帯電付与樹脂としては、アミノ系樹脂、例えば、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂、ポリアミド樹脂、およびエポキシ樹脂等が挙げられ、更にポリビニルおよびポリビニリデン系樹脂、アクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、スチレンアクリル共重合樹脂等のポリスチレン系樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エチルセルロース樹脂等のセルロース系樹脂等が挙げられる。
また、トナーに正帯電性を付与するための帯電付与樹脂としては、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル等のハロゲン化オレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等が挙げられる。
トナー成分のキャリアへの移行を防止するために用いられる表面エネルギーの低い樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリ弗化ビニル樹脂、ポリ弗化ビニリデン樹脂、ポリトリフルオロエチレン樹脂、ポリヘキサフルオロプロピレン樹脂、弗化ビニリデンとアクリル単量体との共重合体、弗化ビニリデンと弗化ビニルとの共重合体、テトラフルオロエチレンと弗化ビニリデンと非弗化単量体とのターポリマー等のフルオロターポリマー、およびシリコーン樹脂等が挙げられる。
また、樹脂被覆層には、抵抗調整を目的として導電性粒子(導電粉)を添加してもよい。導電性粒子としては、金属粉、カーボンブラック、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛等が挙げられる。また、イオン性化合物も好適に用いられ、例えば4級アンモニウム塩、ニグロシン等のアジン系染料、アゾ系金属化合物の如き含金属染料、フッ素系界面活性剤、サリチル酸金属錯体等が挙げられる。
これらの導電性粒子は体積平均粒径が1μm以下のものが好ましい。更に、必要に応じて、複数の導電性粒子を併用してもよい。
樹脂被覆層における導電性粒子の含有量は、1質量%以上50質量%以下であることが好ましく、3質量%以上20質量%以下であることがより好ましい。
更に、樹脂被覆層には、帯電制御を目的として樹脂粒子を含有してもよい。樹脂粒子を構成する樹脂としては、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂が利用される。
熱可塑性樹脂の場合、ポリオレフィン系樹脂、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン;ポリビニルおよびポリビニリデン系樹脂、例えば、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルエーテルおよびポリビニルケトン;塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体;スチレン−アクリル酸共重合体;オルガノシロキサン結合からなるストレートシリコン樹脂またはその変性品;フッ素樹脂、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン;ポリエステル;ポリカーボネート等が挙げられる。
熱硬化性樹脂の例としては、フェノール樹脂;アミノ樹脂、例えば尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、ポリアミド樹脂;エポキシ樹脂などが挙げられる。
樹脂粒子の体積平均粒径は0.1μm以上2.0μm以下が好ましい。
−キャリアの製造方法−
次に、前記キャリアの製造方法について説明する。本実施形態におけるキャリアの製造方法としては、樹脂被覆層形成用溶液(溶剤中に、樹脂被覆層を形成するマトリックス樹脂の他に、導電性粒子(導電粉)、必要に応じて帯電制御の樹脂粒子等を含む溶液)を調製し、この樹脂被覆層形成用溶液中に芯材を浸漬する浸漬法、ニーダーコータ中で芯材と樹脂被覆層形成用溶液とを混合し、次いで、溶剤を除去するニーダーコータ法等が挙げられるが、特に、溶液を用いたものに限定されるものではない。例えば、キャリアの芯材の種類によっては、芯材と樹脂粉末とを共に加熱混合するパウダーコート法などを採用してもよい。更に、樹脂被覆層を形成した後に、電気炉やキルンなどの装置により加熱処理してもよい。
また、樹脂被覆層を形成するための樹脂被覆層形成用溶液に使用する溶剤としては、樹脂を溶解するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、キシレン、トルエン等の芳香族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化物などが使用される。これらの中でも、凸部の長さ、幅、高さを制御しやすいという観点から、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、特に沸点が90℃以上のものが好ましい。
また、前述の通り、凸部の長さ、幅、高さの制御は、被覆層形成の際の乾燥条件を調整することによって行われる。より詳細には、高シェアの下、乾燥速度を速くすることで凸部が制御される。乾燥速度を速くする為には、乾燥時の芯材の温度および装置内の真空度が重要となる。例えば、芯材と樹脂被覆層形成用溶液を混合する工程において、装置内の真空度をある程度下げ(即ち減圧し)、且つ、芯材温度をその真空度での沸点近くまで昇温させ、混合後に装置内を真空状態にすることで乾燥速度が速くなる。即ち、混合時の真空度および温度さらには乾燥時のシェアを制御することにより前述の凸部を有するキャリアが作製される。また、上記条件を制御した工程において被覆層の粘度および膜厚等を調整することでより緻密に凸部が制御される。
−キャリアの物性−
次いで、本実施形態におけるキャリアの物性について説明する。
・円形度
本実施形態におけるキャリアは、円形度が0.975以上の範囲であることが好ましく、0.980以上の範囲であることがより好ましく、0.985以上の範囲であることが特に好ましい。
キャリアの円形度を上記範囲とし、即ちキャリアをより球形に近い形状とすることで、トナーカートリッジの壁面に存在するキャリアが搬送部材により自転し、壁面に付着したトナーが効率的にかき取られ、トナー凝集体の発生が抑制されるものと推察される。
ここで、前記キャリアの円形度は、下記の方法で測定した平均円形度を意味する。
測定サンプルとして、キャリア200mgをエチレングリコール水溶液30mlに添加・攪拌し、上澄み水溶液を除去した残渣中のキャリアを用いて、以下の方法で測定した。測定は、FPIA−3000(シスメックス社製)を使用し、撮影された少なくとも5000個以上各々のキャリア粒子に対して画像解析を行い、統計処理することによって、平均円形度を求めた。ここで、個々の円形度は下記式(1)に基づいて求めた。
式(1): 円形度=円相当径周囲長/周囲長=[2×(A×π)1/2]/PM
(上記式(1)において、Aはキャリア粒子の投影面積、PMはキャリア粒子の周囲長を表す。)
なお、測定はHPFモード(高分解能モード)、希釈倍率10倍で行った。また、データの解析に当たっては、測定ノイズ除去の目的で、個数粒径解析範囲を3μm以上80μm以下の範囲、円形度解析範囲を0.850以上1.000以下の範囲で実施した。
尚、上記円形度は、芯材の円形度、樹脂被覆層の層厚および乾燥条件の調整によって制御される。
・真比重
本実施形態におけるキャリアは、真比重が3.2g/cm以上4.5g/cm以下の範囲であることが好ましく、3.2g/cm以上4.0g/cm以下の範囲であることがより好ましく、3.5g/cm以上4.0g/cm以下の範囲であることが特に好ましい。
ここで、前記真比重は、下記の方法で測定した値を意味する。
ルシャトリエ比重瓶を用い、JIS−K−0061の5−2−1に準拠して、真比重を下記の作業にて測定した。
(1)ルシャトリエ比重瓶に約250mlのエチルアルコールを入れ、メニスカスが目盛の位置にくるように調整する。
(2)比重瓶を恒温水槽に浸し、液温が20.0±0.2℃になったときに、メニスカスの位置を比重瓶の目盛で正確に読み取る(精度0.0025ml)。
(3)試料を約100g量り取る。
(4)量り取った試料を比重瓶に入れ泡を除く。
(5)比重瓶を恒温槽に浸し、液温が20.0±0.2℃になったときに、メニスカスの位置を比重瓶の目盛で正確に読み取る(精度0.0025ml)。
(6)次式(3−1)および式(3−2)により真比重を算出する。
式(3−1): D=W/(L2−L1)
式(3−2): S=D/0.9982
式中、Dは試料の密度(g/cm、20℃)、Sは試料の真比重(20℃)、Wは試料の見かけの質量(g)、L1は試料を比重瓶に入れる前のメニスカスの読み値(ml、20℃)、L2は試料を比重瓶に入れた後のメニスカスの読み値(ml、20℃)、0.9982は20℃における水の密度(g/cm)である。
尚、上記真比重は、磁性粉組成、磁性粉量および樹脂被覆層量の調整によって制御される。
・磁力
本実施形態におけるキャリアは、1kOe時の磁力が170emu/cm以上250emu/cm以下であることが好ましく、185emu/cm以上235emu/cm以下であることが好ましい。
ここで、キャリアの磁力は、振動試料型磁力計BHV−525(理研電子(株)製)を用い、VSM用常温サンプルケース粉末用(H−2902−151)に一定量サンプルを採り、正秤した後に1kOeの磁場中にて、測定した。
・体積平均粒径
また、本実施形態におけるキャリアの体積平均粒径は、20μm以上100μm以下の範囲であることが好ましく、20μm以上80μm以下の範囲であることがより好ましく、20μm以上60μm以下の範囲であることが更に好ましい。
ここで、キャリアの体積平均粒径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(LS Particle Size Analyzer:LS13 320、BECKMAN COULTER社製)を用いて測定された値をいう。得られた粒度分布を分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、小粒径側から体積累積分布を引いて、全核体に対して累積50%となる粒径を体積平均粒径D50vとする。
・密度
本実施形態における現像剤の密度は、1.0g/cm以上3.0g/cm以下の範囲であることが好ましく、1.2g/cm以上2.5g/cm以下の範囲であることがより好ましく、1.2g/cm以上2.0g/cm以下の範囲であることが更に好ましい。
ここで、現像剤の密度の測定方法は、JIS−2504 金属粉体嵩密度測定法に準ずる方法にて測定される。尚、漏斗より現像剤が流れない場合は、漏斗に軽く衝撃を与え現像剤が流れ落ちるようにする。
・体積抵抗率
さらに、本実施形態におけるキャリアの体積抵抗率は、1×10Ωcm以上1×1014Ωcm以下の範囲に制御されることが好ましく、1×10Ωcm以上1×1013Ωcm以下の範囲であることがより好ましく、1×10Ωcm以上1×1012Ωcm以下の範囲であることが更に好ましい。
ここで、キャリアの体積抵抗率(Ωcm)は以下のように測定する。なお、測定環境は、温度20℃、湿度50%RHとする。
20cmの電極板を配した円形の治具の表面に、測定対象となるキャリアを1mm以上3mm以下程度の厚さになるように平坦に載せ、キャリア層を形成する。この上に前記の20cmの電極板を載せキャリア層を挟み込む。キャリア同士の空隙をなくすため、キャリア層上に載せた電極板の上に4kgの荷重をかけてからキャリア層の厚み(cm)を測定する。キャリア層上下の両電極には、エレクトロメーターおよび高圧電源発生装置に接続されている。両電極に電界が6000V/cmとなるように高電圧を印加し、このとき流れた電流値(A)を読み取ることにより、キャリアの体積電気抵抗(Ω・cm)を計算する。キャリアの体積抵抗率(Ω・cm)の計算式は、下記式(4)に示す通りである。
式(4): R=E×20/(I−I)/L
上記式(4)中、Rはキャリアの体積抵抗率(Ω・cm)、Eは印加電圧(V)、Iは電流値(A)、Iは印加電圧0Vにおける電流値(A)、Lはキャリア層の厚み(cm)をそれぞれ表す。また、20の係数は、電極板の面積(cm)を表す。
なお、後述する金属酸化物の体積抵抗率の測定も上記に準じて行われる。
<第2実施形態:補給用現像剤>
次に、第2実施形態に係る補給用現像剤について詳細に説明する。
第2実施形態に係る補給用現像剤(以下単に「現像剤」と称することがある)は、画像形成装置の現像装置に対して補給される補給用現像剤であり、現像剤を搬送する搬送部材を備えたトナーカートリッジに収容される。また、補給用トナーと、前述の第1実施形態に係る補給用キャリアと、を含有することを特徴とする。
・トナーとキャリアとの混合割合
尚、前記補給用トナーと前記第1実施形態に係る補給用キャリアとの混合割合(補給用トナー:補給用現像剤)は、100:1から100:100の範囲であることが好ましく、100:1から100:40であることがより好ましく、100:5から100:25であることが特に好ましい。
トナーとキャリアとの混合割合が上記範囲であることにより、トナーカートリッジの壁面に付着したトナーが効率良く削ぎ落とされる。また、搬送部材のトルクが高くなりすぎて昇温することによるトナーの凝集体の発生が抑制される。更に、トナーカートリッジ内において現像剤が蜜に配列されず、トナーへのダメージが軽減され、この点においても凝集体の発生が抑制される。
(トナー)
本実施形態に係る補給用現像剤(以下単に「現像剤」と称することがある)におけるトナーは、結着樹脂および着色剤を含むことが好ましい。また、前記結着樹脂として結晶性樹脂を含み、更には離型剤やその他の成分を含有することが好ましい。以下、これらの成分についてより詳細に説明する。
・結着樹脂
結着樹脂としては、スチレン、クロロスチレン等のスチレン類;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソプレン等のモノオレフィン類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;等の単独重合体および共重合体が例示され、代表的な結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸アルキル共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。さらに、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド、変性ロジン、パラフィンワックス等も挙げられる。これらの中では、特にスチレン−アクリル酸アルキル共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキル共重合体が好ましい。
また、本実施形態のトナーに用いられる結着樹脂としては、結晶性樹脂を用いることが好ましい。結晶性を持つ樹脂であれば特に制限はなく、具体的には、結晶性ポリエステル樹脂、結晶性ビニル系樹脂が挙げられ、結晶性ポリエステル樹脂が特に好ましい。また、適度な融点をもつ脂肪族系の結晶性ポリエステル樹脂がより好ましい。
ここで、上記結晶性樹脂における「結晶性」とは、示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱量変化ではなく、明確な吸熱ピークを有するものを指す。また、前記結晶性樹脂の主鎖に対して他成分を共重合したポリマーの場合、他成分が50質量%以下の場合、この共重合体も結晶性樹脂と呼ぶ。
本実施形態に用いるトナー中における結晶性ポリエステル樹脂の添加量は、3質量%以上20質量%以下であることが好ましく、5質量%以上15質量%以下がより好ましい。
前記結晶性ビニル系樹脂としては、(メタ)アクリル酸アミル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸セチル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸オレイル、(メタ)アクリル酸ベヘニル等の長鎖アルキル、アルケニルの(メタ)アクリル酸エステルを用いたビニル系樹脂が挙げられる。尚、本明細書において、”(メタ)アクリル”なる記述は、”アクリル”および”メタクリル”のいずれをも含むことを意味するものである。
一方前記結晶性ポリエステル樹脂は、酸(ジカルボン酸)成分とアルコール(ジオール)成分とから合成されるものである。尚本実施形態において、「酸由来構成成分」とは、ポリエステル樹脂の合成前には酸成分であった構成部位を指し、「アルコール由来構成成分」とは、ポリエステル樹脂の合成前にはアルコール成分であった構成部位を指す。
(1)酸由来構成成分
前記酸由来構成成分は、脂肪族ジカルボン酸が望ましく特に直鎖型のカルボン酸が望ましい。直鎖型のカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼリン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,13−トリデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,16−ヘキサデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸、など、或いはその低級アルキルエステルや酸無水物が挙げられる。中でも、炭素数6から10のものが結晶融点や帯電性の観点から好ましい。結晶性を高めるためには、これら直鎖型のジカルボン酸を、酸構成成分の95mol%以上用いることが好ましく、98mol%以上用いることがより好ましい。
その他のモノマーとしては、特に限定は無く、例えば、「高分子データハンドブック:基礎編」(高分子学会編:培風館)に記載されているようなモノマー成分である、従来公知の2価のカルボン酸と、2価のアルコールがある。これらのモノマー成分の具体例としては、2価のカルボン酸としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の二塩基酸、およびこれらの無水物やこれらの低級アルキルエステルなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記酸由来構成成分としては、前述の脂肪族ジカルボン酸由来構成成分のほか、スルホン酸基を持つジカルボン酸由来構成成分等の構成成分が含まれているのが好ましい。また樹脂全体を水に乳化或いは懸濁して、トナーを粒子化する際に、スルホン酸基があれば、後述するように、界面活性剤を使用しないで乳化或いは懸濁し得る。
このようなスルホン基を持つジカルボン酸としては、例えば、2−スルホテレフタル酸ナトリウム塩、5−スルホイソフタル酸ナトリウム塩、スルホコハク酸ナトリウム塩等が挙げられるが、これらに限定されない。また、これらの低級アルキルエステル、酸無水物等も挙げられる。これらの中でも、5−スルホイソフタル酸ナトリウム塩等が好ましい。前記スルホン酸基を持つジカルボン酸の含有量は0.1mol%以上2.0mol%以下であることが好ましく、0.2mol%以上1.0mol%以下であることが好ましい。尚、本実施形態において「構成mol%」とは、ポリエステル樹脂における各構成成分(酸由来構成成分、アルコール由来構成成分)をそれぞれ1単位(mol)としたときの百分率を指す。
(2)アルコール由来構成成分
アルコール由来構成成分としては脂肪族ジアルコールが望ましく、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ドデカンジオール、1,12−ウンデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−エイコサンジオール、などが挙げられ、中でも炭素数6から10のものが結晶融点や帯電性の観点から好ましい。結晶性を高めるためには、これら直鎖型のジアルコールを、アルコール構成成分の95mol%以上用いることが好ましく、98mol%以上用いることがより好ましい。
その他の2価のジアルコールとしては、例えば、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ビスフェノールAのエチレンオキシドまたは(および)プロピレンオキシド付加物、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコールなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、酸価や水酸基価の調製等の目的で、酢酸、安息香酸等の1価の酸や、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等の1価のアルコールや、ベンゼントリカルボン酸、ナフタレントリカルボン酸等、およびこれらの無水物やこれらの低級アルキルエステル、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなど3価のアルコールを使用してもよい。
前記ポリエステル樹脂は、前記のモノマー成分の中から任意の組合せで、例えば、重縮合(化学同人)、高分子実験学(重縮合と重付加:共立出版)やポリエステル樹脂ハンドブック(日刊工業新聞社編)等に記載の従来公知の方法を用いて合成され、エステル交換法や直接重縮合法等を単独で、または組み合せて用いられる。前記酸成分とアルコール成分とを反応させる際のmol比(酸成分/アルコール成分)としては、反応条件等によっても異なるため、一概には言えないが、直接重縮合の場合は通常1/1程度、エステル交換法の場合は、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノールなど真空下で脱留され、モノマー過剰に用いる場合が多い。前記ポリエステル樹脂の製造は、通常、重合温度180℃以上250℃以下でおこなわれ、必要に応じて反応系内を減圧にし、縮合時に発生する水やアルコールを除去しながら反応させる。モノマーが、反応温度下で溶解または相溶しない場合は、高沸点の溶剤を溶解補助剤として加え溶解させてもよい。重縮合反応においては、溶解補助溶剤を留去しながら行う。共重合反応において相溶性の悪いモノマーが存在する場合は、あらかじめ相溶性の悪いモノマーとそのモノマーと重縮合予定の酸またはアルコールとを縮合させておいてから主成分と供に重縮合させるとよい。
前記ポリエステル樹脂の製造時に使用される触媒としては、ナトリウム、リチウム等のアルカリ金属化合物、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属化合物、亜鉛、マンガン、アンチモン、チタン、スズ、ジルコニウム、ゲルマニウム等の金属化合物、亜リン酸化合物、リン酸化合物、および、アミン化合物等が挙げられ、具体的には、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、酢酸リチウム、炭酸リチウム、酢酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、酢酸マグネシウム、酢酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛、塩化亜鉛、酢酸マンガン、ナフテン酸マンガン、チタンテトラエトキシド、チタンテトラプロポキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラブトキシド、三酸化アンチモン、トリフェニルアンチモン、トリブチルアンチモン、ギ酸スズ、シュウ酸スズ、テトラフェニルスズ、ジブチルスズジクロライド、ジブチルスズオキシド、ジフェニルスズオキシド、ジルコニウムテトラブトキシド、ナフテン酸ジルコニウム、炭酸ジルコニール、酢酸ジルコニール、ステアリン酸ジルコニール、オクチル酸ジルコニール、酸化ゲルマニウム、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、トリエチルアミン、トリフェニルアミン等の化合物が挙げられる。この中で、帯電性の観点からスズ系触媒、チタン系触媒が好ましく、中でも、ジブチルスズオキシドが好ましく用いられる。
本実施形態の結晶性ポリエステル樹脂の融点は50℃以上120℃以下であり、好ましくは60℃以上110℃以下である。
尚、本実施形態において、前記結晶性ポリエステル樹脂の融点の測定には、示差走査熱量計(DSC)を用い、室温(20℃)から150℃まで毎分10℃の昇温速度で測定を行った時のJIS K−7121に示す入力補償示差走査熱量測定の融解ピーク温度として求められる。尚、結晶性の樹脂には、複数の融解ピークを示す場合があるが、本実施形態においては、最大のピークをもって融点とみなす。
・着色剤
トナーを構成する着色剤としては、特に制限はなく、染料および顔料のどちらでもかまわないが、特に顔料が好ましい。
好ましい顔料としては、カーボンブラック、アニリンブラック、アニリンブルー、カルコイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロライド、フタロシアンブルー、マラカイトグリーンオキサート、ランプブラック、ローズベンガル、キナクリドン、ベンジジンイエロー、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド185、C.I.ピグメント・イエロー12、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・イエロー180、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー74、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3等の公知の顔料が使用される。
また、着色剤として磁性粉を使用してもよい。磁性粉としては、コバルト、鉄、ニッケルなどの強磁性金属、コバルト、鉄、ニッケル、アルミニウム、鉛、マグネシウム、亜鉛、マンガンなどの金属の合金や酸化物などの公知の磁性体が使用される。
以上の着色剤は、単独で使用しても、2種類以上組み合わせて使用してもよい。尚、着色剤の種類を選択することにより、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、ブラックトナー等の各色トナーが得られる。
本実施形態におけるトナー中に含まれる着色剤の含有量としては、トナー100質量部に対して、0.1質量部以上40質量部以下の範囲が好ましく、1質量部以上30質量部以下の範囲が更に好ましい。
・離型剤
また、本実施形態に用いられるトナーには、離型剤を添加してもよい。
離型剤は、一般に離型性を向上させる目的で使用される。離型剤の具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類;加熱により軟化点を有するシリコーン類;オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド類;カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等の植物系ワックス;ミツロウ等の動物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の鉱物・石油系ワックス;脂肪酸エステル、モンタン酸エステル、カルボン酸エステル等のエステル系ワックスなどが挙げられる。これらの離型剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
離型剤の含有量としては、トナー100質量部に対し、1質量部以上20質量部以下の範囲が好ましく、2質量部以上15質量部以下の範囲がより好ましい。離型剤の融点としては50℃以上120℃以下が好ましく、60℃以上100℃以下がより好ましい。
・帯電制御剤
帯電制御剤としては、公知のものが使用されるが、アゾ系金属錯化合物、サリチル酸の金属錯化合物、極性基を含有するレジンタイプの帯電制御剤が用いられる。湿式製法でトナーを製造する場合、水に溶解しにくい素材を使用するのが好ましい。
なお、本実施形態におけるトナーは、磁性材料を内包する磁性トナーおよび磁性材料を含有しない非磁性トナーのいずれであってもよい。
・トナーの製造
前記トナーの製造には、公知の湿式法や乾式法が利用され、例えば、結着樹脂、着色剤、および必要に応じて離型剤、帯電制御剤等を混練、粉砕、分級する混練粉砕法;混練粉砕法にて得られた粒子を機械的衝撃力または熱エネルギーにて形状を変化させる方法;結着樹脂の重合性単量体を乳化重合させ、形成された分散液と、着色剤を分散させた分散液、および、必要に応じて利用される離型剤、帯電制御剤等の分散液と、を混合し、凝集、加熱融着させ、トナーを得る乳化重合凝集法;結着樹脂を得るための重合性単量体と、着色剤、および必要に応じて離型剤、帯電制御剤等の溶液と、を水系溶媒に懸濁させて重合する懸濁重合法;結着樹脂と、着色剤、および必要に応じて離型剤、帯電制御剤等の溶液と、を水系溶媒に懸濁させて造粒する溶解懸濁法;等が使用される。
また、上記方法で得られたトナーをコア粒子にして、更に樹脂粒子を付着させた後、加熱融合してコアシェル構造を有するトナーを製造してもよい。
・添加剤
続いて、このようにして得られたトナーに、外添剤を添加してもよい。
前記添加剤の具体例としては、シリカ、酸化チタン、メタチタン酸、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、アルミナ、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化クロム、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム等の金属酸化物粒子が挙げられる。これらの中では、シリカ、酸化チタン、メタチタン酸から選ばれるものを用いることが望ましい。
これらの金属酸化物粒子の表面は、予め疎水化処理されていることが望ましい。疎水化処理は、疎水化処理剤に無機粒子を浸漬する等して行われる。疎水化処理剤は特に制限されないが、例えば、シラン系カップリング剤、シリコーンオイル、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でもシラン系カップリング剤が好適である。
上記金属酸化物粒子の平均粒子径は、0.5μm以上であることが好ましく、0.5μm以上5.0μm以下の範囲であることがより好ましく、0.5μm以上3.0μm以下の範囲であることが特に好ましい。
ここで、前記平均粒子径は、レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置(HORIBA LA−910)で測定した値を意味する。
また、前記金属酸化物粒子の体積抵抗率は、前記キャリアの体積抵抗率より高いことが望ましい。より好適には、金属酸化物粒子の体積抵抗率はキャリアの体積抵抗率の1.0倍より高く1.5倍以下である。
これらの金属酸化物粒子は単独で用いても、また複数種を混合して用いても良い。また、これらのトナーに対する添加量は特に制限はないが、0.1質量%以上10質量%以下の範囲で好ましく用いられる。より具体的には、0.2質量%以上6質量%以下の範囲である。
また、トナーへの外添剤としては、ポリスチレン粒子、ポリメチルメタクリレート粒子、ポリフッ化ビニリデン粒子、小径不定形樹脂粒子、酸化セリウム、ステアリン酸亜鉛等のクリーニング助剤または転写助剤等も使用される。
トナーと外添剤との混合は、公知の方法、例えば、Vブレンダーやヘンシュルミキサー、レディーゲミキサーなどによって行われる。更に、必要に応じて、振動篩分機、風力篩分機などを使って、得られたトナー中の粗大粒子を取り除いてもよい。
さらに、本実施形態では、トナーに潤滑剤を添加することが望ましい。
本実施形態で用いられる潤滑剤は、粉体として用い得るものであれば限定されるものではなく、例えば、オレイン酸鉛、オレイン酸亜鉛、オレイン酸銅、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸鉄、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸鉄、ステアリン酸銅、パルミチン酸鉄、パルミチン酸銅、ミリスチン酸亜鉛、などの脂肪酸金属塩や、ポリフッ化ビニリデン、ポリトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂等が挙げられる。特にステアリン酸亜鉛が好ましい。
潤滑剤のトナーへの添加量は、トナー100質量部に対して0.1質量部以上5.0質量部以下の範囲とすることが望ましく、0.3質量部以上0.7質量部以下の範囲とすることがより望ましい。
なお、前記のように潤滑剤はトナーに添加してもよいが、現像剤中に含まれていればよく、トナーとキャリアとからなる現像剤を調製後に、現像剤中に添加してもよい。
・トナーの物性
上記のようにして得られたトナーの体積平均粒径は2μm以上8μm以下の範囲であることが好ましく、更に4μm以上7μm以下の範囲であることがより好ましい。
また、粒度分布の指標である体積平均粒径/個数平均粒径の値としては、1.6以下が好ましく、1.5以下が更に好ましい。
なお、前記トナーの体積平均粒径(累積体積平均粒径D50v)、個数平均粒径(累積数平均粒径D50P)や各種の粒度分布指標は、コールターマルチサイザーII(ベックマン−コールター社製)を用い、電解液はISOTON−II(ベックマン−コールター社製)を使用して測定される。
測定に際しては、分散剤として、界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムが好ましい)の5%水溶液2ml中に測定試料を0.5mg以上50mg以下加える。これを電解液100ml以上150ml以下中に添加する。試料を懸濁した電解液は超音波分散器で1分間分散処理を行い、コールターマルチサイザーIIにより、アパーチャー径として100μmのアパーチャーを用いて2μm以上60μm以下の範囲の粒径の粒子の粒度分布を測定する。なお、サンプリングする粒子数は50000個である。
このようにして測定される粒度分布を基にして分割された粒度範囲(チャネル)に対して体積、数をそれぞれ小径側から累積分布を描いて、累積16%となる粒径を累積体積平均粒径D16v、累積数平均粒径D16P、累積50%となる粒径を累積体積平均粒径D50v、累積数平均粒径D50P、累積84%となる粒径を累積体積平均粒径D84v、累積数平均粒径D84Pと定義する。
これらを用いて、体積平均粒度分布指標(GSDv)は(D84v/D16V1/2、数平均粒度分布指標(GSDp)は(D84P/D16P1/2として算出される。
さらに、本実施形態におけるトナーの形状係数SF1は120以上140以下の範囲にあることが好ましい。
ここで上記形状係数SF1は、下記式(5)により求められる。
SF1=(ML2/A)×(π/4)×100 ・・・ 式(5)
上記式(5)中、MLはトナー粒子の絶対最大長、Aはトナー粒子の投影面積を各々示す。
前記SF1は、主に顕微鏡画像または走査電子顕微鏡(SEM)画像を画像解析装置を用いて解析することによって数値化され、例えば、以下のようにして算出される。すなわち、スライドガラス表面に散布したトナーの光学顕微鏡像をビデオカメラを通じてルーゼックス画像解析装置に取り込み、100個以上のトナー粒子の最大長と投影面積を求め、上記式(5)によって計算し、その平均値を求めることにより得られる。
<第3実施形態:トナーカートリッジ/第4実施形態:画像形成装置>
次に、第3実施形態に係るトナーカートリッジ、および第4実施形態に係る画像形成装置について、図を参照しながら詳細に説明する。
図4は、画像形成装置の好適な一実施形態の基本構成を概略的に示す断面図である。図4に示す画像形成装置100は、電子写真感光体(潜像保持体)107と、電子写真感光体107を帯電させる帯電装置108と、帯電装置108に接続された電源109と、帯電装置108により帯電される電子写真感光体107を露光して静電潜像を形成する露光装置110と、露光装置110により形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像装置111と、現像装置111により形成されたトナー像を被転写体500に転写する転写装置112と、転写後に電子写真感光体107に残留しているトナーを除去するクリーニング装置113と、除電器114と、定着装置115と、を備える。
本実施形態においては、除電器114が設けられていない画像形成装置であってもよい。また、図4の画像形成装置100では、帯電装置108が接触型の帯電器となっているが、非接触型の帯電器であってもよい。
次に、図5を用いて、現像装置111の構成について説明する。
図5において、現像装置111は、電子写真感光体107に隣接して配設され、現像剤を収容する現像剤ハウジング10と、現像剤ハウジング10の内部において、電子写真感光体107に隣接するように軸線の周りに回転可能に配設された現像ロール12と、を備える。現像ハウジング10内には、前述の補給用トナーと前述の第1実施形態に係る補給用キャリアとで構成される補給用現像剤が、現像剤補給装置22から供給されて充填される。該補給用トナーと補給用キャリアは、攪拌パドル14、攪拌スクリュー16が回転駆動されることで攪拌されてトナーがキャリアに静電吸着する。
そして、キャリアにトナーが付着した現像剤は、磁性を有する現像剤搬送ロール18に磁力で吸着されて現像ロール12へ搬送され、マグネットロールである現像ロール12に磁力で吸着される。そして、電子写真感光体107に面した現像ロール12に現像バイアスが印加されて、トナーが、現像ロール12から電子写真感光体107上のレーザーが照射された部分に転移する。
現像剤ハウジング10の図面上方には、現像剤補給装置22が配設される。現像剤補給装置22は、補給用現像剤Tを収容する第3実施形態に係るトナーカートリッジ24と、トナーカートリッジ24および現像剤ハウジング10を接続するとともに開閉可能に形成されたカートリッジ補給流路26と、を備える。トナーカートリッジ24に収容された補給用現像剤は、カートリッジ補給流路26を通って現像剤ハウジング10に補給される。
ここで、図6はトナーカートリッジ24およびトナー搬送経路の構成を示す断面図である。
図5および図6に示すように、トナーカートリッジ24は、ハウジング50の内部に、補給用現像剤Tを攪拌しながら搬送する搬送部材としてのオーガー56が配設されている。
図7に示すように、オーガー56は、シャフト70の外周面に、軸方向と直交する方向に螺旋状に突出した螺旋状突起部72を備えている。また、隣り合う螺旋状突起部72の間に、シャフト70の軸方向と直交する方向に突出した板片状の凸状部74を備えている。該螺旋状突起部72および凸状部74としては、本実施形態では、アルミなどの金属や、弾性部材としてEPDM(エチレン−プロピレン−ジエンゴム)などの材料が選択される。なお、弾性部材としては、CR(クロロプレン)などを用いてもよい。また、弾性部材中に金属フィラー(例えば、SnO,ZnO,Al系粒子など)を30質量%以上添加してもよい。
図6に示すように、オーガー56の一端部の下方部には、トナーカートリッジ24から現像剤ハウジング10に補給用現像剤Tを供給するカートリッジ補給流路26が配設されている。これにより、現像剤ハウジング10に補給用現像剤T(補給用トナーおよび補給用キャリア)が適量ずつ補給されるようになっている。
尚、図5および図6に示すトナーカートリッジ24では、搬送部材としてオーガー56を備えた態様を示しているが、必ずしもこれに限定されるものではなく、補給用現像剤を搬送する機能を有する搬送部材であれば、公知のものが用いられる。
具体的には、オーガーの他にも、パドル、マイラー等が用いられる。
次に、現像装置111の作用について説明する。
図5および図6に示すごとく、現像装置111では、トナーカートリッジ24内の補給用現像剤T(補給用トナーおよび補給用キャリア)がカートリッジ補給流路26を通じて現像剤ハウジング10に供給される。現像剤ハウジング10内の現像剤Dは、前述の通り、攪拌パドル14、攪拌スクリュー16が回転駆動されることで攪拌されて、トナーがキャリアに静電吸着する。そして、キャリアにトナーが付着した現像剤は、磁性を有する現像剤搬送ロール18に磁力で吸着されて現像ロール12へ搬送され、マグネットロールである現像ロール12に磁力で吸着される。そして、電子写真感光体107に面した現像ロール12に現像バイアスが印加されて、トナーが、現像ロール12から電子写真感光体107上のレーザーが照射された部分に転移し現像が行われる。
尚、トナー濃度制御手段は以下のように作用する。
現像剤ハウジング10の底面における現像ロール12に対向する側には、前記現像剤の透磁率を測定して現像剤トナー濃度を求めるATCセンサー(透過率測定機構)20が配設されている。ATCセンサー20によって、現像剤ハウジング10内に収納された現像剤Dの透磁率を検出することにより、現像剤Dのトナー濃度(=[トナー/(トナー+キャリア)]×100)に対応する検出信号を画像形成装置の制御部(図示省略)へ出力する。
検出された検出値が現像剤トナー基準濃度よりも低いときには、前記現像剤補給装置22によって現像剤ハウジング10に補給用現像剤を補給する。尚、一般的には、現像剤ハウジング10内で循環している現像剤Dは、そのトナー濃度が概ね5質量%以上12質量%以下の範囲内で設定されている。
・他の態様
図8は、第4実施形態に係る画像形成装置の他の態様の基本構成を概略的に示す断面図である。図8に示す画像形成装置200は、中間転写方式のカラー画像を形成する画像形成装置である。
画像形成装置200は、ハウジング400内において4つの電子写真感光体(潜像保持体)401aから401dが中間転写ベルト409に沿って相互に並列に配置されている。電子写真感光体401aから401dは、例えば、電子写真感光体401aがイエロー、電子写真感光体401bがマゼンタ、電子写真感光体401cがシアン、電子写真感光体401dがブラックの色からなる画像がそれぞれ形成される。
電子写真感光体401aから401dはそれぞれは定められた方向(紙面上は反時計回り)に回転可能であり、その回転方向に沿って帯電ロール402aから402d、現像装置404aから404d、1次転写ロール410aから410d、クリーニングブレード415aから415dが配置されている。現像装置(現像手段)404aから404dのそれぞれにはトナーカートリッジ405aから405dに収容されたブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの4色の補給用トナーを含む補給用現像剤が供給され、また、1次転写ロール(転写手段)410aから410dはそれぞれ中間転写ベルト409を介して電子写真感光体401aから401dに接触している。
さらに、ハウジング400内の定められたの位置には露光装置403が配置されており、露光装置403から出射された光ビームを帯電後の電子写真感光体401aから401dの表面に照射される。これにより、電子写真感光体401aから401dの回転工程において帯電、露光、現像、1次転写、クリーニングの各工程が順次行われ、各色のトナー像が中間転写ベルト409上に重ねて転写される。
中間転写ベルト409は、駆動ロール406、背面ロール408および張力付与ロール407により定められたの張力をもって支持されており、これらのロールの回転によりたわみを生じることなく回転するよう設定されている。また、2次転写ロール413は、中間転写ベルト409を介して背面ロール408と接触するように配置されている。背面ロール408と2次転写ロール413とで挟まれる領域を通った中間転写ベルト409は、例えば駆動ロール406に接触して配置されたクリーニングブレード416により清浄面化された後、次の画像形成プロセスに繰り返し供される。
また、ハウジング400内の定められた位置には被転写体収容部411が設けられており、被転写体収容部411内の紙などの被転写体500が移送ロール412により中間転写ベルト409と2次転写ロール413とで挟まれる領域、さらには相互に接触する2個の定着ロール414で挟まれる領域に順次移送された後、ハウジング400の外部に排紙される。
図8に示す画像形成装置200においても、現像装置404aから404dは図5に示す現像装置で構成され、現像剤補給装置22から現像剤ハウジング10内に、補給用現像剤が供給される。
<第5実施形態:プロセスカートリッジ>
図9は、現像装置と、該現像装置に対し補給用現像剤を供給するトナーカートリッジと、を少なくとも備える第5実施形態に係るプロセスカートリッジの好適な一例を示す概略構成図である。
プロセスカートリッジ300は、感光体207と、帯電ローラ208と、現像装置211と、感光体クリーニング装置(クリーニング手段)213と、露光のための開口部218と、除電露光のための開口部217と、を取り付けレール216を用いて組み合わせ一体化したものである。このプロセスカートリッジ300は、転写装置212と、定着装置215と、図示しない他の構成部分とから構成される画像形成装置本体に対して着脱自在としたものであり、画像形成装置本体とともに画像形成装置を構成するものである。なお、500は記録紙(被転写体)である。
図9で示すプロセスカートリッジでは、帯電装置208、現像装置211、クリーニング装置(クリーニング手段)213、露光のための開口部218、および除電露光のための開口部217を備えているが、これら装置は選択的に組み合わせてよい。上記プロセスカートリッジでは、現像装置211のほかには、感光体207、帯電装置208、クリーニング装置(クリーニング手段)213、露光のための開口部218、および除電露光のための開口部217から構成される群から選択される少なくとも1種を備える。
尚、上記現像装置211は図5に示す現像装置で構成され、現像剤補給装置22から現像剤ハウジング10内に、補給用現像剤が供給される。
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、特にこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例中において「部」および「%」は、特に断りのない限り「質量部」および「質量%」を意味する。
[実施例1]
≪キャリアの作製≫
(芯材(1)の形成)
ヘンシェルミキサーに、0.3μm(体積平均粒径)の球状マグネタイト粒子粉末500部を投入し、攪拌した後、チタネート系カップリング剤2.0部を添加し、100℃まで昇温し30分間よく混合攪拌することによりチタネート系カップリング剤被覆された0.3μmの球状マグネタイト粒子(キャリア中の分散物)を得た。
次に、1Lの四つ口フラスコに、フェノール57部、40%ホルマリン70部、親油化処理された上記球状マグネタイト粒子500部、30%アンモニア水14部、および水70部を入れ、攪拌混合した。次いで、攪拌しながら60分間で85℃に上昇させ、同温度のまま120分間反応させた。その後、25℃まで冷却し、500部の水を添加した後、上澄み液を除去、沈殿物を水洗した。これを減圧下、160℃で乾燥して粒径36μmの芯材(1)を得た。
(被覆層形成用原料溶液の調製)
下記成分を60分間スターラーにて攪拌/分散し、被覆層形成用原料溶液を調製した。
・トルエン 85部
・スチレン−メタクリレート共重合体(成分比90:10) 15部
・カーボンブラック(キャボット社製、商品名:R330) 4部
(キャリアの製造)
上記被覆層形成用原料溶液を8.5部と芯材(1)100部とを真空脱気型ニーダに入れ、装置温度100℃にて、芯材温度が85℃になるまで攪拌した後、95kPaに減圧して15分間脱気、乾燥させた。更に目開き75μmのメッシュを通すことによりキャリアを作製した。
[実施例2]
≪キャリアの作製≫
(芯材(2)の形成)
原料としてMnO29部、MgO2部、Fe65部を十分混合し、これら原料混合物を湿式ボールミルで10時間混合、粉砕後、ロータリーキルンを用いて原料を微細に粉砕、分散を行い、900℃で1時間保持し、仮焼成を行った。こうして得られた仮焼成物を湿式ボールミルで10時間粉砕し平均粒径0.9μmの酸化物スラリーを得た。得られたスラリーに分散剤およびポリビニルアルコールを適量(酸化物スラリー100%に対して0.3%)添加し、次いでスプレードライヤーにより造粒、乾燥をした後、ロータリー電気炉で温度1100℃、酸素濃度0.3%の条件で6時間保持し本焼成を行った。得られたフェライト粒子を磁力選鉱、混合し、中心粒径36μmの芯材(2)を得た。
(被覆層形成用原料溶液の調製)
下記成分を60分間スターラーにて攪拌/分散し、被覆層形成用原料溶液を調製した。
・トルエン 85部
・スチレン−メタクリレート共重合体(成分比90:10) 15部
・カーボンブラック(キャボット社製、商品名:R330) 6部
(キャリアの製造)
上記被覆層形成用原料溶液を16部と芯材(2)100部とを真空脱気型ニーダに入れ、装置温度100℃にて、芯材温度が85℃になるまで攪拌した後、85kPaにて2分、その後95kPaに減圧して15分間脱気、乾燥させた。更に目開き75μmのメッシュを通すことによりキャリアを作製した。
[実施例3]
≪キャリアの作製≫
(被覆層形成用原料溶液の調製)
下記成分を60分間スターラーにて攪拌/分散し、被覆層形成用原料溶液を調製した。
・トルエン 85部
・スチレン−メタクリレート共重合体(成分比90:10) 15部
・カーボンブラック(キャボット社製、商品名:R330) 9部
(キャリアの製造)
上記被覆層形成用原料溶液を12部と芯材(1)100部とを真空脱気型ニーダに入れ、装置温度100℃にて、芯材温度が85℃になるまで攪拌した後、95kPaに減圧して15分間脱気、乾燥させた。更に目開き75μmのメッシュを通すことによりキャリアを作製した。
[実施例4]
≪キャリアの作製≫
(被覆層形成用原料溶液の調製)
下記成分を60分間スターラーにて攪拌/分散し、被覆層形成用原料溶液を調製した。
・トルエン 85部
・スチレン−メタクリレート共重合体(成分比90:10) 15部
・カーボンブラック(キャボット社製、商品名:R330) 4部
(キャリアの製造)
上記被覆層形成用原料溶液を8.5部と芯材(2)100部とを真空脱気型ニーダに入れ、装置温度100℃にて、芯材温度が90℃になるまで攪拌した後、95kPaに減圧して15分間脱気、乾燥させた。更に目開き75μmのメッシュを通すことによりキャリアを作製した。
[実施例5]
実施例1の(キャリアの製造)における芯材温度を90℃に変更する以外は実施例1に記載の方法によりキャリアを作製した。
[実施例6]
実施例2の(キャリアの製造)における被覆層形成用原料溶液の量を18部に変更する以外は実施例2に記載の方法によりキャリアを作製した。
[実施例7]
実施例6の(キャリアの製造)における脱気、乾燥の時間を30分間に変更する以外は実施例6に記載の方法によりキャリアを作製した。
[実施例8]
実施例1の(キャリアの製造)における芯材温度を80℃に、被覆層形成用原料溶液の量を6部に変更する以外は実施例1に記載の方法によりキャリアを作製した。
[実施例9]
実施例8の(キャリアの製造)における脱気、乾燥の時間を30分間に変更する以外は実施例8に記載の方法によりキャリアを作製した。
[比較例1]
≪キャリアの作製≫
(被覆層形成用原料溶液の調製)
下記成分を60分間スターラーにて攪拌/分散し、被覆層形成用原料溶液を調製した。
・トルエン 85部
・スチレン−メタクリレート共重合体(成分比90:10) 15部
・カーボンブラック(キャボット社製、商品名:R330) 6部
(キャリアの製造)
上記被覆層形成用原料溶液を12部と芯材(1)100部とを真空脱気型ニーダに入れ、装置温度90℃にて、芯材温度が75℃になるまで攪拌した後、95kPaに減圧して15分間脱気、乾燥させた。更に目開き75μmのメッシュを通すことによりキャリアを作製した。
[比較例2]
≪キャリアの作製≫
(被覆層形成用原料溶液の調製)
下記成分を60分間スターラーにて攪拌/分散し、被覆層形成用原料溶液を調製した。
・トルエン 85部
・スチレン−メタクリレート共重合体(成分比90:10) 15部
・カーボンブラック(キャボット社製、商品名:R330) 8部
(キャリアの製造)
上記被覆層形成用原料溶液を5部と芯材(1)100部とを真空脱気型ニーダに入れ、装置温度90℃にて、芯材温度が75℃になるまで攪拌した後、95kPaに減圧して15分間脱気、乾燥させた。更に目開き75μmのメッシュを通すことによりキャリアを作製した。
[比較例3]
≪キャリアの作製≫
(被覆層形成用原料溶液の調製)
下記成分を60分間スターラーにて攪拌/分散し、被覆層形成用原料溶液を調製した。
・トルエン 85部
・スチレン−メタクリレート共重合体(成分比90:10) 15部
・カーボンブラック(キャボット社製、商品名:R330) 4部
(キャリアの製造)
上記被覆層形成用原料溶液を10部と芯材(1)100部とを真空脱気型ニーダに入れ、装置温度90℃にて、芯材温度が75℃になるまで攪拌した後、95kPaに減圧して20分間脱気、乾燥させた。更に目開き75μmのメッシュを通すことによりキャリアを作製した。
表1に実施例および比較例の測定値を示した。
〔実機評価〕
(トナーの製造)
トナーとしてスチレン−ブチルアクリレート共重合体(重量平均分子量Mw=150,000、共重合比80:20)100部、カーボンブラック(モーガルL:キャボット社製)5部、およびカルナウバワックス6部の混合物をエクストルーダで混練し、ジェットミルで粉砕後、温風による球形化処理をクリプトロン(川崎重工製)にて実施し、風力式分級機で分級して粒子径6.2μmのトナー粒子を得た。このトナー粒子100部に対してコロイダルシリカ(日本アエロジル社製R972)1.2部および粒径0.6μmのコロイダルリシカ0.3部を添加し、ヘンシェルミキサーで混合して外添トナー粒子を得た。
(現像剤の製造)
前記実施例および比較例のキャリア100部に対し、該トナーを前記表1に記載の量(部)添加し、容積5LのV型ブレンダーに入れ回転数30rpmで20分間攪拌して、現像剤を得た。
(評価)
画像形成装置(DocuPrint C3250:富士ゼロックス社製)用のトナーカートリッジに前記現像剤を収容し、前記画像形成装置に装着した。高温(35℃,85%RH)の環境下で、
(1)画像密度50%の10cm×5cmパッチが3個あるプリントサンプル
(2)画像密度5%の10cm×5cmパッチが3個あるプリントサンプル
を交互に形成し、トータルで30000枚のサンプル画像を形成した後、全面が画像濃度50%であるプリントサンプルを20枚形成した。尚、プロセススピードを350mm/secとした。
−白抜けの評価−
全面が画像濃度50%である20枚のプリントサンプルを観察し、限度見本を作製して目視で評価した。評価基準は以下のとおりである。
◎:白抜けが全く見られない状態。
○:良く見ると若干白抜けが確認できるが、実使用上問題ない状態。
△:目視で白抜けが見られるが、実使用上問題ない状態。
×:目視で白抜けが見られる状態。
10 現像剤ハウジング
12 現像ロール
18 現像剤搬送ロール
20 ATCセンサー
22 現像剤補給装置
24 トナーカートリッジ
26 カートリッジ補給流路
50 ハウジング
56 オーガー(搬送部材)
100、200 画像形成装置
107、207、401a、401b、401c、401d 電子写真感光体(像保持体)
108、208、402a、402b、402c、402d 帯電装置
110、403 露光装置
111、211、404a、404b、404c、404d 現像装置
112、212 転写装置
115、215、414 定着装置
216 取り付けレール
217 除電露光のための開口部
218 露光のための開口部
300 プロセスカートリッジ
405a、405b、405c、405d トナーカートリッジ
500 被転写体

Claims (9)

  1. 補給用トナーおよび補給用キャリアを搬送する搬送部材を備えたトナーカートリッジに収容され、
    長径の長さが2μm以上15μm以下である凸部を表面に有する補給用キャリア。
  2. 前記凸部の幅に対する長径の長さの比が1.2倍以上2.5倍以下である請求項1に記載の補給用キャリア。
  3. 前記凸部の高さが1.0μm以上5.0μm以下である請求項1または請求項2に記載の補給用キャリア。
  4. 円形度が0.975以上である請求項1から請求項3の何れか1項に記載の補給用キャリア。
  5. 補給用トナーと、
    請求項1から請求項4の何れか1項に記載の補給用キャリアと、を含有し、
    前記補給用トナーおよび前記補給用キャリアを搬送する搬送部材を備えたトナーカートリッジに収容される補給用現像剤。
  6. 前記補給用トナーが、少なくとも着色剤、離型剤、および結晶性樹脂を含有してなる請求項5に記載の補給用現像剤。
  7. 静電潜像を現像してトナー像を形成する現像装置を少なくとも備えた画像形成装置に対して着脱可能であり、
    前記現像装置に供給するための現像剤として請求項5または請求項6に記載の補給用現像剤を収納し、
    且つ前記補給用現像剤を搬送する搬送部材を備えるトナーカートリッジ。
  8. 静電潜像を現像してトナー像を形成する現像装置と、
    前記現像装置に対し補給用現像剤を供給する請求項7に記載のトナーカートリッジと、
    を少なくとも備えるプロセスカートリッジ。
  9. 潜像保持体と、
    該潜像保持体表面に形成された静電潜像をトナー像として現像する現像装置と、
    前記潜像保持体表面に形成されたトナー像を被転写体表面に転写する転写装置と、
    前記被転写体表面に転写された前記トナー像を定着する定着装置と、
    前記現像装置に対し補給用現像剤を供給する請求項7に記載のトナーカートリッジと、
    を備える画像形成装置。
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