JP2010229866A - 密閉型回転式圧縮機と冷凍サイクル装置 - Google Patents

密閉型回転式圧縮機と冷凍サイクル装置 Download PDF

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Abstract

【課題】集中荷重がかかるローラの最大変形量を最小限に規制し、円滑な回転を保証して信頼性の向上を得られる密閉型回転式圧縮機と、この密閉型回転式圧縮機を備えて冷凍効率の向上を得られる冷凍サイクル装置を提供する。
【解決手段】密閉型回転式圧縮機1は、回転軸偏心部13aに転がり軸受23の内輪部23aを嵌合し、外輪部23bをローラとして兼用し、内輪部と外輪部との間に介在する転動体23cの軌道面Mをローラ内径部に形成し、ブレード27の幅寸法をT[mm]、ローラの外径部半径をRr[mm]、ローラ内径部軌道面Mの最外周半径をRi[mm]、ローラのヤング率をEr[MPa]、転動体間の軌道輪上における距離をC[mm]、吐出圧力と吸込み圧力との差圧をΔP[MPa]としたとき、下記関係式(1)が成り立つ。
Figure 2010229866

【選択図】図3

Description

本発明は、回転軸の偏心部に転がり軸受を嵌合し、この転がり軸受の外輪部をブレードが当接するローラとして兼用した密閉型回転式圧縮機と、この密閉型回転式圧縮機を冷凍サイクル構成部品として備えた冷凍サイクル装置に関する。
従来から多用される密閉型回転式圧縮機は、密閉ケース内に、電動機部と、この電動機部に回転軸を介して連結される圧縮機構部とを収容してなる。上記圧縮機構部は、シリンダ室を形成するシリンダと、回転軸に設けられる偏心部に嵌合するローラと、圧縮ばねによる背圧を受けて先端縁がローラ外周面に当接するブレードとを備えている。
このような構造から、圧縮作用自体は何らの支障も無く円滑に行われている。しかしながら、回転軸偏心部とブレードとの間に介在するローラは、すべり軸受として機能している。回転軸の直径と比較してローラの内径が大であり、直径の大きな部分が回転することで、すべり軸受としての摩擦損失が大となり、効率の向上が阻害されている。
本発明者等は、圧縮作用のより円滑化を求め、圧縮効率の向上を目指す新技術の開発の一環として、回転軸の偏心部に嵌合されブレードの先端縁が当接するローラに着目し、[特許文献1]を開示した。この新技術は転がり軸受を、回転軸と主軸受、副軸受およびローラとの、少なくとも1ヶ所に設けて、給油効率の向上を図っている。
具体的には、転がり軸受を回転軸の偏心部に取付け、外輪部外周面にブレード先端縁を当接させ、外輪部をローラとして兼用している。すなわち、ローラとして転がり軸受を備えることとなり、摩擦損失の低減を図れ、圧縮効率の向上を得る。
特開2007−291996号公報
ところで、一般的に転がり軸受は、固定体と回転体との間に介設されていて、集中荷重がかかることはない。たとえば、車軸と車輪との間に用いられる転がり軸受は、車軸に嵌め込まれる内輪部は勿論のこと、車輪に嵌め込まれる外輪部のいずれにも、部分的に集中荷重がかからずにすむ。
したがって、通常用いられる範囲での転がり軸受では、外輪部と内輪部の最大変形量(撓み量)を考慮する必要はない。これに対して上述のように、密閉型回転式圧縮機の圧縮機構部に、ローラの代用として転がり軸受の外輪部を兼用させると、背圧を受けたブレードの先端縁がローラを押圧し、ローラに集中荷重が掛かることは避けられない。
吸込み圧と吐出圧との差圧の大きい運転条件等では、上記集中荷重の影響でローラの内径部に形成される転動体(ボール)の軌道面に変形が生じる虞れがある。その結果、フレーキング(軌道面の金属剥離)等の発生があって、転がり軸受の信頼性が損なわれてしまう。
上記[特許文献1]においては、上述の不安要素に対する何らの措置も考慮するには至らないものであった。
本発明は上記事情にもとづきなされたものであり、その目的とするところは、回転軸の偏心部に転がり軸受を嵌合し、この外輪部をローラとして兼用させることとして、ブレードから集中荷重がかかることで生じるローラの最大変形量を最小限に抑制し、円滑な回転を保証して信頼性の向上を得られる密閉型回転式圧縮機と、この密閉型回転式圧縮機を備えて冷凍効率の向上を得られる冷凍サイクル装置を提供しようとするものである。
上記目的を満足するため本発明の密閉型回転式圧縮機は、密閉ケース内に、電動機部と、この電動機部に回転軸を介して連結される圧縮機構部とを収容し、上記圧縮機構部は、シリンダ室が形成されるシリンダと、回転軸の偏心部に嵌合してシリンダ室で偏心運動をなすローラと、シリンダに往復動自在に設けられローラ外周面に当接してシリンダ室を二分するブレードと、シリンダ室で圧縮された高圧ガスを密閉ケース内に吐出案内する吐出弁機構と、シリンダに設けられ吐出弁機構から密閉ケース内に吐出された高圧ガスをブレード後端部に導きブレードに対して背圧を付与する背圧付与手段とを具備し、
回転軸偏心部に転がり軸受の内輪部を嵌合し、転がり軸受の外輪部をブレードが当接するローラとして兼用し、転がり軸受の内輪部と外輪部との間に介在される転動体の軌道面を外輪部内径部であるローラ内径部に形成し、
ブレードの幅寸法をT[mm]、ローラの外径部半径をRr[mm]、ローラの内径部軌道面の最外周半径をRi[mm]、ローラのヤング率をEr[MPa]、各転動体間の軌道輪上における距離をC[mm]、圧縮機運転時の吐出圧力と吸込み圧力との差圧をΔP[MPa]としたとき、下記関係式(1)が成り立つ。
Figure 2010229866
本発明の密閉型回転式圧縮機によれば、転がり軸受の外輪部をローラとして兼用させることを前提として、集中荷重がかかるローラの最大変形量を最小限に規制し、円滑な回転を保証して信頼性の向上を得られる。
本発明の冷凍サイクル装置によれば、上記密閉型回転式圧縮機を冷凍サイクル構成部品として備えて、冷凍サイクル効率の向上を得られる。
本発明における実施の形態に係る、密閉型回転式圧縮機の縦断面図と、冷凍サイクル装置の冷凍サイクル構成図。 同実施の形態に係る、密閉型回転式圧縮機における圧縮機構部の横断平面図。 同実施の形態に係る、圧縮機構部一部の横断平面図。 同実施の形態に係る、図3の一部を拡大した図。 同実施の形態に係る、ローラ最大変形量と疲れ寿命の特性図。
以下、本発明の実施の形態を、図面にもとづいて説明する。
図1は、密閉型回転式圧縮機1の縦断面図および、冷凍サイクル装置Rの冷凍サイクル構成図である。
図中1は、密閉型回転式圧縮機(以下、単に「圧縮機」と呼ぶ)であり、この圧縮機1については後述する。前記圧縮機1の上端部には冷媒管Pが接続され、この冷媒管Pには、凝縮器2と、膨張弁(膨張装置)3と、蒸発器4およびアキュームレータ5が順次設けられる。さらに冷媒管Pは、アキュームレータ5から上記圧縮機1の側部に接続されていて、これらで冷凍サイクル装置Rの冷凍サイクルが構成される。
つぎに、上記圧縮機1について説明する。
上記圧縮機1は、密閉ケース10を備えていて、この密閉ケース10内部の上部側に電動機部11が収容され、下部側に圧縮機構部12が収容される。これら電動機部11と圧縮機構部12は、回転軸13を介して一体に連結される。
上記密閉ケース10の内底部には潤滑油を集溜する油溜り部14が形成され、下部側に配置される圧縮機構部12のほとんど大部分が潤滑油中に浸漬される。密閉ケース10の上面部には、凝縮器2に連通する吐出管である冷媒管Pが接続され、密閉ケース10の下部周壁には、アキュームレータ5に連通する吸込み管である冷媒管Pが接続される。
上記電動機部11は、回転軸13に嵌着固定される回転子(ロータ)15と、この回転子15の外周面と狭小の間隙を存して内周面が対向され、密閉ケース10内周壁に嵌着固定される固定子(ステータ)16とから構成される。
つぎに、上記圧縮機構部12について、図1および図2にもとづいて説明する。
図2は、圧縮機構部12を拡大して示す横断平面図である。
圧縮機構部12は、密閉ケース10の内周壁に嵌着固定され、軸芯に内径孔を備えたシリンダ20と、シリンダ20上面に取付けられる主軸受21と、シリンダ20下面に取付けられる副軸受22を備えている。シリンダ内径孔は、主軸受21と副軸受22によって塞がれる空間部であり、この空間部はシリンダ室Sとなる。
上記回転軸13は、電動機部11とシリンダ20上面との間の部分が上記主軸受21にに貫通され、回転自在に軸支される。また、回転軸13はシリンダ20下面から下端までの間の部分が上記副軸受22に貫通され、回転自在に軸支される。
上記主軸受21と副軸受22はともに、シリンダ20の内径孔を塞ぐフランジ部21a,22aと、このフランジ部21a,22aの軸芯部に沿って一体に突設され、回転軸13を軸支する軸受孔を備えた枢支部21b,22bとからなる。
上記回転軸13には、中心軸が所定量だけ偏心する偏心部13aが一体に設けられている。偏心部13aの周面には、後述する転がり軸受23が嵌合される。偏心部13aおよび転がり軸受23は上記シリンダ室Sに収容されていて、転がり軸受23の外周面一部は軸方向に沿ってシリンダ室S周壁に線状に接触するよう設計されている。
上記転がり軸受23は、所定の肉厚に形成され、内径部が回転軸偏心部13aに緩い状態で嵌合する内輪部23aと、所定の肉厚に形成され外周面一部が軸方向に沿ってシリンダ室S周壁に線状に接触する外輪部23bと、この内輪部23aと外輪部23bとの間に介在される複数の転動体(ボール)23cとから構成される。
回転軸13が回転すれば、外輪部23b外周面のシリンダ室S周壁に対する接触位置が、漸次、周方向に移動するようになっている。すなわち、外輪部23bは従来から用いられる回転式圧縮機のローラと全く同一の作用をなすものであるので、これ以降、すべり軸受23の外輪部23bを、「ローラ」と呼ぶ。
上記シリンダ20には、ブレード室25が設けられる。このブレード室25は、シリンダ20の外周面から軸芯方向に向って所定深さに設けられる横孔25aと、この横孔25aの先端部とシリンダ20の内径孔であるシリンダ室Sとを連通し、かつシリンダ20の上下面に亘って設けられるブレード収容溝25bとからなる。
上記横孔25aに圧縮ばね26が収容され、ブレード収容溝25bにブレード27が移動自在に収容される。圧縮ばね26の一端部は密閉ケース10内周壁に接触し、他端部はブレード27後端部に接触する。ブレード27は圧縮ばね26の弾性力による背圧を受け、先端縁はローラ23b外周面に軸方向に沿って当接し、シリンダ室Sを二分する。
シリンダ20の下面から横孔25aに亘って連通用孔28が設けられていて、油溜り部14の潤滑油は上記連通用孔28を介して横孔25aに導かれる。横孔25aに充満する潤滑油はブレード27の後端部に背圧を付与し、かつブレード27両側面とブレード収容溝25b両側壁との間に浸透して、ブレード27の円滑な移動を保証する。
このようにして、上記圧縮ばね26とともに上記連通用孔28は、ブレード27に対する背圧付与手段Jを構成する。ただし、実質的にブレード27に背圧を付与するのは、連通用孔28を介して横孔25aに導かれる高圧の潤滑油である。圧縮ばね26は専ら、圧縮運転の起動時において押圧作用をなす、補助的な背圧付与手段Jとして存在する。
一方、主軸受21には吐出孔30が設けられる。吐出孔30が設けられる位置は、ブレード27先端縁がローラ23b外周面に当接する部位の近傍で、この一側部になる。吐出孔30は吐出弁機構31により開閉され、主軸受21に取付けられ密閉ケース10内に開口する案内孔を備えたバルブカバー32が吐出弁機構31を覆う。
上記シリンダ20において、ブレード27のローラ23bとの接触部位を挟んで吐出孔30とは反対側の部位に、孔部である吸込み部33が設けられる。この吸込み部33は、シリンダ20を径方向に貫通して、密閉ケース10内とシリンダ室Sに連通し、かつ上記アキュームレータ5に連通する吸込み管である冷媒管Pが接続される。
つぎに、このようにして構成される密閉型回転式圧縮機1の圧縮作用および冷凍サイクル装置Rの冷凍作用について説明する。
圧縮機1を構成する電動機部11に通電することで、固定子16に発生する回転磁界によって回転子15が回転し、回転子15と一体の回転軸13が回転駆動される。電動機部11から回転軸13に駆動トルクが作用し、回転軸13に設けられる偏心部13aと転がり軸受23が一体にシリンダ室Sにおいて偏心運動を行う。
シリンダ室Sの一部が負圧化し、アキュームレータ5から冷媒管Pを介して冷媒が導かれる。冷媒は、ローラ23b周面とシリンダ室S周面とブレード27とで区画される空間部位に導かれ、ローラ23bの偏心回転にともない上記空間部位の容量が低減することで圧縮される。
上記空間部位が最も小さくなったとき、冷媒は所定の高圧状態になるとともに高温化する。高温高圧化したガス冷媒により吐出弁機構31が開放され、バルブカバー32の案内孔を介して密閉ケース10内部に導かれ充満する。密閉ケース10内に充満するガス冷媒は、密閉ケース10の上端部に接続される冷媒管Pへ吐出される。
ガス冷媒は凝縮器2において外気もしくは水などと熱交換し、凝縮液化して液冷媒に変る。この液冷媒は、膨張弁3に導かれて断熱膨張し、さらに蒸発器4に導かれて、蒸発器4が配置される周辺部位の空気と熱交換し蒸発する。
冷媒の蒸発にともなって周辺部位から蒸発潜熱を奪って冷気に変える。すなわち、周辺部位に対する冷凍作用をなす。蒸発器4で蒸発した冷媒は、アキュームレータ5に導かれ気液分離される。そして、圧縮機1のシリンダ室Sに吸込まれ、再び圧縮されて高温高圧のガス冷媒に変り、上述の冷凍サイクルを繰り返す。
つぎに、図3および図4にもとづいて、上記密閉型回転式圧縮機1の圧縮機構部12を構成するローラ23bとブレード27について説明する。
図3は、圧縮機構部12の一部を拡大した図、図4は図3の拡大図である。
上記ブレード27は、圧縮運転の起動時は圧縮ばね26の弾性力をもって背圧を受け、圧縮運転が安定した状態では油溜り部14の高圧化した潤滑油が連通用孔28からブレード室25の横孔25aに充満することで背圧を受ける。
背圧を受けたブレード27の先端縁はローラ23bに当接し、ローラ23bに対して集中荷重Fv[N]を付与する。このとき、吸込み圧と吐出圧との差圧が大きい条件時等では、ブレード27のローラ23bに対する集中荷重Fvが過大になり、あるいはローラ23bの剛性が小になる。
そのため、転動体23cが接触するローラ23bの内径部軌道面Mに変形が生じる虞れがあり、フレーキング等が発生してローラ23bの円滑な自転が妨げられ、転がり軸受23に対する信頼性が著しく損なわれてしまう。
この対策を備えるために、ブレード27の集中荷重Fvによる、荷重方向のローラ23bの最大変形量σmax[mm]を求める。
すなわち、ブレード27からの集中荷重Fvの作用点(ローラ23bに対する接触点)の両側にある転動体23cの位置を固定端とし、ローラ23bを真直な梁材として近似する。すると、機械工学便覧、A4材料力学から、下記関係式(2)が求められる。
Figure 2010229866
圧縮機1運転時の吐出圧力と吸込み圧力との差圧をΔP[MPa]、ブレード27の幅寸法をT[mm]、ブレード27とローラ23bの厚み(図1に示す)をH[mm]としたときの集中荷重Fvの最大値は、関係式(3)から求められる。
Fvmax[N] = ΔP・T・H ……(3)
また、ローラ23bの外周半径をRr[mm]、ローラ23bの内径部軌道面Mの最外周半径をRi[mm]としたときの、ローラ23bの断面2次モーメントIrは、関係式(4)から求められる。
Ir = H・(Rr−Ri)/ 12 ……(4)
上記関係式(3)、(4)を、上記関係式(2)に代入すると、下記関係式(5)が求められる。
Figure 2010229866
図5は、ローラ23bの最大変形量σmaxと疲れ寿命比L/L0の特性図である。
この図は、ブレード27の集中荷重Fvによる荷重方向のローラ23bの最大変形量σmaxが0のときの、ローラ23bの内径部軌道面Mにおける転がり疲れ寿命をL0とし、ローラ23bの最大変形量σmaxに対する転がり疲れ寿命の関係を示す。
図5から、ローラ23bの最大変形量σmaxが、0.001mm以上になると、急速に疲れ寿命が低下するのが分る。
たとえば、車軸と車輪との間に用いられる転がり軸受等、通常の使用方法では、玉軸受(すなわち、転動体)の軌道面はハウジングあるいは軸に倣うので、内輪部は勿論のこと、外輪部においても変形する虞れは全く無い。したがって、通常用いられる範囲での転がり軸受に対し、外輪部と内輪部の最大変形量σmaxを考慮する必要はない。
これに対して上述のように、密閉型回転式圧縮機1における圧縮機構部12に、転がり軸受23の外輪部23bをローラの代用として用いると、背圧を受けたブレード27による集中荷重Fvが外輪部であるローラ23bにかかることは避けられない。
ローラ23bの剛性が低いと、この内径面である転動体23cの軌道面に変形が生じ、転動体23cが円滑に転がることができない。ローラ23bの最大変形量σmaxがある値を越えると、フレーキング等が生じて急速に転がり寿命の低下を招く。
そこで、図5から、ローラ23bの最大変形量σmaxが、0.001mmと等しい、もしくはそれ以下である、以下の関係式(1)を満たすことによって、転がり寿命の低下を防ぎ、信頼性の高い圧縮機1を得られる。
Figure 2010229866
さらに、本発明では、上記関係式(1)を満たしたうえで、ブレード27のローラ23bとの当接部における曲率半径Rv[mm]と、ローラ23bの外周半径Rr[mm]から、下記関係式(7)で計算される等価半径ρ[mm]について、ブレード27の幅寸法T[mm]と、下記関係式(6)が成り立つことを特徴としている。
ρ ≧ T ……(6)
ここで、 1/ρ = 1/Rv + 1/Rr ……(7)
すなわち、ローラ23bとブレード27との接触状態は、図4に示すように、異なる曲率を有する円筒体の接触状態に置き換えることができる。
ブレード27のローラ23bに対する集中荷重Fvにより、ローラ23bとブレード27は面接触する。そのときの弾性接触長さd[mm]は関係式(8)で表され、関係式(9)に展開できる。
Figure 2010229866
Figure 2010229866
ローラ23bとブレード27との接触部には、関係式(10)で表されるヘルツ応力Pmax[MPa]が発生する。(ヘルツの弾性接触理論)
Figure 2010229866
ヘルツ応力Pmaxが大きい場合、ローラ23bとブレード27との接触面において異常摩耗が生じる危険性が高くなり、信頼性が低下する。また、ローラ23bの自転が抑制され、最悪の場合にはローラ23bが自転しなくなる。この場合、常にローラ23b内径部軌道面Mの同一箇所で負荷を受けて、転がり軸受23としての寿命低下を招く。
この問題に対して、先に説明した関係式(6)を満たすように設計することにより、関係式(10)は次式(11)で表される。
Figure 2010229866
したがって、ブレード27の幅寸法T[mm]に係らず、常に、ヘルツ応力Pmaxを関係式(11)で示す数値以下にすることができ、信頼性設計を容易にして、信頼性の高い圧縮機1を得られる。
以下に、実施例の数値を、[表1]に示す。
Figure 2010229866
上記[表1]における実施例3は実施例2に対し、ローラ23bの内径部軌道面Mの半径Riを、関係式(1)を満たす範囲内でできるだけ大きくし、直径の大きな転動体23cを使えるようにしたものである。
このように転動体23cの直径を大きくすることにより、転がり軸受23の基本定格荷重が増大するので、基本定格荷重を重視した設計仕様を提供できる。
なお、公知例1(たとえば 特開2003−140123号)においては、分子中に塩素を含まない冷媒および潤滑油としてポリオールエステル、またはポリビニルエーテルを基油として用いても、ローラとベーンの異常な摩耗が防止されるような信頼性の高い回転式圧縮機を提供するため、以下のような条件を開示している。
すなわち、ベーンのローラとの摺接部における曲率半径(Rv)(cm)が次式(A)で示されるようなベーンを用いる。 T < Rv <Rr ……(A)
ただし、Tはベーンの厚さ(cm)、Rrはベーンと摺接するローラの外周曲率半径(cm)。
上記した関係式(6)、(7)に関し、公知例1の数値を比較してみると、公知例1の範囲 T<Rv<Rr では、実施例に対してヘルツ応力Pmaxが大きく、信頼性が劣っているのが分る。
また、関係式(6)、(7)に関し、ブレード27のローラ23bとの当接面および、ローラ23bの外周面において、その表面粗さがRz(JIS規格)で、3.2mm以下とする。
すなわち、上記構造の圧縮機1を採用することで、ブレード27とローラ23bとの当接面において摩擦抵抗が小さくなるため、ローラ23bの自転が容易になり、ローラ内径部軌道輪の同一位置で負荷を受けることを防止し、転がり軸受の寿命が向上する。よって、信頼性の高い圧縮機1が得られる。
なお、上記実施の形態において、シリンダ室Sが1つの圧縮機1について説明したが、これに限定されるものではなく、2つ以上のシリンダ室を有する圧縮機にも適用することができる。
さらに、本発明は上述した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。そして、上述した実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。
10…密閉ケース、11…電動機部、13…回転軸、12…圧縮機構部、S…シリンダ室、20…シリンダ、23b…ローラ(外輪部)、27…ブレード、31…吐出弁機構、J…背圧付与手段、23a…内輪部、23c…転動体、M…ローラの内径部軌道面、1…密閉型回転式圧縮機、2…凝縮器、3…膨張弁(膨張装置)、4…蒸発器、P……冷媒管。

Claims (4)

  1. 密閉ケース内に、電動機部と、この電動機部に回転軸を介して連結される圧縮機構部とを収容し、
    上記圧縮機構部は、シリンダ室が形成されるシリンダと、上記回転軸に設けられる偏心部に嵌合し上記シリンダ室で偏心運動をなすローラと、上記シリンダに往復動自在に設けられローラ外周面に当接してシリンダ室を二分するブレードと、上記シリンダ室で圧縮された高圧ガスを密閉ケース内に吐出案内する吐出弁機構と、
    上記シリンダに設けられ、上記吐出弁機構から密閉ケース内に吐出された高圧ガスを上記ブレード後端部に導き、ブレードに対して背圧を付与する背圧付与手段と、
    を具備した密閉型回転式圧縮機において、
    上記回転軸偏心部に、転がり軸受の内輪部が嵌合され、
    上記転がり軸受の外輪部を、上記ブレードが当接する上記ローラとして兼用され、
    上記転がり軸受の内輪部と外輪部との間に介在される転動体の軌道面が、外輪部内径部であるローラ内径部に形成され、
    ブレードの幅寸法をT[mm]、ローラの外径部半径をRr[mm]、ローラの内径部軌道面の最外周半径をRi[mm]、ローラのヤング率をEr[MPa]、各転動体間の軌道輪上における距離をC[mm]、圧縮機運転時の吐出圧力と吸込み圧力との差圧をΔP[MPa]としたとき、下記関係式(1)が成り立つ
    ことを特徴とする密閉型回転式圧縮機。
    Figure 2010229866
  2. 上記ブレードのローラとの当接部における曲率半径Rv[mm]と、上記ローラ外径部半径Rr[mm]から下記関係式(7)式にて計算される等価半径ρ[mm]について、上記ブレードの幅寸法T[mm]と下記関係式(6)が成り立つ
    ことを特徴とする請求項1記載の密閉型回転式圧縮機。
    ρ ≧ T ……(6)
    ここで、 1/ρ = 1/Rv + 1/Rr ……(7)
  3. 上記ブレードにおけるローラとの当接面およびローラの外周面において、表面粗さがRz(JIS規格)で、3.2μm以下である
    ことを特徴とする請求項2記載の密閉型回転式圧縮機。
  4. 上記請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の回転式圧縮機と、凝縮器と、膨張装置と、蒸発器とを冷媒管を介して連通して冷凍サイクルが構成される
    ことを特徴とする冷凍サイクル装置。
JP2009077069A 2009-03-26 2009-03-26 密閉型回転式圧縮機と冷凍サイクル装置 Expired - Fee Related JP5360711B2 (ja)

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