JP2010229866A - 密閉型回転式圧縮機と冷凍サイクル装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】密閉型回転式圧縮機1は、回転軸偏心部13aに転がり軸受23の内輪部23aを嵌合し、外輪部23bをローラとして兼用し、内輪部と外輪部との間に介在する転動体23cの軌道面Mをローラ内径部に形成し、ブレード27の幅寸法をT[mm]、ローラの外径部半径をRr[mm]、ローラ内径部軌道面Mの最外周半径をRi[mm]、ローラのヤング率をEr[MPa]、転動体間の軌道輪上における距離をC[mm]、吐出圧力と吸込み圧力との差圧をΔP[MPa]としたとき、下記関係式(1)が成り立つ。
【選択図】図3
Description
上記[特許文献1]においては、上述の不安要素に対する何らの措置も考慮するには至らないものであった。
回転軸偏心部に転がり軸受の内輪部を嵌合し、転がり軸受の外輪部をブレードが当接するローラとして兼用し、転がり軸受の内輪部と外輪部との間に介在される転動体の軌道面を外輪部内径部であるローラ内径部に形成し、
ブレードの幅寸法をT[mm]、ローラの外径部半径をRr[mm]、ローラの内径部軌道面の最外周半径をRi[mm]、ローラのヤング率をEr[MPa]、各転動体間の軌道輪上における距離をC[mm]、圧縮機運転時の吐出圧力と吸込み圧力との差圧をΔP[MPa]としたとき、下記関係式(1)が成り立つ。
本発明の冷凍サイクル装置によれば、上記密閉型回転式圧縮機を冷凍サイクル構成部品として備えて、冷凍サイクル効率の向上を得られる。
図1は、密閉型回転式圧縮機1の縦断面図および、冷凍サイクル装置Rの冷凍サイクル構成図である。
図中1は、密閉型回転式圧縮機(以下、単に「圧縮機」と呼ぶ)であり、この圧縮機1については後述する。前記圧縮機1の上端部には冷媒管Pが接続され、この冷媒管Pには、凝縮器2と、膨張弁(膨張装置)3と、蒸発器4およびアキュームレータ5が順次設けられる。さらに冷媒管Pは、アキュームレータ5から上記圧縮機1の側部に接続されていて、これらで冷凍サイクル装置Rの冷凍サイクルが構成される。
つぎに、上記圧縮機1について説明する。
上記圧縮機1は、密閉ケース10を備えていて、この密閉ケース10内部の上部側に電動機部11が収容され、下部側に圧縮機構部12が収容される。これら電動機部11と圧縮機構部12は、回転軸13を介して一体に連結される。
図2は、圧縮機構部12を拡大して示す横断平面図である。
圧縮機構部12は、密閉ケース10の内周壁に嵌着固定され、軸芯に内径孔を備えたシリンダ20と、シリンダ20上面に取付けられる主軸受21と、シリンダ20下面に取付けられる副軸受22を備えている。シリンダ内径孔は、主軸受21と副軸受22によって塞がれる空間部であり、この空間部はシリンダ室Sとなる。
上記主軸受21と副軸受22はともに、シリンダ20の内径孔を塞ぐフランジ部21a,22aと、このフランジ部21a,22aの軸芯部に沿って一体に突設され、回転軸13を軸支する軸受孔を備えた枢支部21b,22bとからなる。
圧縮機1を構成する電動機部11に通電することで、固定子16に発生する回転磁界によって回転子15が回転し、回転子15と一体の回転軸13が回転駆動される。電動機部11から回転軸13に駆動トルクが作用し、回転軸13に設けられる偏心部13aと転がり軸受23が一体にシリンダ室Sにおいて偏心運動を行う。
ガス冷媒は凝縮器2において外気もしくは水などと熱交換し、凝縮液化して液冷媒に変る。この液冷媒は、膨張弁3に導かれて断熱膨張し、さらに蒸発器4に導かれて、蒸発器4が配置される周辺部位の空気と熱交換し蒸発する。
図3は、圧縮機構部12の一部を拡大した図、図4は図3の拡大図である。
すなわち、ブレード27からの集中荷重Fvの作用点(ローラ23bに対する接触点)の両側にある転動体23cの位置を固定端とし、ローラ23bを真直な梁材として近似する。すると、機械工学便覧、A4材料力学から、下記関係式(2)が求められる。
Fvmax[N] = ΔP・T・H ……(3)
また、ローラ23bの外周半径をRr[mm]、ローラ23bの内径部軌道面Mの最外周半径をRi[mm]としたときの、ローラ23bの断面2次モーメントIrは、関係式(4)から求められる。
Ir = H・(Rr−Ri)3 / 12 ……(4)
上記関係式(3)、(4)を、上記関係式(2)に代入すると、下記関係式(5)が求められる。
この図は、ブレード27の集中荷重Fvによる荷重方向のローラ23bの最大変形量σmaxが0のときの、ローラ23bの内径部軌道面Mにおける転がり疲れ寿命をL0とし、ローラ23bの最大変形量σmaxに対する転がり疲れ寿命の関係を示す。
図5から、ローラ23bの最大変形量σmaxが、0.001mm以上になると、急速に疲れ寿命が低下するのが分る。
ローラ23bの剛性が低いと、この内径面である転動体23cの軌道面に変形が生じ、転動体23cが円滑に転がることができない。ローラ23bの最大変形量σmaxがある値を越えると、フレーキング等が生じて急速に転がり寿命の低下を招く。
ρ ≧ T ……(6)
ここで、 1/ρ = 1/Rv + 1/Rr ……(7)
すなわち、ローラ23bとブレード27との接触状態は、図4に示すように、異なる曲率を有する円筒体の接触状態に置き換えることができる。
ブレード27のローラ23bに対する集中荷重Fvにより、ローラ23bとブレード27は面接触する。そのときの弾性接触長さd[mm]は関係式(8)で表され、関係式(9)に展開できる。
この問題に対して、先に説明した関係式(6)を満たすように設計することにより、関係式(10)は次式(11)で表される。
以下に、実施例の数値を、[表1]に示す。
このように転動体23cの直径を大きくすることにより、転がり軸受23の基本定格荷重が増大するので、基本定格荷重を重視した設計仕様を提供できる。
ただし、Tはベーンの厚さ(cm)、Rrはベーンと摺接するローラの外周曲率半径(cm)。
また、関係式(6)、(7)に関し、ブレード27のローラ23bとの当接面および、ローラ23bの外周面において、その表面粗さがRz(JIS規格)で、3.2mm以下とする。
さらに、本発明は上述した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。そして、上述した実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。
Claims (4)
- 密閉ケース内に、電動機部と、この電動機部に回転軸を介して連結される圧縮機構部とを収容し、
上記圧縮機構部は、シリンダ室が形成されるシリンダと、上記回転軸に設けられる偏心部に嵌合し上記シリンダ室で偏心運動をなすローラと、上記シリンダに往復動自在に設けられローラ外周面に当接してシリンダ室を二分するブレードと、上記シリンダ室で圧縮された高圧ガスを密閉ケース内に吐出案内する吐出弁機構と、
上記シリンダに設けられ、上記吐出弁機構から密閉ケース内に吐出された高圧ガスを上記ブレード後端部に導き、ブレードに対して背圧を付与する背圧付与手段と、
を具備した密閉型回転式圧縮機において、
上記回転軸偏心部に、転がり軸受の内輪部が嵌合され、
上記転がり軸受の外輪部を、上記ブレードが当接する上記ローラとして兼用され、
上記転がり軸受の内輪部と外輪部との間に介在される転動体の軌道面が、外輪部内径部であるローラ内径部に形成され、
ブレードの幅寸法をT[mm]、ローラの外径部半径をRr[mm]、ローラの内径部軌道面の最外周半径をRi[mm]、ローラのヤング率をEr[MPa]、各転動体間の軌道輪上における距離をC[mm]、圧縮機運転時の吐出圧力と吸込み圧力との差圧をΔP[MPa]としたとき、下記関係式(1)が成り立つ
ことを特徴とする密閉型回転式圧縮機。
- 上記ブレードのローラとの当接部における曲率半径Rv[mm]と、上記ローラ外径部半径Rr[mm]から下記関係式(7)式にて計算される等価半径ρ[mm]について、上記ブレードの幅寸法T[mm]と下記関係式(6)が成り立つ
ことを特徴とする請求項1記載の密閉型回転式圧縮機。
ρ ≧ T ……(6)
ここで、 1/ρ = 1/Rv + 1/Rr ……(7) - 上記ブレードにおけるローラとの当接面およびローラの外周面において、表面粗さがRz(JIS規格)で、3.2μm以下である
ことを特徴とする請求項2記載の密閉型回転式圧縮機。 - 上記請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の回転式圧縮機と、凝縮器と、膨張装置と、蒸発器とを冷媒管を介して連通して冷凍サイクルが構成される
ことを特徴とする冷凍サイクル装置。
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