JP5449999B2 - 密閉型圧縮機と冷凍サイクル装置 - Google Patents

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本発明は、軸受構造を改良した密閉型圧縮機と、この密閉型圧縮機を備える冷凍サイクル装置に関する。
冷凍サイクル装置では、密閉容器内に電動機部と、この電動機部に回転軸(クランクシャフト)を介して連結される圧縮機構部とを収容してなるロータリ式の密閉型圧縮機が多用されている。この種の圧縮機においては、シリンダ内に形成される圧縮室に冷媒を導いて圧縮するため、回転軸には圧縮荷重が作用する。この圧縮荷重の作用により、回転軸には撓み変形が生じ、撓み方向の回転軸部分とこの回転軸を軸支する軸受との間に部分接触が生じる虞がある。この部分接触が生じると、回転軸の円滑な回転が損なわれ、ついには回転軸と軸受が損傷してしまう。
そこで、従来においては、主軸受及び副軸受のシリンダ側に環状溝を設けることにより、回転軸の撓み変形に応じて主軸受及び副軸受を撓み変形させるようにしている。これにより、主軸受及び副軸受けに対する回転軸の片当たりを弱めている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2004−124834号公報
しかしながら、従来においては、主軸受及び副軸受の環状溝の内周面の直径が、環状溝の深さ方向に沿って同一であったため、環状溝の内周面と軸受孔の内周面間の厚さも環状溝の深さ方向に沿って同一となっている。
このため、環状溝のある範囲では回転軸と軸受との接触に関して軸受が撓むことで部分的な強い接触を回避できても、環状溝が終った部分では急激に軸受の剛性が高くなり、この部分で接触負荷を一気に受けてしまう。このため、局所的な摩耗を生じ、軸受の信頼性を十分に高めることができなかった。
本発明は上記事情にもとづきなされたものであり、その目的とするところは、主軸受及び副軸受と回転軸との接触による局所的な摩耗を防止し、信頼性の向上を図ることができるようにした密閉型圧縮機、及びこの密閉型圧縮機を備える冷凍サイクル装置を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明は、密閉容器内に電動機部と、この電動機部に回転軸を介して連結される圧縮機構部とを収容する密閉型圧縮機において、上記圧縮機構部は、内径孔を備えたシリンダと、上記回転軸を軸支する軸受孔を有するボス部と、上記シリンダの内径孔を塞いで内部に圧縮室を形成する主軸受および副軸受とを備え、上記主軸受および上記副軸受は、上記圧縮室側に向かって開口する環状溝を有し、上記環状溝は、その内周面が圧縮室側から反圧縮室側へ向って漸次直径が大きいテーパー状に形成され、上記副軸受の環状溝の深さGsは、上記軸受孔内の回転軸の直径dの40%以上に設定され、上記主軸受の環状溝の深さGmは、上記回転軸の最小回転数が20rpsより大きい場合には、0.3×d<Gm<0.4×dに形成され、上記回転軸の最小回転数が20rps以下の場合には、0.2×d<Gm<0.3×dに形成されることを特徴とする。
また、本発明の冷凍サイクル装置は、上記記載の密閉型圧縮機と、凝縮器と、膨張装置と、蒸発器とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、主軸受及び副軸受と回転軸との接触による局所的な摩耗を防止し、信頼性の向上を図ることができるようにした密閉型圧縮機、及びこの密閉型圧縮機を備える冷凍サイクル装置を提供することができる。
本発明の一実施の形態である密閉型圧縮機を備える冷凍サイクル装置を示す構成図。 図1の密閉型圧縮機の圧縮機構部を拡大して示す縦断面図。 図2の圧縮機構部の環状溝の深さ効果を示す特性図。 図2の圧縮機構部の副軸受ボス外形選択範囲を示すグラフ図。 図2の圧縮機構部の主軸受寸法と油膜厚みとの関係を示すグラフ図。 図2の圧縮機構部の主軸受寸法と接触負荷との関係を示すグラフ図。 図2の圧縮機構部の回転数と潤滑領域との関係を示すグラフ図。 図2の圧縮機構部のクランク撓みを示すグラフ図。 本発明の第2の実施の形態である密閉型圧縮機を示す縦断面図。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態である密閉型圧縮機1を備える冷凍サイクル装置Rを示す概略的構成図である。
図中1は、密閉型回転式圧縮機(以下、単に「圧縮機」と呼ぶ)で、この圧縮機1の上端部には冷媒管Pを介して順次、凝縮器2、膨張弁(膨張装置)3、蒸発器4、およびアキュームレータ5が接続されている。アキュームレータ5は冷媒管Pを介して圧縮機1の側部に接続され、冷凍サイクル装置Rの冷凍サイクルが構成されている。
上記した圧縮機1は密閉容器10を備え、この密閉容器10内の上部側には電動機部11、下部側には圧縮機構部12が収容されている。電動機部11と圧縮機構部12とは回転軸13を介して連結されている。
密閉容器10の上面部には密閉容器内の冷媒を吐出する吐出管1aが設けられ、この吐出管1aに凝縮器2に連通する冷媒管Pが接続されている。密閉容器10の下部周壁には孔部からなる吸込部1bが設けられ、この吸込部1bにアキュームレータ5に連通する冷媒管Pが接続されている。
電動機部11は、回転軸13に嵌着固定される回転子(ロータ)15と、この回転子15の外周面と狭小の間隙を存して内周面が対向され、密閉容器10の内周壁に嵌着固定される固定子(ステータ)16とから構成される。
図2は、上記した圧縮機構部12を拡大して示す縦断面図である。
圧縮機構部12は、密閉容器10の内周壁に嵌着固定され、軸芯に内径孔Sを備えたシリンダ20と、このシリンダ20の上面に取付けられる主軸受21と、シリンダ20下面に取付けられる副軸受22とを備えている。シリンダ20の内径孔Sは、主軸受21と副軸受22によって塞がれて空間部となっていて、この空間部は圧縮室(以下、「シリンダ室」と呼ぶ)Sとなる。
主軸受21及び副軸受22には軸受孔Nが設けられている。回転軸13は電動機部11とシリンダ20上面との間の部分(主軸)が主軸受21の軸受孔Nに貫通され、回転自在に軸支されている。また、回転軸13はシリンダ20下面から下端までの間の部分(副軸)が副軸受22の軸受孔Nに貫通され、回転自在に軸支されている。
主軸受21と副軸受22はともに、シリンダ内径孔Sを塞ぐフランジ部21a,22aと、このフランジ部21a,22aの軸芯部に沿って一体に突設され、回転軸13を軸支する軸受孔Nを備えた筒状枢支部(ボス部)21b,22bとからなる。
上記回転軸13には、中心軸が偏心量eだけ偏心する偏心部13aが一体に設けられている。この偏心部13aの周面には、ローリングピストン(以下、単に「ローラー」と呼ぶ)25が嵌め込まれている。
ローラー25および偏心部13aはシリンダ室Sに収容され、ローラー25の外周壁一部は、軸方向に沿ってシリンダ室Sの周壁に潤滑油の油膜を介して線状に接触するよう設計されている。したがって、回転軸13の回転によりローラー25の外周壁のシリンダ室S周壁に対する接触位置が、漸次、周方向に移動するようになっている。
また、シリンダ20には、図示しないブレード室が設けられている。このブレード室には、圧縮ばねが収容されるとともに、この圧縮ばねによって背圧を受けるブレードが移動自在に収容されている。ブレードの先端縁はローラー25の外周壁一部に軸方向に沿って接触しており、シリンダ室Sはブレードにより常に二分されている。
主軸受21には吐出孔26が設けられている。吐出孔26が設けられる位置は、ブレードの近傍で、その一側部になる。吐出孔26には吐出弁機構27が設けられ、主軸受21に取付けられるバルブカバー(吐出マフラ)28が吐出弁機構27を覆っている。バルブカバー28には密閉容器10内に開口する案内孔cが設けられている。
上記シリンダ20において、ブレードを挟んで吐出孔26とは反対側の部位に吸込み部1bを構成する孔部が設けられている。この吸込み部1bは、シリンダ20を径方向に貫通するとともに、密閉容器10にも連通して設けられ、上記アキュームレータ5に連通する冷媒管Pが接続されている。なお、図2では説明の便宜上、吸込み部1bと吐出孔26を同じ断面で示している。
ところで、上記した主軸受21には環状溝K1が設けられ、副軸受22には環状溝K2が設けられている。
環状溝K1は、主軸受21を構成するフランジ部21aと筒状枢支部21bとの交差部から筒状枢支部21bに亘って設けられている。この環状溝K1は、シリンダ室Sと対向する開口端d1を備え、この開口端d1から反シリンダ室S側である電動機部11側へ向かって形成されている。
環状溝K1の開口端d1は、主軸受21に設けられる軸受孔Nと同心で、所定幅の円環状をなしている。環状溝K1の内周面qは開口端d1から深さ方向に沿って、軸受孔N周面との間隔が漸次離間する方向に傾斜して形成され、外周面mは内周面qとの間隔が深さ方向に沿って狭まるように傾斜して形成されている。
換言すれば、環状溝K1の内周面qは軸方向に沿って漸次直径が拡大するテーパー状に形成されている。これにより、軸受孔N周面から環状溝K1の内周面qまでの肉厚が、環状溝Kの開口端d1において最も小さく(薄く)、開口端d1から深さ方向に亘って漸次厚くなる。
副軸受22の環状溝K2は、主軸受21の環状溝K1と略同様に形成されるが、その深さ寸法は異にされている。
即ち、主軸受21の環状溝K1の深さ寸法Gmは、副軸受22の環状溝K2の深さ寸法Gsよりも浅く形成されている。さらに、副軸受22の環状溝K2の深さ寸法Gsは、回転軸13の直径dの40%以上に設定されている。また、上記副軸受22のボス部の外径Dsは、1.2d≦Ds≦1.7dの関係を満たすよう設定されている。
一方、上記回転軸13の最小回転数が20rpsより大きい場合には、主軸受21の環状溝K1の深さ寸法Gmは、0.3×d<Gm<0.4×dで、かつ主軸受21の最大ボス径Dmは1.5×d<Dm<1.7×dの関係を満たすように設定される。
また、上記回転軸13の最小回転数が20rps以下の場合には、主軸受21の環状溝K1の深さ寸法Gmは、0.2×d<Gm<0.3×dで、かつ主軸受21の最大ボス径Dmは1.3×d<Dm<1.5dの関係を満たすように設定される。
つぎに、圧縮機1の作用および冷凍サイクル装置Rの冷凍作用について説明する。
圧縮機1を構成する電動機部11に通電することで固定子16の発生する回転磁界により回転子15が回転し、回転子15と一体の回転軸13が回転駆動される。電動機部11から回転軸13に駆動トルクが作用し、回転軸13に設けられる偏心部13aがローラー25と一体にシリンダ室Sにおいて偏心回転運動を行う。
これによりシリンダ室Sの一部が負圧化し、アキュームレータ5から冷媒管Pを介して冷媒が導かれる。冷媒は、ローラー25周面とシリンダ室S周面とブレードとで区画される空間部位に導かれ、ローラー25の偏心回転にともない上記空間部位の容量が低減することで圧縮される。
上記空間部位が所定の容積に小さくなったとき、冷媒は所定の高圧状態になるとともに高温化する。圧縮されたガス冷媒により吐出弁機構27が開放され、バルブカバー28を介して密閉容器10内部に導かれ充満する。密閉容器10内に充満する高温高圧のガス冷媒は、吐出管1aから冷媒管Pへ吐出される。
ガス冷媒は凝縮器2において外気もしくは水などと熱交換し、凝縮液化して液冷媒に変る。この液冷媒は、膨張弁3に導かれて断熱膨張し、さらに蒸発器4に導かれて、蒸発器4が配置される周辺部位の空気と熱交換し蒸発する。
冷媒の蒸発にともなって周辺部位から蒸発潜熱を奪って冷気に変える。すなわち、周辺部位に対する冷凍作用をなす。蒸発器4で蒸発した冷媒は、アキュームレータ5に導かれ気液分離される。そして、圧縮機1のシリンダ室Sに吸込まれ、再び圧縮されて高温高圧の冷媒ガスに変り、上述の冷凍サイクルを繰り返す。
このように圧縮機1の圧縮機構部12を構成するシリンダ室Sにおいて、アキュームレータ5から気液分離した冷媒を吸込む吸込み行程と、吸込んだ冷媒を圧縮する圧縮行程と、圧縮した冷媒を吐出する吐出行程とが、連続して行われる。
ところで、上記した圧縮行程では、圧縮された高圧ガス冷媒により回転軸13に圧縮荷重がかかり、ミクロ的に見ると回転軸13には撓み変形が生じる。具体的には、回転軸13は圧縮作用をなす時の圧縮荷重方向とは反対方向に撓み変形するが、上記したように主軸受21及び副軸受22を構成するため、回転軸13の撓み変形にかかわらず、主軸受21及び副軸受22と回転軸13との間に局所的な摩耗を生じることなく、円滑な回転が保証される。
即ち、この実施の形態では、主軸受21及び副軸受22に形成される環状溝K1,K2が、圧縮室側に向かって開口するとともに、その内周面が圧縮室側から反圧縮室側へ向って漸次直径が大きいテーパー状に形成されるため、シリンダ室S側から遠ざかるにしたがって主軸受21及び副軸受22内径の剛性が高くなり、主軸受21及び副軸受22全体で均一な油膜生成を行い、幅広い運転領域において流体潤滑状態を維持できる。
なお、従来の柔構造溝では、環状溝内面と軸受孔周面との間の肉厚が環状溝の深さ方向に沿って同一であるため、軸受孔周面の剛性も同一であり、環状溝が終った部分で急激に剛性が高くなって軸受が受ける負荷の変動が大きい。したがって、環状溝が終った部分で油膜破断が生じ易いという問題がある。
また、この実施の形態では、副軸受22の環状溝K2の深さGsを軸受孔Nの直径dの40%以上に設定するため、副軸受22の内面(軸受孔N)の変形が、より回転軸13の変形に近い状態で倣い、回転軸13と副軸受22との間の油膜の形成と、回転軸13の変形による接触に対して望ましい形となる。
図3は、横軸に環状溝K2の深さをとり、縦軸に回転軸13と副軸受22との間に形成される潤滑油の油膜の厚みと、回転軸13と副軸受22との接触力をとった、溝深さ効果を表す特性図である。
図中実線変化は接触力を示し、破線変化は油膜厚みを示している。ただし、環状溝K2の深さは回転軸13(軸受孔N)の軸径(直径)dとの比で示している。
内周面qがテーパー状に形成される環状溝K2の深さが0のとき、回転軸13と副軸受22との接触力が最大(100近く)であり、これに対して油膜はほとんど形成されない。ある程度接触力が弱まったところで、油膜は最も薄い状態で形成される。環状溝K2の深さが大きくなるにしたがって、接触力は急激に低減し、油膜の厚みはそれに反比例して厚くなる。特に、環状溝K2の深さが0.4(軸径比の40%)を越えると、接触力の低減度合いが急減状態から漸減状態に変るとともに、油膜厚みが、回転軸13の外周面と副軸受22の内面とを完全に分離し潤滑する流体潤滑状態となる理想値(1)を越え、これ以降は1以上を維持する。
即ち、回転軸13と副軸受22との間において、潤滑油の油膜厚みは、溝深さを深くすることで増大していくが、環状溝K2が回転軸13の軸径比で40%以上の深さになると回転軸13の傾きが大きくなり、油膜厚みは略一定となる。
また、この実施の形態では、主軸受21の環状溝K1の深さ寸法Gmを副軸受22の環状溝K2の深さ寸法Gsよりも小さく(浅く)するため、主軸受21及び副軸受22がそれぞれの軸の傾きに応じた変形性を持つことが可能となる。
即ち、回転軸13の主軸受21で支持される部分(主軸)及び副軸受22で支持される部分(副軸)は、それぞれ実質的に軸受面内の上下端部2カ所で支持されるが、主軸受21の筒状枢支部21bの長さよりも副軸受22の筒状枢支部22bの長さが短い。そのため、図1及び図8に示すように、回転軸13の副軸受22で支持される部分の点a〜cの傾きは、主軸受21で支持される部分の点d〜fに比べ約5%大きな値をとる。即ち、主軸の軸受内での軸傾きは、副軸より小さくなるが、主軸受21の環状溝K1の深さ寸法Gmを副軸受22の環状溝K2の深さ寸法Gsよりも小さく(浅く)することにより、主軸受21及び副軸受22がそれぞれの軸の傾きに応じた変形性を持つことになり、主軸受21及び副軸受22に対する回転軸13の平行性が高まり、安定した油膜形成能力を得て高い信頼性を得ることができる。
また、上記副軸受22のボス部の外径Dsを1.2d≦Ds≦1.7dの関係を満たすよう設定するため、副軸受22全体の剛性を低下させることができる。従って、副軸受22における回転軸13の傾きが大きくても、その傾きに倣って副軸受22を変形させることができる。よって、使用領域に合わせた軸受剛性を調整することが可能となり、安定した油膜形成性による高い信頼性を確保することができる。
図4は副軸受ボス部外径と油膜厚みとの関係を示すグラフ図である。
このグラフからも分かるように、副軸受22のボス部の外径Dsは、上限値1.7d、下限値1.2dにおいて、油膜厚みで流体潤滑状態が得られる、副軸受22の内面と回転軸13の副軸外周面の半径方向隙間の50%以上の油膜厚みを得ることができ、高い信頼性を確保することができる。
また、この実施の形態では、回転軸13の最小回転数が20rpsより大きい場合には、主軸受21の環状溝K1の深さ寸法Gmが、0.3×d<Gm<0.4×dで、主軸受21の最大ボス径Dmが1.5×d<Dm<1.7×dの関係を満たすように設定するため、環状溝K1の局所剛性を落として回転軸13の傾きを吸収し、主軸受21全体の剛性を高めて使用領域内での安定した油膜形成を行うことが可能になる。
即ち、コンプレッサの使用範囲の最小回転数が20rpsより大きい場合、後述する図7でも示すように油膜形成のクサビ効果による巻き込みでの油圧発生が十分なため、主軸受21全体の剛性を下げると油圧で主軸受21が過大な変形を起こす。この過大な変形は主軸受21に対する回転軸13の平行度が崩れ、油膜形成性が悪化する。
そこで、回転軸13の傾きは環状溝K1の局所剛性を落とすことで吸収し、主軸受21全体の剛性を高めることで、使用領域内での安定した油膜形成を行う。
図5は、主軸受外径、および環状溝深さと油膜厚みの関係を示すグラフ図である。このグラフからも分かるように、主軸受21の環状溝K1の深さ寸法Gmを、0.3×d<Gm<0.4×d、主軸受21の最大ボス径Dmを1.5×d<Dm<1.7×dとすることにより、油膜厚みで半径隙間50%以上の油膜厚みAを得ることができる。
また、この実施の形態では、回転軸13の最小回転数が20rps以下の場合には、主軸受21の環状溝K1の深さ寸法Gmを0.2×d<Gm<0.3×d、主軸受21の最大ボス径Dmを1.3×d<Dm<1.5dの関係を満たすように設定するため、環状溝K1の局所変形を減らすとともに、主軸受21全体の剛性を落とすことができる。
即ち、低回転を必要とする圧縮機では、後述する図7でも示すように回転による潤滑油巻き込みによる油圧発生能力が低下する。
そこで、主軸受21全体の剛性を下げて軸受全体を変形させ、油膜形成が可能な面積を確保することで負荷支持を行う。また、環状溝K1の局所変形を減らすとともに、主軸受21全体の剛性を落とすことで低回転側の使用領域内での安定した油膜形成を行う。
なお、回転数がさらに下がって油膜による潤滑である完全流体潤滑から、油膜による負荷支持に加え回転軸13と主軸受21の面粗さの固体接触が一定の負荷を支持する混合潤滑状態に遷移する条件下でも、主軸受21全体が変形することで局所的な強い接触を防ぎ焼き付き、異常摩耗等を防ぐことができる。
図6は、主軸受21の外径および環状溝の深さと接触負荷の関係を示すグラフである。
このグラフからも分かるように、主軸受21の環状溝K1の深さ寸法Gmを0.2×d<Gm<0.3×d、主軸受21の最大ボス径Dmを1.3×d<Dm<1.5dとすることにより、接触負荷(1)以下とすることができ、焼き付き、異常摩耗等を防ぐことができる。
図7は圧縮機の回転数と摩擦係数との関係を示すグラフ図である、
圧縮機の回転数が20rpsより大きくなると、回転軸13と主軸受21の2面間に、潤滑油が介在し、完全に両者を分離し、潤滑する流体潤滑領域になる。また、圧縮機の回転数が20rps以下では、潤滑油が薄くなり、回転軸13と主軸受21の2面間の一部に表面同士の接触が起こる混合潤滑領域となる。
なお、厳密には、潤滑油粘度、負荷が関係するが、圧縮機では、通常、負荷に応じて回転軸の径を変化させて、単位面積あたりの負荷が同等になるように設計するため、速度=軸回転数で単純化して考えることができる。
図9は、本発明の第2の実施の形態である密閉型圧縮機1Aを示す縦断面図である。
基本的に、密閉容器10内に、電動機部11と、この電動機部11に回転軸13を介して連結される圧縮機構部12Aとを収容する構成は上記した第1の実施の形態とは変りがない。
圧縮機構部12Aは、中間仕切り板30を介して上下に配置される2つのシリンダ20A,20Bを備えた2シリンダタイプの圧縮機1Aで、それぞれのシリンダ20A,20Bに内径孔Saを備えている。上部側のシリンダ20Aの内径孔Saは主軸受21と中間仕切り板30とで塞がれて、第1のシリンダ室Saが形成されている。
また、下部側のシリンダ20Bの内径孔Sbは、副軸受22と中間仕切り板30とで塞がれて、第2のシリンダ室Sbが形成されている。第1のシリンダ室Saと第2のシリンダ室Sbには、回転軸13と一体で互いに180°の位相差をもって設けられる偏心部13a,13bと、この偏心部13a,13bに嵌め込まれるローラー25が収容されている。
上記回転軸13の主軸受21で軸支される部分の直径と、副軸受22で軸支される部分の直径は、互いに同一である。換言すれば、主軸受21および副軸受22に設けられる軸受孔Nの直径は互いに同一である。
そして、上記主軸受21および上記副軸受22のいずれにも、上記シリンダ室Sa,Sbに対して開口する環状溝K1,K2が設けられる。この環状溝K1,K2の内周面は、シリンダ室Sa,Sb対向面から反シリンダ室側へ向って漸次直径が大きいテーパー状に形成されている。また、環状溝K2の深さは軸受孔の直径の40%以上に設定されている。
この第2の実施の形態においても、先に述べた設定条件の全てを備えているので、主軸受21および副軸受22ともに同様の作用効果を奏する。
なお、本発明は上述した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。そして、上述した実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組合せにより種々の発明を形成できる。
10…密閉容器、11…電動機部、13…回転軸、12…圧縮機構部、1…密閉型圧縮機、N…内径孔(シリンダ室:圧縮室)20…シリンダ、N…軸受孔、21…主軸受、22…副軸受、21a,22b…筒状枢支部(ボス部)、K1,K2…環状溝、2…凝縮器、3…膨張弁(膨張装置)、4…蒸発器。

Claims (5)

  1. 密閉容器内に電動機部と、この電動機部に回転軸を介して連結される圧縮機構部とを収容する密閉型圧縮機において、
    上記圧縮機構部は、内径孔を備えたシリンダと、上記回転軸を軸支する軸受孔を有するボス部と、上記シリンダの内径孔を塞いで内部に圧縮室を形成する主軸受および副軸受とを備え、
    上記主軸受および上記副軸受は、上記圧縮室側に向かって開口する環状溝を有し、
    上記環状溝は、その内周面が圧縮室側から反圧縮室側へ向って漸次直径が大きいテーパー状に形成され、
    上記副軸受の環状溝の深さGsは、上記軸受孔内の回転軸の直径dの40%以上に設定され、
    上記主軸受の環状溝の深さGmは、上記回転軸の最小回転数が20rpsより大きい場合には、0.3×d<Gm<0.4×dに形成され、上記回転軸の最小回転数が20rps以下の場合には、0.2×d<Gm<0.3×dに形成されることを特徴とする密閉型圧縮機。
  2. 上記副軸受のボス部の外径Dsは、1.2d≦Ds≦1.7dの関係を満たすよう設定されることを特徴とする請求項1記載の密閉型圧縮機。
  3. 主軸受の最大ボス径Dmは、上記回転軸の最小回転数が20rpsより大きい場合には、1.5×d<Dm<1.7×dとすることを特徴とする請求項1記載の密閉型圧縮機。
  4. 主軸受の最大ボス径Dmは、上記回転軸の最小回転数が20rps以下の場合には、1.3×d<Dm<1.5dとすることを特徴とする請求項1記載の密閉型圧縮機。
  5. 上記請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の密閉型圧縮機と、凝縮器と、膨張装置と、蒸発器とを備えたことを特徴とする冷凍サイクル装置。
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