JP2010222770A - 人工皮革およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基体層と該基体層の一方の面に形成されてなる表面層とを有し、前記基体層が極細長繊維を複数本含む繊維束と高分子弾性体とを含み、前記表面層が極細長繊維、又は、極細長繊維と高分子弾性体とからなり、X/Y≧1.5(上記式中、Xは該人工皮革の任意断面における表面から20μmの深さに存在する前記極細長繊維の切断端の数であり、Yは該断面と直交する断面における表面から20μmの深さに存在する前記極細長繊維の切断端の数であり、かつ、X>Yである。)を満たす人工皮革、及びその製造方法である。
【選択図】なし
Description
X/Y≧1.5
(上記式中、Xは該人工皮革の任意断面における表面から20μmの深さに存在する前記極細長繊維の切断端の数であり、Yは該断面と直交する断面における表面から20μmの深さに存在する前記極細長繊維の切断端の数であり、かつ、X>Yである。)
(下記工程(1)〜(5)を含む人工皮革の製造方法である。
(1)極細繊維束形成性長繊維からなる長繊維ウエブを製造する工程、
(2)前記長繊維ウエブに絡合処理を施し、絡合ウエブを製造する工程、
(3)前記絡合ウエブ中の極細繊維束形成性長繊維を極細繊維の繊維束に変換し、絡合不織布を製造する工程を順次含み、
(4)前記絡合不織布に高分子弾性体を付与する工程、および
(5)前記絡合不織布の表面に存在する繊維束から極細長繊維を起毛し、起毛した前記極細長繊維を整毛する処理、または、前記絡合不織布の表面に存在する繊維束を整毛し、整毛した繊維束から極細長繊維を起毛する処理を行い、前記極細長繊維、又は、前記極細長繊維及び前記高分子弾性体からなり、かつ、下記条件
X/Y≧1.5
(上記式中、Xは該人工皮革の任意断面における表面から20μmの深さに存在する前記極細長繊維の切断端の数であり、Yは該断面と直交する断面における表面から20μmの深さに存在する前記極細長繊維の切断端の数であり、かつ、X>Yである。)
を満たす表面層を形成する工程。
本発明の人工皮革は、基体層とこの基体層の一方の面に形成されてなる表面層とを有する。基体層は、極細長繊維の繊維束と高分子弾性体とを含み、表面層は、極細長繊維からなるか、又は、極細長繊維と高分子弾性体とからなる。
X/Y≧1.5
(上記式中、Xは該人工皮革の任意断面における表面から20μmの深さに存在する前記極細長繊維の切断端の数であり、Yは該断面と直交する断面における表面から20μmの深さに存在する前記極細長繊維の切断端の数であり、かつ、X>Yである。)
X/Yがこの範囲にあることで、表面層の極細長繊維の向きが部分的に、もしくは全体的に一定方向に揃う配向性が備わる。その結果、配向した箇所では外光が反射して良好な光沢感が得られる。
X/Yが1.5より小さいと、十分な金属光沢感が得られない。一方、理論的には、上記比が無限大に近づくほど金属光沢感は強くなると予想されるが、50を超えると金属光沢感にはほとんど変化が無く、また生産コストの観点からも処理回数が増加するだけでメリットが無い。実質的には20以下での使用が現実的である。従って、X/Yは、1.5〜50であることが好ましく、1.5〜20であることがより好ましい。
本発明の人工皮革は、下記の工程により製造することができる。すなわち、
(1)極細繊維束形成性長繊維からなる長繊維ウエブを製造する工程、
(2)前記長繊維ウエブに絡合処理を施し、絡合ウエブを製造する工程、
(3)前記絡合ウエブ中の極細繊維束形成性長繊維を極細繊維の繊維束に変換し、絡合不織布を製造する工程を順次経て、
(4)前記絡合不織布に高分子弾性体を付与する工程、および
(5)前記絡合不織布の表面に存在する繊維束から極細長繊維を起毛し、起毛した前記極細長繊維を整毛する処理、または、前記絡合不織布の表面に存在する繊維束を整毛し、整毛した繊維束から極細長繊維を起毛する処理を行い、前記極細長繊維、又は、前記極細長繊維及び前記高分子弾性体からなる表面層を形成する工程を経て製造される。
なお、上記(4)及び(5)の工程は(3)の工程の後にこの順に設けられてもよいし、(3)の工程の後に(5)の工程及び(4)の工程がこの順に設けられていてもよい。
以下、(1)〜(5)を順次経る例をもとに各工程について詳述する。
工程(1)では、極細繊維束形成性長繊維からなる長繊維ウエブを製造する。極細繊維束形成性長繊維は、例えば、海島型長繊維を用いて製造することができる。以下、海島型長繊維を用いた例を主として、本発明の製造方法を説明する。
海島型長繊維は少なくとも2種類のポリマーからなる多成分系複合繊維であって、海成分ポリマー中にこれとは異なる種類の島成分ポリマーが分散した断面を有する。海島型長繊維は、絡合不織布構造体に形成した後、高分子弾性体を含浸させる前に海成分ポリマーを抽出または分解して除去することで、残った島成分ポリマーからなる極細長繊維が複数本集まった繊維束に変換される。
P=([η]103/8.29)(1/0.62)
工程(2)では、長繊維ウエブに絡合処理を施して絡合ウエブを得る。長繊維ウエブを、必要に応じてクロスラッパー等を用いて複数層重ね合わせた後、両面から同時または交互に少なくとも1つ以上のバーブが貫通する条件でニードルパンチする。パンチング密度は、300〜5000パンチ/cm2の範囲が好ましく、より好ましくは500〜3500パンチ/cm2の範囲である。上記範囲内であると、充分な絡合が得られ、海島型長繊維のニードルによる損傷が少ない。該絡合処理により、海島型長繊維同士が三次元的に絡合し、厚さ方向に平行な断面において海島型長繊維が平均600〜4000個/mm2の密度で存在する、海島型長繊維が極めて緻密に集合した絡合ウエブが得られる。長繊維ウエブにはその製造から絡合処理までのいずれかの段階で油剤を付与してもよい。必要に応じて、70〜150℃の温水に浸漬するなどの収縮処理によって、長繊維ウエブの絡合状態をより緻密にしてもよい。また、熱プレス処理を行なうことで海島型長繊維同士をさらに緻密に集合させ、長繊維ウエブの形態を安定にしてもよい。絡合ウエブの目付は100〜2000g/m2あるのが好ましい。
工程(3)では、海成分ポリマーを除去することにより極細繊維束形成性長繊維(海島型長繊維)を極細化して極細長繊維の繊維束からなる絡合不織布を製造する。海成分ポリマーを除去する方法としては、島成分ポリマーの非溶剤または非分解剤であり、かつ、海成分ポリマーの溶剤または分解剤で絡合ウエブを処理する方法が本発明においては好ましく採用される。島成分ポリマーがポリアミド系樹脂やポリエステル系樹脂である場合、海成分ポリマーがポリエチレンであればトルエン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレンなどの有機溶剤が、海成分ポリマーが水溶性PVAであれば温水、また、海成分ポリマーが易アルカリ分解性の変性ポリエステルであれば水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリ性分解剤が使用される。海成分ポリマーの除去は人工皮革分野において従来採用されている方法により行えばよく、特に制限されない。本発明においては、環境負荷が少なく、また、労働衛生上好ましいので、海成分ポリマーとして水溶性PVAを使用し、これを、有機溶媒を使用することなく85〜100℃の熱水中で100〜600秒間処理し、除去率が95質量%以上(100%を含む)になるまで抽出除去し、極細繊維束形成性長繊維を島成分ポリマーからなる極細長繊維の繊維束に変換するのが好ましい。
[(収縮処理前の面積−収縮処理後の面積)/収縮処理前の面積]×100
で表される面積収縮率が好ましくは30%以上、より好ましくは30〜75%になるように収縮処理を行って高密度化してもよい。収縮処理により形態保持性がより良好になり、起毛時または整毛時の繊維の素抜けも防止される。
工程(4)では、工程(3)を経て製造された絡合不織布に高分子弾性体の水分散体または水溶液を付与し、熱を加えながら高分子弾性体を凝固させて人工皮革を製造する。高分子弾性体としては、人工皮革の製造に従来用いられているポリウレタンエラストマー、アクリロニトリルエラストマー、オレフィンエラストマー、ポリエステルエラストマー、アクリルエラストマーなどから選ばれる少なくとも1種の弾性体を用いることができるが、ポリウレタンエラストマー及び/又はアクリルエラストマーが特に好ましい。
高分子ポリオールの平均分子量は500〜3000であるのが好ましい。得られる人工皮革の耐光堅牢性、耐熱堅牢性、耐NOx黄変性、耐汗性、耐加水分解性などの耐久性をより良好にする場合には、2種以上の高分子ポリオールを使用することが好ましい。
また、鎖伸長反応時に、鎖伸長剤とともに、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミンなどのモノアミン類;4−アミノブタン酸、6−アミノヘキサン酸などのカルボキシル基含有モノアミン化合物;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのモノオール類を併用してもよい。
このような分布勾配を得るために、本発明では、高分子弾性体の水溶液または水分散体を含浸させた後、マイグレーション防止手段を講じることなく、絡合不織布の表面と裏面を好ましくは110〜150℃で、好ましくは0.5〜30分間加熱する。このような加熱により水分が表面と裏面から蒸散し、それに伴って高分子弾性体を含む水分が両表層部に移行し、高分子弾性体が表面と裏面近傍で凝固する。マイグレーションのための加熱は、乾燥装置中などにおいて熱風を表面および裏面に吹き付けることにより行うのが好ましい。
工程(5)では、絡合不織布の表面に存在する繊維束から極細長繊維を起毛した後、起毛した極細長繊維を一方向に配向するように整毛する、または、極細長繊維束を一方向に配向するように整毛した後、繊維束から極細長繊維を起毛する。この工程により、表面部の繊維束が一方向に配向された極細長繊維に変換され、繊維束を実質的に含まない(約200倍のSEM写真において繊維束が観測されない)表面層が形成される。極細長繊維に変換されない繊維束が表面層に残っていると光沢が不十分である。より具体的には、工程(5)により、下記条件:
X/Y≧1.5
(上記式中、Xは人工皮革の任意断面における表面から20μmの深さに存在する前記極細長繊維の切断端の数であり、Yは該断面と直交する断面における表面から20μmの深さに存在する前記極細長繊維の切断端の数であり、かつ、X>Yである。)
を満たす、極細長繊維からなる表面層、又は、極細長繊維及び高分子弾性体からなる表面層が形成される。表面層の高分子弾性体含有量は人工皮革中に存在する全極細長繊維に対して9質量%以下であるのが好ましい。
例えば、構成する繊維がポリエステル系の繊維の場合には、分散染料による染色は過酷な条件(高温、高圧)で行われるため、高分子弾性体を付与する前に染色(先染め)すると極細繊維の破断などが生じる。本発明では極細繊維が長繊維であるので先染めが可能となる。前記した収縮処理により極細長繊維は高収縮して分散染色条件に十分耐える強度を持つので、先染めする場合には予め収縮処理することが好ましい。通常、高分子弾性体を含む絡合不織布を染色した場合、高分子弾性体に付着した分散染料を除去して染色堅牢度を向上させるために強アルカリ条件下での還元洗浄工程と中和工程が必要であった。本発明では、工程(4)(高分子弾性体付与)の前に染色することも可能であるので、これらの工程が不要になる。また、染色中に高分子弾性体が脱落するなどの問題があったが、先染めによりこの問題が回避されると共に高分子弾性体の選択範囲が広がる。先染めした場合、余分な染料は湯や中性洗剤液等を使用した洗浄で除去できる。従って、極めてマイルドな条件で染色の摩擦堅牢度、特に、湿摩擦堅牢度を向上させることができる。また、高分子弾性体が染色されていないので、繊維と高分子弾性体との染料吸尽性の違いに起因する色斑を防止することもできる。
人工皮革を形成している極細長繊維(20個)の断面積を走査型電子顕微鏡(倍率:数百倍〜数千倍程度)により測定し平均断面積を求めた。この平均断面積と繊維を形成するポリマーの密度から平均繊度を計算した。
(2)繊維束の平均繊度
絡合不織布を形成している繊維束の中から選び出した平均的な繊維束(20個)を走査型電子顕微鏡(倍率:数百倍〜数千倍程度)で観察し、その外接円の半径を測定して平均断面積を求めた。この平均断面積が繊維を形成するポリマーで充填されているとし、該ポリマーの密度から繊維束の平均繊度を計算した。
示差走査熱量計(TA3000、メトラー社製)を用いて、窒素雰囲気下、昇温速度10℃/分で室温からポリマー種類に応じて300〜350℃まで昇温後、直ちに室温まで冷却し、再度直ちに昇温速度10℃/分で300〜350℃まで昇温したときに得られた吸熱ピークのピークトップ温度を求めた。
厚さ200μmの高分子弾性体フィルムを、130℃で30分間熱処理し、粘弾性測定装置(レオロジ社製FTレオスペクトラー「DVE−V4」)を用いて周波数11Hz、昇温速度3℃/分で測定を行い、損失弾性率のピーク温度を求めた。
厚さ200μmの高分子弾性体フィルムを加圧下130℃で60分間熱水処理し、50℃に冷却後、ピンセットで取り出した。過剰な水をろ紙でふき取り、重量を測定した。浸漬前の重量に対する増加した重量の割合を熱水膨潤率とした。
たて15cm、幅2.7cm、厚さ4mmのゴム板の表面を240番のサンドペーパーでバフ掛けし、表面を十分に粗くした。溶剤系の接着剤(US−44)と架橋剤(ディスモジュールRE)の100:5の混合液を該ゴム板の粗面とたて(シート長さ方向)25cm、幅2.5cmの試験片の片面に12cmの長さにガラス棒で塗布し、100℃の乾燥機中で4分間乾燥した。その後、ゴム板と試験片の接着剤塗布部分同士を貼り合わせ、プレスローラーで圧着し、20℃で24時間キュアリングした。蒸留水に10分浸漬した後に、ゴム板と試験片の端をそれぞれチャックで挟み、引張試験機で引張速度50mm/分で剥離した。得られた応力−ひずみ曲線(SS曲線)の平坦部分から湿潤時の平均剥離強力を求めた。結果は、試験片3個の平均値で表した。
攪拌機、窒素導入口、エチレン導入口および開始剤添加口を備えた100L加圧反応槽に、酢酸ビニル29.0kgおよびメタノール31.0kgを仕込み、60℃に昇温した後30分間窒素バブリングにより系中を窒素置換した。次いで反応槽圧力が5.9kgf/cm2となるようにエチレンを導入した。2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(開始剤)をメタノールに溶解して濃度2.8g/Lの開始剤溶液を調製し、窒素ガスによるバブリングを行って窒素置換した。上記の重合槽内温を60℃に調整した後、上記の開始剤溶液170mLを注入し重合を開始した。重合中、エチレンを導入して反応槽圧力を5.9kgf/cm2に、重合温度を60℃に維持し、上記の開始剤溶液を610mL/hrで連続添加した。10時間後に重合率が70%となったところで冷却して重合を停止した。反応槽を開放して脱エチレンした後、窒素ガスをバブリングして脱エチレンを完全に行った。
上記変性PVA(水溶性熱可塑性ポリビニルアルコール:海成分)と、変性度6モル%のイソフタル酸変性ポリエチレンテレフタレ−ト(島成分)を、海成分/島成分が25/75(質量比)となるように260℃で溶融複合紡糸用口金(島数:25島/繊維)より吐出した。紡糸速度が3700m/minとなるようにエジェクター圧力を調整し、繊維束の平均繊度が2.1デシテックスの海島型長繊維をネット上に捕集した。ついで、表面温度42℃の金属ロールでネット上の海島型長繊維シートを軽く押さえ、表面の毛羽立ちを抑えてネットから剥離し、表面温度55℃の金属ロール(格子柄)とバックロール間で200N/mmの線圧で熱プレスして表面繊維が格子状に仮融着した目付31g/m2の長繊維ウエブを得た(工程(1))。
得られた人工皮革の縦方向断面と横方向断面の電子顕微鏡写真(300倍)を図1と2に示す。
粒度400メッシュのサンドペーパーに変えて600メッシュのサンドペーパーにより回転数600rpmで処理した以外は、実施例1と同様にして、スェード調の人工皮革を得た。当該人工皮革も、実質的に最表面には繊維束が存在せず、極細繊維が束状に存在しない状態で配向しており、表面に金属光沢を有していた。
実施例1と同様にしてX/Yを求めたところ、1.5であった。
染色された極細長繊維からなる絡合不織布を、さらに表面処理剤としてフッ素系撥水剤(アクリル樹脂とC8F15単位のランダム共重合体)の2%水分散液に含浸、ピックアップ率64%で絞液し、120℃で2分乾燥させて表面に存在させた絡合不織布を使用した以外は、実施例1と同様にして、スェード調の人工皮革を得た。当該人工皮革も、実質的に最表面には繊維束が存在せず、極細繊維が束状に存在しない状態で配向しており、表面に金属光沢を有していた。
実施例1と同様にしてX/Yを求めたところ、20であった。
工程(3)、(4)の順序を入れ替え、かつ付与するエマルジョンの濃度を50%にして付着量を35%にした以外は、実施例1と同様にして、スェード調の人工皮革を得た。当該人工皮革の表面層の厚みは50μm、基体層の厚みは800μmであったが、極細繊維束の周りが高分子弾性体で囲まれている為、整毛工程では高分子弾性体を傷つけるのみで繊維束を極細長繊維に分繊することが出来ず、また、一方向に配向させることも出来なかった。実施例1と同様にしてX/Yを求めたところ、1.2であった。得られた人工皮革の縦方向断面と横方向断面の電子顕微鏡写真を図3と4に示す。
比較例1の人工皮革は短毛のスェード調の外観は有しているものの、金属光沢は全く見られなかった。
実施例1の海島型長繊維を25〜51mmに切断してステープルを得た。このステープルを用いる以外は実施例1と同様にして絡合不織布を得、この絡合不織布にポリウレタンを付与し、染色した。得られた染色絡合不織布を実施例1と同様に整毛、起毛しようとしたが表面部分のポリウレタン量が少ないためステープルのす抜けが激しく、整毛、起毛処理を十分に行うことができなかった。
す抜けを防止するために、ポルウレタン付与量を極細長繊維に対して32質量%(固形分基準)に増やして実施例1と同様に整毛、起毛した。しかし、表面部分のポリウレタン量が多過ぎて、極細繊維が十分に配向せず、X/Yは1.15であった。
Claims (5)
- 基体層と該基体層の一方の面に形成されてなる表面層とを有し、
前記基体層が極細長繊維の繊維束と高分子弾性体とを含み、
前記表面層が極細長繊維、又は、極細長繊維と高分子弾性体とからなり、
下記条件を満たす人工皮革。
X/Y≧1.5
(上記式中、Xは該人工皮革の任意断面における表面から20μmの深さに存在する前記極細長繊維の切断端の数であり、Yは該断面と直交する断面における表面から20μmの深さに存在する前記極細長繊維の切断端の数であり、かつ、X>Yである。) - 前記表面層が極細長繊維の繊維束を実質的に含まない請求項1に記載の人工皮革。
- 前記表面層の高分子弾性体含有量が、人工皮革中の全極細長繊維に対して9質量%以下である請求項1または2に記載の人工皮革。
- 下記工程(1)〜(5)を含む人工皮革の製造方法。
(1)極細繊維束形成性長繊維からなる長繊維ウエブを製造する工程、
(2)前記長繊維ウエブに絡合処理を施し、絡合ウエブを製造する工程、
(3)前記絡合ウエブ中の極細繊維束形成性長繊維を極細繊維の繊維束に変換し、絡合不織布を製造する工程を順次含み、
(4)前記絡合不織布に高分子弾性体を付与する工程、および
(5)前記絡合不織布の表面に存在する繊維束から極細長繊維を起毛し、起毛した前記極細長繊維を整毛する処理、または、前記絡合不織布の表面に存在する繊維束を整毛し、整毛した繊維束から極細長繊維を起毛する処理を行い、前記極細長繊維、又は、前記極細長繊維及び前記高分子弾性体からなり、かつ、下記条件
X/Y≧1.5
(上記式中、Xは該人工皮革の任意断面における表面から20μmの深さに存在する前記極細長繊維の切断端の数であり、Yは該断面と直交する断面における表面から20μmの深さに存在する前記極細長繊維の切断端の数であり、かつ、X>Yである。)
を満たす表面層を形成する工程。 - 前記工程(4)と(5)との間に、表面処理剤による表面処理を前記絡合不織布に施す工程を含む請求項4に記載の人工皮革の製造方法。
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