JP2005171426A - 人工皮革用基材、これをベースとする各種人工皮革、および人工皮革用基材の製造方法 - Google Patents

人工皮革用基材、これをベースとする各種人工皮革、および人工皮革用基材の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】特にスポーツ靴等の用途で求められている機械的物性、風合いと軽量性が、従来は得られなかった高レベルでバランスされた人工皮革用基材、およびこれをベースにして得られる各種人工皮革を提供する。
【解決手段】平均繊度が0.2dtex以下のポリアミド系極細繊維からなり、強度が4cN/dtex以上かつ伸度が60%以下の繊維束を主体とする絡合不織布と、その絡合空間に含有された高分子弾性体からなり、見掛比重が0.30以下および引裂強さが45N/mm以上の人工皮革用基材、およびこれをベースにして得られる銀付き調人工皮革、立毛調人工皮革。
【選択図】なし

Description

本発明は、機械的物性に優れ、柔軟性と充実感を有し、かつ従来の同種素材に比べて軽量である人工皮革及びそのベースとなる人工皮革用基材に関する。本発明の人工皮革は、紳士・婦人靴、子供靴、スポーツ靴、アウトドア靴、ウォーキング靴などの靴資材用途、ビジネスバッグ、ハンドバッグ、学童用鞄などの鞄用途、ベルトや衣料などの服飾品用途、椅子、机、クローゼット等の家具外装材用途、壁紙、ショーケース等の建物内装材用途、自動車、列車、飛行機、船舶等の乗物の内装材用途などの人工皮革の用途全般はもちろんのこと、研磨材、吸水材、吸油材、クッション材などの工業用資材や副資材にも用いることができる。特に、基体部分の機械的物性が重要なスポーツシューズのアッパー素材などに好適に用いることができる。
柔軟な風合いや充実感のある風合いを有すると共に高級感を有する種々の外観をも付与できることから各種皮革様シートが前記の各用途において好適に使用されている。前記の各用途の中でも、特にスポーツ靴やアウトドア靴などの素材に対しては、最近のトレンドとして柔軟な風合いを維持しながらも、最低限の機械的物性ではなくより優れた機械的物性を備えていることが消費者の最低限の要求である。それ以外にも消費者の購買意欲に訴え得る機能性、例えば最近のトレンドとしては軽さなどをも備えていることが要求されている。
皮革様シートは銀付き調および立毛調に大別できるが、そのベースとなるのは何れも種々の繊維構造を骨格とする繊維質シート基材である。この繊維質シート基材にバインダーを含有させることでそれ自体が皮革様の風合いを有する人工皮革用基材となる。通常、繊維質シート基材を構成する繊維の単繊度がより細いほど人工皮革用基材、ひいてはこれをベースとする各種皮革様シートの風合いがより柔軟になる。また人工皮革用基材を構成する繊維を起毛させることにより立毛調の外観とすると、風合いのみならず立毛調の外観やタッチの優美さが顕著に向上するため、単繊度が細い方がより高級な素材が得られる。
従来一般的に得ることのできる皮革様シートの中でも、特に不織布構造を有する繊維質シート基材から得られた人工皮革は、天然皮革に比べて機械的物性に優れ、かつ軽量である点が最大の特徴である。従来からより軽量な人工皮革用基材に関する提案が種々なされてきたが、機械的物性はもちろんのこと、柔軟性と充実感のある風合いを有しながら、より軽量にすることは非常に困難なことであった。例えば、海島繊維の絡合不織布にバインダー樹脂を含浸させる前、または、バインダー樹脂を含浸させ、多孔質状態にした後、海島繊維の海成分を抽出除去することにより極細繊維化して得られる人工皮革用基材の場合、厚さを維持したまま軽量にすることは即ち見掛比重を下げることである。その簡便な手段としては、人工皮革用基材単位面積あたりの、繊維もしくは樹脂の重量を単に減らす方法が考えられる。この方法は、例えば、海島繊維や樹脂の重量を減らしたり、海島繊維の重量はそのままで島成分の比率を下げたりすることにより、極めて容易に達成される。しかしながら、そのような方法では、減らした重量分だけ人工皮革用基材の構造をなす骨格を減らすことに他ならず、各種の長尺処理を経て製造された人工皮革用基材では骨格が減った分だけ形態変化がより大きくなり、特に厚さ方向への潰れが顕著になり、結局は従来と同等の見掛比重で単に薄いだけの人工皮革になってしまう。
このような問題点を解消するために、従来、絡合不織布を構成する主繊維として中空繊維が極めて一般的に用いられている(例えば、特許文献1、2および3を参照。)。中空繊維は、海島繊維などから得られる極細繊維よりも、同じ繊維重量であれば単繊度がより大きいので、人工皮革用基材を厚さ方向へ潰れにくくすることができる。さらに、繊維断面が中空構造であるので、同じ繊維重量の非中空繊維と比べてより大きな見掛嵩高さを有する不織布構造を得ることができる。一般的に知られている中空繊維には、製造方法の観点からは、中空繊維専用口金を使用して直接得られる中空繊維、芯鞘複合繊維の芯成分を抽出除去して得られる中空繊維があり、また、繊維断面構造の観点からは、一本の繊維の断面に一個の孔が空いている単孔中空繊維、一本の繊維の断面に複数個の孔が空いている多孔中空繊維がある。また、繊維の断面形状、孔の断面形状などにも多様な種類が知られている。また、中空繊維は、単独使用、あるいは非中空繊維との混合使用など、様々な態様で使用される。
何れの中空繊維を使用するにしても、不織布構造、ひいては人工皮革用基材の軽量化に実質的に寄与するためには、繊維断面における中空率(繊維断面外周がなす面積に対する中空部分の面積の比率)を極力高くする必要がある。高い中空率を実現する方法についての提案が種々なされており、40%を越える高い中空率を有するポリエステル系中空繊維を用いた人工皮革用基材などが提案されている(例えば、特許文献4参照。)。しかしながら、中空率が40%を越える中空繊維は、製糸工程で潰れるだけでなく、人工皮革用基材の製造工程においても、種々の外力により潰れてしまう。結局は不織布構造中の多くの中空繊維は中空部が潰れて扁平化してしまうか、さらには中空繊維自体が裂けてしまい、理想的な中空状態が維持できないという欠点がある。中空状態を維持するためには、中空繊維が外力でも潰れないよう硬くするか、あるいは潰れても弾性回復出来るようにすることの何れかが考えられる。しかし、不織布構造を構成する繊維としては、ある程度の硬さがないと嵩高さが得られないので、十分な弾性回復性は望めないばかりか、繊維が屈曲する部分での潰れは避けられない。また、硬さのある中空繊維は、ストローのように一旦潰れたら弾性回復不能となる。中空繊維が潰れると、不織布構造は高い嵩高性を維持できず、特に厚さ方向に潰れ、不織布構造の見掛比重は、設計上の見掛比重よりも大幅に高くなり、結局は従来の人工皮革と全く変わらないか、若干軽量化された人工皮革しか得られていない。さらには、高中空率を保つにはノズル構造を複雑にする必要があり、中空繊維の見掛上の繊度がかなり大きくなるため、非常に風合いが硬い上に充実感のない人工皮革用基材しか得られず、また、その風合いは極細繊維を使用した人工皮革用基材とは比べるべくもないものであった。
このように、従来の技術では、極細繊維を使用した場合、人工皮革用基材に必要な機械的物性をもたせることはできても、柔軟な風合いは得られるが軽量化が極めて困難であった。また、中空繊維を使用すると、極細繊維を使用した場合に比べて少しは軽量化出来るが、かなり硬い風合いの人工皮革用基材しか得られず、しかも、製造直後は低見掛比重であっても使用中に嵩高さが失われて高見掛比重になってしまう。このように、従来技術では、機械的物性、柔軟で充実感のある風合い、軽量性のすべてを併せ持つ人工皮革用基材は得られていなかった。
特開平11―081153号公報(第1〜2頁) 特開2000―239972号公報(第1〜2頁) 国際公開WO00/022217号公報(第2〜5頁) 特開平11―100780号公報(第1〜2頁)
人工皮革素材が用いられている分野では、軽量性が商品価値に結びつくケースが種々有る。例えば靴用途、鞄用途、服飾品用途であれば、人工皮革素材の軽量性はこれを使用した二次製品の使用者の負担軽減に直結しており、また、家具外装材用途、建物内装材用途、乗物の内装材用途なども含めた人工皮革用途全般のみならず、工業用資材や副資材などの用途であっても、二次製品の軽量化は種々の副次的な効果を有している。特に、スポーツ靴、ウォーキング靴、アウトドア靴等では、靴自体の保形性(型崩れし難さ)、保護性(運動時の衝撃に対する足の保護)と柔軟性の良好なバランスなどが求められるため、アッパー素材の厚さは一般的に0.8〜1.5mm程度であることが必須でる。アッパー素材としては、前記範囲に制限された厚さでありながら、各用途に必要な剥離強力や引裂強力などの機械的物性を有することはもちろんのこと、良好な着用感を得るための柔軟かつ充実感のある風合いを有し、かつより軽い素材が求められている。しかし、柔軟でありながら充実感のある風合い、機械的物性に優れていること、軽量であることは、それぞれが相反する関係にあり、これらすべてを満足する人工皮革用基材は未だ得られていない。スポーツ靴等では、ゴム製の靴底とアッパー素材とは接着剤により一体化されており、また、着用者の種々の激しい動きによる構造破壊ができるだけ生じないようにする必要がある。そのため、剥離強力、引裂強力がスポーツ靴等のアッパー用素材が有するべき機械的物性として最も重視される。
本発明の目的は、特にスポーツ靴等の用途で求められている機械的物性、風合い、軽量性が、従来は得られなかったような高レベルでバランスした人工皮革用基材、およびこれから得られる人工皮革を提供することにある。
前述の目的を達成するために本発明者らが鋭意検討した結果、従来技術では全てを兼ね備えることができなかった、優れた機械的物性、柔軟かつ充実感のある風合い、低比重の各特性を同時に有する、極細繊維からなる絡合不織布とこれに含有された高分子弾性体からなる人工皮革用基材を得るためには、ポリアミド系樹脂からなる極細繊維束自体を高強力として絡合不織布の形態変化を極力小さくすることが最も重要な要因であること、および、これを達成した人工皮革用基材は、スポーツ靴等に適用しても十分な機械的物性、柔軟性および軽量化の全てを同時、かつ十分に満足することを見い出した。
すなわち本発明は、平均繊度が0.2dtex以下のポリアミド系極細繊維からなり、平均強度が3.5cN/dtex以上、かつ平均伸度が60%以下の繊維束を主体とする絡合不織布と、その絡合空間に含有された高分子弾性体からなり、見掛比重が0.30以下、引裂強さが50N/mm以上の人工皮革用基材を提供する。高分子弾性体の熱トルエン重量増加率(熱トルエンにより膨潤したときの見掛上の重量増加の程度)は、40%以下であるのが好ましく、熱トルエン湿潤伸度は200%以下であるのが好ましい。
さらに、本発明は、上記人工皮革用基材の少なくとも片面に高分子弾性体からなる被覆層が積層されてなる、湿潤時接着剥離強力が30N/cm以上の銀付き調人工皮革を提供する。
さらに、本発明は、上記人工皮革用基材の少なくとも片面にポリアミド系極細繊維を主体とする立毛が形成された立毛調人工皮革を提供する。
また、本発明は次の(a)から(e)の逐次工程を含むことを特徴とする人工皮革用基材の製造方法を提供する。
(a)数平均分子量15000以上のポリアミド系樹脂とそれとは非相溶性の繊維形成性樹脂からなり、ポリアミド系樹脂からなる極細繊維を形成し得る複合繊維を溶融紡糸する工程、
(b)前記複合繊維を、延伸倍率3.0倍以上の条件で、延伸後の破断伸度60%以下になるよう延伸した後、カットファイバーとする工程、
(c)前記カットファイバーを、カーディングしてウェブとし、必要に応じて複数枚のウェブを積層した後、ニードルパンチにより絡合させ、必要に応じてプレスすることにより、見掛比重が0.22以下の絡合不織布を得る工程、
(d)前記絡合不織布に、高分子弾性体を含有する溶液または分散液を含浸させた後、高分子弾性体を凝固させる工程、および
(e)前記絡合不織布を構成する複合繊維を0.2dtex以下のポリアミド系極細繊維に極細繊維化する工程。
本発明の人工皮革用基材は、平均繊度が0.2dtex以下のポリアミド系極細繊維からなる繊維束を主体とする絡合不織布とその絡合空間に含有された高分子弾性体からなり、柔軟、しなやかで、かつ充実感のある風合いを有する。この人工皮革用基材表面を起毛して、例えば面全体に均一だがラフで長めの立毛状態、即ちスエード調の外観とすることで、優美なライティングとザクッとしたタッチの比較的カジュアルな立毛調人工皮革が得られる。また例えば面全体に前記スエード調よりさらに均一で短めの立毛状態、即ちヌバック調の外観とすることで、シャープなライティングと滑らかなタッチの高級感のある立毛調人工皮革が得られる。このように、本発明の人工皮革用基材では、従来の同様の構成の人工皮革用基材と何ら遜色のない外観が得られる。
さらに、本発明の人工皮革用基材の絡合不織布構造を形成する、ポリアミド系極細繊維からなる繊維束は、3.5cN/dtex以上の平均強度および60%以下の平均伸度を有する。即ち、繊維束が十分な柔軟性に加えて、曲げ、伸びなどの繊維束自体の形態変化に対して従来にない強靭さをもっているので、極細繊維化後の絡合不織布構造およびその絡合空間に含有された高分子弾性体が形成する立体構造の嵩高さが、極細繊維化前と同程度に維持され、従来にない非常に低見掛比重(0.30以下)でありながら、非常に高強力(50N/mm以上の引裂強さ)な人工皮革用基材が得られる。
本発明の人工皮革用基材の少なくとも片面に高分子弾性体からなる被覆層を積層することにより得られる銀付き調人工皮革では、従来にない低比重、かつ従来に遜色ない柔軟かつ充実感のある風合いでありながら、湿潤時接着剥離強力が30N/cm以上の高接着剥離強力が達成される。
本発明の人工皮革用基材は、平均繊度が0.2dtex以下のポリアミド系極細繊維からなる繊維束(ポリアミド系極細繊維束)を主体とする絡合不織布と、その絡合空間に含有された高分子弾性体からなる。ポリアミド系極細繊維束は、3.5cN/dtex以上、好ましくは4〜7cN/dtexの平均強度、および、60%以下、好ましくは25〜50%の平均伸度を同時に満足している必要がある。上記要件は、(1)従来の人工皮革に全く見劣りしない柔軟で腰のある風合いを有しながら、従来にない、0.30以下、好ましくは0.10〜0.30の低見掛比重を達成するため、(2)見掛比重が0.35以上の従来の人工皮革用基材と同等レベル以上の引裂強さ、具体的には、50N/mm以上、好ましくは55N/mm以上、より好ましくは60〜150N/mmの引裂強さを達成するため、及び、(3)従来に遜色ない柔軟かつ充実感のある風合いを有する銀付き調人工皮革あるいは立毛調人工皮革を提供し得る、特に、湿潤時接着剥離強力が30N/cm以上の高接着剥離強力を有する銀付き調人工皮革を提供し得る人工皮革用基材を得るために必須の極細繊維束物性である。ポリアミド系極細繊維束の平均強度が3.5cN/dtex未満、あるいは平均伸度が60%を超える場合には、前記(1)〜(3)の全てを満足する人工皮革用基材は得られない。特に、ポリアミド系極細繊維を繊維成分とする人工皮革用基材において、0.30以下の低見掛比重を実現するためには、人工皮革用基材を構成する絡合不織布自体が、外力による変形のしにくさや変形後の優れた回復性などの形態維持性を発揮する必要がある。また、人工皮革用基材は、機械的物性とバランスした良好な風合いを有することも重要である。これらを満足するためにも、上記物性が必須である。ポリアミド系極細繊維束に含まれれる単繊維の本数は、通常、10〜1000本であるが、上記要件を満足する限り短繊維の本数は特に限定されない。
上記要件を満たすポリアミド系極細繊維束を得るためには、繊維成分であるポリアミド系樹脂自体の高強度が必要であると共に、樹脂自体の高強度が極細繊維束に形成した後にも十分に発揮されるような紡糸方法を採用する必要がある。高強度を得るためには、ポリアミド系樹脂の数平均分子量が15000以上、好ましくは17000〜22000である必要がある。数平均分子量が15000未満であると、仮に、下記の紡糸方法を採用したとしても、本発明で必要とする高強力な極細繊維束は得られない。また、数平均分子量が22000を超える場合は、溶融紡糸に適した290℃以下程度の温度領域では、ポリアミド系樹脂を含む紡糸液の溶融粘度が高すぎるために、本発明で用いる繊度の複合繊維を得ることが出来ず、エアバッグやテントなどの産業資材用途にしか使用できないような、繊度が太く、硬くてしなやかさのない、人工皮革用基材には不向きの複合繊維しか得ることができない。紡糸温度を高くして紡糸液の溶融粘度を下げれば、本発明で採用するような繊度の複合繊維を得ることも可能ではある。しかし、ポリアミド系樹脂自体が熱分解してしまうので実用に耐える複合繊維は得られず、数平均分子量が22000を超えるポリアミド系樹脂は好ましくない。
次に、ポリアミド系樹脂極細繊維束を形成し得る複合繊維の紡糸方法を説明する。本発明では極細繊維成分であるポリアミド系樹脂と、このポリアミド系樹脂とは相分離した状態で繊維断面を形成し得る1種あるいは複数種の非相溶性樹脂とからなる複合繊維を溶融紡糸し、これを下記条件にて延伸処理する。本発明で用いられる非相溶性樹脂としては、80〜85℃、あるいはそれ以上の温度に加熱されたトルエン、即ち熱トルエンに溶解しうる樹脂が好ましく、具体例としてはポリエチレン、ポリスチレンなどが挙げられる。
溶融紡糸された複合繊維は、3.0倍以上、好ましくは3.5〜5.0倍の延伸倍率で、かつ延伸後の複合繊維の破断伸度が60%以下、好ましくは25〜50%になるように乾熱法あるいは湿熱法により加熱延伸される。延伸温度は、紡糸で組み合わせる樹脂種類、個々の樹脂のグレード、混合紡糸、複合紡糸等の紡糸方法、海島型、分割型等の複合繊維の構造、紡糸速度や紡糸後の繊度等の紡糸条件、乾熱、湿熱等の延伸方法、など種々の要因により大いに変化するので、一概に決めることはできない。通常、これらの要因を考慮に入れて、延伸後の破断伸度が上記範囲になるように、約25℃(室温)〜約200℃(ポリアミドの融点に近い温度)から選ばれる。このような延伸処理を施すことにより、平均繊度が0.2dtex以下という極めて細い繊維の集合体でありながら、平均強度が3.5cN/dtex以上という非常に高強力な極細繊維束を得ることができる。
従来にない非常に高強力な極細繊維束を得ることができるのは、溶融紡糸された複合繊維中のポリアミド系樹脂からなる極細繊維成分が、3.0倍以上の延伸倍率で、かつ海成分を含めた複合繊維の延伸後の破断伸度が60%以下になるように延伸されるため、極細繊維として理想に近い、非常に高い結晶状態となり、平均繊度が0.2dtex以下の極細繊維でありながら従来にない高強力を実現しているためと考えられる。
複合繊維の延伸倍率が3.0倍未満の場合には、仮に延伸複合繊維の破断伸度が60%以下であっても、ポリアミド系樹脂からなる極細繊維成分自体の結晶状態が理想には程遠いため、本発明のような高強力ポリアミド極細繊維束は得られない。また、5.0倍を超える延伸倍率も可能だが、断糸その他により製造安定性が悪く、好ましくない。得られた延伸複合繊維の破断伸度が60%を超えると、前記したように結晶状態が理想に程遠いため、本発明のような高強力ポリアミド極細繊維束は得られない。また、延伸複合繊維の破断伸度が25%未満の場合、本発明の好適な範囲を大きく上回る高強力ポリアミド極細繊維束を得ることができる。しかし、“延伸複合繊維の破断伸度25%未満”とは複合繊維をその破断伸度に極めて近い条件で延伸処理することを意味し、数百本、数千本、あるいは数万本といった極めて多数の複合繊維を束ねて一度に延伸する一般的な延伸処理では、束ねた複合繊維同士の破断伸度のバラツキによる断糸が多発し、好ましくない。
延伸倍率3.0倍未満の条件で延伸した後の複合繊維の破断伸度が25%に近くなる場合、延伸倍率3.0倍以上で延伸すると断糸が多発する。このような場合、断糸を多発させることなく、即ち延伸後の破断伸度が25%未満にならないようにしつつ、延伸倍率3.0倍以上の延伸を可能にするには、紡糸後の複合繊維の繊度をより大きくするのが効果的である。例えば、紡糸後の繊度8dtexの複合繊維を3.0倍未満、例えば、2.8倍に延伸すると破断伸度が約25%になってしまう場合であっても、紡糸速度一定で口金からの吐出量を増加させるか、あるいは口金からの吐出量一定で紡糸速度を減少させるなどして紡糸後の繊度を、例えば8.5dtexあるいは9dtex程度に大きくすると、3.4倍以上のより高倍率で延伸しても、延伸後の複合繊維の破断伸度が25%以上になり、断糸が多発することなく延伸することができる。
本発明で用いる複合繊維の形態は特に限定されない。ポリアミド系樹脂とは溶解性、分解性の異なる除去成分(非相溶性樹脂)を抽出除去して、残存するポリアミド系樹脂からなる極細繊維束を形成し得る海島型もしくは分割型多成分繊維、あるいはポリアミド系樹脂とポリアミド系樹脂に対する接着性、相溶性が適度に低い他の樹脂(非相溶性樹脂)を、力学的作用、熱膨張あるいは溶剤膨潤による体積変化などによってその接合界面で剥離分割することによって極細繊維化される分割型多成分繊維などの極細繊維形成型複合繊維を用いることが出来る。このような複合繊維から得られる極細繊維束は、平均単繊度が0.2dtex以下、好ましくは0.1dtex以下、より好ましくは0.0001〜0.08dtexである極細繊維が数本〜数千本の束になったものであって、柔軟性の高い人工皮革用基材を得る上で好ましい。また、染色性や、力学物性、その他の特性を適宜調整する目的で、各繊維束あるいは絡合不織布を構成する繊維を、異なる単繊度を有する複数種の極細繊維の組合せにすることも本発明の好ましい形態の一つである。平均単繊度が0.2dtexを超える場合には、人工皮革用基材の柔軟性が悪化する傾向があり、また、絡合不織布構造から極細繊維が抜けやすくなる傾向があるので、得られる人工皮革用基材の接着剥離強力や引裂強力が低くなってしまう。これは、繊維重量が同じ絡合不織布同士で比較した場合、単繊度がより大きな繊維を使用すると繊維表面積が相対的に小さくなり、繊維間の摩擦抵抗が小さくなってしまうことに主に起因する現象である。
本発明の極細繊維を構成するポリアミド系樹脂としては、従来公知のポリアミド系樹脂であれば何れも使用可能であり、ナイロン4、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン7、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン610などの各種ナイロン、これらのナイロンを共重合した共重合ナイロン、他の変性成分を共重合した共重合ナイロン、あるいは前記ナイロンのブレンドなどが挙げられ、特に繊維の機械物性、染色性などのバランスからナイロン6が最も好適である。
また、本発明の極細繊維は、その製造段階で必要に応じて着色することも好ましい。例えば、極細繊維形成型複合繊維を紡糸する際、ポリアミド系樹脂に予めカーボン微粒子、酸化チタン微粒子、その他の顔料微粒子などを混合しておく方法や、極細繊維とした後で染料により着色する方法が挙げられるが、堅牢度の面からは前者が好ましい。また、ポリアミド系樹脂を含有する紡糸原料に着色剤微粒子を予め混合する方法としては、所定量の着色剤微粒子を含有する紡糸原料を調製してこれを直接紡糸する方法や、所定量より多い着色剤微粒子を含有させた高濃度の着色紡糸原料を調製し、紡糸する際に所定の着色剤量になるよう非着色紡糸原料と着色紡糸原料とを混合する方法などが挙げられる。一般的には、紡糸安定性は前者の方が良好な場合が多く、製造コスト面では後者の方法が有利な場合が多いので、何れを採用するか、各種要因によって適宜選択される。
本発明の人工皮革用基材を構成する絡合不織布は、上記のようにして得られる極細繊維形成型複合繊維を用いて、従来公知の方法によって得ることができる。絡合不織布は、繊維長に基づいて、短繊維不織布と長繊維不織布とに大別される。また、繊維の不織集合体、いわゆるウェブを形成させる方法に基づいて、乾式不織布、湿式不織布など大別される。さらに、ウェブを構成する繊維同士を絡合させる方法により、ニードルパンチ絡合不織布、水流絡合不織布に大別される。人工皮革用基材の用途や所望の物性、風合い、それらのバランスなどに従って上記特徴を適宜組み合わせることにより絡合不織布を得ることができる。本発明では、目的とする人工皮革用基材が得られる限り、これらの何れの組み合わせにも限定されないが、繊維長が20〜100mmの短繊維あるいは長繊維からなる乾式ウェブを複数枚積層して、ニードルパンチにより絡合させた不織布を主体として用いることが好ましい。このような不織布を用いることにより、本発明の人工皮革用基材に不可欠な見掛比重や引裂強さ、銀付き調人工皮革あるいは立毛調人工皮革の優れた物性、風合いやタッチなどの感性面での性能をバランス良く、かつ安定に得ることができる。
絡合不織布と高分子弾性体からなる本発明の人工皮革用基材の見掛比重が0.30以下であることを考慮すると、高分子弾性体含浸前かつ極細繊維化前の絡合不織布の見掛比重は0.22以下、好ましくは0.07〜0.22とする必要がある。絡合不織布は、その形成以降の工程において形態変化を受け、高比重化する。絡合不織布を構成する複合繊維を極細繊維束にすると絡合不織布の形態維持性は確実に低下し、極細繊維化する工程、その後の工程において種々の方向から作用する力、特に、非常に強い厚さ方向への圧縮力により形態が変化し見掛比重が増大する。そのため、高分子弾性体含浸前かつ極細繊維化前の絡合不織布の見掛比重が0.22を超える場合には、極細繊維束が高強度であって絡合不織布が高い形態維持性を発揮したとしても、人工皮革用基材の見掛比重を0.30以下にすることはできない
本発明の絡合不織布には、面方向あるいは厚さ方向に絡合構造を補強するために織編物を挿入することも好ましい。織編物を絡合不織布へ挿入する場合には、厚さ方向の挿入位置が重要である。銀付き面あるいは立毛面よりは、その反対側の面により近い位置に挿入すると、織編物に特徴的なラフで規則的な凹凸が人工皮革の外観へ与える影響を極力低減することができる。また、絡合不織布構造とは異なる風合い、腰の織編物を敢えて表面に近い位置へ挿入すると、独特の風合い、腰を得ることもできる。また、挿入する織編物に使用する繊維として極細繊維あるいは極細繊維形成型複合繊維を使用することにより、より自然な外観、風合いを有する立毛調人工皮革を得ることが出来る。
このようにして得た絡合不織布へ高分子弾性体を含有させるに先立って、絡合不織布製造工程以降の工程通過性、高分子弾性体の絡合不織布内での分布の均一性、得られる人工皮革用基材の面平滑性、立毛調人工皮革の立毛状態の均一性などを達成することを目的として、絡合不織布を加熱後に冷却しながらプレスする、あるいは加熱しながらプレスした後冷却する熱プレスをすることにより所定の見掛比重に調整し、絡合不織布表面の平滑化を図ることも好ましい態様の一つである。加熱温度は、絡合不織布を構成する複合繊維の除去成分、海島型複合繊維であれば海成分樹脂の軟化温度近傍の温度が好ましい。海成分樹脂がポリエチレンであれば、好ましい加熱温度は95〜130℃程度である。絡合不織布を構成する極細繊維形成型複合繊維の除去成分は、繊維外周部全体の1/3以上露出しているのが好ましい。この除去成分として、極細繊維成分(ポリアミド系樹脂)より軟化温度の低い成分を使用し、絡合不織布を除去成分の軟化温度以上、かつ極細繊維成分の軟化温度未満の温度で熱プレスすることで、この低軟化温度成分のバインダー効果により隣接する極細繊維形成型複合繊維同士が融着し、上記所定の見掛比重、絡合不織布表面の平滑化を容易に達成することができる。
次いで、得られた絡合不織布へ高分子弾性体を含有させる。含有させる高分子弾性体の量は、得られる人工皮革用基材の機械強度、見掛比重、風合いなどにより変化するが、極細繊維化した後の絡合不織布100重量部に対して20〜500重量部となるような量であるのが好ましい。本発明では、まず、高分子弾性体を絡合不織布に含有させ、その後、溶剤処理して極細繊維形成型複合繊維を極細繊維化する。極細繊維化した後に高分子弾性体を絡合不織布構造へ含有させると、極細繊維に高分子弾性体が接着してしまい、さらには極細繊維束内部にまで高分子弾性体が浸透してしまうため、絡合不織布構造が高分子弾性体により強く拘束され、得られる人工皮革用基材の風合いが硬くなると共に、引裂強力などの物性が低下してしまう。このような高分子弾性体の極細繊維への接着や極細繊維束内部への浸透を防ぐために、高分子弾性体を含有させる前にポリビニルアルコールに代表される糊材で極細繊維や極細繊維束を包埋しておくのが一般的な方法である。本発明では、この糊材を使用する方法も好ましいが、極細繊維への高分子弾性体の接着、極細繊維束への高分子弾性体の浸透をより確実に防ぐためにも、前記のように複合繊維を極細繊維化する前に、絡合不織布へ高分子弾性体を含有させる。
前記高分子弾性体としては、絡合不織布との風合いのバランスおよび一般的な用途における人工皮革用基材の耐久性などの点で、ポリウレタンが好ましい。ポリウレタンに、着色剤やその他の機能付与剤などを添加すること、モジュラス調整などの目的で他の高分子弾性体、例えば、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、塩化ビニル系エラストマーなどを必要な物性が確保できる範囲でブレンドすることも好ましい態様の一つである。特に、極細繊維形成型複合繊維を熱トルエン可溶性樹脂を抽出除去することによって極細繊維化する場合には、熱トルエン重量増加率が40%以下で熱トルエン湿潤時伸度が200%以下であるポリウレタンが好ましく、熱トルエン重量増加率が5〜25%で熱トルエン湿潤時伸度が45〜185%であるポリウレタンがより好ましい。高分子弾性体の熱トルエン重量増加率あるいは熱トルエン湿潤時伸度の何れかが上記の好ましい範囲を外れた場合、熱トルエン可溶性樹脂を抽出除去する工程において、長さ方向の伸長、幅方向の収縮、厚さ方向の圧縮などのあらゆる方向の形態変化の防止に関し、高分子弾性体は殆ど寄与することができず、絡合不織布および高分子弾性体からなる複合シートの形態は、絡合不織布が有する形態保持性のみに支配される。しかし、不織布構造の厚さ方向の形態保持性は比較的弱く、圧縮され比重が高くなる。従って、熱トルエン可溶性樹脂を抽出除去することにより極細繊維形成型複合繊維を極細繊維化する場合、0.30以下という従来にない低い見掛比重の人工皮革用基材を安定的に得るためには、熱トルエン重量増加率、熱トルエン湿潤時伸度が上記範囲であるのが好ましい。
ポリウレタンの熱トルエン重量増加率、熱トルエン湿潤時伸度を決定付ける重要な因子としては、分子量、架橋度、ソフトセグメントとなるポリマージオールの溶解度パラメータ(SP値)、ハードセグメントとなるジイソシアネートのSP値、鎖伸長剤の主鎖長が挙げられる。ポリウレタンの分子量が大きい方が熱トルエン重量増加率、熱トルエン湿潤時伸度は共により小さくなる傾向にあり、またポリウレタンの架橋度は大きい方が熱トルエン重量増加率、熱トルエン湿潤時伸度共により小さくなる傾向にある。従って、ソフトセグメント、ハードセグメント、鎖伸長剤の詳細な組成は後述する要因、人工皮革用基材の用途、組み合わせる絡合不織布とのバランスなどにより適宜決定されるが、分子量や架橋度は、ポリウレタンの溶解性、溶液または分散液の安定性、凝固性、人工皮革用基材の風合いや諸物性などとの兼ね合いに応じて大きくするのが好ましい。従来一般的な湿式凝固を目的とする溶剤系ポリウレタンにおいては、架橋自体が導入しにくく、架橋度を制御できる範囲は狭いが、乾式凝固を目的とする溶剤系あるいは水分散系のポリウレタンにおいては架橋の導入が容易で、広い範囲で制御することができるので、架橋度は、熱トルエン重量増加率や熱トルエン湿潤時伸度、特に後者の制御に有効な手段の一つである。
ソフトセグメントとなるポリマージオールのSP値とトルエンのSP値の差が大きいほど、熱トルエン重量増加率や熱トルエン湿潤時伸度、特に前者がより小さくなる傾向にある。おおよその傾向としては、ポリエーテル系、ポリカーボネート系のポリマージオールを使用するよりはポリエステル系ポリマージオールを選択した方が、また同一種のポリマーポリオールであれば主鎖が短く、あるいは側鎖が少なく、短いものを選択した方が熱トルエン重量増加率や熱トルエン湿潤時伸度を小さくすることができる。従って、熱トルエン重量増加率や熱トルエン湿潤時伸度の観点のみからは、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリカプロラクトングリコール、ポリヘキサメチレンカーボネートジオールなどよりは、ポリメチルペンタンアジペートジオールやポリエチレンプロピレンアジペートグリコールなどの方が好ましく、ポリブチレンアジペートグリコール、ポリエチレンアジペートグリコールなどがより好ましい。
ハードセグメントとなるジイソシアネートのSP値は高いほど熱トルエン重量増加率や熱トルエン湿潤時伸度がより小さくなる傾向にある。おおよその傾向としては、脂肪族ジイソシアネートよりは脂環族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネートよりは芳香族ジイソシアネート、さらに芳香環1つの芳香族ジイソシアネートよりは芳香環2つの芳香族ジイソシアネートの方が、熱トルエン重量増加率や熱トルエン湿潤時伸度を小さくすることができる。従って、熱トルエン重量増加率や熱トルエン湿潤時伸度のみの観点からは、ヘキサメチレンジイソシアネートよりは4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートの方が好ましく、より好ましくはトルイレンジイソシアネートであり、さらに好ましいのは4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートである。
鎖伸長剤の鎖長が短い方が、熱トルエン重量増加率や熱トルエン湿潤時伸度がより小さくなる傾向にあるので、得られるポリウレタンに問題がない限り、鎖伸長剤は低分子量ジオールから選択される。低分子量ジオールの中では、ヘキサンジオールよりはブタンジオールが好ましく、エチレングリコールがより好ましい。
本発明で用いるポリウレタンの組成は、これらの因子を十分に考慮しつつ、人工皮革基体の用途における要求性能、即ち強伸度に代表される力学的物性、充実感やタッチなどの風合い、熱や光に対する耐劣化性や耐変退色性、耐酸化劣化性や耐加水分解性などの耐久性などを満足するよう適宜選択される。また、本発明で用いるポリウレタンは、上記組成のポリウレタン単独でもよいが、上記組成以外のポリウレタンを、ポリウレタン製造のための原料あるいは製造されたポリウレタンに、目標とする熱トルエン重量増加率や熱トルエン湿潤時伸度が達成できる範囲内で適宜混合してモジュラス、着色性、耐久性などを調整するのも好ましい実施態様である。
本発明で使用する高分子弾性体は、極細繊維と同様、人工皮革用基材の製造段階で必要に応じて着色することも好ましい。例えば、絡合不織布へ含有させる際に、高分子弾性体中に予めカーボン微粒子、酸化チタン微粒子、その他の顔料微粒子などを混合しておく方法や、絡合不織布へ含有させた後に前記した顔料や染料により着色する方法が挙げられるが、堅牢度の面からは前者が好ましい。高分子弾性体を前者の方法により着色する場合は極細繊維を着色しないことも好ましい態様の一つである。
高分子弾性体を絡合不織布へ含有させる方法としては、高分子弾性体を溶液、分散液、溶融液などの液状形態にし、これを絡合不織布へ含浸あるいは塗布した後、高分子弾性体を凝固させる方法が挙げられる。凝固方法としては乾式凝固、湿式凝固の何れでもよい。本発明の人工皮革用基材は見掛比重が0.30以下といった極めて疎な状態であるので、高分子弾性体も絡合不織布全体に比較的均一に分布していながら、かつ疎な状態で含有されている必要がある。従って、絡合不織布の絡合空間を完全に充填することは好ましくなく、5〜15%の低濃度の溶液、分散液を含有させてこれを凝固させるのが好ましい。低比重かつ良好な風合いが得られるので、空隙の平均径が5〜200μm程度のミクロな多孔質状態を形成するように凝固させるのがさらに好ましい。
絡合不織布へ高分子弾性体を含有させる前、もしくは含有させた後、好ましくは含有させた後、極細繊維形成型複合繊維に力学的処理あるいは化学的処理を施すことにより、絡合不織布を極細繊維絡合不織布に変化させ、本発明の人工皮革用基材が得られる。極細繊維形成型複合繊維が分割繊維の場合、異種成分の界面において分割が起きる程度の力学的処理、例えば揉み処理や叩き処理、あるいは着色処理などと併用で液流処理などを施すか、あるいは分解剤、溶解剤により除去成分を減量、除去する化学的処理を施せばよい。極細繊維形成型複合繊維が海島繊維の場合、海成分を分解剤、溶解剤により減量、除去する化学的処理を施せばよい。一般に、力学的処理の効果を絡合不織布全体に渡って均一に与えるのは困難なことが多いので、絡合不織布全体に渡って複合繊維中の減量・除去成分、例えば海島繊維であれば海成分、を分解あるいは溶解することが容易な化学的処理が好ましい。減量・除去成分として熱トルエンに可溶な樹脂を選択した場合には、熱トルエンによる抽出除去が化学的処理として最も好ましい。このようにして得られた本発明の人工皮革用基材の厚さは、0.5〜5.0mmであるのが好ましい。
本発明の銀付き調人工皮革は、上記のようにして得られた人工皮革用基材、あるいはこれを主表面に沿って薄く分割した人工皮革用基材の少なくとも片面に高分子弾性体からなる被覆層を形成することにより得られる。被覆層は、人工皮革用基材の表面全体を覆っていてもよいし、表面の一部を覆うだけで、人工皮革用基材を構成する繊維あるいは高分子弾性体が露出していてもよい。前者は銀付き調と呼ばれ、後者は半銀付き調と呼ばれる。何れの場合であっても本発明の効果が得られる。被覆層の厚さは、人工皮革用基材の厚さの0.1〜300%であるのが好ましい。
被覆層を形成する方法としては、乾式法、湿式法、あるいは乾式法と湿式法とを組み合わせた方法の何れもが採用可能であり、特に限定はない。乾式法としては、高分子弾性体の溶液、分散液または溶融液を人工皮革用基材の表面に直接塗布して熱乾燥などの熱処理により凝固させる方法や、高分子弾性体液を支持体に一旦塗布して乾燥などにより凝固する前、凝固する途中、凝固した後などの何れかの段階でシート状高分子弾性体を人工皮革用基材の表面に接着させる方法などがある。代表的な方法として、前者にはリバースコーターやグラビアコーターによる方法、後者には離型紙を用いる方法が挙げられる。
本発明の銀付き調人工皮革は、人工皮革用基材自体が従来にないほどの低い見掛比重なので、従来の人工皮革用基材に比べると被覆層形成用の高分子弾性体が基材の厚さ方向に浸透し易い。従って、塗布あるいは接着によって浸透させる高分子弾性体の粘度、濃度を必要以上に低下させることなく人工皮革用基材表層部に容易に浸透させ、基材と被覆層とを強固に一体化することが可能である。被覆層と基材とを一体化する役割を担う高分子弾性体が、極細繊維束を必要以上に拘束すると極細繊維束のしなやかさが失われ、被覆層と基材とを剥離する方向に作用する外力に対して脆い状態となってしまう。しかし、本発明の人工皮革用基材は従来にない低い見掛比重を有するので、必要以上に低粘度、低濃度で塗布あるいは接着させることなく高分子弾性体を十分に基材中へ浸透させることができ、しかも、従来の高い見掛比重の人工皮革用基材と同様の条件で被覆層を形成した場合でもより深く基材中へ浸透させることができるので、基材と被覆層の接着剥離強力が極めて高くなる。
特に、靴資材は、乾燥状態で高い接着剥離強力を示すだけでなく、雨、湿気、汗などにより濡れた状態でも高い接着剥離強力を示すことが要求される。本発明の銀付き調人工皮革は、上記の効果によって、濡れた状態であっても、30N/cm以上、好ましくは35〜70N/cmという極めて高い湿潤時接着剥離強力を安定的に示す。
被覆層を構成する高分子弾性体(被覆高分子弾性体)としては、絡合不織布に含浸させる高分子弾性体(含浸高分子弾性体)との接着性や感性面でのバランスを考慮して、含浸高分子弾性体と同種の高分子弾性体が好ましく、人工皮革用基材に関して説明した理由からポリウレタンが好ましい。また、人工皮革の感性面、物性面、耐久性などのバランスからも、被覆高分子弾性体としては、絡合不織布に含浸させるポリウレタンとして例示したのと同様のポリウレタンが好ましい。尚、染色により被覆層を着色する場合には、被覆層を構成する高分子弾性体に、ポリエチレングリコールをソフトセグメントとして含むポリウレタンなどの易染色性成分を含有させることができる。
銀付き調人工皮革は、被覆高分子弾性体に染料や顔料などの着色剤を予め含有させておくことにより被覆層形成段階で所望の色に着色することができる。このような被覆層形成段階での着色の有無を問わず、被覆層を形成した後に染色により着色することも好ましい。人工皮革用基材を構成するポリアミド系極細繊維を染色する染料としては、酸性染料、金属錯塩染料、分散染料、硫化染料、建染染料などが挙げられる。また、ポリアミド系極細繊維と任意に併用する他の繊維、含浸高分子弾性体または被覆高分子弾性体を染色する染料は、その繊維あるいは高分子弾性体を染色可能な染料を適宜選択すればよい。染料は単独でも組み合わせてもよく、本発明においては使用する染料、あるいは染色方法について特に制約はない。
本発明の立毛調人工皮革は、上記にて得られた人工皮革用基材の少なくとも片面を所望の立毛外観、タッチになるように従来の方法にて適宜起毛、あるいは起毛および整毛することにより得られる。立毛長さは、立毛の根元と先端の特定がしにくいので、正確な測定自体は困難であるが、通常、0.1〜5.0mmである。採用可能な起毛方法としては、エンドレスのサンドペーパーがセットされたバフィング機による方法、針布がセットされた起毛機による方法、人工皮革用基材を湿潤状態で起毛する方法などが挙げられる。立毛調人工皮革の外観、タッチに高級感を付与したい場合には、一般的にはバフィング機の使用を主体とした起毛方法が好ましい。起毛する際に、人工皮革用基材を主表面に沿って薄く分割して複数枚の人工皮革用基材とすること、含浸高分子弾性体またはシリコーン樹脂を含有する処理液などを起毛処理前の面、起毛処理後の面あるいは分割面に塗布することなどは何れも一般的に起毛に際して付加的に採用される操作であり、これらを適宜組み合わせて行うことも本発明の好ましい態様の一つである。また、本発明において採用可能な整毛方法としては、ブラッシングによる方法が最も好ましく、起毛方法と同様に、湿潤状態で人工皮革用基材を整毛する方法も本発明の効果を損なわない範囲で採用可能である。
本発明の立毛調人工皮革は、起毛する前、または起毛した後に染色により着色することも好ましい。本発明では、人工皮革用基材を構成する極細繊維、即ちポリアミド系極細繊維が主として起毛される。このポリアミド系極細繊維を染色可能な染料としては、酸性染料、金属錯塩染料、分散染料、硫化染料、建染染料などが挙げられる。また、ポリアミド系極細繊維と任意に併用される繊維を染色する場合には、その繊維を染色可能な染料を適宜選択すればよい。染料は単独でも組み合わせてもよく、本発明においては使用する染料、あるいは染色方法について特に制約はない。
本発明を実施例により以下に説明するが、本発明は、下記実施例のみに限定されるものではない。尚、以下で使用する「部」「%」は、特に断わりがない限り重量基準である。また、測定方法において「縦方向」とは人工皮革基体製造における流れ方向であり、「横方向」とはこれに直角な方向である。
各種物性は以下の方法により測定した。
(1)平均繊度の測定
人工皮革用基材の任意の断面において走査型電子顕微鏡で観察される任意の10本の繊維束断面について、それぞれの繊維束を構成する繊維1本当たりの平均断面積を算出した。その最大値および最小値を除く8個の平均断面積を更に平均した値A(μm2)から、次式により平均繊度を求めた。ここでいう、繊維束を構成する繊維1本当たりの平均断面積とは、1つの繊維束に含まれる繊維本数が100本未満であれば、任意の10本について算出した平均断面積であり、1つの繊維束に含まれる繊維本数が100本以上であれば、任意の20本について算出した平均断面積である。また、平均繊度に関して2種類または3種類以上の繊維束が人工皮革用基材に使用されている場合は、主体として使用された繊維束について測定した。
平均繊度(dtex)=1.14×10-2×A
(2)繊維束の平均強度、平均伸度の測定
ナイロンに非溶媒でかつ高分子弾性体の良溶媒(高分子弾性体がポリウレタンであればDMF)を用いて人工皮革用基材から高分子弾性体を溶解除去した後、得られた絡合不織布から、極力伸びたり傷ついたりしないようにしながら繊維束を取り出した。任意の20本の繊維束を測定サンプルとし、繊度測定用デニールコンピューター(SEARCH製DC−11B)により繊度を測定した。測定繊度を定速伸長型テンシロンタイプ引張試験機(SEARCH製TSM−01cre)へ入力し、各繊維束の破断強度、破断伸度を掴み間隔20mm、引張速度20mm/分で測定した。最大および最低の測定値測定値を除外した18個の測定値の平均を、繊維束の平均強度、平均伸度とした。
(3)熱トルエン重量増加率、熱トルエンWET時伸度の測定
ナイロンの非溶媒でかつ高分子弾性体の良溶媒(高分子弾性体がポリウレタンであればDMF)により人工皮革用基材から溶解抽出した高分子弾性体を厚さ0.1mm程度の乾式フィルムとした。
a 熱トルエン重量増加率
1辺が5cmの正方形に切り出した3枚のフィルムを試験片とした。標準状態(20±2℃、65±2RH%)での各試験片重量WAを測定した後、85℃のトルエン中に60分間浸漬した。取り出した試験片両面に付着したトルエンを軽く拭き取った後、速やかに重量既知のビニール袋などに試験片を入れてトルエンの揮散を極力防止しながら、各試験片重量WBを速やかに測定した。測定された重量WA,WBからそれぞれの試験片の熱トルエン重量増加率を次式により算出し、3つの算出値の平均を高分子弾性体の熱トルエン重量増加率とした。
熱トルエン重量増加率(%)=100×(WB−WA)/WA
b 熱トルエン湿潤時伸度
長さ140mm程度、幅25mmの短冊形に切り出した3枚のフィルムを試験片とした。試験片を上記と同条件にてトルエン中に浸漬した後、取り出した試験片を、試験片の温度において、および試験片に付着する量のトルエンでは破れ等が生じないことを確認済みのポリマーフィルム、例えば市販のポリエチレン袋などで速やかに包んだ。トルエンの揮散を極力防止しながら、速やかにテンシロン型引張試験機へセットし、掴み間隔50mm、引張速度100mm/分で、荷重9.8N/mm2時の伸度を読み取った。得られた3つの伸度の平均を高分子弾性体の熱トルエン湿潤時伸度とした。
(4)厚さ、見掛比重の測定
それぞれ、JIS L 1096:1999 8.5、JIS L 1096:1999 8.10.1に規定の方法により測定した。
(5)引裂強さの測定
引裂強さは、JIS K 6550−1994 5.3に規定の測定方法を一部変更して求めた。人工皮革用基材の任意の箇所から縦方向に2枚、横方向に2枚の試験片を切り出した。試験片の短軸長さを25mmから40mmに、また切込み長さを70mmから50mmに変更した。測定荷重をJIS L 1096:1999 8.5の値に変更して、試験片の厚さt(mm)を測定した。引き裂いて切断するまでの最大荷重の代わりに平均荷重F(N)を測定した。測定厚さと測定平均荷重Fの平均値から、引裂強さを次式により算出した。
引裂強さ(N/mm)=F/t
(6)湿潤時接着剥離強力の測定
JIS K 6854−2:1999に規定の測定方法に準じて測定した。剛性被着材として、ポリウレタン製クレープゴム板(長さ150mm、幅27mm、厚さ5mm)を使用し、また、たわみ性被着材として、縦方向、横方向それぞれに3枚ずつ切り出した、長さ250mm、幅(w)25mmの銀付き調人工皮革を使用した。ポリウレタン系2液接着剤を用いて銀付き調人工皮革とゴム板とを接着力が十分に発揮されるように接着して試験片を作製した。蒸留水中に10分間浸漬した直後の試験片を50mm/分の速度で引き剥がしたときに要する応力と剥離長さとを測定し応力−剥離長さ曲線を求めた。得られた曲線から平均剥離力を求めた。縦方向、横方向それぞれについて得られた3個の平均剥離力を算術平均し、小さい方の平均値F(N)から次式により湿潤時接着剥離強力を算出した。
湿潤時接着剥離強力(N/cm)=F/w
(7)複合繊維の破断伸度の測定
複合繊維を50〜100本程度束ねて30cm程度にカットした束を10本作製し、これを測定サンプルとして用いた。各測定サンプルをテンシロン型引張試験機にセットし、掴み間隔100mm、引張速度100mm/分で破断伸度を測定した。最大および最低の測定値を除外した8個の測定値の平均を複合繊維の破断伸度とした。尚、複合繊維1本では強力が非常に弱いので、試験機が測定可能な強力にするために、複合繊維束を測定サンプルとして用いた。繊維束を用いることは測定上必須ではない。また、束ねる本数は、紡糸に使用する口金のホール数や、測定に使用する試験機の測定可能な強力範囲などにより適宜選択される。少なくとも50本程度束ねると、ここの複合繊維の破断伸度のバラツキが解消され、平均的な破断伸度が測定できるので好ましい。
各種感性面の特性は下記のようにして評価した。
(8)銀付き調人工皮革の風合いの評価
10〜30cm角、好ましくは20cm角程度に切り出した銀付き調人工皮革を評価用試料とした。人工皮革製造業に従事する者、人工皮革販売業に従事する者から無作為に選ばれた10名を評価者として、銀付き調人工皮革のスポーツ靴アッパー用素材としての適性を評価した。スポーツ靴のアッパー用銀付き調素材として一般的な風合いを3、スポーツ靴用途には硬すぎる、あるいは柔らかすぎて腰がなく使用不可の場合を1、一般的な風合い3を基準に考えると非常に良好な充実感がありながら柔らかさも兼ね備えている理想的な風合いを5として5段階評価を行った。評価者10名の内、5名以上が同じ評価をつけた場合にはその評価を、また3名以上が同じ評価をつけており、かつ他の評価はいずれも2名以下であれば、3名以上がつけた評価をその評価用試料の風合いの評価とした。尚、1〜5の各評価をした者がすべて2名の場合、評価は3とした。
(9)立毛調人工皮革の風合いの評価
10〜30cm角、好ましくは20cm角程度に切り出した立毛調人工皮革を評価用試料とした。人工皮革製造業に従事する者、人工皮革販売業に従事する者から無作為に選ばれた10名を評価者として、立毛調人工皮革のスポーツ靴アッパー用素材としての適性を評価した。スポーツ靴のアッパー用立毛調素材として一般的な風合いを3、スポーツ靴用途には硬すぎる、あるいは柔らかすぎて腰がなく使用不可の場合を1、一般的な風合い3を基準に考えると非常に良好な充実感がありながら柔らかさも兼ね備えている理想的な風合いを5として5段階評価を行った。評価者10名の内、5名以上が同じ評価をつけた場合にはその評価を、また3名以上が同じ評価をつけており、かつ他の評価はいずれも2名以下であれば、3名以上がつけた評価をその評価用試料の風合いの評価とした。尚、1〜5の各評価をした者がすべて2名の場合、評価は3とした。
(10)立毛調人工皮革の立毛表面のタッチの評価
10〜30cm角、好ましくは20cm角程度に切り出した立毛調人工皮革を評価用試料とした。人工皮革製造業に従事する者、人工皮革販売業に従事する者から無作為に選ばれた10名を評価者として、立毛調人工皮革の立毛表面のタッチを評価した。スポーツ靴のアッパー用立毛調素材として一般的なタッチを3、スポーツ靴用途として、あるいは一般用途の立毛調素材として立毛状態により得られるタッチがラフすぎ使用不可の場合を1とし、一般的なタッチ3を基準に考えると非常に緻密な立毛感があり、かつ滑らかで理想的なタッチを5として5段階評価を行った。評価者10名の内、5名以上が同じ評価をつけた場合にはその評価を、また3名以上が同じ評価をつけており、かつ他の評価はいずれも2名以下であれば、3名以上がつけた評価をその評価用試料のタッチの評価とした。尚、1〜5の各評価をした者がすべて2名の場合、評価は3とした。
製造例1−1 複合短繊維1の製造
2種類の溶融物の分配・統合によって繊維断面形状を規定する内部構造の紡糸口金(ノズル径0.45mm)に、繊維成分としてナイロン−6(数平均分子量18000)の溶融物、除去成分として低密度ポリエチレン(メルトインデックス65g/10分、190℃,2160gf)の溶融物を別々の供給系からギアポンプで計量しつつ供給した。紡糸口金に開孔したノズルより吐出した複合溶融物を冷却風を当てつつボビンに巻き取り、低密度ポリエチレンからなる分散媒成分中にナイロン−6が50個のほぼ同じ大きさの分散成分として配置された断面形状を有し、ナイロン−6/低密度ポリエチレン比率が55/45、破断伸度が420%である複合繊維を得た。安定紡糸時の溶融物の供給温度は、ナイロン−6が約300℃、低密度ポリエチレンが約270℃であり、紡糸口金部の温度は約305℃であった。得られた複合繊維を、浴前後の速度を変えて、80〜85℃の温水浴中を通過させ延伸した。速度比は約3.9倍(延伸倍率=3.9倍)であり、得られた複合繊維の延伸後の破断伸度は45%であった。機械捲縮を付与し、油剤を付着させた後、51mmの長さにカットして、平均繊度6.2dtexの複合短繊維1を得た。
製造例1−2 複合短繊維2の製造
繊維成分としてナイロン−6(数平均分子量13000)の溶融物を用いた以外は製造例1−1と同様にして、低密度ポリエチレンからなる分散媒成分中にナイロン−6が50個のほぼ同じ大きさの分散成分として配置された断面形状を有し、ナイロン−6/低密度ポリエチレン比率が65/35、破断伸度が410%である複合繊維を得た。安定紡糸時の溶融物の供給温度は、ナイロン−6が約280℃、低密度ポリエチレンが約300℃であり、紡糸口金部の温度は約285℃であった。得られた複合繊維を、速度比を約2.8倍(延伸倍率=2.8倍)にした以外は製造例1−1と同様にして延伸し、破断伸度が70%の延伸複合繊維を得た。機械捲縮を付与し、油剤を付着させた後、51mmの長さにカットして、平均繊度4.6dtexの複合短繊維2を得た。
製造例1−3 複合短繊維3の製造
繊維成分としてナイロン−6(数平均分子量18000)チップ、除去成分として低密度ポリエチレン(メルトインデックス65g/10分)チップを重量比50:50でブレンドした。1種類の溶融物を繊維断面形状を規定することなく吐出する内部構造の紡糸口金(ノズル径0.30mm)に、溶融させて複合溶融物とした前記ブレンドを単一の供給系からギアポンプで計量しつつ供給した。紡糸口金に開孔したノズルより吐出した複合溶融物を冷却風を当てつつボビンに巻き取り、低密度ポリエチレンからなる分散媒中にナイロン−6が数百個の種々異なる大きさの成分として分散した断面形状を有し、破断伸度が380%である複合繊維を得た。安定紡糸時の溶融物の供給温度及び紡糸口金部の温度は共に約285℃であった。得られた複合繊維を、浴前後の速度を変えて、80〜85℃の温水浴中を通過させ延伸した。速度比は約3.0倍(延伸倍率=3.0倍)であり、得られた延伸複合繊維の破断伸度は80%であった。機械捲縮を付与し、油剤を付着させた後、51mmの長さにカットして、平均繊度6.4dtexの複合短繊維3を得た。
製造例2−1 ポリウレタン1の製造
ポリオールとしてポリエチレンプロピレンアジペート(略称PEPA)(数平均分子量2000程度)、鎖伸長剤としてエチレングリコール(略称EG)、ジイソシアネートとしてジフェニルメタンジイソシアネート(略称MDI)、溶媒としてジメチルホルムアミド(略称DMF)を使用して、PEPA:EG:MDI=1:4:5の反応モル比で重合させてポリウレタン1を得た。得られたポリウレタン1中に含まれる窒素量は約4.0%であった。
製造例2−2 ポリウレタン2の製造
製造例2−1において、反応モル比をPEPA:EG:MDI=1:5.7:6.7に変更してポリウレタン2を得た。得られたポリウレタン2中に含まれる窒素量は約4.7%であった。
製造例2−3 ポリウレタン3の製造
ポリオールとしてポリエチレングリコール(略称PEG)(数平均分子量2000程度)を用いた以外は製造例2−1と同じ原料モノマー、溶媒を使用し、PEG:EG:MDI=1:4:5の反応モル比で重合させてポリウレタン3を得た。得られたポリウレタン3中に含まれる窒素量は約4.0%であった。
実施例1
複合短繊維1をカードで解繊した後、クロスラップウェバーにてウェブを作成した。このウェブを重ね、ニードルパンチ機にセットした1バーブのニードルをウェブの両面側からウェブ厚さ方向に突き刺して絡合不織布を得た。ニードルの突き刺しは、まずバーブがウェブを貫通するようなストロークで両面側から交互に行った後、次いでバーブがウェブを貫通しないようなストロークで同様に両面側から交互に行い、合計突き刺し密度は900〜1000バーブ/cm2とした。得られた絡合不織布を120〜125℃のスチーム乾燥機内で加熱した後、1対の金属ロール間を通して冷却プレスして表面を平滑化した絡合不織布1を得た。得られた絡合不織布1の厚さは1.9mm、見掛比重は0.18であった。
ポリウレタン1とポリウレタン2との混合ポリウレタン(固形分重量比率:ポリウレタン1:ポリウレタン2=3:7)のDMF溶液(ポリウレタン濃度13.5%)に凝固調節剤として微量のアルコール系界面活性剤を添加した。これを前記絡合不織布1に含浸した後、DMF濃度30%程度の水浴中へ導入して絡合不織布中の混合ポリウレタンを多孔質状態に凝固させ、さらに水洗して絡合不織布中のDMFを除去した。これを85〜95℃に加熱されたトルエン浴中に浸漬して絡合不織布中の複合短繊維に含まれる低密度ポリエチレン成分を溶解除去し、トルエンを絞液した。次いで100〜120℃程度の熱水中へ導入して絡合不織布に残存するトルエンを完全に共沸除去した。柔軟剤を含浸させた後、130〜150℃程度のピンテンター型スチーム乾燥機内で巾を規制しつつ乾燥させて、平均繊度0.08dtex、平均強度4.4cN/dtex、平均伸度47%のナイロン−6極細繊維束と、熱トルエン重量増加率18%、熱トルエン湿潤時伸度180%の混合ポリウレタンとが重量比で54:46で複合した人工皮革用基材1を得た。
得られた人工皮革用基材1の厚さは1.25mm、見掛比重は0.27、引裂強さは78N/mmであった。人工皮革用基材1の特性を第1表にまとめた。
実施例2
混合ポリウレタンのDMF溶液に、混合ポリウレタン固形分重量に対して2%のカーボン微粒子を加えた以外は実施例1と同様にして、平均繊度0.08dtex、平均強度4.4cN/dtex、平均伸度47%のナイロン−6極細繊維束と、熱トルエン重量増加率20%、熱トルエン湿潤時伸度195%の混合ポリウレタンとが重量比で56:44で複合した人工皮革用基材2を得た。
得られた人工皮革用基材2の厚さは1.23mm、見掛比重は0.28、引裂強度は65N/mmであった。人工皮革用基材2の特性を第1表にまとめた。
比較例1
複合短繊維2を用いる以外は実施例1と同様にして厚さ1.6mm、見掛比重0.26の絡合不織布2を得た。次いで、ポリウレタン1とポリウレタン3との混合ポリウレタン(固形分重量比率:ポリウレタン1:ポリウレタン3=8:2)のDMF溶液(ポリウレタン濃度20.0%)に凝固調節剤として微量のアルコール系界面活性剤を添加したものを、前記絡合不織布2に含浸した。次いで、実施例1と同様にして平均繊度0.06dtex、平均強度3.0cN/dtex、平均伸度65%のナイロン−6極細繊維束と、熱トルエン重量増加率28%、熱トルエン湿潤時伸度298%の混合ポリウレタンとが重量比で55:45で複合した人工皮革用基材3を得た。
得られた人工皮革用基材3の厚さは0.98mm、見掛比重は0.36、引裂強度は75N/mmであった。人工皮革用基材3の特性を第1表にまとめた。
比較例2
複合短繊維3を用いる以外は実施例1と同様にして厚さ1.6mm、見掛比重0.26の絡合不織布3を得た。絡合不織布3を用いる以外は比較例1と同様にして平均繊度0.008dtex、平均強度3.0cN/dtex、平均伸度48%のナイロン−6極細繊維束と、熱トルエン重量増加率26%、熱トルエン湿潤時伸度360%の混合ポリウレタンとが重量比で60:40で複合した人工皮革用基材4を得た。
得られた人工皮革用基材4の厚さは0.94mm、見掛比重は0.37、引裂強度は68N/mmであった。人工皮革用基材4の特性を第1表にまとめた。
Figure 2005171426
実施例3
実施例1で得られた人工皮革用基材1の表面を粒度180番のサンドペーパーにて軽く研削した後、下記条件にてポリウレタン被覆層を形成して銀付き調人工皮革1を得た。得られた銀付き調人工皮革1の厚さは1.38mm、見掛比重は0.34、湿潤時接着剥離強力は58N/cmであった。銀付き調人工皮革1の特性および感性面の評価結果を第2表にまとめた。
ポリウレタン被覆層の形成条件
離型紙に最外層、中間層をそれぞれ塗布・乾燥により形成した後、接着層を塗布した。接着層が半乾燥、粘着性が残っている状態で、人工皮革用基材1の研削面に貼り合わせながら金属ロール間(クリアランス:0.9mm)を通過させた。さらに40〜50℃の雰囲気中で数日間のエージングを行った後、人工皮革と離型紙を剥離し、次いで機械揉み処理を行って銀付き調人工皮革1を得た。
離型紙:AR−130SG(旭ロール製)
最外層:ME−8115LP(大日精化製) 100部
DUT−4093ホワイト(大日精化製) 20部
DMF 35部
MEK 15部
塗布量(溶液基準) 85g/m2
中間層:ME−8105LP(大日精化製) 100部
DUT−4093ホワイト(大日精化製) 30部
DMF 30部
MEK 20部
塗布量(溶液基準) 140g/m2
接着層:UD−8310(改)(大日精化製) 100部
DMF 5部
MEK 10部
架橋剤 10部
促進剤 2部
塗布量(溶液基準) 140g/m2
(注)
AR−130SG:揉み皺のある牛革調の絞の離型紙(SG=Semi Gloss)
ME−8115LP:ポリエーテル系ポリウレタン溶液(100%モジュラス=80〜90kg/cm2,固形分濃度=30%)
ME−8105LP:ポリエーテル系ポリウレタン溶液(100%モジュラス=40〜45kg/cm2,固形分濃度=30%)
DUT−4093ホワイト:顔料系着色剤溶液(顔料種類=酸化チタン,ビヒクル=ポリエーテル系ポリウレタン,顔料濃度=50%,固形分濃度=59%)
UD−8310(改):ポリウレタン系接着剤溶液(ポリオール成分=ポリエーテル系,固形分濃度=60%)
DMF:ジメチルホルムアミド
MEK:メチルエチルケトン
架橋剤:変性ポリイソシアネート溶液
促進剤:低分子量ウレタン化合物溶液
比較例3
比較例1で得られた人工皮革用基材3を用いる以外は実施例3と同様にして銀付き調人工皮革2を得た。得られた銀付き調人工皮革2の厚さは1.12mm、見掛比重は0.44、湿潤時接着剥離強力は36N/cmであった。銀付き調人工皮革2の特性および感性面の評価結果を第2表にまとめた。
比較例4
比較例2で得られた人工皮革用基材4を用いる以外は実施例3と同様にして銀付き調人工皮革3を得た。得られた銀付き調人工皮革3の厚さは1.08mm、見掛比重は0.45、湿潤時接着剥離強力は28N/cmであった。銀付き調人工皮革3の特性および感性面の評価結果を第2表にまとめた。
Figure 2005171426
実施例4
実施例1で得られた人工皮革用基材1の表面にDMFとシクロヘキサノンの混合液を200メッシュのグラビアロールにて塗布し、乾燥した。混合液を塗布していない裏面を粒度180番および粒度240番のサンドペーパーにて軽く研削して平滑化した後、次いで表面を粒度600番のサンドペーパーで2〜3回、サンドペーパーの回転方向を適宜変更しながら研削して基材表面層部の極細繊維を起毛した。最後に、粒度600番のサンドペーパーで整毛を兼ねて研削し、表面に極細繊維立毛が形成された未染色の立毛調人工皮革を得た。次いで、この立毛調人工皮革を赤色、黄色、黒色、茶色等の複数色を適宜混合した金属含有錯塩染料にて染色処理し、さらに回転ブラシで極細繊維立毛面を整毛して茶色の立毛調人工皮革1を得た。得られた立毛調人工皮革1の厚さは1.14mm、見掛比重は0.32であった。立毛調人工皮革1の特性および感性面の評価結果を第3表にまとめた。
比較例5
比較例2で得られた人工皮革用基材4の表面及び裏面を実施例4と同様に研削及び起毛処理して得られた未染色の立毛調人工皮革を、さらに実施例4と同様に処理して薄茶色の立毛調人工皮革2を得た。得られた立毛調人工皮革2の厚さは0.85mm、見掛比重は0.42であった。立毛調人工皮革2の特性および感性面の評価結果を第3表にまとめた。
Figure 2005171426
本発明では、高強力極細繊維束からなる絡合不織布を用いることにより、従来の技術では得られなかった、各種用途に必要な機械的物性を有すると共に、柔軟で充実感のある風合いと、現実的、かつ実用的な軽量性とが高レベルでバランスされた人工皮革用基材およびこれを用いた人工皮革を製造することができる。本発明の人工皮革用基材は、靴資材用途、鞄用途、服飾品用途、あるいは家具、建材、乗物用内装材などの人工皮革素材一般用途に適する。また、厚さ方向に高弾性のクッション性を示し、軽量であるので高速回転時の慣性が小さく回転数制御が容易であり、極細繊維を使用しているので表面平滑性や研磨剤スラリーとの親和性が良好であるので、本発明の人工皮革用基材は研磨材用途にも適する。低比重であり、かつ極細繊維を使用しているので、高い吸水性能・吸油性能を示すので、吸水材・吸油材用途にも適する。さらに、軽量にすることでより追従性が向上した回復性能を示すので、各種のクッション材用途などにも好適である。

Claims (5)

  1. 平均繊度が0.2dtex以下のポリアミド系極細繊維からなり、平均強度が3.5cN/dtex以上かつ平均伸度が60%以下の繊維束を主体とする絡合不織布と、その絡合空間に含有された高分子弾性体からなり、見掛比重が0.30以下および引裂強さが50N/mm以上である人工皮革用基材。
  2. 前記高分子弾性体の熱トルエン重量増加率が40%以下かつ熱トルエン湿潤時伸度が200%以下である請求項1記載の人工皮革用基材。
  3. 請求項1または2記載の人工皮革用基材の少なくとも片面に高分子弾性体からなる被覆層が積層され、湿潤時接着剥離強力が30N/cm以上である銀付き調人工皮革。
  4. 請求項1または2記載の人工皮革用基材の少なくとも片面にポリアミド系極細繊維を主体とする立毛が形成された立毛調人工皮革。
  5. 以下の(a)から(e)の逐次工程を含むことを特徴とする人工皮革用基材の製造方法。
    (a)数平均分子量15000以上のポリアミド系樹脂とそれとは非相溶性の繊維形成性樹脂からなる複合繊維であって、ポリアミド系樹脂からなる極細繊維を形成し得る複合繊維を溶融紡糸する工程、
    (b)前記複合繊維を、延伸倍率3.0倍以上の条件で、延伸後の破断伸度60%以下になるよう延伸した後、カットファイバーとする工程、
    (c)前記カットファイバーを、カーディングしてウェブとし、必要に応じて複数枚のウェブを積層した後、ニードルパンチにより絡合させ、必要に応じてプレスすることにより見掛比重が0.22以下の絡合不織布を得る工程、
    (d)前記絡合不織布へ、高分子弾性体を含有する溶液、または分散液を含浸した後、高分子弾性体を凝固させる工程、および
    (e)絡合不織布を構成する複合繊維を極細繊維化して、0.2dtex以下のポリアミド系極細繊維を形成する工程。

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