JP2008121132A - 銀付き調皮革様シートおよびそれを用いたスポーツ靴 - Google Patents

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Abstract

【課題】 天然皮革調の風合いと高い機械的物性とを兼ね備えた銀付き調皮革様シートおよびそれを用いたスポーツ靴を提供する。
【解決手段】 ポリアミド極細繊維束からなる絡合不織布およびその内部に充填された弾性重合体(I)からなる基体層の片面に弾性重合体(II)からなる銀面層が積層された銀付き調皮革様シートにおいて、該基体層の銀面層側の面(A面)を構成する極細繊維束(a)と該基体層の銀面層側の面と反対側の面(B面)を構成する極細繊維束(b)は共に、数平均分子量が同一、かつ17000〜20000の範囲にあるポリアミドから構成され、極細繊維束(a)を構成する極細繊維の平均単繊維繊度が0.01〜0.5デシテックスであり、極細繊維束(b)を構成する極細繊維の平均単繊維繊度が極細繊維束(a)を構成する極細繊維の平均単繊維繊度の60%以下であり、極細繊維束(a)および極細繊維束(b)の束繊度が実質的に同一であることを特徴とする銀付き調皮革様シート。
【選択図】なし

Description

本発明は、天然皮革調で一体感に優れた風合いと高い機械的物性とを兼ね備えた銀付き調皮革様シートおよびそれを用いたスポーツ靴に関する。
繊維種類が異なる2種以上のウェブ、シート類を積層して絡合させた絡合体、およびこれらの絡合体に高分子弾性体を含浸、凝固して皮革様シートを製造する方法については以下のような技術が公知である。例えば、一表面側が他の表面側とは異なる極細繊維束の立毛で覆われてなる人工皮革であって、2種の異なった海島型繊維のウェッブを積層してニードルパンチングにより繊維を絡合させたフェルトに、高分子弾性重合体を含浸させ、凝固させると共に、含浸前または後に海島型繊維の海成分を溶解除去する方法(例えば、特許文献1参照。)、編物、織物、又は不織布からなる基布上に0.5デニール以下の分繊された極細繊維からなるフロックを直接積層し、次いでフロック層側から微細な高圧液体流を噴射してフロックと基布とを交絡一体化させるスエード調シート状物の製法(例えば、特許文献2参照。)、メルトブロー法により紡糸された極細繊維の交絡体層(A)と他の短繊維の交絡体層(B)とを、高速液体流による構成繊維相互の交絡により一体化させて積層交絡体を製造し、交絡体の空隙部に弾性重合体を充填させ、A層側表面をサンドペーパー、針布等により起毛処理することにより、メルトブロー法により紡糸された極細繊維の毛羽を有するヌバック調の皮革状シート物を得る方法(例えば、特許文献3参照。)、末端アミン量が10×10−5eq/g以上のポリアミドからなる極細繊維束を発生しうる繊維ウェブ(C)と末端アミン量が10×10−5eq/g以下のポリアミドからなる極細繊維束を発生しうる繊維ウェブ(D)を重ねてニードルパンチした後、弾性重合体付与処理、極細繊維化処理、(C)側を起毛処理してスエード調シート状物を得る方法(例えば、特許文献4参照。)、繊度の異なる極細繊維を発生する極細繊維型繊維からなるウェブ同士を積層し、ニードルパンチして絡合し、プレスし、弾性重合体を含浸、凝固させた後、極細繊維を発生させて人工皮革基体を製造し、その基体の極細繊維の平均繊度が小さい方の面に樹脂層を積層することで、天然皮革調の風合いをもつ銀付人工皮革を得る技術(例えば、特許文献5参照。)、そして、極細繊維からなる絡合不織布とその内部に充填された弾性重合体からなる基体層において、繊度の異なる少なくとも2種類の極細繊維を発生させる極細繊維発生型繊維を使用し、基体層の片面側を実質的に構成する極細繊維の平均繊度に対して、もう片方の面側を実質的に構成する極細繊維の平均繊度が1/2以下となるようにし、その基体の極細繊維の平均繊度が大きい方の面側に弾性重合体からなる銀面層を積層することで、銀面の剥離強力が強く、横伸びしにくく、天然皮革調の風合いを有する皮革様シートを製造する技術(例えば、特許文献6参照。)などが公知の技術として挙げられる。しかしながら、特許文献1における2種類の異なった海島型繊維としては、繊維が別種ポリマーから形成されている場合、同種ポリマーから形成されていても繊度等の繊維形態が異なる場合、あるいは染色性の異なる同種系統ポリマーから形成されている場合(例えばアミノ末端基量の異なるナイロン)などを例示するのみで、同種ポリマーといっても、例えば2種類の海島型繊維が共にナイロン6であるという程度のことを意味するに過ぎない。特許文献2における基布を構成する繊維とフロックを構成する繊維の種類について、その組み合わせにおける好適な例は特に記載されず、実施例においてフロックとしてアクリロニトリル系共重合体の極細繊維を、基布としてポリエステルフィラメントからなる編地が記載されるのみであって、ポリマー種類として同一のものを組み合わせることに関して記載も示唆もないものである。特許文献3における交絡体層(A)を構成するのは海島型繊維を経由することなく直接紡糸された極細繊維であり、本発明が目的とするような高い剥離強力などの機械的物性を得るには不向きである上、例示される交絡体層(B)の繊維の繊度が大き過ぎ、また交絡体層(A)と交絡体層(B)とで構成する繊維のポリマーを同一にすることに関して特に記載のない技術であり、傾斜感は強いものの本発明が目的とするような天然皮革調の風合いではなく、充実感や一体感にも乏しいものである。特許文献4におけるスエード調人工皮革を構成する極細繊維は、末端アミン量が大きく異なるものを組み合わせたものであって、繊度が異なり、しかも同一のポリアミドからなる極細繊維を組み合わせることにより銀付き調に好適で高い機械的物性を得るといった技術に関する記載は一切ないものである。特許文献5の基体を構成する極細繊維は、樹脂層を積層する面を構成する極細繊維の平均繊度が反対面よりも小さいものであり、かつ極細繊維を構成するポリマーの組み合わせに関しては、例えば実施例では何れもナイロン−6であること以外には一切記載がない技術であり、天然皮革調の風合いは得られても、高い機械的物性を得ることは困難なものである。特許文献6における基体層を構成する繊度の異なる少なくとも2種類の極細繊維は、目的とする風合いや横伸び防止の目的に応じて繊度を調整することができ、かつ銀面側の単繊度を反対側の単繊度の2倍以上にすることに関しては記載されるが、前記2種類の極細繊維となるポリマーの組み合わせ、さらには極細繊維束の束繊度の組み合わせに関して特段の記載はない技術であり、天然皮革調の風合いと高い機械的物性のバランスにおいて、本発明で目的とするような非常に高いレベルでの兼備は困難なものである。
特公昭48−11925号公報 特公昭60−43476号公報 特公昭62−7309号公報 特開平10−96176号公報 特開平11−269774号公報 特開2003−13369号公報
本発明は、前期課題を解決し、銀面表面の剥離強力が特に強く、かつ横伸びし難く、優れた一体感を有していながら厚さ方向に傾斜感を感じる、すなわち天然皮革調の風合いを持ち、特にスポーツ靴用に有用な皮革様シートおよびスポーツ靴を提供する。
本発明者らは、鋭意検討の結果上記課題を達成した。すなわち、本発明は、ポリアミド極細繊維束からなる絡合不織布およびその内部に充填された弾性重合体(I)からなる基体層の片面に弾性重合体(II)からなる銀面層が積層された銀付き調皮革様シートにおいて、該基体層の銀面層側の面(A面)を構成する極細繊維束(a)と該基体層の銀面層側の面と反対側の面(B面)を構成する極細繊維束(b)は共に、数平均分子量が同一、かつ17000〜20000の範囲にあるポリアミドから構成され、極細繊維束(a)を構成する極細繊維の平均単繊維繊度が0.01〜0.5デシテックスであり、極細繊維束(b)を構成する極細繊維の平均単繊維繊度が極細繊維束(a)を構成する極細繊維の平均単繊維繊度の60%以下であり、極細繊維束(a)および極細繊維束(b)の束繊度が実質的に同一であることを特徴とする銀付き調皮革様シートである。また、極細繊維束(a)と極細繊維束(b)を構成するポリアミドが同一であることが好ましく、基体層のB面には極細繊維束(a)が混入しているが、A面には極細繊維束(b)が実質的に混在していないことが好ましい。そして、上記銀付き調皮革様シートを用いたスポーツ靴である。
本発明の銀付き調皮革様シートは、剥離強力が強く、かつソフトで横伸びし難く、天然皮革調の一体感に優れ、かつ厚さ方向に傾斜感を有する風合いをもつ銀付き調皮革様シートである。
以下本発明を詳細に説明する。まず、本発明の極細繊維とは、化学的または物理的性質の異なる少なくとも2種類の可紡性ポリマーからなる多成分系繊維を、弾性重合体(I)を含浸させる前または後の適当な段階で少なくとも1種類のポリマーを抽出除去して極細繊維化した繊維のことである。該多成分系繊維とは極細繊維発生型繊維と称することもあり、その代表例としては海島型繊維が挙げられる。
海島型繊維の島成分を構成するポリアミドは、例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン12、6,12共重合ナイロンで代表されるナイロン類、その他の溶融紡糸可能なポリアミド類から選ばれた少なくとも1種のポリマーである。
また海成分を構成するポリマーは島成分と溶剤または分解剤に対する溶解性または分解性を異にし、島成分との親和性の小さいポリマーであって、かつ紡糸条件下で島成分の溶融粘度より小さい溶融粘度であるか、あるいは表面張力の小さいポリマーであり、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、エチレンプロピレン共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体、スチレンエチレン共重合体、スチレンアクリル共重合体、ポリビニルアルコールなどのポリマーから選ばれた少なくとも1種のポリマーである。
海島型繊維中に占める島成分の比率は、40〜80質量%が紡糸安定性や経済性の点で好ましい。海島型繊維は従来公知の方法にて、必要に応じて延伸、油剤付与、捲縮、熱収縮、熱固定、カットなどの処理工程を経て繊度2〜20デシテックスの短繊維とし、後述するような従来公知の方法により所望の目付け、地合いの短繊維ウェブを作成したり、あるいは海島型繊維を紡糸し、0.5〜4デシテックスの連続した繊維のままでネット上などに集積させて所望の目付け、地合いの長繊維ウェブを作成したりする。本発明においては、該基体層のA面を構成する極細繊維束(a)と反対側(B面)を構成する極細繊維束(b)は、ポリアミドの数平均分子量が、同一かつ17000〜20000の範囲内であることが必要である。そして、同一のポリアミドから構成されることが好ましい。ポリアミドの数平均分子量が、17000未満の場合、ニードルパンチ時の絡合ムラは抑えられるが繊維の引張強度等が低下し、それに伴ってスポーツ靴に必要な剥離強力を十分に満たすことはできない。また、ポリアミドの数平均分子量が、20000を超える場合、繊維の強度物性自体は向上する傾向で好ましいものの、溶融温度が高くなるので海成分として組み合わせるポリマーの溶融温度とのミスマッチにより紡糸性が悪化したり、人工皮革としては極細繊維束が硬くなり過ぎたりする。ポリアミドの数平均分子量は、17000〜18000の範囲が繊維の紡糸性やニードルパンチ時の絡合性、得られた皮革様シートにおける物性や風合いなどがバランス良く得られ、工業製品としてのバランスに優れる点で好ましい。
A面がB面とは異なるポリアミドで構成された極細繊維を使用したものは、不織布の絡合工程でのニードルパンチ時に絡みのムラが発生し易く、銀付き調皮革様シート成形時の剥離強力が低下し易い。また、極細繊維束(a)の平均単繊維繊度は0.01〜0.5デシテックスであることが必要である。0.5デシテックスより太い繊維になると銀面をつけた面を表面として釣り込んだ時に太い繊維の影響から銀面側に凹凸模様が顕著に現れる傾向がある。一方単繊維が0.01デシテックス未満になると銀面側の剥離強力が低くなる。
極細繊維束(b)については、目的とする風合いや横伸び防止の目的に応じて平均単繊維繊度を調整することが出来る。単繊維が細くなればなるほど単位重量辺りの繊維自体の表面積が増加し、繊維間抵抗が相対的に増大することによって、基体層としてはより伸び防止効果を発揮するようになる。従って、極細繊維束(b)を構成する極細繊維の平均単繊維繊度が極細繊維束(a)を構成する極細繊維の平均単繊維繊度の60%以下であることが必要である。60%よりも大きいと、目的とする横伸び防止と厚さ方向に傾斜感のある風合いが得られない。極細繊維束(b)を構成する極細繊維の平均単繊維繊度が極細繊維束(a)を構成する極細繊維の平均単繊維繊度より小さくなりすぎても風合いのバランスに違和感を生じるため、好ましい範囲は0.1%〜60%、より好ましくは1%〜25%である。
極細繊維束(a)と極細繊維束(b)との関係において、それぞれの束繊度は実質的に同一である必要がある。束繊度とは、1本の海島型繊維から海成分を除去することで形成された極細繊維束1つの束を構成する極細繊維の繊度を合計した総繊度のことである。ここで、束繊度が実質的に同一とは、小さい方の束繊度に対して、大きい方の束繊度が1.5倍を超えないような場合を言い、より好ましくは1.3倍以内となるような場合である。1.5倍を超えると、繊維束同士の絡合状態において処々に束繊度のミスマッチによる隙が生じてしまうので、本発明が目的とする高いレベルの機械的物性を基体層として得られにくくなるばかりか、銀面層側の面を構成する極細繊維束(a)の中に少量ではあるが混在が避けられない極細繊維束(b)が異物として作用し、表面の平滑性や折れシボの緻密さ、あるいは銀面層と基体層との接着性をも阻害する傾向がある。なお、本発明の束繊度は、電子顕微鏡で撮影した断面写真から任意の10点の繊維束を選び、それぞれの断面積およびナイロンの密度からそれぞれの束繊度を算出し、最大値、最小値を除した8点の平均から求めることができる。
次に、海島型繊維として短繊維を形成させた場合には、極細繊維束(a)を発生させる海島型繊維(a’)および極細繊維束(b)を発生させる海島型繊維(b’)はそれぞれカードで解繊し、ウェバーを通してランダムまたはクロスラップウェブからなるウェブ(Wa)および(Wb)を形成し、所望の重さ、厚さに積層する。積層する際のウェブ(Wa)、ウェブ(Wb)の比率は、最終製品の用途に応じて任意に選択することはできるが、好ましい範囲は、製品における繊維重量比率として20/80〜80/20の範囲内である。この範囲をとすることで、一方に偏りすぎず、天然皮革調の一体感および厚さ方向の傾斜感ある風合いが得られ易くなる。
続いて、積層したウェブをニードルパンチにより絡合させるが、本発明においては基体層のB面には極細繊維束(a)が混入しているが、A面には極細繊維束(b)が実質的に混在していないことが好ましい。絡合方法としては、ウェブ(Wa)面上にはニードルのバーブが突き出ないように針の深度に留意してニードルパンチする。すなわち、銀面層を付与する前に基体をスライスせずに1枚で使用する場合、すなわちウェブ(Wa)/(Wb)の積層の場合は(Wa)面側からニードルパンチする時は、使用するニードルの先端の第一バーブが(Wb)面側に突き出してもよいが、逆に、(Wb)面側からニードルパンチする時は、使用するニードルの先端の第一バーブが(Wa)面側には突き出さないように、好ましくはウェブ内で第一バーブが止まるように突き刺し深さを設定する。ウェブ(Wa)面上にバーブが突き出てしまうと、極細繊維束(a)からなる基体の表面に極細繊維の単繊維繊度がより細い極細繊維束(b)が多数混在してしまうため、前述の通り銀面層と基体層との剥離強力が低下する傾向にある。
また銀面層を付与する前にスライスして同時に2枚の基体を得る方法を用いる場合、ウェブ(Wa)/(Wb)/(Wa)、などの積層とする場合は、両面がウェブ(Wa)面であるために、使用するニードルの第一バーブが反対面のウェブ(Wa)面側へは突き出無いように、言い換えると、使用するニードルの第一バーブが積層されたウェブ内で止まるように突き刺し深さを設定する。
ニードルパンチのパンチ数は、使用針の形状やウェブの厚みで異なるが、一般的に200〜2500パンチ/cmの範囲で設定される。ニードルパンチ条件が強すぎる場合には、繊維の絡合効果よりもむしろ繊維の切断が増加することになり、引裂強力等の物性の低下を招くことになる。また、ニードルパンチ条件が弱すぎる場合には、剥離強力等の物性低下と、絡合不足による充実感のある風合いが得られない。
ついで、必要性に応じて、絡合不織布を厚さ方向にプレスして不織布の平滑性を向上させる。プレスの方法は、2本の加熱ロール間を通す方法、予熱状態にした不織布を冷却ロール間に通す方法等の従来公知の方法が利用できる。絡合不織布、あるいはこれを厚さ方向にプレスしてえられる不織布の厚みは、得られる皮革様シートの用途等によって任意に選択でき、特に制限されるものではないが、1枚ものの場合にその厚みは0.2〜3.0mm程度であることが好ましく、0.4〜2.5mm程度であることがより好ましい。
次に、絡合不織布に弾性重合体(I)を含浸するが、弾性重合体(I)としては、従来から皮革様シートの製造に使用されている樹脂であり、ポリウレタン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、ポリアクリル酸系樹脂、ポリアミノ酸系樹脂、シリコン系樹脂およびこれらの樹脂の混合物が挙げられ、これらの樹脂はもちろん共重合体であってもよいが、得られる皮革様シートの風合いや物性のバランスのよいポリウレタン樹脂を主体とする弾性重合体(I)が最も好ましく使用される。これらの弾性重合体(I)は、水系エマルジョン、または有機溶剤溶液として前記絡合不織布に含浸した後、凝固されて絡合不織布と弾性重合体(I)とからなる基体を構成する。
絡合不織布に含浸するポリウレタンとしては、従来公知のものはすべて適用することができる。たとえば、平均分子量500〜3000のポリエステルジオール、ポリエーテルジオール、ポリカーボネートジオールなどから選ばれた少なくとも1種類のポリマージオールと、4,4’ −ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの、芳香族系、脂環族系、脂肪族系のジイソシアネートなどから選ばれた少なくとも1種のジイソシアネートと、2個以上の活性水素原子を有する、少なくとも1種の低分子化合物で分子量300以下の化合物、たとえば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール等のジオール類、エチレンジアミン、イソホロンジアミン、ピペラジン、フェニレンジアミン等のジアミン類、アジピン酸ヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド等のヒドラジド類から選ばれた少なくとも1種類とを、所定のモル比で反応させて得たポリウレタンである。ポリウレタンは必要に応じて、合成ゴム、ポリエステルエラストマーなどの重合体を添加した重合体組成物としてもよい。
これらの弾性重合体(I)は溶液または分散液あるいは溶液と分散液の混合物の形で使用され、凝固調節剤または感熱凝固剤、発泡剤、その他の処理剤、柔軟剤、難燃剤、染料や顔料などの着色剤等が添加されていてもよい。弾性重合体(I)を絡合不織布に含浸させる方法としては、弾性重合体(I)液を絡合不織布に浸漬法、塗布法、押込法等により、含浸させた後、湿式法、乾式法またはこれら両方の方法を併用することにより樹脂を多孔質または非多孔質に凝固させる方法が挙げられる。絡合不織布に含有させる弾性重合体(I)の量としては、極細繊維束(a)および極細繊維束(b)の合計質量と弾性重合体(I)の質量の相対関係で、90:10〜30:70の範囲であり、好ましくは80:20〜40:60である。この範囲を外れると、極細繊維からなる絡合不織布と弾性重合体(I)との量のバランスが悪いため、得られる皮革様シート製品の腰がなくなったり、ふくらみ感や充実感が得られなくなったりする。
弾性重合体(I)を含浸、凝固した繊維質基体は、極細繊維および弾性重合体の非溶剤であり、かつ海島型繊維の海成分の溶剤または分解剤で処理することにより海島型繊維(a’)および海島型繊維(b’)から海成分を除去することで極細繊維束(a)、極細繊維束(b)を形成させ、極細繊維束(a)、極細繊維束(b)からなる絡合不織布とその内部に充填された弾性重合体(I)からなる基体層が得られる。このような極細繊維束(a)および極細繊維束(b)を形成させる工程は、弾性重合体(I)を絡合不織布へ含浸、凝固させる前でも後でもよいが、目的とする銀付き調皮革様シートの風合いがより柔らかいものである場合や、極細繊維からなる絡合不織布と弾性重合体(I)との質量のバランスにおいて、70:30より弾性重合体(I)の質量が多いような場合には、弾性重合体(I)を絡合不織布へ含浸、凝固させた後で極細繊維束を形成させる方がより好ましい。特に、弾性重合体(I)を含浸、凝固させた後で極細繊維束を形成させる工程を実施する場合には、海成分を除去するのに使用する溶剤または分解剤は、弾性重合体(I)を溶解または分解したり、極端に膨潤させたりしないようなものを選択する必要がある。
次に該基体層の極細繊維束(a)から構成されるA面側に銀面層を形成する。銀面層を形成する弾性重合体(II)としては、ポリウレタン系樹脂やアクリル系樹脂等またはそれらの共重合体または混合物が用いられる。好適にはポリエステル系ポリウレタン、ポリエーテル系ポリウレタン、ポリカーボネート系ポリウレタン、およびこれらの混合系、シリコン変性ポリウレタン、フッ素変性ポリウレタン等の変性ポリウレタン樹脂など、公知のポリウレタン樹脂が用いられ、用途に応じて選択することができる。また、必要に応じて、酸化防止剤等の添加剤や、他の着色剤、例えば顔料などを本発明の目的を大きく損なわない範囲で添加してもよい。特に酸化チタン又は顔料により着色することによって基体層の染色により染色斑が生じた場合にも、その隠蔽の効果が得られる。酸化チタンおよび顔料の添加量は表面の隠蔽性および耐屈曲性の点で銀面層を構成する樹脂量に対して1〜200質量%の範囲が好ましい。
銀面層を構成するポリウレタン樹脂の100%モジュラスも用途に応じて選択すればよいが、風合い、表面感の点から、30〜100kg/cmの範囲が好ましい。また、銀面層の厚さは、樹脂の100%モジュラスにもよるが、10μm〜300μmの範囲が天然皮革調の風合いを得る点で好ましい。300μmを超えると皮革様シート全体の風合いが硬く感じられる傾向があり、また、10μmより薄くなると表面物性が低下する傾向があるため通常の用途としては好ましくないが、用途によってはこの限りではない。銀面層を構成するポリウレタン樹脂に染料を付与する方法としては、あらかじめポリウレタン中に染料を付与してから銀面層を形成する方法や、銀面層を形成したあとで染料を付与する方法が挙げられる。銀面層を染色仕上するにあたって、銀面層を構成しているポリウレタンが易染性のポリウレタンの場合、易染性のポリウレタンの平衡染着量は60mg/g以上であり、かつ銀面層が染料により着色されることによって天然皮革調の深みのある外観となるため好ましい。平衡染着量60mg/g以上のポリウレタンの例としては、高分子ジオールのソフトセグメントにポリエチレングリコールやポリウレタン分子中に三級アミノ基をもったものが挙げられる。上記ポリウレタンを染色する染料の種類としては、酸性染料、酸性媒染染料、金属錯塩染料、分散染料、硫化染料、建染染料、塩基性染料、反応染料、酸性染料等の公知の染料が使用できるが、金属錯塩染料または酸性染料とその染料に対する平衡染着量が60mg/g以上であるポリウレタンとの組み合わせが好ましく用いられる。
該銀面層の積層の方法は、ナイフコート、グラビアコート等によるコーティング法、離型紙上にポリウレタン樹脂の溶液または分散液、あるいは溶融した樹脂を塗布して樹脂フィルムを形成し、基体と接着、乾燥した後、離型紙を剥離する方法、溶融した樹脂を基体上に塗布し、冷却固化させる方法、離型紙上にポリウレタンの溶液または分散液、あるいは溶融したポリウレタンを塗布し、乾燥等によりフィルム化してから離型紙を剥がして樹脂フイルムを作成し、フイルムを基体に接着する方法などが挙げられる。
本発明により得られる皮革様シートは、衣料用、カーシート用、インテリア用、鞄用、靴用、手袋用、雑貨小物用、ベルト用、ランドセル用、野球グローブ、ボール用等の一般的に皮革様シートが用いられているあらゆる用途分野に使用することができる。中でも、剥離強力に優れ、かつ横伸びし難いことから、スポーツ靴に好適に用いられる。
次に本発明を具体的に実施例で説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の部及び%は断わりのない限り質量に関するものである。また、極細繊維のデシテックス、ヨコ伸び、剥離強力は下記の方法で測定した。
銀付き調皮革様シート中の極細繊維の平均単繊維繊度
極細繊維束中の極細繊維の平均直径R(cm)を、基体断面を走査型電子顕微鏡で撮影し、無作為に10本の極細繊維束を選び出し、各極細繊維束断面中の極細繊維から任意の極細繊維を万遍なく繊維束断面から20本選び出し、その直径を測定し、得られる平均値として測定し、下記式により繊維デシテックスを計算により求めた。なお、式中のDは、極細繊維を構成するポリマーの比重である。
極細繊維の平均単繊維繊度=D×(R/2)×3.14×10
銀付き調皮革様シートの強力および伸度
縦方向、横方向それぞれ12cm×2.5cmの試験片を試料裁断機にて採取する。2.5cm側をチャックに挟み、チャック間距離100mmとし、引張試験機で200mm/分の速度で引張り、チャートから見て試験片を20%伸ばした状態の引張強力を20%強力とし、破断したときの伸度とそのときの強力をそれぞれ伸度と強力とする。
銀付き調皮革様シートの剥離強力
表面を削った巾2.5cmのゴム板に接着剤を均一に塗布し、100℃で2分熱処理した後、たて方向23cm、巾2.5cmの試験片を貼り合わせる。貼り合わせた試験片を2〜4kg/cm2圧力でプレスし、室温にて1昼夜放置する。貼り合わせた試験片のゴム板先端部を一方のチャックに、サンプル先端部を他方のチャックに挟む。引張試験機にて速度100mm/分でゴム板とサンプル接着部分の剥離強力を測定、記録する。得られたSS曲線から剥離強力の平坦な部分の平均値を求める。試験片3個の平均値で表す。
[風合い]
任意に選出した20人のパネラーによる以下の評価による
5:充実感、厚さ方向の傾斜感ある風合いとも良好で天然皮革並み
4:5と比べるとやや傾斜感に欠けるが良好
3:充実感はあるが傾斜感不十分
2:充実感はあるが傾斜感なし
1:充実感なく、天然皮革とはかけはなれている
実施例1
溶融流動特性の異なる二種のポリマーをそれぞれ独立した溶融系で溶融し、両溶融物の接合−分割を連続的に繰り返して両者のモザイク状複合断面形状を形成する口金により溶融紡糸する海島型複合紡糸装置を用い、海成分となる側にメルトインデックス(MI)が70の低密度ポリエチレンが45部、他方の島成分となる側に、数平均分子量が18000のナイロン6が55部となるように原料チップを仕込み、溶融紡糸して繊度10デシテックスの海島型繊維(a’)を得た。この繊維を、油剤を混和した湿熱浴中で2.5倍に延伸し、捲縮を付与した後、繊維長51mmに切断し、カードで解繊した後クロスラッパーウェバーで目付370g/mのウェブ(Wa1)とした。別途、海成分として前記と同一の低密度ポリエチレンを50部と、島成分として前記と同一のナイロン6を50部原料チップにて混合しつつ同一溶融系で溶融紡糸して、単繊維繊度10デシテックスの海島型繊維(b’)を得た。この繊維を、油剤を混和した湿熱浴中で3.0倍に延伸し、捲縮を付与した後、繊維長51mmに切断し、カードで解繊した後クロスラッパーウェバーで目付370g/mのウェブ(Wb1)とした。こうして得た2種類のウェブ(Wa1)(Wb1)を積層して、総目付 740g/m、(Wa1)/(Wb1)タイプの積層ウェブとした後、ニードルパンチによる絡合処理を施す。使用するニードルは、第一バーブが先端から5mmの位置にあるものを用い、ウェブ(Wa1)面側からは突き刺し深さ8mmで、ウェブ(Wb1)面側からは突き刺し深さ4.5mmでウェブ(Wa1)の外側の面に海島型繊維(b’)が実質的には混在しないような条件で各面側それぞれに600パンチ/cm、合計1200/cmパンチ処理した。続いて、この絡合不織布を120℃の乾燥機内で加熱し、ポリエチレンが軟化した状態で2本のロールでプレスして、厚さが1.9mmになるように調整した。
この絡合不織布に、絡合不織布に含浸するポリエーテル系ポリウレタンを主体とするポリウレタン組成物17.5質量部とジメチルホルムアミド82.5質量部よりなる溶液をポリウレタン溶液の樹脂に対する顔料濃度を0.5%となる様に青色の顔料を添加して含浸し、凝固、水洗後、海島型繊維中のポリエチレンを抽出除去して、海島型繊維(a’)(b’)ともに極細繊維化することにより、ナイロン6からなる極細繊維束から構成された絡合不織布とポリウレタンとからなる厚さ1.3mm、目付け460g/mの基体層を得た。得られた基体層のA面側(極細繊維(a)から構成されている面)の極細繊維束(a)の平均単繊維繊度は0.07デシテックス、束繊度は2.4デシテックスであり、B面側(極細繊維(b)から構成されている面)の極細繊維束(b)の平均単繊維繊度は0.008デシテックス、束繊度は1.9デシテックスであった。そして、電子顕微鏡でA面側を観察したところ、実質的に極細繊維束(a)のみからなり、極細繊維束(b)は見当たらなかった。更にB面側を観察したところ極細繊維束(b)と極細繊維束(a)とが混在している状態が観察された。
このようにして得られた基体層の極細繊維(a)からなる面に、次の条件にて乾式造面を行った。
離型紙 DE−123(大日本印刷(株)製)
造面
表皮層
NY−214(シリコン変性ポリエーテル系ポリウレタン)
(大日本インキ化学工業(株)製) 100部
DUT−4790(黒顔料)(大日精化工業(株)製) 30部
DMF 35部
ウェット塗布量 120g/m
接着層
UD−8310(ポリエーテル系ポリウレタン)
(大日精化工業(株)製) 100部
D−110N(架橋剤)(武田薬品工業(株)製) 10部
QS(架橋促進剤)(武田薬品工業(株)製) 1.5部
DMF 10部
酢酸エチル 20部
ウェット塗布量 150g/m
乾式造面後に60℃×48時間キュアリングを行って離型紙を剥がした後に揉み加工を行い銀面層が50μmで黒色の銀付き調皮革様シートを得た。得られた銀付き調皮革様シートの評価結果を表1に示す。表1から明らかなように、この銀付き調皮革様シートは、厚さ方向に傾斜感を感じ、ソフトで横伸びが小さいという天然皮革調の風合いをもつ上、剥離強力が強いという極めて優れた特性を兼ね備えた銀付き調皮革様シートであった。そして、該銀付き調皮革様シートをアッパー材に用いてサッカーシューズを作成したところ、長期に渡る過酷な使用においてもソフトで型崩れのない履き心地に優れたものであり、かつゴム製のアウト・ソールとの接着部分における剥離の発生は皆無であって耐久性にも優れたものであった。
比較例1
溶融流動特性の異なる二種のポリマーをそれぞれ独立した溶融系で溶融し、両溶融物の接合−分割を連続的に繰り返して両者のモザイク状複合断面形状を形成する口金により溶融紡糸する海島型複合紡糸装置を用い、海成分となる側にメルトインデックス(MI)が70の低密度ポリエチレンが45部、他方の島成分となる側に、数平均分子量が15000のナイロン6が55部となるように原料チップを仕込み、溶融紡糸して繊度10デシテックスの海島型繊維(a’)を得た。この繊維を、油剤を混和した湿熱浴中で2.5倍に延伸し、捲縮を付与した後、繊維長51mmに切断し、カードで解繊した後クロスラッパーウェバーで目付370g/mのウェブ(Wa1)とした。別途、海成分として前記と同一の低密度ポリエチレンを50部と、島成分として数平均分子量が11000のナイロン6を50部原料チップにて混合しつつ同一溶融系で溶融紡糸して、単繊維繊度10デシテックスの海島型繊維(b’)を得た。この繊維を、油剤を混和した湿熱浴中で3.0倍に延伸し、捲縮を付与した後、繊維長51mmに切断し、カードで解繊した後クロスラッパーウェバーで目付370g/mのウェブ(Wb1)とした。こうして得た2種類のウェブ(Wa1)(Wb1)を積層して、総目付 755g/m、(Wa1)/(Wb1)タイプの積層ウェブとした後、ニードルパンチによる絡合処理を施す。使用するニードルは、第一バーブが先端から5mmの位置にあるものを用い、ウェブ(Wa1)面側からは突き刺し深さ8mmで、ウェブ(Wb1)面側からは突き刺し深さ4.5mmでウェブ(Wa1)の外側の面に海島型繊維(b’)が実質的には混在しないような条件で各面側それぞれに600パンチ/cm、合計1200/cmパンチ処理した。続いて、この不織布を120℃の乾燥機内で加熱し、ポリエチレンが軟化した状態で2本のロールでプレスして、厚さが1.9mmになるように調整した。
この絡合不織布に、絡合不織布に含浸するポリエーテル系ポリウレタンを主体とするポリウレタン組成物17.5質量部とジメチルホルムアミド82.5質量部よりなる溶液をポリウレタン溶液の樹脂に対する顔料濃度を0.5%となる様に青色の顔料を添加して含浸し、凝固、水洗後、複合繊維中のポリエチレンを抽出除去して、海島型繊維(a’)(b’)ともに極細繊維化することにより、ナイロン6極細繊維束状繊維とポリウレタンとからなる厚さ1.32mm、目付け470g/mの基体層を得た。得られた基体層のA面側(極細繊維束(a)から構成されている面)の極細繊維束(a)の平均単繊度は0.07デシテックス、束繊度は2.3デシテックスであり、B面側(極細繊維(b)から構成されている面)の極細繊維束(b)の平均単繊度は0.0007デシテックス、束繊度は1.7デシテックスであった。そして、電子顕微鏡でA面側を観察したところ、実質的に極細繊維束(a)のみからなり、極細繊維束(b)は見当たらなかった。更にB面側を観察したところ極細繊維束(b)と極細繊維束(a)とが混在している状態が観察された。
このようにして得られた基体層の極細繊維束(a)からなる面に、実施例と同じ条件にて乾式造面を行った。その後60℃×48時間キュアリングを行った後に離型紙を剥がし、揉み加工を行うことによって銀面層が50μmで、黒色の銀付き調皮革様シートを得た。得られた銀付き調皮革様シートの評価結果を表1に示す。表1から明らかなように、この銀付き調皮革様シートは、厚さ方向に傾斜感を感じ、ソフトで横伸びが小さいという天然皮革調の風合いを有するものであった。該銀付き調皮革様シートをアッパー材に用いてサッカーシューズを作成したところ、履き心地に優れたものであった。しかしながら、長期に渡る過酷な使用によって、特に負荷のかかる踵周辺部位にゴム製のアウト・ソールとの接着部分における剥がれが発生するなど、剥離強力、耐久性に劣るものであった。
比較例2
溶融流動特性の異なる二種のポリマーをそれぞれ独立した溶融系で溶融し、両溶融物の接合−分割を連続的に繰り返して両者のモザイク状複合断面形状を形成する口金により溶融紡糸する海島型複合紡糸装置を用い、海成分となる側にメルトインデックス(MI)が70の低密度ポリエチレンが45部、他方の島成分となる側に、数平均分子量が11000のナイロン6が55部となるように原料チップを仕込み、溶融紡糸して繊度10デシテックスの海島型繊維(a’)を得た。この繊維を、油剤を混和した湿熱浴中で2.5倍に延伸し、捲縮を付与した後、繊維長51mmに切断し、カードで解繊した後クロスラッパーウェバーで目付380g/mのウェブ(Wa1)とした。別途、海成分として前記と同一の低密度ポリエチレンを50部と、島成分として数平均分子量が11000のナイロン6を50部原料チップにて混合しつつ同一溶融系で溶融紡糸して、単繊維繊度10デシテックスの海島型繊維(b’)を得た。この繊維を、油剤を混和した湿熱浴中で3.0倍に延伸し、捲縮を付与した後、繊維長51mmに切断し、カードで解繊した後クロスラッパーウェバーで目付355g/mのウェブ(Wb1)とした。こうして得た2種類のウェブ(Wa1)(Wb1)を積層して、総目付 750g/m、(Wa1)/(Wb1)タイプの積層ウェブとした後、ニードルパンチによる絡合処理を施す。使用するニードルは、第一バーブが先端から5mmの位置にあるものを用い、ウェブ(Wa1)面側からは突き刺し深さ8mmで、ウェブ(Wb1)面側からは突き刺し深さ4.5mmでウェブ(Wa1)の外側の面に海島型繊維(b’)が実質的には混在しないような条件で各面側それぞれに600パンチ/cm、合計1200/cmパンチ処理した。続いて、この絡合不織布を120℃の乾燥機内で加熱し、ポリエチレンが軟化した状態で2本のロールでプレスして、厚さが1.9mmになるように調整した。
この不織布に、不織布に含浸するポリエーテル系ポリウレタンを主体とするポリウレタン組成物17.5質量部とジメチルホルムアミド82.5質量部よりなる溶液をポリウレタン溶液の樹脂に対する顔料濃度を0.5%となる様に青色の顔料を添加して含浸し、凝固、水洗後、複合繊維中のポリエチレンを抽出除去して、極細繊維発生型繊維(a’)(b’)ともに極細繊維化することにより、ナイロン6極細繊維束状繊維とポリウレタンとからなる厚さ1.33mm、目付け475g/mの基体層を得た。得られた基体層のA面側(極細繊維束(a)から構成されている面)の極細繊維束(a)の平均単繊度は0.07デシテックス、束繊度は2.2デシテックスであり、B面側(極細繊維束(b)から構成されている面)の極細繊維束(b)の平均単繊度は0.0007デシテックス、束繊度は1.7デシテックスであった。そして、電子顕微鏡でA面側を観察したところ、実質的に極細繊維束(a)のみからなり、極細繊維束(b)はほとんど見当たらなかった。更にB面側を観察したところ極細繊維束(b)と極細繊維束(a)とが混在している状態が観察された。
このようにして得られた基体層の極細繊維束(a)からなる面に、実施例と同じ条件にて乾式造面を行った。その後60℃×48時間キュアリングを行った後に離型紙を剥がし、揉み加工を行うことによって銀面層が50μmで、黒色の銀付き調皮革様シートを得た。得られた銀付き調皮革様シートの評価結果を表1に示す。表1から明らかなように、この銀付き調皮革様シートは、厚さ方向に傾斜感を感じ、ソフトで横伸びが小さいという天然皮革調の風合いをもつものであった。該銀付き調皮革様シートをアッパー材に用いてサッカーシューズを作製したところ、履き心地に優れたものであったが、比較例1と同様に長期に渡る過酷な使用において、ゴム製のアウト・ソールとの接着部分における剥がれが発生するなど、剥離強力、耐久性に劣るものであった。
Figure 2008121132

Claims (4)

  1. ポリアミド極細繊維束からなる絡合不織布およびその内部に充填された弾性重合体(I)からなる基体層の片面に弾性重合体(II)からなる銀面層が積層された銀付き調皮革様シートにおいて、該基体層の銀面層側の面(A面)を構成する極細繊維束(a)と該基体層の銀面層側の面と反対側の面(B面)を構成する極細繊維束(b)は共に、数平均分子量が同一、かつ17000〜20000の範囲にあるポリアミドから構成され、極細繊維束(a)を構成する極細繊維の平均単繊維繊度が0.01〜0.5デシテックスであり、極細繊維束(b)を構成する極細繊維の平均単繊維繊度が極細繊維束(a)を構成する極細繊維の平均単繊維繊度の60%以下であり、極細繊維束(a)および極細繊維束(b)の束繊度が実質的に同一であることを特徴とする銀付き調皮革様シート。
  2. 極細繊維束(a)と極細繊維束(b)を構成するポリアミドが同一である請求項1に記載の銀付き調皮革様シート。
  3. 基体層のB面には極細繊維束(a)が混入しているが、A面には極細繊維束(b)が実質的に混在していない請求項1または2に記載の銀付き調皮革様シート。
  4. 請求項1〜3いずれか1項に記載された銀付き調皮革様シートを用いたスポーツ靴。
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