JP2010222185A - 異方形状粉末及び結晶配向セラミックスの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】前駆体1を酸処理し加熱して得られ、結晶面{100}面が配向する配向粒子からなる異方形状粉末、及びこの異方形状粉末を用いて得られる結晶配向セラミックスである。異方形状粉末は、次のようにして得られる。まず、所定の組成のビスマス層状ペロブスカイト型化合物を前駆体1の目的組成とし、この目的組成とは異なる配合割合で原料を混合して原料混合物を作製する。次いで、原料混合物を加熱することにより、前駆体1を合成する。前駆体1を3時間以上酸処理して酸処理体を得る酸処理体に、K源及び/又はNa源を添加し、フラックス中で加熱することにより、異方形状粉末を得る。
【選択図】図1
Description
例えば、非鉛系の中でも相対的に高い圧電特性を示す等方性ペロブスカイト型ニオブ酸カリウムナトリウムや、その固溶体からなる圧電セラミックスがある(特許文献1〜6参照)。しかし、これらの無鉛圧電セラミックスは、PZT系の圧電セラミックスに比べてまだ充分な圧電特性を発揮できないという問題があった。
一般式(1)(Bi2O2)2+{Bi0.5(KaNa1-a)m-1.5(Nb1-bTab)mO3m+1}2-(ここで、5<m≦10、0≦a≦0.8、0.02≦b≦0.4)で表されるビスマス層状ペロブスカイト型化合物を上記前駆体の目的組成とすると、該目的組成におけるmの値に対してm+0.5以上という仕込み組成の配合割合で、Bi源、Na源、Nb源、及びTa源と必要に応じて添加されるK源とを混合して原料混合物を作製する調合工程と、
上記原料混合物を温度1100℃以上で2時間以上加熱することにより、上記前駆体を合成する合成工程と、
上記前駆体を3時間以上酸処理して酸処理体を得る酸処理工程と、
上記酸処理体に、K源及び/又はNa源を添加し、NaCl及び/又はKClを主成分とするフラックス中で加熱する加熱工程とを行って得られることを特徴とする異方形状粉末にある(請求項1)。
異方形状粉末と、該異方形状粉末と反応する反応原料粉末とを、一般式(2){Lix(K1-yNay)1-x}(Nb1-z-wTazSbw)O3(但し、0≦x≦0.2、0≦y≦1、0≦z≦0.4、0≦w≦0.2、x+z+w>0)で表される上記等方性ペロブスカイト型化合物を生成する配合割合で混合することにより原料混合物を作製する混合工程と、
上記異方形状粉末の結晶面{100}面が略同一の方向に配向するように、上記原料混合物を成形して成形体を作製する成形工程と、
上記成形体を加熱することにより、上記異方形状粉末と上記反応原料粉末とを反応させると共に焼結させ、上記結晶配向セラミックスを得る焼成工程とを有し、
上記異方形状粉末としては、上記第1の発明の異方形状粉末を採用することを特徴とする結晶配向セラミックスの製造方法にある(請求項7)。
上記調合工程においては、上述のごとく、上記一般式(1)で表される目的組成におけるmの値に対して、m+0.5以上という上記仕込み組成の配合割合で、上記原料混合物を作製する。そして、上記合成工程においては、上記原料混合物を温度1100℃以上で2時間以上加熱することにより、上記異方形状粉末の上記前駆体を得る。
このようにして得られる上記前駆体は、従来用いられていたビスマス層状ペロブスカイト型化合物がm≦5であるのに対し(図2参照)、生成が困難とされるm>5のビスマス層状ペロブスカイト型化合物からなる(図1参照)。該ビスマス層状ペロブスカイト型化合物の結晶構造においては、ビスマス層に挟まれるペロブスカイト型化合物層の数であるmが5を越える。そのため、結晶の配向性が向上し、組成中に含まれるBi量が低下する。
該異方形状粉末は、例えば一般式(4)(KgNa1-g)(Nb1-bTab)O3(但し、0≦g≦0.8、0.02≦b≦0.4)で表される等方性ペロブスカイト型の5価金属酸アルカリ化合物を主成分とする。
かかる異方形状粉末を用いて結晶配向セラミックスを製造すると、高配向度及び高密度を兼ね備え、優れた圧電特性を発揮できる結晶配向セラミックスを作製することができる。
そのため、高密度かつ高配向度で、圧電特性に優れた結晶配向セラミックスを製造することができる。
この場合には、上記異方形状粉末を用いて、圧電特性に優れた上記等方性ペロブスカイト型化合物を主相とする上記結晶配向セラミックスを高密度かつ高配向度で得ることができる。
また、加熱(焼成)後に得られる実際の結晶配向セラミックスの組成は、上記一般式(2)で表される組成から若干ずれる場合がある。具体的には、例えば上記一般式(2)で表される組成をペロブスカイト構造の組成式ABO3にあてはめたときに、Aサイト原子とBサイト原子の構成比が1:1である組成に対して、Aサイト欠陥が生じてAサイト原子の構成比が5%程度減少した組成になる場合がある。即ち、例えば一般式(2’){Lix(K1-yNay)1-x}c(Nb1-z-wTazSbw)O3(但し、0≦x≦0.2、0≦y≦1、0≦z≦0.4、0≦w≦0.2、x+z+w>0、0.95≦c≦1.0)で表される等方性ペロブスカイト型化合物を得ることができる。好ましくは、0.97≦c≦1.0がよい。
上記一般式(2)におけるyの範囲は、0<y≦1であることがより好ましい。
この場合には、上記一般式(2)で表される化合物において、Naが必須成分となる。そのため、この場合には、上記結晶配向セラミックスの圧電g31定数をさらに向上させることができる。
また、上記一般式(2)におけるyの範囲は、0≦y<1とすることができる。
この場合には、上記一般式(2)で表される化合物において、Kが必須成分となる。そのため、この場合には、上記結晶配向セラミックスの圧電d31定数等の圧電特性をさらに向上させることができる。また、この場合には、K添加量の増加に伴い、より低温での焼結が可能になるため、省エネルギーかつ低コストで上記結晶配向セラミックスを作製することができる。
また、上記一般式(2)において、yは、0.05≦y≦0.75であることがより好ましく、0.20≦y≦0.70であることがさらに好ましい。これらの場合には、上記結晶配向セラミックスの圧電d31定数及び電気解決合計数Kpを一層向上させることができる。さらに一層好ましくは、0.20≦y<0.70がよく、さらには0.35≦y≦0.65がよく、さらには0.35≦y<0.65がより好ましい。また、最も好ましくは、0.42≦y≦0.60がよい。
上記一般式(2)におけるxの範囲は、0<x≦0.2であることが好ましい。
この場合には、上記一般式(2)で表される化合物において、Liが必須成分となるので、上記結晶配向セラミックスは、その作製時の焼成を一層容易に行うことができると共に、圧電特性がより向上し、キュリー温度(Tc)を一層高くすることができる。これは、Liを上記のxの範囲内において必須成分とすることにより、焼成温度が低下すると共に、Liが焼成助剤としての役割を果たし、空孔の少ない焼成を可能にするからである。
xの値が0.2を越えると、圧電特性(圧電d31定数、電気機械結合係数kp、圧電g31定数等)が低下するおそれがある。
この場合には、上記一般式(2)は、(K1-yNay)a(Nb1-z-wTazSbw)O3で表される。そしてこの場合には、上記結晶配向セラミックスを作製する際に、その原料中に例えばLiCO3のように、最も軽量なLiを含有してなる化合物を含まないので、原料を混合し上記結晶配向セラミックスを作製するときに原料粉の偏析による特性のばらつきを小さくすることができる。また、この場合には、高い比誘電率と比較的大きな圧電g定数を実現できる。上記一般式(2)において、xの値は、0≦x≦0.15がより好ましく、0≦x≦0.10がさらに好ましい。
上記一般式(2)におけるzの範囲は、0<z≦0.4であることが好ましい。
この場合には、上記一般式(2)で表される化合物において、Taが必須成分となる。そのため、この場合には、焼結温度が低下すると共に、Taが焼結助剤の役割を果たし、上記結晶配向セラミックス中の空孔を少なくすることができる。
この場合には、上記一般式(2)は、{Lix(K1-yNay)1-x}a(Nb1-wSbw)O3で表される。そして、この場合には、上記一般式(2)で表される化合物はTaを含まない。そのためこの場合には、上記一般式(2)で表される化合物は、その作製時に高価なTa成分を使用することなく、優れた圧電特性を示すことができる。
上記一般式(2)において、zの値は、0≦z≦0.35がより好ましく、0≦z≦0.30がさらに好ましい。
また、上記一般式(2)におけるwの値は、0<w≦0.2であることが好ましい。
この場合には、上記一般式(2)で表される化合物において、Sbが必須成分となる。そのため、この場合には、焼結温度が低下し、焼結性を向上させることができると共に、誘電損失tanδの安定性を向上させることができる。
一方、上記結晶配向セラミックスは、基本組成であるニオブ酸カリウムナトリウム(K1-yNayNbO3)に対して、Li、Ta、Sb等の置換元素の量を変化させることにより、第1の結晶相転移温度ならびに第2の結晶相転移温度を自由に変えることができる。
結晶相転移温度実測値の重回帰分析を行った結果を下記の式B1、式B2に示す。
式B1及び式B2から、Li置換量は第1の結晶相転移温度を上昇させ、かつ、第2の
結晶相転移温度を低下させる作用を有することがわかる。また、TaならびにSbは第1
の結晶相転移温度を低下させ、かつ、第2の結晶相転移温度を低下させる作用を有するこ
とがわかる。
第1の結晶相転移温度=(388+9x−5z−17w)±50[℃]・・・(式B1)
第2の結晶相転移温度=(190−18.9x−3.9z−5.8w)±50[℃]・・・(式B2)
一方、製品の使用環境上限温度は、用途により異なり、60℃、80℃、100℃、120℃、140℃、160℃などである。製品の使用環境下限温度は−30℃、−40℃などである。
また、式B2に示す第2の結晶相転移温度は、10℃以下が望ましいため、「x」、「z」、「w」は(190−18.9x−3.9z−5.8w)−50≦10を満足することが望ましい。
即ち、上記一般式(2)は、9x−5z−17w≧−318、及び−18.9x−3.9z−5.8w≦−130という関係を満足することが好ましい。
「特定の結晶面が配向する」とは、上記ペロブスカイト型化合物の特定の結晶面が互いに平行になるように、各結晶粒が配列していること(以下、このような状態を「面配向」という。)を意味する。
また、上記ペロブスカイト型化合物の結晶系が正方晶の場合において、配向させる特定の結晶面は擬立方{100}面が好ましい。この場合には、上記結晶配向セラミックスの圧電特性等をより向上させることができる。
特定の結晶面が面配向している場合において、面配向の程度は、次の数1の式で表されるロットゲーリング(Lotgering)法による平均配向度F(HKL)で表すことができる。
また、配向させる特定の結晶面は、分極軸に垂直な面であることが好ましい。
本発明において、「異方形状」とは、幅方向又は厚さ方向の寸法に比して、長手方向の寸法が大きいことをいう。具体的には、板状、柱状、鱗片状、針状等の形状が好適な例として挙げられる。
これにより、例えば一般式(4)(KgNa1-g)(Nb1-bTab)O3(但し、0≦g≦0.8、0.02≦b≦0.4)で表される等方性ペロブスカイト型の5価金属酸アルカリ化合物を主成分とする上記異方形状粉末を作製することができる。
上記一般式(1)におけるbの値は、上記一般式(4)におけるbの値と同じ値である。即ち、上記一般式(1)で表されるビスマス層状ペロブスカイト型化合物は、上記一般式(4)で表される5価金属酸アルカリ化合物と、Nb及びTaの原子比率が等しい。
上記一般式(1)において、a又はbの値が上記特定の範囲から外れる場合には、例えば上記一般式(4)で表される上記異方形状粉末を得ることができなくなり、その結果、
高配向度の結晶配向セラミックスを得ることが困難になり、圧電特性に優れた結晶配向セラミックスを得ることが困難になるおそれがある。
また、mが5以下の場合には、上記前駆体のBi量が多くなり、上記酸処理工程においても充分にBiを除去することが困難になるおそれがある。その結果、Bi含有量の低い異方形状粉末を得ることが困難になり、該異方形状粉末を用いても配向度の高い結晶配向セラミックスを製造することが困難になるおそれがある。また、mが10を越えると、その合成時においてビスマス層状ペロブスカイト型化合物の異方形状粉末以外にペロブスカイトの非異方形状微粒子が発生するおそれがある。
目的組成通りの配合を行った場合や目的組成のmの値に比べての増加分が0.5未満の場合には、Bi残存量の少ない上記異方形状粉末を得ることができなくなるおそれがある。
上記仕込み組成が上記目的組成のmに対してm+1.5を越える場合には、目的組成以外の副生成物が異方形状粉末の周囲に付着し易くなる。その結果、かかる異方形状粉末を用いても、高配向度の結晶配向セラミックスを得ることができなくなるおそれがある。より好ましくは、m+1.0以下がよい。
また、上記一般式(1)からも知られるごとく、K源は任意成分であり、必要に応じて添加することができる。
加熱温度が1100℃未満の場合又は加熱時間が2時間未満の場合には、上記一般式(1)においてm>5である上記ビスマス層状ペロブスカイト型化合物を生成することが困難になるおそれがある。
また、上記合成工程後であって上記酸処理工程の前においては、湯洗を行ってフラックスを取り除くことができる。
酸処理の時間が3時間未満の場合には、Biを充分に除去することができず、Bi残存量を例えば1モル%以下にまで低下させることができなくなるおそれがある。
ここでBiの含有量(残存量)は例えば、例えばX線マイクロアナライザ(WDXやEDX)を用いることで容易に測定することができる。
上記K源としては、例えばK2CO3、KHCO3等の少なくともK元素を含む化合物を用いることができる。また、上記Na源としては、例えばNa2CO3、NaHCO3等の少なくともNa元素を含む化合物を用いることができる。
上記ビスマス層状ペロブスカイト型化合物は、上記酸処理を行なうことによって、ビスマス層が酸に溶出し水素置換され、ペロブスカイト層中のビスマスが酸に溶出する。また、同時にペロブスカイト層中のK及び/又はNaの少なくとも一部が溶出し、Na欠陥及び/又はK欠陥を形成することができる。その結果、上記酸処理体は、ペロブスカイト化合物の構造を含んだ複雑な構造を有し、上記酸処理体をペロブスカイト型組成物ABOαと見なすと、A/B=0.35〜0.65(但し、AはK、Naの合計モル数、BはNb、Taの合計モル数、αは2<α<4.5)の範囲となる。従って、上記K源及び/又は上記Na源中に含まれるK元素とNa元素とが合計で1モル未満の場合には、上記酸処理体中の上記Na欠陥及び/又は上記K欠陥をK及び/Naで十分に置換させることができなくなり、その結果、上記異方形状粉末にAサイト欠陥が多く発生するおそれがある。一方、5モルを超える場合には、フラックス中での加熱時に、異方形状粉末同士が融着するおそれがある。
上記半値幅が8°を越える場合には、最終的に得られる結晶配向セラミックスの配向度にばらつきが発生し、その結果、圧電特性の低い結晶配向セラミックスが製造されるおそれがある。より好ましくは6°以下がよい。
即ち、上記異方形状粉末についてX線回折を行い、上記配向面に由来するピーク位置付近にθ角を固定してさらにX線回折測定を行う。次いで、得られたX線回折パターン(山形波形)について、その最大強度が半分になる強度におけるピーク幅を求め、これを半値幅(全半値幅)とする。
上記基板としては、例えば平滑な硝子基板等を用いることができる。
この場合には、上記基板上に上記異方形状粉末を簡単に単層で配列させることができる。また、アルコール系有機溶媒を用いることにより、短時間で簡単に乾燥を行うことができる。アルコール系有機溶媒としては、例えばエタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール(IPA)、ブタノール、ペンタノール等を用いることができる。
上記異方形状粉末の濃度が2wt%未満の場合には、ロッキングカーブ法によって半値幅を測定する際に、X線回折パターンのピーク強度が十分に得られなくなり、正確な半値幅の測定が困難になるおそれがある。一方、4wt%を越える場合には、上記異方形状粉末を単層で配列させることが困難になるおそれがある。
上記混合工程においては、上記異方形状粉末と、該異方形状粉末と反応することにより上記一般式(2)で表される上記等方性ペロブスカイト型化合物を生成する反応原料粉末とを混合することにより原料混合物を作製する。
上記反応原料粉末の粒径が上記異方形状粉末の粒径の1/3を超える場合には、上記成形工程において、上記異方形状粉末の上記配向面が略同一の方向に配向するように、上記原料混合物を成形することが困難になるおそれがある。より好ましくは、1/4以下がよく、さらには1/5以下がよい。
上記反応原料粉末と上記異方形状粉末との粒径の比較は、上記反応原料粉末の平均粒径と上記異方形状粉末の平均粒径とを比較することによって行うことができる。なお、上記異方形状粉末の粒径及び上記反応原料粉末の粒径は、いずれも最も長尺の径のことをいう。
また、上記原料源の混合は、一般式(3){Lip(K1-qNaq)1-p}(Nb1-r-sTarSbs)O3(但し、0≦p≦1、0≦q≦1、0≦r≦1、0≦s≦1)で表される等方性ペロブスカイト型化合物が生成する配合割合で行うことが好ましい(請求項9)。
これらの場合には、上記焼成工程後に目的組成の上記等方性ペロブスカイト型化合物を容易に生成することができる。
上記反応原料粉末の具体的な組成は、上記異方形状粉末及び作製しようとする例えば一般式(2)で表される等方性ペロブスカイト型化合物の組成に応じて決定できる。
仮焼温度が700℃を越えると仮焼が過剰に進行し易くなる。そのため、上記反応原料粉末の結晶成長が過剰に進行し、上記反応原料粉末の多くが結晶整合性の高いペロブスカイト化合物となるおそれがある。その結果、上記反応原料粉末の結晶の整合性が整い、また、平均一次粒径が大きくなる。かかる反応原料粉末は、焼成工程において上記異方形状粉末との反応性が低く、結晶配向セラミックスが緻密化し難くなるおそれがある。
上記混合工程においては、所定の比率で配合された上記異方形状粉末、及び上記反応原料粉末に対して、さらにこれらの物質の反応によって得られる等方性ペロブスカイト型化合物と同一組成の化合物からなる不定形の微粉(以下、これを「化合物微粉」という。)を添加することができる。また、例えばCuO等の焼結助剤を添加することもできる。上記化合物微粉や上記焼結助剤を添加すると、焼結体の緻密化がさらに容易になるという利点がある。
この場合には、上記添加元素を含有する多結晶体からなる上記結晶配向セラミックスを作製することができる。これにより、結晶配向セラミックスの圧電d33定数、電気機械結合係数Kp、圧電g31定数等の圧電特性や、比誘電率、誘電損失等の誘電特性を向上させることができる。上記添加元素は、上記一般式(2)で表される化合物のAサイトやBサイトに対して、置換添加されていても良いが、外添加されて上記一般式(2)で表される化合物の粒内又は粒界中に存在することもできる。
即ち、上記添加元素は、上記異方形状粉末を合成する際に添加することができる。
また、上記添加元素は、上記反応原料粉末を合成する際に添加することができる。
また、上記添加元素は、上記混合工程において、上記反応原料粉末及び上記異方形状粉末と共に添加することができる。
このような方法によって上記添加元素を添加することにより、上記添加元素を含有する上記原料混合物を簡単に得ることができる。そして、該原料混合物を成形及び焼成することにより、上記添加元素を含有する多結晶体からなる上記結晶配向セラミックスを得ることができる。
また、上記添加元素は、添加元素単体で添加されていても良いが、上記添加元素を含む酸化物や化合物として添加されていても良い。
上記添加元素が0.0001mol未満の場合には、上記添加元素による上記圧電特性等の向上効果を充分に得られないおそれがある。一方、0.15molを超える場合には、上記結晶配向セラミックスの圧電特性や誘電特性がかえって低下するおそれがある。
この場合には、上記添加元素が上記等方性ペロブスカイト型化合物に置換添加された上記結晶配向セラミックスを得ることができる。かかる結晶配向セラミックスは、より一層優れた圧電d33定数や電気機械結合係数Kp等の圧電特性、及びより一層優れた比誘電率ε33T/ε0等の誘電特性を示すことができる。
上記添加元素が0.01at%未満の場合には、上記結晶配向セラミックスの圧電特性や誘電特性の向上効果が充分に得られないおそれがある。一方、15at%を超える場合には、上記結晶配向セラミックスの圧電特性や誘電特性がかえって低下するおそれがある。より好ましくは、0.01〜5at%がよく、さらに好ましくは、0.01〜2at%がよく、さらにより好ましくは、0.05〜2at%がよい。
ここで、「at%」とは、上記一般式(1)で表される化合物におけるLi、K、Na、Nb、Ta、及びSbの原子の数に対する置換された原子の数の割合を100分率で示したものである。
上記成形工程は、上記異方形状粉末の上記配向面({100}面)が略同一の方向に配向するように、上記原料混合物を成形して成形体を作製する工程である。
成形方法については、上記異方形状粉末を配向させることが可能な方法であればよい。上記異方形状粉末を面配向させる成形方法としては、具体的にはドクターブレード法、プレス成形法、圧延法等が好適な例としてあげられる。
この場合には、上記面配向成形体に対して、いずれか1種類の面配向処理を行うこともできるが、2種以上の面配向処理を行うこともできる。また、上記面配向成形体に対して、1種類の面配向処理を繰り返し行うこともでき、また、2種以上の面配向処理をそれぞれ複数回繰り返し行うこともできる。
厚みが200μmを越えると、上記成形体中で上記異方形状粉末を略同一方向に配向させることが困難になるおそれがある。
厚みが30μm未満の場合には、作製時における成形体の取り扱いが非常に困難になるおそれがある。また、配向度の差が10%を超えると、焼成工程後に得られる結晶配向セラミックス内部の配向度が大きくばらつき、良好な特性が得られなくなるおそれがある。より好ましくは上記成形体配向度の差は5%以下がよく、さらにより好ましくは3%以下がよい。
上記焼成工程は、上記成形体を加熱し、上記異方形状粉末と上記反応原料粉末とを焼結させる工程である。上記焼成工程においては、上記成形体を加熱することにより焼結が進行し、等方性ペロブスカイト型化合物を主相とする多結晶体からなる結晶配向セラミックスを作製することができる。このとき、上記異方形状粉末と上記反応原料粉末とを反応させて、例えば上記一般式(2)で表される上記等方性ペロブスカイト型化合物を生成させることができる。また、上記焼成工程においては、上記異方形状粉末及び/又は反応原料粉末の組成によっては、余剰成分も同時に生成する。
例えば、上記異方形状粉末を用いて、上記一般式(2)で表される化合物からなる結晶配向セラミックスを作製する場合には、上記焼成工程における加熱は、温度900℃〜1300℃で行うことができる。この温度範囲においてさらに最適な加熱温度は、目的物質である上記一般式(2)で表される化合物の組成に応じて決定できる。さらに、加熱時間は、所望の焼結体密度が得られるように、加熱温度に応じて最適な時間を選択することができる。
この場合には、任意の厚みで上記結晶配向セラミックスを作製することができる。即ち、上記成形工程においては、上記成形体中で上記異方形状粉末を略同一方向に配向させる必要があるため、大きな厚みで成形を行うことは好ましくない。上記のごとく、成形体を積層することにより、厚みの大きな結晶配向セラミックスを、配向度を低下させることなく作製することができる。
次に、本発明の実施例について説明する。
本例は、結晶面{100}面が配向する配向粒子からなる異方形状粉末を用いて結晶配向セラミックスを作製する例である。
本例の異方形状粉末は、調合工程と合成工程と酸処理工程と加熱工程とを行って得られる。
調合工程においては、一般式(1)(Bi2O2)2+{Bi0.5(KaNa1-a)m-1.5(Nb1-bTab)mO3m+1}2-(ここで、5<m≦10、0≦a≦0.8、0.02≦b≦0.4)を上記前駆体の目的組成とすると、該目的組成におけるmの値に対してm+0.5以上という仕込み組成の配合割合で、Bi源、Na源、Nb源、及びTa源と必要に応じて添加されるK源とを混合して原料混合物を作製する。本例においては、一般式(1)においてm=7、a=0、b=0.07の場合、即ち、(Bi2O2){Bi0.5Na5.5(Nb0.93Ta0.07)7O22}(又はBi2.5Na5.5(Nb0.93Ta0.07)7O24)を前駆体の目的組成とする。そして、m+0.5、即ち(Bi2O2){Bi0.5Na6(Nb0.93Ta0.07)7.5O23.5}(又はBi2.5Na6(Nb0.93Ta0.07)7.5O25.5)という仕込み組成の配合割合で各元素源を混合して原料混合物を作製する。
具体的には、まず、前駆体の目的組成Bi2.5Na5.5(Nb0.93Ta0.07)7O24に対して、上述のm+0.5、即ちBi2.5Na6(Nb0.93Ta0.07)7.5O25.5という組成(仕込み組成)になるような化学量論比で、Bi2O3粉末、NaHCO3粉末、Nb2O5粉末、及びTa2O5粉末を秤量し、湿式混合した(調合工程)。次いで得られた原料混合物100重量部に対して、フラックスとしてNaClを80重量部添加し、1時間乾式混合した。
次に、原料混合物を白金るつぼ中で温度1120℃で2時間加熱した(合成工程)。その後、反応物を湯洗してフラックスを取り除くことで、前駆体を得た。得られた前駆体は{001}面を配向面(最大面)とする板状粉末であった。
具体的には、X線マイクロアナライザ(堀場製作所製EX−250)用いて組成分析を行い、Bi量を測定した。その結果を後述の表1に示す。
具体的には、まず、異方形状粉末をエタノール中に投入した。異方形状粉末の投入量は3wt%とした。次いで、超音波分散機((株)島津理化製のSUS−103)を用いて、28kHzで2分間異方形状粉末を均一に分散させ、分散液を得た。次いで、表面が平滑なガラス基板上に分散液を滴下し、その後乾燥させた。これにより、ガラス基板上に異方形状粉末を単層で配列させた。
次いで、基板上に配列させた異方形状粉末のX線回折強度を測定した。X線回折強度の測定は、X線回折装置((株)リガク製のRINT−TTR)を用いて、CuKα線、50kV/300mAという条件のX線回折(2θ法)により、任意の角度0〜180°(本例においては20°〜50°)の範囲で行った。次いで、得られたX線回折パターンにおいて、{100}面に由来するピークの位置(θ=約22°の位置)にθ角を固定してX線回折(θ法)を行い、得られる山形波形(ロッキングカーブ)の最大強度が半分になる強度におけるピーク幅(全幅)を求めた。これを半値幅とした。その結果を後述の表1に示す。
即ち、試料c2の作製にあたっては、まず、(Bi2O2){Bi0.5Na3.5Nb5O16(一般式(1)におけるm=5)いう目的組成に対して、m=0、即ちこの目的組成となる化学量論比でBi2O3粉末(Bi源)、NaHCO3粉末(Na源)、及びNb2O5粉末(Nb源)を秤量し、湿式混合を行って、原料混合物を作製した。次いで、上記試料e1の場合と同様に、原料混合物100重量部に対して、フラックスとしてNaClを80重量部添加し、1時間乾式混合した。次いで、原料混合物を白金るつぼ中で温度1050℃で5時間加熱した(合成工程)。その後、反応物を湯洗してフラックスを取り除くことで、前駆体を得た。次いで、前駆体1molに対して、Na源としてのNaHCO3粉末を2mol添加し、これらの混合物100重量部対してフラックスとしてのNaClを80重量部添加し、1時間乾式混合した。次に、得られた混合物を白金るつぼ中で、温度950℃で8時間加熱した(加熱工程)。その後、反応物を湯洗してフラックスを取り除くことで異方形状粉末(試料c2)を得た。
また、一般式(1)においてm=5という組成を目的組成とし、この目的組成通りに配合を行い、さらに酸処理を行わずに作製した試料c2においては、ビスマス量は少ないものの、半値幅が高く、配向度が不十分であった。
さらに、一般式(1)においてm=12という組成を目的組成として作製した試料c4においては、ビスマス量は少ないものの、半値幅が非常に高く配向度が不十分になっていた。
図1に、一般式(1)においてm=10であるビスマス層状ペロブスカイト型化合物(試料e2の作製に用いた前駆体)の結晶構造を示す。また、図2に、一般式(1)においてm=5である従来用いられていたビスマス層状ペロブスカイト型化合物(試料c2の作製に用いた前駆体)の結晶構造を示す。
図1及び図2より知られるごとく、一般式(1)で表されるビスマス層状ペロブスカイト型化合物1、9は、ビスマス層11、91(Bi2O2層)の間に、ペロブスカイト型化合物層12、92が挟まれた結晶構造を有している。ここで、mは、ビスマス層11、19に挟まれたペロブスカイト型化合物層12、92の数を表す。
試料e1〜試料e3においては、図1に示すごとく、ビスマス層11に挟まれるペロブスカイト型化合物層12が5層をより多く、10層以下(図1においては10層)という特徴的な構造の前駆体を用いた。
これに対し、試料c2及び試料c3においては、図2に示すごとく、ビスマス層91に挟まれるペロブスカイト型化合物層92が5層以下(図2においては5層)という従来用いられていた前駆体を用いた。
次に、本例においては、実施例1で作製した異方形状粉末を用いて、結晶配向セラミックスを作製する。
本例においては、混合工程と、成形工程と、焼成工程とを行うことにより、(Li0.06K0.423Na0.517)(Nb0.835Ta0.1Sb0.065)O3で表される等方性ペロブスカイト型化合物を主相とする多結晶体からなり、該多結晶体を構成する結晶粒の結晶面{100}面が配向する結晶配向セラミックスを作製する。
混合工程においては、異方形状粉末と、該異方形状粉末と反応することにより上記一般式(2)で表される上記等方性ペロブスカイト型化合物を生成する反応原料粉末とを混合することにより原料混合物を作製する。
成形工程においては、上記異方形状粉末の結晶面{100}が略同一の方向に配向するように、上記原料混合物を成形して成形体を作製する。
また、焼成工程においては、上記成形体を加熱することにより、上記異方形状粉末と上記反応原料とを反応させると共に焼結させ、上記結晶配向セラミックスを得る。
即ち、まず、異方形状粉末(試料e1)と反応原料粉末との焼結後の目的組成である(Li0.06K0.423Na0.517)(Nb0.835Ta0.1Sb0.065)O3という化学量論組成1モルから、異方形状粉末(試料e1)0.05モルを差し引いた組成となるように、市販のNaHCO3粉末、KHCO3粉末、Li2CO3粉末、Nb2O5粉末、Ta2O5粉末、及びNaSbO3粉末を秤量し、有機溶剤を媒体としてZrO2ボールで20時間の湿式混合を行った。その後、750℃で5時間仮焼し、さらに有機溶剤を媒体としてZrO2ボールで20時間の湿式粉砕を行うことで平均粒径が約0.5μmの仮焼物粉体(反応原料粉末)を得た。
また、試料E1と同様に、実施例1で作製した各異方形状粉末(試料e2、試料e3、及び試料c1〜試料c4)をそれぞれ用いて結晶配向セラミックスを作製した。これらをそれぞれ試料E2、試料E3、及び試料C1及び試料C4とする(後述の表2参照)。
具体的には、まず結晶配向セラミックスの乾燥時の重量(乾燥重量)を測定した。次いで、結晶配向セラミックスを水に浸漬して開口部に水を浸透させた後、結晶配向セラミックスの重量(含水重量)を測定した。次いで、含水重量と乾燥重量との差から、結晶配向セラミックス中に存在する開気孔の体積を算出した。また、アルキメデス法により、結晶配向セラミックスについて、開気孔を除いた部分の体積を測定した。次に、結晶配向セラミックスの乾燥重量を全体積(開気孔の体積と開気孔を除いた部分の体積との合計)で除することにより、結晶配向セラミックスの嵩密度を算出した。その結果を後述の表2に示す。
具体的には、まず、テープ面と平行な面を表面から150μmの深さまで研磨した。この研磨面について、ロットゲーリング法による{100}面の平均配向度F(100)を上述の数1の式を用いて算出した。その結果を後述の表2に示す。
具体的には、研磨した各試料の上下面にAu焼付電極ペースト(住友金属鉱山(株)製 ALP3057)を印刷し乾燥させた後、メッシュベルト炉を用いて850℃×10minの焼付を行うことにより、各結晶配向セラミックスに厚さ0.01mmの一対の電極を形成した。さらに、印刷により不可避に形成された電極外周部の数マイクロメートルの盛り上り部を除去する目的で、円板状の各試料を円筒研削により直径8.5mmに加工した。その後、上下方向に分極処理を施し全面電極を有する7種類の圧電素子を得た。得られた各圧電素子について、室温において、d33メータ(ZJ-3D:インスティテュート オブ アカデミア シニカ(Institute of Academia Sinica)製により圧電歪定数(d33)を測定した。その結果を表2に示す。
これに対し、試料c1〜試料c4の異方形状粉末を用いて作製した結晶配向セラミックス(試料C1〜試料C4)は、配向度と嵩密度との両方を高めることができず、圧電特性が不十分になっていた。
また、試料c2は、一般式(1)で表される前駆体の目的組成におけるmの値を5とし、この目的組成通りに配合を行い、さらに酸処理を行わずに作製した異方形状粉末である(表1参照)。そのため、異方形状粉末の半値幅が高く、配向度が不十分になっていた(表1参照)。かかる異方形状粉末(試料c2)を用いて作製した結晶配向セラミックス(試料C2)は、嵩密度は比較的高いものの、配向度が低くなっていた(表2参照)。その結果、圧電特性が不十分であった(表2参照)。
11 ビスマス層
12 ペロブスカイト型化合物層
Claims (11)
- 前駆体を酸処理し加熱して得られ、結晶面{100}面が配向する配向粒子からなる異方形状粉末において、
一般式(1)(Bi2O2)2+{Bi0.5(KaNa1-a)m-1.5(Nb1-bTab)mO3m+1}2-(ここで、5<m≦10、0≦a≦0.8、0.02≦b≦0.4)で表されるビスマス層状ペロブスカイト型化合物を上記前駆体の目的組成とすると、該目的組成におけるmの値に対してm+0.5以上という仕込み組成の配合割合で、Bi源、Na源、Nb源、及びTa源と必要に応じて添加されるK源とを混合して原料混合物を作製する調合工程と、
上記原料混合物を温度1100℃以上で2時間以上加熱することにより、上記前駆体を合成する合成工程と、
上記前駆体を3時間以上酸処理して酸処理体を得る酸処理工程と、
上記酸処理体に、K源及び/又はNa源を添加し、NaCl及び/又はKClを主成分とするフラックス中で加熱する加熱工程とを行って得られることを特徴とする異方形状粉末。 - 請求項1において、上記異方形状粉末は、等方性ペロブスカイト型化合物を主相とする多結晶体からなり、該多結晶体を構成する結晶粒の特定の結晶面{100}面が配向する結晶配向セラミックスを製造するために用いられることを特徴とする異方形状粉末。
- 請求項1又は2において、上記異方形状粉末は、一般式(2){Lix(K1-yNay)1-x}(Nb1-z-wTazSbw)O3(但し、0≦x≦0.2、0≦y≦1、0≦z≦0.4、0≦w≦0.2、x+z+w>0)で表される等方性ペロブスカイト型化合物を生成する配合割合で反応原料粉末と混合し、加熱して用いられることを特徴とする異方形状粉末。
- 請求項1〜3のいずれか一項において、上記配向粒子の結晶面{100}におけるロッキングカーブ法による半値幅(FWHM)は8度以下であることを特徴とする異方形状粉末。
- 請求項1〜4のいずれか一項において、上記調合工程においては、上記目的組成におけるmの値に対してm+1.5以下という上記仕込み組成の配合割合で混合を行うことを特徴とする異方形状粉末。
- 請求項1〜5のいずれか一項において、上記加熱工程においては、上記目的組成の上記ビスマス層状ペロブスカイト型化合物1モルに対して、上記K源及び/又は上記Na源中に含まれるK元素とNa元素とが合計で1〜5モルとなる割合で上記K源及び/又は上記Na源を混合することを特徴とする異方形状粉末。
- 等方性ペロブスカイト型化合物を主相とする多結晶体からなり、該多結晶体を構成する結晶粒の特定の結晶面{100}面が配向する結晶配向セラミックスの製造方法であって、
異方形状粉末と、該異方形状粉末と反応する反応原料粉末とを、一般式(2){Lix(K1-yNay)1-x}(Nb1-z-wTazSbw)O3(但し、0≦x≦0.2、0≦y≦1、0≦z≦0.4、0≦w≦0.2、x+z+w>0)で表される上記等方性ペロブスカイト型化合物を生成する配合割合で混合することにより原料混合物を作製する混合工程と、
上記異方形状粉末の結晶面{100}面が略同一の方向に配向するように、上記原料混合物を成形して成形体を作製する成形工程と、
上記成形体を加熱することにより、上記異方形状粉末と上記反応原料粉末とを反応させると共に焼結させ、上記結晶配向セラミックスを得る焼成工程とを有し、
上記異方形状粉末としては、請求項1〜5のいずれか一項に記載の異方形状粉末を採用することを特徴とする結晶配向セラミックスの製造方法。 - 請求項7において、上記反応原料粉末としては、Li源、K源、Na源、Nb源、Ta源、及びSb源から選ばれる1種以上の原料源を混合し、得られる混合物を仮焼してなる仮焼粉を採用することを特徴とする結晶配向セラミックスの製造方法。
- 請求項8において、上記原料源の混合は、一般式(3){Lip(K1-qNaq)1-p}(Nb1-r-sTarSbs)O3(但し、0≦p≦1、0≦q≦1、0≦r≦1、0≦s≦1)で表される等方性ペロブスカイト型化合物が生成する配合割合で行うことを特徴とする結晶配向セラミックスの製造方法。
- 請求項7〜9のいずれか一項において、上記成形工程においては、上記原料混合物を厚み200μm以下のシート状に成形することを特徴とする結晶配向セラミックスの製造方法。
- 請求項7〜10のいずれか一項において、上記成形工程においては、成形後の上記成形体を複数積層し、上記焼成工程においては、積層された上記成形体を加熱することを特徴とする結晶配向セラミックスの製造方法。
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