JP2010216305A - 内燃機関の過給圧制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】排気流量可変機構の全開度にわたり、物ばらつきや劣化による影響を修正することができ、また、エンジンの運転中であっても上述のような修正を行うことができる過給圧制御装置を提供すること。
【解決手段】過給圧制御装置は、実過給圧P2が目標過給圧P2CMDに一致するように、実前後排気圧力比PRに対する目標値PRCMDを算出する排気圧制御器421と、実前後排気圧力比PR及び修正流量Gと、可変ベーンの開度とを関連付けるタービンモデルに基づいて、目標前後排気圧力比PRCMDに応じた可変ベーン開度VOを算出するベーン開度決定部422と、上記タービンモデルに基づいて、実前後排気圧力比PRに応じた推定ベーン開度VOHATを算出し、この推定ベーン開度VOHATとベーン開度VOとが一致するように、ベーン開度決定部422のタービンモデルを修正する修正パラメータa,bを算出する修正パラメータ算出部426とを備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、ターボチャージャを備える内燃機関の過給圧制御装置に関する。
従来、内燃機関に吸入される空気を加圧するコンプレッサホイールと、このコンプレッサホイールに連結され、排気が吹き付けられることで回転駆動するタービンホイールと、このタービンホイールに吹き付けられる排気の流量を変更する可変ベーンとを備える可変容量型のターボチャージャが知られている。このようなターボチャージャでは、可変ベーンの開度を制御することで、過給圧を適切な圧力にすることができる。
可変ベーンは、アクチュエータによって開閉駆動され、またこのアクチュエータは、コントローラにより所定のプログラムに基づいて制御される。しかしながら、ターボチャージャや可変ベーンのアクチュエータに物ばらつきがあった場合や劣化が発生した場合には、コントローラの可変ベーンに対する指示開度と、実際の可変ベーンの開度との間にずれが生じてしまい、過給圧の制御精度が低下するおそれがある。そこで、特許文献1には、このような物ばらつきや劣化による影響を修正する技術が示されている。
より具体的には、特許文献1には、エンジンの始動時に可変ベーンの基準開度を設定する制御装置が示されている。この制御装置では、エンジンを始動する度に、可変ベーンの全閉時の開度を学習し、この全閉時の開度に基づいて基準開度を設定する。これにより、ターボチャージャや可変ベーンの物ばらつきや劣化によらず、安定して基準開度を設定することができる。
特許第3995944号公報
しかしながら、特許文献1に示された制御装置では、物ばらつきや劣化による影響が修正されるのは可変ベーンの閉じ側のみである。すなわちこの制御装置では、可変ベーンの全開度にわたって物ばらつきや劣化による影響を適切に修正することはできない。また、このような修正が行われるのは、エンジンの始動時のみである。
本発明は上述した課題に鑑みてなされたものであり、排気流量可変機構の全開度にわたり、物ばらつきや劣化による影響を修正することができ、また、エンジンの運転中であっても上述のような修正を行うことができる過給圧制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため請求項1に記載の発明は、内燃機関(1)に吸入される空気を加圧するコンプレッサホイール(82)と、当該コンプレッサホイールと連結され、前記内燃機関から排出された排気ガスが吹き付けられることで回転駆動するタービンホイール(81)と、を有するターボチャージャ(8)と、開閉動作により前記タービンホイールに吹き付けられる排気の流量を変化させる排気流量可変機構(84,85)と、を備え、実過給圧(P2)が所定の目標過給圧(P2CMD)に一致するように、前記排気流量可変機構の開度を決定する内燃機関の過給圧制御装置であって、実過給圧(P2)が目標過給圧(P2CMD)に一致するように、所定の制御量(PR,P3)に対する目標値(PRCMD,P3CMD)を算出する目標値算出手段(41,421)と、前記制御量及び所定の物理量(T3,P3,G)と、前記排気流量可変機構の開度とを関連付けるモデルに基づいて、前記制御量の目標値(PRCMD,P3CMD)に応じた前記排気流量可変機構の開度指示値(VO,WO)を算出する開度指示値算出手段(422)と、前記モデルに基づいて、前記制御量の実測値(PR,P3)に応じた前記排気流量可変機構の開度推定値(VOHAT,WOHAT)を算出し、当該開度推定値(VOHAT,WOHAT)と前記開度指示値(VO,WO)とが一致するように、前記開度指示値算出手段のモデルを修正する修正パラメータ(a,b)を算出する修正パラメータ算出手段(426)と、を備えることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の内燃機関の過給圧制御装置において、前記物理量は、前記タービンホイールの上流側の排気圧(P3)、前記タービンホイールの上流側の排気温度(T3)、及び前記タービンホイールを駆動する排気の質量流量(MT)を含むことを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の内燃機関の過給圧制御装置において、前記修正パラメータ算出手段は、前記機関の運転状態(NE,TRQ)に応じて修正パラメータ(a,b)を更新する速度を変更することを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1又は2に記載の内燃機関の過給圧制御装置において、前記修正パラメータ算出手段は、前記排気流量可変機構の開度(VO)に応じて修正パラメータ(a,b)を更新する速度を変更することを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1から3の何れかに記載の内燃機関の過給圧制御装置において、前記排気流量可変機構は、開閉動作により前記タービンホイールに流入する排気の入口面積を変更する可変ベーン(84)を含み、前記モデルは、前記制御量及び所定の物理量と、前記可変ベーンの開度とを関連付けることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項1から3の何れかに記載の内燃機関の過給圧制御装置において、前記排気流量可変機構は、前記タービンホイールの上流側と下流側とをバイパスするバイパス通路を開閉するウェストゲートバルブ(85)を含み、前記モデルは、前記制御量及び所定の物理量と、前記ウェストゲートバルブの開度とを関連付けることを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、目標値算出手段は、実過給圧が目標過給圧に一致するように、所定の制御量に対する目標値を算出する。また、開度指示値算出手段は、上述の制御量及び所定の物理量と排気流量可変機構の開度とを関連付けるモデルに基づいて、上述の目標値に応じた排気流量可変機構の開度指示値を算出する。排気流量可変機構の開度は、この開度指示値に応じて変更される。
ここで、修正パラメータ算出手段は、上述の開度指示値算出手段のモデルに基づいて上述の制御量の実測値に応じた排気流量可変機構の開度推定値を算出し、さらにこの開度推定値と上述の開度指示値とが一致するように、開度指示値算出手段のモデルを修正する修正パラメータを算出する。すなわち、ターボチャージャや排気流量可変機構の物ばらつきや劣化により、開度指示値と開度推定値との間に誤差が生じた場合には、この誤差が無くなるようにモデルを修正する修正パラメータが算出される。以上のようにして、制御量及び所定の物理量と排気流量可変機構の開度とを関連付けるモデルを修正することにより、排気流量可変機構の全開度にわたり、物ばらつきや劣化による影響を修正することができる。また、エンジンの運転中であってもこのような修正を行うことができる。
ところで従来では、過給圧のフィードバック制御を行う場合、ターボチャージャや排気流量可変機構の劣化を想定して、フィードバックゲインは低めに設定される。この構成によれば、ターボチャージャや排気流量可変機構の劣化に応じてモデルを修正するので、従来と比較してフィードバックゲインを高めに設定することができる。このため、制御性を向上することができる。
請求項2に記載の発明によれば、モデルは、タービンホイールの上流側の排気圧、タービンホイールの上流側の排気温度、及びタービンホイールを駆動する排気の質量流量といったエンジンの運転状況によって変化する物理量と、排気流量可変機構の開度とを関連付ける。このようなモデルを、上述のようにして修正することにより、あらゆる運転状況下であっても、排気流量可変機構の開度を的確に修正することができる。
請求項3に記載の発明によれば、修正パラメータ算出手段は、内燃機関の運転状態に応じて、モデルを修正する修正パラメータの更新速度を変更する。ところで、このモデルに基づいて排気流量可変機構の開度を決定する場合、モデルにおいて参照される物理量を検出するかあるいは推定する必要がある。しかしながら、内燃機関の運転状態によっては物理量の検出値や推定値に大きな誤差がある。このような運転状態では、モデルの修正が不安定になる場合がある。この発明によれば、例えば、物理量の検出値や推定値の誤差が大きい運転状態では、修正パラメータの更新速度を遅くしたり、逆に物理量の検出値や推定値の誤差が小さい運転状態では、修正パラメータの更新速度を速くしたりすることができる。これにより、安定したモデルの修正が可能となる。
また、上述のモデルは、所定の物理量と排気流量可変機構の開度とを関連付けるものであるが、運転状態によっては出現頻度の低い物理量と開度との組み合わせが存在する。この発明によれば、例えば、このような運転状態では、他の運転状態よりも更新速度を速くすることにより、モデルの修正精度を向上することができる。
請求項4に記載の発明によれば、修正パラメータ算出手段は、排気流量可変機構の開度に応じて、モデルを修正する修正パラメータの更新速度を変更する。ところで、排気流量可変機構の開度は、一般的には非線形な特性を有する。具体的には、開度の絞り側では開度変化量に対するタービン流量もしくは排気圧変化量が大きく、開度の開き側では開度変化量に対するタービン流量もしくは排気圧変化量が小さくなっている。このような非線形特性を有する排気流量可変機構の開度を決定するモデルに対し、上述のように開度に応じて修正パラメータの更新速度を変更することにより、モデルの修正精度を向上することができる。
本発明の第1実施形態に係る内燃機関及びその過給圧制御装置の構成を示す図である。 上記実施形態に係る過給圧制御を実行するためのモジュールの構成を示すブロック図である。 上記実施形態に係るモデルの具体的な例を示す図である。 上記実施形態に係る指示ベーン開度と実ベーン開度との相関関係を示す図である。 上記実施形態に係る忘却係数をエンジンの運転状態に応じて決定するためのマップを示す図である。 上記実施形態に係る忘却係数をベーン開度に応じて決定するためのマップを示す図である。 上記実施形態に係る過給圧制御のシミュレーションの結果を示す図である。 本発明の第2実施形態に係る過給圧制御を実行するためのモジュールの構成を示すブロック図である。
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態を、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る内燃機関及びその過給圧制御装置の構成を示す図である。内燃機関(以下「エンジン」という)1は、シリンダ7の燃焼室内に燃料を直接噴射するディーゼルエンジンであり、シリンダ7には図示しない燃料噴射弁が設けられている。これら燃料噴射弁は、電子制御ユニット(以下「ECU」という)40により電気的に接続されており、燃料噴射弁の開弁時間及び閉弁時間は、ECU40により制御される。
エンジン1には、吸気が流通する吸気管2と、排気が流通する排気管4と、排気管4内の排気の一部を吸気管2に還流する排気還流通路6と、吸気管2に吸気を圧送するターボチャージャ8とが設けられている。
吸気管2は、吸気マニホールドの複数の分岐部を介してエンジン1の各シリンダ7の吸気ポートに接続されている。排気管4は、排気マニホールドの複数の分岐部を介してエンジン1の各シリンダ7の排気ポートに接続されている。排気還流通路6は、排気管4から分岐し吸気管2に至る。
ターボチャージャ8は、排気管4に設けられたタービンホイール81と、吸気管2に設けられたコンプレッサホイール82と、これらタービンホイール81とコンプレッサホイール82とを連結するタービンシャフト83と、を備える。タービンホイール81は、エンジン1から排出された排気が吹き付けられることで回転駆動する。コンプレッサホイール82は、タービンホイール81により回転駆動され、エンジン1の吸気を加圧し吸気管2内へ圧送する。
この他、ターボチャージャ8は、タービンホイール81に吹き付けられる排気の流量を変化させる排気流量可変機構として、可変ベーン84や、ウェストゲートバルブ85を備える。可変ベーン84は、その開閉動作によりタービンホイール81に流入する排気の入口面積を変更し、これにより、タービンホイール81に吹き付けられる排気の流量を変えるとともに、タービンホイール81の回転速度を変えることができる。この可変ベーン84は、図示しないアクチュエータを介してECU40に接続されており、その開度はECU40により制御される。
ウェストゲートバルブ85は、排気管4のうちタービンホイール81の上流側と下流側とをバイパスするバイパス通路86に設けられ、このバイパス通路86を開閉する。すなわち、このウェストゲートバルブ85を開閉し、排気の一部を、タービンホイール81を介さずに排出することにより、タービンホイール81に吹き付けられる排気の流量を変えることができる。このウェストゲートバルブ85は、図示しないアクチュエータを介してECU40に接続されており、その開度はECU40により制御される。
吸気管2のうち、ターボチャージャ8の下流側には、ターボチャージャ8により加圧された空気を冷却するインタークーラ5と、エンジン1の吸入空気量を制御するスロットル弁9とが設けられている。このスロットル弁9は、図示しないアクチュエータを介してECU40に接続されており、その開度はECU40により制御される。
排気管4のうち、ターボチャージャ8の下流側には、排気中に含まれる粒子状物質を捕集するディーゼルパティキュレートフィルタ15が設けられている。
排気還流通路6は、排気管4と吸気管2の吸気マニホールドとを接続し、エンジン1から排出された排気の一部を還流する。排気還流通路6には、還流する排気の流量を制御するEGR弁13が設けられている。EGR弁13は、図示しないアクチュエータを介してECU40に接続されており、その弁開度はECU40により制御される。
ECU40には、吸気管2のうちコンプレッサホイール82の下流側の吸気圧すなわち過給圧P2を検出する過給圧センサ21、排気管4のうちタービンホイール81の上流側の排気圧(以下、「上流側排気圧」という)P3を検出する上流側排気圧センサ22、排気管4のうちタービンホイール81の下流側の排気圧(以下、「下流側排気圧」という)P4を検出する下流側排気圧センサ23、排気管4のうちタービンホイール81の上流側の排気温度(以下、「上流側排気温度」という)T3を検出する上流側排気温度センサ24、エンジン1のクランク軸の回転角度を検出するクランク角度位置センサ25、及びエンジン1により駆動される車両のアクセルペダルの踏み込み量APを検出するアクセルペダルセンサ26が接続されており、これらセンサの検出信号は、ECU40に供給される。また、エンジン1の回転数(以下、「エンジン回転数」という)NEは、クランク角度位置センサ25の出力に基づいて、ECU40により算出される。
ECU40は、各種センサからの入力信号波形を整形し、電圧レベルを所定のレベルに修正し、アナログ信号値をデジタル信号値に変換するなどの機能を有する入力回路と、中央演算処理ユニット(以下「CPU」という)とを備える。この他、ECU40は、CPUで実行される各種演算プログラム及び演算結果などを記憶する記憶回路と、ターボチャージャ8の可変ベーン84及びウェストゲートバルブ85、スロットル弁9、EGR弁13、並びにエンジン1の燃料噴射弁を駆動する各アクチュエータに制御信号を出力する出力回路とを備える。
次に、可変ベーン84のベーン開度を制御する過給圧制御について、図2から図7を参照して説明する。
図2は、過給圧制御を実行するためのモジュールの構成を示すブロック図である。このモジュールの機能は、上述のようなハードウェア構成を備えるECU40により実現される。
図2に示すモジュールは、目標上流側排気圧算出部41とベーン開度制御部42との2つのフィードバックコントローラを含んで構成され、実過給圧P2が後述の目標過給圧P2CMDに一致するように、ベーン開度の指示値(以下、単に「ベーン開度」という)VOを決定する。より具体的には、これら目標上流側排気圧算出部41及びベーン開度制御部42により、2つの制御出力(実過給圧P2と、実上流側排気圧P3又は実前後排気圧力比PR(=P3/P4))に基づいて、所謂カスケード制御によりベーン開度VOを決定する。
目標上流側排気圧算出部41は、過給圧制御器412と、目標値リミッタ414と、目標値フィルタ416と、を含んで構成される。
過給圧制御器412は、実過給圧P2が後述の目標過給圧P2CMDに一致するように、上流側排気圧の目標値(以下、「目標上流側排気圧」という)P3CMDを算出する。具体的には、実過給圧P2と目標過給圧P2CMDとの偏差Eを下記式(1)で定義し、この偏差E(k)が0に収束するように、後述のスライディングモード制御に基づいて制御入力U(コントローラの出力)を算出し、算出した制御入力Uを目標上流側排気圧P3CMDに変換する。
Figure 2010216305
ここで、記号(k)は、離散化した時間を示す記号であり、所定の制御周期毎に検出又は算出されたデータであることを示す。すなわち、記号(k)が今回の制御タイミングにおいて検出又は算出されたデータであるとした場合、記号(k−1)は前回の制御タイミングにおいて検出又は算出されたデータであることを示す。なお、以下の説明においては、記号(k)を適宜、省略する。
次に、下記式(2)〜(5)に示すスライディングモード制御のアルゴリズムについて説明する。スライディングモード制御とは、制御量の収束速度を指定できる所謂応答指令型制御を発展させたものであり、制御量の目標値に対する追従速度と、外乱が印加された場合の制御量の収束速度を個別に指定できる制御である。
Figure 2010216305
上記式(2)に示すように、制御入力U(k)は、上記式(3)に示す到達則入力URCH(k)と、上記式(4)に示す適応則入力UADP(k)との和により算出される。
到達則入力URCH(k)は、偏差E(k)を後述の切換直線上に載せるための入力であり、上記式(5)に示す切換関数σ(k)に所定の到達則制御ゲインKRCHを乗算することで算出される。
適応則入力UADP(k)は、モデル化誤差や外乱の影響を抑制し、偏差E(k)を後述の切換直線に載せるための入力であり、切換関数σ(k)の積分値に所定の適応則制御ゲインKADPを乗算することで算出される。
切換関数σ(k)は、上記式(5)に示すように、今回制御時の偏差E(k)と、前回制御時の偏差E(k−1)に所定の切換関数設定パラメータVPOLEを乗算したものとの和により算出される。
ここで、切換関数設定パラメータVPOLEと、偏差E(k)の収束速度との関係について説明する。
上記式(5)に示すように、横軸を前回制御時の偏差E(k−1)とし、縦軸を今回制御時の偏差E(k)と定義した位相平面内では、切換関数σ(k)=0を満たす偏差E(k)及びE(k−1)の組み合わせは、傾きが−VPOLEの直線となる。特にこの直線は、切換直線と呼ばれる。また、この切換直線上では、−VPOLEを1より小さく0より大きい値に設定することにより、E(k−1)>E(k)となるので、偏差E(k)は0に収束することとなる。スライディングモード制御は、この切換直線上における偏差E(k)の振る舞いに着目した制御となっている。
すなわち、今回制御時の偏差E(k)と前回制御時の偏差E(k−1)との組み合わせが、この切換直線上に載るように制御を行うことで、外乱やモデル化誤差に対してロバストな制御を実現し、制御量をその目標値に対し過剰なオーバシュートすることなく収束させることができる。
目標過給圧P2CMDは、目標過給圧設定部43により、エンジン1の運転状態に応じて適宜設定される。具体的には、目標過給圧P2CMDは、踏み込み量APに応じて算出される要求トルクTRQに応じて基本燃料量TI(具体的には、燃料噴射弁の開弁時間)を算出し、この基本燃料量TI及びエンジン回転数NEに応じて設定される。また、この目標過給圧P2CMDは、基本燃料量TIが増加するほど、またエンジン回転数NEが高くなるほど大きくなるように設定される。したがって、アクセルペダルが踏み込まれる加速時においては、目標過給圧P2CMDはステップ状に増加する。
目標値リミッタ414は、目標上流側排気圧P3CMDに対し、所定のリミット値P3LMTを上限値とするリミット処理を施す。すなわち、算出された目標上流側排気圧P3CMDが所定のリミット値P3LMTより大きい場合には、このリミット値P3LMTを目標上流側排気圧とする。
目標値フィルタ416は、リミット処理が施された目標上流側排気圧P3CMDに対し、以下に示すフィルタ処理を施すことにより、実際に成しうる目標上流側排気圧を算出する。具体的には、下記式(6)に示す一次遅れフィルタアルゴリズムにより、目標上流側排気圧P3CMDのフィルタ値P3CMDFを算出する。なお、下記式(6)において、Rは目標値フィルタ係数であり、−1から0の間に設定される。また以下では、特に混同のおそれが無い限り、目標上流側排気圧P3CMDのフィルタ値P3CMDFを、単に目標上流側排気圧という。
Figure 2010216305
ベーン開度制御部42は、排気圧制御器421と、ベーン開度決定部422と、修正パラメータ算出部426と、を含んで構成され、実上流側排気圧P3が目標上流側排気圧P3CMDに一致するように、ベーン開度VOを決定する。
排気圧制御器421は、上述の実上流側排気圧P3が目標上流側排気圧P3CMDFに一致するように、すなわち、実過給圧P2が目標過給圧P2CMDに一致するように、実前後排気圧力比PRの目標値(以下、「目標前後排気圧力比」という)PRCMDを算出する。
具体的には、排気圧制御器421では、実上流側排気圧P3と目標上流側排気圧P3CMDFとの偏差E(k)を下記式(7)で定義し、この偏差E(k)が0に収束するように、上記式(2)〜(5)に示すスライディングモード制御に基づいて制御入力Uを算出し、算出した制御入力Uを目標前後排気圧力比PRCMDに変換する。
Figure 2010216305
ベーン開度決定部422は、後述のタービンモデルに基づいて、排気圧制御器421により算出された目標前後排気圧力比PRCMDに応じたベーン開度VOを算出する。より具体的には、ベーン開度決定部422は、基準開度決定部423によりベーン開度の基準値(以下、「基準ベーン開度」という)VOBSを算出し、この基準ベーン開度VOBSを基準開度修正部424により修正し、修正した開度をベーン開度VOとして決定する。
基準開度決定部423では、以下に示すように、ターボチャージャ8のタービンホイール81の動特性を記述するタービンモデルに基づいて基準ベーン開度VOBSを算出する。
図3は、ターボチャージャ及び可変ベーンの基準の状態における各ベーン開度での流量特性を示す図であり、基準開度決定部により参照されるタービンモデルの具体的な例を示す図である。この図3において、横軸は前後排気圧力比PRを示し、縦軸は修正流量Gを示す。流量特性とは、ベーン開度を一定に保った状態での前後排気圧力比PRと修正流Gとの関係を示すものである。図3には、ベーン開度を20%,40%,60%,80%,100%にした場合における流量特性のみを示す。なお、本実施形態では、ターボチャージャ及び可変ベーンの新品の状態を基準の状態とする。
修正流量Gは、タービンホイールを駆動する排気の質量流量、すなわちタービンホイールを通過した排気の質量流量(以下、「タービン通過流量」という)MTを、上流側排気温度T3及び上流側排気圧P3のもとで修正した流量を示す。この修正流量Gは、所定の定義式に基づいて、タービン通過流量MT、上流側排気温度T3、及び上流側排気圧P3に応じて算出される。
図3に示すように、ベーン開度を一定に保った状態では、前後排気圧力比PRが大きくなるに従い、修正流量Gも大きくなる。また、どのベーン開度においても、前後排気圧力比が所定の値よりも大きくなると、修正流量Gは略一定となる。
また、図3に示すように、各ベーン開度における流量特性曲線の間隔は、ベーン開度が大きくなるに従い(可変ベーンが開き側になるに従い)、狭くなる。これは、可変ベーンの開き側での作動に対する過給圧及び上流側排気圧の変化は、絞り側での作動に対する過給圧及び上流側排気圧の変化よりも小さいことを示している。すなわち、ベーン開度は、過給圧や上流側排気圧に対し非線形な特性を有する。
図2に戻って、基準開度決定部423では、前後排気圧力比PR及び修正流量Gと、可変ベーンの開度とが関連付けられた上述のようなタービンモデルに基づいて、目標前後排気圧力比PRCMD及び修正流量Gに応じたベーン開度を算出し、これを基準ベーン開度VOBSとする。
基準開度修正部424は、後述の修正パラメータ同定器428により決定された修正パラメータに基づいて基準ベーン開度VOBSを修正し、これをベーン開度VOとして決定する。
図4は、指示ベーン開度と、実ベーン開度との相関関係を示す図である。上述の基準の状態のターボチャージャ及び可変ベーンを備えるシステムでは、図4に示すように、実ベーン開度と指示ベーン開度はほぼ等しい。この場合、実際のターボチャージャや可変ベーンの動特性が上述のモデルにより再現されている、すなわちモデル化による誤差は無いため、上述の基準ベーン開度VOBSを修正する必要はない。
このような実ベーン開度の理想的な初期特性を有するシステムに対し、物ばらつきがあるターボチャージャや可変ベーンを備えるシステムや、劣化したターボチャージャや可変ベーンを備えるシステムでは、実ベーン開度と指示ベーン開度との間の相関関係は変化する。すなわち、指示ベーン開度と実ベーン開度との間にずれが生じる。この場合、実際のターボチャージャや可変ベーンの動特性が上述のモデルにより再現されていない、すなわちモデル化による誤差が生じるため、上述の基準ベーン開度VOBSを修正する必要がある。
本実施形態では、このような物ばらつきや劣化を原因とした、実ベーン開度の特性の変化を再現する誤差モデルを設定し、この誤差モデルに基づいて基準ベーン開度VOBSを修正する。
図4の破線は、誤差モデルの一例を示す。図4に示すように、この誤差モデルは、物ばらつきや劣化を原因とした実ベーン開度の特性の変化を一次関数で再現したものである。このような誤差モデルによれば、例えば、可変ベーンを絞りきっても絞りきれなくなった状態を再現することができる。誤差モデルとしては、このような一次関数の他、様々な関数が考えられる。
図2に戻って、基準開度修正部424では、上述のような一次関数で設定された誤差モデルに基づいて基準ベーン開度VOBSを修正する。より具体的には、下記式(8)に基づいて基準ベーン開度VOBSを修正し、これをベーン開度VOとして決定する。なお、修正パラメータa(k),b(k)は、後述の修正パラメータ同定器428により同定されたものが用いられる。
Figure 2010216305
以上のようにして決定されたベーン開度VOは、図示しない変換器により、この開度に対応するデューティ比Dutyの制御信号に変換された後、可変ベーンを駆動するアクチュエータに供給される。
修正パラメータ算出部426は、ベーン開度推定部427及び修正パラメータ同定器428を備え、上述の修正パラメータa,bを算出する。
ベーン開度推定部427は、上述のタービンモデルに基づいて、実前後排気圧力比PR及び修正流量Gに応じたベーン開度を算出し、これを推定ベーン開度VOHATとする。
修正パラメータ同定器428は、推定ベーン開度VOHATと基準ベーン開度VOBSに基づいて、推定ベーン開度VOHATとベーン開度VOとが一致するように、修正パラメータa,bを同定する。
具体的には、以下に示す逐次型最小2乗法アルゴリズムにより、修正パラメータa,bを逐次同定する。この逐次型最小2乗法アルゴリズムでは、修正パラメータの最新値a(k),b(k)は、修正パラメータの前回値a(k−1),b(k−1)と推定ベーン開度の最新値VOHAT(k)及び基準ベーン開度の最新値VOBS(k)とに基づいて算出される。
先ず、修正パラメータa(k),b(k)を成分とするベクトルθ(k)と、基準ベーン開度VOBS(k)及び「1」を成分とするベクトルζ(k)を、下記式(9)で定義する。
また、これらベクトルθ(k)及びζ(k)の積により、下記式(10)に示すように同定値VOHAT_HAT(k)を定義する。
Figure 2010216305
Figure 2010216305
次に、下記式(11)に示すように、この推定ベーン開度VOHAT(k)と同定値VOHAT_HAT(k)との偏差で同定誤差E(k)を定義する。
Figure 2010216305
逐次型最小2乗法アルゴリズムでは、この同定誤差E(k)が最小になるように、すなわち、推定ベーン開度VOHAT(k)と上記式(8)で決定されたベーン開度VO(k)とが一致するように、下記式(12)〜(14)に基づいて、修正パラメータa,bを決定する。
Figure 2010216305
Figure 2010216305
Figure 2010216305
ここで、上記式(14)において、「I」は単位行列である。また、λ及びλは、重みパラメータであり、これらパラメータの設定により、同定アルゴリズムは以下に示す5つのアルゴリズムに分類される。
λ=1,λ=1 最小2乗法アルゴリズム
λ=λ(0<λ≦1),λ=1 重み付き最小2乗法アルゴリズム
λ=1,λ=0 固定ゲインアルゴリズム
λ=1,λ=λ(0<λ<2) 漸近ゲインアルゴリズム
λ/λ=σ(固定値) 固定トレースアルゴリズム
また、上記式(12)において、ベクトルθ(k−1)に乗算された行列M(k)は、忘却係数行列である。この忘却係数行列M(k)は、下記式(15)に示すように、対角成分を忘却係数ρ,ρとした対角行列である。
Figure 2010216305
このような忘却係数行列M(k)を前回時のベクトルθ(k−1)に乗算しておくことにより、例えば、最新のベクトルθ(k)において、m周期前の制御時のベクトルθ(k−m)に関するデータは、ρのm乗で抑制されることとなる。したがって、これら忘却係数ρ,ρには、前回制御時までのデータを忘却するとともに、新しいデータで更新する効果がある。
忘却係数ρ,ρを「1」に近づけることにより前回制御時までのデータを忘却しにくくできる。すなわち、忘却係数ρ,ρを「1」に近づけることにより、データθ(k)の更新速度を比較的遅くすることができる。
また、忘却係数ρ,ρを「1」から小さくすることにより前回制御時までのデータを忘却しやすくすることができる。すなわち、忘却係数ρ,ρを「1」から小さくすることにより、データθ(k)の更新速度を比較的速くすることができる。
また、本実施形態では、この忘却係数ρ,ρを、エンジンの運転状態、あるいは、ベーン開度に応じて変更する。
図5及び図6は、忘却係数ρ,ρを決定するためのマップの一例を示す図である。より具体的には、図5は、エンジンの運転状態(要求トルクTRQ及びエンジン回転数)に応じて忘却係数ρ,ρを決定するためのマップを示す図であり、図6は、ベーン開度(VO)に応じて忘却係数ρ,ρを決定するためのマップを示す図である。
図5に示すように、エンジンの運転状態に応じて忘却係数ρ,ρを変更する場合、高回転かつ高負荷の領域では、忘却係数ρ,ρを比較的小さな値に設定し、修正パラメータの更新速度を速めにする。また、低回転かつ低負荷の領域では、忘却係数ρ,ρを比較的大きな値に設定し、修正パラメータの更新速度を遅めにする。
また、図6に示すように、ベーン開度に応じて忘却係数ρ,ρを変更する場合、ベーン開度の開き側では、忘却係数ρ,ρを比較的小さな値に設定し、修正パラメータの更新速度を速めにする。また、ベーン開度の絞り側では、忘却係数ρ,ρを比較的大きな値に設定し、修正パラメータの更新速度を遅めにする。
式(12)〜(14)に示すように、逐次型最小2乗法アルゴリズムでは、逆行列の演算が不要であり、また、修正パラメータの最新値a(k),b(k)を同定するために必要となるのは、修正パラメータの前回値a(k−1),b(k−1)と、推定ベーン開度の最新値VOHAT(k)及び基準ベーン開度の最新値VOBS(k)のみである。この点は、逆行列の演算が必要であり、かつ、パラメータの過去の値が必要な通常の最小2乗法アルゴリズムとは大きく異なる点である。したがって、以上のような逐次型最小2乗法アルゴリズムで修正パラメータa,bを同定することにより、通常の最小2乗法アルゴリズムにより同定した場合と比較して、演算にかかる負担を大幅に軽減することができる。このため、比較的小さな容量のメモリを備える車載用のコンピュータに適した統計処理演算であるといえる。
次に、図7を参照して、本実施形態の過給圧制御装置による過給圧制御のシミュレーションの結果について説明する。
図7は、過給圧制御のシミュレーションの結果を示す図である。
図7には、基準状態に対し物ばらつきが生じた場合における過給圧とベーン開度のシミュレーション結果を示す。より具体的には、本実施形態のように修正パラメータでタービンモデルを修正した場合のシミュレーション結果を実線で示し、基準状態のままタービンモデルを修正しなかった場合のシミュレーション結果を破線で示す。
図7に示すように、ステップ状に変化する目標過給圧に対し、ターボチャージャ及び可変ベーンが基準状態にある場合は、実過給圧は速やかに目標過給圧に追従する。
これに対し、物ばらつきを与えると、指示開度と実開度との間にずれが生じる。すなわち、絞りきっても絞りきれない状況が発生する。ここで、本実施形態のようにタービンモデルを修正した場合と修正しなかった場合とを比較する。
タービンモデルを修正しなかった場合、前後排気圧力比と過給圧との関係が基準状態からずれているため、図7に示すように、目標過給圧に対し実過給圧に追従遅れが発生し、結果として振動してしまう。
これに対して、タービンモデルを修正した場合、前後排気圧力比と過給圧との関係を適切に修正することで、目標過給圧に対する実過給圧の追従性を安定させることができる。したがって、上述のような実過給圧の振動は発生しない。
以上詳述したように、本実施形態によれば、目標上流側排気圧算出部41及び排気圧制御器421は、実過給圧P2が目標過給圧P2CMDに一致するように、目標前後排気圧力比PRCMDを算出する。また、ベーン開度決定部422は、タービンモデルに基づいて、目標前後排気圧力比PRCMDに応じたベーン開度VOを算出する。可変ベーンの開度は、このベーン開度VOに応じて変更される。
ここで、修正パラメータ算出部426は、上述のベーン開度決定部422のタービンモデルに基づいて実前後排気圧力比PRに応じた推定ベーン開度VOHATを算出し、さらにこの推定ベーン開度VOHATと上述のベーン開度VOとが一致するように、ベーン開度決定部422のタービンモデルの出力を修正する修正パラメータa,bを算出する。すなわち、ターボチャージャや可変ベーンの物ばらつきや劣化により、ベーン開度VOと推定ベーン開度VOHATとの間に誤差が生じた場合には、この誤差が無くなるようにモデルを修正する修正パラメータa,bが算出される。以上のようにして、前後排気圧力比及び修正流量と可変ベーンの開度とを関連付けるタービンモデルの出力を修正することにより、可変ベーンの全開度にわたり、物ばらつきや劣化による影響を修正することができる。また、エンジンの運転中であってもこのような修正を行うことができる。
ところで従来では、過給圧のフィードバック制御を行う場合、ターボチャージャや可変ベーンの劣化を想定して、フィードバックゲインは低めに設定される。本実施形態によれば、ターボチャージャや可変ベーンの劣化に応じてタービンモデルを修正するので、従来と比較してフィードバックゲインを高めに設定することができる。このため、制御性を向上することができる。
また、本実施形態によれば、タービンモデルは、上流側排気圧、上流側排気温度、及びタービン通過流量といったエンジンの運転状況によって変化する物理量と、可変ベーンの開度とを関連付ける。このようなタービンモデルの出力を、上述のようにして修正することにより、あらゆる運転状況下であっても、可変ベーンの開度を的確に修正することができる。
また、本実施形態によれば、修正パラメータ算出部426は、エンジンの運転状態に応じて、モデルを修正する修正パラメータa,bの更新速度を変更する。より具体的には、実上流側排気圧P3や実前後排気圧力比PRの誤差が大きい低回転かつ低負荷の運転状態では、修正パラメータa,bの更新速度を遅くし、実上流側排気圧P3や実前後排気圧力比PRの誤差が小さい高回転かつ高負荷の運転状態では、修正パラメータa,bの更新速度を速くする。これにより、安定したモデルの修正が可能となる。
また、上述の高回転かつ高負荷の運転状態は、他の運転状態よりも出現頻度が低い。このような運転状態で修正パラメータa,bの更新速度を速くすることにより、モデルの修正精度を向上することができる。
また、本実施形態によれば、修正パラメータ算出部426は、可変ベーンの開度に応じて、モデルを修正する修正パラメータa,bの更新速度を変更する。上述のように、非線形特性を有する可変ベーンの開度を決定するモデルに対し、このように可変ベーンの開度に応じて修正パラメータa,bの更新速度を変更することにより、モデルの修正精度を向上することができる。
本実施形態では、ECU40が目標値算出手段、開度指示値算出手段、及び修正パラメータ算出手段を構成する。より具体的には、例えば、目標上流側排気圧算出部41及び排気圧制御器421が目標値算出手段を構成し、ベーン開度決定部422が開度指示値算出手段を構成し、修正パラメータ算出部426が修正パラメータ算出手段を構成する。
<第2実施形態>
以下、本発明の第2実施形態を、図面を参照して説明する。
以下の第2実施形態の説明にあたって、第1実施形態と同一構成要件については同一符号を付し、その説明を省略化又は簡略化する。
上述の第1実施形態では、可変ベーン84の開度VOを変更することにより、タービンホイール81に吹き付けられる排気の流量を変化させた。これに対して本実施形態では、ウェストゲートバルブ85の開度WOを変更し、バイパス通路86を流通する排気の流量を変更することにより、タービンホイール81に吹き付けられる排気の流量を変化させる。
図8は、過給圧制御を実行するためのモジュールの構成を示すブロック図である。このモジュールの機能は、ECU40Aで実行される処理により実現される。
ウェストゲートバルブ開度制御部42Aは、排気圧制御器421と、ウェストゲートバルブ開度決定部422Aと、を含んで構成され、実上流側排気圧P3が目標上流側排気圧P3CMDに一致するように、ウェストゲートバルブ開度WOを制御する。
ウェストゲートバルブ開度決定部47Aは、所定のタービンモデルに基づいて、排気圧制御器46により算出された目標前後排気圧力比PRCMDに対応するウェストゲートバルブ開度WOを決定する。
バルブ開度決定部422Aは、後述モデルに基づいて、排気圧制御器421により算出された目標前後排気圧力比PRCMDに応じたバルブ開度WOを算出する。より具体的には、バルブ開度決定部422Aは、基準開度決定部423Aによりバルブ開度の基準値(以下、「開度基準値」という)WOBSを算出し、この開度基準値WOBSを基準開度修正部424により修正し、修正した開度をバルブ開度WOとする。
ここで、基準開度決定部423Aにより参照されるタービンモデルには、上述の図3に示すタービンモデルと同様に、ウェストゲートバルブ開度WOごとにおける前後排気圧力比PRと修正流量Gとの関係が規定されたものが用いられる。
基準開度修正部424は、後述の修正パラメータ同定器428により決定された修正パラメータに基づいて基準ベーン開度WOBSを修正し、これをバルブ開度指示値(以下、単に「バルブ開度」という)WOとして決定する。
修正パラメータ算出部426Aは、バルブ開度推定部427A及び修正パラメータ同定器428を備え、上述の修正パラメータa,bを算出する。
バルブ開度推定部427Aは、上述のタービンモデルに基づいて、実前後排気圧力比PR及び修正流量Gに応じたバルブ開度を算出し、これを推定バルブ開度WOHATとする。
修正パラメータ同定器428は、推定バルブ開度WOHATと基準バルブ開度WOBSに基づいて、推定ベーン開度WOHATとバルブ開度WOとが一致するように、逐次型最小2乗法アルゴリズムにより、修正パラメータa,bを同定する。
以上詳述したように、本実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏する。
本実施形態では、ECU40Aが目標値算出手段、開度指示値算出手段、及び修正パラメータ算出手段を構成する。より具体的には、例えば、目標上流側排気圧算出部41及び排気圧制御器421が目標値算出手段を構成し、バルブ開度決定部422Aが開度指示値算出手段を構成し、修正パラメータ算出部426Aが修正パラメータ算出手段を構成する。
なお本発明は上述した実施形態に限るものではなく、種々の変形が可能である。
例えば、上述した実施形態では、前後排気圧力比とベーン開度とが関連付けられた図3に示すようなタービンモデルに基づいて、ベーン開度を決定したが、これに限らない。例えば、上流側排気圧力とベーン開度とが関連付けられたタービンモデルに基づいて、ベーン開度を決定してもよい。
1…エンジン(内燃機関)
40,40A…ECU
41…目標上流側排気圧算出部(目標値算出手段)
42,42A…ベーン開度制御部
421…排気圧制御器(目標値算出手段)
422…ベーン開度決定部(開度指示値算出手段)
422A…バルブ開度決定部(開度指示値算出手段)
426,426A…修正パラメータ算出部(修正パラメータ算出手段)
8…ターボチャージャ
81…タービンホイール
82…コンプレッサホイール
84…可変ベーン
85…ウェストゲートバルブ

Claims (6)

  1. 内燃機関に吸入される空気を加圧するコンプレッサホイールと、当該コンプレッサホイールと連結され、前記内燃機関から排出された排気ガスが吹き付けられることで回転駆動するタービンホイールと、を有するターボチャージャと、
    開閉動作により前記タービンホイールに吹き付けられる排気の流量を変化させる排気流量可変機構と、を備え、実過給圧が所定の目標過給圧に一致するように、前記排気流量可変機構の開度を決定する内燃機関の過給圧制御装置であって、
    実過給圧が目標過給圧に一致するように、所定の制御量に対する目標値を算出する目標値算出手段と、
    前記制御量及び所定の物理量と、前記排気流量可変機構の開度とを関連付けるモデルに基づいて、前記制御量の目標値に応じた前記排気流量可変機構の開度指示値を算出する開度指示値算出手段と、
    前記モデルに基づいて、前記制御量の実測値に応じた前記排気流量可変機構の開度推定値を算出し、当該開度推定値と前記開度指示値とが一致するように、前記開度指示値算出手段のモデルを修正する修正パラメータを算出する修正パラメータ算出手段と、を備えることを特徴とする内燃機関の過給圧制御装置。
  2. 前記物理量は、前記タービンホイールの上流側の排気圧、前記タービンホイールの上流側の排気温度、及び前記タービンホイールを駆動する排気の質量流量を含むことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の過給圧制御装置。
  3. 前記修正パラメータ算出手段は、前記機関の運転状態に応じて修正パラメータを更新する速度を変更することを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関の過給圧制御装置。
  4. 前記修正パラメータ算出手段は、前記排気流量可変機構の開度に応じて修正パラメータを更新する速度を変更することを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関の過給圧制御装置。
  5. 前記排気流量可変機構は、開閉動作により前記タービンホイールに流入する排気の入口面積を変更する可変ベーンを含み、
    前記モデルは、前記制御量及び所定の物理量と、前記可変ベーンの開度とを関連付けることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の内燃機関の過給圧制御装置。
  6. 前記排気流量可変機構は、前記タービンホイールの上流側と下流側とをバイパスするバイパス通路を開閉するウェストゲートバルブを含み、
    前記モデルは、前記制御量及び所定の物理量と、前記ウェストゲートバルブの開度とを関連付けることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の内燃機関の過給圧制御装置。
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