JP2012241625A - 過給エンジンの制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ウェイストゲートバルブ(WGV)開度を正確に推定することのできる過給エンジンの制御装置を提供する。
【解決手段】ターボ回転数(Ntbact)とスロットル上流圧力(Picact)によりコンプレッサモデルM2を用いてコンプレッサ流量の推定値(mcpest)を計算する。また、WGV開度の推定値(wgv)から、スロットル下流圧力と吸気弁流量との間に成り立つ関係を吸気弁モデルM6から導出し、スロットル開度(TA)とスロットル上流圧力(Picact)よりスロットル下流圧力とスロットル流量との間に成り立つ関係をスロットルモデルM4から導出する。それら2つの関係に基づいて吸気弁流量とスロットル流量とが一致する場合の吸気弁流量の推定値(mcest)を計算する。次に、吸気弁流量の推定値(mcpest)とコンプレッサ流量の推定値(mcpest)とを比較し、WGV開度の推定値と操作量との対応関係を調整する。
【選択図】図5
【解決手段】ターボ回転数(Ntbact)とスロットル上流圧力(Picact)によりコンプレッサモデルM2を用いてコンプレッサ流量の推定値(mcpest)を計算する。また、WGV開度の推定値(wgv)から、スロットル下流圧力と吸気弁流量との間に成り立つ関係を吸気弁モデルM6から導出し、スロットル開度(TA)とスロットル上流圧力(Picact)よりスロットル下流圧力とスロットル流量との間に成り立つ関係をスロットルモデルM4から導出する。それら2つの関係に基づいて吸気弁流量とスロットル流量とが一致する場合の吸気弁流量の推定値(mcest)を計算する。次に、吸気弁流量の推定値(mcpest)とコンプレッサ流量の推定値(mcpest)とを比較し、WGV開度の推定値と操作量との対応関係を調整する。
【選択図】図5
Description
本発明は、ウェイストゲートバルブを有する過給エンジンの制御装置に関する。
現在注目されている過給エンジンの制御技術の一つが、E−VRV(Electronic Vacuum Regulating Valve)等の電動式アクチュエータを用いたウェイストゲートバルブのアクティブ制御である。このアクティブ制御では、ECUからの操作信号によってウェイストゲートバルブを任意の開度に動かし、それによりターボ回転数を能動的に制御することが行われる。これによれば過給圧を任意に調整することが可能であり、燃費性能や排気ガス性能のさらなる向上が期待できる。
ただし、このようなアクティブ制御の実現のためには、ウェイストゲートバルブが実際にどれだけ開いているのかを正しく把握することが必要である。ウェイストゲートバルブを能動的に動作させたとしても、その開度が本来予定している開度からずれている場合にはエンジンの運転に支障が生じてしまうからである。例えば、高負荷状態においてウェイストゲートバルブが予定よりも閉じすぎていると、過剰な過給によってプレイグニッションが発生してしまう。逆に、ウェイストゲートバルブが予定よりも開きすぎていると、過給圧の不足によって所望の加速性能を得ることができなくなる。また、情報としてのウェイストゲートバルブ開度は、筒内空気量を正確に推定するための重要な情報でもある。
ところが、センサ等の計測手段によってウェイストゲートバルブ開度を精度良く実測することは現実的に容易ではない。このため、ウェイストゲートバルブ開度が情報として必要であるならば、ECUがウェイストゲートバルブを操作するときの操作量からウェイストゲートバルブ開度を推定せざるを得ない。具体的には、予め定義された対応関係を用いてウェイストゲートバルブの操作量からウェイストゲートバルブ開度が推定されることになる。しかし、ウェイストゲートバルブの個体差や経時変化により、実際の対応関係と定義されている対応関係との間にずれが生じる可能性がある。その場合、ウェイストゲートバルブ開度の推定値は実際値とは異なったものとなり、ウェイストゲートバルブ開度の推定値を参照して行われるエンジン制御に悪影響を与えてしまう。このようなことから、ウェイストゲートバルブのアクティブ制御を実施する場合には、ウェイストゲートバルブ開度の正確な推定値を得ることのできる技術が併せて必要とされている。
なお、本発明に関連する先行技術としては、以下に列挙する各特許文献に記載の技術を挙げることができる。例えば、特開2004−156525号公報には、実際の吸気弁流量とモデルを用いて計算した推定吸気弁流量との誤差に基づいて、誤差要因であるバルブリフト量を補正することについて記載されている。しかし、同公報ではウェイストゲートバルブについては触れられておらず、ましてや、ウェイストゲートバルブ開度の正確な推定値を得るための方法については記載されていない。
以上述べたように、ウェイストゲートバルブ開度を正確に推定できるようにすることは、ウェイストゲートバルブのアクティブ制御を実施する上での重要な課題として位置づけられる。
上述の課題を達成するためのアプローチとして、本発明では、過給エンジンにおける空気の挙動をモデル化した物理モデルを利用する。物理モデルは過給エンジンの要素ごとに作成されていて、ウェイストゲートバルブ開度をパラメータとする物理モデルとそうではない物理モデルとが含まれている。前者の物理モデルで計算された物理量と後者の物理モデルで計算された物理量とが同種の場合、ウェイストゲートバルブ開度の推定値が正しければ、それらの物理モデルで計算された物理量の2つの推定値は一致するはずである。したがって、ある特定の物理量に関し、ウェイストゲートバルブ開度をパラメータとする物理モデルで計算された推定値と、ウェイストゲートバルブ開度をパラメータとしない物理モデルで計算された推定値とを比較することで、ウェイストゲートバルブ開度の推定値と実際値とのずれを間接的に把握することができる。そして、前記特定物理量の2つの推定値の差が無くなるようにウェイストゲートバルブ開度の推定値とウェイストゲートバルブの操作量との対応関係を調整することにより、ウェイストゲートバルブ開度の推定値を実際値に合うように修正することが可能となる。
具体的には、本発明が提供する過給エンジンの制御装置は、物理モデルとしてコンプレッサモデル、スロットルモデル及び吸気弁モデルを備えている。コンプレッサモデルは、ターボ回転数とスロットル上流圧力とコンプレッサ流量との間に成り立つ関係をモデル化したものである。スロットル上流圧力とは、コンプレッサの下流の圧力、すなわち、コンプレッサからスロットルまでの空間の圧力を意味する。コンプレッサの上流の圧力は大気圧に略等しく、コンプレッサの回転数はターボ回転数に等しい。コンプレッサによって送り出される空気の流量は、主としてその前後の圧力差とコンプレッサの回転数とによって決まることが知られている。スロットルモデルは、スロットル上流圧力とスロットル下流圧力とスロットル開度とスロットル流量との間に成り立つ関係がモデル化されたものである。スロットル下流圧力とは、スロットルから吸気弁までの空間の圧力を意味する。スロットルを通過する空気の流量は、主としてその前後の差圧と流路面積とによって決まることが知られている。流路面積はスロットル開度により決まる。吸気弁モデルは、スロットル下流圧力とウェイストゲートバルブ開度と吸気弁流量との間に成り立つ関係をモデル化したものである。スロットル下流圧力と吸気弁を通過する空気の流量との間には直線で近似可能な関係があることが知られている。そして、その直線の式の傾きや切片を決定する係数の値にウェイストゲートバルブ開度が関係していることも知られている。これらの物理モデルは何れも数式で表すことが可能であり、何れも処理プログラムの形で本制御装置の記憶部に記憶されている。
また、本制御装置は、ウェイストゲートバルブ開度をウェイストゲートバルブの操作量から推定する機能を備えている。その推定のためには、予め定義されているウェイストゲートバルブの操作量とウェイストゲートバルブ開度との対応関係が用いられる。対応関係はマップデータの形で本制御装置の記憶部に記憶されている。さらに、本制御装置は、スロットル開度、ターボ回転数、及びスロットル上流圧力の各計測値を取得する機能を備えている。これらの物理量は過給エンジンに搭載のセンサによって計測することができる。そして、これらの計測値とウェイストゲートバルブ開度の推定値とに基づき、本制御装置は、前述の各物理モデルを用いて以下の計算を実施する。
本発明の第1の形態によれば、本制御装置は、まず、ターボ回転数の計測値とスロットル上流圧力の計測値とに基づいてコンプレッサモデルを用いてコンプレッサ流量の推定値を計算する。また、本制御装置は、ウェイストゲートバルブ開度の推定値に基づいて、スロットル下流圧力と吸気弁流量との間に成り立つ関係(以下、第1の関係)を吸気弁モデルから導出する。さらに、スロットル開度の計測値とスロットル上流圧力の計測値とに基づいて、スロットル下流圧力とスロットル流量との間に成り立つ関係(以下、第2の関係)をスロットルモデルから導出する。そして、本制御装置は、第1の関係及び第2の関係に基づいて吸気弁流量とスロットル流量とが一致する場合の吸気弁流量の推定値を計算する。第1の関係と第2の関係はいずれも方程式で表すことができるので、それらの連立方程式を解くことによって、現在のウェイストゲートバルブ開度の推定値とスロットル上流圧力の計測値とから推定される吸気弁流量を得ることができる。
そして、本制御装置は、上述のようにして得られた吸気弁流量の推定値とコンプレッサ流量の推定値とを比較する。スロットルが動いていない定常状態であれば吸気弁流量とコンプレッサ流量とは一致する。吸気弁流量の推定値とコンプレッサ流量の推定値との間に誤差がある場合、その誤差はウェイストゲートバルブ開度の推定値と実際値との間にずれが生じていることを意味する。コンプレッサモデルによれば、コンプレッサ流量の推定値にはウェイストゲートバルブ開度は影響しないものの、吸気弁モデルによれば、吸気弁流量の推定値はウェイストゲートバルブ開度の推定値によってその値が左右されるからである。そこで、本発明の第1の形態によれば、本制御装置は、吸気弁流量の推定値とコンプレッサ流量の推定値との比較結果に基づいて、具体的には、吸気弁流量の推定値とコンプレッサ流量の推定値とが一致するように、ウェイストゲートバルブ開度の推定値とウェイストゲートバルブの操作量との対応関係を調整する。吸気弁流量の推定値とコンプレッサ流量の推定値とが一致するようになれば、ウェイストゲートバルブ開度の推定値の実際値に対するずれも解消されるようになる。
また、本発明の第2の形態によれば、本制御装置は、まず、ターボ回転数の計測値とスロットル上流圧力の計測値とに基づいてコンプレッサモデルを用いてコンプレッサ流量の推定値を計算する。また、本制御装置は、ウェイストゲートバルブ開度の推定値、及び、コンプレッサ流量の推定値に基づいて、吸気弁モデルを用いてスロットル下流圧力の推定値を計算する。定常状態であれば吸気弁流量とコンプレッサ流量とは一致することから、コンプレッサ流量の推定値は吸気弁モデルにおいて吸気弁流量の推定値として扱うことができる。次に、本制御装置は、吸気弁モデルを用いて計算されたスロットル下流圧力の推定値、スロットル開度の計測値、及び、コンプレッサ流量の推定値に基づいて、スロットルモデルを用いてスロットル上流圧力の推定値を計算する。定常状態であればコンプレッサ流量とスロットル流量とは一致することから、コンプレッサ流量の推定値はスロットルモデルにおいてスロットル流量の推定値として扱うことができる。
そして、本制御装置は、上述のようにして得られたスロットル上流圧力の推定値をその計測値と比較する。スロットル上流圧力の推定値と計測値との間に誤差がある場合、その誤差はウェイストゲートバルブ開度の指示値と実際値との間にずれが生じていることを意味する。スロットルモデル及び吸気弁モデルによれば、ウェイストゲートバルブ開度の推定値に応じてスロットル下流圧力の推定値が決まり、スロットル下流圧力の推定値によってスロットル上流圧力の推定値が決まるからである。そこで、本発明の第2の形態によれば、本制御装置は、スロットル上流圧力の推定値と計測値との比較結果に基づいて、具体的には、スロットル上流圧力の推定値と計測値とが一致するように、ウェイストゲートバルブ開度の推定値とウェイストゲートバルブの操作量との対応関係を調整する。スロットル上流圧力の推定値と計測値とが一致するようになれば、ウェイストゲートバルブ開度の推定値の実際値に対するずれも解消されるようになる。
本発明によれば、ウェイストゲートバルブ開度の推定値が実際値に一致するように、ウェイストゲートバルブ開度の推定値とウェイストゲートバルブの操作量との対応関係が調整されるので、ウェイストゲートバルブの操作量からウェイストゲートバルブ開度を正確に推定することができる。
実施の形態1.
本発明の実施の形態1について図を参照して説明する。
本発明の実施の形態1について図を参照して説明する。
本実施の形態の制御装置が適用されるエンジンは、ウェイストゲートバルブを有する過給エンジンであり、より詳しくは、スロットルによる空気量の調整によってトルクを制御することのできる4サイクルレシプロエンジンである。図1は、本実施の形態の制御装置が適用される過給エンジンの構成を示す概略図である。本実施の形態にかかる過給エンジンは、吸気通路10に設けられたコンプレッサ32と排気通路20に設けられたタービン34とからなるターボ過給機30を備えている。タービン34にはその回転数を測定するためのターボ回転数センサ50が取り付けられている。吸気通路10はエンジン本体2に取り付けられた吸気マニホールド18に接続されている。吸気通路10の入口にはエアクリーナ12が設けられ、その下流であってコンプレッサ32よりも上流には吸気流量を計測するためのエアフローメータ42が配置されている。吸気通路10におけるコンプレッサ32とスロットル16との間にはインタークーラ14が設けられている。インタークーラ14の出口には、スロットル16の上流部の圧力、すなわち、過給圧を測定するための過給圧センサ44が取り付けられている。また、吸気通路10には、コンプレッサ32の下流側から上流側へコンプレッサ32をバイパスして空気を再循環させるためのエアバイパスバルブ36が設けられている。排気通路20はエンジン本体2に取り付けられた排気マニホールド22に接続されている。排気通路20には、タービン34をバイパスして排気ガスを流すためのウェイストゲートバルブ38が設けられている。このウェイストゲートバルブ38はE−VRVによって駆動されるアクティブ制御対応のウェイストゲートバルブである。
本実施の形態の制御装置は、過給エンジンを制御するECU(Electronic Control Unit)40の機能の一部として実現される。ECU40には、ターボ回転数センサ50やエアフローメータ42や過給圧センサ44の他にもスロットル開度センサ46や大気圧センサ48等の各種のセンサから、エンジンの運転状態や運転条件に関する様々な情報や信号が入力される。ECU40は、それら情報や信号に基づいてスロットル16やウェイストゲートバルブ38等の各種のアクチュエータを操作する。ウェイストゲートバルブ38に関しては、ECU40からE−VRVに操作量信号が供給される。その信号に従いE−VRVが作動することにより、ウェイストゲートバルブ38は任意の開度に動かされる。ECU40には、ウェイストゲートバルブ38の操作量であるデューティ比とウェイストゲートバルブ開度の推定値との対応関係を示すマップが記憶されている。
制御装置としてのECU40は、筒内の空気量を推定する機能を有している。ECU40による筒内の空気量の推定には、プログラムされている空気量推定モデルが用いられる。空気量推定モデルは、過給エンジンにおける空気の挙動を物理的にモデル化したものであって、その概要は図2の機能ブロック図によって表される。
図2に示すように、本実施の形態で用いられる空気量推定モデルは、ターボ回転数モデルM1、コンプレッサモデルM2、インタークーラモデルM3、スロットルモデルM4、吸気マニホールドモデルM5、吸気弁モデルM6、及び、ABVモデルM7を含んでいる。以下、空気量推定モデルに含まれる各サブモデルの内容について説明する。ただし、これらのサブモデルに用いることができる数式の例については公知であり、また、それ自体は本発明における特徴点ではないことから、各サブモデルのための具体的な数式については記載を省略する。
ターボ回転数モデルM1は、ターボ過給機30の回転挙動のモデルであって、吸気弁流量とウェイストゲートバルブ開度とターボ回転数との間に成り立つ関係がモデル化されている。ターボ回転数モデルM1は、数式或いは実験データに基づくマップによって構成されている。ターボ回転数モデルM1では、ウェイストゲートバルブ38の操作量から推定されたウェイストゲートバルブ開度(wgv)と、後述する吸気弁モデルM6で算出された吸気弁流量(mc)とが入力され、それらの入力情報からターボ回転数(Ntb)が算出される。
コンプレッサモデルM2は、ターボ過給機30のコンプレッサ32のモデルであって、ターボ回転数と過給圧とコンプレッサ流量との間に成り立つ関係がモデル化されている。コンプレッサモデルM2は、数式或いは実験データに基づくマップによって構成されている。コンプレッサモデルM2では、ターボ回転数モデルM1で算出されたターボ回転数(Ntb)と、後述するインタークーラモデルM3で算出された過給圧(Pic)等の情報が入力され、それらの入力情報からコンプレッサ流量(mcp)が算出される。
ABVモデルM7は、エアバイパスバルブ36によってコンプレッサ32の下流側から上流側に戻される空気の流量を算出するためのモデルである。エアバイパスバルブ36の流量は、その前後の差圧と、エアバイパスバルブ36を動作させるデューティ比から計算することができる。このため、ABVモデルM7では、大気圧センサ48によって計測された大気圧(Pa)、後述するインタークーラモデルM3で算出された過給圧(Pic)、及びECU40からエアバイパスバルブ36に出されるデューティ比(Dabv)が入力され、それらの入力情報からエアバイパスバルブ流量(mabv)が算出される。
インタークーラモデルM3は、吸気通路10におけるインタークーラ14内の空気に関する保存則に基づいて構築された物理モデルである。インタークーラモデルM3としては、具体的にはエネルギー保存則の式と流量保存則の式とが用いられている。インタークーラモデルM3では、コンプレッサモデルM2で算出されたコンプレッサ流量(mcp)、後述するスロットルモデルM4で算出されたスロットル流量(mt)、及びABVモデルM7で算出されたABV流量(mabv)等の情報が入力され、それらの入力情報から過給圧(Pic)が算出される。
スロットルモデルM4は、スロットル16を通過する空気の流量を算出するためのモデルであって、具体的には、スロットル16の前後の差圧、スロットル開度により決まる流路面積、及び流量係数を基本とするオリフィスの流量式が用いられている。スロットルモデルM4では、スロットル開度センサ46で計測されたスロットル開度(TA)、インタークーラモデルM3で算出されたスロットル上流圧力としての過給圧(Pic)、及び後述する吸気マニホールドモデルM5で算出されたスロットル下流圧力としての吸気マニホールド圧(Pm)等の情報が入力され、それらの入力情報からスロットル流量(mt)が算出される。
吸気マニホールドモデルM5は、吸気マニホールド18内の空気に関する保存則に基づいて構築された物理モデルである。吸気マニホールドモデルM5としては、具体的にはエネルギー保存則の式と流量保存則の式とが用いられている。吸気マニホールドモデルM5では、スロットルモデルM4で算出されたスロットル流量(mt)、及び後述する吸気弁モデルM6で算出された吸気弁流量(mc)等の情報が入力され、それらの入力情報から吸気マニホールド圧(Pm)が算出される。
吸気弁モデルM6は、吸気弁流量と吸気マニホールド圧との関係について調べた実験ベースのモデルである。実験で得られた経験則により、吸気弁モデルM6においては吸入空気量と吸気マニホールド圧との関係が直線で近似されている。ただし、その直線の方程式の係数は定数ではなく、ウェイストゲートバルブ38の開度によって決まる変数である。ウェイストゲートバルブ38の開度は背圧に影響し、背圧が変化すれば筒内への空気の入り易さも変化するためである。吸気弁モデルM6では、吸気マニホールドモデルM5で算出された吸気マニホールド圧(Pm)、及びウェイストゲートバルブ38の操作量から推定されたウェイストゲートバルブ開度(wgv)等の情報が入力され、それらの入力情報から吸気弁流量(mc)が算出される。
ECU40は、以上のように構成される空気量推定モデルを用いて吸気弁流量を計算し、吸気弁流量に基づいて筒内空気量を計算する。その計算の過程においては、スロットル開度や過給圧の計測値とともにウェイストゲートバルブ開度の推定値が用いられている。センサによって得られた計測値は、センサが正しく較正されている限りにおいて実際値に等しいとみなすことができる。しかし、ウェイストゲートバルブ開度の推定値に関しては、必ずしも実際値に等しいとは言えない。ウェイストゲートバルブ38の個体差や経時変化によって、マップにおいて定義されているウェイストゲートバルブ開度と操作量との対応関係が実際のものと違ってしまう場合があるからである。この点に関し、ECU40には、以下に述べるように、ウェイストゲートバルブ開度の推定値を実際値に合わせて修正する機能、すなわち、ウェイストゲートバルブ開度を学習する機能が設けられている。
まず、本実施の形態で採られるウェイストゲートバルブ開度の推定値と実際値とのずれの判定の方法について図3及び図4を用いて説明する。なお、ここでは、ウェイストゲートバルブ開度の推定値が実際値よりも小さく見積もられているケースを例にとって説明する。
図3に示すグラフの横軸は過給圧(Pic)と大気圧(Pa)との比であり、縦軸はコンプレッサ流量(mcp)である。圧力比(Pic/Pa)とコンプレッサ流量(mcp)との関係はターボ回転数によって左右される。このグラフに示す曲線Aは、ターボ回転数センサ50により計測されたターボ回転数(Ntbact)をコンプレッサモデルM2に入力することで得られる圧力比(Pic/Pa)とコンプレッサ流量(mcp)との関係を示す曲線である。この曲線Aを表す方程式に過給圧の計測値(Picact)と大気圧の計測値(Pacact)との比を代入することによってコンプレッサ流量の推定値(mcpest)を得ることができる。ターボ回転数の計測値(Ntbact)にはウェイストゲートバルブ開度の実際値が反映されていることから、推定コンプレッサ流量(mcpest)にもターボ回転数の計測値(Ntbact)を介してウェイストゲートバルブ開度の実際値が反映されている。
図4に示すグラフの横軸は吸気マニホールド圧(Pm)であり、縦軸はスロットル流量(mt)及び吸気弁流量(mc)である。グラフ中には2つの直線B、Cと1つの曲線Dが描かれている。直線Bは、ウェイストゲートバルブ開度の推定値に基づいて吸気弁モデルM6から導出される吸気マニホールド圧(Pm)と吸気弁流量(mc)との関係を示す直線である。一方、直線Cは、ウェイストゲートバルブ開度の実際値を吸気弁モデルM6に入力したならば得られるはずの吸気マニホールド圧(Pm)と吸気弁流量(mc)との関係を示す直線である。ただし、ウェイストゲートバルブ開度の実際値は直接計測できないことから、グラフに示す直線Cはあくまでも仮想であって、現実的に導出可能なのは直線Bのみである。曲線Dは、スロットル開度と過給圧の各計測値をスロットルモデルM4に入力することで得られる吸気マニホールド圧(Pm)とスロットル流量(mt)との関係を示している。この曲線Dから分かるように、スロットル開度と過給圧とが一定の場合、スロットル流量(mt)は吸気マニホールド圧(Pm)の増大とともに減少し、吸気マニホールド圧(Pm)の値が過給圧(Picact)に一致するときにスロットル流量(mt)はゼロになる。
定常状態においてはスロットル流量(mt)と吸気弁流量(mc)とは一致することから、過給圧が分かれば曲線Dと直線Bの交点における流量を算出することで、ウェイストゲートバルブ開度の推定値のもとでの吸気弁流量(mcest)を求めることができる。より具体的には、曲線Dと直線Bはそれぞれに方程式で表されることから、その連立方程式を解くことで、ウェイストゲートバルブ開度の推定値のもとでの推定吸気弁流量(mcest)を算出することができる。
本実施の形態では、このようにして得られた吸気弁流量の推定値(mcest)と、コンプレッサモデルM2で計算されたコンプレッサ流量の推定値(mcpest)とを比較する。定常状態であれば吸気弁流量とコンプレッサ流量とは一致することから、本来であれば2つの推定値(mcest、mcpest)も一致するはずである。しかし、コンプレッサ流量の推定値(mcpest)にはウェイストゲートバルブ開度は影響しないものの、吸気弁流量の推定値(mcest)はウェイストゲートバルブ開度の推定値によってその値が左右される。このため、ウェイストゲートバルブ開度の推定値が実際値からずれている場合には、2つの推定値(mcest、mcpest)の間にはずれが生じる。このことから、吸気弁流量の推定値(mcest)とコンプレッサ流量の推定値(mcpest)との間に誤差(グラフにはEで示している)がある場合には、その誤差の存在をもってウェイストゲートバルブ開度の推定値と実際値との間にずれが生じていると判断することができる。
次に、本実施の形態で採られるウェイストゲートバルブ開度の推定値の修正の方法について説明する。ウェイストゲートバルブ開度の推定値は、マップにおいてウェイストゲートバルブ38の操作量に対応付けられている。本実施の形態では、そのマップのデータを修正することにより、ウェイストゲートバルブ開度と操作量との対応関係の調整が行われる。その調整においては、吸気弁流量の推定値(mcest)がコンプレッサ流量の推定値(mcpest)よりも小さいのであれば、吸気弁モデルM6で算出される吸気弁流量が増えるように、操作量に対してウェイストゲートバルブ開度はプラス側に修正される。逆に、吸気弁流量の推定値(mcest)がコンプレッサ流量の推定値(mcpest)よりも大きいのであれば、吸気弁モデルM6で算出される吸気弁流量が減少するように、操作量に対してウェイストゲートバルブ開度はマイナス側に修正される。
図5は、このような修正の方法をECU40により実現するための構成を示している。このブロック図に示すように、ECU40は、コンプレッサモデルM2、吸気弁モデルM6及びスロットルモデルM4を利用する。また、ECU40には、操作量から推定されたウェイストゲートバルブ開度(wgv)が取り込まれるとともに、過給圧センサ44により計測された過給圧(Picact)、スロットル開度センサ46により計測されたスロットル開度(TA)、及び、ターボ回転数センサ50により計測されたターボ回転数(Ntbact)が取り込まれる。
取り込まれたウェイストゲートバルブ開度(wgv)は吸気弁モデルM6に入力される。吸気弁モデルM6では、ウェイストゲートバルブ開度(wgv)に基づいて、吸気マニホールド圧(Pm)と吸気弁流量(mc)との関係を示す方程式が導出される。スロットルモデルM4では、過給圧(Picact)及びスロットル開度(TA)により特定される方程式と吸気弁モデルM6で得られた方程式との連立方程式を解くことによって吸気弁流量の推定値(mcest)が算出される。また、コンプレッサモデルM2では、ターボ回転数(Ntbact)と過給圧(Picact)とに基づいてコンプレッサ流量の推定値(mcpest)が算出される。
次に、ECU40は、吸気弁流量の推定値(mcest)とコンプレッサ流量の推定値(mcpest)との差分を算出する。そして、その差分値(mcest−mcpest)はゼロより大きいかどうか判定される。差分値がゼロより大きい場合、すなわち吸気弁流量の推定値(mcest)がコンプレッサ流量の推定値(mcpest)より大きいときには、ウェイストゲートバルブ開度(wgv)の修正量としてゼロより小さい所定値(-dwgv)が設定される。一方、差分値がゼロより小さい場合、すなわち吸気弁流量の推定値(mcest)がコンプレッサ流量の推定値(mcpest)より小さいときには、ウェイストゲートバルブ開度(wgv)の修正量としてゼロより大きい所定値(dwgv)が設定される。これらの修正量は、差分値の絶対値が所定値(dGA)よりも大きい場合に、ウェイストゲートバルブ開度(wgv)に加算される。差分値の絶対値が所定値(dGA)以下である場合には、差分の有無に係らず修正量はゼロとされる。
実施の形態2.
次に、本発明の実施の形態2について図を参照して説明する。
次に、本発明の実施の形態2について図を参照して説明する。
本実施の形態の制御装置は、実施の形態1と同様に、図1のように構成される過給エンジンに適用され、過給エンジンを制御するECU40の機能の一部として実現される。また、制御装置としてのECU40は、実施の形態1と同様に、図2に示す空気量推定モデルを用いて筒内空気量を推定する機能を有している。
本実施の形態の制御装置と実施の形態1の制御装置との相違点は、ウェイストゲートバルブ開度の推定値を実際値に合わせて修正する機能の内容、すなわち、ウェイストゲートバルブ開度の学習方法にある。まず、本実施の形態で採られるウェイストゲートバルブ開度の推定値と実際値とのずれの判定の方法について図6を用いて説明する。なお、ここでは、ウェイストゲートバルブ開度の推定値が実際値よりも小さく見積もられているものとする。
図6に示すグラフの横軸は吸気マニホールド圧(Pm)であり、縦軸はスロットル流量(mt)及び吸気弁流量(mc)である。グラフに示す直線Bは、ウェイストゲートバルブ開度の推定値を吸気弁モデルM6に入力することで得られる吸気マニホールド圧(Pm)と吸気弁流量(mc)との関係を示す直線である。この直線Bを表す方程式にコンプレッサ流量の推定値(mcpest)を代入することによって吸気マニホールド圧の推定値(Pmest)が計算される。コンプレッサ流量の推定値(mcpest)は、実施の形態1と同じく、ターボ回転数センサ50により計測されたターボ回転数(Ntbact)に基づいてコンプレッサモデルM2を用いて算出される。定常状態であれば吸気弁流量とコンプレッサ流量とは一致することから、コンプレッサ流量の推定値は吸気弁モデルM6において吸気弁流量の推定値として扱うことができる。
次に、吸気弁モデルM6から算出した吸気マニホールド圧の推定値(Pmest)をスロットル開度とコンプレッサ流量の推定値(mcpest)とともに、スロットルモデルM4に入力する。定常状態であればコンプレッサ流量とスロットル流量とは一致することから、コンプレッサ流量の推定値はスロットルモデルM4においてスロットル流量の推定値として扱うことができる。グラフに示す曲線Fは、これらの情報をスロットルモデルM4に入力することによって特定される吸気マニホールド圧(Pm)とスロットル流量(mt)との関係を示す曲線である。この曲線Fにおいてスロットル流量(mt)がゼロになるとき、吸気マニホールド圧(Pm)は過給圧に等しくなる。その過給圧の値を曲線Fの方程式を用いて算出することにより、ウェイストゲートバルブ開度の推定値のもとでの推定過給圧(Picest)を得ることができる。
本実施の形態では、このようにして得られた過給圧の推定値(Picest)と、過給圧センサ44によって計測された過給圧(Picact)とを比較する。過給圧の推定値(Picest)と計測値(Picact)との間に誤差がある場合、その誤差はウェイストゲートバルブ開度の指示値と実際値との間にずれが生じていることを意味する。スロットルモデルM4及び吸気弁モデルM6によれば、ウェイストゲートバルブ開度の推定値に応じて吸気マニホールド圧の推定値(Pmest)が決まり、吸気マニホールド圧の推定値(Pmest)によって過給圧の推定値(Picest)が決まるからである。このことから、過給圧の推定値(Picest)と計測値(Picact)との間に誤差(グラフにはGで示している)がある場合には、その誤差の存在をもってウェイストゲートバルブ開度の推定値と実際値との間にずれが生じていると判断することができる。
なお、グラフに示す直線Cは、ウェイストゲートバルブ開度の実際値を吸気弁モデルM6に入力したならば得られるはずの吸気マニホールド圧(Pm)と吸気弁流量(mc)との関係を示す直線である。ただし、ウェイストゲートバルブ開度の実際値は直接計測できないことから、実際には直線Cを特定することはできない。曲線Dは、スロットル開度と過給圧の各計測値をスロットルモデルM4に入力することで得られる吸気マニホールド圧(Pm)とスロットル流量(mt)との関係を示す曲線である。この曲線Dにおいてスロットル流量(mt)がゼロになるときの吸気マニホールド圧(Pm)の値は過給圧の計測値(Picact)に一致する。
次に、本実施の形態で採られるウェイストゲートバルブ開度の推定値の修正の方法について説明する。本実施の形態では、実施の形態1の場合と同じく、ウェイストゲートバルブ開度をウェイストゲートバルブ38の操作量に対応付けるマップのデータを修正することにより、ウェイストゲートバルブ開度と操作量との対応関係の調整が行われる。その調整においては、グラフに示すように過給圧の推定値(Picest)が計測値(Picact)よりも大きいのであれば、操作量に対してウェイストゲートバルブ開度はプラス側に修正される。逆に、過給圧の推定値(Picest)が計測値(Picact)よりも小さいのであれば、操作量に対してウェイストゲートバルブ開度はマイナス側に修正される。
図7は、このような修正の方法をECU40により実現するための構成を示している。このブロック図に示すように、ECU40は、コンプレッサモデルM2、吸気弁モデルM6及びスロットルモデルM4を利用する。また、ECU40には、操作量から推定されたウェイストゲートバルブ開度(wgv)が取り込まれるとともに、過給圧センサ44により計測された過給圧(Picact)、スロットル開度センサ46により計測されたスロットル開度(TA)、及び、ターボ回転数センサ50により計測されたターボ回転数(Ntbact)が取り込まれる。
コンプレッサモデルM2では、ターボ回転数(Ntbact)と過給圧(Picact)とに基づいてコンプレッサ流量の推定値(mcpest)が算出される。コンプレッサ流量の推定値(mcpest)はウェイストゲートバルブ開度(wgv)とともに吸気弁モデルM6に入力される。吸気弁モデルM6では、ウェイストゲートバルブ開度(wgv)とコンプレッサ流量の推定値(mcpest)とに基づいて吸気マニホールド圧の推定値(Pmest)が算出される。吸気弁モデルM6で算出された吸気マニホールド圧の推定値(Pmest)は、コンプレッサ流量の推定値(mcpest)とスロットル開度(TA)とともにスロットルモデルM4に入力される。スロットルモデルM4では、それら入力情報に基づいて過給圧の推定値(Picest)が算出される。
次に、ECU40は、過給圧の推定値(Picest)と計測値(Picact)との差分を算出する。そして、その差分値(Picest−Picact)はゼロより大きいかどうか判定される。差分値がゼロより大きい場合、すなわち過給圧の推定値(Picest)が計測値(Picact)より大きいときには、ウェイストゲートバルブ開度(wgv)の修正量としてゼロより大きい所定値(dwgv)が設定される。一方、差分値がゼロより小さい場合、すなわち過給圧の推定値(Picest)が計測値(Picact)より小さいときには、ウェイストゲートバルブ開度(wgv)の修正量としてゼロより小さい所定値(-dwgv)が設定される。これらの修正量は、差分値の絶対値が所定値(dGA)よりも大きい場合に、ウェイストゲートバルブ開度(wgv)に加算される。差分値の絶対値が所定値(dGA)以下である場合には、差分の有無に係らず修正量はゼロとされる。
その他.
本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。例えば、ウェイストゲートバルブ開度とウェイストゲートバルブの操作量との対応関係の調整の方法としては、その対応関係を定義しているマップのデータを修正するのではなく、マップから得られたウェイストゲートバルブ開度の推定値に調整分の補正量を加えることでもよい。
本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。例えば、ウェイストゲートバルブ開度とウェイストゲートバルブの操作量との対応関係の調整の方法としては、その対応関係を定義しているマップのデータを修正するのではなく、マップから得られたウェイストゲートバルブ開度の推定値に調整分の補正量を加えることでもよい。
実施の形態1、2にかかる過給エンジンは、バルブタイミングを可変にする可変動弁機構を有していてもよい。その場合、吸気弁モデルでは、ウェイストゲートバルブ開度とバルブタイミングとに基づいて直線の方程式の係数が決定されることになる。バルブタイミングの計測誤差の影響については前述の通りであるが、それを排除したいのであれば、バルブタイミングが最進角位置或いは最遅角位置に固定されている場合に限定してウェイストゲートバルブ開度の学習を行うようにすればよい。
また、実施の形態1、2にかかる過給エンジンは、バルブリフト量を可変にする可変動弁機構を有していてもよい。その場合、ウェイストゲートバルブ開度の推定値の調整結果にはバルブリフト量の推定値と実際値との間のずれ分の誤差が含まれる可能性はある。しかし、ウェイストゲートバルブ開度の推定誤差はバルブリフト量のそれよりも大きく、ウェイストゲートバルブ開度の推定誤差が筒内空気量の推定精度に与える影響は大きいことから、バルブリフト量の推定誤差が多少影響したとしても、本発明を実施することで得られるメリットがそれにより大きく損なわれることはない。バルブリフト量の推定誤差の影響を排除したいのであれば、バルブリフト量が最大或いは最小に固定されている場合に限定してウェイストゲートバルブ開度の学習を行うようにすればよい。
本発明の制御装置が適用される過給エンジンにおいては、インタークーラやエアバイパスバルブは必須ではない。逆に、本発明の制御装置が適用される過給エンジンにはEGR装置が設けられていてもよい。その場合、省略する装備や追加する装備に応じて、図2に示す空気量推定モデルの構成を変えればよい。例えば、エアバイパスバルブを有しない過給エンジンであれば、空気量推定モデルからABVモデルを省略すればよい。また、EGR装置を有する過給エンジンであれば、空気量推定モデルにEGRモデルを追加すればよい。
10 吸気通路
14 インタークーラ
16 スロットル
18 吸気マニホールド
20 排気通路
30 過給機
32 コンプレッサ
34 タービン
38 ウェイストゲートバルブ
40 ECU
42 エアフローメータ
44 過給圧センサ
46 スロットル開度センサ
50 ターボ回転数センサ
M1 ターボ回転数モデル
M2 コンプレッサモデル
M3 インタークーラモデル
M4 スロットルモデル
M5 吸気マニホールドモデル
M6 吸気弁モデル
M7 ABVモデル
14 インタークーラ
16 スロットル
18 吸気マニホールド
20 排気通路
30 過給機
32 コンプレッサ
34 タービン
38 ウェイストゲートバルブ
40 ECU
42 エアフローメータ
44 過給圧センサ
46 スロットル開度センサ
50 ターボ回転数センサ
M1 ターボ回転数モデル
M2 コンプレッサモデル
M3 インタークーラモデル
M4 スロットルモデル
M5 吸気マニホールドモデル
M6 吸気弁モデル
M7 ABVモデル
Claims (2)
- ウェイストゲートバルブを有する過給エンジンの制御装置において、
ターボ回転数とスロットル上流圧力とコンプレッサ流量との間に成り立つ関係がモデル化されたコンプレッサモデルと、
スロットル上流圧力とスロットル下流圧力とスロットル開度とスロットル流量との間に成り立つ関係がモデル化されたスロットルモデルと、
スロットル下流圧力とウェイストゲートバルブ開度と吸気弁流量との間に成り立つ関係がモデル化された吸気弁モデルと、
予め定義された対応関係に従い前記ウェイストゲートバルブの操作量に対応するウェイストゲートバルブ開度の推定値を取得する手段と、
スロットル開度の計測値を取得する手段と、
ターボ回転数の計測値を取得する手段と、
スロットル上流圧力の計測値を取得する手段と、
ターボ回転数の前記計測値とスロットル上流圧力の前記計測値とに基づいて前記コンプレッサモデルを用いてコンプレッサ流量の推定値を計算する手段と、
ウェイストゲートバルブ開度の前記推定値に基づいて、スロットル下流圧力と吸気弁流量との間に成り立つ関係(以下、第1の関係)を前記吸気弁モデルから導出する手段と、
スロットル開度の前記計測値とスロットル上流圧力の前記計測値とに基づいて、スロットル下流圧力とスロットル流量との間に成り立つ関係(以下、第2の関係)を前記スロットルモデルから導出する手段と、
前記第1の関係及び第2の関係に基づいて吸気弁流量とスロットル流量とが一致する場合の吸気弁流量の推定値を計算する手段と、
吸気弁流量の前記推定値とコンプレッサ流量の前記推定値とを比較し、その比較結果に基づいてウェイストゲートバルブ開度の推定値と前記ウェイストゲートバルブの操作量との対応関係を調整する手段と、
を備えることを特徴とする過給エンジンの制御装置。 - ウェイストゲートバルブを有する過給エンジンの制御装置において、
ターボ回転数とスロットル上流圧力とコンプレッサ流量との間に成り立つ関係がモデル化されたコンプレッサモデルと、
スロットル上流圧力とスロットル下流圧力とスロットル開度とスロットル流量との間に成り立つ関係がモデル化されたスロットルモデルと、
スロットル下流圧力とウェイストゲートバルブ開度と吸気弁流量との間に成り立つ関係がモデル化された吸気弁モデルと、
予め定義された対応関係に従い前記ウェイストゲートバルブの操作量に対応するウェイストゲートバルブ開度の推定値を取得する手段と、
スロットル開度の計測値を取得する手段と、
ターボ回転数の計測値を取得する手段と、
スロットル上流圧力の計測値を取得する手段と、
ターボ回転数の前記計測値とスロットル上流圧力の前記計測値とに基づいて前記コンプレッサモデルを用いてコンプレッサ流量の推定値を計算する手段と、
ウェイストゲートバルブ開度の前記推定値とコンプレッサ流量の前記推定値とに基づいて前記吸気弁モデルを用いてスロットル下流圧力の推定値を計算する手段と、
スロットル下流圧力の前記推定値とスロットル開度の前記計測値とコンプレッサ流量の前記推定値とに基づいて前記スロットルモデルを用いてスロットル上流圧力の推定値を計算する手段と、
スロットル上流圧力の前記推定値と前記計測値とを比較し、その比較結果に基づいてウェイストゲートバルブ開度の推定値と前記ウェイストゲートバルブの操作量との対応関係を調整する手段と、
を備えることを特徴とする過給エンジンの制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2011112683A JP2012241625A (ja) | 2011-05-19 | 2011-05-19 | 過給エンジンの制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2011112683A JP2012241625A (ja) | 2011-05-19 | 2011-05-19 | 過給エンジンの制御装置 |
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Family
ID=47463604
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2011112683A Withdrawn JP2012241625A (ja) | 2011-05-19 | 2011-05-19 | 過給エンジンの制御装置 |
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JP (1) | JP2012241625A (ja) |
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-
2011
- 2011-05-19 JP JP2011112683A patent/JP2012241625A/ja not_active Withdrawn
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