JP2010209907A - ダンパ装置及びそれを用いた高圧ポンプ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】流体室16に設けられたダンパ部材210は、第1支持部材50に蓋部材12側から支持され、第2支持部材60にハウジング11側から支持される。流体室16の開口201を塞ぐ蓋部材12に押圧される波形ばね81は、第1支持部材50を第1周縁部213に押圧し、ダンパ部材210を介し、第2支持部材60をハウジング11に押圧する。波形ばね81の内周面及びハウジング11側の面を第1支持部材50に設けられた環状支持部51が支持する。このため、第1支持部材50、第2支持部材60及びダンパ部材210が流体室内に固定されると共に、波形ばね81から第1支持部材50を経由し、ダンパ部材210に作用する荷重が均一化され、第1支持部材50、第2支持部材60及びダンパ部材210の意図しない変形を抑制することができる。
【選択図】図13
Description
この種の高圧ポンプは、燃料出口から吐出される燃料の吐出量を調節するため、プランジャが燃料を加圧する加圧室の燃料の一部を燃料入口側に設けられた流体室に排出するようにしている。そして、この流体室に排出される燃料によって生じる圧力脈動を低減するため、流体室にはダンパ部材を備えたダンパ装置が設けられている。
特許文献1のダンパ装置では、2枚式金属ダイアフラムからなるダンパ部材が蓋部材とハウジングとの間で波形ばねで上下から押圧され、流体室内に組み付けられている。
特許文献2のダンパ装置では、2枚式金属ダイアフラムダンパからなるダンパ部材が、波形ばね、ワッシャガイド、ワッシャなどの部材によって流体室内に組み付けられている。
ところで、波形ばねは、軸方向に圧縮されると、径方向外側に広がる特性を有する。このため、特許文献1では、波形ばねの径方向外側の移動が流体室の内壁によって制限されていることで、ダンパ部材に均一な荷重が印加されず、ダンパ部材が捩れを生じ、脈動低減機能を発揮することが困難となることが懸念される。
特許文献2のダンパ装置は、燃料室に組み付けるために必要な部品点数が多く、組み付けに工数を要するという問題点があった。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、脈動低減効果を高めることの可能な高圧ポンプを提供することにある。
また、簡素な構成で流体の脈動を抑制可能なダンパ装置及びそれを用いた高圧ポンプを提供することにある。
蓋部材に押圧される環状弾性部材のハウジング側の面を環状支持部が支持するので、第1支持部材、第2支持部材及びダンパ部材が環状弾性部材の荷重によって流体室に固定される。この構成により、第1支持部材と第2支持部材の径方向の外側に外側流体室を大きく確保することが可能となり、燃料の流体抵抗を下げることができると共に、ダンパ部材の第1、第2ダイアフラムの両側にそれぞれ形成される第1内側流体室及び第2内側流体室に燃料が行き渡りやすくなるので、高い脈動低減効果を発揮することができる。
さらに、環状支持部が環状弾性部材の内周面で環状弾性部材の位置決めを行うので、環状弾性部材の径方向外側への弾性変形が制限されることなく、軸方向の圧縮によって径方向外側に広がる特性を有する環状弾性部材に応力の偏りが生じ難い。これにより、環状弾性部材から第1支持部材に作用する荷重が均一化され、第1支持部材、第2支持部材及びダンパ部材の意図しない変形を招く事態を抑制できる。したがって、ダンパ部材を確実に機能させ脈動低減効果を高めることができる。
請求項11に記載の発明によると、環状弾性部材は、皿ばねである。
皿ばねのハウジング側の面が環状支持部に支持されることで、弾性部材の荷重によって第1支持部材、第2支持部材及びダンパ部材が流体室に固定される。皿ばねの内周面が環状支持部に支持されることで、皿ばねの径方向外側への弾性変形が制限されることなく、軸方向の圧縮によって径方向外側に広がる特性を有する皿ばねに応力の偏りが生じ難い。これにより、皿ばねから第1支持部材に作用する荷重が均一化され、第1支持部材、第2支持部材及びダンパ部材の意図しない変形を招く事態を抑制できる。
また、皿ばねに燃料が流通可能なスリットを設けることで、環状支持部の径方向内側の開口を通じてダンパ部材に向かう燃料を当該開口に導入するための通路を形成可能となる。
請求項15に記載の発明は、第1支持部材及び第2支持部材の少なくとも一方は、板バネ部を有する。例えば、板バネ部を支持部材と一体に構成することにより、より簡素な構成で流体の脈動を抑制することができる。
請求項16に記載の発明は、第1支持部材及び第2支持部材の少なくとも一方は、皿バネ部を有する。かかる構成によれば、例えば、ダンパ部材を挟持する部材に弾性がないものを使用した場合においても、比較的簡素な構成で流体の脈動を抑制することができる。
このような高圧ポンプにおいても、上記請求項14に記載のダンパ装置と同様の効果を奏する。
なお、請求項22に記載の高圧ポンプに対し、請求項15〜21に記載のダンパ装置と同様の構成を採用してもよい。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態の高圧ポンプは、例えば、車両のガソリンエンジンやディーゼルエンジンのインジェクタに、図示しないデリバリパイプを経由して燃料を供給するものである。図1に示すように、高圧ポンプ10は、ハウジング11、蓋部材12、プランジャ13、弁ボディ30、電磁駆動部70、吐出弁部90、およびダンパ装置200などを備えている。
ハウジング11は、例えばマルテンサイト系のステンレスなどで形成されている。ハウジング11は、円筒状のシリンダ14を形成している。このシリンダ14には、プランジャ13が軸方向へ往復移動可能に支持されている。
ストッパ40は、弁部材35の加圧室121側に設けられている。ストッパ40は、弁ボディ30の筒部32の内壁に固定されている。
ストッパ40には、ストッパ40の軸に対して傾斜する通路102が形成され、環状燃料通路101と吸入通路112とを連通している。通路102は、ストッパ40の周方向に複数形成されている。また、ストッパ40には、容積室41と環状燃料通路101とを連通する管路42が形成されている。このため、環状燃料通路101と連通する通路102の燃料は、管路42を経由して容積室41に流入可能である。
固定コア72と可動コア73との間に、スプリング22が設けられている。スプリング22は、可動コア73を弁部材35側へ付勢している。スプリング22が可動コア73を付勢する力は、スプリング21が弁部材35を付勢する力よりも大きい。すなわち、スプリング22は、可動コア73およびニードル38をスプリング21の付勢力に抗して弁部材35側、すなわち弁部材35の開弁方向へ付勢している。これにより、コイル71に通電していないとき、固定コア72と可動コア73とは互いに離れている。そのため、コイル71に通電していないとき、可動コア73と一体のニードル38はスプリング22の付勢力により弁部材35側へ移動するとともに、弁部材35は弁ボディ30の弁座34から離座している。このように、ニードル38は、スプリング22の付勢力により、円板部36に当接することで弁部材35を開弁方向へ押圧可能である。
(1)吸入行程
プランジャ13が、図1の下方へ移動するとき、コイル71への通電は停止される。そのため、弁部材35は、スプリング22から力を受けている可動コア73と一体のニードル38により、加圧室121側へ付勢されている。その結果、弁部材35は、弁ボディ30の弁座34から離座している。また、プランジャ13が、図1の下方へ移動するとき、加圧室121の圧力は低下する。そのため、弁部材35が反加圧室121側からの燃料を受ける力は、加圧室121側の燃料から受ける力よりも大きくなる。これにより、弁部材35には弁座34から離座する方向へ力が加わり、弁部材35は弁座34から離座する。弁部材35は、ガイド部37がストッパ40の段差面501に当接するまで移動する。弁部材35が弁座34から離座、すなわち開弁することにより、流体室16の燃料は、導入通路111、通路151、環状燃料通路101、通路102、及び吸入通路112をこの順で経由して加圧室121に吸入される。また、このとき、通路102の燃料は、管路42を経由して容積室41へ流入可能である。そのため、容積室41の圧力は、通路102の圧力と同等になる。
プランジャ13が下死点から上死点に向かって上昇するとき、加圧室121から流体室16側へ排出される低圧燃料の流れにより、弁部材35には加圧室121側の燃料から弁座34に着座する方向へ力が加わる。しかし、コイル71に通電していないとき、ニードル38は、スプリング22の付勢力により弁部材35側へ付勢されている。そのため、弁部材35は、ニードル38によって弁座34側への移動が規制される。また、弁部材35の加圧室121側の壁面は、ストッパ40によって覆われている。これにより、加圧室121から流体室16側へ排出される燃料の流れによる動圧が、弁部材35に直接作用することを抑制している。そのため、燃料の流れにより弁部材35に加わる閉弁方向の力が緩和される。
加圧室121と流体室16との間が閉鎖された状態で、プランジャ13がさらに上死点に向けて上昇すると、加圧室121の燃料の圧力は上昇する。加圧室121の燃料の圧力が所定の圧力以上になると、吐出弁部90のスプリング94の付勢力、及び弁座95の下流側の燃料から逆止弁92が受ける力に抗して、逆止弁92は弁座95から離座する。これにより、吐出弁部90が開弁し、加圧室121で加圧された燃料は吐出通路114を経由して高圧ポンプ10から吐出される。高圧ポンプ10から吐出された燃料は、図示しないデリバリパイプに供給されて蓄圧され、インジェクタに供給される。
ダンパ装置200は、ハウジング11、蓋部材12、ダンパ部材210、第1支持部材50、及び第2支持部材60等から構成されている。
ハウジング11は、加圧室121のプランジャ13とは反対側に開口201を具備するする筒状の筒部203を有している(図1参照)。筒部203は、径内側に流体室16を形成している。流体室16は、プランジャ13とほぼ同軸状に形成されている。筒部203は、底部202に段差部204が形成されている。
第2ダイアフラム221も、第1ダイアフラム211と同様に、連続要素として一体に形成される第2ダンパ部222、及び第2周縁部223を有している。なお、本形態においては、第1ダイアフラム211が蓋部材12側、第2ダイアフラム221がハウジング11の底部202側となるように配置するものとする。
ダンパ室217には、例えばヘリウム(He)、又はアルゴン(Ar)、あるいはこれらの混合気体が所定圧、例えば300kPa、で封入されている。第1ダンパ部212、及び第2ダンパ部222は、流体室16の圧力変化に応じて弾性変形する。これにより、ダンパ室217の容積が変化し、流体室16の圧力脈動を低減する。
第1支持部材50の内側には、第1内側流体室86が形成されている。第1内側流体室86は、第1連通孔55を経由して、外側流体室85と連通している。また、第2支持部材60の内側には、第2内側流体室87が形成されている。第2内側流体室87は、第2連通孔65を経由して、外側流体室85と連通している。すなわち、第1内側流体室86と第2内側流体室87とは、外側流体室85を経由して連通している。なお、外側流体室85、第1内側流体室86、及び第2内側流体室87が、流体室16を構成している。
ハウジング11の開口201から第2支持部材60を筒部203に挿入し、第2小径部61を段差部204に嵌合する。これにより、ハウジング11内における第2支持部材60の位置が規定される。次に、第2支持部材60の第2当接部66に、ダンパ部材210の第2周縁部223が当接するように、ダンパ部材210を載置する。このとき、ダンパ部材210の径方向の位置は、ダンパ部材210の外縁を第2爪部64によって規定される。また次に、ダンパ部材210の第1周縁部213に、第1支持部材50の第1当接部56が当接するように、第1支持部材50を載置する。このとき、第1爪部54が、第2爪部64と重ならないように周方向の位置をずらして載置する。さらに、第1支持部材50の第1小径部51に、皿バネ80を嵌合させる。そして、皿バネ80の第1支持部材50と反対側の端部から荷重をかけて蓋部材12を被せ、ハウジング11の筒部203の外壁に蓋部材12を溶接等によって固定する。このとき、皿バネ80は、蓋部材12によって押圧されることにより弾性変形する。第1支持部材50及び第2支持部材60は、蓋部材12により皿バネ80を介して押圧されることによって、ダンパ部材210の周縁部215を挟持する。これにより、第1支持部材50及び第2支持部材60は、ダンパ部材210をハウジング11と蓋部材12との間に支持する。
さらにまた、第1当接部56、及び第2当接部66は、溶接部216よりも径内方向に位置している。ダンパ部材210の内圧が流体室16の燃圧よりも大きく、ダンパ部材210が膨張する場合、溶接部216よりも径内方向に位置する第1当接部56及び第2当接部66にて、周縁部215を挟持するので、溶接部216にかかる負荷を抑制することが可能であり、ダンパ部材210の破損を防止することができる。
本発明の第2実施形態の高圧ポンプのダンパ装置を、図3、及び図4に基づいて説明する。以下、複数の実施形態において、実質的に同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。なお、図3においては、蓋部材を除いた状態での図1のA方向から見た平面図を示した。また、図4は、図3のIV−IV線断面図であり、高圧ポンプのダンパ装置近傍を拡大した図である。
第2実施形態のダンパ装置290では、第1支持部材250は、一体に形成される第1板バネ部257を有し、弾性変形可能に構成されている。また、第1板バネ部257は、その内側がU字状に切り欠かれ、切り欠き部が蓋部材12に直立して係止される第1脚部258となっている。
本発明の第3実施形態の高圧ポンプのダンパ装置を、図5に基づいて説明する。
第3実施形態は、第2実施形態の変形例である。図5に示すように、ダンパ装置295では、第1支持部材250の第1連通孔255及び第2支持部材の第2連通孔265は、周方向に延びる長孔である。また、第1連通孔255及び第2連通孔265は、周方向に斜めに延びる斜め長孔としてもよいし、軸方向に延びる縦長孔であってもよい。
このように構成しても、上記第2実施形態と同様の効果を奏することができる。また、第1連通孔255及び第2連通孔265を長孔にすることにより、流路面積が大きくなるので、流体抵抗をより低減することが可能である。したがって、外側流体室85、第1内側流体室86、及び第2内側流体室87に燃料が行き渡りやすくなり、高い圧力脈動減衰性能を発揮することができる。なお、このような長孔を、他の形態に適用してもよく、連通孔の形状は、流路面積が確保できればどのような形状であってもよい。
本発明の第4実施形態の高圧ポンプのダンパ装置を、図6、及び図7に基づいて説明する。なお、図6においては、蓋部材を除いた状態での図1のA方向から見た平面図を示した。また、図7は、図8のVII−VII線断面図であり、高圧ポンプのダンパ装置近傍を拡大した図である。
第4実施形態は、第2実施形態の変形例である。本形態のダンパ装置300では、第1支持部材350の第1板バネ部357と第1脚部358とが円周上の別の箇所に設けられている。同様に、第2支持部材360の第2板バネ部367と第2脚部368とが、円周上の別の箇所に設けられている。
このように構成しても、上記第2実施形態と同様の効果を奏することができる。
本発明の第5実施形態の高圧ポンプのダンパ装置を、図8、及び図9に基づいて説明する。なお、図8においては、蓋部材を除いた状態での図1のA方向から見た平面図を示した。また、図9は、図4AのIX−O−IX線断面図であり、高圧ポンプのダンパ装置近傍を拡大した図である。
第5実施形態のダンパ装置400では、第1支持部材450は、蓋部材12側が開放された形状に形成されている。そして、第1支持部材450の蓋部材12側の端部には、弾性変形可能に構成された略U字状の第1板バネ部457が設けられている。また、第1支持部材450は、ダンパ部材210側の端部の一部が、径方向に延びてハウジング11の内壁と略垂直に当接する延伸部459を有している。この延伸部459がハウジング11の内壁に当接することにより、第1支持部材450の位置が規定される。
本発明の第6実施形態の高圧ポンプを図10及び図11に基づいて説明する。第6実施形態の高圧ポンプ6と第1実施形態の高圧ポンプ1とは同一の構成である。図10及び図11は、図1及び図2と同一の図である。
本実施形態の高圧ポンプ6では、加圧室121の燃料の一部が調量行程において流体室16に排出されること等で生じる燃料の圧力脈動を低減するダンパ装置500について詳述する。このダンパ装置500は、ハウジング11、蓋部材12、ダンパ部材210、第1支持部材50、第2支持部材60及び皿バネ80等から構成されている。
ハウジング11は、加圧室121のプランジャ13とは反対側に筒状の筒部203を有している。この筒部203の径内側に流体室16が形成される。蓋部材12は、筒部203の外壁に溶接等によって接合され、流体室16の開口201を塞いでいる。
第1ダイアフラム211の第1周縁部213の径方向外側と、第2ダイアフラム221の第2周縁部223の径方向外側とは全周が溶接され、溶接部216を形成している。これにより、第1ダイアフラム211と第2ダイアフラム221とが気密及び液密にシールされ、第1ダンパ部212と第2ダンパ部222との間にダンパ室217が形成される。
ここで、高圧ポンプが通常作動している際に供給される燃料インレット圧にて、流体室16に生じる燃料圧力で各ダイアフラム211、221が変位する範囲をダンパ部材210の可動部220と称する。この可動部220は、弾性変形しやすいように平坦面状に形成されている。なお、可動部220は、平坦面状に限らず、波状または球状などであっても良い。
第1ダイアフラム211、及び第2ダイアフラム221の板厚、材質、及びダンパ室217に封入される流体の圧力等により、要求される耐久性、或いはその他の要求性能に応じてダンパ部材210のばね常数が設定される。そして、このばね常数により、ダンパ部材210が低減する脈動周波数が決定される。また、ダンパ室217の容積により、ダンパ部材210の脈動低減効果が変化する。
第1支持部材50は、環状支持部51、第1筒部52、第1フランジ部53及び第1爪部54から一体に形成され、ダンパ部材210と蓋部材12との間に設けられている。
環状支持部51は、筒状のガイド部511と、このガイド部511の径方向外側に突出する環板状の押圧部512とを有している。ガイド部511は、第1支持部材51と蓋部材12との間に設けられた皿バネ80の内周側をガイドしている。また、押圧部512は、皿バネ80のハウジング11側に押圧されている。
なお、本明細書において、筒状又は環状とは、例えば部材加工等により、周方向の一部が僅かに離れているものも含むものとする。
環状支持部51のガイド部511の内周側の開口513の内径D1は、ダンパ部材210の可動部220の外径D2よりも大きく形成されている。このため、ガイド部511は、ダンパ部材210の可動部220よりも径方向外側に設けられる。
第1筒部52は、筒状に形成され、第1筒部52の外壁と内壁とを通じる複数の第1連通孔55が設けられている。第1筒部52は、軸方向の蓋部材12側が押圧部512の外周側と接続し、軸方向のハウジング11側が第1フランジ部53と接続している。
第1筒部52のハウジング11側から径外側に環状に延びる第1フランジ部53は、ダンパ部材210の第1周縁部213を支持している。
第2筒部62は、筒状に形成され、第2筒部62の外壁と内壁とを通じる複数の第2連通孔65が設けられている。第2筒部62は、軸方向の蓋部材12側が第2フランジ部63と接続し、軸方向の底部202側が第2小径部61と接続している。
第2筒部62の蓋部材12側から径方向外側に環状に延びる第2フランジ部63は、ダンパ部材210の第2周縁部223を支持している。
第2筒部62のハウジング11側から径方向内側に環状に延びる第2小径部61は、ハウジング11の底部202に形成された穴204に嵌入している。
第1爪部54と第2爪部64は、それぞれダンパ部材210の周縁部215の径方向外側の溶接部216を係止している。このため、ダンパ部材210、第1支持部材50、及び第2支持部材60の径方向の相対移動が規制される。そして、環状支持部51の押圧部512と、第1支持部材50の第1筒部52と、第2支持部材60の第2筒部62と、ハウジング11の底部202に形成された穴204とは、軸方向に重なるように設けられている。
外側流体室85は、第1支持部材50及び第2支持部材60の径方向外側で周方向の全域に形成されている。ハウジング11の内壁には、加圧室121と連通する導入通路111の開口が設けられている。導入通路111は、外側流体室85と連通している。
第1支持部材50の内側には、第1内側流体室86が形成されている。第1内側流体室86と外側流体室85とは、第1支持部材50に設けられた第1連通孔55によって連通している。また、例えば皿バネ80にスリットを設けることで、第1内側流体室86と外側流体室85とを連通させても良い。
一方、第2支持部材60の内側には、第2内側流体室87が形成されている。第2内側流体室87と外側流体室85とは、第2支持部材60に設けられた第2連通孔65によって連通している。
燃料が供給される燃料入口は、第2内側流体室87と連通している。このため、加圧室121から流体室16へ排出される燃料が外側流体室85への流入と共に第1内側流体室86へ導かれることに対し、燃料入口が第2内側流体室87に連通するので、燃料入口から低圧燃料配管への脈動伝達を抑制することができる。
本実施形態では、環状支持部51の押圧部512によって皿バネ80のハウジング11側の面が支持されている。このため、蓋部材12とハウジング11との間で第1支持部材50と第2支持部材60に支持されるダンパ部材210が皿バネ80の荷重によって流体室16に固定される。皿バネ80を径方向外側から支持する部分が不要となり、加圧室から排出される燃料が流入する外側流体室85を大容積に確保することができる。このため、外側流体室85で圧力上昇が抑えられると共に、外側流体室85から第1内側流体室86及び第2内側流体室87へ燃料が行き渡り易くなり、高い圧力脈動減衰性能を発揮することができる。
また、環状支持部51のガイド部511によって皿バネ80の内周面が支持されている。このため、皿バネ80を径方向に位置決めする機能をガイド部511によって正確に発揮することができる。これにより、皿バネ80の径方向外側への弾性変形が制限されることなく、皿バネ80に応力の偏りが生じ難い。したがって、皿バネ80から第1支持部50材に作用する荷重が均一化され、第1支持部材50、第2支持部材60及びダンパ部材210の意図しない変形を招く事態を抑制できる。したがって、ダンパ部材210を確実に機能させ脈動低減効果を高めることができる。
さらに、本実施形態では、ガイド部511の開口513の内径D1は、ダンパ部材210の可動部220の外径D2よりも大きく形成されている。このため、例えば皿バネ80にスリットを設けることで、加圧室121から外側流体室85に流入した排出燃料は、ガイド部511の開口513を通り、ダンパ部材210の可動部220に直接作用する。ガイド部511の開口513を通ってダンパ部材210に向かう燃料をダンパ部材210の可動部220全域に導くことができるので、当該可動部220を有効に利用し、ダンパ部材210の脈動低減効果を高めることができる。
本発明の第7実施形態の高圧ポンプを図12〜図15に基づいて説明する。
本実施形態の高圧ポンプ7では、ダンパ部材210を支持する第1支持部材50及び第2支持部材60を、環状弾性部材としての波形ばね81がハウジング11の穴204に押圧している。
第1支持部材の蓋部材12側に設けられた環状支持部51は、ガイド部511が波形ばね81の内周面を支持し、押圧部512が波形ばね81のハウジング11側の面を支持している。
また、第2支持部材60の底部202側から径方向内側に環状に延びる第2小径部61は、ハウジング11の底部202に形成された穴204に嵌入している。このようにして、環状支持部51の押圧部512、第1支持部材50の第1筒部52及び第2支持部材60の第2筒部62、並びに第2支持部材60の嵌入するハウジング11の穴204は、軸方向に重なるように設けられている。
このため、蓋部材12とハウジング11との間で第1支持部材50、第2支持部材60及びダンパ部材210が波形ばね81の荷重によって流体室16に固定される。波形ばね81を径方向外側から支持する部分が不要となり、加圧室から排出される燃料が流入する外側流体室85を大容積に確保することができる。このため、外側流体室85で圧力上昇が抑えられると共に、外側流体室85から第1内側流体室86及び第2内側流体室87へ燃料が行き渡り易くなり、高い圧力脈動減衰性能を発揮することができる。
また、波形ばね81は、径方向外側の弾性変形が規制されることがないので、波形ばね81に応力の偏りが生じ難い。これにより、波形ばね81から押圧部512を経由して第1支持部材50、第2支持部材60及びダンパ部材210に作用する荷重が均一化され、これらの部材の変形を招く事態を抑制できる。したがって、ダンパ部材210を確実に機能させ脈動低減効果を高めることができる。
また、環状支持部51の押圧部512、第1支持部材50の第1筒部52及び第2支持部材60の第2筒部62、並びに第2支持部材60が嵌入するハウジング11の穴204は、軸方向に重なっている。これにより、波形ばね81から環状支持部51に均一に作用する荷重を、さらにダンパ部材210に均一に作用させることで、軸方向に対するダンパ部材210の傾きに起因したダンパ特性の変化を回避することができる。
本発明の第8実施形態の高圧ポンプを図16及び図17に基づいて説明する。
本実施形態の高圧ポンプでは、ダンパ部材210を支持する第1支持部材50及び第2支持部材60を、環状弾性部材としての皿ばね82がハウジング11の底部202に設けられた穴204に押圧している。
皿ばね82には、内周面から径方向外側に向けて複数のスリット83が設けられている。スリット83は、周方向に略均等間隔で設けられている。外側流体室85と第1内側流体室8とは、皿ばね82のスリット83を通じて連通している。
なお、皿ばねの外周面から径方向内側に向けてスリットを設けてもよい。
したがって、このように構成しても、第6、第7実施形態と同様の効果を奏することができる。
上記複数の実施形態では、第1突設部としての第1爪部は、周方向の複数箇所に設けられていたが、他の実施形態では、第1突設部は、第1支持部材の全周を取りまいて形成してもよい。また同様に、上記複数の実施形態では、第2突設部としての第2爪部は、周方向の複数箇所に設けられていたが、他の実施形態では、第2突設部は、第2支持部材の全周を取りまいて形成してもよい。
以上、本発明は、上記実施形態になんら限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。
Claims (22)
- 軸方向に往復移動可能なプランジャと、
前記プランジャの往復移動によって燃料が加圧される加圧室、及びこの加圧室と連通する流体室を有するハウジングと、
前記加圧室で所定圧以上に加圧された燃料を燃料出口から吐出する吐出弁と、
前記プランジャによって前記加圧室の容積が減少するとき、前記加圧室と前記流体室とを連通する燃料通路を開閉することで、前記加圧室の燃料の一部を前記流体室へ排出する調量弁と、
前記ハウジングに設けられた前記流体室の開口を塞ぐ蓋部材と、
前記流体室に設けられ、第1ダイアフラム及び第2ダイアフラムを有し、前記第1ダイアフラムの第1周縁部と前記第2ダイアフラムの第2周縁部とを接合し、前記第1ダイアフラムと前記第2ダイアフラムとの間に密閉されたダンパ室を形成するダンパ部材と、
前記ダンパ部材の前記第1周縁部を軸方向の前記蓋部材側から支持する第1支持部材と、
前記ダンパ部材の前記第2周縁部を軸方向の前記ハウジング側から支持する第2支持部材と、
前記蓋部材と前記第1支持部材との間に設けられ、前記第1支持部材を前記第1周縁部に押圧し、前記ダンパ部材を介し、前記第2支持部材を前記ハウジングに押圧する環状弾性部材と、を備え、
前記第1支持部材は、前記蓋部材側に前記環状弾性部材の内周面及びハウジング側の面を支持する環状支持部を有することを特徴とする高圧ポンプ。 - 前記環状支持部は、前記環状弾性部材の内周面をガイドする筒状のガイド部と、このガイド部の径方向外側に突出し、前記環状弾性部材の前記ハウジング側の面に押圧される環板状の押圧部とを有することを特徴とする請求項1に記載の高圧ポンプ。
- 前記第1支持部材と前記第2支持部材とは、前記ダンパ部材を挟んで結合され、当該第2支持部材の嵌入する穴が前記ハウジングに設けられることを特徴とする請求項1または2に記載の高圧ポンプ。
- 前記環状支持部の前記押圧部と、前記ダンパ部材を挟む前記第1支持部材の第1筒部及び前記第2支持部材の第2筒部と、前記第2支持部材の嵌入する前記ハウジングの前記穴とは、軸方向に重なることを特徴とする請求項3に記載の高圧ポンプ。
- 前記流体室は、前記環状支持部の径方向外側における周方向の全域に、前記加圧室と連通する外側流体室を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の高圧ポンプ。
- 前記外側流体室は、前記環状支持部、前記第1支持部材及び前記第2支持部材の径方向外側において軸方向の前記ハウジングと前記蓋部材との間の全域に形成されることを特徴とする請求項5に記載の高圧ポンプ。
- 燃料が供給される燃料入口が前記流体室に連通することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の高圧ポンプ。
- 前記流体室は、前記環状支持部、前記第1支持部材及び前記第2支持部材の径方向外側に形成される前記外側流体室と、前記第1支持部材の径方向内側に形成される第1内側流体室と、前記第2支持部材の径方向内側に形成される第2内側流体室とを有し、
前記外側流体室は、前記環状支持部の径方向内側の開口を通じ、前記第1内側流体室に連通することを特徴とする請求項5〜7のいずれか一項に記載の高圧ポンプ。 - 前記燃料入口は、前記第2支持部材の径方向内側に形成される前記第2内側流体室に連通することを特徴とする請求項8に記載の高圧ポンプ。
- 前記環状弾性部材は、波形ばねであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の高圧ポンプ。
- 前記環状弾性部材は、皿ばねであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の高圧ポンプ。
- 前記環状支持部の前記ガイド部は、前記ダンパ部材の可動部よりも径方向外側に設けられることを特徴とする請求項8に記載の高圧ポンプ。
- 前記可動部は、高圧ポンプが通常作動している際に燃料が供給されることで前記流体室に生じる燃料圧力により、前記第1ダイアフラム及び前記第2ダイアフラムが変位する部分であることを特徴とする請求項12に記載の高圧ポンプ。
- 一端に開口を有するハウジングと、
前記開口を塞ぎ、前記ハウジングとともに流体が流通可能な流体室を構成する蓋部材と、
第1ダイアフラム及び第2ダイアフラムを有し、前記第1ダイアフラムの第1周縁部と前記第2ダイアフラムの第2周縁部とを接合し、前記第1ダイアフラムの凹面と前記第2ダイアフラムの凹面との間に密閉されたダンパ室を形成するダンパ部材と、
前記ダンパ部材と前記蓋部材との間に設けられ、前記第1周縁部および前記蓋部材と当接する第1支持部材と、
前記ダンパ部材と前記ハウジングとの間に設けられ、前記第2周縁部および前記ハウジングと当接する第2支持部材と、を備え、
前記第1支持部材及び前記第2支持部材の少なくとも一方は、前記ハウジングと前記蓋部材との間で弾性変形可能に構成され、
前記第1支持部材及び前記第2支持部材は、前記ハウジングと前記蓋部材とによって押圧されることにより前記第1周縁部及び前記第2周縁部を挟持し、前記ダンパ部材を前記ハウジングと前記蓋部材との間に支持することを特徴とするダンパ装置。 - 前記第1支持部材及び前記第2支持部材の少なくとも一方は、板バネ部を有することを特徴とする請求項14に記載のダンパ装置。
- 前記第1支持部材及び前記第2支持部材の少なくとも一方は、皿バネ部を有することを特徴とする請求項14または15に記載のダンパ装置。
- 前記第1支持部材と前記第1周縁部とが当接する第1当接部、及び前記第2支持部材と前記第2周縁部とが当接する第2当接部は、前記ダンパ室を密閉するシール位置よりも径内方向に位置することを特徴とする特徴とする請求項14〜16のいずれか一項に記載のダンパ装置。
- 前記蓋部材と対向する前記ハウジングの前記開口の底部は、前記第2支持部材を位置決めする段差部を有することを特徴とする請求項14〜17のいずれか一項に記載のダンパ装置。
- 前記第1支持部材は、前記第1周縁部の外縁よりも径外方向に設けられ、前記第2支持部材側に突出する第1突設部を有することを特徴とする請求項14〜18のいずれか一項に記載のダンパ装置。
- 前記第2支持部材は、前記第2周縁部の外縁よりも径外方向に設けられ、前記第1支持部材側に突出する第2突設部を有することを特徴とする請求項14〜19のいずれか一項に記載のダンパ装置。
- 前記第1支持部材及び前記第2支持部材の少なくとも一方は、複数の孔部を有することを特徴とする請求項14〜20のいずれか一項に記載のダンパ装置。
- 請求項14に記載のダンパ装置を備える高圧ポンプであって、
前記ハウジングは、往復移動可能なプランジャによって流体が加圧され、前記流体室と連通する加圧室を有することを特徴とする高圧ポンプ。
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