JP5472395B2 - 高圧ポンプ - Google Patents

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本発明は、高圧ポンプに関する。
従来、内燃機関へ燃料を供給する燃料供給系統には、燃料を加圧する高圧ポンプが設けられる。高圧ポンプから圧送される燃料は、デリバリパイプに蓄圧され、デリバリパイプに接続するインジェクタから内燃機関の各気筒内に噴射される。
特許文献1、2では、高圧ポンプの制御が故障したとき等にデリバリパイプの燃料圧力がインジェクタが噴射不能となる高圧になること、及びデリバリパイプ等が破損することを回避するため、燃料供給系統にリリーフ弁が設けられている。リリーフ弁は、高圧ポンプの加圧室で加圧された燃料を吐出する吐出弁よりも下流側の高圧側燃料通路と、吐出弁よりも上流側の低圧側燃料通路とを接続するリターン流路に設けられる。リリーフ弁は、高圧側燃料通路と加圧室との差圧がリリーフ弁に設定された所定圧よりも高くなるときに開弁し、高圧側燃料通路の燃料圧力を低下させる。
特開2004−138062号公報 特表2002−515565号公報
しかしながら、特許文献1のリリーフ弁は、球状の弁体を用いているので、開弁時に燃料の流れる力(動圧)を弁体が受けにくい。このため、弁体が弁座から十分にリフトするのに時間を要する。したがって、高圧側燃料通路の燃料圧力を速やかに低下させることが困難になる。この結果、インジェクタが燃料を噴射可能な燃料圧力よりもデリバリパイプ内の燃料圧力が高くなり、インジェクタから燃料が噴射されなくなるおそれがある。また、デリバリパイプが破損するおそれがある。
特許文献2の図1に記載のリリーフ弁は、弁体が、弁座に着座する弁シート、この弁シートからリターン流路の軸方向に延びる円柱状の軸部、この軸部の弁シートと反対側から径方向外側に延びる円錐部、及びこの円錐部の外縁から軸方向に延びて流路の内壁に摺接するガイド部から構成されている。また、燃料の流通を制御する絞りエレメントが弁座の上流側に設けられている。これにより、リリーフ弁の開弁時に燃料の動圧を円錐部が受けにくいので、弁体が十分に開弁するのに時間を要する。したがって、高圧側燃料通路の燃料圧力を速やかに低下させることが困難になる。
さらに、引用文献2の図3に記載のリリーフ弁では、絞りエレメントが弁座の上流側と弁体の円錐部とに設けられている。このため、リリーフ弁の閉弁時、弁座の上流側の絞りエレメントと弁体の円錐部の絞りエレメントとの間に形成される流入室の燃料圧力が円錐部に作用し、弁体が弁座に着座するのに時間を要する。リリーフ弁がリターン流路を確実に閉塞していないと、デリバリパイプ内の燃料圧力に振動が生じる。また、高圧側燃料通路からリターン流路に伝播する圧力波によって、リリーフ弁が再度開弁し、デリバリパイプ内の燃料圧力が急激に低下する。この結果、インジェクタからの燃料噴射が悪化するおそれがある。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、開弁時は流入室と弁体の下流側の流路との差圧を確保し、閉弁時は流入室と弁体の下流側の流路との差圧を急速に減少することの可能なリリーフ弁を備えた高圧ポンプを提供することにある。
上述した課題を解決するため、請求項1に係る発明によると、高圧ポンプは、吐出弁の下流側の高圧側燃料通路と吐出弁の上流側の低圧側燃料通路とを連通するリターン流路にリリーフ弁を備える。
リリーフ弁の弁体は、弁座に着座及び離座する弁シート、その弁シートからリターン流路の軸方向に延びる軸部、その軸部の弁シートと反対側からリターン流路の内壁側へ延びる受圧部、その受圧部の外縁から弁シートと反対側に延びてリターン流路の内壁に摺接するガイド部、および、弁座と受圧部との間に形成される流入室と弁体の下流側のリターン流路とを連通する連通孔を有する。
リリーフ弁は、プランジャ下降による吸入行程開始後の限られた時間に、プランジャの1圧送分の吐出量と同量またはそれに近い容量の燃料を、高圧ポンプの1回の吸入行程で高圧燃料通路から低圧燃料通路へ流すことが可能である。
高圧ポンプから吐出される燃料が制御目標値よりも増大した場合、高圧側燃料通路の燃料と低圧側燃料通路の燃料との差圧がリリーフ弁の開弁圧より大きくなると、弁座から弁シートが離座し、弁座より上流側の流路から流入室へ燃料が流入する。
請求項1に係る発明では、連通孔の大きさ、形状、位置、角度などを調節することで、開弁時における流入室と弁体の下流側の流路との差圧を確保することが可能である。これにより、弁座の上流側の流路から流入室へ流入した燃料の動圧が受圧部に作用し、弁体は短時間で適切なストローク量をリフトする。すなわち、弁体の開弁速度とストローク量とを調整することで、例えば退避運転時などに高圧ポンプの加圧室からデリバリパイプへ圧送される吐出量と同量、又はそれに近い容量を高圧側燃料通路側から低圧側燃料通路側へ流すことが可能になる。したがって、プランジャの往復移動の速度に対応し、高圧側燃料流路側の燃料圧力を素早く低下させることができる。
一方、高圧側燃料通路を流れる燃料と低圧側燃料通路を流れる燃料との差圧がリリーフ弁の閉弁圧よりも小さくなると、弁体は弁座側へ移動する。このとき、流入室の燃料は連通孔を経由し、弁体の下流側のリターン流路に素早く流れる。連通孔は、流入室の燃料を流すことに有効に機能する。このため、流入室と弁体の下流側の流路との差圧が瞬時に0又は0に近づく。これにより、弁体の閉弁速度を速くすることが可能になる。したがって、高圧側燃料通路に生じる圧力波等によるリリーフ弁の再開弁、及びデリバリパイプ内の燃料圧力の振動を抑制することができる。この結果、デリバリパイプ内の燃料圧力がリリーフ弁に設定した所定圧に維持されるので、インジェクタから燃料を適切に噴射させることができる。
ここで、高圧側燃料通路には、高圧ポンプの吐出弁が着座及び離座する吐出弁用弁座よりも燃料出口側の吐出通路、高圧ポンプの燃料出口とデリバリパイプとを接続する高圧燃料配管、及びデリバリパイプ等が相当する。一方、低圧側燃料通路には、高圧ポンプの加圧室、加圧室よりも燃料入口側の供給通路、高圧ポンプの燃料入口と燃料タンクとを接続する低圧燃料配管、デリバリパイプ等の余剰燃料を燃料タンクに戻す戻し配管、及び燃料タンク等が相当する。
また、リリーフ弁に設定される所定圧は、付勢手段の付勢力等によって任意に設定することが可能である。リリーフ弁の所定圧は、例えば内燃機関の通常運転における高圧側燃料通路の圧力以上、インジェクタが燃料噴射不能となる圧力未満に設定することが例示される。
請求項2に係る発明によると、弁体の受圧部は、軸部の弁シートと反対側からリターン流路の軸方向に対して略垂直に径外方向へ延びる。これにより、弁座の上流から流入室に流入する燃料は、その動圧が受圧部に確実に作用する。したがって、リリーフ弁の開弁速度とストローク量とが適切に調節される。
請求項3に係る発明によると、弁体の連通孔は、流体室側から弁体の中心軸側に向けて傾斜している。これは弁体を付勢する付勢手段と連通孔との干渉を防止するためである。このため、連通孔を流れる燃料が付勢手段によって阻害されることがない。また、連通孔と受圧面とのなす角が鋭角になる。このため、リリーフ弁の開弁時、弁座の上流から流入室に流入する燃料が連通孔に流れ難くなる。したがって、弁座の上流から流入室に流入する燃料の動圧が受圧部に確実に作用する。
請求項4に係る発明によると、弁体の連通孔は、下流側が弁体の下流側に設けられる凹部の内壁に開口する。これにより、連通孔の距離が短くなるので、連通孔と受圧面とのなす角を小さくすることができる。このため、リリーフ弁の開弁時、弁座の上流から流入室に流入する燃料が連通孔にさらに流れ難くなる。
請求項5に係る発明によると、弁体の連通孔は、流体室側が軸部に開口する。この構成によっても、リリーフ弁の開弁時、弁座の上流から流入室に流入する燃料が連通孔に流れ難くなり、燃料の動圧を受圧部に確実に作用させることができる。
請求項6に係る発明によると、弁体の受圧部は、外縁部に弁座側へ突出する環状の凸壁部を有する。これにより、受圧部の流体抵抗が大きくなるので、リリーフ弁の開弁時、弁座の上流から流入室に流入する燃料の動圧が受圧部に確実に作用する。
請求項7に係る発明によると、弁体の連通孔は、流体室側の内径が下流側の内径よりも大きいテーパ状に形成される。これにより、リリーフ弁の閉弁時、流入室の燃料が弁体の下流側へ流れやすくなる。
本発明の第1実施形態の高圧ポンプが備えるリリーフ弁の要部断面図である。 本発明の第1実施形態の高圧ポンプが用いられる燃料供給系統の構成図である。 本発明の第1実施形態の高圧ポンプの断面図である。 図3のIV方向の部分断面図である。 本発明の第1実施形態の高圧ポンプが備えるリリーフ弁の開弁状態を示す要部断面図である。 図1のVI方向の矢視図である。 本発明の第1実施形態の高圧ポンプが備えるリリーフ弁の基本動作を示す特性図である。 本発明の第1実施形態の高圧ポンプが備えるリリーフ弁と比較例のリリーフ弁とを対比した特性図である。 本発明の第2実施形態の高圧ポンプが備えるリリーフ弁の要部断面図である。 図9のX方向の矢視図である。 本発明の第3実施形態の高圧ポンプが備えるリリーフ弁の要部断面図である。 図11のXII方向の矢視図である。 本発明の第4実施形態の高圧ポンプが備えるリリーフ弁の要部断面図である。 本発明の第5実施形態の高圧ポンプが備えるリリーフ弁の平面図である。 本発明の第6実施形態の高圧ポンプが備えるリリーフ弁の平面図である。 本発明の第7実施形態の高圧ポンプが備えるリリーフ弁の平面図である。 本発明の第8実施形態の高圧ポンプが備えるリリーフ弁の平面図である。 本発明の第9実施形態の高圧ポンプが備えるリリーフ弁の平面図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態の高圧ポンプを図1〜図8を参照して説明する。
図2に示すように、本実施形態の高圧ポンプ10は、内燃機関の燃料供給系統1に用いられる。燃料供給系統1では、燃料タンク2から低圧ポンプ3によって汲み上げられた燃料が低圧燃料配管6を経由し、高圧ポンプ10の供給通路100に供給される。高圧ポンプ10は、供給通路100から加圧室121に導入した燃料をプランジャ13の軸方向の往復運動によって加圧し、吐出通路114から吐出する。吐出通路114から吐出された高圧燃料は、高圧燃料配管9を圧送され、デリバリパイプ4に蓄圧される。そしてこの高圧燃料は、デリバリパイプ4に接続するインジェクタ5から内燃機関の各気筒内に噴射される。
高圧ポンプ10の吐出通路114と加圧室121とをリターン流路60が接続している。このリターン流路60にリリーフ弁50は設けられている。リリーフ弁50は、吐出通路114の燃料と加圧室112の燃料との差圧がリリーフ弁50に設定された所定圧よりも高くなると開弁し、吐出通路側114から加圧室121側に燃料を通過させる。
高圧ポンプ10の構成を図3および図4を参照して説明する。
高圧ポンプ10は、ポンプボディ11、プランジャ13、パルセーションダンパ210、吸入弁部30及びリリーフ弁50などを備えている。
ポンプボディ11には、円筒状のシリンダ14が形成されている。シリンダ14には、プランジャ13が軸方向に往復移動可能に収容され、その深部に加圧室121が形成されている。プランジャ13の加圧室112と反対側の端部には、スプリング座18が取り付けられている。スプリング座18と後述するオイルシールホルダ25との間には、スプリング19が設けられている。スプリング19は、一端がオイルシールホルダ25に当接し、他端がスプリング座18に当接し、軸方向に伸びる力を有している。このため、プランジャ13は、タペット8(図2参照)を介してカムシャフト7のカムと当接し、軸方向に往復移動する。プランジャ13の往復移動により、加圧室121の容積が変化し、燃料が加圧される。
ポンプボディ11には、ダンパ室201が形成されている。ダンパ室201は、図示しない燃料入口と図示しない燃料通路によって連通している。燃料入口は低圧燃料配管6(図2参照)と接続している。このため、ダンパ室201には燃料入口から燃料通路を経由して燃料タンク2の燃料が供給される。ダンパ室201には、燃圧脈動を低減するパルセーションダンパ210が設けられている。パルセーションダンパ210は、波ばね213の弾性力によってダンパ室201の凹部202に押圧される2個の支持部材211、212の間に支持されている。
吸入弁部30は、弁ボディ31、吸入弁35、ストッパ40及び電磁駆動部70等から構成されている。
ポンプボディ11には、シリンダ14の中心軸と略垂直に吸入通路151が形成されている。吸入通路151は、一端が加圧室121に連通し、他端が導入通路111を経由してダンパ室201に連通している。吸入通路151の加圧室121側には、弁ボディ31が固定されている。弁ボディ31の加圧室121側には、凹テーパ状の吸入弁用弁座34が形成されている。
弁ボディ31の内側に配置された吸入弁35は、弁ボディ31に形成された孔32の内壁に案内されて往復移動する。吸入弁35には、吸入弁用弁座34に着座可能な凸テーパ状のシール面が形成されている。
ストッパ40は、弁ボディ31の内壁に固定され、吸入弁35の開弁方向への移動を規制する。ストッパ40には、吸入弁35側に開口する容積室41が形成され、弁ボディ側スプリング21を収容している。弁ボディ側スプリング21は、吸入弁35を吸入弁用弁座34側、すなわち閉弁方向へ付勢している。
ストッパ40には、ストッパ40の軸に対して傾斜する傾斜通路102複数形成されている。ダンパ室201から導入通路111を経由して吸入通路151に流入した燃料は、高圧ポンプ10の吸入行程において、吸入弁35の開弁時に傾斜通路102から加圧室121に流入する。
尚、供給通路100は、燃料入口とダンパ室201とを連通する燃料通路、ダンパ室201、導入通路111、吸入通路151及び傾斜通路102を含むものである。
電磁駆動部70は、コイル71、固定コア72及び可動コア73などから構成されている。コイル71は樹脂製のスプール78に巻回されている。固定コア72は磁性材料から形成され、スプール78の径内側に設けられている。可動コア73は磁性材料から形成され、固定コア72の加圧室121側に軸方向に往復移動可能に設けられている。
固定コア72と可動コア73との間に電磁側スプリング22が設けられている。この電磁側スプリング22は、弁ボディ側スプリング21よりも強い力で、可動コア73を加圧室側、すなわち吸入弁35の開弁方向へ付勢している。
電磁駆動部70は、吸入通路151の加圧室121と反対側の開口を塞ぐ取付部材75によってポンプボディ11に取り付けられている。
ニードル38は略円柱状に形成され、取付部材75に設けられたガイド筒76の内壁に案内され、軸方向に往復移動可能に設けられている。ニードル38は、一端が可動コア73と一体に組み付けられ、他端が吸入弁35に当接可能である。
コイル71に通電されていないとき、可動コア73と一体のニードル38が電磁側スプリング22の付勢力により吸入弁35を押圧することで吸入弁35が開弁する。
コネクタ77の端子74からコイル71に通電されると、コイル71は磁界を発生し、固定コア72、可動コア73及び取付部材75により形成される磁気回路に磁束が流れる。このため、可動コア73は電磁側スプリング22の付勢力に抗し、磁力によって固定コア72に吸引される。これにより、可動コア73と一体のニードル38が固定コア側へ移動し、吸入弁35が閉弁する。
吐出弁部90は、吐出弁92、規制部材93、吐出弁スプリング94などから構成されている。
ポンプボディ11には、吸入通路151の加圧室121を挟んで反対側に吐出通路114が形成されている。吐出通路114は、加圧室121と燃料出口91とを連通している。
吐出弁92は有底筒状に形成され、吐出通路114に往復移動可能に設けられている。吐出弁92は、吐出通路114の内壁に形成される吐出弁用弁座95に着座することにより吐出通路114を閉鎖し、吐出弁用弁座95から離座することにより吐出通路114を開放する。
規制部材93は、吐出通路114の内壁に固定されている。吐出弁スプリング94は、一端が規制部材93に係止され、他端が吐出弁92に係止されている。吐出弁スプリング94は、吐出弁92を吐出弁用弁座95側へ付勢している。
吐出弁用弁座95の下流側の燃料から吐出弁92が受ける力と吐出弁スプリング94の付勢力との和よりも加圧室121側の燃料から吐出弁92が受ける力が大きくなると、吐出弁92は吐出弁用弁座95から離座する。これにより、加圧室121内の燃料は、吐出通路114を経由して燃料出口91から高圧ポンプ10の外部へ吐出される。
一方、吐出弁用弁座95の下流側の燃料から吐出弁92が受ける力と吐出弁スプリング94の付勢力との和よりも加圧室121側の燃料から吐出弁92が受ける力が小さくなると、吐出弁92は吐出弁用弁座95に着座する。これにより、吐出弁92より下流側の燃料が加圧室121へ逆流することが防止される。
次に可変容積室122について説明する。
プランジャ13は、加圧室121側に大径部133を有し、加圧室121と反対側に小径部131を有している。大径部133と小径部131との接続部分には段差面132が形成されている。
プランジャストッパ23は、加圧室121側の端面がポンプボディ11の端面に当接している。プランジャストッパ23の中央部にはプランジャストッパ23を板厚方向に通じる孔233が形成されている。この孔233にプランジャ13の小径部131が挿通されている。プランジャストッパ23は、加圧室121側の端面に、加圧室121と反対側へ略円板状に凹む凹部231と、凹部231から径方向外側へプランジャストッパ23の外縁まで延びる溝路232とを有している。
ポンプボディ11には、シリンダ14が開口する側の外壁に、加圧室121側へ略円環状に凹む凹部105が設けられている。このポンプボディ11の凹部105にオイルシールホルダ25が嵌めこまれている。オイルシールホルダ25の孔251には、プランジャ13の小径部131が挿通されている。オイルシールホルダ25は、ポンプボディ11の端面との間にプランジャストッパ23およびシール部材24を挟み、ポンプボディ11の凹部105の内壁に固定されている。
シール部材24は、小径部131周囲の燃料油膜の厚さを規制し、プランジャ13の摺動による内燃機関への燃料のリークを抑制する。オイルシールホルダ25の加圧室121と反対側の端部には、オイルシール26が装着されている。オイルシール26は、小径部131周囲のオイル油膜の厚さを規制し、プランジャ13の摺動によるオイルのリークを抑制する。
プランジャ13の段差面132、小径部131の外壁、シリンダ14の内壁、プランジャストッパ23の凹部231およびシール部材24に囲まれる空間により可変容積室122が形成される。
オイルシールホルダ25とポンプボディ11との間には、筒状通路106とこの筒状通路106に連通する環状通路107が形成されている。筒状通路106はプランジャストッパ23の溝路232に連通している。環状通路107はポンプボディ11に形成された戻し通路108を経由してダンパ室201に連通している。このように、溝路232、筒状通路106、環状通路107及び戻し通路108が順に連通することで、可変容積室122とダンパ室201とが連通する。
可変容積室122の容積は、プランジャ13の往復移動に応じて容積が変化する。
調量行程でプランジャ13が上昇すると、加圧室121の容積が減少し、可変容積室122の容積が増大する。加圧室121がダンパ室201側へ排出した低圧燃料の容積の約60%が、ダンパ室201から可変容積室122に吸入される。これにより、燃圧脈動の伝達が約60%低減される。
一方、吸入行程でプランジャ13が下降すると、加圧室121の容積が増大し、可変容積室122の容積が減少する。加圧室121が吸入する燃料の約60%が可変容積室122から供給され、残りの約40%が燃料入口から吸入される。これにより、加圧室121への燃料の吸入効率が向上する。
次に、リリーフ弁50について、図1、及び図4〜図6を参照して説明する。
ポンプボディ11には、シリンダ14の中心軸と略垂直にリターン流路60が形成されている。リターン流路60は、ポンプボディ11の外壁の開口部63から吐出弁用弁座95よりも燃料出口91側の吐出通路114へ通じる吐出弁側リターン流路61と、同じポンプボディ11の外壁の開口部63から加圧室121へ通じる加圧室側リターン流路62とにより構成されている。ポンプボディ11の外壁の開口部63は、プラグ80によって閉塞されている。これにより、リターン流路60は、吐出弁用弁座95よりも燃料出口91側の吐出通路114と加圧室121とを連通する。
リリーフ弁50は、弁体51、アジャストパイプ81及びスプリング82などから構成されている。弁体51が特許請求の範囲に記載の「弁体」に相当し、スプリング82が特許請求の範囲に記載の「付勢手段」に相当する。
弁体51は、リターン流路60に往復移動可能に設けられている。リターン流路60には、弁体51より吐出通路側の内壁に凹テーパ状の弁座64が形成されている。弁体51には、凸テーパ状に形成された弁シート52が形成されている。弁体51は、弁シート52が弁座64に着座することでリターン流路60を閉塞し、弁シート52が弁座64から離座することでリターン流路60を開放する。
弁体51は、弁シート52からリターン流路60の軸方向下流側に延びる軸部53、この軸部53の弁シート52と反対側からリターン流路60の内壁側へ延びる受圧部54、及び受圧部54の径外側の外縁から弁シート52と反対側に延びるガイド部55等を有し、一体に形成されている。
軸部53は、略円柱状に形成されている。受圧部54は、軸部53に対し略垂直な平面状に形成されている。ガイド部55は、筒状に形成され、その外径がリターン流路60の内径より僅かに小さく形成されている。これにより、ガイド部55はリターン流路60の内壁と摺動し、軸方向に往復移動可能となる。ガイド部55の径内側には、弁体51の下流側のリターン流路60に開口する凹部56が形成されている。
弁体51は、ガイド部55の外壁に切欠部57を有する。切欠部57は、その外径がガイド部55の外径よりも小さい。切欠部57は、弁体51の径方向外側の外壁の一部が平面状となっている。これにより、切欠部57とリターン流路60の内壁との間に外側流路65が形成される。
切欠部57には、外側流路65と凹部56の内側の流路とを径方向に連通する流通孔58が設けられている。
弁座64と受圧部54との間には、軸部53の径方向外側に、リリーフ弁の開弁時に弁座64の上流側から燃料が流入する流入室66が形成される。この流入室66に流れる燃料の動圧が受圧部54に作用する。切欠部57により外側流路65の流路断面積が設定される。外側流路65の流路断面積を調整することで、リリーフ弁50の開弁時における流入室66と凹部56の内側の流路との差圧が確保される。これにより、弁体51の開弁速度とストローク量とを調整することができる。
弁体51は、一方の側が受圧部54に開口し、他方の側が凹部56の内壁に開口する連通孔59を有している。連通孔59は、一方の側から弁体51の中心軸側に傾斜している。連通孔59と受圧部54とのなす角は鋭角であり、好ましくは、約60°以下、さらに好ましくは、約45°以下である。
弁体51を軸方向から見たとき、連通孔59と切欠部57とは径方向に異なる位置に設けられる。本実施形態では、2個の連通孔59が弁体51の中心軸を挟んで径方向に向き合うように設けられ、2個の切欠部57が弁体51の中心軸を挟んで径方向に向き合うように設けられている。2個の連通孔59が向き合う方向と、2個の切欠部57が向き合う方向とは略垂直に位置している。言い換えれば、連通孔59の開口と切欠部57とは約90°の位相差で形成されている。なお、連通孔59と切欠部57との位置関係は、任意に設定することが可能である。
アジャストパイプ81は、弁体51のプラグ80側で、リターン流路60の内壁に固定されている。スプリング82は、一端が弁体51に係止され、他端がアジャストパイプ81に係止されている。連通孔59が弁体51の中心軸側に傾斜していることで、スプリング82の一端と連通孔59との干渉が防止される。弁体51は、スプリング82の付勢力により、弁座64側へ付勢されている。アジャストパイプ81のリターン流路60への圧入により、スプリング82の荷重が調整される。
本実施形態では、例えばデリバリパイプの燃料圧力が内燃機関の通常運転の圧力以上、電磁式のインジェクタ5が燃料噴射不能となる圧力未満でリリーフ弁が動作するようにスプリング82の荷重、受圧部54の面積、及び切欠部57の大きさが設定される。
次に高圧ポンプ10の作動について説明する。高圧ポンプ10は、吸入行程、調量行程、吐出行程を繰り返す動作をする。
(1)吸入行程
プランジャ13が上死点から下死点に向かって下降することで、加圧室121の燃料が減圧される。このとき、コイル71への通電が停止され、吸入弁35は開弁状態となり、供給通路100と加圧室121とが連通する。一方、吐出弁92は吐出弁用弁座95に着座し、吐出通路114を閉塞する。そのため、供給通路100から加圧室121に燃料が吸入される。
(2)調量行程
プランジャ13が下死点から上死点に向かって上昇するとき、所定の時期まではコイル71への通電が停止され、吸入弁35は開弁状態となっている。そのため、加圧室121の低圧燃料が吸入通路151及び導入通路111を経由してダンパ室201に戻される。
調量行程の途中の所定の時刻にコイル71への通電を開始すると、コイル71が磁界を生じる。これにより、可動コア73及び可動コア73と一体のニードル38は磁力によって固定コア72側へ移動する。このため、吸入弁35は、弁ボディ側スプリング21の付勢力、及び加圧室121からダンパ室201側へ排出される低圧燃料の流れによって生ずる力によって、吸入弁用弁座34に着座する。
吸入弁35が閉弁することにより、供給通路100の燃料の流れが遮断され、加圧室121からダンパ室201へ低圧燃料を戻す調量行程は終了する。すなわち、コイル71の通電時刻を調整することで、加圧室121からダンパ室201へ戻される低圧燃料の量が調整される。これにより、加圧室121で加圧される燃料の量が決定される。
(3)吐出行程
加圧室121とダンパ室201との間の燃料の流れが遮断された状態で、プランジャ13がさらに上死点に向けて上昇すると、加圧室121の燃料の圧力は上昇する。加圧室121の燃料の圧力が所定の圧力以上になると、吐出弁92が、吐出弁スプリング94の付勢力、及び下流側からの燃料圧力に抗して開弁する。これにより、加圧室121で加圧された燃料は吐出通路114を経由して高圧ポンプ10から吐出される。高圧ポンプ10から吐出された燃料は、デリバリパイプ4に供給されて蓄圧され、インジェクタ5に供給される。
プランジャ13が上死点まで上昇するとコイル71への通電が停止され、吸入弁35は再び開弁状態となる。そして、プランジャ13は再び下降し、加圧室121の燃料の圧力は低下して、再び吸入行程が行われる。
このように(1)から(3)の行程を繰り返すことにより、高圧ポンプ10は吸入した燃料を加圧して吐出する。なお、通常運転状態において、吐出通路114と加圧室121との差圧がリリーフ弁50の開弁圧を超えない限り、リリーフ弁50は閉弁している。また、吐出弁92の開弁により加圧室121から吐出される燃料の圧力波は、高圧燃料配管9を経由してデリバリパイプ4の入口で反射し、重畳される。
本実施形態の高圧ポンプが備えるリリーフ弁の基本動作について図7を参照して説明する。なお、図7では、高圧ポンプ10が全量吐出状態にある。
図7(A)に示すように、カム角度が0〜60(°)回転するとき、カムリフトが0〜6(mm)上昇する。これに伴ってプランジャ13が下死点から上死点へ上昇し、吐出行程が行われる。カム角度が60〜120(°)回転するとき、カムリフトが6〜0(mm)へ下降する。これに伴ってプランジャ13が上死点から下死点へ下降し、吸入行程が行われる。
図7(B)に示すように、吐出行程時、デリバリパイプ4の圧力Pcは約20〜約24(Mpa)に上昇する。吸入行程時、リリーフ弁50の動作により、デリバリパイプ4の圧力Pcは約24〜約20(Mpa)に下降する。なお、インジェクタ5から燃料噴射が行われた場合のデリバリパイプ4の圧力を点線で示している。
図7(C)に示すように、吐出行程時、吐出弁92が開弁しているので、加圧室121の燃料圧力Pkと吐出通路114の燃料圧力Pvとは略同じ圧力で推移する。
吸入行程時、加圧室121の燃料圧力Pkはプランジャ13の下降により減圧される。一方、吐出弁92が閉弁し、吐出通路114の燃料圧力Pvは、加圧室121の燃料圧力Pkよりも高くなる。吐出通路114には、吐出燃料による圧力波が矢印R、Sで示すように表れる。吸入行程時、カム角度θ1でリリーフ弁50が開弁した後、吐出通路114の燃料圧力Pvは下降を始める。
図7(D)に示すように、吐出行程時、吐出弁92が開弁しているので、加圧室121の燃料圧力Pkと吐出通路114の燃料圧力Pvとの差圧は略0の値を示している。
吸入行程時、加圧室121の燃料圧力Pkと吐出通路114の燃料圧力Pvとの差圧(Pv−Pk)は、カム角度θ1でリリーフ弁50の開弁圧を超える。リリーフ弁50が開弁すると、吐出通路114から加圧室121に燃料が流れ、加圧室121の燃料圧力Pkと吐出通路114の燃料圧力Pvとの差圧(Pv−Pk)が下降してゆく。
図7(E)に示すように、カム角度θ1で加圧室121の燃料圧力Pkと吐出通路114の燃料圧力Pvとの差圧(Pv−Pk)がリリーフ弁50の開弁圧を超えると、リリーフ弁50は開弁動作を開始する。流入室66に流入した燃料の動圧が受圧部54に作用すると、弁体51の開弁速度が速くなる。カム角度θ2でリリーフ弁50の弁体51がフルリフトし、アジャストパイプ81に当接する。
カム角度θ3で加圧室121の燃料圧力Pkと吐出通路114の燃料圧力Pvとの差圧(Pv−Pk)がリリーフ弁50の閉弁圧より下がると、リリーフ弁50は閉弁を開始する。流入室66の燃料は外側流路65及び連通孔59を経由し、弁体51の下流側のリターン流路に素早く流れる。このため、流入室66と弁体51の下流側の流路との差圧が瞬時に0又は0に近づく。これにより、閉弁速度が速くなり、カム角度θ4で弁体51は弁座64に着座する。
図5の矢印Aに示すように、リリーフ弁50が開弁するとき、弁座64の上流側から弁座64に沿って流入室66に流入する。外側流路65は、その流路断面積が調節されているので、流入室66と弁体51の下流側の流路との差圧が確保される。また、連通孔59は、その断面積が外側流路65の断面積よりも小さく、流入室66を流れる燃料の向きと反対向きに傾斜しているので、流入室66を流れる燃料は連通孔59に流れ難い。このため、流入室66に流入した燃料は、受圧部54を径内方向に流れ、受圧部54に動圧を与える。したがって、弁体51は短時間で適切なストローク量をリフトする。
また、弁体51を軸方向から見ると、図6の矢印Fに示すように、弁座64より上流側から流入室66に流入した燃料は、外側流路65に向かって流れる。連通孔59は切欠部57と径方向に異なる位置に設けられているので、流入室66を流れる燃料は連通孔59に流れ難い。このため、流入室66を流れる燃料の動圧は受圧部54に確実に作用する。したがって、弁体51は弁座64から短時間でフルリフトし、吐出通路114から加圧室121に燃料を流す。
一方、リリーフ弁50が閉弁を開始するとき、流入室66の燃料は、外側流路65と連通孔59を経由して凹部56の内側の流路へ流れる。連通孔59は、流入室66内の燃料を急速に弁体51の下流側に流す。これにより、流入室66の燃料圧力と弁体51の下流側の燃料圧力とが瞬時に0または0に近づく。このため、流入室66の燃料圧力によって弁体51の移動が妨げられることなく、弁体51は短時間で確実に弁座64に着座する。したがって、圧力波等によるリリーフ弁50の再開弁が抑制される。
図8は、高圧ポンプの電磁駆動部に常に通電され、高圧ポンプが全量吐出となった状態で退避走行運転を行うときの本実施形態のリリーフ弁50と比較例のリリーフ弁とを対比した特性図である。本実施形態のリリーフ弁50を燃料供給系統1に用いたときのデリバリパイプ4の燃料圧力を図8(A)に示し、比較例のリリーフ弁を燃料供給系統に用いたときのデリバリパイプの燃料圧力を図8(B)に示す。比較例のリリーフ弁は、弁体に連通孔が形成されていないものである。
比較例では、図8(B)に示すように、時刻T1で、デリバリパイプの燃料圧力が急激に低下している。これはリリーフ弁が閉弁後、吐出通路の生じる圧力波などにより再度開弁しているものと考えられる。また、時刻T2〜T3,及び時刻T4〜T5では、デリバリパイプの燃料圧力に振動が生じている。
これに対し、本実施形態では、図8(A)に示すように、デリバリパイプ4の燃料圧力の急激な低下、又は燃料圧力の振動が抑制されている。
本実施形態では、切欠部57及び連通孔59の大きさ、形状、位置、角度などを調節することで、開弁時における流入室66と弁体51の下流側の流路との差圧が確保される。これにより、弁体51の上流側の流路から流入室66へ流入した燃料の動圧が受圧部54に作用し、弁体51は短時間で適切なストローク量をリフトする。
リリーフ弁50がデリバリパイプ4側から加圧室121へ燃料を戻す時間は、吸入行程の開始後の限られた時間である。このため、リリーフ弁50のストローク量と開弁速度とを調節することで、リリーフ弁を通過する流量と、加圧室121の容積変化とが適合する。よって、プランジャの1圧送分の吐出量と同量又はそれに近い容量を、1回の吸入行程でデリバリパイプ側から加圧室121へ戻すことが可能になる。したがって、吐出通路114から加圧室121へ燃料を速やかに流し、デリバリパイプ4の燃料圧力を素早く低下させることができる。
本実施形態では、軸部53に略垂直に形成された受圧部54と連通孔59とのなす角が鋭角であり、かつ、連通孔59と切欠部57とが径方向に異なる位置に設けられている。このため、リリーフ弁50の開弁時、弁座64より上流側から流入室66へ流入する燃料の動圧が平面状の受圧部54に確実に作用する。
一方、リリーフ弁50の閉弁時、流入室66の燃料は外側流路65および連通孔59を経由して弁体51の下流側に流れる。特に、連通孔59により、流入室66の径内側の燃料を急速に弁体51の下流側に流すことが可能になる。このため、流入室66の燃料圧力によって弁体51の移動が妨げられることなく、リリーフ弁50の閉弁速度が速くなる。したがって、リリーフ弁50の再度開弁、及びデリバリパイプ4の燃料圧力の振動が抑制される。この結果、退避走行運転時において、デリバリパイプ4の燃料圧力がリリーフ弁50に設定された所定圧に維持され、インジェクタ5から燃料を適切に噴射させることができる。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態の高圧ポンプが備えるリリーフ弁を図9及び図10を参照して説明する。
本実施形態では、弁体51の連通孔83は、受圧部54側の内径が凹部56側の内径よりも大きいテーパ状に形成されている。連通孔83の中心軸は受圧部54側から弁体51の中心軸側に向かって傾斜している。連通孔83の中心軸と受圧部54とのなす角は鋭角である。また、弁体51を軸方向から見たとき、連通孔83と切欠部57とが径方向に異なる位置に設けられている。
本実施形態では、連通孔83の受圧部54側の開口が大きいので、リリーフ弁の閉弁時、流入室66の燃料が連通孔83を経由して弁体51の下流側に流れ易い。このため、流入室66の燃料圧力によって弁体51の移動が妨げられず、リリーフ弁の閉弁速度を速くすることができる。
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態の高圧ポンプが備えるリリーフ弁を図11及び図12を参照して説明する。
本実施形態では、弁体51の連通孔84は、一方の側が弁体51の軸部53に開口し、他方の側が凹部56の内壁に開口している。連通孔84の中心軸は一方の側から弁体51の中心軸側に向かって傾斜している。また、弁体51を軸方向から見たとき、連通孔84と切欠部57とが径方向に異なる位置に設けられている。本実施形態では、2個の切欠部57が中心軸を挟んで向き合う方向と、弁体51の中心軸に対して連通孔84の開口部841が設けられている方向とは略垂直に位置している。
リリーフ弁が開弁するとき、弁座64の上流側から弁座64に沿って流入室66に流入した燃料は、受圧部54を径内方向に流れ、受圧部54に動圧を与える。連通孔84は、一方の側が軸部53に開口しているので、流入室66を流れる燃料は連通孔84に流れ難い。また、連通孔84は受圧部54に開口していないので、流入室66を流れる燃料の動圧が受圧部54に確実に作用する。したがって、弁体51は短時間で適切なストローク量をリフトする。
一方、リリーフ弁が閉弁を開始するとき、流入室66の燃料は連通孔84を経由して凹部56の内側の流路へ流れる。このため、流入室66の燃料圧力によって弁体51の移動が妨げられることなく、リリーフ弁の閉弁速度を速くすることができる。
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態の高圧ポンプが備えるリリーフ弁を図13を参照して説明する。
本実施形態では、弁体51の受圧部54は、外縁部に軸方向弁座64側に突出する環状の凸壁部85を有している。弁体51の連通孔84は、第3実施形態と同様、一方の側が弁体51の軸部53に開口し、他方の側が凹部56の内壁に開口している。
リリーフ弁が開弁するとき、弁座64より上流側から流入室66に流入した燃料の動圧は、軸部53と凸壁部85との間の受圧部54に作用する。また、連通孔84は受圧部54に開口していないので、流入室66を流れる燃料の動圧が受圧部54に確実に作用する。したがって、弁体51は短時間で適切なストローク量をリフトする。
一方、リリーフ弁が閉弁を開始するとき、流入室66の燃料は連通孔84を経由して凹部56の内側の流路へ流れる。このため、流入室66の燃料圧力によって弁体51の移動が妨げられることなく、リリーフ弁の閉弁速度を速くすることができる。
(第5実施形態)
本発明の第5実施形態の高圧ポンプが備えるリリーフ弁を図14を参照して説明する。
本実施形態では、弁体51の切欠部86は、弁体51の径方向外側の外壁の一部が曲面状となっている。切欠部86とリターン流路60の内壁との間に外側流路65が形成される。切欠部86には、外側流路65と凹部56の内側の流路とを径方向に連通する流通孔58が設けられている。
本実施形態においても、切欠部86により外側流路65の流路断面積を設定することで、受圧部54に作用する動圧を調節することができる。
(第6〜第9実施形態)
本発明の第6〜9実施形態の高圧ポンプが備えるリリーフ弁を図15〜図18を参照して説明する。
第6〜9実施形態では、切欠部57、86と連通孔59、83、84とが径方向に重なる位置に設けられている。なお、切欠部57、86と連通孔59、83、84とは、径方向に重なる位置に限られることなく、弁体51の周方向に任意の位置に設けることが可能である。
リターン流路60の内壁と切欠部57、86との間に形成される外側流路65の流路断面積は、連通孔59、83、84の流路断面積よりも小さい。切欠部57、58及び連通孔59、83、84の大きさ、形状、位置、角度などを調節することで、リリーフ弁の開弁時における流入室66と弁体51の下流側の流路との差圧が確保される。このため、弁座64の上流側から流入室66へ流入した燃料の動圧が受圧部54に確実に作用する。したがって、弁体51は、短時間で適切なストローク量をリフトする。すなわち、リリーフ弁の開弁速度を速くすると共に、ストローク量を調整することが可能になる。よって、加圧室121の容積変化とリリーフ弁を通過する流量とが適合する。この結果、1回の吸入行程において、プランジャの1圧送分の吐出量と同量、又はそれに近い容量を、デリバリパイプ4側から加圧室121側へ速やかに流すことが可能になり、デリバリパイプ4の燃料圧力を素早く低下させることができる。
一方、リリーフ弁の閉弁時、流入室66の燃料は、外側流路65及び連通孔59、83、84を通り弁体51の下流側に流れる。特に、連通孔59、83、84は、流入室66の径内側の燃料を弁体51の下流側の流路へ急速に流すことが可能である。このため、流入室66と弁体51の下流側の流路との差圧が瞬時に0、または0に近くなる。すなわち、リリーフ弁の閉弁速度を速くすることが可能になる。したがって、吐出通路に生じる圧力波等によってリリーフ弁50が再度開弁すること、及びデリバリパイプ4の燃料圧力に振動が生じることを抑制することができる。
(他の実施形態)
上述した第1実施形態では、高圧ポンプ10にリリーフ弁50を内蔵した。これに対し、本発明は、デリバリパイプ4と燃料タンク2とをリターン流路で接続し、そのリターン流路にリリーフ弁50を設けてもよい。また、高圧燃料配管9と高圧ポンプの供給通路100とをリターン流路で接続し、そのリターン流路にリリーフ弁50を設けてもよい。
このように、本発明は、上記実施形態に限定されるものでなく、上記複数の実施形態を組み合わせることに加え、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の形態により実施することができる。
50 ・・・リリーフ弁
51 ・・・弁体
52 ・・・弁シート
53 ・・・軸部
54 ・・・受圧部
55 ・・・ガイド部
56 ・・・凹部
57、86 ・・・切欠部
58 ・・・流通孔
59、83、84・・・連通孔
60 ・・・リターン流路
64 ・・・弁座
66 ・・・流入室
82 ・・・スプリング(付勢手段)
112 ・・・加圧室(低圧側燃料通路)
114 ・・・吐出通路(高圧側燃料通路)

Claims (7)

  1. 軸方向に往復移動可能なプランジャと、
    前記プランジャの往復移動によって燃料が加圧される加圧室を有するポンプボディと、
    前記加圧室で加圧された燃料を吐出する吐出弁と、
    前記吐出弁の下流側の高圧側燃料通路と前記吐出弁の上流側の低圧側燃料通路とを連通するリターン流路の内壁に形成された弁座に着座することで前記リターン流路を閉塞し、前記弁座から離座することで前記リターン流路を開放する弁体、および、前記弁体を所定の付勢力で前記弁座側へ付勢する付勢手段を有するリリーフ弁と、を備えた高圧ポンプにおいて、
    前記リリーフ弁の前記弁体は、前記弁座に着座及び離座する弁シート、その弁シートから前記リターン流路の軸方向に延びる軸部、その軸部の前記弁シートと反対側から前記リターン流路の内壁側へ延びる受圧部、その受圧部の外縁から前記弁シートと反対側に延びて前記リターン流路の内壁に摺接するガイド部、および、前記弁座と前記受圧部との間に形成される流入室と前記弁体の下流側の前記リターン流路とを連通する連通孔を有し、
    前記リリーフ弁は、前記プランジャ下降による吸入行程開始後の限られた時間に、前記プランジャの1圧送分の吐出量と同量またはそれに近い容量の燃料を、前記高圧ポンプの1回の吸入行程で前記高圧燃料通路から前記低圧燃料通路へ流すことが可能であることを特徴とする高圧ポンプ。
  2. 前記弁体の前記受圧部は、前記軸部の前記弁シートと反対側から前記リターン流路の軸方向に対して略垂直に径方向外側へ延びることを特徴とする請求項1に記載の高圧ポンプ。
  3. 前記弁体の前記連通孔は、前記流体室側から前記弁体の中心軸側に向けて傾斜していることを特徴とする請求項1または2に記載の高圧ポンプ。
  4. 前記弁体の前記連通孔は、下流側が前記弁体に設けられた凹部の内壁に開口することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の高圧ポンプ。
  5. 前記弁体の前記連通孔は、前記流体室側が前記軸部に開口することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の高圧ポンプ。
  6. 前記弁体の前記受圧部は、外縁部に軸方向弁座側へ突出する環状の凸壁部を有することを特徴とする請求項5に記載の高圧ポンプ。
  7. 前記弁体の前記連通孔は、前記流体室側の内径が下流側の内径よりも大きいテーパ状に形成されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の高圧ポンプ。
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