JP2010200537A - 電力変換装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】三相インバータ2のスイッチング動作をPWM制御する制御部4を備えた低次高調波消去PWM制御方式の電力変換装置において、制御部4は、インバータ2の変調率mを演算する変調率演算手段5と、インバータ出力電圧の特定の高調波を低減し且つ三相出力電圧の線間電圧が最大値と3番目に大きい値とを遷移する期間thmを所定の時間だけ確保したスイッチングパターンth1、th2、th3を変調率の大きさ毎に記憶している記憶手段6と、スイッチングパターンと出力電圧指令の位相thとから、インバータのスイッチング素子をオンオフするゲート信号を発生するゲート信号発生手段7とを備えている。
【選択図】図1
Description
(例えば、下記特許文献1、非特許文献1、参照。)
この問題に対して、三角波比較PWM方式およびヒステリシスコンパレータを用いたPWM方式においては、例えば、下記特許文献2により、既に対策が講じられている。
図1はこの発明の実施の形態1における電力変換装置の構成を示す回路構成図である。
図1において、直流電圧源1に、モータ3が、中性点クランプ式の3レベルインバータである三相インバータ2を介して接続されている。三相インバータ2はスイッチング素子を備え、スイッチング素子のスイッチング動作によって直流電圧源1の電圧を任意の大きさおよび周波数の出力電圧に変換する。制御部4は、三相インバータ2の出力電圧の相電圧振幅Vpと直流電圧源1の電圧Vdcとの電圧比から変調率mを演算する変調率演算手段である変調率演算器5と、変調率mからスイッチングパターンth1、th2、th3を導出するスイッチングパターンテーブル6と、スイッチングパターンと三相インバータ2への出力電圧指令の位相thから、出力電圧が振幅Vp・位相thとなるように三相インバータ2を制御するゲート信号、つまり三相インバータ2のスイッチング素子をオンオフするゲート信号を発生するゲート信号発生手段であるゲート信号発生器7とから構成されている。すなわち、実施の形態1の電力変換装置8は、三相インバータ2と制御部4から構成される低次高調波消去PWM制御方式の電力変換装置である。
図2は1相分を示しており、三相では各相が2π/3ずつシフトされた波形になる。
図3は変調率mに対するスイッチングパターンの位相である。図3のスイッチングパターンth1、th2、th3において、変調率mが0.72の場合の相電圧と、線間電圧を図4に示す。図4(a)は相電圧、図4(b)は線間電圧を示している。図4において、U相電圧が正の方向へ変化するタイミングとV相電圧が負の方向へ変化するタイミングがほぼ同時となり、線間電圧には通常の2倍のスイッチング電圧が発生している。
三相インバータ2の線間電圧は2π/3毎に対称であるので、ここではU相電圧のπ/6〜π/2の区間で説明する。2倍のスイッチング電圧が発生するのは、U相電圧が正の方向へ変化し且つV相電圧が負の方向へ変化する場合と、U相電圧が負の方向へ変化し且つV相電圧が正の方向へ変化する場合である。前者はスイッチングパターンth1あるいはth3が2π/3-th2と重なる場合であり、後者はth2が2π/3-th1あるいは2π/3-th3と重なる場合である。
3レベルインバータで基本波の1/4周期に3回スイッチングする3パルスの場合、2倍のスイッチング電圧が発生するのは変調率が0.72の場合のみであり、この時th2と2π/3-th3が重なる。これを回避することがこの発明の目的であり、そのためには次式
(3)によりスイッチングパターンを求めればよい。
但し、変調率m=0.72においては後者の条件では解は得られない。
式(3)において、+thmとした場合のスイッチングパターンAの電圧波形を図6に、
-thmとした場合のスイッチングパターンBの電圧波形を図7に示す。
図6(a)は相電圧、図6(b)は線間電圧を示している。図6(b)に示すように、三相出力電圧の線間電圧が電力変換器の最大値と3番目に大きい値とを遷移する期間を所定の時間だけ確保している。図6、図7ともに2倍のスイッチング電圧を回避できている。
図3に示すように、式(2)により求めたスイッチングパターンでは変調率mが大きくなるに従ってスイッチングパターンの位相th1、th2、th3は小さくなる、
すなわちth2-(2π/3-th3)は小さくなる。つまり、th2-(2π/3-th3)>+thmであるスイッチングパターンとth2-(2π/3-th3)<-thmとなるスイッチングパターンを用いて線形補完した場合は、遷移時間thmを確保できずに2倍のスイッチング電圧が発生してしまう。
従って線形補完を行う場合は、変調率m≦0.72ではスイッチングパターンAを用い、変調率m>0.72ではスイッチングパターンBを用いる必要がある。
変調率mが0.72の場合、図3に示した従来のスイッチングパターンでは2倍のスイッチング電圧が発生していたが、図8に示した本発明のスイッチングパターンでは2倍のスイッチング電圧を回避したパターンになっている。これにより、スイッチング回数を最大限利用して低次の高調波を低減し、且つ2倍のスイッチング電圧を回避したスイッチングパターンすなわち出力電圧を得ることができる。
また実施の形態1では3レベルインバータは中性点クランプ式のものとしたが、この限りではないことは言うまでもない。
実施の形態1では、3レベルインバータの場合について述べたが、さらに電力変換器の大容量化を図った5レベルインバータにおいても、低次の高調波を低減し且つ2倍のスイッチング電圧を回避したスイッチングパターンすなわち出力電圧を得ることができる。
図11はこの発明の実施の形態2の電力変換装置の構成を示す回路構成図であり、実施の形態1と異なるところは、3レベルインバータが5レベルインバータ9になったことと、それに伴い、直流電圧源が直流電圧源U相10と直流電圧源V相11と直流電圧源W相12とに増えたこと、またスイッチングパターンテーブル6とゲート信号発生器7は、5レベルインバータ9を駆動するためのものになっている。
5レベルインバータ9は、中性点クランプ式の3レベルインバータの2レグ分を直列接続したものを3相分用意したものである。
そこで次式(5)のようにしてスイッチングパターンを求めることにより、高調波を低減し且つパルス幅をも確保することができる。
式(5)により求めたスイッチングパターンによる出力電圧波形を図15に示す。
パルス幅thlimが確保されていることが確認できる。同様にして、他の変調率においてもパルス幅を確保したスイッチングパターンを図16に示す。
図17において、U相電圧が正の方向へ変化するタイミングとV相電圧が負の方向へ変化するタイミングがほぼ同時となり、線間電圧には通常の2倍のスイッチング電圧が発生している。これは、U相のth3aとV相の2π/3-th2bが重なり、スイッチングの遷移期間ths=th3a-(2π/3-th2b)が小さくなっていることにより発生している。
変調率m=0.715はm=0.71と0.72の線形補完で求めているが、m=0.71の場合は遷移期間ths=0.0567でm=0.72の場合は遷移期間ths=-0.0524であり、m=0.72の場合のほうが短い。そこでm=0.72においてths=+thmとなるスイッチングパターンを新たに設けて線形補完すれば、元々の低次の高調波を最大限に低減したスイッチングパターンに与える影響を小さくしたまま、2倍のスイッチング電圧を回避することができる。このように回避するためには次式(6)によりスイッチングパターンを求めればよい。
またパターンの求め方はこの限りではない。
式(6)により求めたスイッチングパターンを用いて変調率m=0.715のスイッチングパターンを線形補完した場合の出力電圧波形を図18に示す。これによって、2倍のスイッチング電圧を回避できていることが確認できる。
5×2パルスの場合のスイッチングパターンを図20に、7×2パルスの場合のスイッチングパターンを図21に示す。
また本実施の形態2では5レベルインバータは、中性点クランプ式の3レベルインバータの2レグ分を直列接続したものを三相分用意したものとしたが、この限りではないことは言うまでもない。
4 制御部、5 変調率演算器、6 スイッチングパターンテーブル(記憶手段)、
7 ゲート信号発生器、8 電力変換装置、
9 三相インバータ(5レベルインバータ)、10 直流電圧源U相、
11 直流電圧源V相、12 直流電圧源W相。
Claims (4)
- スイッチング素子を備え、該スイッチング素子のスイッチング動作によって直流電圧源の電圧を任意の大きさおよび周波数の出力電圧に変換するインバータと、前記スイッチング素子のスイッチング動作をPWM制御する制御部とから構成される電力変換装置であって、前記制御部は、前記インバータの出力相電圧の振幅と前記直流電圧源の電圧との電圧比である変調率を演算する変調率演算手段と、前記インバータの出力電圧の特定の高調波を低減し且つ前記インバータの出力線間電圧が最大値と3番目に大きい値とを遷移する期間を所定の時間だけ確保したスイッチングパターンを前記変調率の大きさ毎に記憶している記憶手段と、前記スイッチングパターンと前記インバータの出力電圧指令の位相とから
、前記インバータのスイッチング素子をオンオフするゲート信号を発生するゲート信号発生手段とを備えたことを特徴とする電力変換装置。 - スイッチング素子を備え、該スイッチング素子のスイッチング動作によって直流電圧源の電圧を任意の大きさおよび周波数の出力電圧に変換するインバータと、前記スイッチング素子のスイッチング動作をPWM制御する制御部とから構成される電力変換装置であって、前記制御部は、前記インバータの出力相電圧の振幅と前記直流電圧源の電圧との電圧比である変調率を演算する変調率演算手段と、前記出力電圧の特定の高調波を低減し且つ前記インバータの出力線間電圧が最大値と3番目に大きい値とを遷移する期間を所定の時間だけ確保すると共に、前記スイッチング素子の特性により決まる所望のパルス幅を確保したスイッチングパターンを前記変調率の大きさ毎に記憶している記憶手段と、前記スイッチングパターンと前記インバータの出力電圧指令の位相とから前記インバータのスイッチング素子をオンオフするゲート信号を発生するゲート信号発生手段とを備えたことを特徴とする電力変換装置。
- 前記インバータは、中性点クランプ式の3レベルインバータで構成されていることを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
- 前記インバータは、中性点クランプ式の3レベルインバータの2レグ分を直列接続して構成されていることを特徴とする請求項2に記載の電力変換装置。
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