JP2010199168A - セラミックコンデンサの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐水性能を確保しつつ、静電容量や誘電損失などの電気特性が良好なセラミックコンデンサを得ることができるセラミックコンデンサの製造方法を提供する。
【解決手段】印刷法などにより、セラミック素体2の両端面にそれぞれ、外部電極用導電性ペーストを塗布し、焼き付けて外部電極3,4を形成する。外部電極3は内部電極パターン22の一端部に接合し,外部電極4は内部電極パターン23の一端部に接合している。外部電極3,4の材料としては、例えばNi,Cuもしくは、これらのいずれか一つを主成分とする合金が用いられる。このとき、焼き付け雰囲気を酸化雰囲気とする。次に、セラミック素体2の外部電極3,4間に交流電流を流して、外部電極3,4の焼き付けの際に内部電極パターン22,23と外部電極3,4とのとの接合部にそれぞれ生じた酸化膜を除去する。交流電流は0.1mA以上の高周波電流であることが好ましい。
【選択図】図2

Description

この発明はセラミックコンデンサの製造方法に関する。
積層セラミックコンデンサには、Niなどの卑金属からなる内部電極を有し、かつ、Cuなどの卑金属からなる外部電極を有するものがある。そして、積層セラミックコンデンサのセラミック素体を構成するセラミック材料はBaTiO3などの酸化物であり、中性雰囲気または還元雰囲気で焼成されると、還元されて特性が劣化するおそれがあるため、酸化雰囲気で焼成されることが望まれる。
また、卑金属からなる外部電極を還元雰囲気で焼き付けると、外部電極ペーストに含まれるバインダなどの樹脂成分の燃焼が不十分となり、結果として外部電極中にポアが形成され、積層セラミックコンデンサの信頼性が低下する。一方、外部電極を酸化雰囲気で焼き付けると、バインダ(樹脂分)の燃焼効率が上がり、外部電極の焼結が進み易くなる。この結果、外部電極は緻密となり、耐水性能や耐めっき液性能が向上する。しかし、外部電極を酸化雰囲気で焼き付けると、内部電極と外部電極との接合部に酸化膜が生じ易いため、内部電極と外部電極との間の電気的接合状態が悪化し、静電容量低下や等価直列抵抗(ESR)増加を招くという問題がある。等価直列抵抗が大きいコンデンサを高周波用途で使用した場合、内部電極と外部電極との接合部での発熱異常が起きる。このように、外部電極の焼き付けに際しても、焼き付け条件を考慮する必要がある。そこで、例えば特許文献1には、酸化雰囲気と還元雰囲気とを切り替えながら外部電極を焼き付ける方法が記載されている。
特開2003−234257号公報
しかしながら、特許文献1のように、酸化雰囲気と還元雰囲気とを切り替えながら外部電極を焼き付ける方法は、焼き付け条件の管理が複雑かつ煩雑であり、雰囲気のばらつきによるセラミックコンデンサの電気特性のばらつきが生じ易いという不具合があった。
それゆえに、この発明の主たる目的は、耐水性能を確保しつつ、静電容量や誘電損失などの電気特性が良好なセラミックコンデンサを得ることができる製造方法を提供することである。
この発明は、セラミック素体と、セラミック素体の外表面上に設けられた第1外部電極および第2外部電極と、セラミック素体の内部に設けられ、第1外部電極と接合している第1内部電極および第2外部電極と接合している第2内部電極と、を有するセラミックコンデンサの製造方法であって、第1外部電極と第2外部電極との間に交流電流を流して、第1外部電極と第1内部電極との接合部および第2外部電極と第2内部電極との接合部にそれぞれ生じた酸化膜を除去する工程を備えたこと、を特徴とする、セラミックコンデンサの製造方法である。
この発明では、一対の外部電極間に交流電流を流すことによって、外部電極と内部電極との接合部に交流電流が流れ、外部電極と内部電極との接合部に生じた酸化膜が破壊され、外部電極と内部電極との間の導通が確保される。
また、この発明は、交流電流が0.1mA以上の高周波電流であることを特徴とする。これにより、外部電極と内部電極との接合部に交流電流が十分に流れ、外部電極と内部電極との接合部に生じた酸化膜が確実に破壊される。
また、この発明は、第1外部電極および第2外部電極が酸化雰囲気で焼き付けられていることを特徴とする。これにより、外部電極を緻密に形成することができると共に、酸化雰囲気と還元雰囲気とを切り替えながら外部電極を焼き付ける必要がなくなり、焼き付け条件の管理が簡素かつ容易になり、雰囲気のばらつきによるセラミックコンデンサの電気特性のばらつきが生じにくくなる。
さらに、この発明は、第1外部電極および第2外部電極が卑金属からなることを特徴とする。これにより、酸化雰囲気で焼き付けすると酸化し易い卑金属からなる外部電極を有するセラミックコンデンサであっても、優れた電気特性が得られる。
この発明によれば、一対の外部電極間に交流電流を流すことによって、外部電極と内部電極との接合部に交流電流が流れ、外部電極と内部電極との接合部に生じた酸化膜を破壊することができ、外部電極と内部電極との間の導通を確保することができる。この結果、静電容量や誘電損失などの電気特性が良好なセラミックコンデンサを得ることができる。
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の発明を実施するための形態の説明から一層明らかとなろう。
本発明に係るセラミックコンデンサの製造方法の一実施形態を説明するための外観斜視図である。 図1に示したセラミックコンデンサの断面図である。 セラミック素体の分解斜視図である。
本発明に係るセラミックコンデンサの製造方法の一実施形態について説明する。なお、以下はセラミックコンデンサを個産した場合を例にして説明するが、量産する場合には、複数のセラミックコンデンサを含むマザー積層体として製造される。図1は積層セラミックコンデンサ10の外観斜視図であり、図2はその断面図であり、図3はセラミック素体2の分解斜視図である。セラミックコンデンサ10は、セラミック素体2と、セラミック素体2の両端部の外表面上に形成された一対の外部電極3,4とを有している。
セラミック素体2は、図3に示すように、内部電極パターン22,23を表面に形成したセラミックグリーンシート20c〜20hと、電極パターンが形成されていない外層用セラミックグリーンシート20a,20b,20i,20jとを積み重ねて構成した積層体である。セラミックグリーンシート20a〜20jの材料としては、BaTiO3、CaTiO3、SrTiO3、CaZrO3などの主成分からなる誘電体セラミックに、周知の有機バインダや有機溶剤が添加されているものが用いられる。また、これらの主成分にMn化合物、Fe化合物、Cr化合物、Co化合物、Ni化合物などの副成分を添加したものを用いてもよい。特に、本実施形態では、セラミックコンデンサ10に高周波が印加されるため、高周波印加による発熱が少ない温度補償系のセラミック材料を用いることが好ましく、具体的には、CaTiO3、CaZrO3などのεが小さいセラミックを用いることが好ましい。セラミックグリーンシート20c〜20hの厚みは、焼成後の内部電極パターン22,23間のセラミック層の厚みが0.5〜10μmになるように設定することが好ましい。
内部電極パターン22,23は、セラミックグリーンシート20c〜20h上に、例えばスクリーン印刷などにより導電性ペーストを塗布して形成される。内部電極パターン22はセラミックグリーンシート20c,20e,20gの左辺に露出している。内部電極パターン23はセラミックグリーンシート20d,20f,20hの右辺に露出している。そして、内部電極パターン22,23は、積層された状態ではセラミックグリーンシート20c〜20gを間にして対向するように配置されている。この対向部分により所定の電気特性が得られる。内部電極パターン22,23の材料としては、例えばNi,Cu,Ag,Pd,Ag−Pd合金,Au、もしくは、これらのいずれか一つを主成分とする合金が用いられる。内部電極パターン22,23の厚みは、焼成後に0.3〜2.0μmになるように設定することが好ましい。
以上のセラミックグリーンシート20a〜20jは、図3に示すように積層されてセラミック積層体とされる。このとき、必要に応じてセラミック積層体を静水圧プレスなどにより積層方向にプレスしてもよい。次に、セラミック積層体を所定のサイズにカットした後、バレル研磨してセラミック積層体のコーナー部および稜部に丸みを形成する。次に、セラミック積層体を焼成する。焼成温度はセラミックグリーンシート20a〜20jや内部電極パターン22,23の材料にもよるが、900〜1300℃であることが好ましい。こうして、セラミック素体2が形成される。
次に、印刷法などにより、セラミック素体2の両端部にそれぞれ、外部電極用導電性ペーストを塗布し、700〜900℃の温度で焼き付けて外部電極3,4を形成する。外部電極3は内部電極パターン22の一端部に接合し,外部電極4は内部電極パターン23の一端部に接合している。外部電極3,4の材料としては、例えばNi,Cuもしくは、これらのいずれか一つを主成分とする合金が用いられる。このとき、焼き付け雰囲気を酸化雰囲気とし、外部電極用導電性ペースト中のバインダ(樹脂分)の燃焼効率を上げ、外部電極3,4の焼結を進めて外部電極3,4を緻密化する。外部電極3,4の厚み(最も厚い部分)は、10〜50μmになるように設定することが好ましい。なお、セラミック積層体を焼成する前に、外部電極用導電性ペーストをセラミック積層体に塗布し、セラミック積層体の焼成と同時に外部電極3,4を焼き付ける方法であってもよい。
次に、セラミック素体2の外部電極3,4間に交流電流を流して、外部電極3,4の焼き付けの際に内部電極パターン22,23と外部電極3,4とのとの接合部にそれぞれ生じた酸化膜を除去する。このとき、交流電流は0.1mA以上の高周波電流であることが好ましい。これにより、外部電極3,4と内部電極パターン22,23との接合部に交流電流が十分に流れ、外部電極3,4と内部電極パターン22,23との接合部に生じた酸化膜が確実に破壊される。また、交流電流の上限は10mAとすることが好ましい。交流電流が10mAを超えると、コンデンサ10が異常発熱を起こしてショート不良になるからである。
次に、外部電極3,4が形成されたセラミック素体2を、バレル研磨などの物理的表面処理を行ったり、エッチングなどの化学的表面処理を行ったりして、外部電極3,4の焼き付けの際に生じた外部電極3,4表面の酸化膜を除去する。この後、外部電極3,4の表面にめっき層を形成する。めっき層の材料としては、例えばNi,Cu,Ag,Pd,Ag−Pd,Au,もしくは、これらのいずれか一つを主成分とする合金が用いられる。めっき層一層当たりの厚みは、1〜10μmになるように設定することが好ましい。さらに、外部電極3,4とめっき層との間に、応力緩和用の導電性樹脂層を形成してもよい。
以上のセラミックコンデンサ10の製造方法によれば、外部電極3,4間に交流電流を流すことによって、外部電極3,4と内部電極パターン22,23との接合部に交流電流が流れ、外部電極3,4の焼き付けの際に外部電極3,4と内部電極パターン22,23との接合部に生じた酸化膜を破壊することができ、外部電極3,4と内部電極パターン22,23との間の導通を確保することができる。この結果、酸化雰囲気で焼き付けすると酸化し易い卑金属からなる外部電極3,4を有するセラミックコンデンサ10であっても、優れた電気特性(静電容量や誘電損失など)を得ることができる。
また、外部電極3,4が酸化雰囲気で焼き付けられて形成されているので、外部電極3,4を緻密に形成することができ、耐水性能や耐めっき液性能を向上させることができる。さらに、酸化雰囲気と還元雰囲気とを切り替えながら外部電極3,4を焼き付ける必要がなくなり、焼き付け条件の管理が簡素かつ容易になり、雰囲気のばらつきによるセラミックコンデンサ10の電気特性のばらつきが生じにくくなる。
なお、この発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々に変形される。セラミック素体は、必ずしも複数のセラミックシートからなる積層体である必要はなく、一体型のバルクであってもよい。
以下の製造方法によってセラミックコンデンサの試料を作成し、電気的特性などを評価した。すなわち、CaZrO3を主体とする比誘電率(εr)が30で、厚さ20μmのセラミックグリーンシートに、Niを主体とした内部電極パターンを印刷法で形成した。その後、このセラミックグリーンシートを数枚積み重ね、さらに外層用セラミックグリーンシートを積み重ね圧着してセラミック積層体とした。そして、このセラミック積層体を270℃で脱脂した後、1250〜1350℃にて焼成してセラミック素体とした。
次に、焼成後のセラミック素体にCuペーストを塗布して焼き付け、外部電極を形成した。このとき、Cuペーストを還元雰囲気と酸化雰囲気の2種類の雰囲気でそれぞれ焼き付けた。その後、電解めっき法によってNi層、Sn層を順に外部電極表面上に形成した。
こうして得られたセラミックコンデンサにおいて、外部電極用Cuペーストを還元雰囲気中で焼き付けたセラミックコンデンサは、静電容量が設計通り1000pF(Q>1000)の値であった。なお、Qはtanδの逆数で、数値が大きいほど外部電極と内部電極パターンとの接合部での等価直列抵抗が低いことを示す。しかし、外部電極用Cuペーストを酸化雰囲気中で焼き付けたセラミックコンデンサは、外部電極と内部電極パターンとの接合部に生じた酸化膜によって電気的接合不良となり、表1の「高周波印加前」に示したような電気特性となった。この電気的接合不良のセラミックコンデンサの一対の外部電極間に630Vp−p(300kHz)の高周波電圧を10時間印加した後の電気特性を表1の「高周波印加後」に示す。表1より、高周波電圧を印加することで、3個のセラミックコンデンサの全てが良品レベル(約1000pF、Q>1000)の電気特性をもつまでになっていることが認められる。
Figure 2010199168
また、本実施例では、セラミックコンデンサの一対の外部電極間に630Vp−p(300kHz)の高周波電圧を印加しているが、外部電極と内部電極パターンとの接合部改善のポイントは交流電流値(2πfCV、f:周波数、C:静電容量、V:電圧)である。交流電流値と接合部改善性の関係は表2に示した。表2の交流電流値は1個のセラミックコンデンサ当りの電流値である。表2より、交流電流は0.1mA以上の高周波電流であることが好ましいことが認められる。
Figure 2010199168
2 セラミック素体
3,4 外部電極
5,6 金属端子
10 セラミックコンデンサ

Claims (4)

  1. セラミック素体と、前記セラミック素体の外表面上に設けられた第1外部電極および第2外部電極と、前記セラミック素体の内部に設けられ、前記第1外部電極と接合している第1内部電極および前記第2外部電極と接合している第2内部電極と、を有するセラミックコンデンサの製造方法であって、
    前記第1外部電極と前記第2外部電極との間に交流電流を流して、前記第1外部電極と前記第1内部電極との接合部および前記第2外部電極と前記第2内部電極との接合部にそれぞれ生じた酸化膜を除去する工程を備えたこと、を特徴とする、セラミックコンデンサの製造方法。
  2. 前記交流電流は0.1mA以上の高周波電流であることを特徴とする、請求項1に記載のセラミックコンデンサの製造方法。
  3. 前記第1外部電極および前記第2外部電極は酸化雰囲気で焼き付けられていることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のセラミックコンデンサの製造方法。
  4. 前記第1外部電極および前記第2外部電極が卑金属からなることを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれかに記載のセラミックコンデンサの製造方法。
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