JP2010196031A - ゴムの加硫方法 - Google Patents

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往立 白川
Takeshi Masuda
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Abstract

【課題】
毒性が懸念される加硫促進剤DCBSを用いずに、安全性が高く、かつ加硫特性、機械特性、スチールコードとの接着性に優れた加硫ゴムを製造することができるゴムの加硫方法を提供する。
【解決手段】
一般式(I)で示される2−置換ジチオベンゾチアゾール化合物と、一般式(II)で示される2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド化合物の存在下、ジエン系ゴムを硫黄で加硫する。
【化1】
Figure 2010196031



【選択図】 なし

Description

本発明は、スチールコードとの接着性に優れた加硫ゴムを製造するための、ゴムの加硫方法に関するものである。
従来、タイヤやベルト等のゴム製品は、ゴムとスチールコード(金属)を複合化することにより製造されている。そして、ゴムとスチールコードとの接着力を向上させるために、加硫促進剤としてN,N−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(以下DCBSと略記する)が主に使われている。しかしながら、DCBSは、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)上、第一種監視化学物質(官報公示整理番号、5−256)として登録されており、その毒性が懸念されて、これを代替する加硫促進剤がゴム工業界で求められている。
特許文献1には、2−シクロヘキシルジチオベンゾチアゾールとメルカプトベンゾチアゾールの配合物を加硫促進剤として使用することが提案されている。しかしながら、この配合物をゴム組成物に使用した場合には、DCBSを使用した場合と同等の加硫特性やゴムとスチールコードの接着性が得られない。
ドイツ特許第19528172号公開公報
本発明は、毒性が懸念される加硫促進剤DCBSを用いずに、安全性が高く、かつ加硫特性、機械特性、スチールコードとの接着性に優れた加硫ゴムを製造することができるゴムの加硫方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、ジエン系ゴムを加硫する際に、加硫促進剤として、2−置換ジチオベンゾチアゾール化合物と共に2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド化合物を併用することにより、所期の目的を達成することを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、第1の発明は、化1の一般式(I)で示される2−置換ジチオベンゾチアゾール化合物と、化2の一般式(II)で示される2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド化合物の存在下、ジエン系ゴムを硫黄で加硫することを特徴とするゴムの加硫方法である。
第2の発明は、ジエン系ゴム100重量部に対して、2−置換ジチオベンゾチアゾール化合物の配合割合を0.1〜5.0重量部とし、2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド化合物の配合割合を0.1〜2.0重量部とし、硫黄の配合割合を1〜10重量部とすることを特徴とする第1の発明に記載のゴムの加硫方法である。
第3の発明は、硫黄が不溶性硫黄及び/又は可溶性硫黄であることを特徴とする第1の発明または第2の発明に記載のゴムの加硫方法である。
第4の発明は、2−置換ジチオベンゾチアゾール化合物が、2−シクロヘキシルジチオベンゾチアゾール、2−ヘプチルジチオベンゾチアゾール、2−アミルジチオベンゾチアゾール、2−ヘキシルジチオベンゾチアゾール、2−プロピルジチオベンゾチアゾールおよび2−ブチルジチオベンゾチアゾールから選択される少なくとも1種であることを特徴とする第1〜3の何れかの発明に記載のゴムの加硫方法である。
第5の発明は、2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド化合物が、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド及び/又はN−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミドであることを特徴とする第1〜4の何れかの発明に記載のゴムの加硫方法である。
Figure 2010196031
(式中、Rは炭素数1〜10の直鎖状、分岐状、または環状のアルキル基、アルケニル基を表わす。)
Figure 2010196031
(式中、Rは、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状、または環状のアルキル基を表わす。)
本発明により得られる加硫ゴムは、DCBSを配合する場合と同等以上の機械特性及びスチール接着性を有している。また、加硫特性においてDCBSを配合する場合に比べて耐スコーチ性に優れている。そして、本発明の加硫方法は、第一種監視化学物質として毒性が懸念されるDCBSを使用することなくDCBSを使用した場合と同等以上の優れた特性を有する加硫ゴムを製造することができるので、加硫現場における作業環境の安全性向上に大きく寄与し得るものである。
本発明でいう2−置換ジチオベンゾチアゾール化合物、特に2−シクロヘキシルジチオベンゾチアゾールは、安全性の高い加硫促進剤である2−メルカプトベンゾチアゾール(既存化学物質、官報公示整理番号:5−242)と、同じく安全性の高い既存のスコーチ遅延剤N−シクロヘキシルチオフタルイミド(既存化学物質、官報公示整理番号:5−3358)との反応で得られる生成物であるため、毒性の心配はなく高い安全性が期待される。
本発明でいう2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド化合物、特にN−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(既存化学物質、官報公示整理番号:5−3417)及びN−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(既存化学物質、官報公示整理番号:5−256)は、いずれも広く市場で用いられている安全性の高い加硫促進剤である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の実施において使用する2−置換ジチオベンゾチアゾール化合物は、米国特許第3859297号公報に記載されている方法により容易に合成することができる。例えば、2−メルカプトベンゾチアゾールとN−シクロヘキシルチオフタルイミドを適当な溶剤中で加熱することにより、高収率で目的とする2−シクロヘキシルジチオベンゾチアゾールが生成する。反応混合物から副生するフタルイミドを常法に従って、除去精製することにより、高純度の2−シクロヘキシルジチオベンゾチアゾールを得ることができる。本発明の実施においては、精製して得られる2−置換ジチオベンゾチアゾール化合物を用いてもよいが、副生成物であるフタルイミドを含んだ粗製物のまま用いても差し支えない。
前記の2−置換ジチオベンゾチアゾール化合物としては、例えば、
2−メチルジチオベンゾチアゾール、
2−エチルジチオベンゾチアゾール、
2−プロピルジチオベンゾチアゾール、
2−ブチルジチオベンゾチアゾール、
2−ペンチルジチオベンゾチアゾール、
2−ヘキシルジチオベンゾチアゾール、
2−ヘプチルジチオベンゾチアゾール、
2−オクチルジチオベンゾチアゾール、
2−ノニルジチオベンゾチアゾール、
2−デシルジチオベンゾチアゾール、
2−イソプロピルジチオベンゾチアゾール、
2−ネオペンチルジチオベンゾチアゾール、
2−シクロペンチルジチオベンゾチアゾール、
2−シクロヘキシルジチオベンゾチアゾール、
2−アリルジチオベンゾチアゾール、
2−イソプロペニルジチオベンゾチアゾール、
2−(シクロヘキセニル−2’)ジチオベンゾチアゾール、
2−(チアゾリル−2’)ジチオベンゾチアゾール、
2−(チアジアゾール−2’)ジチオベンゾチアゾール、
2−(ピリミジニル−2’)ジチオベンゾチアゾール等が挙げられ、これらを組み合わせて使用してもよい。
本発明の実施において使用する2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド化合物は、特開昭61−260071号公報に記載されている方法により容易に合成することができる。具体的には、2−メルカプトベンゾチアゾールのアミン塩を適当な溶剤中で酸化剤を加えて反応させることにより、高収率で目的とする2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド化合物が生成する。
2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド化合物としては、例えば、
N−メチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、
N−エチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、
N−n−プロピル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、
N−イソプロピル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、
N−n−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、
N−イソブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、
N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、
N−n−ペンチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、
N−n−ヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、
N−n−ヘプチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、
N−n−オクチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、
N−n−ノニル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、
N−n−デシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、
N−シクロペンチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、
N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド等が挙げられ、これらを組み合わせて使用してもよい。
前記のN−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミドは、例えば、大内新興製の商品名「ノクセラーNS」として市販されている。また、前記のN−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミドは、例えば、大内新興製の商品名「ノクセラーCZ」として市販されている。
本発明の実施において使用する硫黄は、可溶性硫黄または不溶性硫黄であり、これらを組み合わせて使用してもよい。
本発明の加硫方法においては、ジエン系ゴム100重量部に対して、2−置換ジチオベンゾチアゾール化合物の配合割合を0.1〜5.0重量部とすることが好ましく、更に0.2〜2.0重量部とすることがより好ましい。2−置換ジチオベンゾチアゾール化合物の配合割合が0.1重量部未満では、加硫ゴムとスチールコードとの接着性の改善効果が得られない。また、2−置換ジチオベンゾチアゾール化合物の配合割合が5.0重量部を超えると、加硫速度が遅く、加硫時間が長くなるために加工性が悪化する。
本発明の加硫方法においては、ジエン系ゴム100重量部に対して、2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド化合物の配合割合を0.1〜2.0重量部とすることが好ましく、更に0.1〜0.5重量部とすることがより好ましい。2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド化合物の配合割合が0.1重量部未満では、加硫ゴムの引張強度や弾性率が低下する。また、2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド化合物の配合割合が5.0重量部を超えると加硫ゴムとスチールコードの接着性が低下する。
本発明の加硫方法においては、ジエン系ゴム100重量部に対して、硫黄として可溶性硫黄あるいは不溶性硫黄の配合割合を1〜10重量部とすることが好ましく、更に2〜5重量部とすることがより好ましい。硫黄の配合割合が1重量部未満では、加硫ゴムの架橋が不十分になる。また、硫黄の配合割合が10重量部を超えると、加硫ゴムの破断伸度(EB)が低下する。
本発明の加硫方法により得られる加硫ゴムは、スチールコード等のスチール製の補強材とゴムとの接着性に優れている。本発明の加硫方法に使用するジエン系ゴムは、天然ゴム及びジエン系の合成ゴムから選ばれた少なくとも1種からなる。ジエン系合成ゴムとしては、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ポリイソプレンゴム(IR)、ポリブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、クロロプレンゴムやブチルゴム等が挙げられる。
本発明の加硫方法においては、補強剤、充填剤として、従来からゴム用に一般的に使用されているカーボンブラック(表面処理したものを含む)、シリカ、クレー、タルク等をジエン系ゴムに配合することができる。これら補強剤、充填剤の配合割合も一般的な割合とすることができるが、好ましくは、ジエン系ゴム100重量部に対して40〜120重量部の割合である。
また、本発明の加硫方法においては、加硫促進助剤として、酸化亜鉛(亜鉛華)、酸化マグネシウム、加工安定剤として、プロセスオイル(例えば、ナフテンオイル)、充填剤の分散性改善に使用されるワックス(例えば、ステアリン酸)、更に、酸化防止剤、オゾン亀裂防止剤、素練り促進剤、粘着樹脂、加硫遅延剤等を本発明の効果を損なわない範囲において使用することができる。
本発明の加硫方法においては、ジエン系ゴムに対して、2−置換ジチオベンゾチアゾール化合物と2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド化合物と硫黄を配合したゴム組成物を常法に従って130〜190℃の温度で加熱加硫することが好ましく、更に140℃〜170℃で加硫することがより好ましい。加硫温度が130℃未満では加硫時間が長くなるために加工性に難点がある。また、190℃を超えると加硫ゴムとスチールコードの接着性が低下する。得られた加硫ゴムは、タイヤやベルト等のゴム製品として用いることができる。
以上の如く本発明の加硫方法で得られた加硫ゴムは、スチールコードとの接着性が、DCBSを配合した加硫ゴムの場合と同等以上に優れている。更に、環境ストレスを与えた後も、例えば、高温、高湿度条件下で長時間放置した後も、スチールコードとの接着性が十分に維持されるものである。
以下、本発明を実施例および比較例によって説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[2−置換ジチオベンゾチアゾール化合物]
実施例1〜10に使用した2−置換ジチオベンゾチアゾール化合物は、以下のとおりである。
・2−ヘプチルジチオベンゾチアゾール
・2−アミルジチオベンゾチアゾール
・2−ヘキシルジチオベンゾチアゾール
・2−ブチルジチオベンゾチアゾール
・2−プロピルジチオベンゾチアゾール
これらの2−置換ジチオベンゾチアゾール化合物は、予めN−クロロフタルイミドとジスルフィド化合物を反応させてN−置換チオフタルイミド化合物を中間体として合成し、次いで、この中間体と2−メルカプトベンゾチアゾールを反応させて合成した。得られた生成物は、赤外線吸収スペクトル、NMRスペクトル、質量分析で所望の2−置換ジチオベンゾチアゾールである事を確認した。
[2−シクロヘキシルジチオベンゾチアゾール]
実施例11〜18に使用した2−シクロヘキシルジチオベンゾチアゾールは、米国特許第3859297号公報に記載されている方法により合成した。具体的にはトルエン溶媒の存在下、市販のN−シクロヘキシルチオフタルイミドと2−メルカプトベンゾチアゾールを反応させ、反応によって副生するフタルイミドを常法に従って除去精製した2−シクロヘキシルジチオベンゾチアゾール(「精製品」と略記する)と、反応後、溶媒を留去したままの副生フタルイミドを含む2−シクロヘキシルジチオベンゾチアゾール(「粗製品」と略記する)を調製した。
[2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド化合物]
実施例に使用した2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド化合物は、以下のとおりである。
・N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド:商品名「ノクセラーNS」(大内新興化学工業製)(「NS」と略記する)
・N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド:商品名「ノクセラーCZ」(大内新興化学工業製)(「CZ」と略記する)
実施例及び比較例に使用した他の原材料は、以下のとおりである。
・天然ゴム:標準マレーシアゴム SMR−CV60
・カーボンブラック:商品名「シーストG3」(東海カーボン製、窒素吸着:79m/g、DBP吸油量:101ml/100g)
・亜鉛華:商品名「酸化亜鉛2種」(正同化学工業製)
・ナフテンオイル:商品名「SNH−22」(三共油化工業製、プロセスオイル)
・ステアリン酸:商品名「MXST」(ミヨシ油脂製)
・N,N−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド:商品名「ノクセラーDZ」(大内新興化学工業製)(「DCBS」と略記する)
・不溶性硫黄:商品名「ミュークロンOT20」(四国化成工業製)
[加硫特性試験]
未加硫ゴムシートを用い、JIS K6300−1に基づいて125℃条件のムーニースコーチタイム(t)を測定した。また、日本ゴム協会標準規格SRIS3102−1977(加硫試験機による加硫試験方法)に基づいて140℃条件での加硫試験を行い、加硫速度(tcΔ80)と最大加硫トルク(Mh)を測定した。加硫速度(tcΔ80)は、90%トルク到達時間(tc90)から10%トルク到達時間(tc10)を差し引いて示した。
[引張試験]
未加硫ゴムシートを150℃×30分の加硫条件で加硫し、JIS−K6301に準拠してJIS3号ダンベル試験片を打ち抜いて測定した。老化処理は、JIS3号ダンベル試験片を80℃×72時間保管することにより行った。100%モジュラス(M100)、300%モジュラス(M300)、破断強度及び破断伸度を、老化処理前後で比較した。
[スチール接着試験]
ASTM D2229に準拠し、1×5構造(素線径0.25mm)の真鍮めっきスチールコードを未加硫ゴムシート中に12.5mmの長さに埋め込み、160℃×10分の加硫条件で加硫接着を行い、試験片を作成した。この試験片を常温で24時間放置した場合と、100℃×24時間条件で老化処理した場合で、スチールコードの引抜力とゴムの被覆率(%)を測定した。
スチール接着試験の結果は、全て比較例の老化処理前の値を100とした場合の相対値で示した。数値が大きい程、接着性が良好であると判定される。
〔実施例1〜10〕
天然ゴム、カーボンブラック、亜鉛華、ナフテンオイルおよびステアリン酸を表1記載の配合割合になるように配合し、バンバリーミキサーを用いて混練し、マスターバッチを調製した。マスターバッチに不溶性硫黄と2−置換ジチオベンゾチアゾール化合物と2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド化合物をそれぞれ表1記載の配合割合になるように配合し、表面温度70℃の2本ロールミキサーを用いて混練し、未加硫ゴムシートを調製した。得られた未加硫ゴムシートを用いて、加硫特性試験、引張試験、スチール接着試験を行った。得られた試験結果は、表1に示したとおりであった。
〔実施例11〜18〕
前述の実施例と同様にして調製したマスターバッチに、不溶性硫黄と2−シクロヘキシルジチオベンゾチアゾールの精製品あるいは粗製品とベンゾチアゾリル−2−スルフェンアミド化合物を表2記載の配合割合で配合し、未加硫ゴムシートを調製し、加硫特性試験、引張試験、スチール接着試験を行った。得られた試験結果は、表2に示したとおりであった。
〔比較例1〕
実施例と同様にして前記マスターバッチに、不溶性硫黄とN,N−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミドを表2記載の配合割合で配合し、未加硫ゴムシートを調製して、加硫特性試験、引張試験、スチール接着試験を行った。得られた試験結果は、表2に示したとおりであった。
Figure 2010196031
Figure 2010196031
表1及び2に示した試験結果によれば、2−置換ジチオベンゾチアゾール化合物と2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド化合物を配合したゴム組成物は、125℃の加硫特性において、DCBSを配合したゴム組成物に比べて、耐スコーチ性が飛躍的に改善された。また、DCBSを配合したゴム組成物と同等以上の機械物性及びスチール接着性を示した。
本発明によれば、毒性が懸念される加硫促進剤DCBSを用いずに、安全性が高く、かつ加硫特性、機械特性、スチールコードとの接着性に優れた加硫ゴムを製造することができるゴムの加硫方法を提供することができる。

Claims (5)

  1. 化1の一般式(I)で示される2−置換ジチオベンゾチアゾール化合物と、化2の一般式(II)で示される2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド化合物の存在下、ジエン系ゴムを硫黄で加硫することを特徴とするゴムの加硫方法。
    Figure 2010196031
    (式中、Rは炭素数1〜10の直鎖状、分岐状、または環状のアルキル基、アルケニル基を表わす。)
    Figure 2010196031
    (式中、Rは、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状、または環状のアルキル基を表わす。)
  2. ジエン系ゴム100重量部に対して、2−置換ジチオベンゾチアゾール化合物の配合割合を0.1〜5.0重量部とし、2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド化合物の配合割合を0.1〜2.0重量部とし、硫黄の配合割合を1〜10重量部とすることを特徴とする請求項1に記載のゴムの加硫方法。
  3. 硫黄が不溶性硫黄及び/又は可溶性硫黄であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のゴムの加硫方法。
  4. 2−置換ジチオベンゾチアゾール化合物が、2−シクロヘキシルジチオベンゾチアゾール、2−ヘプチルジチオベンゾチアゾール、2−アミルジチオベンゾチアゾール、2−ヘキシルジチオベンゾチアゾール、2−プロピルジチオベンゾチアゾールおよび2−ブチルジチオベンゾチアゾールから選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のゴムの加硫方法。
  5. 2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド化合物が、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド及び/又はN−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミドであることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のゴムの加硫方法。
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