JP2006321958A - シリカ配合ゴム組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 シリカの多量配合によっても加硫速度の遅れやリバージョンを改善し、さらに加硫ゴムの高モジュラス化を図ることができるシリカ配合ゴム組成物を提供する。
【解決手段】 ジエン系ゴム100重量部に対して、シリカを40〜100重量部と、アゾ基を含むラジカル発生剤を0.5〜5重量部とを含んでなるシリカ配合ゴム組成物であり、前記シリカのセチルトリメチルアンモニウムブロマイド吸着比表面積(CTAB)が100〜200m/gであることが好ましい。
【選択図】 なし

Description

本発明は、シリカを充填配合したシリカ配合ゴム組成物に関し、特に、加硫速度を早めて、かつリバージョン(加硫戻り)を抑制することができるシリカ配合ゴム組成物に関する。
従来から、ゴムの補強用充填材として、ゴム中への分散を容易にし、優れたゴム物性を付与できるカーボンブラックが広く使用されている。しかし、近年、シリカを充填したゴム組成物が、カーボンブラックを充填したゴム組成物と比較し、内部発熱を少なくできる、モジュラスに優れることなどから、ゴム用充填材としてシリカが注目されるようになっている。
特に、タイヤのトレッドにおいて、自動車の安全性への関心の高まりに伴い、低燃費性能のみならずグリップ性能や湿潤路面でのウェット性能についての要求が高まり、これらを両立させるためにシリカを主とする補強剤を用いたゴム組成物が種々提案されている(例えば、特許文献1)。
ところで、シリカは、シリカ粒子表面が親水性のシラノール基に覆われているため、ゴム組成物中の水分や加硫促進剤、加硫促進助剤と相互作用するために加硫速度が遅くなりゴム物性に悪影響するという問題がある。
この加硫遅れの問題に対しては、硫黄などの加硫剤や加硫促進剤の増量配合が効果あるが、その結果として架橋点間をつないだポリサルファイド結合が開裂するリバージョンという問題が必然的に発生しモジュラスなどの加硫ゴム物性を低下させる。
また、低発熱、高モジュラスなゴム物性を確保するためにシリカを多量配合すると、上記シラノール基の自己凝集性により、ゴム中への分散が困難となり、ゴム混練時間を長く必要とし、またムーニー粘度が高くなって加工性が悪化するという欠点を有し、このため、分散不良によるゴム物性の低下という問題がある。
特開2004−51856号公報
本発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、シリカの多量配合によっても加硫速度の遅れやリバージョンを改善し、さらに加硫ゴムの高モジュラス化を図ることができるシリカ配合ゴム組成物を提供することを目的とする。
本発明は、特定のラジカル発生剤がゴム混練や加硫中の熱分解によりフリーラジカルを発生してゴム分子のラジカル発生を促進することでゴム組成物の加硫反応を早めることを見出してなしたものである。
すなわち本発明は、ジエン系ゴム100重量部に対して、シリカを40〜100重量部と、アゾ基を含むラジカル発生剤を0.5〜5重量部とを含んでなることを特徴とするシリカ配合ゴム組成物である。
本発明においては、前記シリカのセチルトリメチルアンモニウムブロマイド吸着比表面積(CTAB)が100〜200m/gであると、シリカ配合ゴム組成物の特長を十分に発現させ、低発熱性、耐摩耗性、グリップ性などのゴム物性を満足させることができる。
アゾ基を含むラジカル発生剤は、ゴム組成物の混練や加硫中の昇温によりラジカル発生剤が熱分解されフリーラジカルを発生しやすく、これがゴム分子のラジカル発生を促進することでゴム分子のラジカル反応を速やかにさせて加硫速度を早め、かつ架橋密度を高めて高モジュラス化することができると考えられ、これにより加硫剤や加硫促進剤を増量することなくリバージョンの発生を抑えることができる。本発明はこの考えをシリカ配合ゴム組成物に適用することで、シリカ配合の加硫速度の遅れや加硫剤増量によるリバージョンの問題を解消すると同時に加硫ゴムを高モジュラス化することができる。
本発明のシリカ配合ゴム組成物によれば、シリカの多量配合によっても加硫速度の遅れを解消するので、加硫剤や加硫促進剤の増量を要さずにリバージョンの発生を抑えゴム物性を維持して加硫ゴムの高モジュラス化を実現することができる。
以下に、本発明の実施の形態について説明するが、本発明の範囲をこれらの実施例に限定するものでないことはいうまでもない。
本発明のシリカ配合ゴム組成物に用いられるジエン系ゴムとしては、天然ゴム(NR)とイソプレンゴム(IR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、ニトリルゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)等のジエン系合成ゴムが挙げられ、その1種類または2種類以上のブレンドを用いることができる。また、ゴム組成物の用途によってはジエン系ゴム以外に、ブチルゴム(IIR)やエチレンプロピレンゴム(EPM,EPDM)などの非ジエン系ゴム成分を少量ブレンドして用いてもよい。
本発明において用いられるシリカは特に制限はなく、従来よりゴムの補強用充填材として公知の方法により得られるシリカの中から任意に選択して用いることができる。
このようなシリカとしては、例えば湿式シリカ(含水ケイ酸),乾式シリカ(無水ケイ酸)、また有機化合物等で処理された表面処理シリカ等が挙げられるが、中でも破壊特性の改良効果並びにウェットグリップ性及び低転がり抵抗性の両立効果が最も良好である湿式シリカが好ましく、生産性に優れる点からも好ましい。
上記シリカは、セチルトリメチルアンモニウムブロマイド吸着比表面積(CTAB)(ASTM D3765に準じる測定値)が100〜200m/gにあることが好ましい。CTABが100m/g未満では、加硫ゴムのモジュラスが確保できず十分な耐摩耗性やグリップ性能を付与することができず、200m/gを超えるとゴムとの混練性が低下しシリカの分散性を悪化させ破壊特性が損なわれる。
上記シリカの配合量は、ジエン系ゴム100重量部に対して40〜100重量部の範囲で用いられる。シリカが40重量部未満では、シリカ配合の効果が十分得えられず、100重量部を超えると分散不良や粘度上昇により加工性が低下し好ましくない。
本発明のシリカ配合ゴム組成物に用いられるラジカル発生剤としては、アゾ基を分子内に持ちフリーラジカルを発生する化合物であれば特に限定されることはない。
このラジカル発生剤としては、例えば、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン)−1−カルボニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチル−ブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)など、いわゆるアゾ系ラジカル重合開始剤が入手が容易であり好適に使用できる。
また、本発明に用いられる加硫剤は、硫黄系、有機過酸化物等の各種の加硫剤が使用でき、その配合量はジエン系ゴム100重量部に対して0.1〜10重量部であることが好ましく、0.5〜4重量部であることがより好ましい。配合量が0.1重量部未満では架橋密度が少なく物性が著しく低下する傾向がある。また、10重量部を超えるとゴム硬度が高くなりすぎ、また耐熱性および耐老化性が低下する傾向がある。
加硫促進剤としては、例えばN−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CZ)、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(NS)、N,N−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(DZ)などのスルフェンアミド系、ジベンゾチアジルジスルフィド(DM)、2−メルカプトベンゾチアゾール(M)などのチアゾール系、テトラメチルチウラムジスルフィドなどのチウラム系のなどの各種の加硫促進剤が使用できる。
その配合量はジエン系ゴム100重量部に対して、0.1〜10重量部であることが好ましく、1〜5重量部であることがより好ましい。配合量が0.1重量部未満では加硫速度が著しく低下する傾向にあり、10重量部を超えるとゴム焼けが発生する傾向がある。
また、本発明のシリカ配合ゴム組成物では、従来のシリカ配合で用いられるシランカップリング剤を併用することが好ましい。シランカップリング剤としては、特に制限はなく、従来から使用されている公知のもの、例えば、ビス(3−トリメチルシリルプロピル)テトラサルファイド、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−ベンゾチアジル−3−トリメトキシシリルプロピルテトラスルフィドなどが挙げられる。
シランカップリング剤の配合量は、シリカ量に対して、通常1〜20重量%の範囲であり、1重量%未満ではカップリング剤としての効果が充分に発揮されにくく、また、20重量%を超えるとゴム成分のゲル化を起こすおそれがあり、カップリング効果も限界となる。
本発明のシリカ配合ゴム組成物には、上記ゴム成分とシリカ、ラジカル発生剤の他に、ゴム配合剤として通常に用いられるカーボンブラックなどの補強剤、プロセスオイル、亜鉛華、ステアリン酸、老化防止剤、加硫助剤などの各種配合剤を、本発明の効果を損なわない範囲で必要に応じ適宜配合し用いることができる。
本発明では、上記ゴム成分と配合成分を配合しバンバリーミキサー、ロール、ニーダーなどの各種混練機を使用して常法に従い混合しゴム組成物を作製することができる。
このゴム組成物は、成形加工後、加硫を行い、タイヤトレッド,サイドウォール,ビード部分等のタイヤ用途を始め、防振ゴム,ベルト,ホースその他の工業品やゴム製部品等の用途にも用いることができる。
特に、本発明のシリカ配合ゴム組成物は、空気入りタイヤのトレッドゴムとして好適に使用することができ、得られた空気入りタイヤは、低燃費性、グリップ性、ウェット性及び耐摩耗性に優れており、しかも該ゴム組成物の加工性が良好であるので生産性にも優れたものとなる。
以下に、本発明に係るゴム組成物を実施例に基づき説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。
下記の原料ゴム、シリカ、硫黄、加硫促進剤、及びラジカル発生剤を表1に記載の配合量(重量部)に従い、さらに下記共通配合成分(重量部)を配合し、各実施例、比較例のゴム組成物を容量1.7リットルの密閉式バンバリーミキサーを用いて混練し作製した。
得られた各ゴム組成物について、300%伸張時モジュラス(M300)、加硫特性(t90、リバージョン)を下記の試験法に従い評価した。結果を表1に示す。
[原料ゴム、配合成分]
・原料ゴム:天然ゴム(NR)RSS#3
・シリカ:日本シリカ工業製、ニプシールAQ
・硫黄:細井化学工業製、ゴム用粉末硫黄150メッシュ
・加硫促進剤CZ:大内新興化学工業製、ノクセラーCZ
・ラジカル発生剤:WAKO製、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)
[共通配合成分(重量部)]
・シランカップリング剤:6重量部(デグサ社製、Si69)
・亜鉛華:3重量部(三井金属鉱業製、亜鉛華1号)
・ステアリン酸:2重量部(花王製、工業用ステアリン酸)
・アロマオイル:35重量部(ジャパンエナジー製、プロセスX−140)
・老化防止剤6C:3.5重量部(大内新興化学工業製、ノクラック6C)
[試験方法]
1.M300
JIS K6251に従い(試料:160℃×20分加硫、3号ダンベル使用)、引張試験を行い300%伸張時の引張応力(モジュラス)(M300(MPa))を測定した。
2.加硫特性
アルファテクノロジーズ社製、RPA2000型を使用し、温度160℃にて適正加硫時間(t90)を測定し、さらに加硫曲線からピーク時トルク(dN・m)と、加硫20分後のトルク(dN・m)及び加硫30分後のトルク(dN・m)を求めリバージョンを評価した。
Figure 2006321958
表1に示す通り、本発明に係る実施例では、加硫速度(t90)を早め、かつ加硫時のピークトルクに対して加硫20分、30分後のトルクの低下を抑えリバージョンを改善して加硫ゴムの高モジュラスを実現することができる。これに対して、ラジカル発生剤の少ない比較例2では加硫速度、リバージョンともに改善が小さく不十分で加硫ゴムのモジュラスも低下し、逆に多すぎる比較例3では架橋密度が高くなりモジュラスが増加、硬くなりすぎ諸物性は低下する傾向にある。
本発明のシリカ配合ゴム組成物は、加硫特性と高モジュラスなゴム特性が得られことで製造工程でのサイクルタイムの短縮化を可能とし、タイヤのトレッド、サイドウォール等、或いは防振ゴムの防振部材、ベルトやパッキン類など各種工業用ゴムなど、幅広い分野のゴム製品に使用することができる。

Claims (2)

  1. ジエン系ゴム100重量部に対して、シリカを40〜100重量部と、アゾ基を含むラジカル発生剤を0.5〜5重量部とを含んでなる
    ことを特徴とするシリカ配合ゴム組成物。
  2. 前記シリカのセチルトリメチルアンモニウムブロマイド吸着比表面積(CTAB)が100〜200m/gである
    ことを特徴とする請求項1に記載のシリカ配合ゴム組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009062430A (ja) * 2007-09-05 2009-03-26 Toyo Tire & Rubber Co Ltd ゴム組成物及び空気入りタイヤ
JP2009084427A (ja) * 2007-09-28 2009-04-23 Tokai Rubber Ind Ltd 防振ゴム組成物およびそれを用いた防振ゴム
JP2009114253A (ja) * 2007-11-02 2009-05-28 Toyo Tire & Rubber Co Ltd タイヤトレッド用ゴム組成物
JP2009114252A (ja) * 2007-11-02 2009-05-28 Toyo Tire & Rubber Co Ltd タイヤトレッド用ゴム組成物

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