本発明は、一般に濾過および一つの流体から他の流体に物質を移すような、流体処理要素および流体処理方法に、特に、終端モードおよびクロスフロー・モードの双方で動作できるフィルタ要素に関する。本発明は、流体処理要素を掃除する方法にも関係している。
終端処理と言われている一つの通常の流体処理では、処理しようとする流体を流体処理要素に導入し、流体の全体または実質的に全部を濾過しようとするまたは他の場合処理しようとする流体処理要素の流体処理媒体を通過させている。クロスフロー濾過と言われている別の通常の形式の流体処理では、処理しようとする流体を流体処理要素に導入し、流体処理要素の流体処理媒体の表面に沿って流している。表面に沿う流体のこの流れを普通、クロスフローと言っている。流体の一部だけが濾過しようとする、または他の場合処理しようとする流体処理媒体を通過するが、残りの流体は、流体処理媒体を通過せずに流体処理要素から排出される。
処理のため要素に導入される流体を普通、プロセス流体と言い、流体処理媒体を通過する流体を普通、浸透流体と言うが、流体処理媒体を通過せずに流体処理要素から排出される流体を普通、保持流体と言う。流体処理媒体の表面に沿う流体のクロスフローは、流体処理媒体に隣接する流体の中に流体剪断力を発生し、このため流体処理媒体に粒子が蓄積する速さが小さくなる。
これら各形式の流体処理方法には長所および短所がある。或るクロスフロー処理または濾過では、粒子が流体処理媒体の表面に、終端処理よりゆっくり蓄積するので、クロスフロー・モードで動作する流体処理要素では通常、掃除または取り替えを必要とするまでの有効寿命が終端処理モードで動作する流体処理より長い。他方、クロスフロー・モードで動作する流体処理要素では、流体処理要素に導入される流体の多量が保持流体として流体処理要素から出るので、終端モードで動作する流体処理要素の場合より大きい体積の流体が必要である。
更に、クロスフロー流体処理要素では、流体処理媒体に粒子が蓄積しないようにする適切な流体剪断力を生ずるのに一定のクロスフロー速度が必要であるから、終端流体処理要素より高い流れ速度が必要である。これらの理由で、クロスフロー流体処理要素を採用している流体処理装置は普通、終端流体処理要素を採用しているものより複雑であり、小体積の流体を低流速で処理したい情況には適していない。
前述の説明は、クロスフローの長所ばかりでなく終端処理モードの長所をも示すことができる流体処理要素の必要性が存在していることを示している。更に、流体処理中に粒子が付着するフィルタ要素のような流体処理要素を掃除する方法の必要性が存在する。
更に、流体の処理で、たとえば、流体内のガスを溶解するかまたは除去する際に、一定の問題が生ずる。たとえば、ガスを流体内で泡立たせることによるような、ガスを溶解する通常の方法では、得られる溶液に小さい気泡が入っている。このような溶液は、たとえば、半導体の製造における、厳しい純度が必要な一定の用途には不向きである。シリコン・ウェーハの掃除に考えられる流体、特にオゾン処理水、オゾン処理硫酸、または弗化水素酸の水溶液のような、腐食性または活性流体には、通常の方法で調製するとき、ウェーハに付着して半導体の品質または性能に悪影響を与えることがある泡が入っている。更に、散布モードで動作するような通常の方法は、液体の移転に低速のまたは不十分なガスまたは溶解速さしか与えない。
したがって、流体の処理のための、たとえば、液体中のガスの溶解または除去のためのシステムまたは装置の必要性が存在する。更に、腐食性流体に耐える流体処理要素の必要性が存在する。更に、劣化しない、またはプロセス流体内に汚染物を放出しない流体処理要素の必要性が存在する。したがって、抽出可能物が皆無のまたは実質的に皆無の流体処理要素の必要性が存在する。
本発明は、クロスフロー・モードまたは終端モードのいずれかで動作して、両動作モードの長所から利益を得ることができるようにする流体処理要素を提供する。本発明はまた、流体処理に利用できる大きい表面積を有する流体処理要素を提供する。本発明は更に、それを通る多様な流路を備えることができる流体処理要素を提供する。
本発明は別に、クロスフローを行なう流体のエネルギを大幅に減少せずに一つ以上の別の流体処理要素と直列に接続できるクロスフロー流体処理に適する流体処理要素を提供する。本発明はまた、クロスフローにより掃除できる流体処理要素を提供する。
本発明は更に、本発明に従うハウジングおよび流体処理要素を含む、多様な流体処理アセンブリを提供する。本発明は更に、クロスフローにより流体を処理する方法を提供する。本発明は別に、クロスフローにより流体処理要素を掃除する方法を提供する。
本発明の一局面によれば、流体処理要素は、第1および第2の長さ方向端面を有し且つ第1および第2の面を有する流体処理層を備えている流体処理パック、および流体処理層の第1の面上にあって流体処理パックの長さより短く、流体が第1の長さ方向端面を通って流体処理層の第1の面にある流体処理パックに流入しないようにする封止用ストリップ、を備えている。
本発明の他の局面によれば、流体処理要素は、流体処理媒体が入っている中空流体処理パック、および流体処理パックに囲まれ、流体がコアの内部と流体処理パックの長さの少なくとも50%にわたり連続している流体処理パックとの間を流れることができない行き止まりの領域を有するコア、を備えている。
本発明のなお他の局面によれば、クロスフロー濾過に適応している流体処理要素が、流体処理層、流体処理層の第1の面に設置された第1の網目層、および流体処理層の第2の面に設置された第2の網目層、を備えており、流体処理要素が、処理しようとするプロセス流体が第1の網目層の内側を流体処理要素の長さ方向に通過する流路および第2の網目層を通過して浸透するための流路を形成している。
本発明の更に他の局面によれば、流体処理アセンブリは、プロセス流体室、浸透流体室、および保持流体室を有するハウジング、およびハウジング内に設置され、半径方向内面および半径方向外面を有するひだ付き流体処理層を備えている円筒形流体処理要素、を備えており、流体処理要素は、プロセス流体室と保持流体室との間を流体処理層の半径方向内面に沿って流体処理要素の長さ方向に流体処理要素を通過する第1の流路、およびプロセス流体室と浸透流体室との間で流体処理層を通過する第2の流路を形成している。
本発明の更に他の局面によれば、流体処理要素は、流体がそれを通って流体処理パックの長さ方向に流れることができ、且つ流体処理要素の中空中心を囲んでいる流体処理パック、および中空中心に設置され、中空中心を通って流体処理要素の長さ方向に流れる流体流を部分的に制限するための流れ制限部、を備えている。
本発明の別の局面によれば、流体処理装置は、中空中心および第1および第2の長さ方向の端を有し且つ中空中心を囲み、流体処理媒体が入っている流体処理パックを備えている第1の流体処理要素を備えており、第1の流体処理要素は、第1の端と第2の端との間で流体処理パックを貫く第1の流路、および第1の端と第2の端との間で中空中心を貫き、流体処理パックを迂回する第2の流路、および中空中心に設置され、中空中心を通って流体処理要素の長さ方向に流れる流体流を部分的に制限するための流れ制限部、を形成しており、流体処理装置は更に、第1の流体処理要素と直列に接続され、第1の流体処理要素の第1および第2の流路に沿って移動する流体を受けるようになっている第2の流体処理要素であって第2の流体処理要素の流体処理パックを通過する第1の流路を形成している第2の流体処理要素、を備えている。
本発明の他の局面によれば、流体処理要素は、流体処理媒体が入っている流体処理パック、および流体処理パックを囲み、流体が流体処理要素の長さ方向に流れることができるようにする一方、流体処理パックを迂回する迂回通路を備えており、迂回通路は、流体処理要素の第1の長さ方向の端に入口を、および流体処理要素の第2の長さ方向の端に出口を有し、迂回通路の内部は、入口と出口との間で流体処理パックから絶縁されている。
本発明の更に他の局面によれば、流体処理装置は、流体処理媒体が入っている流体処理パック、流体処理パックを囲む第1の部材、および第1の部材を囲み、第1の部材と第2の部材との間に、それを通して流体が流体処理パックを迂回しながら第1の流体処理要素の長さ方向に流れることができる迂回通路を形成する第2の部材、を備えている第1の流体処理要素、および第1の流体処理要素と直列に接続されて流体処理パックおよび第1の流体処理要素の迂回通路を通過する流体を受けるようにする第2の流体要素、を備えている。
本発明の別の局面によれば、流体処理装置は、第1および第2の面を有する疏水性ガス多孔膜を備えた円筒形流体処理要素を備えており、流体処理要素は、膜の第1の面に流体処理要素の長さ方向に第1の流路、および膜の第2の面に流体処理要素の長さ方向に第2の流路を形成しており、流体処理装置は更に、第1の流路に流体的に接続されて溶解ClO2の入っている水溶液を流体処理要素に供給するためのClO2発生器、および第2の流路に流体的に接続されたClO2を受ける流体源、を備えている。
本発明の他の局面によれば、流体処理アセンブリは、ハウジングを備え、該ハウジングは、第1から第4までの管シートを有し且つ管シートによりハウジングの長さ方向に第1室、第1の管シートと第2の管シートとの間に設置され、第1の管シートにより第1室から分離されている第2室、第2の管シートと第3の管シートとの間に設置された第3室、第3の管シートと第4の管シートとの間に設置された第4室、および第4の管シートにより第4室から分離されている第5室に分割され、各室は室とハウジングの内部との間を連絡する流体ポートを備えており、流体処理アセンブリは更に、第2室に設置されて、第1および第2の管シートにある開口により第1室および第3室と流体的に連絡している少なくとも一つの流体処理要素、および第4室に設置されて、第3および第4の管シートにある開口により第3室および第5室と流体的に連絡している少なくとも一つの流体処理要素、を備えている。
本発明の更に他の局面によれば、流体処理要素は、軸方向に延長するひだを有し且つ、流体処理層、流体処理層の第1の面にある第1の排液層、および流体処理層の第2の面にある第2の排液層、を備えたひだ付き複合体、を備えている流体処理パック、流体処理パックの第1の長さ方向の端を封止する第1の開放端キャップおよび流体処理パックの第2の長さ方向の端を封止する第2の開放端キャップ、および流体処理パックに囲まれ、第1および第2の開放端、コアの第1の開放端に隣接し、行き止まりの内端を有する第1の孔明き領域、およびコアの第2の開放端に隣接し、行き止まりの内端を有する第2の孔明き領域を備え、流体がコアの外面でのみ孔明き領域間を流れることがてきるコアを備えている。
本発明の他の局面によれば、流体処理要素は、半径方向内面および半径方向外面および中空中心を有する流体処理層、プロセス流体が流体処理層の半径方向外面には流入できるが流体処理層の半径方向内面には流入できない第1の長さ方向の端、および封止されて流体が長さ方向端面を通って流れないようにする長さ方向端面を有する第2の長さ方向の端、を備えているひだ付き流体処理パック、および流体処理パックを囲み、流体が、流体処理パックの第2の長さ方向の端に近い領域を除き、流体処理パックと流体処理要素の外部との間で流体処理要素の半径方向に流れないようにする管、を備えている。
本発明のなお他の局面によれば、流体処理要素は、流体がそれを通して流体処理パックに流入できる二つの長さ方向端面を有する中空ひだ付き流体処理パック、流体処理パックを囲み、流体が長さ方向端面間で流体処理要素の外部から流体処理パックに流入しないようにする流体不浸透性部材、流体処理要素の第1の長さ方向の端を流体処理ハウジングの管シートに対して封止する封止部材、流体処理パックの中空中心と連絡し、流体処理パックの長さ方向端面の一つから外方に突出する管、および流体処理ハウジングの管シートに対して管を封止する封止部材、を備えている。
本発明の更に他の局面によれば、流体処理アセンブリは、第1および第2の管シート、第1の管シートに隣接する第1室、第1の管シートと第2の管シートとの間にあって第1の管シートにより第1室から分離されている第2室、および第2の管シートに隣接し、第2の管シートにより第2室から分離されている第3室を備えている流体処理ハウジング、および第2室に設置され、それを通って流体が流れることができる第1および第2の長さ方向の端面を有する中空ひだ付き流体処理パック、第1の管シートに接続されている第1の長さ方向の端、流体処理パックの中空中心と連絡し、第2の管シートに接続されている管、および流体処理パックを囲み、流体が流体処理パックの第2の長さ方向端面を通る他は第2室から流体処理パックに流入しないようにする流体不浸透部材を備えている流体処理要素、を備えている。
本発明の他の局面によれば、流体処理アセンブリは、中空中心および中空中心を囲むひだ付き流体処理パック、流体処理パックの第1の長さ方向の端に接続された行き止まり端キャップ、および流体処理パックの第2の長さ方向の端に接続された開放端キャップ、を有する流体処理要素、および流体処理要素が入っているハウジングであって、流体処理要素の外部でハウジングの領域に開いている第1の流体ポート、流体処理要素の外部でハウジングの領域に開いている第2の流体ポート、および流体処理パックの中空中心と連絡している第3の流体ポート、を備え、前記流体処理要素は第1の流体ポートと第2の流体ポートとの間に設置され、前記ハウジングは流体処理要素を十分厳密に取り囲み、流体処理パックを通過する第1の流体ポートと第2の流体ポートとの間の流路が流体処理パックとハウジングとの間を通過する第1の流体ポートと第2の流体ポートとの間の流路より低い抵抗を示すようになっているハウジングを備えている。
本発明のなお他の局面によれば、流体処理要素は、それを通って流体が流れることができる第1および第2の開放端を有し、流体処理要素の開放端と流体処理パックを囲む流体不浸透部材との間に設置され、流体が流体処理要素の長さ方向中間の他は流体処理パックの外部から流体処理パックに流入しないようにするひだ付き流体処理パックを備えている。
本発明の更に他の局面によれば、流体処理方法が、プロセス流体を、半径方向内面および半径方向外面を有する流体処理層を備えた円筒形流体処理パックに導入するステップ、プロセス流体を、流体処理層の半径方向内面に沿って流体処理パックの長さ方向に通し、流体処理層の半径方向内面に流体剪断力を発生させるステップ、プロセス流体の一部を流体処理層をその半径方向外面まで通過させて浸透流体を形成させるステップ、および浸透流体および流体処理層を通過しないプロセス流体を流体処理要素から排出するステップを備えている。
本発明の他の局面によれば、流体処理方法が、プロセス流体を、流体処理要素の第1の長さ方向の端で流体処理層の第1の面にある第1の網目層に導入するステップ、プロセス流体を、第1の網目層の内部で流体処理パックの長さ方向に流体処理要素の第2の長さ方向の端に向かって移動させ、流体処理層の第1の面に流体剪断力を発生させるステップ、およびプロセス流体の一部を、流体処理層を通って流体処理層の第2の面にある第2の網目層に導入するステップを備えている。
本発明の他の局面によれば、流体処理方法が、流体を流体処理パックの長さ方向端面を通して流体処理パックの流体処理層の第1の面にある第1の網目層に導入するステップ、および流体の少なくとも一部を、流体処理層を通して流体処理層の第2の面にある第2の網目層に移動させるステップを備えている。
本発明の別の局面によれば、流体処理方法が、プロセス流体を、流体処理層および流体処理層の一方の面に設置され、流体処理要素の長さ方向に対して斜めに延長する第1および第2の組の撚り糸を有する排出網目を有する流体処理要素に導入するステップ、プロセス流体を、排出網目を通して流体処理要素の長さ方向に移動させ、流体処理層の表面に沿って流体剪断力を発生させるステップ、およびプロセス流体の一部を、流体処理層を通過させて浸透流体を形成するステップを備えている。
本発明の更に他の局面によれば、流体処理方法が、流体を、第1の流体処理要素にその第1の長さ方向の端で導入するステップ、流体の第1の部分を、第1の流路に沿って第1の流体処理要素の流体処理パックを通過させ、流体の第2の部分を、第2の流路に沿って流体処理パックを迂回して流体処理要素を通過させるステップ、第1および第2の流路に沿って移動した流体を流体処理要素の第2の長さ方向の端で混合させるステップ、および混合流体を第1の流体処理要素から排出するステップを備えている。
本発明のなお更に他の局面によれば、流体処理方法が、第1の流体流を、流体処理要素の流体処理層の第1の面上を流体処理要素の長さ方向に通過させるステップ、第2の流体流を、流体処理要素の流体処理層の第2の面上を流体処理要素の長さ方向に通過させるステップ、および二つの流体流の間で流体処理層を横断して物質を移すステップ、を備えている。物質の移転は流体流の直接混合を行なわずに行なう。
本発明の他の局面によれば、流体処理方法が、流体を流体処理層の第1の面から第2の面に流体処理層を通して移動させ、次に液体およびガスを流体処理層の第1の面に沿って流体処理要素の長さ方向に移動させることにより流体処理層を処理するステップを備えている。
本発明の更に他の局面によれば、流体処理方法が、流体を、流体処理要素の流体処理層を第1の方向に通過させるステップ、液体およびガスの混合物を、流体処理層を第2の方向に通過させて流体処理層から粒子を除去するステップ、および液体およびガスおよび除去粒子の混合物を流体処理要素から排出するステップを備えている。
本発明のなお他の局面によれば、流体処理方法が、プロセス流体を、流体処理要素の第1の長さ方向の端でひだ付き流体処理要素の中空中心に導入するステップ、プロセス流体を、中空中心から外方に中空中心を囲む流体処理パックに移動させるステップ、流体処理パックの内部にあるプロセス流体を、流体処理要素の長さ方向に、流体処理要素の流体処理層の第1の面に沿って移動させるステップ、プロセス流体の一部を、流体処理層を通過させるステップ、および流体処理層を通過しないプロセス流体を流体処理要素の第2の長さ方向の端から排出するステップを備えている。
本発明の他の局面によれば、流体処理方法が、処理しようとする流体を、流体処理要素の流体処理層の第1の面で流体処理要素に導入するステップ、処理しようとする流体のすべてを、流体処理層を通過させるステップ、掃除用流体を、流体処理層の第1の面で流体処理要素に導入するステップ、および掃除用流体を流体処理層の第1の面に沿って移動させ、流体処理層の第1の面に流体剪断力を発生させることにより流体処理層を掃除するステップを備えている。
本発明の別の局面によれば、流体処理方法が、流体をハウジングの第1室から第1の管シートを通して、第1の管シートにより第1室から分離されているハウジングの第2室に設置されているひだ付き流体処理要素の第1の長さ方向の端に導入するステップ、流体処理要素の内部にある流体を流体処理要素の流体処理層の半径方向外面に沿って流体処理要素の長さ方向に移動させ、流体処理層の半径方向外面に流体剪断力を発生させる一方、流体不浸透部材により流体を流体処理要素に保持しておくステップ、および流体を、半径方向外方に流体処理要素から流体処理要素の第2の長さ方向の端に近い第2室に排出するステップを備えている。
本発明の他の局面によれば、流体処理方法が、流体をハウジングの第1室から半径方向に、第1室に設置されている流体処理要素に導入するステップ、流体処理要素の内部にある流体を流体処理要素の流体処理層の半径方向外面に沿って流体処理要素の長さ方向に移動させて流体処理層の半径方向外面に流体剪断力を発生させる一方、流体不浸透部材により流体を流体処理要素にほじしておくステップ、および流体を、流体処理要素の長さ方向の端から第1の管シートを通して、第1の管シートにより第1室から分離しているハウジングの第2室に排出するステップを備えている。
本発明の更に他の局面によれば、流体処理方法が、処理しようとする流体を、ひだ付き流体処理要素に導入するステップ、流体を流体処理要素の長さ方向に流体処理要素の流体処理層の第1の面に沿って流体処理要素の第1の長さ方向の端に向かって移動させるステップ、流体の一部を流体処理層を通過させるステップ、流体処理層を通過した流体の部分を流体処理要素の第2の長さ方向の端から排出するステップ、および流体処理層を通過しなかった流体を流体処理要素の第1の長さ方向の端から排出するステップを備えている。
本発明の様々な上述のおよび他の局面の多数の長所を下に詳細に説明する。これら長所の中には、様々な動作モードを可能とする多様性、高効率、空間の有効利用、および流体処理要素の寿命の増大がある。
本発明による流体処理要素を、ガス、液体、およびガスと液体とのような多相混合体を含む広範多様な流体を処理するのに使用でき、流体からの粒子の除去(粒子濾過)、二つの流体の間の溶解物質の併合、移転、およびプロセス流体の濃縮のような広範多様な流体処理を行なうのに利用できる。流体処理要素を粒子濾過に使用するとき流体から除去できる粒子の大きさは、粗い粒子(一般に直径が約0.1mm以上の粒子と規定される)からイオン範囲の粒子(一般に直径が約10-7mmから約10-5mmまでの粒子と規定される)までに亘る。したがって、流体処理要素を粗粒子濾過、精粒子濾過、微小濾過、限外濾過、逆浸透、ガス浸透、透析、過蒸発、蒸気浸透、膜蒸留、電気透析、電気濾過、および液体膜のような濾過を行なうのに使用できる。
本発明による流体処理要素を、粒子が蓄積したとき捨てるつもりの使い捨て要素とすることができ、または粒子が蓄積したら、なおもハウジング内に設置されている間またはそこから取り外してから、掃除して要素を再使用することができる再使用可能要素とすることができる。本発明の多数の好適実施形態では、流体処理要素を、ハウジングに設置されている間に逆流洗浄によりまたはクロスフローにより掃除することができる。
本発明は更に、流体処理パックおよび流体処理パックを囲む管を備えた流体処理アセンブリを提供する。管には管の長さ方向の端にまたはその付近にある開口および開口の間に広がる、開口の無い行き止まり領域がある。アセンブリは、フィルタパックの端を封止する端キャップを備えている。
本発明は更に、液体および液体に溶解し得るガスに接触するための装置を提供し、この装置は、流体処理装置、ガス源、および液体源を備えている。本発明は更に、上の装置を使用することにより液体およびガスに接触させるための方法を提供する。方法は、泡が皆無のまたは実質的に皆無の、液体のガス溶液を調製することができる。本発明は更に、溶解ガスの入っている液体からガスを抜く装置であって、流体処理装置、液体源、を備え、第1の流路と第2の流路との間に圧力の差がある装置を提供する。本発明は更に、溶解ガスの入っている液体からガスを抜く方法を提供する。
本発明は更に、プロセス流体をひだ付き流体処理要素に導入するステップ、プロセス流体の少なくとも一部を要素の流体処理媒体を通過させるステップ、およびプロセス流体とは異なるガスを流体処理媒体の第1の面に沿って移動させ、流体処理媒体の第1の面から粒子を除去するステップ、を備えている流体処理方法を提供する。
本発明は更に、ひだ付き流体処理要素、流体処理要素を備え且つ第1の長さ方向の端と連絡する第1の流体ポート、および流体処理要素の第2の長さ方向の端と連絡する第2および第3の流体ポートを有するハウジングであって、流体が第1のポートから第2および第3のポートに、流体処理媒体を通過せずに流体処理要素を通って流れることができるようになっているハウジング、第1および第2の流体ポートの一つに接続された、処理しようとする液体の源、および第3の流体ポートに接続されたクロスフロー清掃ガス源、を備えている流体処理装置を提供する。
本発明は更に、流体連絡用刳り貫き孔を有するヘッダ、ケーシング、および流体処理要素、を備えた流体処理モジュールを提供する。本発明は更に、複数の流体処理モジュールを備えた流体処理アセンブリを提供する。
本発明は更に、その上に粒子が堆積している第1の面、および第2の面を有する流体処理媒体を備えている流体処理要素を掃除する方法を提供する。方法は、最初に流体処理媒体を通過せずに流体処理媒体の第1の面に沿って清掃ガスを移動させるステップを備えている。
本発明を多数の実施形態に関して説明するが、本発明は、これら実施形態の特定の構造に限定されず、一つの実施形態の一つ以上の特徴を、本発明の範囲から逸脱することなく、他の実施形態の多数の特徴の一つと自由に組み合わせることができる。
実施形態の詳細説明
下記説明において、用語「流体処理要素」を流体を処理するための流体処理媒体を備えた装置を指すのに使用し、用語「流体処理アセンブリ」をハウジングおよびハウジング内に着脱可能にまたは着脱不能に設置された一つ以上の流体処理要素の一実施形態を指すのに使用する。用語「流体処理パック」を流体処理媒体が入っている流体処理要素の一部を指すのに使用する。流体処理要素が濾過を行なおうとするとき、流体処理要素、流体処理アセンブリ、流体処理媒体、および流体処理パックを、それぞれ、フィルタ要素、フィルタ・アセンブリ、フィルタ媒体、およびフィルタパックと言うことができる。下に説明する多数の実施形態では、流体処理要素が流体から粒子を除去する流体の濾過に特に適しているので、フィルタ要素と言うが、上に述べたように、本発明の流体処理要素を広範多様な形式の流体処理に採用できる。
図面において、フィルタ要素を垂直向きに図示してあるが、フィルタ要素は垂直に対してどんな向きをも有することができる。便宜上、フィルタ要素またはフィルタ要素を備えた機器の様々な部分を指すのに用語「上方」および「下方」を使用することができるが、これら用語の使用はフィルタ要素を向ける仕方に如何なる制約をも加えるつもりはない。
図1は、本発明によるフィルタ要素10の第1の実施形態の切断立面図である。フィルタ要素10は、フイルタ媒体が入っているフィルタパック20、フィルタパック20により囲まれているコア30、およびフィルタパック20の各長さ方向の端に設置された端キャップ40を備えている。
フィルタ要素10をハウジング内に設置して図示してあり、ハウジングの一部だけを図示してある。ハウジングは、ハウジングを開閉してフィルタ要素10の設置および取り替えを可能にするよう互いに着脱可能に固定されている複数の区画を備えていることが非常に多い。図示したハウジングは、ハウジングの内部を、そこから濾過しようとするプロセス流体をフィルタ要素10に導入できるプロセス流体室55、フィルタ要素がクロスフロー濾過モードで動作しているときフィルタ要素10から排出される浸透流体を受ける浸透流体室56、およびフィルタ要素がクロスフロー濾過モードで動作しているときフィルタ要素10から排出される保持流体を受ける保持流体室57に分割する第1および第2の管シート50および52を備えている。フィルタ要素10が終端濾過モードで動作しているときは、浸透室56はフィルタ要素10を通過した濾過流体を受け、実質的に流体が保持流体室57に流入しない。
第1の管シート50は、プロセス流体室55と浸透流体室56との間を連絡する開口51を備え、第2の管シート52は、浸透流体室56と保持流体室57との間を連絡する開口53を備えている。フィルタ要素10の両端は、開口51、53の一方に受けられ、または他の場合には開口51、53の一方に流体的に接続されている。ハウジングの大きさによるが、各管シートは、複数の開口を備えてハウジングが複数の同様なフィルタ要素を同じ様式で収容できるようにすることができる。ハウジングは一般に複数の流体ポートを備え、その各々は、室55-57の一つとハウジングの外部との間を連絡し、流体が対応する室に導入されるか、またはそこから移動できるようにしている。好適には、各流体ポートに弁または他の制御機構が設けられ、それによりポートを通る流体の流れを可能にしまたは阻止することができる。必要なら、フィルタ要素10を、タイロッド、押さえ板、またはクランプのような、管シートに対して不動にする手段を設けることができるが、多くの場合、管シートと端キャップ40との間の摩擦がフィルタ要素10の不要な移動を防止するのに十分である。現在の実施形態では、フィルタ要素10を支持するための、フィルタ要素10を管シートに対して位置決めするための、またはフィルタ要素10に作用する軸方向力に抵抗するための棚54を第2の管シート52の開口53に形成している。フィルタ要素10をプロセス流体室55から、端キャップ40が管シートの開口51、53に対して封止されるまで、第1および第2の管シートに挿入することにより、管シートに設置することができる。
フィルタパック20は、どんな特定の形状をも備える必要はない。現在の実施形態では、フィルタパック20は、円筒状の内周または外周を有する中空部材であるが、楕円形または多角形のような他の周囲形状を有することができる。更に、それは中空である必要はない。図1の実施形態では、フィルタパック20は、複数の軸方向に延長するひだ、すなわち、フィルタパック20の長さ方向に延長するひだを備えたひだ付き部材である。しかし、フィルタパック20を、一つ以上の材料シートをコアの周りに一巻き以上巻いた螺旋巻き構造のようなひだ無し構造としてもよい。
ひだ付きフィルタパックは、ひだ付きフィルタパックのひだの高さの方向の流体流路が螺旋巻きフィルタパックのシートの巻き方向の流体流路より短くなる傾向があり、ひだ付きフィルタパックでの圧力降下が低くなるから、圧力降下を極小にすることが重要な用途に有益である。他方、螺旋巻きフィルタパックは製造しやすさ、所定の体積に対して濾過に利用できる表面積、または強度に関して長所を有している。
フィルタパック20を単一層から形成できるが、一般にフィルタパック20は多層複合体から構成されている。現在の実施形態では、フィルタパック20は、フィルタ媒体、内部排液層22、および外部排液層23から成るフィルタ層21を備えた3層複合体から構成されている。フィルタ層21に採用できるフィルタ媒体の形式に関する特定の制約は存在せず、媒体形式を、濾過しようとする流体、および行なおうとする濾過の形式に従って選択できる。たとえば、フィルタ媒体を、繊維の塊、繊維マット、編組または非編組繊維シート、支持または非支持微小膜、多孔発泡材、および多孔金属またはセラミックのような多孔膜、の形態にすることができる。
フィルタパック20は、単一フィルタ層21を備えることができ、または同じか異なるフィルタ媒体の複数のフィルタ層を互いに重ねて設置して所要の厚さにすることができる。たとえば、フィルタパック20が異なる濾過特性を有する、たとえば、一つの層が第2層に対する予備フィルタとして働く、二つ以上のフィルタ層を備えることが可能である。各フイルタ層は一様な多孔構造またはその厚さにわたって変化する類別多孔構造を備えることができる。
排液層22および23は、フィルタパック20において、それを通して流体が、フィルタパック20のひだが互いに押されていてもフィルタ層21のいずれかの面に沿って流れることができる空間を形成することが頻繁に望まれ、またそれらがフィルタ層21を強化してフィルタパックに更に大きい剛性および強度を与えることもできる。しかし、流体がフィルタ層21の表面に流れるのに適切な空間が存在すれば、排液層の一方または双方を省略できる。内部排液層22は、流体がフィルタパック20を通してその外部からその中心に、半径方向内側に流れるときフィルタ層21のいわば下流側に設置される層であるが、外部排液層23は、流体がフィルタパック20を通して半径方向内側に流れるときフィルタ層21のいわば上流側に設置される層である。
排液層22、23を低い縁方向流れ特性、すなわち、排液層を通して一般的にその表面に平行な方向の流体流に対する低い抵抗、を有するどんな材料からでも作ることができる。適切な材料の例には網目および多孔性の編組または非編組シートがある。網目は普通、大きい開放面積、および厚さ方向の圧縮に対する大きい抵抗を有するので、多孔性シートより好適である。高温の用途では、金属網目またはスクリーンを使用できるが、低温用途では、ポリマ網目が特に適している。ポリマ網目は通常、編組網目および非編組網目の形態にされる。いずれの形式も採用できるが、非編組網目が、より滑らかで、したがってフィルタ複合体の隣接層に生ずる擦傷が少ないので、一般的に好適である。適切な非編組ポリマ網目の特定の例は、NallePlastics(テキサス州、オースチン)からNALTEX、ZICOT、およびULTRAFLOの商標名で入手可能のものである。
或る種の非編組網目は一方向の縁方向流れに対する抵抗が他の方向の縁方向流れに対する抵抗より小さい。このような非編組網目の一つの例として、商標名DELNETとして販売されているものがある。この網目には広げたポリマ・シートの上に設けられた一組の平行なポリマ撚り糸がある。DELNETの縁方向の流れ抵抗は、ポリマ撚り糸に平行な流れに対して撚り糸を横断する流れに対するよりかなり低い。流れが主として一方向(主としてフィルタパック20の長さ方向またはひだの高さ方向のような)であるフィルタパック20の領域では、一つの流れ方向の縁方向流れ抵抗が他の方向より低い網目が適している。
他方、流れが多方向であるかまたは流れが方向を変えなければならないフィルタパック20の領域では、単一の好適流れ方向を持たない網目を採用するのが好適である。このような網目の例は、ダイアモンド網目といわれるものであり、これは網目の長さ方向(網目が網目のロールから出てくる方向)に対して対角状に延長する第1および第2の組の撚り糸を備えている。ダイアモンド網目のようなパターン状網目を排液層22、23に採用すると、網目の撚り糸がすべてフィルタパック20の長さ方向に対して対角状に延長し、排液層22、23が、フィルタパック20の長さ方向およびフィルタパック20のひだの高さ方向に、ほぼ同じ縁方向流れ抵抗を与える。フィルタ層21の反対側に、またはフィルタ層21の同じ側にあるフィルタパック20の長さに沿う異なる領域に、違う形式の網目を使用することができる。
本発明によるフィルタ要素の或る好適実施形態では、ひだの隣接脚の対向面が互いに押されているが、排液層22、23が非編組網目を備えていると、ひだの一つの脚の排液網目の撚り糸がひだの隣接脚の排液網目の撚り糸に対して押される。二つの対向面にある排液網目の撚り糸が互いに平行であれば、撚り糸が「入れ子」になる、すなわち、互いに重なるのではなく、互いの間に入り込む。入れ子が発生すれば、撚り糸の方向は好適に、その入れ子が網目の縁方向の流れ抵抗をひどく劣化させないようになる。入れ子撚り糸により生ずる縁方向流れに対する抵抗は一般に、入れ子撚り糸が縁方向流れの方向に垂直であるとき極大になり、入れ子撚り糸がこの方向に平行であるとき極小になる。
フィルタ層21の半径方向内面および外面にある排液層22、23は、互いに異なる特性を有することができる。たとえば、フィルタ層21のプロセス流体側にある排液層(図2の内部排液層22)の厚さを、浸透流体側の排液層(図2の外部排液層23)の厚さより大きくして、プロセス流体に存在するが、浸透流体には存在しない固体堆積物が形成できるかまたは、粒子が通過できる空間を与えることができる。
フィルタパック20は、フィルタ層21および排液層22、23の他に別の層を備えることができる。たとえば、フィルタを設置してある流体システムの圧力変動中にひだが膨張して接触するとき排液層22、23と摩擦接触することにより生ずるフィルタ層21の擦傷を防止するために、フィルタ層21と排液層22、23の一方または双方との間に緩衝層を設けることができる。緩衝層は好適には排液層22、23より滑らかで、フィルタ層21より磨耗に対する抵抗が高い材料から作られる。たとえば、排液層22、23を非編組ポリマ網目から作るとき、適切な緩衝層の一例は、ReemayコーポレーションによりREEMAY2250という商標名で販売されているもののようなポリエステル非編組織物である。緩衝層を複合体の他の層とは別の個別層とすることができ、または層の他の一つと結合してよい。たとえば、緩衝層を、フィルタ層21を取付けて、フィルタ層21の基板として役立つ有孔織物の形態にすることができる。
フィルタ層21の半径方向外面にあるフィルタ層21の対向面の間の空間は、好適にフィルタパック20の長さ方向の両端で封止され、プロセス流体がフィルタパック20の長さ方向の上端面を通ってフィルタ層21の浸透流体側に流入しないようにし、且つ浸透流体が長さ方向の下端面を通って保持流体室57に流入しないようにしている。空間を多様な様式で封止することができる。現在の実施形態では、プロセス流体および浸透流体に不浸透性の封止ストリップ24が空間を満たすようにフィルタパック20の長さ方向両端で複合体にひだ状に入り込んでいる。封止ストリップ24を、フィルタパック20に入り込んでいる状態でプロセス流体または浸透流体に対して不浸透性のどんな材料からでも作ることができる。たとえば、材料を圧縮または非圧縮状態で不浸透性であるものとすることができ、または封止ストリップ24を、圧縮状態で有孔性且つ浸透性であるが、フィルタパック20の内側を圧縮すると、その孔が閉じて非有孔性で流体に対して不浸透性になる材料から作ることができる。
封止ストリップ24の適切な材料の幾つかの例は、ポリウレタン、シリコン、ポリエステル、エラストマ、または同様の材料から作られた軟らかい、ポリマ系不連続気泡発泡体である。封止ストリップ24を形成する材料は好適には、フィルタ層21の半径方向外側にあるフィルタ層21の対向面の間を完全に満たして対向面間の流体の流れを阻止するのに十分な軟らかさのものである。封止材料はまた、フィルタ層21の端(単独または複数)の小孔の幾つかまたはすべてに突入してそれらを満たすことができる。封止ストリップ24の適切な硬さの一例は、ほぼショアA20またはそれより軟らかいが、硬さは内部排液層22の厚さおよびフィルタパック20の円周方向でひだに働く圧縮力のような因子により変わる可能性がある。
外部排液層23の長さ方向の端を、封止ストリップ24と重ならないように、フィルタ要素10の長さ方向の端から後方に下げることができ、または封止ストリップ24が外部排液層23の開口に突入してそれを満たすのに十分軟らかければ、外部排液層23を、フィルタパック20の長さ方向に封止ストリップ24の一方または両方に重ねることができる。封止ストリップ24の幅(フィルタ要素10の長さ方向に測った)は重大ではない。幅が小さければ小さい程、濾過に利用できるフィルタ層21の表面積は大きい。他方、封止ストリップ24の幅が小さくなるにつれて、封止ストリップ24をひだ付き複合体を波形にするのが困難になる。封止ストリップ24をフィルタ層21の隣接表面間を満たすことができるどんな厚さにもすることができる。現在の実施形態では、各封止ストリップ24の厚さは非圧縮状態で約1/8インチであり、幅は約1インチである。
現在の実施形態では、外部排液層23は、封止ストリップ24とフィルタ層21との間に設置されているが、封止ストリップ24を外部排液層23とフィルタ層21との間に設置すること、またはフィルタパック20の長さ方向の両端に、一つがフィルタ層21と外部排液層23との間に、他のものが外部排液層23の半径方向外側に設置されて、多数の封止ストリップが存在することも可能である。
フィルタ層21の、その半径方向外側の対向表面間にシールを形成するのに封止ストリップ24の他に他の手段を使用できる。たとえば、樹脂封止剤をフィルタ層21の対向表面間で外部排液層23に注入して排液層の開口を長さ方向の端で満たすことができる。フィルタ層21および外部排液層23の一方または両方が熱可塑性材料から形成されていれば、層21および23を、ひだ付けが行なわれてからフィルタパック20の長さ方向の端に設置されることになるそれらの縁に沿って局部的に互いに溶融させることができる。溶融は、外部排液層23の厚さを減らし、および/または外部排液層23の開口をその縁に沿って溶融物質で満たし、それにより流体が溶融領域にある外部排液層23に流入しないようにする。溶融を、層21および23の縁を、たとえば、加熱ローラを通過させることにより波形にする前に行なうことができる。次に層21および23を内部排液層22と組み合わせることができ、三つの層を波形にしてひだ付きフィルタパック20を形成することができる。
フィルタパック20のひだを多様な様式で構成できる。たとえば、フィルタパック20が中空円筒部材であるとき、ひだを、各ひだの半径方向内側部分がフィルタ要素の長手方向軸に関して同じひだの半径方向外側部分と実質的に同じ半径上にある半径方向ひだとして形成することができる。したがって、本発明の或る実施形態では、ひだ付き流体処理要素を公式h=(D−d)/2により与えられるひだ高さにより特徴づけることができる。ここでDはフィルタ要素の最高部の外径であり、dはフィルタ要素の基底部の内径である。しかし、このような構成では、隣接ひだ間の隙間がフィルタパック20の中心からの距離が増大するにつれて必然的に増大する。したがって、半径方向のひだは、隣接ひだ間に多量の未使用空間を生ずる。更に、ひだ間の隙間が変わるため、プロセス流体の流れ条件がひだの高さにわたり大幅に変わり、ひだの一定の部分に他の部分より前に埃が付着することになる。この非一様付着はフィルタ要素の埃容量および/または稼働寿命を減らす可能性がある。
したがって、ひだを、ひだの脚が脚の高さの実質的部分にわたり広がっている連続領域にわたり互いに対して押すように設置することが好適である。中空円筒フィルタパック20のひだを多様な仕方で互いに対して押すことができる。一つの方法は、ひだを、ひだの半径方向外側部分が、円周の少なくとも一部の周りでおよび更に好適にはひだの隣接脚が互いに対して押されるまで実質的にフィルタ要素10の円周全体の周りでひだの半径方向内側部分に対してフィルタ要素10の円周方向に変位する被覆状態に形成することである。ひだをこの様式で被覆すると、各ひだの高さは、フィルタパックのひだの最高部の外径とひだの基底の内径との差より大きい。ひだが、ひだの隣接脚の対向面が実質的に全ひだ高さにわたりきっちり接触している被覆状態にある或る他の実施形態では、ひだ付きフィルタ要素を公式hmax=(D2−d2)/[4(d+2t)]
により与えられる最大ひだ高さhmaxにより特徴付けることができる。ここでtはひだ脚のような流体処理層の有効厚さである。或る実施形態の流体処理層はフィルタ媒体、排液層、および他の層を備えている。多数の好適実施形態では、各ひだの高さは(D−d)/2より大きく、(D2−d2)/[4(d+2t)]より小さいか等しく、更に好適には(D2−d2)/[4(d+2t)]の少なくとも約80%である。
一つの好適な構成では、フィルタパック20の各ひだには、ひだの最高部(半径方向外端)で互いに接合されている第1および第2の脚があり、各々は、ひだの基底(半径方向内端)で隣接ひだの脚に接合されている。第1の脚を、第1の脚の高さの実質的部分に対して広がる連続領域にわたり、およびフィルタパック20の少なくとも約50%にわたり、更に好適には少なくとも約75%にわたり、および最も好適には約95-100%にわたり同じひだの第2の脚に対しておよび隣接ひだの第2の脚に対して押すことができる。高さの実質的部分は、好適には第1の脚の高さの少なくとも約50%であり、更に好適には第1の脚の高さの少なくとも約75%であり、なお一層好適には第1の脚の高さの少なくとも約90%である。
ひだが被覆状態にあると、各ひだは通常、フィルタ要素10の長さ方向の端から見て曲がり構成を取る。ひだを重なり状態に形成しやすくするには、フィルタパック20を、各ひだの二つの脚が互いに異なる長さになるように波形にすることができる。第1および第2の脚の相対的長さにより決まるが、各脚を、実質的部分に対して広がる連続領域にわたり、好適にはフィルタパック20の少なくとも約50%にわたり、更に好適には少なくとも約75%にわたり、および最も好適には約95-100%にわたり、同じひだの隣接脚に対しておよび隣接ひだの隣接脚に対して押すことができる。重なり状態にあるひだを有するフィルタパック20を形成するおよび不等長さの脚を有するひだを形成する適切な方法の例は、Stoyell等の合衆国特許第5,543,047号に詳細に説明されている。
フィルタパック20が占有する空間を有効に使用することおよびひだの高さにわたり流体流に対する抵抗を等しくする傾向に加えて、ひだを被覆状態に形成すると、フィルタパック20を横断する圧力が変動すると、ひだの移動が減少し、それによりフィルタ層21の擦傷が減る。更に、ひだが被覆状態にあると、フィルタパック20の長さ方向端面がきわめてコンパクトになり、端キャップを設置する期間中にフィルタパック20の損傷に対する抵抗が大きくなる。
被覆ひだを有するひだ付き複合体を形成するのに、回転ひだ付け機またはシートの横断方向に広がる(ひだはシートがひだ付け機を通過する方向に垂直である)ひだを形成する掴み保持ひだ付け機を使用する方法、シートに長手方向ひだを形成する(ひだはシートがひだ付け機を通過する方向に平行である)長手方向ひだ付け機を使用する方法、または材料のシートを材料の周りのひだに形成し、ひだを円周方向に移動させてそれらを重ねる方法、のような様々なひだ付け方法および機器を使用することができる。
採用できる掴み保持ひだ付け機の一例は、合衆国特許第5,543,047号に説明されているが、採用できる長手方向ひだ付け機の一例は、Rosenbergの合衆国特許第4,252,591号に説明されている。後者の特許に説明されているひだ付け機は、名が手方向のひだをフィルタ複合体に形成するファン形状の折り曲げ形成機を備えている。折り曲げ形成機は、交互にピークおよびくぼみ部分を有する複数の折り目を備えている。一対の円筒ロールが折り曲げ形成機を通してフィルタ複合体を引く。フレキシブル・チェーンが、その重さのため、フィルタ複合体を折り曲げ形成機の表面のうねり輪郭に順応させることにより、フィルタ複合体を波形にしやすくする。
折り曲げ形成機およびチェーンを、フィルタ複合体が案内の間を通過するにつれてフィルタ複合体に波形を形成する上部および下部のベーン型案内で置き換えることができる。ベーンを上部および下部案内に交互に設置することができ、案内の長さに沿って高さを増大させることができる。案内のような、ひだ付け機の或る部分を適度な温度に加熱してフィルタ複合体をひだ付け中溶融させずに軟化させ、複合体の変形を容易にすることができる。波型フィルタ複合体の端を掴む掴み機構を利用して材料を、ローラではなく、ベーン型案内により引っ張ることができる。材料のシートを心金の周りにひだに形成し、次にひだを重ねて置くのに使用することができる装置の一例は、合衆国特許第3,386,583号に説明されている。
フィルタパック20のひだを、フィルタ要素の製造中の様々な時点で被覆状態に形成することができる。たとえば、合衆国特許第5,543,047号に説明されているように、ひだ付き複合体のひだを、ひだ付き複合体を円筒パックに形成し、次にフィルタパックを、フィルタパックを回転させながら内径が減少する漏斗形工具を通過させることにより重ねることができる。代わりに、ひだ付き複合体のひだを、ひだ付き複合体を板の間で圧縮することによるように、または複合体を蝶番付き長方形枠に掴み、次に枠を斜め平行四辺形の形状に変形させることによるように、複合体を円筒形に形成する前に、重ねることができる。ひだ付き複合体がポリマ性材料から構成され、重ねながら溶融させずに加熱して複合体を軟化させ、次いでひだを被覆状態に維持するよう力を加えながら冷却させれば、ひだは一旦力を除去したら被覆状態を維持する傾向が大きくなる。
円筒形フィルタパックのひだの隣接脚を互いに押す他の方法は、ひだの隣接脚の間にフィルタパックの周りに間隔を置いて楔を挿入することである。楔は、フィルタパックの円周方向にひだを押し、フィルタパックの円周方向にひだの曲がりを生ずることなく隣接脚の間の空間がなくなるようにする。このようなフィルタパックは、たとえば、「耐崩壊波形フィルタ要素」という名称の合衆国特許第4,154,688号に説明されている。
フィルタパック20は、しばしば、フィルタパック20を形成するひだ付き複合体の隣接する長さ方向の縁が互いに接合されて封止される少なくとも一つの長さ方向側面シールを備えている。フィルタパック20の円周にもよるが、それらを一つまたは複数の側面シールとすることができる。好適には、フィルタパック20は一つより多くない長さ方向側面シールを備えている。
フィルタパック20のひだを被覆状態に形成してから、それらをこの状態から広げて隣接ひだ間に隙間を作ろうとする傾向を有することができる。ひだが広がらないようにするのに、フィルタ要素10にひだをフイルタ要素の半径方向に拘束する一つ以上の拘束部材を設けることができる。半径方向の拘束は、ケージ、管、またはフィルタパック20を囲むスリーブによる、フィルタパック20の上を滑るリングによる、またはその長さの少なくとも一部の上でフィルタパック20の周りにきつく巻き付く巻き部材によるような、多様な装置により達成することができる。現在の実施形態は、フィルタパック20の周りに複数の巻き数で十分な張力で巻かれてひだが被覆状態から伸ばされないようにする材料のストリップから成る巻き部材25の形態を成す拘束部材を採用している。このような巻き部材25は、きわめて薄く、軽量に、且つ廉価にすることができ、またフィルタパック20の周りに設置しやすいので、拘束部材として有利である。例示した巻き部材25は、フィルタパック20の全長にわたり延長しているが、短い長さにわたり延長してもよい。
巻き部材25をフィルタパック20の周りに隣接する巻き要素の間に重なりを設けてまたは設けないで巻くことができる。巻き部材25をフィルタパック20の周りに弦巻状に、螺旋状に、または円筒状に、のような多様な様式で巻くことができる。巻き部材25を、濾過中の流体に対して浸透性または不浸透性である広範多様な材料から作ることができる。適切な材料の幾つかの例は、編組または非編組織物、ポリマ膜、および金属または非金属の編組網目である。
巻き部材25は好適に、それを通って流れる流体に可能なかぎり低い圧力降下を生ずる。巻き部材25の厚さは、制限がなく、必要な強度および柔軟性および空間を考慮して選択することができる。巻き部材25をフィルタパック20の所定の場所に様々な仕方で固定できる。たとえば、巻き部材25をフィルタパック20のひだの最高部に接合して巻き部材25をフィルタパック20の所定の場所に保持し、ひだを被覆状態に維持するのに役立て、フィルタパック20の内部でのひだの移動を減らすことができる。隣接する巻き要素の間に重なりがあれば、巻き要素を、ひだに固定してまたは固定しないで、重なり部分で互いに固定することができる。巻き部材25を、それ自身に固定しないで、その長さ方向の端でだけ所定位置に、またはその両端間でひだに、保持することも可能である。
巻き部材25を所定位置に保持するのに使用できる特定の方法の例には、ホットメルト接着剤のような接着剤の使用、熱い輪を使用する溶融結合、一定間隔で巻き部材25の周りに機械的タイまたはバンドを設置すること、または巻き部材25の長さ方向の端の上に端キャップ40を機械的に固定すること、がある。巻き部材25が濾過中の流体に対して浸透性の材料から作られていれば、巻き部材25は隙間または開口なしでフィルタパック20を完全に囲むことができるが、巻き部材25が流体に対して不浸透性であれば、巻き部材25に、それを通して流体がフィルタパック20の半径方向に流れる開口または隙間ができることがある。現在の実施形態は、フィルタパック20の周りに複数の重なり巻き要素により螺旋状に巻かれた38×20×0.011×0.011(インチあたり38撚り糸×インチあたり20撚り糸でより糸の直径が0.011インチ)のステンレス鋼編組ワイヤ網目から構成されている。
本発明の一実施形態によるフィルタ要素は、フィルタパック20を囲むケージまたは管を備え、このようなケージまたは管をひだを被覆状態に維持する保持部材として動作させることが可能である。しかし、フィルタ要素10がケージまたは管を備えていてさえ、巻き部材25を保持部材として使用するのは好ましい。たとえば、保持部材としてケージを使用すると、フィルタパック20がケージの内周に対して膨張するので、ケージを厳密な公差に製造してフィルタパック20が確実に圧縮の所要レベル以下にあるようにしなければならないが、巻き部材25を保持部材として使用すると、ケージまたはフィルタパック20を囲む他の部材の直径の変動に関係なく、ひだの圧縮を巻き期間中巻き部材25の張力を調節することにより所要レベルに制御することができる。
フィルタパック20が中空部材であると、フィルタ要素10は、フィルタパック20の中心に設けられたコア30を備えることができる。コア30は多様な機能に役立つことができる。コアは、フィルタ要素10に軸方向、曲げ、またはねじりの応力に対する抵抗を与えることができ、フィルタパック20が、濾過中に発生するフィルタ要素10の内部と外部との間の圧力差による半径方向の力で内側に崩壊しないようにすることができる。コア30はまた、フィルタパック20を所要形状に維持するのに役立ち、更にフィルタ要素10を管シートまたはハウジングの内部の取付け具のような他の部材に接続する手段として使用することができる。本発明の或る実施形態では、コア30は、主として支持体を与える働きをし、流体を移動させるには役立たないが、他の実施形態では、支持体を与えるとともにフィルタ要素10の長さ方向に流れる流体のための導管としても動作している。
コア30は、支持体を与え、および/または流体を移動させるという所要機能を行なうことができるようにするどんな構造をも備えることができる。しばしば、フィルタパック20が通常、円筒状内周を有するので、コア30は円筒状であるが、多角形または楕円の断面を持つ形状のような他の形状を採用でき、コア30の断面形状をその長さ方向に変えてよい。コア30を、濾過する流体に適合し且つ限定はしないが、金属およびプラスチックの両者を含む、所要強度を有するどんな材料からでも作ることができる。コア30はしばしば、フィルタパック20の全長だけ延長し、フィルタパックに最大の支持を与えるが、コア30をより小さい距離延長させることが可能である。
現在の実施形態では、コア30は単に支持体を与えるだけに役立っており、したがって流体がプロセス流体室55と保持流体室57との間でコア30を通って軸方向に流れないようにするような構造になっている。たとえば、コア30全体を無孔および不浸透にすることができる。例示したコア30は中空で重量を減らしているが、代わりに中実にすることができる。コア30は、中空管31から構成され、その両端は管31の端に液密に固定されたストッパ33または他の適切な部材により封止され、流体が管31に入らないようにしている。ストッパ33に丸みを付けてフィルタパック20の長さ方向の端を通って一層滑らかな流体流が生ずるようにすることができる。
フィルタパック20のプリーツは有限の厚さの材料から形成されているので、フィルタ構成体がプリーツを形成するようにそれ自身の上に折り返されているプリーツの径方向の内端および外端において、プリーツは、いくぶんか丸められている。結果として、プリーツの径方向の内端および外端において、小さな三角形のギャップが、フィルタパック20の全長にわたってプリーツの接続する脚部分の向かい合った面間に生まれることになる。径方向の内端におけるこれらのギャップを埋め、処理流体が内部の排出層22を通過するのではなくむしろギャップに沿って流れることを妨げることができると良い。この実施例において、コア30は、中空の管31を取り巻き、プリーツの径方向の内端においてプリーツの脚部分間のギャップを埋める外面を備えている。
この外面は、プリーツの脚部分間における三角形のギャップに嵌合する三角形の稜線部分を備えるように予め形成されることができ、あるいは、十分な柔軟性を備えて三角形のギャップの形状に従うとともにそれらを埋めるような材料から作られても良い。この実施例において、この外面は、中空の管31を取り巻き、プリーツの径方向の内端においてギャップを埋めるように変形できる容易に変形可能な可撓性の材料からなる層32によって形成されている。層32は、フィルタパック20によって取り巻かれたとき、処理流体に非浸透性の材料から構成される。その材料は、どのようなときでも処理流体に非浸透性であり、あるいは、プリーツの径方向の内端に対して圧縮されたとき非浸透性であるような材料である。
層32が処理流体に非浸透性であるので、層32を支持している管31は、例えば、層32が開口を被覆するときその重量を軽減するためにパーフォレーションあるいはその他の開口を備えるようにしても良い。この実施例において、層32は、可撓性の閉じられた細胞状の泡からなる。層32は、様々なやり方で管31に取り付けることができる。層32は、例えば、管31を軸方向に摺動する円筒形のスリーブで構成することができ、管31をらせん状に、あるいは、円筒形状に包み込むような細長い片材料で構成することもできる。管31に直接形成しても良い。コア30の外面以外の手段で、プリーツの径方向の内端におけるギャップを埋めても良い。例えば、接着剤が、隣接するプリーツ間のギャップに注入されて固められるようにしても良い。
図2は、図1の線2−2に沿って見たフィルタエレメント10の横断断面図であり、図3は、図1の線3−3に沿って見た横断断面図の一部分である。図2に示すように、シーリング片24間のフィルタパック20の領域において、プリーツは、外側の排出層23がそれぞれのプリーツにおけるほぼ全部の高さにわたってそれ自身をその外面(この面はフィルタ層21から離れている)に押し付けられているとともに横たえられた状態にあり、内側の排出層22がそれぞれのプリーツにおけるほぼ全部の高さにわたってそれ自身をその内面(この面はフィルタ層21から離れている)に押し付けられていて、プリーツの径方向の内端あるいは外端を除いてプリーツの隣接する脚部分間にほとんど隙間がないように横たえられた状態にある。プリーツの径方向の内端においてプリーツの隣接する脚部分間にある三角形のギャップは、コア30の外面を形成する可撓性の層32によって埋められて処理流体がこれらのギャップから流れることを阻止している。
図3に示されるフィルタエレメント10の一部分において、フィルタパック20は、図2に示されるものに類似した構造を備えているが、その上に、フィルタ層21の径方向の外側にシーリング片24を備えている。このシーリング片24は、外側の排出層23における開口内に突出していてこの図においては排出層を覆っているが、外側の排出層23は、図2と同じ形状を備えている。シーリング片24は、外側の排水層23をシールし、プリーツの径方向の外端と上方の端部キャップ40の内縁との間のギャップを埋め、処理流体が、内側の排出層22を介してのみフィルタパック20の上方長手方向端面に流れるようにしている。フィルタエレメント10の下方長手方向端部から見た横断方向の断面は、図3と同じに見えることになる。この発明の実施例によるフィルタエレメントは、フィルタパック20の一方のあるいは両方における長手方向端部に配置された端部キャップを含んでいる。端部キャップ40は、長手方向の端部を保護するために使われて流体の流れに対して長手方向の端部をシールし、フィルタパック20の形状の維持を支援するかあるいはフィルタエレメント10を管部材、ハウジング内の嵌合部材、あるいは、その他のフィルタエレメントのようなその他の部材に接続する。端部キャップ40は、フィルタリングされる流体の作用に影響を及ぼさない材料から製造することができ、この端部キャップ40が取り付けられる部材を構成する材料は、金属、セラミックス、および、ポリマ材料を含む。
端部キャップ40は、形状を特に限定されない。端部キャップ40の少なくとも一方、多くの場合、端部キャップ40の両方は、流体がコア30、フィルタパック20の長手方向端面の一方あるいは両方を介してフィルタエレメント10に出入することができるようにする開口を備えた開放端部キャップである。フィルタエレメント10の両端における端部キャップ40は、構造的には同一であるか互いに異なるかすることができる。図1の実施例において、上方および下方の端部キャップ40は、互いに同一であるので、いずれの端部キャップ40も、いずれかの管シート50、52に係合できる。それぞれの端部キャップ40は、フィルタパック20の長手方向端面における一方の外縁の回りに嵌合する管状部分41と、フィルタパック20の長手方向端面に重なり合う環状のフランジ42を備えている。一つあるいはそれ以上の支柱(図示せず)が、端部キャップ40とコア30および/あるいはストッパ33の間に配置できてフィルタエレメント10の構造的な一体性を強調する。フランジ42は、開口42aを包囲し、この開口から流体がフィルタパック20の端面を出入できるようにしている。フランジ42は、必ずしも必要ではないが、端部キャップ40を補強し、端部キャップ40をフィルタエレメント10の長手方向においてフィルタパック20に関して容易に位置決めできるようにする。それぞれの端部キャップ40は、フィルタエレメント10の長手方向端部に対してシールされ、流体が端部キャップ40の管状部分41の内縁とフィルタパック20の外縁の間を通過することを阻止している。シールは、接着剤による接着、溶融接着、スピン溶接により、あるいは、端部キャップ40とフィルタパック20間にガスケットあるいはその他のシール部材を押し込むことによるなどの様々なやり方で形成できる。テーパが、管状部分41によって包囲されているプリーツの径方向の外端を押し込んで圧入を形成し、シーリング片24が管状部分41の内縁に緊密に接触してプリーツ間のすべてのギャップを埋めて管状部分41と端部キャップ40に防水シールを形成させる。圧入はまた、フィルタエレメント10に関しての端部キャップ40の移動に抵抗して端部キャップ40をその位置に保持する。圧入は、接着のようなその他の接続方法によって補完されても良く、フィルタパック20に対して端部キャップ40をさらにしっかり固定する。
端部キャップ40は、流体がフィルタエレメントをバイパスすることを妨げつつ、流体が管シートを介してフィルタエレメント10を出入できるように管シートに着脱自在に取り付けられている。例えば、ピストンシール、軸方向圧縮シール、および、管シートに対する端部キャップ40の直接接着のような、フィルタエレメント10を防水状態で管シートに取り付ける周知の方法を用いることができる。図1の実施例において、端部キャップ40のそれぞれが、Oリングのような一つあるいはそれ以上のシーリング部材43を装着され、それぞれが、端部キャップ40内の対応する溝に取り付けられて管シートの一つにおいて対応する開口51、53の内縁に対してピストンシールを形成する。
図1のフィルタエレメント10は、クロスフローモードあるいはデッドエンドモードのいずれかにおいて処理流体をフィルタリングするように使える。クロスフローフィルタリングを実行するために、三つの室55、56および57すべてのための流体ポートが開放されて流体がそれぞれの室を出入することを可能にする。この状態において、処理されるべき処理流体(矢印60で示されている)は、その上方長手方向端を経由して処理流体室55からフィルタエレメント10に導かれる。上方端におけるシーリング片24は、処理流体60がフィルタパック20の上方長手方向端面から外側の排出層23内に流れることを阻止するが、内側の排出層22内に流れることは可能にし、処理流体60が、内側の排出層22に入り、フィルタエレメント10の長手方向方向にこの内側の排出層22内を流れるようにする。
処理流体60が内側の排出層22を通過する際、処理流体60の一部分は、フィルタ層21を通過し、フィルタリングされ、浸透流体61として外側の排出層23に流れる。浸透流体61は次いで、プリーツの径方向外側の端部に対して流体圧(基本的に径方向のあるいは径方向および軸方向の)によって指令された通路に沿って外側の排出層23を通過し、包囲部材25を経由してフィルタパック20から出て、浸透流体室56に入る。フィルタパック20の下方長手方向端におけるシーリング片24は、プリーツの径方向外側にシールを形成し、浸透流体61が、フィルタパック20の下方長手方向端を流れないようにする。しかしながら、プリーツの径方向内側はシールされていないので、フィルタ層21を通過しない処理流体60は、濃縮流体62としてフィルタパック20の下方長手方向端面を通過して濃縮流体室57に流れる。浸透流体61および濃縮流体62は、浸透室56および濃縮流体室57から別個に取り出され、必要なやり方で使われる。処理流体60がフィルタ層21の内面に沿って内側の排出層22を経由してフィルタパック20の長手方向に流れるとき、これは、フィルタ層21の内面に粒子が形成されることを阻止し、フィルタエレメント10が交換あるいは洗浄の前に使える時間の長さを延長する流体せん断力を発生させる。
フィルタエレメント10がデッドエンドフィルタリングに用いられるときは、室55および56のための流体ポートが開放されるが、室57のための流体ポートは閉じられている。この状態において、処理されるべき処理流体は、上述したのと同じやり方で処理流体室55からフィルタエレメント10内に導かれ、内側の排出層22に流れる。内側の排出層22から、すべての処理流体60が、フィルタ層21を通過して流れ、フィルタリングされ、フィルタリング流体として外側の排出層23に流れ、包囲部材25を経由して外側の排出層23から浸透室56内に流れる。フィルタパック20の下方長手方向端におけるプリーツの径方向内側はシールされていないが、フィルタリング流体室57への出口が閉じられているので、処理流体60は、ほとんど、フィルタリング流体室57内には流れない。
必要があれば、図1のフィルタエレメント10は、フィルタ層21に付着したあるいは埋没した固体の量を減少させるように洗浄できる。フィルタエレメント10を洗浄する一つの方法は、逆流洗浄と呼ばれている。逆流洗浄を行なうには、適当な逆流洗浄流体が浸透室56内に導かれ、圧力をかけられて反対の方向にフィルタ層21を経由して加圧され、フィルタリング中に流れ出る。すなわち、逆流洗浄流体は、包囲部材25から外側の排出層23に流れ込み、フィルタ層21から内側の排出層22に流れる。この逆流洗浄流体は、液体、気体、あるいはそれらの混合であることができる。逆流洗浄流体は、浸透室56内に配置された液体逆流洗浄流体の表面に導かれるポンプ、あるいは、圧縮空気のような様々な手段によってフィルタエレメント10内に押し込まれる。逆流洗浄流体がフィルタ層21を通過するとき、フィルタ層21内に捕捉されているあるいはフィルタ層21の径方向内側に付着している粒子を強制的に取り除く。
逆流洗浄流体および取り除かれた粒子は、次いで、フィルタエレメント10からフィルタエレメント10の長手方向端の一方あるいは両方を介して濃縮流体室57および/あるいは処理流体室55内に放出されるように内側の排出層22を経由してフィルタパック20の長手方向に流れる。逆流洗浄流体は、その室の内部およびハウジングの外部間を接続するいかなる導管も閉じて特定の室に入ることを非常に強く阻止される。逆流洗浄流体は、フィルタ層21内にあるいはその上に存在する粒子の量を大きく減少させることができるので、フィルタエレメント両端の圧力低下は、フィルタリングが再開されると小さくなる。
水のような液体の逆流洗浄流体が、空気のような圧縮気体によってフィルタエレメント10から押し込まれると、この気体は、すべての液体の逆流洗浄流体がフィルタエレメント10を通過した後フィルタエレメント10を通過して流れ、フィルタエレメント10内に気体と液体のある程度の混合が生じることすらある。しかしながら、ほとんどの場合、気体と液体は、フィルタエレメント10を別々に通過する。
逆流洗浄の効果は、逆流洗浄の間中、フィルタエレメント10に気体および液体の混合体を通過させてフィルタエレメント10内に気体および液体の混合体を大量に発生させることにより高めることができる。逆流洗浄流体中の気体の存在は、フィルタ層に埋め込まれているあるいは付着している粒子を失わせるような逆流洗浄流体の能力を高めると信じられている。気体および液体の混合は、例えば、圧縮気体を浸透室56内に配置された逆流洗浄液の面の下方に浸透室56内に導くことによってフィルタエレメント10を介して通過でき、これによって、気体は、撹拌を行なって液体と混合される。あるいは、気体と液体は、ポンプによって浸透室56内に導かれる以前に浸透室56の外部で互いに混合される。
この発明に使うことができるフィルタエレメントを洗浄するその他の方法は、クロスフロー洗浄と呼ばれているものである。この方法において、洗浄流体は、フィルタエレメントを通過してフィルタ層の面に沿って流れ、すなわち、逆流洗浄のようにフィルタ層を通過するのではなくてフィルタ層に沿ってクロスフローを生じさせる。洗浄流体のクロスフローは、フィルタ層に付着している粒子を除去し、フィルタエレメントから粒子を放出させる。
種々の流体が、クロスフロー洗浄のための洗浄流体として使える。例えば、洗浄流体は、液体、気体、あるいは、気体と液体の混合であることができる。特に良好な結果が、気体が液体に関連させて使われたとき得られ、フィルタエレメントを順次気体と液体が通過するとき、あるいは、フィルタエレメントを気体と液体の混合が通過するとき得られる。
フィルタエレメントおよび洗浄が行なわれる環境に悪い影響を与えない液体および気体が、洗浄流体として使われる。多くの場合、水が液体として使われ、空気が気体として使われるが、その他の多くの流体を使うことができる。例えば、特に頑固な粒子がフィルタ層から除去される必要があるときは、溶剤液体が液体として適切であり、および、フィルタ層が空気中の酸素に曝されてはならないときは、窒素のような不活性ガスが、気体として使われる。
クロスフロー洗浄の効率が、フィルタ層の洗浄される側の流体圧に等しいかあるいはそれよりも高い圧力に洗浄される側とは反対側にあるフィルタ層の側の圧力を維持することによって高められる。この圧力は、洗浄流体の圧力によって粒子がフィルタ層内に押しやられることを阻止し、従って、反対側の圧力が洗浄される側の圧力よりも高いとき、この圧力は、粒子をフィルタ層外であって洗浄流体内に押しやる。クロスフロー洗浄流体が気体を含んでいるとき、この気体は、少なくとも気体の流れに沿ってフィルタ層の平方フィート面積あたり、約0.04scfmの速度で、好ましくは少なくとも約0.08scfmの速度で、もっと好ましくは少なくとも約0.12scfmの速度でフィルタエレメントを通過することが好ましい。
洗浄流体の効率は、フィルタ層付近における洗浄流体の乱れを増加させることにより高められる。乱れは、排出層の選択により増強される。例えば、フィルタエレメントの長手方向軸に斜交するストランドを備えたダイアモンドメッシュが、通常、フィルタエレメントの長手方向平行なストランドを備えたDELNETのようなメッシュよりもより乱れを生じさせる。プリーツの付いたフィルタエレメントにおいて、乱れはまた、プリーツの対向する面間に大きなギャップを生じないように一体的に緊密にパッキングすることによって高められ、洗浄流体は、排出層をバイパスする代わりにおよびプリーツ間のギャップを流れる代わりに洗浄されるべきフィルタ層の面に隣接して排出層の内部を流れるようにする。しかしながら、クロスフロー洗浄はまた、間隔を置いて配置されているプリーツを備えたフィルタエレメントに有効であり、また、らせん状に巻かれたフィルタエレメントのようなプリーツなしのフィルタエレメントに使える。
クロスフロー洗浄において洗浄流体として使われる気体および液体は、それらが順次導入されるときは、互いに同一の方向あるいは反対の方向にフィルタエレメント10を通過するように流れることができ、従って、洗浄液の流れの方向は、処理流体がフィルタリング中に流れる方向と同じになるか異なるかすることになる。洗浄流体中の液体は、フィルタリング中フィルタエレメント10を処理流体が通過するために用いられるポンプと同じかあるいは異なることができるポンプのような種々の手段によってフィルタエレメント10を通過することができ、あるいは、この液体は、この液体を含む室内に導かれる圧縮空気あるいはその他の圧縮気体によってフィルタエレメント10を通過するように押しやられる。例えば、処理流体室55は、部分的にあるいは完全に液体である洗浄流体で埋められることができ、従って、圧縮気体は、液体の面上である処理流体室55の上方部分に導くことができる。洗浄流体中の気体は、圧縮気体タンクあるいはボトル、あるいは、その他の圧縮気体の供給源からコンプレッサによってフィルタエレメント10に供給可能である。クロスフロー洗浄はどのようなタイプのフィルタ層も使えるが、サブミクロンあるいはウルトラフィルタリング薄膜のような精密で低い浸透性を備えたフィルタ媒体を含むフィルタ層を使うと特に効果的である。前者の低い強度と、後者の液体および気体の流れに対する高い抵抗のために、効率的に再洗浄を行なうためのフィルタ媒体を通過するのに十分な速度を備えた逆流洗浄流体を発生させることは困難である。これに対して、クロスフロー洗浄は、フィルタ層を通過する流体の流れを必要としないので、再洗浄を可能にするよりももっと効果的に精密で低い浸透性を備えたフィルタ媒体を洗浄することができる。逆流洗浄可能なフィルタ媒体においてすら、液体に関連して気体を使うクロスフロー洗浄は、従来周知の逆流洗浄よりもより効果的であり、特に、都市消費された水および地上水のフィルタリング中のフィルタ層に付着したような頑固な粒子の除去に対して効果的である。
クロスフロー洗浄は、逆流洗浄よりもフィルタエレメントから粒子を除去することに関して遥かに有効であるとともに有益である。このようにして、従来周知の逆流洗浄によって洗浄を受けるフィルタエレメントに比較して、クロスフロー洗浄を受けるフィルタエレメントは、終圧液滴が極めて少ない。従って、フィルタエレメントは、逆流洗浄によってよりも多数のフィルタリング/クロスフロー洗浄サイクルで動作することができる。
液体と気体が同時にフィルタエレメントを通過する図1におけるフィルタエレメント10のクロスフロー洗浄の例を以下に説明する。浸透室56に対する流体ポートを閉じ、濃縮流体室57に対する流体ポートを開いた状態で、通常、フィルタリング中に処理流体を処理流体室に供給するために用いられるポンプは、洗浄水の供給源に接続されるとともに圧力のかかった洗浄水を処理流体室55に導くように向けられる。同時に、圧縮された空気が、洗浄水のためのポンプに接続された流体ポートとは異なる流体ポートを介して圧縮された空気供給源から処理流体室55に導かれる。処理流体室55において、水および圧縮空気は、互いに混合されて共にフィルタエレメント10内に流れ、内側の排出層を通過し、フィルタエレメント10の全長にわたってフィルタパック20のフィルタ層に沿って流れ、濃縮流体室57内に排出される。水および空気が所定の時間フィルタエレメント10を通過して流れた後、水および空気の供給は停止される。フィルタエレメント10を通過する水および空気の通過は、フィルタエレメント10の取り付けの状態に対応して1回あるいはそれ以上繰り返される。
洗浄流体がフィルタエレメント10を通過している間に、流体および/あるいは気体を含むことができる浸透室56は、フィルタエレメント10における内側の排出層内の圧力に等しいかあるいは大きい圧力に保たれていて、洗浄流体は、フィルタ層から浸透室56内に押しやられることがないことが好ましい。洗浄の終了後、圧縮空気の供給源に繋がる流体ポートは閉じられ、ポンプは、処理流体の供給源に接続され、従って、フィルタリングが再び行なわれる。
空気と水が順次フィルタエレメントを通過するクロスフロー洗浄は、上述の場合と同じようにして実行できるが、圧縮空気が水の処理流体室55などへ導入されている時間の少なくとも一部分の間に、フィルタエレメント10を通過する二つの流体の時間的な重複はあるが、終了することだけが異なる。圧縮空気は、フィルタ層から粒子を遊離させるのに極めて有効であるが、その低密度のために、フィルタエレメント10から遊離された粒子を取り除くことに関しては水に及ばない。従って、圧縮空気のみがフィルタエレメント10を通過する少なくとも最初の時間は、フィルタエレメントを通過する水のフォローを受けてフィルタエレメントから粒子を洗い落とすことが好ましい。
図4は、この発明の実施例によるフィルタエレメント10Aの部分的な断面を示す正面図である。この実施例は図1の実施例に類似しており、従って、同じ構成部材には図1と同じ参照記号が付されている。この実施例はさらに、フィルタパック20を包囲しているパーフォレーション付きの管70を含んでいる。管70は、その長さの大部分にわたって剛性の非パーフォレーション加工で、非浸透性の壁と、フィルタエレメント10Aから排出される一つあるいはそれ以上の室55、57から離隔した領域に形成されて逆流洗浄流体が流れることができるパーフォレーション71あるいはその他の開口とからなる。
管70は、パーフォレーション71によって流れることを除いてフィルタパック20および浸透室56間を流体が流れることを阻止する。図1の実施例が逆流洗浄であるとき、逆流洗浄流体は、流れの抵抗が室55、57の付近の領域においては低いので、逆流洗浄流体がフィルタエレメント10から排出されるこれらの室における一方の付近においてフィルタエレメント10の長手方向端における一方あるいは両方付近のフィルタエレメント10内に優先的に流れ込む傾向にある。結果として、逆流洗浄は、長手方向端間の領域におけるよりもこれらの端に近い領域で大きな効果をもたらす。しかしながら、この実施例においては、逆流洗浄流体は、逆流洗浄流体がフィルタエレメント10Aから排出される室あるいは複数の室から離隔しているパーフォレーション71を介して管70の内部に流れ込むので、フィルタエレメント10Aを通過する逆流洗浄流体による流れの抵抗は、その長さ方向にわたってより均一なものとなり、従って、再洗浄の効果もより均一なものとなる。
逆流洗浄流体が処理流体室55と濃縮流体室57の両方にフィルタエレメント10Aから排出されるとき、パーフォレーション71は、フィルタエレメント10Aにおける二つの長手方向端間のほぼ中間に配置されることが好ましい。逆流洗浄流体がフィルタエレメント10Aから二つの室55と57の一方のみに排出されるとき、良好な逆流洗浄効果が、逆流洗浄流体が排出される室からできるだけ離隔して、例えば、他方の室に隣接するフィルタエレメント10Aの他方の端にこのパーフォレーション71を形成すると達成することができる。
フィルタエレメント10Aの長さを増やすために管70を端部キャップ40に取り付けることが好ましい。管70は、しかしながら、端部キャップ40にシールされる必要はない。管70は端部キャップ40に十分密着して係合させられることが好ましく、浸透室56と管70の内部との間におけるほぼすべての流体流が、端部キャップ40と管70との間のインタフェースを介してではなく、管70のパーフォレーション71を介して流れるようにする。
管70は、配置されている状態においてプリーツを抑制する抑制部材として使えるが、上述したように、管70が可能である以上にプリーツの圧縮の程度をより良く制御できる包囲部材25のような別個の抑制部材を使うことが好ましい。管70は、包囲部材25の外縁に接触でき、あるいは、小さな径方向のギャップによって包囲部材25から分離されて管70内へのフィルタパック20および包囲部材25の挿入を容易にする。
しかしながら、このギャップは、浸透室56から管70内に導かれる逆流洗浄流体が長手方向のギャップを流れるよりも外側の排出層を通過してフィルタパック20の長手方向に流れるように十分に小さいことが好ましい。このようにして、パーフォレーション71と室55および57のいずれかの間を流れる流体の抵抗は、ギャップに沿って流れる流路に沿うよりも外側の排出層を流れる流路に沿う方が低いことが好ましい。例えば、ギャップは、径方向に0.01インチ以下であることができる。ギャップの大きさは、フィルタパック20における外側の排出層による抵抗のような係数に基づいて選択されてギャップに沿って流れる抵抗に対して長手方向に流れるようにする。デッドエンドフィルタリング中にパーフォレーションが流れを抑制しないようにするために、パーフォレーションの総合的な面積は、処理流体が処理流体室55からフィルタパック20内に流れることができるフィルタパック20の上方端面の部分における断面積に少なくとも同じものであることが好ましい(この断面積はフィルタパック20の上方端におけるシーリング片24によってシールされている断面積を含まない)。
図5は、この発明によるその他の実施例におけるフィルタエレメント100を示すものであり、処理流体がフィルタエレメント100に入って、フィルタリング流体がフィルタパック110の長手方向端面を通過するのではなく、フィルタエレメント100の中空の中心を通過してフィルタエレメント100から出るようにした実施例を示すものである。
前の実施例と同じように、この実施例は、プリーツの付いたフィルタパック110、このフィルタパック110によって包囲されたコア120、フィルタパック110の回りを包囲する包囲部材111、および、フィルタエレメント100のそれぞれの端に配置されている端部キャップ130、140からなる。フィルタエレメント100は、ハウジング内部を処理流体室160、浸透室161、および、濃縮流体室162に分割している第1および第2の管シート150と155を備えたハウジング内に配置されるように図示されている。これらの室のそれぞれは、室の内部とハウジングの外部との間に流体的な接続を行なう図示されぬ流体ポートを装着されている。単一のフィルタエレメント100のみが示されているが、複数のフィルタエレメント100を同様にしてハウジング内に設けても良いことはもちろんである。
フィルタパック110は、構造において図1の実施例におけるフィルタパックのそれと同一であることができる。例えば、フィルタ層、フィルタ層の径方向外側に配置された外側の排出層、および、フィルタ層の径方向内側に配置された内側の排出層からなる3層合成体からなることができる。この合成体は、図1に関して記述されたやり方で横たわっている状態において軸方向に配置されたプリーツに形成できる。このプリーツは、包囲部材111によって横たわっている状態に維持されている。好ましくは、図1の実施例のフィルタパック20との唯一の差は、シーリング片がフィルタパック110から省かれている点にある。
コア120は、処理流体が、その上端を通過でき、フィルタパック110の下端からコア120に流れてフィルタリングを可能にし、次いで、その下端においてフィルタエレメント100から排出されることを可能にする構造であれば良い。図示されたコア120は、それぞれの長手方向において開放され、その上方の長手方向端に上方のパーフォレーション部分121、その下方の長手方向端に下方のパーフォレーション部分122、および、流体がこれらの二つのパーフォレーション部分間に流れることができなくするようなブラインドパーフォレーションである非浸透性部分123からなる。パーフォレーションを設けられた部分121、122のそれぞれは、流体がコア120の内部とフィルタパック110間を通過できるようにするパーフォレーションあるいはその他の開口を備えた管状の壁を備え、ブラインド部分123は、流体が通過できない周縁壁を備えている。
ブラインド部分123は、図1のコア120に構造的に同一であることができ、中空の管124と、管124を包囲してフィルタパック110の内縁に沿ったプリーツの隣接する脚部分間における三角形のギャップを埋める可撓性層125とからなる。中空の管124におけるそれぞれの端部は、キャップ126によってシールされ、例えば、これは、この発明の実施例においては、円錐形状を備えてコア120を出入するようにパーフォレーションを介しての流体の滑らかな流れを発生させるが、コア120におけるブラインド部分123の両端は、なんらかの適当なやり方でシールされる。ブラインド部分123は、好ましくは、フィルタパック110長さの少なくとも約50%、より好ましくは少なくとも約75%、および、さらにより好ましくは少なくとも約90%にわたって連続的に延びている。
フィルタパック110の長手方向端面はシールされ、流体が、長手方向端面を介してではなく、コア120を介してフィルタエレメント100を出入するようにする。この端面は、適切なやり方でシールできる。例えば、これらは、フィルタパック110のそれぞれの長手方向端においてフィルタ層の径方向内側および外側の一方あるいは両方に配置された前述の実施例において使われたシーリング片のようなシーリング片によってシールできる。図示の実施例において、端面のそれぞれは、シーリング片を使わずに対応する端部キャップに対してシールされるので、フィルタエレメント100にプリーツを付ける処理が簡単になる。
端部キャップ130、140とフィルタパック110は、接着剤による接着、溶融接着、スピン溶接、あるいは、機械的なシーリング方法などによって端部キャップとフィルタパック110が構成されている材料に対応して端部キャップをフィルタパックに接続する従来周知の方法で形成できる。この実施例においては、端部キャップ130、140のそれぞれは、フィルタパック110の対向する端面に溶融接着されている。
端部キャップ130、140は、コア120に固定されてフィルタエレメント100の強度を高めるかあるいはコア120に対して移動できるようにされている。端部キャップをコア120にシールする必要はない。
端部キャップ130、140の形状は、それらが管シートその他の部材に接続されるやり方に基づいて選択できる。この実施例においては、上方の端部キャップ130は、フィルタパック110の上方端面に溶融接着によってシールされる環状板131と、この環状板131から上方に延びている管状部分132と、および、この管状部分132の上端から径方向外方に延びているフランジ133からなるフェルール型端部キャップである。
Oリングあるいはガスケットのような管状部分132を包囲するシーリング部材134は、フランジ133の下面と上方の管シート150の開口151に形成された棚152の下面間に軸方向に圧縮される。必要あれば、抑制板、クランプ、あるいは、その他の適当な部材が、フランジ133にプレスされてシーリング部材134を圧縮状態に保持する。
下方の端部キャップ140は、環状板141からなり、この板は、フィルタパック110の下方端面と、環状板141から下方に延びる管状部分142とに溶融接着されてシールされる。管状部分142は、Oリングのような一つあるいはそれ以上のシーリング部材143を備えており、これらのシーリング部材は、その外部に取り付けられていて下方の管シート155内の開口156に接続する下方の管シート155から上方に延びている従来周知の設計である中空の管シートアダプタ157の内縁に対してピストンシールを形成している。端部キャップ130、140は、多くのその他の手段によっても管シートに取り付けることができる。例えば、端部キャップのそれぞれは、図1の実施例におけるようにピストンシールによって対応する管シートに接続することができ、あるいは、端部キャップの両方が、圧縮シールによって管シートにシールすることができる。
図5は、端部キャップに対する多くの可能な構造のうちの二つを示すものであり、必要なその他のタイプあるいは形状の端部キャップを代わりに使うこともできる。
コア120における上方のパーフォレーション部分121のパーフォレーションを包囲しているフィルタパック110における上方の長手方向端において、処理流体は、まず、パーフォレーションから出る際にプリーツのほぼ径方向に内側の排出層から流れ、次いで、プリーツの軸方向に流れるように方向を変え、すなわち、フィルタエレメント100の長手方向に流れる。コア120における下方のパーフォレーション部分122のパーフォレーションを包囲しているフィルタパック110における下方の長手方向端において、フィルタリング流体は、まず、プリーツのほぼ軸方向に内側の排出層から流れ、次いで、プリーツの径方向に流れてパーフォレーションに入るように方向を変える。従って、フィルタパック110における上方および下方の長手方向端において、内側の排出層は、流れの方向変換にできるだけ小さな抵抗を示すように選択されていることが好ましい。例えば、軸方向および径方向にほぼ等しい抵抗を備えたダイアモンドメッシュが、これらの領域にふさわしい。
コア120におけるブラインド部分123を包囲しているフィルタパック110の領域において、フィルタエレメント100の長手方向に延びる平行なストランドを備えたDELNETのような径方向よりも軸方向に抵抗の少ない内側の排出層用の材料を用いると良い。
メッシュのタイプが異なるような内側の排出層を形成する別のタイプの組み合わせられた材料が、フィルタエレメント100の長手方向に重なりあるいは重ならないような合成体を構成するようにプリーツを形成することができる。外側の排出層内において、流体の流れの方向がフィルタパック110の全長にわたってほぼ同じであるので、単一タイプの排出材料が全長にわたって使える。
図5の実施例は、フィルタリングおよび洗浄中は図1の実施例とほぼ同じように作動させられ、二つのフィルタエレメント10と100との間の効率にはほとんど違いがない。このようにして、図1のフィルタエレメント10と同じように、図5のフィルタエレメント100は、クロスフローモードにおいてもデッドエンドモードにおいてもフィルタリングを行なうことができ、従って、逆流洗浄でもクロスフローでも洗浄できる。しかしながら、図5の実施例はシーリング片を用いないので、フィルタパック110をプリーツ状にして端部キャップに取り付ける処理は、わずかに容易になる。
この実施例において、包囲部材111は、フィルタエレメント100の最も外側の部分を構成している。図4の実施例と同様に、フィルタエレメント100はさらに、端部キャップ間にフィルタパック110を包囲する管を備え、ある領域を除いて(管の長手方向中央付近におけるパーフォレーションを通過するような)フィルタパック110と浸透室161との間に流体が流れることを阻止して逆流洗浄の均一性を高める。
前述の実施例において、処理流体は、フィルタ層の径方向外側に配置された外側の排出層内でフィルタエレメントの長手方向に流れる。図6の実施例は、フィルタエレメント200の実施例を示すもので、処理流体は、フィルタ層の径方向外側に配置された外側の排出層内でフィルタエレメント200の長手方向に流れる。
フィルタエレメント200は、図1の実施例と同じようにハウジング内に装着されており、ハウジングの内部を処理流体室255、濃縮流体室256、および、浸透室257に分割する上方および下方の管シート250と252とからなる。これらの室のそれぞれは、室の内部とハウジングの外部とを流体的に接続する図示せぬ流体ポートを備えている。単一のフィルタエレメント200のみが示されているが、複数のフィルタエレメント200を同じようにしてハウジング内に設けるようにしても良い。上述の実施例のように、フィルタエレメント200は、中空のプリーツ付きのフィルタパック210、フィルタパック210によって包囲されたコア220、横たえられた状態にフィルタパック210のプリーツを保持する包囲部材215、フィルタパック210のそれぞれの長手方向端に配置された端部キャップ230、235、および、端部キャップ間に延びるとともにフィルタパック210を包囲する管240からなる。
フィルタパック210は、上述の実施例に関して述べられたような構造を持つことができる。図示の実施例において、フィルタパックは、フィルタ211、内側の排出層212、および、外側の排出層213である3層の合成体からなる。合成体は、図1に示されているような図示せぬらせん状の包囲部材によって横たえられた状態に保持されている軸方向に延びるプリーツに形成されている。
処理流体は、その上方の長手方向端面からフィルタエレメント200内に導かれる。処理流体がプリーツの径方向内部に沿って流れることを阻止するために、その径方向内側でプリーツの隣接する脚部分間の空間が、液体の流入に対してシールドされる。シーリングは、前述の実施例に関して述べられたいずれかのやり方で実行される。図示の実施例においては、図1の実施例におけるシーリング片に同様のシーリング片214が、フィルタエレメント200の上方の長手方向端においてそれぞれのプリーツの径方向内側に合成体となるようにプリーツを付けられ、その際シーリング片は径方向外側には存在しないので、処理流体は、外側の排出層213内に流れ込むことができる。上方の端部キャップ230は、図1の実施例における端部キャップと同じ構造を備え、従って、同じようにフィルタパック210に取り付けられる。
コア220は、図1の実施例と同様なブラインドコアであるか、あるいは、処理流体がフィルタエレメントの長手方向に流れることができる開放コアであるかする。この実施例においては、コア220は、その全長にわたってパーフォレーションを設けられており、浸透流体が、その壁を通過してその内部に沿って流れる。コア220の上方の長手方向端は、例えば、ストッパ221、あるいは、その他の適当な手段によって閉じられて処理流体がそこに入ることを阻止しており、他方で、下方の長手方向端は、開放されて浸透流体がコア220から流れ出て浸透流体室257に入ることを可能にしている。
フィルタパック210は、処理流体が濃縮流体流体室256に排出される前にフィルタエレメント200の相当な長さにわたって処理流体を流すように押しやる部材によって包囲されていることが好ましい。この実施例において、この機能は、フィルタパック210を包囲している管240によって達成され、この管は、その長さの大部分についてパーフォレーションを備えないとともに非浸透性を備え、しかし、下方の管シート252にできるだけ近くに配置された濃縮流体室256に流体接続されたパーフォレーション241あるいはその他の開口を備え、処理流体がパーフォレーション241を通過して濃縮流体室256に流入する前にフィルタパック210のほぼ全長にわたって流れなければならないようにする。パーフォレーション241を設ける代わりに、管240は、下方の管シート252の手前で終了しなければならず、フィルタリング流体は、管240の下端および下方の管シート252間における空間を通過して濃縮流体室256に流入する。
管240以外の部材は、例えば、フィルタパック240の回りに配置されているとともに処理流体に非浸透性でありかつフィルタリング流体が濃縮流体室256内に流れるその下端付近に開口あるいはギャップを備えたスリーブあるいは包囲部材のようなものからなり、処理流体が濃縮流体室256に流れ込むことを阻止する。例えば、フィルタパック210のプリーツを横たえられた状態に保持する包囲部材は、フィルタパック210の長さのほとんどにわたって流体が流れることを阻止するような材料から作られる。流体は、濃縮流体室256内に排出される前に好ましくは、フィルタパック210の長さの少なくとも約50%について、さらに好ましくは、約75%について、その上に好ましくは、約90%についてフィルタエレメント200の長手方向に外側の排出層213を通過して流れる。
管240は、フィルタパック210、あるいは、包囲部材215に接触することができ、あるいは、存在するならば、それらの間に径方向のギャップが存在できる。図4の実施例において、径方向のギャップが、好ましくは、十分に小さければ、フィルタエレメント200の長手方向に流れる処理流体が、このギャップを通過するのではなくてフィルタパック210の外側の排出層213を流れる。このようにして、パーフォレーション241と処理流体255間の流体流に対する抵抗は、フィルタパック210の外縁と管240の内縁間のギャップに沿って通過する流路に沿うよりも外側の排出層213を介して流れる流路に沿ってより低速で流れることが好ましい。
フィルタパック210の下方の長手方向端面は、シールされて流体が浸透流体室257に入ることを阻止するのが好ましい。この端面は、シーリング片、接着剤、あるいは、端部キャップにより前述の実施例に関して述べたようなやり方でシールできる。この実施例においては、下方の端部キャップ235は、下方の長手方向端面に溶融シールされる。下方の端部キャップ235は、コア220の下端を包囲する中央開口を備えている。下方の端部キャップ235は、コア220に保持されてフィルタエレメント200の強度を増加させているが、コア220にシールされる必要はない。
端部キャップ230、235は、液密に管シート250、252の対応する方に接続されている。この実施例においては、端部キャップのそれぞれは、対応する管シート250、252における開口251、253の内縁に対してピストンシールを形成するために取り付けられているOリングのような一つあるいはそれ以上のシーリング部材を備えているが、それらは、図5に示されているのと同じようにして適当なやり方で管シートに接続できる。
図7は、図6の7−7線に沿って見たフィルタエレメント200の横断断面図である。フィルタパック210は、シーリング片214が内側の排出層212の径方向内側面に隣接して配置されていること、すなわち、フィルタ層11から離れている内側の排出層の側に配置されていることを除けば、図2に示されるフィルタパックと同じような構造を備えている。内側の排出層212は、図2に示されるものと同じ構造を備えているが、この図においては内側の排出層212の開口内に突き出しているシーリング片214によって見えないように隠されている。シーリング片214から離隔して配置されているフィルタエレメント200の一部分において、フィルタパック210の横断断面は、図2に示されるものと同じである。
図6に示すフィルタエレメント200は、クロスフローモードあるいはデッドエンドモードのいずれかにおいて処理流体のフィルタリングを行なうことができる。フィルタエレメント200がクロスフローフィルタリングに用いられるときは、三つの室255、256、および、257のすべての流体ポートが、開放される。処理流体は、次いで、フィルタパック210における上方の長手方向端面を介して処理流体室255からフィルタエレメント200に導かれる。内側の排出層212は、シーリング片214によってシールされるが、外側の排出層213は、シールされず、処理流体は、外側の排出層213に流れ込み、外側の排出層213内でフィルタエレメント200の長手方向に流れる。フィルタ層211の径方向内側の面に沿った外側の排出層213内における処理流体の流れは、フィルタ層211の径方向内側面上の粒子形成を阻止する流体せん断力を発生させる。同時に、処理流体の一部分は、フィルタ層211から内側の排出層212に流れ込んで浸透流体を形成する。フィルタ層211を通過しない処理流体は、管240の下端においてパーフォレーション241を介してフィルタエレメント200から濃縮流体室256に排出される。
浸透流体は、コア220に向かって内側の排出層212内部に流れ、次いで、コア220のパーフォレーションからその中心に流れる。浸透流体は、次いで、コア220の長手方向にコア220の内部に沿って流れ、フィルタエレメント200からコア220の開放下方端を介して浸透流体室257内に排出される。下方の端部キャップの代わりにあるいはそれに追加して、同様に、上方の端部キャップが開くことができ、従って、外側の排出層が、フィルタパックの下方の端部において、例えばシーリング片によってシールされる。浸透流体は、次いで、内側の排出層の下方端から浸透流体室内に流れる。
フィルタエレメント200がデッドエンドモードでフィルタリングを行なわねばならないとき、濃縮流体室256の流体ポートを閉じた状態で、室255と257のための流体ポートが開かれる。この状態において、フィルタされるべき処理流体は、クロスフローフィルタリングの際と同様に処理流体室255からフィルタエレメント200の外側の排出層213に導かれる。濃縮流体室257の流体ポートは閉じられているので、外側の排出層213内にあるすべての処理流体は、フィルタ層211から内側の排出層212に流れてフィルタリング流体となり、従って、内側の排出層212からフィルタリング流体は、コア220内に流れ、次いで、コア220の下方端から排出されて浸透流体室257内に流れる。
フィルタエレメント200は、逆流洗浄あるいはクロスフローのいずれかによって洗浄できる。逆流洗浄を行なうためには図1に関連して説明されたような一つあるいはそれ以上の適当な逆流洗浄流体が、浸透流体室257に導かれる。逆流洗浄流体は、次いで、コア220から径方向外側に流れてフィルタパック210内に入り、順次、内側の排出層212およびフィルタ層211を通過してフィルタ層211から取り除かれた粒子を伴って外側の排出層213に入る。
逆流洗浄流体および取り除かれた粒子は、次いで、外側の排出層213を介してフィルタパック210の長手方向に濃縮流体室256内に流れ、さらに、フィルタエレメント200の上方端に流れ、この上方端を介して処理流体室255内に流れる。逆流洗浄流体および取り除かれた粒子は、室の流体ポートを閉じられて処理流体室255および濃縮流体室256の一方に流れること阻止され、その際この一方の室は、逆流洗浄流体を受け取ることを阻止したい室である。逆流洗浄中に、逆流洗浄流体は、フィルタパック210に径方向外側に向かう力を加える。この力は、管240および/あるいは包囲部材によって抵抗されてフィルタパック210が損傷を受けることを防止される。
処理流体室255および濃縮流体室256を開放した状態でクロスフローによってフィルタエレメント200を洗浄するために、図1の実施例に関して記述された順次供給される水および空気、水および空気の混合、あるいは、その他のものような一つあるいはそれ以上の適切なクロスフロー洗浄流体が、処理流体室255から濃縮流体室256に1回あるいはそれ以上の回数フィルタパック210における外側の排出層213を介して導かれ、あるいは、反対の方向からフィルタ層211から粒子を取り除くように導かれ、および、洗浄流体とともにフィルタエレメント200からそれらを取り除くために導かれる。洗浄流体と粒子は、次いで、ハウジングから排出される。洗浄流体がフィルタエレメント200を通過しているとき、浸透流体室257とコア220の内部は、フィルタパック210の外側の排出層213における圧力に等しいかそれよりも大きな圧力に維持され、そのために、洗浄流体がフィルタ層211から押し出されず、粒子が洗浄流体によってより容易に除去できるフィルタ層213の面に押しつけられるようにすることが好ましい。
処理流体がフィルタ層の径方向外側に沿って流れ、浸透流体とフィルタリング流体がフィルタエレメントの中空の中心を流れる、この実施例のようなフィルタエレメントと、処理流体がフィルタ層の径方向内側に沿って流れる図1−図5の実施例のようなフィルタエレメントとは、フィルタリングという点では、ほとんど等しい効率を有している。しかしながら、逆流洗浄流体がフィルタエレメントの中空の中心に導かれて径方向外側に力を加えるようにしたこの実施例の方が、容易にフィルタエレメントを逆流洗浄できる。
図8は、この発明によるフィルタエレメント300の断面図を含む正面図であり、この実施例では、処理流体が、フィルタエレメント300の長手方向端の一方からではなく、フィルタエレメント300を包囲している処理流体室からフィルタエレメント300内に導かれる。フィルタエレメント300は、前の実施例の場合と同様にハウジング内に設けられ、ハウジングの内部を濃縮流体室355に分割する二つの管シート350、352、処理流体室356、および、濃縮流体室357を含む。室のそれぞれは、室の内部とハウジングの外部との間を流体的に接続する図示せぬ流体ポートを取り付けられている。ハウジングは、同様に、単一のフィルタエレメント300あるいは複数のフィルタエレメント300を含むことができる。前述の実施例とは異なって、処理流体室356は、管シート350、352の間に配置され、フィルタエレメント300を包囲している。
前述の実施例のように、フィルタエレメント300は、プリーツの付いたフィルタパック310、フィルタパック310によって包囲されているコア320、および、フィルタパック310のそれぞれの端部に配置されている端部キャップ330、335を含む。フィルタパック310は、前述の実施例に関して述べられた構造のいずれかにより構成できる。例えば、これは、内側の排出層、フィルタ層、および、外側の排出層を有する3層合成体を含み、図1に示されるような図示せぬらせん状包囲部材によって横たえられた状態に保持されている軸方向に延びているプリーツを形成することができる。
フィルタパック310の上方および下方の長手方向端は、それぞれのプリーツの径方向内側にシールされており、従って、流体はフィルタパック310の端面を介して外側の排出層を出入できるが、内側の排出層を出入することはできない。前述の実施例に関して述べられたいずれかの方法を用いてシーリングを行なうことができる。図示の実施例においては、図1の実施例において使われたものと同じものであるシーリング片311は、フィルタパック310の長手方向端の両端において内側の排出層で合成体を形成するようにプリーツ化される。これらのシーリング片311は、図1に示されたシーリング片24と同じように機能してフィルタ層の径方向内側でプリーツの隣接する脚部分の向かい合う面間のすべてのギャップを埋める。
端部キャップ330、335は、フィルタパック310の長手方向の両端においてプリーツの径方向外側でフィルタパック310から流体を出入させることができる構造を有することができる。この実施例において、上方の端部キャップ330は、図1の実施例における端部キャップ40と同じであり、従って、上方の管シート350に形成されている孔351に対してピストンシールを形成するOリングのような一つあるいはそれ以上のシーリング部材331を含んでいる。端部キャップ335は、上方の端部キャップ330に類似しているが、管シートに対してシールされないのでシーリングリングを備えてはいない。
コア320は、フィルタエレメント300の長手方向に浸透流体を送り込むことができ、従って、浸透流体を浸透流体室内に排出できるような構造を有している。この実施例においては、これは、浸透流体がコア320の中心に流入することができるパーフォレーション付きの部分321を備えた中空の管と、下方の管シート352に係合するためにフィルタパック310の外部に下方の端部キャップ335を貫通して延びる非パーフォレーション部分322とを含む。
非パーフォレーション部分322の下方端は開いているのに対して、コア320の上方端は閉じられて浸透流体が濃縮流体室355に流れ込むのを阻止し、これにより、浸透流体が下方端を通過して浸透流体室357内に流れることを可能にしている。非パーフォレーション部分322の下方端は、下方の管シート352に流体的に接続するように構成されている。例えば、これは、下方の管シート352における孔353の内面に対してピストンシールを形成するOリングのような一つあるいはそれ以上のシーリング部材324を取り付けられているフランジ323をその下方端に有している。端部キャップは、図5に示されているやり方を含む様々な方法で管シート350、352に接続することができる。
フィルタパック310は、上方および下方の端部キャップ330、335間に配置されるとともに処理流体に不浸透性であって処理流体がフィルタパック310に流れ込むその下端を除いて処理流体室からフィルタパック310を流体的に遮断している部材によって包囲されている。この実施例においては、この不浸透性の部材は、フィルタパック310を包囲するとともに両方の端部キャップ330、335にシールされることが好ましい管340である。フィルタエレメント300をクロスフローモードで動作させるとともに洗浄されるようにしたいときは、管340は、フィルタパック310の外縁に、あるいは、もし配置されているのであれば包囲部材に密着嵌合することが好ましく、これにより、流体は、フィルタパック310の外縁と管340の内縁間のギャップに沿って流れてフィルタパック310をバイパスする代わりにクロスフロー中に主としてフィルタパック310を通過して流れる。例えば、管340は、フィルタパック310の外縁と、あるいは、包囲部材と接触するか、あるいは、それらの間に小さな径方向のギャップが形成されるかしても良い。管340以外の部材が、処理流体に不浸透性を備えた材料により構成された包囲部材のようなものを処理流体室356からフィルタパック310を分離するために使うこともできる。
図8の実施例がクロスフローモードでフィルタリングを行なうときは、すべての室355、356、および、357に対する流体ポートが開放され、従って、処理流体は、下方の端部キャップ335を介して処理流体室356からフィルタパック310に導かれる。プリーツの径方向内側はフィルタパック310の下方端においてシーリング片311によってシールされているので、処理流体は、フィルタ層の径方向外側で外側の排出層内に流れる。処理流体は、外側の排出層からフィルタパック310の長手方向に流れ、フィルタ層での粒子の蓄積を少なくするようにフィルタ層の径方向外側に流体せん断力を発生させる。
処理流体の一部は、フィルタ層を通過して浸透流体となるようにフィルタリングされ、他方、処理流体の残りの部分は、外側の排出層内をフィルタパック310の上方の長手方向端に向かって流れ、フィルタエレメント300の上方の端部から濃縮流体室355内に濃縮流体として排出される。浸透流体は、内側の排出層を経由してコア320に流れ、その内部で、浸透流体は、コア320の下方端から浸透流体室357内に排出されるようにフィルタエレメント300の長手方向に流れる。フィルタパック310の上方端は、シーリング片311によってプリーツの径方向内側でシールされるので、浸透流体は、濃縮流体室355に流れることを阻止される。
フィルタエレメント300がデッドエンドフィルタリングのために使われるときは、室356と357のための流体ポートが開放され、濃縮流体室355のための流体ポートが閉じられる。処理流体は、クロスフローフィルタリングのときと同じように下方の端部キャップ355を介してフィルタパック310に導かれ、外側の排出層に入る。濃縮流体室355が閉じられているので、処理流体のすべてが、フィルタ層を経由して外側の排出層から内側の排出層にフィルタリングされた流体となるように流れ込み、次いで、内側の排出層からコア320内に流れてコア320の下方端を経由してフィルタ層300から濃縮流体室357に排出される。
フィルタエレメント300は、逆流流体を濃縮流体室357に導くことによって逆流洗浄される。逆流流体は、圧力下で濃縮流体室357からコア320内に強制的に流され、次いで、コア320から外側に向かって外側の排出層に入り、その処理中に、フィルタ層に埋め込まれていたあるいは付着していた粒子を取り除く。逆流流体および逆流流体に混合している粒子は、次いで、フィルタエレメント300の長手方向に外側の排出層内部に流れてフィルタエレメント300から排出されて濃縮流体室355および処理流体室356の一方あるいは両方に流れ込む。
フィルタエレメント300はまた、クロスフローによって洗浄可能である。この洗浄のモードにおいて、処理流体室356と濃縮流体室355のための流体ポートが開かれている状態で、一つあるいはそれ以上の適切なクロスフロー洗浄流体が、フィルタパック310の外側の排出層を経由して1回あるいはそれ以上の回数処理流体室356から濃縮流体室355方向にあるいは反対の方向に流れ、その処理中に、洗浄流体は、流体せん断力を発生させてフィルタ層から粒子を除去するとともにそれらをフィルタエレメント300から排出する。クロスフローが必要な回数だけ実行された後、洗浄流体と粒子は、ハウジングから排出される。洗浄流体がフィルタエレメント300を通過しているとき、浸透流体室357とコア320の内部は、フィルタパック310の外側の排出層内部における圧力に等しいかあるいはそれよりも高い圧力に維持されていることが好ましい。
図8の実施例は、例えば、ハウジングをその他の機器に接続するのが最も容易であるので、処理流体室356が管シート350、352の上方あるいは下方にあるよりもそれらの間にあることが望ましいという状況が存在するときは、有効である。クロスフローフィルタリングあるいは洗浄の間、処理流体あるいは洗浄流体は、方向変更をすることなくフィルタパック310の全長にわたって流れることができるので、クローフローを行なっている流体は、良好なクロスフローを行なう高速度を維持されてフィルタ層の径方向外側への粒子の形成を阻止するかあるいはクロスフロー洗浄中に弧のような粒子を除去することができる。
以上の実施例において、処理流体は、フィルタエレメントの長手方向端からフィルタエレメント内に導かれたが、この長手方向端を通過することなく処理流体をフィルタエレメント内に導くことも可能である。図9は、上方の管シート250上方の空間が濃縮流体室256として機能し、管シート250と252の間の空間が処理流体室255として機能し、下方の管シート252における下方の空間が浸透流体室257として機能することを除いては、図6に示されるのと同じハウジング内に装着されている図6のフィルタエレメント200を示している。上述の実施例と同じように、ハウジングは、単一のフィルタエレメント200あるいは複数のフィルタエレメント200を収容することができる。
クロスフローモードでのこの構成を用いたフィルタリングを行なうときは、すべての室255、256、および、257に対する流体ポートが開放され、従って、処理流体は、管240のパーフォレーション241を経由して処理流体室255からフィルタエレメント200に導かれる。パーフォレーション241を通過するとき、処理流体は、フィルタパック210を包囲している包囲部材からフィルタパック210の外側の排出層内に流れる。次いで、処理流体は、フィルタエレメント200の長手方向にフィルタエレメント200の上方端に向かって外側の排出層内に流れ、フィルタ層の外面に粒子の付着を妨げる流体せん断力を発生する。
処理流体が外側の排出層を通過して流れる際、処理流体の一部はフィルタ層を通過して流れ、浸透流体を形成するようにフィルタリングされ、他方、その他の部分は、濃縮流体としてフィルタパック210の上方の長手方向端面から排出される。浸透流体は、径方向に内側の排出層を通過してコア220の中心に流れ、これに沿って下方の端部キャップの軸方向外側に流れて浸透流体室257に入る。フィルタエレメント200の上方端においてシール片214は、フィルタ層の径方向内側にシールを形成してフィルタパック210の上方の長手方向端面から流体が流れることを阻止しして浸透流体のすべてがコア220内に流れるようにする。
デッドエンドモードでフィルタリングを行なうために、室255と257のための流体ポートが開かれ、濃縮流体室256のための流体ポートが閉じられる。処理流体は、次いで、処理流体室255からフィルタエレメント200に管240のパーフォレーション241を経由して流れ、さらに、クロスフローフィルタリングのときと同様にしてフィルタパック210の外側の排出層に流れる。濃縮流体室256のための流体ポートが閉じられているので、外側の排出層内にあるすべての処理流体は、フィルタ層から内側の排出層に流れてフィルタリングされた流体を形成し、次いで、内側の排出層からコア220に流れてフィルタエレメント200からコア220の下端を経由して浸透流体室257に流れる。
フィルタエレメント200を逆流洗浄したいときは、逆流洗浄流体が、浸透流体室257からコア220内に導かれて圧力下に強制的にコア220のパーフォレーションを外側に向かうように流れさせられてフィルタパック210に流れる。フィルタパック210内で、逆流洗浄流体は、内側の排出層からフィルタ層を経由して流れて外側の排出層に入り、処理中に、フィルタ層内部にある粒子あるいはその径方向の外側の面に付着している粒子を除去する。除去された粒子を含んでいる逆流洗浄流体は、次いで、フィルタエレメント200からフィルタパック210の上方の長手方向端面を経由して濃縮流体室におよび/あるいは管240におけるパーフォレーション241を経由して処理流体室255に流れ出る。必要があれば、逆流洗浄流体は、これを受け入れるべきではない室に連絡している導管との接続を遮断することにより室255あるいは256の一方に流れることを阻止される。
図9に示されるフィルタエレメント200はまた、図6に示されるフィルタエレメント200に関して説明したのと同じようにしてクロスフロー洗浄を受けることができる。
この発明によるフィルタエレメントは、ハウジングの管シートに接続される必要はない。図10は、この発明によるフィルタアセンブリの断面図を含む正面図であり、管シートを備えないハウジング440と、このハウジング440内に配置されたフィルタエレメント400を備える。
ハウジング440は、フィルタエレメント400を包囲している細長い筒状の部材の形をしており、その一端に設けた処理流体入口441、その他端に設けた処理流体浸透流体出口442、および、処理流体入口441から離隔して配置された濃縮流体出口443を含む。濃縮流体出口443は、フィルタエレメント400の下方端よりも処理流体入口441から遠方にあって、処理流体が濃縮流体出口443から排出される前にフィルタエレメント400の全長にわたって流れるようにしている。入口441と出口442、443を通過する流れは、適当な図示せぬバルブによって制御できる。
前述の実施例と同じように、図示されているフィルタエレメント400は、中空のプリーツ状のフィルタパック410、フィルタパック410によって包囲されている中空のパーフォレーション付きのコア420、および、フィルタパック410のそれぞれの長手方向端に配置された端部キャップ430、431を含む。フィルタパック410は、前述の実施例に関して述べられたいずれかの構造を備えることができ、例えば、内側の排出層、フィルタ層、および、外側の排出層からなる3層合成体の構造を備え、らせん状の包囲部材411によって横たえられた状態に保持されている軸方向に延びるプリーツに形成されることができる。
この実施例において、クロスフローフィルタリング中、処理流体は、フィルタエレメント400の長手方向に外側の排出層に流れ、他方、浸透流体は、内側の排出層内をコア420に流れ、次いで、コア420を介して浸透流体出口442に流れる。従って、フィルタパック410の上方および下方の長手方向端は、フィルタ層の少なくとも径方向内側でシールされて処理流体が上方の長手方向端において内側の排出層に流れることを阻止するとともに浸透流体が内側の排出層における下方の長手方向端から流れることを阻止する。シーリングは、前述の実施例に関して述べられたいずれかのやり方で行なえる。この実施例において、フィルタパック410におけるそれぞれの長手方向端面は、端部キャップ430、431の一方に溶融シールされて流体が長手方向端面のいずれかから流れることを阻止する。あるいは、シーリングは、例えば、合成体を構成するようにプリーツ化されたシーリング片を用いて実行できる。
端部キャップ430、431は、特別な形状を備える必要はなく、従って、前述した実施例に使われたものと同じ形状で良い。下方の端部キャップ431は、その中心に開口を備え、この開口を介して、流体が、コア420と浸透流体室442間に流れることができる。上方の端部キャップ430は、ブラインド端部キャップあるいは開放端部キャップからなる。流体はコア420の上方の端を流れないので、上方の端部キャップ430をコア420の上方の端を閉じるブラインド端部キャップにしておくと好都合である。上方の端部キャップ430が開いていると、コア420の上方の端は、別のやり方で閉じられることになる。
外側の排出層に停滞した領域が生じる、すなわち、処理流体が静止しているような領域が生じるのを防ぐために、端部キャップは、フィルタエレメント400の長手方向中心に向かって傾斜することができて流体がフィルタパック410の長手方向端部を妨げられずにスムーズに出入できるようにしている。さらに、流線型にされた流れスム−ズ化部材432と433は、端部キャップと一体的にあるいは別個に形成されて、フィルタエレメント400の長手方向端に配置されて停滞した領域がそれらの端部に形成されることを阻止している。
フィルタエレメント400は、ハウジング440に着脱自在にあるいは固定的に装着できる。この実施例において、フィルタエレメント400の下方端は、ハウジング440内で浸透流体出口442に接続されている管444に取り外し不能に取り付けられている。ハウジング440は、処理流体がフィルタパック410の上方端においてフィルタパックに流れることを可能にするとともに濃縮流体がフィルタパック410の下方端においてフィルタパックから排出されることを可能にするような形状にされる。
フィルタエレメント400がフィルタリング中あるいは洗浄中クロスフローモードで動作させられるべきとき、ハウジング440の内縁は、フィルタパック410の外縁に、あるいは、存在するならば、包囲部材にフィルタパック410のほとんど全長にわたって密着嵌合し、クロスフローを行なう流体が、フィルタパック410の外縁あるいは包囲部材とハウジング440の内縁との間の空間に流れることによってフィルタパック410をバイパスする代わりにクロスフロー中フィルタパック410を主として流れることになる。このようにして、処理流体入口441と濃縮流体出口443間の流体流に対する抵抗は、フィルタパック410の外縁ハウジング440の内縁との間の空間に沿って流れる流路に沿うよりもフィルタパック410の外側の排出層を介して流れる流路に沿って低い方が好ましい。
図10において、ハウジング440の内縁は、端部キャップ430、431の付近において第1の距離だけフィルタエレメント400の外縁から離隔して配置されることが好ましく、従って、流体は、フィルタパック410の端部において、フィルタパック410を出入でき、および、端部キャップ間におけるフィルタパック410の領域の大部分において、ハウジング440は、より小さな内径を備えているので、ハウジング440の内縁がフィルタパック410の外縁および包囲部材411間に十分接近してハウジング440の内縁に沿った流体のバイパスを制限する。フィルタハウジング440が、一定の直径を備えるとともにスリーブのようなインサトが、フィルタパック410の外縁および包囲部材411およびハウジング440の内縁間に配置されてハウジング440の内縁に沿った空間を十分に埋めて流体のバイパスを少なくするかあるいは阻止するようにすることもできる。
この実施例によりクロスフローフィルタリングを行なうには、入口441および出口442と443を開いた状態で、処理流体は、処理流体入口441を経由してハウジング440内に導かれる。処理流体は、フィルタエレメント400の外縁とハウジング440の内縁壁との間のギャップを通過し、その一部は、らせん状包囲部材411からフィルタパック410の外側の排出層内に流れる。外側の排出層内において、処理流体は、フィルタエレメント400の長手方向にその下方端に向かって流れる。そのようにするとき、処理流体の一部は、フィルタ層から内縁の排出層に流れて浸透流体を形成し、これは、内縁の排出層内をコア420に流れる。次いで、浸透流体は、コア420の長手方向にコア420の内部に沿って流れて浸透流体出口442を経由してハウジング440から排出される。
フィルタ層を通過しない処理流体は、フィルタパック410の下方端において外側の排出層の外に流れてフィルタエレメント400とハウジング440の内縁壁との間にあるギャップに流れ込み、そこから、濃縮流体出口443を経由してハウジング440から排出される。フィルタ層の外面に沿った外側の排出層内をフィルタエレメント400の長手方向への処理流体の流れは、フィルタ層での粒子の成長を妨げる流体せん断力を発生させてその寿命を長くする。
デッドエンドフィルタリングを行なうために、処理流体入口411と浸透流体出口442は開放されるが、濃縮流体出口443は閉じられる。処理流体は、次いで、処理流体入口411を介してハウジング440に流れ、クロスフローフィルタリング中、フィルタパック410の外側の排出層に流れる。濃縮流体出口443を閉じた状態で、外側の排出層内における処理流体のすべては、フィルタ層を介して内側の排出層に流れてフィルタリングされた流体を形成し、これは、ついで、コア420内に流れて浸透流体出口442を介してフィルタエレメント400から排出される。
フィルタエレメント400は、浸透流体出口442を介してハウジング440内に逆流洗浄流体を導くことによって逆流洗浄される。逆流洗浄流体は、圧力下にコア420内に強制的に流され、次いで、コア420内のパーフォレーションからフィルタパック410の内側の排出層に強制的に流され、順次、内側の排出層と外側の排出層内のフィルタ層を通過し、処理中、フィルタ層に埋め込まれているあるいは付着している粒子を除去する。逆流洗浄流体と取り入れられた粒子は、次いで、外側の排出層を経由しておよびフィルタエレメント400の内縁とハウジング440の内壁間のギャップを経由してフィルタパック410の長手方向に流れ、処理流体入口441と浸透流体出口442のいずれが開放されているかに応じて両者の一方あるいは両方を経由してハウジング440から排出される。
フィルタエレメント400はまた、クロスフローモードにおいて洗浄できる。このモードにおいて、処理流体入口441と濃縮流体出口443を開放した状態で、一つあるいはそれ以上の適当なクロスフロー洗浄流体が、フィルタパック410を経由して1回あるいはそれ以上の回数濃縮流体出口443に向けてあるいはその反対方向に処理流体入口441から流れてフィルタ層から粒子を除去してフィルタエレメント400からそれらを排出する。洗浄流体と除去された粒子は、次いで、入口441あるいは出口443のいずれかを介してハウジングから排出される。洗浄流体がフィルタエレメント400を通過しているとき、コア420の内部は、フィルタパック410の外側の排出層内における圧力に等しいかあるいはそれよりも高い圧力に維持されて外側の排出層におけるクロスフローの効率を高めるようにすることが好ましい。
図10に示されているフィルタアセンブリのハウジング440はフィルタエレメント400を密に包囲しているので、アセンブリは、低い流体の滞留容積を持ち(フィルタエレメント400を包囲するハウジング440の部分に存在する流体の容積)、従って、軽量、コンパクトにでき、廃却される材料の量を少なくすることが望ましいので、使い捨てのフィルタアセンブリとして極めて有効である。フィルタアセンブリはまた、設備に使える空間が制限されているような場所で使うのに特に適している。
フィルタハウジングのコストは、その長さではなくてハウジングの直径に非常に依存する。従って、同じ容積の二つのハウジングに対して、二つのうち小さな直径を持つハウジングの方が、大きな直径のハウジングよりも、例え、この小さな直径のハウジングの長さが長くても、製造コストが安い。それゆえ、フィルタリングシステムの設計者は、しばしば、その長さを増加させてフィルタハウジングの直径を小さくしようと試みるのである。
長いフィルタハウジングの容積を有効に利用するために、通常、ハウジング内に配置されるフィルタエレメントをできるだけ長くし、あるいは、複数のフィルタエレメントをハウジング内部に直列に接続し、フィルタエレメントあるいは複数のフィルタエレメントがハウジングの長さの大部分を占めるようすることが好結果につながる。しかしながら、フィルタエレメントがフィルタリングあるいは洗浄のいずれかにおいてクロスフローで作動させられるとき、クロスフローの効率は、通常、フィルタエレメントが長くなればなるほど低下する。これはフィルタエレメントを介してのクロスフローの抵抗はその長さが大きくなると増加するためであり、従って、実際の流体圧においては、クロスフローを実行する流体は、効果的な十分な速度を持つことができないのである。同様に、同じ流体が直列に接続された複数のフィルタエレメントを通過するとき、フィルタエレメントのすべての流れに対する総合的な抵抗は、効果的ではないクロスフローを実行する流体の速度を生じる。このようにして、従来周知のクロスフローフィルタエレメントでは、単一の短いフィルタエレメントが、長いフィルタエレメントあるいは直列に接続された複数のフィルタエレメントよりもはるかに効果的である。
図11は、この発明による複数のフィルタエレメント500、501が互いに直列に接続されているが、フィルタエレメントの流れに対する抵抗が効果的なクロスフロー速度を達成するのに十分に低いレベルに維持されているようにした構成を示している。図示の構成は、一連の三つの部材からなるが、もっと少ないあるいはもっと多い数のフィルタエレメントを同じように接続することができる構成を示している。それぞれのフィルタエレメントは、中空のプリーツ付きのフィルタパック510、このフィルタパック510によって包囲されているコア520、および、フィルタパック510のそれぞれの長手方向端部に配置された端部キャップ530あるいは535を含む。
フィルタエレメント500と501は、端部キャップについて、フィルタエレメント500は、異なる構造の二つの端部キャップ530と535を備え、および、フィルタエレメント501は、同じ構造の二つの端部キャップ535からなることを除いては、互いに同一であることが好ましい。
一連の部材が、ハウジングに配置され、ハウジングの内部を、処理流体室545、浸透流体室546、および、濃縮流体室547に分割する上方および下方の管シート540と542に取り付けられている。これらの室のそれぞれは、室の内部とハウジングの外部を流体的に接続する図示せぬ流体ポートを設けられている。図11は、一連のフィルタエレメントのみを示しているが、複数の同様なシリーズが、図示のようにハウジング内に設けられても良い。
上述の実施例のように、フィルタパック510は、広く変化する構成を取ることができ、例えば、内側の排出層、フィルタ層、および、外側の排出層を含む3層の合成体とし、この合成体が、らせん状包囲部材511によって横たえられた状態に保持されている軸方向に延びるプリーツに形成されているようにすることができる。端部キャップ530は、上方の管シート530あるいは下方の管シート542に液密に接続されるように構成される。この実施例において、端部キャップ530のそれぞれは、流体が通過できる中央孔を備えた平らな板531、板531から延びる管状部分532、および、管シート540あるいは542の対応する一方に形成された開口541あるいは543の内面に対してピストンシールを形成するために管状部分532の外部に取り付けられた一つあるいはそれ以上のOリング533あるいはその他のシーリング部材を含む。しかしながら、端部キャップ530は、その他の適切なやり方で、例えば、図5に示されるようなやり方で管シートに接続されることができる。端部キャップ530のそれぞれは、流体が浸透流体室546に漏れることなく連続して一つのフィルタエレメントから次のフィルタエレメントへ二つの隣接する端部キャップ535を経由して流れるように配置される。
隣接するフィルタエレメント500、501間の流体接続が、フィルタエレメントを互いに固定し、あるいは、固定することなく、様々なやり方で形成される。例えば、中空の接続部材が、隣接するフィルタエレメント500、501間に設けられてこれらを相互に接続することができ、端部キャップ535それ自身は、隣接するフィルタエレメントに接続できる接続部材を備え、端部キャップ535は、ガスケットあるいはその他のシーリング部材に対して軸方向に単純に圧縮されて対向する端部キャップ535の対向する面間をシールし、あるいは、端部キャップ535は、様々な接続方法で互いに直接固定されるようにすることができる。この実施例において、端部キャップ535のそれぞれは、フィルタエレメントのフィルタパック510における長手方向端面に対向するとともに流体が通過できる中央孔を備えた平らな板536を有している。管状部分537は、板536の孔を包囲する板536から延びている。管状部分537の端面は、例えば、溶融接着によって隣接するフィルタエレメントにおける端部キャップ535の管状部分537の端面にしっかりと固定され、これによって、連続配置されたフィルタエレメントの単一ユニットとしてのハウジングへの装着、あるいは、着脱を可能にする強固な接続が形成される。
フィルタエレメントのそれぞれは、クロスフローフィルタリング中、処理流体がプリーツの径方向内側に沿って流れ、浸透流体がプリーツの径方向内側に沿って流れるように構成される。
コア520のそれぞれは、図5の実施例のコアと同様に構造を備え、その際このコアは、壁を備え、この壁を経由してその長手方向端部のそれぞれにおいてコア520の内部とフィルタパック510間を流体が通過できるようにしたパーフォレーション付きの部分521と、二つのパーフォレーション付きの部分521間に延びる流体に不浸透性を備えた壁を有するブラインド部分522を含んでいる。図5の実施例におけるように、ブラインド部分522は、管状の壁523と、プリーツの径方向内端においてフィルタパック510の隣接するプリーツ間のギャップを埋める可撓性材料から形成された外面524とを備える。図5におけるフィルタエレメントのコアとは異なり、処理流体は、コアの全長にわたって長手方向にコア520を介して流れて処理流体の一部が一つのフィルタエレメントのフィルタパック510をバイパスすることを可能にするとともに連続する次のフィルタエレメントに流れ込むことを可能にする。それぞれのコア520は、コア520の上方端においてパーフォレーション付きの部分521の下流に配置された流れ制限部材を備えてコア520のブラインド部分522への流れを制限し、流体の一部が、コア520を単に通過して流れることによりフィルタパック510をバイパスするのではなくフィルタパック510に流れるようにする。
それぞれのフィルタエレメントは、一つあるいはそれ以上の流れ制限部材を備えている。この実施例において、流れ制限部材525の形を取る流れ制限部材は、それぞれのコア520におけるブラインド部分522のそれぞれの長手方向端に配置されている。それぞれの流れ制限部材525は、コア520のパーフォレーション付きの部分521とブラインド部分522の一方の間にサンドイッチされたディスク状のフランジを備えた部材からなる。流れ制限部材525は、コア520のブラインド部分522を出入する流れに必要な抵抗を生じさせるような大きさにされた直径をその中心に備えたオリフィスを含んでいる。パーフォレーション付きの部分521に対面する流れ制限部材525の面は、フィルタエレメント500、501の軸に関して傾斜してパーフォレーション付きの部分521に停滞領域が形成されることを防いでいる。
流れ制限部材525内のオリフィスの大きさはフィルタエレメントに応じて異なるが、製造を容易にするために、すべてのオリフィスが同じ大きさを備えているのが好ましい。流れ制限部材は、図11に示されている流れ制限部材525の形状に限定されるものではなく、コア520の長手方向にコア520を通過して流れる流体の抵抗を増加させる形状のものであれば使うことができる。例えば、コア520の壁は内側に締め付けられて流れを制限することができる。
流れ制限部材525におけるオリフィスの形状は、コア520における上方および下方のパーフォレーション付き部分521間において単一のコア520における二つの流れ制限部材525とブラインド部分522を通過して流れる流路が、フィルタパック510を経由してコア520の二つのパーフォレーション付き部分521間を通過して流れる流路よりも低い流れに対する抵抗を示すように選択されていることが好ましい。結果として、コア520における流れ制限部材525とブラインド部分522を介して流れる流体は、これがフィルタエレメント500あるいは501の下方端に達するときその運動のエネルギの大部分を保持し、従って、シリーズ全体にわたってフィルタエレメントのシリーズ中における次のフィルタエレメントに効果的にクロスフローを生じさせることができる。このようにして、図11の構成は、フィルタエレメントにおける有効なクロスフロー速度を維持しつつ、長いフィルタエレメントあるいはシリーズに配置されているフィルタエレメントの空間的な効率を達成することができ、従って、小さな直径を備えた長いハウジングの効果的な使用が可能になる。
図11の構成を用いてクロスフローフィルタリングを行なうとき、処理流体はそれぞれのフィルタパック510における内側の排出層内を流れ、浸透流体はその外側の排出層内を流れる。従って、それぞれのフィルタエレメント500、501の上方の長手方向端は、処理流体がフィルタエレメントの外側からは内側の排出層に入ることができるが、外側の排出層に入ることができず、また、処理流体が浸透流体室546に漏れることを妨げるように構成されている。それぞれのフィルタエレメントにおける下方の長手方向端は、処理流体と浸透流体がフィルタエレメントから出て、シリーズに配置されている次のフィルタエレメントの上方端あるいは濃縮流体室547に流れ込むが、浸透流体室546に漏れることを阻止されるように構成されている。フィルタエレメントの両端は、それらの目的を達成するために様々なやり方で構成できる。この実施例において、それぞれのフィルタパック510の長手方向端は、例えば、溶融接着によって対応する端部キャップ530、535にシールされ、従って、フィルタエレメントの長手方向端を出入するすべての流体は、フィルタパック510の長手方向端面を介して流れることなく端部キャップ530、535の中心における孔を通過する。
しかしながら、長手方向端面は、このようにしてシールされる必要はなく、従って、処理流体は、フィルタパックの長手方向端面を介して一つのフィルタエレメント500、501から次のフィルタエレメントに流れることができる。例えば、シーリング片が、それぞれのフィルタパック510において外側の排出層をシールするように使われ、他方で、処理流体が、シリーズに配置されている一方のフィルタエレメントにおける内側の排出層から次のフィルタエレメントにおける内側の排出層に長手方向端面を介して流れるようにすることができる。
三つの室545,546、および、547のすべての流体ポートを開放した状態で、クロスフローフィルタリングを行なうために、処理流体は、上方の管シート540を介して処理流体室545からシリーズに配置されている最上方のフィルタエレメント510に導かれる。処理流体は、コア520における上方のパーフォレーション付き部分521内に流れる。処理流体の一部は、フィルタパック510内に上方のパーフォレーション付き部分521のパーフォレーションを経由して流れ、他方、処理流体の残りの部分は、上方の流れ制限部材525を介してブラインド部分522に流れ、ブラインド部分522を介して、ブラインド部分522の下方端において下方の流れ制限部材525を介して下方のパーフォレーション付き部分521内に流れる。フィルタパック510内に流れるあるいはコア520を介して流れる処理流体の比率は、フィルタパック510によって与えられるあるいは流れ制限部材525によって与えられる流れに対する相対的な抵抗により決定される。
上方のパーフォレーション付き部分521のパーフォレーションを介して流れる処理流体は、フィルタパック510の内側の排出層に流れ、フィルタエレメント500、501の長手方向において内側の排出層内に流れ、フィルタ層の径方向内側に流体せん断力を発生させてフィルタ層上への粒子の蓄積を禁止する。処理流体の一部は、フィルタ層を介して流れて外側の排出層に入って浸透流体を形成し、他方、処理流体の残りの部分は、内側の排出層内をフィルタパック510の下方の長手方向端に流れる。浸透流体は、包囲部材511を介して外側の排出層から浸透流体室546に流れる。最上方のフィルタエレメント500におけるフィルタパック510の下方の長手方向端は、端部キャップ535によってシールされているので、濃縮流体は、パーフォレーションを介してコア520の下方のパーフォレーション付き部分521に流れてコア520におけるブラインド部分522を通過した処理流体と一体化する。
一体化された濃縮流体と処理流体とは、次いで、最上方のフィルタエレメント500からシリーズに配置されている次のフィルタエレメントの上方端に排出されて次のフィルタエレメント501に使われる処理流体となり、その際フィルタパック510を介して流れる処理流体の一部およびフィルタパック510に入らないでコア520に流れる一部の上述された処理が、繰り返される。フィルタエレメント501の下方端に達する処理流体および濃縮流体は、処理流体としてシリーズに配置されている次のフィルタエレメント500に導かれ、従って、最終的に、シリーズに配置されている最後のフィルタエレメント500の下方端に達する処理流体および濃縮流体は、下方の管シート542を経由して濃縮流体室547に排出される。
デッドエンドフィルタリングの実行が必要なときは、処理流体は、クロスフローフィルタリング中と同じように上方の管シート540を介して処理流体室545から最上方のフィルタエレメントに導かれるが、室545と546のための流体ポートは開放され、濃縮流体室547のための流体ポートは閉じられている。コア520のすべてが、流れ制限部材525のオリフィスによって相互に接続されているので、処理流体は、それぞれのコア520のパーフォレーション付き部分521に流れ、次いで、パーフォレーション付き部分521を経由してそれぞれのフィルタエレメントにおけるフィルタパック510の内側の排出層に流れる。内側の排出層から、処理流体は、フィルタ層を介して外側の排出層に流れてフィルタリングされた流体を形成し、これは、それぞれのフィルタエレメントから径方向外側に浸透流体室546内に流れる。
図11のフィルタ構成は、適当な逆流洗浄流体を浸透流体室546に導くことによって逆流洗浄を受けることができる。逆流洗浄流体は、圧力下に浸透流体室546から包囲部材511を経由してそれぞれのフィルタパック510外側の排出層に強制的に流され、次いで、フィルタ層を経由して内側の排出層に流される。逆流洗浄流体がフィルタ層を通過するとき、フィルタ層に埋め込まれているあるいはフィルタ層の径方向内側に付着している粒子を除去する。
逆流洗浄流体と除去された粒子は、次いで、フィルタパック510の長手方向に内側の排出層を経由してフィルタパック510の長手方向端に向かって流れ、コア520におけるパーフォレーション付き部分521に流れ込む。逆流洗浄流体と粒子は、次いで、処理流体室545と濃縮流体室547の流体ポートのいずれが開いているかに応じて、処理流体室545および/あるいは濃縮流体室547内に排出されるべき一つあるいはそれ以上のフィルタエレメント500、501におけるコア520を通過して流れる。
必要があれば、図11のフィルタ構成はまた、クロスフローモードで洗浄可能である。このモードにおいて、処理流体室545と濃縮流体室547のための流体ポートは開かれ、従って、一つあるいはそれ以上の適当なクロスフロー洗浄流体は、流れの方向が処理流体室545から濃縮流体室547に向かう方向であるかあるいはその反対の方向であるが、処理流体がクロスフローフィルタリング中に流れるのと同一の通路に沿ってそれぞれのフィルタエレメントにおけるフィルタパック510の内側の排出層を通過して流れる。クロスフローフィルタリング中の処理流体の場合と同じように、それぞれのフィルタエレメントにおいて、洗浄流体の一部は、フィルタパック510における内側の排出層を経由して流れ、他方、洗浄流体の残りの部分は、フィルタエレメントにおけるコア520の中心に沿って流れる。このようにして、洗浄流体は、フィルタエレメントのシリーズにおける長さにわたって流れる際に高いエネルギを保持できてそれぞれのフィルタパック510におけるフィルタ層から粒子を除去してこれらをフィルタエレメントから排出する高いせん断力を発生させる。
洗浄流体と粒子は、それらが排出されるハウジングの室から除去される。洗浄流体がフィルタエレメントを通過しているとき、フィルタエレメントを包囲している浸透流体室546は、フィルタパック510における内側の排出層内の圧力に等しいかあるいはそれぞれよりも高い圧力に維持されて洗浄流体がフィルタ層を経由して外側の排出層に流れることを阻止することによって内側の排出層におけるクロスフローの効率を高めるようにすることが好ましい。
前述の実施例のそれぞれにおいて、単一の処理されるべき流体流(処理流体流)が流体処理部材に導かれ、従って、流体処理部材から排出されるすべての流体(濃縮流体および浸透流体)は、単一の処理流体流から導かれる。さらに、前述した流体処理部材は、フィルタリングに関連した実施例として記述され、従って、フィルタ部材として参照された。この発明による流体処理部材であって、ここで記述される実施例に含まれる流体処理部材は、また、少なくとも一回あるいはそれ以上の頻度で二つの別個の流体流が流体処理部材に導かれるようなアプリケーションに適用することができるものであり、従って、材料あるいは質量の移動が、流体流が流体処理部材を通過する際に流体処理層を経由してこの二つの流体流間に生じる。
図12は、流体処理層を経由して二つの注入流体流間の材料の移動を行なうのに適した流体処理部材600の実施例を示すものである。この流体処理部材600は、ハウジング内に設けられ、このハウジングは、ハウジングの内部を4室647−650に分割する管シート641、643、および、645を備えている。室のそれぞれは、室の内部とハウジングの外部とを流体的に接続する図示せぬ流体ポートを備えている。第1の流体流651は、流体処理部材600を経由してその長手方向に第1の室647間を第4の室650内に流れ、第2の流体流652は、流体処理部材600を経由してその長手方向に第2の室648と第3の室649の間を流れる。図12は、単一の流体処理部材600を示しているが、このような流体処理部材600を複数ハウジング内に同じように配列することもできる。
前述の実施例におけるように、流体処理部材600は、中空のプリーツ付き流体処理パック610、流体処理パック610によって包囲されたコア620、および、流体処理パック610のそれぞれの長手方向端に配置された端部キャップ630、632を含む。
流体処理パック610は、前述の実施例に関して記述されたいずれかの構成を備えることができる。例えば、内側の排出層、流体処理層、および、外側の排出層からなる合成体であって、横たえられた状態であることが好ましい軸方向に延びるプリーツに形成された合成体からなることができる。このプリーツは、例えば、図示せぬらせん状包囲部材によって前述した実施例と同様に横たえられた状態を維持できる。
二つの流体流651、652間で流体処理層を通過する材料の移動率は、材料が転移される少なくとも流体流が乱流を受けるときは高くなる。流体流の乱流は、流体流が流体処理部材600の長手方向を通過する排出層を選択することによって促進されるので、流体流は、ねじれた通路を流れなければならない。例えば、流体流が流体処理部材600のほぼ長手方向に流れている流体処理パック610の領域においては、乱流は、流体処理部材600の長手方向に延びている平行なストランドを備えたDELNETメッシュあるいはこれに類似するメッシュではなくて排水メッシュとしての流体流の方向(流体処理部材600の長手方向に対して)に斜めに延びる方向にストランドを備えたダイアモンドメッシュを使うことにより促進できる。
第1の流体流651は、流体処理部材600の長手方向に内側の排出層を介して通過し、他方、二つの流体流が流体処理部材600の両端間を流れるとき二つの流体流間に材料の転移を生じつつ、第2の流体流652は、流体処理部材600の長手方向に外側の排出層を介して通過する。従って、流体処理部材600の上方の長手方向端は、第1の流体流651が内側の排出層内に流れることを可能にするが、外側の排出層内に流れることを許さないように構成され、他方、流体処理部材600の下方の長手方向端は、第2の流体流652が外側の排出層内に流れることを可能にするが、内側の排出層内に流れることを許さないように構成されている。例えば、外側の排出層は、流体処理層の径方向外側に配置されたシール片によって流体処理パック610の上方の長手方向端においてシールできるので、第2の流体流652は、流体処理パック610の上方の長手方向端面を介して流れることができず、および、内側の排出層は、流体処理層の径方内側に配置されたシール片によって流体処理部材600の下方の長手方向端においてシールできるので、第1の流体流651は、流体処理パック610の下方の長手方向端面を介して流れることができない。
この実施例におけるコア620は、図4の実施例のコアに類似しており、第1および第2の開放端、流体処理パック610におけるそれぞれの長手方向端の付近にあるパーフォレーション付き部分621、および、パーフォレーション付き部分621間に配置されたブラインド部分622を含む。ブラインド部分622は、隣接するプリーツの径方向内側端間の三角形ギャップを埋めてギャップに沿って第1の流体流が流れることを阻止することができる可撓性のスリーブによって包囲された中空の管622を有する。その下方端において、コア620は下方のパーフォレーション付き部分621に隣接するとともに流体処理パック610から離れている流体処理部材600の長手方向に延びているパーフォレーションを備えない部分626を有している。パーフォレーションを備えない部分626は、第3の管シート645にシールされるように配置されている。例えば、この実施例において、この部分は、その下方端にフランジ627を備えて、その外部の溝に取り付けられたOリングのような一つあるいはそれ以上のシーリング部材628を備えて第3の管シート645の開口646の内縁に対してピストンシールを形成している。
この構造によって、第1の流体流651は、流体処理パック610の上方の長手方向端面を経由して流れることおよびコア620の開放上方端内に流れることの両方によって流体処理パック610の上方の長手方向端において内側の排出層内に流れることができ、次いで、上方のパーフォレーション付き部分621におけるパーフォレーションを経由して内側の排出層内に径方向外側に流れることができる。しかしながら、第1の流体流651は、内側の排出層内に流れる二つの流路を備える必要はなく、この流路の一方を除外することができる。例えば、流体処理パック610の上方の長手方向端面は、図5の実施例と同じように完全にシールすることができ、従って、第1の流体流651は、コア620を経由してのみ流体処理パック610の上方の長手方向端に流れることができ、あるいは、コア620は、図1の実施例に示されるコア30におけるようなその上方端において閉じることができるので、第1の流体流651は、その上方の長手方向端面を経由してのみ流体処理パック610に流れることができる。
図示されている端部キャップ630、632のそれぞれは、図1に示される実施例における端部キャップと同一の構造を備えており、その実施例と同じようなやり方で流体処理パック610に取り付けられ、それぞれの端部キャップは、一つあるいはそれ以上のシーリング部材631、633を備えて管シートの一つに対応する開口642、644に対してピストンシールを形成している。しかしながら、端部キャップは、その他の構造にすることも可能であり、別のやり方で管シートに接続することができる。例えば、前述したように、上方の端部キャップ630は、流体処理パック610の上方の長手方向端面をシールするものであることができる。
二つの流体流651、652は、流体処理パック610において同一長手方向にあるいは反対の長手方向に流れることができる。二つの流体流間における材料移動の比率が移動されるべき材料の濃度における二つの流体流間の差に依存しているときは、反対方向への流れは同一方向へ流れるときに比較して移動される材料の濃度の変化が大きいので、通常、二つの流体流が反対の方向に流れると大きな効果が得られる。
流体処理パック610は、第2の流体流652に対して不透過性を備え、第2の流体流652が流体処理パック610の大部分を通過するまで第2の流体流652が第2の室648に排出されることを阻止する部材によって包囲されている。この実施例において、この不透過性の部材は、剛性の管635を含んでいるが、不透過性材料からなる可撓性のスリーブあるいは包囲部材のような他の構成でも良い。その下方の長手方向端において、管635は、下方の端部キャップ632にシールされるが、他方、その上方の長手方向端において、第2の流体流652が管635から第2の室647に排出される一つあるいはそれ以上のパーフォレーション636あるいはその他の開口を備えている。流体処理部材600に高い強度を与えるために、管635は、上方の端部キャップ630に固定できるが、管635を上方の端部キャップ630手前で短く終わらせるとともに第2の流体流652を上方の端部キャップ630と下方の端部キャップ632との間におけるギャップを経由して流すことができる。
管635は、流体処理パック610の回りにあるいはもし存在するならば包囲部材の回りに密に嵌合することが好ましく、従って、第2の流体流652は、流体処理パック610の外縁と管635の内縁間のギャップを経由して流れることによって流体処理パック610をバイパスするよりも、流体処理パック610の外側の排出層を経由して流れることになる。このようにして、流体処理パック610の下方の長手方向端面と管635におけるパーフォレーション間の流体流に対する抵抗が、流体処理パック610の外縁と管635の内縁間を通過する流路に沿うよりも、流体処理パック610の外側の排出層を経由して通過する流路に沿う方が低速であることが好ましい。
流体処理パック610の領域の効果的な使い方のために、第1および第2の流体流の流路は、流体処理部材600の長手方向において流体処理パック610内で互いに流体処理パック610の長さの少なくとも約50%、さらに少なくとも約75%、さらに好ましくは少なくとも約90%重なり合っていることが望ましい。
二つの流体流間における材料の移動は、流体流の性質および流体処理層に依存して第1の流体流651から第2の流体流652へおよび/あるいは第2の流体流652から第1の流体流651へ行なわれる。流体処理部材600の効率という観点から、移動が行なわれる方向は、通常、問題ではない。
流体処理層は、二つの流体流間で行なわれるのが望ましい材料の移動のタイプに基づいて選択できる。流体処理部材600の適切な適用の一つの例は、流体流の一方あるいは両方が溶液であり、従って、流体処理層が、溶質が溶解されている溶媒の移動を行なわずに二つの溶液間での溶質(例えば、溶解された分子、イオン、あるいは気体)の移動を可能にする。
図12の流体処理部材600が使える非常に経済的に重要な一つの適用は、有効で迅速なオキシダントであるとともに殺菌剤である二酸化塩素(ClO2)を用いた水の殺菌である。図13は、図12の流体処理部材600を使う水の殺菌を行なうためのシステムにおける実施例の概略を示している。流体処理部材600を収容しているハウジング640は、第1〜第4の室647−650を有している。
殺菌すべき水を含んでいる第1の流体流651は、ポンプ661によって水源660(タンク、容器、水道など)からハウジング640の第1の室647に導かれ、他方、ClO2の溶液からなる第2の流体流652は、ポンプ663によってClO2ジェネレータ662からハウジング640の第3の室649に導かれる。流体処理層を含む流体処理部材600は、溶解されたClO2に対して浸透性のある流体処理媒体からなるが、これは、流体処理部材600の動作圧力において水に対して不浸透性である。ClO2は、流体処理層を経由してClO2の高い濃度を備えた流体流から低い濃度の流体流に流れることができる。この実施例において、流体処理部材600の下方端に導かれたとき、第2の流体流652は、第1の流体流651が流体処理部材600の上方端に導かれたとき、第1の流体流651よりもClO2の高い濃度を備えているので、ClO2は、第2の流体流652から第1の流体流651に流体処理層を横切って移動させられて第1の流体流651を殺菌する。
流体処理層は、ClO2が溶解されている水の移動を阻止しつつ、二つの流体流間にClO2の移動を可能にするどのようなタイプの流体処理媒体でも使える。適切な流体処理層の一つの例が、水溶液に溶解されている気体(ClO2を含む)が浸透気化法によって通過できるが、水は通過できない気体充填孔を備えた疎水性気体孔メンブランである。“Memb−ranePervaporation Process”という名称の米国特許第4,683,039号に記載されているような疎水性メンブランは、種々の材料から構成できる。容易に入手できる適切な材料の二つの例は、PTFEおよびPVDFである。
ClO2ジェネレータ662は、種々の従来周知であるClO2発生方法のいずれかを使うことができる。その効率および使いやすさから特に好ましいClO2ジェネレータのタイプは、亜塩素酸ナトリウムをの酸化ナトリウムへので電気化学的変換を行なう電気化学的ジェネレータである。このようなClO2ジェネレータは、国際出願WO94/26670に詳細が記述されている。ClO2ジェネレータ662は、複数の供給および排出ラインを備えているが、説明を簡単にするために、ClO2ジェネレータ662からハウジング640に接続される単一の排出ラインと、ハウジング640からポンプ663を経由してClO2ジェネレータ662に接続される単一の供給ラインが、図13に示されている。
第1の流体流651が流体処理部材600を通過した後、この流体流は、ハウジング640の第4の室650に導かれる。これにより、ClO2が濃厚になって殺菌実行状態になるので、例えば、飲料水として適切な都市の上水道に使用するためにハウジング640から排出できることになる。第2の流体流652は、流体処理部材600から第2の室648に排出される。このとき、そこでのClO2のレベルは、ClO2の第1の流体流651への移動によって下がっているので、第2の流体流652が、ハウジング640からClO2ジェネレータ662に戻されてClO2のレベルを上げ、その後、ハウジング640に再び戻される。しかしながら、その代わりに、第2の流体流652は、ハウジング640から排出された後に廃棄されてもあるいは別途使われても良い。
ClO2ジェネレータ662の質に対応して、第2の流体流652は、第1の流体流651に導き入れたくない化学物質を含んでいる可能性がある。例えば、ClO2ジェネレータ662が電解槽であるとき、第2の流体流652は、溶解された亜塩素酸ナトリウム(NaClO2)を含んでいる可能性がある。しかしながら、亜塩素酸ナトリウムは気体ではないので、流体処理層を通過できず、第1の流体流651は亜塩素酸ナトリウムによって汚染されない状態にされる。
流体処理媒体が逆流洗浄流体に浸透性を備えているとき、流体処理部材600は、逆流洗浄流体を一つあるいはそれ以上の流体室に導き、逆流洗浄流体によって流体処理媒体から除去された粒子を伴うように圧力をかけて強制的に流体処理媒体を経由して一つあるいはそれ以上の流体室にこの逆流洗浄流体を流すという逆流洗浄によって洗浄を行なうことができる。例えば、逆流洗浄流体が同一圧力で室647と650の両方に導かれるとき、逆流洗浄流体は、コア620のパーフォレーション付き部分を経由して内側の排出層内に流れる。逆流洗浄流体は、次いで、流体処理層を経由して外側の排出層に流れて流体処理部材600から室648と649の一方あるいは両方に排出され、その際逆流洗浄流体によって流体処理部材から除去された粒子を伴っている。あるいは、逆流洗浄流体は、室648と649の一方あるいは両方に導かれ、流体処理部材600から室647と650の一方あるいは両方に排出されても良い。
流体処理媒体が逆流洗浄流体に不浸透性を備えているとき、流体処理層のいずれかの側は、別々にあるいは同時にクロスフローモードで洗浄可能である。流体処理層の径方向外側を洗浄するために、一つあるいはそれ以上の適当な洗浄流体が、第3の室649から第2の室648に1回あるいはそれ以上の回数だけ流体処理パック610における外側の排出層を経由して通過させられて流体処理層から粒子を除去してそれらの粒子を排出可能に構成されている室の一つから排出される。流体処理層の径方向内側を洗浄するために、一つあるいはそれ以上の適当なクロスフロー洗浄流体が、第1の室647から第4の室650に1回あるいはそれ以上の回数だけ流体処理パック610における内側の排出層を経由して通過させられる。
図14は、フィルタアセンブリの一つの実施例を示すもので、この発明による複数のフィルタエレメントが、ハウジング700内の複数のレベルに収容されている。ハウジング700は、ハウジング700を処理流体室710、第1の濃縮流体室711、第2の濃縮流体室712、第1の浸透流体室713、および、第2の浸透流体室714に分割する四つの管シート701、703、705、および、707を含んでいる。
処理流体ポート715、第1の濃縮流体ポート716、第2の濃縮流体ポート717、第1の浸透流体ポート718、第2の浸透流体ポート719は、ハウジング700の外部と処理流体室710の間、第1の濃縮流体室711、第2の濃縮流体室712、第1の浸透流体室713、および、第2の浸透流体室714の間にそれぞれ接続している。フィルタエレメント200のそれぞれは、二つの管シートに取り付けられ、その長手方向端の一方は、処理流体室710に接続し、その他方の長手方向端は、浸透流体室713あるいは714の一方に接続し、および、その長手方向端間におけるフィルタエレメントの部分は、濃縮流体室711あるいは712の一方に配置されている。
フィルタエレメント200のそれぞれは、処理流体がプリーツの径方向外側に沿って流れるとともに浸透流体がプリーツの径方向内側に沿って流れるようなタイプであればどのようなものでも良い。図示された実施例において、フィルタエレメント200のそれぞれは、図6に示されているフィルタエレメント200と同じものであるので、その構造の詳細な説明は省略される。四つのフィルタエレメント200のみがそれぞれの管シートに取り付けられている二つのフィルタエレメント200からなるように図示されているが、それぞれの管シートに取り付けられているフィルタエレメントの数に制限はなく、フィルタエレメント200の数がそれぞれの濃縮流体室内で同じになる必要はない。
ハウジング700は、フィルタエレメント200の着脱を可能にするようにハウジング700を開閉する複数の着脱自在の部分を有している。例えば、ハウジング700は、第2および第3の管シート703および705間に互いに着脱自在に接続される二つの部分からなる。これらの部分が互いに分離されると、フィルタエレメント200は、フィルタエレメント200の両端が第1および第4の管シート701および707における対応する開口702および708に形成された棚に隣接するまで第2および第3の管シート703および705における開口704および706に挿入可能となる。しかしながら、ハウジング700は、三つ以上の部分に分割しても良い。例えば、これは、互いに着脱自在である三つの部分を備えてフィルタエレメント200が管シート701および707の浸透流体室側方から管シートに挿入されるようにできる。
この構成によりクロスフロ−フィルタリングを行なうためには、すべての流体ポート715−719を開放した状態で、処理流体が、処理流体室710に導かれて開口704と706を経由して第2および第3の管シート703と705に流れ、それぞれのフィルタエレメント200におけるフィルタパックの長手方向端面を経由してそれぞれのフィルタエレメント200における外側の排出層に流れ込む。処理流体は、それぞれのフィルタエレメント200における長手方向端に向かってそれぞれのフィルタエレメント200における長手方向にある外側の排出層内に流れ、径方向外側において粒子を形成するフィルタ層の径方向外側に流体せん断力を発生させる。同時に、処理流体の一部が、フィルタエレメント200のフィルタ層を経由して流れて内側の排出層に入り込んで浸透流体を形成する。
浸透流体は、次いで、内側の排出層からパーフォレーション付きコアの内部に流れ、さらに、コアの長手方向に流れてフィルタエレメント200の長手方向端から浸透流体室713と714の一つに流れて対応する浸透流体室718あるいは719を介してハウジング700から排出される。フィルタ層を通過しない処理流体の一部は、管240におけるパーフォレーションを介して濃縮流体としてフィルタエレメント200から排出され、濃縮流体室711あるいは712の一方に流れ、次いで、対応する濃縮流体出口716あるいは717を介してハウジング700から排出される。
図14の構成によりデッドエンドフィルタリングを行なうために、流体ポート715、718、および、719は開かれ、および、流体ポート716および717は閉じられる。この状態において、処理流体は、処理流体室710に導かれ、クロスフローフィルタリングのときと同じようにそれぞれのフィルタエレメント200における外側の排出層に流れる。流体ポート716および717は閉じられているので、外側の排出層にある処理流体のすべてがフィルタ層を介して内側の排出層に流れてフィルタリングされた流体を形成し、従って、内側の排出層から、このフィルタリングされた流体はコア内に流れ、次いで、コアの開放端から浸透流体室713あるいは714に流れる。
フィルタエレメント200は、適当な逆流洗浄流体を浸透流体室718および719を経由して浸透流体室713および714に導くことによって逆流洗浄を行なうことができる。逆流洗浄流体は、圧力をかけられた状態でフィルタエレメント200のコア内に流れ、次いで、コアのパーフォレーション介して径方向外側に内側の排出層に流れる。これは、次いで、フィルタ層を経由して内側の排出層から径方向外側に外側の排出層に流れる。逆流洗浄流体がフィルタ層から流れるとき、この流体は、フィルタ層内のあるいはその径方向外側に付着している粒子を除去する。
逆流洗浄流体および除去された粒子は、次いで、それぞれのフィルタエレメント200の長手方向端面を経由して処理流体室710におよび/あるいは管240に形成されているパーフォレーションを介して濃縮流体室711あるいは712に外側の排出層から軸方向に流れる。必要があれば、処理流体入口715が、逆流洗浄流体が処理流体室710に流れることを阻止するように閉じることができ、あるいは、濃縮流体出口716あるいは717の一方あるいは両方が、流体が濃縮流体室711あるいは712の一方あるいは両方に流れることを阻止するように閉じることができる。
フィルタエレメント200は、また、クロスフローモードで洗浄される。このモードにおける動作において、一つあるいはそれ以上の適当なクロスフロー洗浄流体が、処理流体室710から濃縮流体室711あるいは712の一方あるいは両方にあるいは反対方向に1回あるいはそれ以上の回数だけそれぞれのフィルタエレメントにおけるフィルタパックの外側の排出層に流れ、フィルタ層から粒子を外してそれらをフィルタエレメント200から一つあるいはそれ以上の室に排出し、それらの室から、これらの粒子が、洗浄流体とともに廃棄される。クロスフロー洗浄中に濃縮流体ポート716、717の一方が開いており、他方が閉じられているとき、濃縮流体室711あるいは712の該当する一つにおけるフィルタエレメント200が、洗浄できることになる。洗浄流体がフィルタエレメント200、を通過するとき、コア220が接続しているフィルタエレメント200のコア220の内部および濃縮流体室713あるいは714は、フィルタエレメント200のフィルタパックにおける外側の排出層内の圧力に等しいあるいはそれよりも高い圧力に維持されていて外側の排出層におけるクロスフローの効果が促進されるようにすることが好ましい。
ハウジング700を通過する流体の流れは、上述した方向に限定されるものではなく、従って、ハウジング700の様々な室が、上述した機能に限定されることはない。例えば、処理流体は、中間の室710の代わりにハウジング700の室711および712に導くことができ、従って、浸透流体は依然として室713および714に流れる状態において、濃縮流体は、中間の室710を経由してハウジング700から排出することができる。あるいは、フィルタエレメント200が、例えば、図1あるいは図4に示されているようなものと置換されたとき、処理流体はフィルタ層の径方向内側に沿って流れ、室711および712は浸透流体室として機能し、室710は処理流体室あるいは濃縮流体室として機能し、および、室713および714は、濃縮流体室あるいは処理流体室として機能する。このようにして、フィルタエレメントの構造および室間の必要な流れの方向に対応していれば、どのような室も、処理流体室、濃縮流体室、あるいは、浸透流体室として機能させることができる。
図14の構成におけるフィルタエレメント200は、複数の管シートにハウジング700の複数のレベルにおいて収容されているので、ハウジング700は、小さな直径に構成されるとともに単一の管シートに単一のレベルにおいて同一のフィルタエレメントの同一数を収容しているハウジングよりもはるかに経済的に製造できる。その上、フィルタエレメントの長さは、それらがクロスフローを効果的に受けることができるように十分小さく維持されており、同時に、それらは、ハウジング700の容積を効率的に使えるようにされている。
図15はその他の実施例を示すもので、この発明による複数のフィルタエレメントが、シリーズに接続され、それぞれのフィルタエレメントを通過する流れに対する抵抗が、十分に低いレベルに維持されて有効なクロスフロー速度が達成できるような実施例を示すものである。二つのフィルタエレメント800および850が示されているが、多数のフィルタエレメントが同じようにシリーズに一体的に接続できる。フィルタエレメントは図12に示されるものに類似したハウジングに設けられるが、ハウジングの内部を処理流体室886、浸透流体室887、第1の濃縮流体室888、および、第2の濃縮流体室889に分割する三つの管シート880、882、および、884を有している。それぞれの室は、室の内部およびハウジングの外部間を流体的に接続する図示せぬ流体ポートを設けられている。
図15は、一連のフィルタエレメントのみを示しているが、複数のシリーズも図示のようにして設けることができる。処理流体室886に最も接近して配置された少なくともフィルタエレメント800(図15における下方のフィルタエレメント)は、入ってくる処理流体の一部がフィルタエレメント800のフィルタパックをバイパスし、それによって、処理流体が、フィルタエレメント800のフィルタパックを通過して流れるよりも大きなエネルギを持って一つあるいはそれ以上の引き続くフィルタエレメントに供給できるように構成されている。
下方のフィルタエレメント800は、プリーツ付きのフィルタパック810を有し、フィルタパック810によって包囲されたパーフォレーション付きのコア820を含むことができ、両方の長手方向端部を開放しているので、流体は、上方のフィルタエレメント850からコア820の上方端に入ることができ、コア820の下方端から浸透流体室820内に排出される。これはさらに、上方のフィルタエレメント850の下方端にシリーズに接続されるように構成された上方の端部キャップ830と、第2の管シートにおける開口883に流体的に接続されるように構成された下方の端部キャップ830とを含むことができる。
同様に、上方のフィルタエレメント850は、プリーツ付きのフィルタパック810と、フィルタパック810によって包囲されたパーフォレーション付きのコア860を含む。コア860の上方端は閉じられており、また、その下方端は開かれていて下方のフィルタエレメント800におけるコア820の上方端に流体的に接続できる。上方のフィルタエレメント850は、下方の端部キャップ830を設けられており、この端部キャップは、下方のフィルタエレメント800における上方端と上方の端部キャップ831にシリーズに接続されるように構成され、さらに、第1の管シート880における開口831に流体的に接続されるように構成されている。それぞれのフィルタパック810は、前述の実施例に関して記述されたいずれの構成でも使うことができる。例えば、これは、内側の排出層、フィルタ層、および、外側の排出層からなる3層の合成体を含み、図示せぬらせん状の包囲部材によって横たえられた状態に保持されている軸方向に延びるプリーツに形成することができる。フィルタリングの間、処理流体は、外側の排出層を経由して流れるように設定され、浸透流体は、内側の排出層を経由して流れるように設定され、従って、処理流体あるいは濃縮流体は、フィルタパックのそれぞれの長手方向端面を経由して流れるように設定されている。従って、フィルタエレメントのそれぞれの長手方向端部において、プリーツは、フィルタ層の径方向内側においてシールされるとともにフィルタ層の径方向外側において開放され、流体が外側の排出層を出入するようにしかし内側の排出層を出入しないようにフィルタパックの長手方向端面を介して流れるようにしている。プリーツは、いずれかの適当なやり方でシールできる。この実施例において、プリーツは、フィルタパック810におけるそれぞれの長手方向端において内側の排出層の径方向内側に配置されている図7におけるシーリング片215と同じようにシーリング片811によりシールされている。
下方のフィルタエレメント800におけるコア810は、浸透流体がフィルタパック810からコア820の中心に入ることができるパーフォレーション付き部分821と、下方の端部キャップ831を経由してフィルタパック810の外部に延びているパーフォレーションを備えていない部分822とを備えた中空の管を含む。パーフォレーションを備えていない部分822の下方端は、適当なやり方で第3の管シート884に流体的に接続することができる。例えば、これは、第3の管シート884における孔885の内面に対してピストンシールを形成する例えばシーリングリングのような一つあるいはそれ以上のシーリング部材を設けたその下方端にフランジ823を備えるようにすることができる。
下方のフィルタエレメント800における下方の端部キャップ831と上方のフィルタエレメント850における上方の端部キャップ831は、互いに同一の構成を備えてもあるいは互いに異なる構成を備えても良いが、対応する管シート880と882における開口881と883に接続することができるような構造を持っている。例えば、これらは、図1の実施例における端部キャップの構造に類似した構造を備えており、その際端部キャップ831は、Oリングのような一つあるいはそれ以上のシーリング部材を設けられていて開口881と883の一方の内部に対してピストンシールを形成している。外側の端部キャップ830は、流体が濃縮流体室889に漏れることのないように二つのフィルタエレメント800と850の間に二つの隣接する端部キャップ830を介して流れることができるように構成されている。この実施例において、端部キャップ830は、端部キャップ831と同じ構造を備えているが、シーリング部材は装着されていない。隣接する端部キャップ830は、溶融接着を用いて直接接続されかつ互いにシールされている。しかしながら、これらを互いに流体的に接続するその他のやり方が、例えば、互いに隣接するフィルタエレメントを強固に接続するかどうかには関係なく、図11の端部キャップ535に関して記述された種々のやり方を使うことができる。
下部フィルタ要素800のコア820の上端と上部フィルタ要素850のコア860の下端とは、透過水が下部フィルタ要素800から上部フィルタ要素850に流れ込むプロセス流体から隔離されている間にコア860からコア810に流れることができるような仕方で、流体的に互いに連結されている。例えば、コア820と860との相対する端部は、互いに直接結合するか若しくはその他の仕方で接合でき、又は連結部材を用いてこの両者を相互に連結できる。この実施態様では、コア820と860との相対する端部は、フィルタパック810の長さ方向の端面から後退させてあり、非穴明き壁を有する管810がフィルタパック810の相対する端面に挿入され、もって、透過水が管862を通って二つのコアの間を流れることができる。フィルタパック810のシール・ストリップ811が管862の外面に対してシールを形成し、透過水が管862の外面とフィルタパック810の内周との間を流れるのを防止する。
各フィルタパック810は、プロセス流体に不透過であって、プロセス流体がフィルタパック810の重要な長さに亘って通過してしまうまでフィルタパック810にプロセス流体を閉じ込めて置く部材によって囲まれている。本実施態様では、不透過部材は、下部フィルタ要素800のフィルタパック810の周囲に配置されている剛体管840及び上部フィルタ要素800のフィルタパック810の周囲に配置されている剛体管870から成るが、これらの部材は、不透過材のフレキシブル・スリーブ又はラップ部材の形態等の上記の他の形態を取り得る。下部フィルタ要素800の管840は、エンド・キャップ830及び831に固定することはできるが、固定する必要はない。上部フィルタ要素850の管870は、下部エンド・キャップ830にシールされており、一方、その長さ方向の上端において、プロセス流体が管870の内部から濃縮流体室889に、1つ以上のパーフォレーション871又は管870のその他の開口を通って又は管870と上部エンド・キャップ831との間のギャップを通って、流れ込むことができる。
下部フィルタ要素800は、プロセス流体が流れて上部フィルタ要素850のフィルタパック810に達し、その間、下部フィルタ要素800のフィルタパック810をその大部分又は全量がバイパスするバイパス経路845を含む。本実施態様では、バイパス経路845は、管840の外周と管840を囲み且つ管840から半径方向ギャップだけ隔離されているバイパス管846との間の全体的に円筒形のスペースによって画されている。バイパス管846は、プロセス流体に不透過の材料であればどんな材料でも良く、下部フィルタ要素800のエンド・キャップにその長さ方向の端部でシールされている。管840とバイパス管846との間の半径方向ギャップの寸法は、バイパス経路845を通る所望のフローに基づいて選択できるが、望ましくは、バイパス経路845が下部フィルタ要素800のフィルタパック810に比較して、フィルタ要素800の長さ方向でのフローに対する抵抗が少ない。
プロセス流体は、管840の開口841(パーフォレーション等)を通って、管840の下端と下部エンド・キャップ831との間のギャップを通って、下部エンド・キャップ845を通って又はその他の適当なルートに沿って、その間に管840のパーフォレーション等の開口842を通って下部フィルタ要素800の上端でバイパス経路845から流れ出られるように形成される経路を通って、管842と上部エンド・キャップ830との間のギャップを通って、上部エンド・キャップ830を通って又はそれと異なるルートに沿って形成される経路を通って、流れることによって下部フィルタ要素800の下端でバイパス経路845に入ることができる。下部フィルタ要素800の上端では、バイパス経路845を通ったプロセス流体は、下部フィルタ要素800のフィルタパック810の外部排水層を通った濃縮流体と混ぜ合わされ、その混ぜ合わされた流体は、プロセス流体として上部フィルタ要素850のフィルタパック810に導入される。上部フィルタ要素850の上端では、濃縮流体は、管870の上端にある開口871を通って及びフィルタパック810の長さ方向の端面を通って排出される。
或いは又、管870の開口871は、省略でき、全ての濃縮流体は、フィルタパック810の上部長さ方向端面を通って流れることができるか、又は、フィルタパック810の長さ方向端面を密封でき、その場合、全ての濃縮流体は、管870の開口871を通って上部フィルタ要素850から排出できる。このバイパス経路845があるために、フィルタ要素を通るフローへの全抵抗は、減少し、もって、プロセス流体は、二つの同じフィルタ要素が直列で連結されており且つ上部フィルタ要素のフィルタパック810を通過した全てのプロセス流体が下部フィルタ要素のフィルタパック810を既に通過した場合に比べて、より大きなエネルギーをもって上部フィルタ要素850に供給できる。
図15の配置は、横流態様又は全量態様で濾過を実行できる。横流濾過では、各チェンバー886-889の流体ポートを開いて、プロセス流体は、プロセス流体チェンバー886に最も近接したフィルタ要素800のフィルタパック810の下部長さ方向端面を通ってプロセス流体チェンバー886から直列のフィルタ要素に導入される。フィルタパック810の内部排水層は、シール・ストリップ811によって下部長さ方向端部において密封されているが、外部排水層は、密封されておらず、もって、プロセス流体は、フィルタ要素800の下部長さ方向端部において外部排水層に流れ込む。プロセス流体の一部は、フィルタ要素の長さ方向において外部排水層内を流れ、一方、プロセス流体の残部は管840の下端でパーフォレーション841を通って、管840とバイパス管846との間のバイパス経路845に流れ込む。
外部排水層を通るプロセス流体は、フィルタ層の放射外面に流体剪断力を生成し、これにより、その面に粒子が蓄積されることが防止される。外部排水層を流れるプロセス流体の一部は、フィルタ層を通って内部排水層に入り、透過水となる。透過水は、内部排水層の内部を流れて、コア820に入り、次いで、コア820の長さ方向にコア820の内部に沿って下方に流れ、透過水チャンバー887に入る。外部排水層を流れ、フィルタ層を通らないプロセス流体の一部は、濃縮流体になる。
バイパス経路845を通って流れるプロセス流体は、管840の上端にある開口842を通って流れ、下部フィルタ要素800のフィルタパック810の外部排水層に流れ込む。そこで、その流体は、下部フィルタ要素800のフィルタパック810の長さに亘って流れた濃縮流体と混ざり合い、この二つの流体ストリームは、共に、フィルタパック810の上部長さ方向端面を通って下部フィルタ要素800から排出され、プロセス流体として上部フィルタ要素850のフィルタパック810の内部排水層に流れ込む。上部フィルタ要素850では、プロセス流体は、フィルタ要素850の長さ方向に外部排水層を流れ、フィルタ層の放射状外側に流体剪断力を生成し、これにより、フィルタ層に粒子の蓄積が防止される。
プロセス流体の一部は、フィルタ層を通って流れ、コア860に入り、透過水となり、一方、プロセス流体の残部は、フィルタパック810の上部長さ方向端面を通って第一濃縮流体チェンバー888に入って又は上部フィルタ要素850の管870の開871を通って第二濃縮流体チェンバー889に入って、上部フィルタ要素850の上端から濃縮流体として排出される。上部フィルタ要素850のコア860に入る透過水は、コア860の長さ方向に流れ、下部フィルタ要素800のコア820に入り、次いで、コア820の下端から排出されて、透過水チェンバー887に入る。
全量濾過を行なうには、チェンバー886及び887の流体ポートを開き、チェンバー888及び889の流体ポートを閉じる。この状態で、プロセス流体は、横流濾過の場合と同じ仕方でプロセス流体チェンバー886から直列のフィルタ要素に導入され、各フィルタ要素の外部排水層に流れ込む。チェンバー888及び889の流体ポートが閉じられると、外部排水層にある全てのプロセス流体がフィルタ層から内部排水層に流れ込み、濾過水となり、内部排水層から、この濾過水がコア820及び860に流れ込み、次いで、両コアの長さに沿って下方に流れ、透過水チェンバー887に排出される。
フィルタ要素800、850は、透過水チェンバー887に逆流流体を導入することによって逆流洗浄することができる。逆流流体は、圧力下で、透過水チェンバー887から両フィルタ要素のコア820及び860に強制的に流され、フィルタパック810の内部排水層にコアのパーフォレーションを通って外向きに放射状に強制的に流される。逆流流体は、次いで、順次、内部排水層とフィルタ層を通過し、外部排水層に入り、その過程で、逆流流体は、フィルタ層に埋め込まれた又は同層に付着している粒子を取り除く。逆流流体とそれに捉えられた粒子は、次いで、外部排水層を通ってフィルタパック810の長さ方向に流れ、フィルタ要素から、プロセス流体チェンバー886、第一濃縮流体チェンバー888及び第二濃縮流体チェンバー889の1つ以上に排出される。下部フィルタ要素800の外部排水層を通過する他に、種々のフロー経路を通ってのフローへの抵抗によっては、逆流流体の一部は、バイパス経路845を通ってプロセス流体チェンバー886に流れ込む。
フィルタ要素800、850は、また、横流態様でも、洗浄できる。横流洗浄では、1つ以上の適当な横流洗浄流体を各フィルタ要素のフィルタパック810の内部排水層を一度以上通過させて、プロセス流体チェンバー886から濃縮流体チェンバー888、889のいずれか又はその双方に入れ、或いは、その逆方向でフィルタ層から粒子を引き離し、これをフィルタ要素から1つ以上のチェンバーに排出し、ここから、粒子と洗浄流体とが排水できる。洗浄流体は、横流濾過中にプロセス流体が辿ったのと同じ経路に沿ってフィルタ要素を通過して流れる。
このように、下部フィルタ要素800では、洗浄流体の一部は、フィルタ要素800の外部排水層を通って流れ、一方、その残部は、バイパス経路845を通って流れる。後者は外部排水層よりもフロー抵抗が小さいので、洗浄流体の速度は、全ての洗浄流体が外部排水層を流れる場合に比べて、高く維持できる、その結果、洗浄流体がフィルタ要素の横流洗浄をより効果的に実行できる。洗浄流体をフィルタ要素を通す時に、透過水チェンバー887及びフィルタ要素の各コアの内部は、望ましくは、フィルタパック810の外部排水層内の圧力と等しいか又はそれより高い圧力下で維持し、外部排水層の横流の有効性を高める。
二つ以上のフィルタ要素を直列に連結した配置では、バイパス経路845を備えた複数のフィルタ要素がある。即ち、プロセス流体チェンバー886に最も近接した複数のフィルタ要素に図15の下部フィルタ要素800のそれに類似したバイパス経路845を備え、一方、直列の残余のフィルタ要素には図15の上部フィルタ要素850と同様にバイパス経路を付けない。
図11の配置と同様、図15の配置は、長いフィルタ要素又は直列のフィルタ要素を用いて得られる効率と同様の空間効率が達成でき、もって、多数のフィルタ要素を含むハウジングの直径を最小限にしながら、なお、フィルタ要素の効果的な横流速度を維持できることになる。
図16及び17は、本発明によるフィルタ要素に用いることができるプリーツ状フィルタパック900の別の例の横断面図を示している。図16は、一部組み付け状態のフィルタパック900を示し、図17は、組付け状態のフィルタパック900を示している。図2に掲げるフィルタパック20等の前記のフィルタパックと同様に、フィルタ・パッ900は、フィルタ層901、内部排水層902及び内部排水層からフィルタ層902の反対側に配置された外部排水層903を含む多層複合体から成る。図1の実施態様の場合と同様に、この複合体は、クッション緩衝作用層等の種々の追加の層を含むことができる。層901-903は、図2の実施態様に関して記述した層等の適当な材料で形成できる。図2に図示されているフィルタパック20を含むフィルタパックでは、フィルタパック20のプリーツの放射状内端、即ち、根元ができるだけ共に近接して置かれており、望ましくは、各複数の根元が隣接の根元に寄り掛かっている。しかし、図16と図17のフィルタパック900では、プリーツの放射状内端の間の間隔がより大きい、即ち、根元が互いにそれだけ離れている。この結果、各プリーツの一方の脚が隣接するプリーツの脚に接触しているが、その接触の度合いが図2のフィルタパックの場合に比べてその高さに対する割合が小さいが、フィルタパック900の全体構造は、図2のフィルタパック20と同じである。フィルタパック900は、鑽孔コア910の周囲に備えられて図示されているが、前述の実施態様に関して記述されている他の種類のコアのいずれとも併せて使用できる。更に、フィルタパック900は、先のシール・ストリップ、エンド・キャップ、保持部材、外部管及び/又はハウジングのいずれとも併せて使用できる。
フィルタパック900は、それがコア910の周囲に配置される前又はその後に、放射状に延びるプリーツ状に形成できる。図16は、フィルタパック900がコア910の周囲にプリーツ状に形成されている例を示している。本フィルタパックを本発明において使用できるようなこのような仕方でプリーツ状に形成する方法の1つの例が米国特許第3,386,583号に詳細に記述されている。簡単に言うと、この方法では、層901-903から成る3層複合体が複数の図示されていないフレームに取り外し可能式に取り付けられ且つコア910の長さ方向に延びる長手ロッド904、905の周囲に回し通されている。ロッドは、コア910から距離を置いて配置された一群の外側ロッド904及び外側ロッド904よりもコア910に近接して配置された一群の内側ロッド905を含んでいる。この複合体は、外側ロッド904の放射状の外側の周囲に回し通されており、もって、各外側ロッド904がプリーツの1つのピークの内側に配置され、一方、複合体は、コア910の外側と各内側ロッド905との間に通され、もって、複合体が内側ロッド905によってコア910に対して保持されている。複合体の二つの端部が互いにフィルタパック900の長さに亘ってシールされ、側部シールを形成した後、外側ロッド904がコア910の周方向において変位されてプリーツをレイオーバー(layover)し、即ち、各プリーツの放射状に内側の端部に関して各プリーツが隣接のプリーツに押し付けられるまでコア910の周方向に各プリーツの放射状外端を変位する。
らせん状ラップ部材等の保持部材が次いでフィルタパック900の周囲に配置され、これによって、プリーツがレイオーバー状態に維持される。ロッド904、905は、次いで、フィルタパック900から引き抜くことができ、その後、フィルタパック900は、図17に見る通りになる。保持部材が各図から省略されている。その用途に適当であれば、フィルタパック900の長さ方向の端面の全て又は一部は、先の実施態様に関して記述したいずれかの方法でシールでき、流体がこの長さ方向の端面を通って流れるのを防止し、又は流体が排水層の1つだけに若しくは1つだけから流れるようにする。フィルタパック900は、本発明の上記の実施態様のいずれにおいても、図2に図示されているフィルタパックと同様のフィルタパック20を含む先のフィルタパックの多くの代わりに使用できるので、このフィルタパック900を使用した濾過又はフィルタパック900の洗浄の詳細な説明は、省略する。
図18及び19は、上記のいずれかの実施態様のシール・ストリップ、コア、エンド・キャップ、保持部材、外側管及び/又はハウジングと併せて本発明によるフィルタ要素において使用できるフィルタパック950の別の例の横断面図である。図18は、一部組み付け状態のフィルタパック950を示しており、図19は、組み付け状態のフィルタパック950を示している。上記の実施態様のプリーツ状のフィルタパックと対照的に、このフィルタパック950は、コア960の周囲を1回以上らせん状に包んだ複数の層を備えたらせん状に包んだフィルタパックである。フィルタパック950は、フィルタ層951、フィルタ層951の放射状内側にある内部排水層951及びフィルタ層951の放射状外側にある外部排水層952を含む多層複合体から成る。
層951-953がコア960の周囲を1回以上包むと、複合体は、更に、外部排水層953から内部排水層952を分離し、また、流体がいずれかの排水層から他方の排水層に直接流れ、フィルタ層951をバイパスするのを防止する分離層954を含む。分離層954は、排水層を通過する流体に不透過の材料から形成でき、又は、分離層954は、フィルタ層951に類似の性能を備えた材料から作り、もって、流体が分離層954を通っても、フィルタ層951から除去する予定の物質が二つの排水層952、953の間の分離層954に流れないようにできる。フィルタ層951及び排水層952、953は、上記の実施態様のこれらに対応する層に関して記述した特性と同じ特性を持ち得る。この複合体は、また、緩衝作用層又はその他の適当な層を含んでよい。フィルタパック950を形成する層は、所望の回数をもってコア960の周囲を包むことができる。これらの層は、分離層954をその自らの外端に固定することによって解けるのを防止できる。
或いは又、らせん状ラップ部材のような保持部材を包まれた層の周囲に配置できる。必要であれば、フィルタパック950の長さ方向端面の全て又は一部をプリーツ状のフィルタパックに関して記述したいずれかの方法によってシールし、流体がその長さ方向端面を流れるのを防止し又は流体が排水層の1つだけに若しくは排水層の1つだけから流れ出るようにすることができる。らせん状包み込みフィルタパックは、一般的に言って、本発明によるフィルタのいずれかの実施態様において、プリーツ状のフィルタパックの代わりに使用でき、この場合、らせん状包み込みフィルタパックのフィルタ層951及び排水層952、953は、プリーツ状のフィルタパックにおいて対応する層と同じ機能を果たしている。よって、らせん状包み込みフィルタパックを使用して横流濾過も全量濾過もでき、このフィルタパックを使用して逆流によって又は横流洗浄によって洗浄ができる。
図20乃至22は、本発明による流体処理要素970の別の実施態様を示している。流体処理要素970は、二つの流体ストリーム972、973の間における図12及び13に関して記述した仕方での物質移送のために使用されているところが図示されているが、この流体処理要素970は、また、他の実施態様に関して記述したいずれかのタイプの流体処理、例えば、流体から粒子を除去するための全量濾過又は横流濾過等、にも使用できる。
図20に掲げられている通り、この図は立体断面図であるが、流体処理要素970がプリーツ状の流体処理パック971、流体処理パックによって囲まれたコア975、及び流体処理パック971を取り囲み且つ流体処理パック971を環境から分離するケーシング980を含み、もって、流体がケーシング980の一定の開口を通じてのみ流体処理要素970に入り又はそこから出ることができる。
流体処理パック971は、上記の実施態様に関して記述したいずれかの仕方で構成できる。例えば、この流体処理パック971は、内部排水層、流体処理層及び放射状に延びるプリーツに又はコア975の周囲にらせん状に包まれて形成される外部排水層を含む多層複合体から成り得る。流体処理パック971がプリーツされると、そのプリーツは、互いに押し付けられる。例えば、プリーツは、レイオーバー状態にあり、図2に示されているように構成される。プリーツがレイオーバーされると、流体処理パック971は、(図示されていない)らせん状ラップ部材で囲んでそのレイオーバー状態を維持することができる。
図2の実施態様のコア620と同様に、図20のコア975は、第一開口端及び第二開口端、開口端の各々と連絡し流体が通過できる1つ以上の開口977を有する有孔領域976及び有孔領域976の間に延びる流体のフローの存在しないブラインド領域978を備えている。開口977は、長方形であると図示されているが、この他のいずれかの所望の形状を取り得る。ブラインド領域978は、望ましくは、その長さの少なくとも約50%に亘って連続して延び、更に望ましくは、その長さの少なくとも約75%に亘って、且つそして更に望ましくは、流体処理パック971の長さの少なくとも約90%に亘って延びる。ブラインド領域978は、図12の実施態様に見られる通り、中空でよく、又は図20に図示されている通り中実でもよい。図には示していないが、コア975は、ブラインド領域978の外周に弾性層を設け、隣接するプリーツの放射状内端間の空間を満たし且つ流体が流体処理パック971の内周とコア975の外周との間を流れることによって流体処理パック971をバイパスすることを防止することができる。
コア975には、その各開口端にねじ山(メスでもオスでもよい)又はその他のタイプのコネクタを備えることができ、それによって、コア975が部材に連結され、流体をコア975に供給し又はコア975から除去できる。コア975は、ケーシング980の外側に延び、もって、コア975が外部部材と連結できるように図示されているが、コア975がそうではなく全面的にケーシング980の中に配置されることも可能であり、コア975の端部と連絡している流体ポートがケーシング980に形成できる。
ケーシング980は、流体処理パック971の外周を囲んでいる外壁981並びに流体処理パック971の長さ方向の端部をカバーしている第一及び第二の端板を含んでいる。本実施態様では、各端板985が外壁981とは別に形成されているが、端板985の一方又は双方が外壁981と一体的にも形成できる。外壁981は、単一の部材として形成されるように図示されているが、それは、そうではなく、水密の仕方をもって併せて接合される複数の部分から成るものもあり得る。
外壁981は、所望のいずれかの横断面形状を有してよいが、通常は、流体処理パック971の形状と類似の断面、例えば、円形を有している。その長さ方向端部の各々の近くに、外壁981は、1つ以上の開口を備え、これを通って流体がケーシングへ流れ込み又はケーシングから流れ出ることができる。本実施態様では、外壁981の周囲に複数の開口982、983がその夫々の上部及び下部の長さ方向端部に間隔を置いて配置されており、各開口982、983は、外壁981のその内部と外部との間にその壁を通じて延びている。外壁981の上端の一部の縦断面図である図21に図示されている通り、図示されている開口982、983は、縦から見ると長方形であるが、所望のどんな形状でも取り得る。
各開口982、983は、外壁981を囲んでいるフィルタ要素970の上部マニホルド又は下部マニホルド990と連絡している。下部マニホルド990は、流体源からそれに供給された流体を流体処理要素970の下端にある全ての開口983に分配し、上部マニホルド990は、流体処理要素970の上端にある開口982から排出された流体を集め、その集めた流体を流体処理要素970が配置されている流体システムの図示されていない部分に送り出す。
図22は、マニホルド990の1つの一部の縦断面図である。もう一方のマニホルド990は、図示されているマニホルドと構造上類似している。各マニホルド990は、外壁981の外面の周囲に取り付けられるように寸法を合わせてある内周を有する環状部材である。これは、環状溝991を備えており、この溝は、その内周の周囲に全体が延びており、外壁981にある開口982、983の外端を囲んでいる。各マニホルド990は、水密の仕方で外壁981にシールされている。本実施態様では、各マニホルド990は、その内周に形成されている対応する溝993に受けられており、外壁981に対してシールされている0型リング992を備えているが、この他のシーリング方法も使用できる。シール・リングを外壁981に取り付けるとか、又はマニホルド990の結合若しくは溶接を外壁981に向ける等がある。マニホルド990は、外壁981に取り外し式に又は永続的に取り付けることができる。
図示されているマニホルド990は、ケーシング980の外壁981の長さ方向端部を滑り出す惧れがあり、O型リング992と外壁981の外面との間の摩擦で所定の位置に保持できる。マニホルド990を開口982、983に関して位置付けするためには、ケーシング980の外壁981は、マニホルド990がマニホルド990の溝991が開口982、983を囲む時に接触するステップを備えて形成する。各マニホルド990は、また、1つ以上の結合具を含み、これによって、マニホルド990は、外部機器に流体的に連結できる。例えば、各図示されているマニホルド990には、内部にねじ山を付けたニップル994を備え、これが溝991とマニホルド990の外部との間の連絡をする。
流体処理パック971の各長さ方向端面は、シールされ、もって、流体がケーシング980の端面と端板985との間を流れるのを防止する。シールは、種々の方法で形成できる。端板985又は流体処理パック971が熱可塑性材料で製作されている場合、シールは、流体処理パック971と端板985とを互いに融解結合することによって形成するのが便利である。この他の可能なシール方法としては、上記の実施態様に関して記述した接着剤結合、ガスケットの使用及びシール・ストリップの使用がある。ケーシング980全体を熱可塑性プラスティックにして、端板985が流体処理パック971に、コア975に及び外壁981に融解結合できるようにするのが特に便宜である。流体処理パック971の流体処理層がPTFE又はPVDF等の弗素重合体製である場合、ケーシング980も弗素重合体製にするのが便宜である。しかし、ケーシング980及び流体処理要素970のその他の部分が流体処理パック971及び処理中の流体と相性がいい限り、製作材料について何ら制約はない。
図20では、第一流体ストリーム972がコア975の上端に導入されるところが図示されており、第二流体ストリーム973が下部マニホルド990に導入されるところが図示されている。尤も、第一流体ストリーム972は、その代わりに、コア975の下部に導入してよく、また、第二流体ストリーム973は、上部マニホルド990に導入してもよい。第一流体ストリーム972は、コア975の上部穴明き領域976の開口977を通って流体処理パック971の内部排水層に流れ込む。開口975は、コア985の周囲に均一に分布しているので、流体ストリーム972は、流体処理パック971の内周の周りの内部排水層に均一に分布している。第一流体ストリーム972は、内部排水層に入り、次いで、下部穴明き領域976に達するまで流体処理パック971の長さ方向において内部排水層を通って流れ、そこで、第一流体ストリーム972は、開口977を通ってコア975に入り、流体処理要素970からコア975の下部開口端を通って排出される。
下部マニホルド990に導入される第二流体ストリーム973は、流体処理パック971の円周の周りに均一に分布して、外壁981の下端にある開口983を通って外部排水層に流れる。第二流体ストリーム973は、外部排水層に流れ込み、次いで、外部排水層の中を流体処理パック971の長さ方向に流れる。その際に、物質の移送は、第一流体ストリーム972と第二流体ストリーム973との間で流体処理パック971の流体処理層に亘って発生する。第二流体ストリーム973が流体処理パック971の上端に達すると、それは、外壁981の上端にある開口982を通って流れ、上部マニホルド990に入る。そこで、全ての開口982から排出された流体は、集められ、流体処理要素970から排出される。
第一及び第二流体ストリーム972、973は、流体処理要素970の相対する長さ方向に流れているところが図示されているが、図12の実施態様に関して記述した通り、これらのストリームは、同じ長さ方向にも流れ得る。
流体処理パック971の流体処理層が流体に透過性である場合、図20の流体処理要素970は、コア975又はマニホルド990に又はそれから出入りする流体のフローを適当に制御することによって全量濾過態様にも横流濾過態様にも使用できる。例えば、濾過すべき流体は、コア975の両端に又はコア975の他方の端を閉じ一方の端に導入でき、流体が全量濾過を受けた後、その濾過水は、一方又は双方のマニホルド990から除去できる。或いは又、濾過すべき流体は、両方のマニホルド990を通して又は一方のマニホルド990を通して他方のマニホルド990を閉じてケーシング980に導入でき、導入された流体が全量濾過を受けた後、その濾過水は、一方又は双方のコア975を通して流体処理要素970から除去できる。
横流濾過は、例えば、プロセス流体をコア975の一方の端に導入し、濃縮流体をその反対の端から除去することによって行なうことができ、一方、透過水は、一方又は両方のマニホルド990を通して流体処理要素970から除去できる。流体処理要素970は、また、図12の実施態様に関して記述したのと同じ略ぼ仕方で逆流洗浄又は横流洗浄によって洗浄できる。よって、図20の流体処理要素970は、多くの使用態様がある。
外壁981にある開口982、983の外端は、外壁981の外周以外の位置に向けて開口できる。例えば、これらの外端は、外壁981の長さ方向の端面に向けて開口でき、マニホルドは、端板985に組み込むことができ、流体を開口に分配し又は開口から受け取ることができる。外壁981の各長さ方向の端部にある複数の開口も流体処理パック971の円周の周りに流体を分布するためのこの他の配置に代えることができる。例えば、外壁981を貫通してその各長さ方向端に単一の貫通孔を形成でき、貫通孔の内端と連絡している円周上に延びる溝が外壁981の内周にその各端に形成できる。流体が一方の貫通孔の外端に導入された時、流体は、溝に沿って流れることによって流体処理パック971の円周の周りに配分できる。同様に、流体処理パック971から溝に流れ出る流体は、貫通孔で集めることができる。この場合、マニホルドは、省略し、パイプ又はその他のコンジットを直接各貫通孔の外端に接続できる。図23は、本発明による流体処理要素1000の別の実施態様の縦断面図である。この要素1000は、特に、二つの流体ストリーム間の物質の移送に適しているが、これは、全量濾過及び横流濾過のような他のタイプの流体処理にも使用できる。
図示されている要素1000は、流体処理サブアセンブリ1010であって、これはプリーツ状流体処理パック1010及びサブアセンブリ1010を囲み且つ流体処理パック1011を環境から隔離するハウジング1040から成り、このハウジングにより、流体がハウジング1040の流体ポートのみを介して流体処理要素1000を出入りできる。
この流体処理要素1000に加えて、流体処理サブアセンブリ1010は、流体処理パック1011によって囲まれたコア1015、流体処理パック1011を囲んでいる管1020及び流体処理パック1011の端部と管1020に固定されているエンド・キャップ1030を含む。流体処理パック1011は、上記のフィルタパック実施態様に関して記述したいずれかの仕方など所望のどんな仕方でも構成できる。例えば、流体処理パック1011は、内部排水層、流体処理層及び放射状に延びているプリーツに形状に形成され又はコア1015の周囲にらせん状に巻かれている外部排水層を含む多層複合体から成り得る。流体処理パック1011がプリーツ状になっている場合、そのプリーツは、隣接のプリーツの間にスペースを置いた放射状プリーツでいいが、より望ましくは、プリーツは、互いに押し付けられているのが良い。例えば、プリーツは、レイオーバー状態であって、図2を含む先の図の多くに図示されているように構成できる。プリーツがレイオーバー状態にある場合は、流体処理パック1011は、プリーツのレイオーバー状態を維持するため、図示してないらせん状のラップ部材で囲んでもよい。
図12の実施態様のコア620と同様に、図23のコア1015は、第一開口端及び第二開口端、各開口端と連絡して流体が流れ得る1つ以上の開口1017を有している穴明き領域1016及び穴明き領域1016間に延びているそれを通じて流体が流れていないブラインド領域1018を備えている。ブラインド領域1018は、望ましくは、その長さの少なくとも約30%、望ましくは、その長さの少なくとも約50%、より望ましくは、その長さの少なくとも約75%、そして更に望ましくは、流体処理パック1011の長さの少なくとも約90%に亘って連続して延びる。
ブラインド領域1018は、図12の実施態様に示されている通り、中空でよく、又は図23に示されている通り、中実でもよい。図には示されていないが、コア1015は、ブラインド領域1018の外周にシール材(先に開示されているいずれのシール材も含む)を含み、隣接するプリーツの放射状の内端間のスペースを充満し、流体が流体処理パック1011の内周とコア1015の外周との間に流れることによって流体処理パック1011をバイパスすることを防止する。しかし、用途によっては、特に、酸や塩基のような攻撃的な物質が関係する用途では、シール材の使用は避けた方が望ましい。開口1017を介しての流体のフロー分配を改善するには、コア1015の外面に開口1017を相互に連結する円周上の溝1019を形成するとよい。
管1020とエンド・キャップ1030とが併せて流体処理パック1011を囲んでいるケーシングを画しており、管1020が流体処理パック1011の外周を囲み、エンド・キャップ1030が流体処理パック1011の長さ方向端部をカバーしている。本実施態様では、管1020及びエンド・キャップ1030は、互いに別に形成されているが、エンド・キャップ1030の一方又は双方が管1020と一体的に形成してもよい。
管1020は、所望の横断面を有することができるが、通常は、流体処理パック1011の断面形状に類似の断面形状、例えば、円形、として、流体処理パック1011を緊密に囲むようにする。シール材は、管1020と流体処理パック1011の外周との間に配置して、流体が流体処理パック1011と管1020との間をバイパスするのを防止することができる。その長さ方向端部の近くで、管1020は、流体が管1020の内部を出入りするその内部と外部との間の管1020の壁を通って延びる所望のいずれかの形状の1つ以上の開口を有している。開口1021は、管1020の周囲の周りに間隔を置いて配置し、管1020の周囲の周りの1021を通っての流体の分配を改善することができる。
望ましくは、開口1021は、流体処理パック1011の長さ方向の端部にできるだけ接して位置付け、例えば、流体処理パック1011の長さの約20%以内、より望ましくは、流体処理パック1011の長さ方向の端部からその長さの約10%以内とし、もって、管1020の長さ方向の相対する端部にある開口1021間を流れる流体が流体処理パック1011の長さをできるだけ通って流れ、流体と流体処理パック1011の流体処理層との間の接触を最大にする。上端の開口1021と下端の開口1021との間では、管1020は、ブラインド、即ち、貫通孔がなく、もって、流体は、開口1021は別として、管1020の壁を通らない。
各エンド・キャップ1030は、その中央部に、流体がコア1015の穴明き領域1016の1つを出入りする開口1031を有する開口エンド・キャップである。各エンド・キャップ1030は、流体処理パック1011の長さ方向端面にシールされ、流体がその長さ方向の端面を通過するのを防止できる。エンド・キャップは、また、コア1015又は管1020にシールしてもよいが、これらにシールする必要はない。エンド・キャップ1030は、流体処理サブアセンブリ1010の他の構成部品に固定する必要はないが、固定した方が便宜である。何故なら、こうすることによって、サブアセンブリ1010がその構成部品を互いから取り外すことなしに単一のユニットとして扱うことができるからである。各エンド・キャップ1030及び流体処理パック1011との間のシールは、図20の実施態様に関して記述したいずれかの方法によってエンド・キャップ1030と流体処理パック1011との製造材料に適したいずれかの方法で形成できる。
ハウジング1040は、開口端外壁1041並びに第一カバー及び第二カバー1050を含み、これらは各々外壁1041の端部の1つに固定されシールされている。カバー1050は、外壁1041から別に形成されるように図示されているが、カバー1050の1つは、外壁1041と一体的に形成できる。各カバー1050は、流体処理要素1000の外部とコア1051の穴明き領域1016の1つの内部との間を連絡している第一流体ポート1051及び第一流体ポート1051から隔離され且つ流体処理要素1000の外部とサブアセンブリ1010の管1020の一端にある開口1021との間を連絡している第二流体ポートを含んでいる。
各カバー1050は、いずれか適当な仕方でエンド・キャップ1030にシールされ、もって、流体がカバー1050の第一及び第二流体ポート1051及び1052との間を直接流れ、一方、流体処理パック1011をバイパスしている。或いは又、エンド・キャップの一方又は双方は、省略し、管の端部、流体処理パック及び/又はコアがカバーに直接シールできる。流体処理サブアセンブリ1010の長さ方向の端部及び管1020の開口1021の近辺のハウジング1040の外壁1041は、流体が開口1021と隣接のカバー1050上の第二流体ポート1052との間を流れることができるこの両者の間に1つ以上のフロー・チャンネルを提供するような形状なっている。例えば、外壁1041の内周は、管1020の外周から間隔を置いて位置され、外壁1041とこの領域内の管1020との間の環状スペース1045を画しており、又は外壁1041と管1020とが互いに接触でき、両部材の一方又は双方に形成されている溝が開口1021と連絡しているフロー・チャンネルを画している。流体ポート1051及び1052は、気体又は流体を流すのに使用できる。一定の実施態様では、例えば、気体及び流体が処理される場合には、気体を流すには比較的小さなポートを使用し、流体を流すには比較的大きなポートを使用する。
第二流体ポート1052と連絡している環状溝1053は、各カバー1050の端面に形成し、流体が管1020とハウジング1040の外壁1041との間のスペース1045の周囲の周りに広がるのを助けることができる。シールは、望ましくは、管1020の周囲の周りの管1020の相対する端部にある開口1021の間の位置において管1020の外面とハウジング1040の外壁1041の内面との間に形成され、よって、流体が管1020と外壁1041との相対する面の間の流体処理要素1000の長さ方向に流れることによって流体処理パック1011をバイパスするのを防止できる。
シールは、管1020と外壁1041とを互いに水密の仕方をもって結合するか又はその他の仕方で接合することによって又は管1020と外壁1041との寸法を選択し、もって、両者が水密シールを形成するに十分にしっかりと接合するようにすることによって、二つの面の間に配置されるシール部材によって等の適当な仕方で形成できる。例えば、管1020と外壁1041との間に、圧入又は焼き嵌め等の締まり嵌めによって形成できる。
一方又は双方のカバー1050は、ハウジング1040の外壁1041に取り外し可能式に固定し、流体処理サブアセンブリ1010の交換が可能にすることができる。或いは又、流体処理パック1011がその有効寿命に達した時に流体処理要素1000の全体を廃棄することを予定している場合には、カバー1050は、ハウジング1040の外壁1041に溶接、結合又はその他の仕方で永久的に固定してもよい。
腐食性の流体の処理に関係するか又は不純物が極めて低レベルであることを必要とする用途では、全体が熱可塑性弗素重合体から成る流体処理要素が特に適している。何故なら、この弗素重合体は、化学不活性が極めて高く、熱可塑性プラスティックは、接着剤を使用せずに直接互いに結合できるからである。流体処理要素の構成部品に使用できる弗素重合体の若干の例としては、PTFE及びPVDF並びにPFA、AF及びFEP等のTFE含有共重合体がある。流体処理要素の弗素重合体構成部品を互いにシールし又は結合する最も望ましい方法は、融解結合である。何故なら、これにより、接着剤の使用が回避できるからである。融解結合では、互いに接合すべき1つ又は双方の構成部品を加熱して、その構成部品の少なくとも1つの一部を融解する。
加熱は、対流加熱、伝導加熱、誘導加熱、摩擦加熱、音響加熱又は放射加熱等種々の手法で実施できる。構成部品が加熱される温度は、典型的には、構成部品のガラス転移点又は軟化温度を上回る温度であって、加熱される材料が自由に流れるか又は分解する温度を下回る温度である。構成部品は、次いで、纏められ、融解材料が固化するまで放置冷却され、よって、構成部品が互いに結合する。エンド・キャップ1010及び外壁1041のカバー1050への融解結合は、これらの構成部品の1つ以上に構成部品の隣接する部分の変形を生じることなしに融解できる犠牲溶接特徴を与えることによって促進できる。本実施例では、各エンド・キャップ1030は、基部1032と基部1032から相対するカバー1050に向かって延びる環状ネック1033から成る溶接用特徴を含む。
各カバー1050は、相対するエンド・キャップ1030のネック1033と一直線上にあるカバー1050の底面から伸びている第一環状リッジから成る溶接特徴を含む。その長さ方向の各端部において、ハウジング1040の外壁1041は、外方に広がっているリップ1042を有している。各カバー1050は、第一リッジ1054と同心の第二環状リッジ1055から成り且つリップ1042の頂面と一直線上にあるカバー1050の底面から延びている別の溶接特徴を含んでいる。融解結合の間に形成された融解プラスティックが放射状に拡散するのを減少させるため、各溶接特徴をその内周及び/外周に沿って面取りし、融解プラスティックが流れ込むことができる面取りで境界を設けられたスペースを創生する。
図23の流体処理要素を組み立てる方法の例は、次の通りである。流体処理サブアセンブリ1010を先ずエンド・キャップ1030を流体処理パック1011の長さ方向端面にそして選択的にコア1015の長さ方向端部及び管1020に融解結合することによって組み立てる。ハウジング1040の外壁1041を次いでサブアセンブリ1010の周囲に焼き嵌めし、二つの中間開口1021の間に水密シールを形成する。次に、外壁1041の1つの長さ方向端部にあるリップ1042及びサブアセンブリ1030の1つの長さ方向端部にあるエンド・キャップ1030のネック1033及びカバー1050の1つの二つのリッジ1054、1055が夫々のガラス転移点温度を超える温度での放射加熱で加熱する。次いで、カバー1050が外壁1041とエンド・キャップ1010に対して押し付け、その場合、リッジ1054がエンド・キャップ1030のネック1033と接触し、リッジ1055が外壁1041のリップ1042の上面と接触する。
これらの構成部品の融解部分は、次いで、放置冷却され、同時に、カバー1050を外壁1041に及びエンド・キャップ1030をカバー1050に結合する。次いで、以上のプロセスを繰り返し、もう一方のカバー1050をもう一方のエンド・キャップ1030に及び外壁1041のもう一方の長さ方向端部に融解結合する。その結果得られる流体処理要素は、全て弗素重合体構成部品を使用し、また、構成部品が接着剤やエラストマを使用することなく互いにシールされているために、耐腐食性が極めて優れている。
各流体ポート1051及び1052には、ねじ山、hose barb、LUER-LOK(登録商標)結合金具、FLARE TEK(登録商標)結合金具等のコネクタを備えて、流体ポートが外部機器と接続でき又は流体ポートが流体処理要素1000の作動中に閉じるべき場合に備えてキャップを取り付けるようにできる。FLARETEK結合金具は、特に、優れた耐腐食性又は高い純度を必要とする用途に適している。何故なら、この結合金具は、エラストマ・シール、シール・テープその他のシール部材を使用することなしにシールを形成できるからである。
流体ポート1051及び1052は、いずれも流体を流体処理要素1000に導入するか又は流体を流体処理要素1000から除去するのに使用できる。第一流体ポート1051を流れる流体は、第二流体ポートを流れる流体と同じ長さ方向又は相対する長さ方向に流体処理パック1011を通って流れる。
物質の移送を実行するための流体処理要素1000の作動の1つの可能な態様では、第一流体ストリームが流体処理要素1000に第一流体ポート1051の1つ、例えば、図23の上端にある流体ポートを通って導入される。第一流体ストリームは、コア1015の上端にある穴明き領域1016に流れ込み、上部穴明き領域1016の開口1017を通って上方に放射状に流れ、流体処理パック1011の内部排水層に流れ込む。穴明き領域1016の開口1017は、コア1015の周囲に分布され、もって、第一流体ストリームは、流体処理パック1011の内周の周りの内部排水層に均一に分配されている。
第一流体ストリームは、流体処理パック1011の長さ方向に内部排水層内を流れ、コア1015の下部穴明き領域1016に達し、ここで、第一流体ストリームは、コア1015の開口1017を通って内側に放射状に流れ、次いで、下部カバー1050の第一流体ポート1051を通って流体処理要素1000から排出される。同時に、第二流体ポート1052は、要素1000の下端にあるそれのような第二流体ポート1052の1つを通って流体処理要素1000に導入される。第二流体ストリームは、管1020とハウジング1040の外壁1041との間の環状スペース1045に流れ込み、次いで管1020の下端にある開口1021を通って内側に放射状に流れる。
第二流体ストリームは、次いで、流体処理パック1011の外部排水層に流れ込み、流体処理要素1000の上端に向かって流体処理パック1011の長さ方向の外部排水層内を流れる。その間、物質の移送は、第一流体ストリームと第二流体ストリームとの間で流体処理パック1011の流体処理層を通って発生する。第二流体ストリームが流体処理パック1011の上端に達すると、第二流体ストリームは、管1020の上端にある開口1021を通って外側に放射状に、管1020とハウジング1040の外壁1041との間の環状スペース1045に流れ込む。第二流体ストリームは、次いで、上部カバー1050の第二流体ポート1052に流れ込み、流体処理要素1000から排出される。
流体処理パック1011の流体処理層が処理される流体に透過性がある場合、流体処理要素1000は、全量態様又は横流態様に使用できる。例えば、全量濾過を実行するためには、濾過すべき流体は、第一流体ポート1051に導入し又は第一流体ポート1051の1つに、他方の第一流体ポートを閉じて、導入することができ、流体が流体処理パック1011の流体処理層を通過し、濾過された後、濾過水は、第二流体ポート1052の1つ又は双方から除去できる。或いは又、濾過すべき流体は、双方の第二流体ポート1052を通って又は一方の第二流体ポート1052を通り、他方の第二流体ポート1052を閉じて、流体処理に導入し、且つ導入された流体が全量濾過を経た後、濾過水は、第一流体ポート1051の一方又は双方を介して流体処理要素1000から除去できる。
横流濾過は、例えば、流体を一方の第一流体ポート1051に導入し、もう一方の第一流体ポートから濃縮流体を除去することによって実行し、その間、濾過水を一方又は双方の第二流体ポート1052を介して流体処理要素1000から除去できる。或いは又、濾過すべき流体は、一方の第二流体ポート1052を通って流体処理要素1000に導入でき、濃縮流体は、もう一方の第二流体ポート1052を介して除去でき、一方、濾過水は、第一流体ポート1051の一方又は双方を介して除去できる。流体処理要素1000は、図12の実施態様に関して記述した仕方と同様の仕方をもって逆流洗浄又は横流洗浄によって洗浄できる。
本発明は、更に、流体をその流体に可溶性の気体に接触するための流体処理配置を提供している。この流体処理配置は、図23に図示されている流体処理要素1000を含む先に記述した流体処理要素のいずれかを含み得る。よって、流体処理配置は、ハウジング並びに第一側及び第二側を有し第一側及び第二側に沿った第一フロー経路及び第二フロー経路を画するプリーツ状の流体処理層を含み得る。流体処理配置は、更に、流体処理要素の第一フロー経路に接続した気体源と流体処理要素の第二フロー経路に接続した流体源を含んでいる。この流体処理配置は、例えば、気体を流体に溶解するために有益である。かかる配置は、1つ以上の利点を提供する。例えば、得られる解決策は、気体泡を全く含まないか又は実質的に含まず、気体溶出速度又は気体の移送が向上する。
本発明の流体処理要素は、流体処理層又は媒体の全体に亘る可溶の気体の拡散性の移送を促進する。これは、噴霧態様での液体中の気体の直接溶解とは異なる。気体の圧力が液体の圧力より高いと、噴霧や泡立ちが生じる。泡は、合体して、より大きな泡を形成する傾向があり、この合体によって、気体分子と溶媒分子との間の接触面積が減少する。接触面積が縮小するので、その結果得られる物質の溶液への移送量或いは移送速度は、低くなる。拡散性の移送を達成するためには、流体処理配置は、望ましくは、液体側への圧力が気体側の圧力より高くなるように運転する。気体の圧力が液体の圧力より高くなると、移送の噴霧態様又はバルク・フローが発生する。媒体を介しての気体のバルク・フローは余り望ましくない。
気体の移送は、単一経路態様又は循環態様で実施できる。単一経路態様では、気体が流体処理層の1つの側に入り、それに沿って方向付けられ、液体がその反対側に入り、それに沿って方向付けられる。気体と液体は、再循環されない。その代わり、気体は、流体処理媒体に沿って通り、流体処理要素から出て、適当に処分される。同様に、液体は、流体処理媒体に沿って通り、流体処理要素から出る。液体が流体処理媒体に沿って繰り返し通ると、気体の濃度が増大する。例えば、気体をその可溶限度まで含む液体溶液が調製できる。例えば、オゾンを溶液に対して重量で最高約25%を含む水溶液が調製できる。一定の実施態様では、気体と液体を双方とも再循環できる。
再循環態様での流体処理配置は、液体浴又はタンクを含む。溶質、例えばオゾンの濃度を測定する検出器がタンクの出口で配置できる。適当な検出器を使用できる。例えば、紫外線検出器を使用して、オゾンを測定できる。タンクからの液体は、流体処理要素の入り口にポンプアップできる。液体は流体処理要素から出て、タンクに戻る。
液体と気体とは、適当な流速又は圧力で通せる。例えば、水は、最高約40 lpmの流速で、典型的には、約1 lpm乃至約30 lpmで、そして、望ましくは、約8lpm乃至約20lpmの流速で通すことができ;また、気体、例えば、オゾンは、最高約8 slpm、典型的には、約1 slpm乃至約4 lpm、そして、望ましくは、約2 slpm乃至約3slpmの流速で通すことができる。液体圧力は、液体流速に左右される。例えば、液体圧力は、約2psiより大きくでき、典型的には約5 psi乃至約30 psi;望ましくは、約20 psi乃至約25 psiである。よって、例えば、出て行く液体の流速が約16lpm乃至約20 lpmであれば、入って来る液体の圧力は、約5 psi乃至約10 psiである。
気体の圧力は、約0.1 psiより大きくでき、典型的には、約3 psi乃至約25 psiであり、また、望ましくは、約15 psi乃至約22 psiである。この流体処理媒体は、一般的に、この液体に不透過である。例えば、媒体は、液体が流体処理媒体を濡らさないように防水性でよい。気体の圧力は、液体の出口圧力よりも小さい。
気体、例えば、オゾンと酸素との混合物は、流体処理媒体の他方の側に入り、それに沿って方向付けられる。オゾンは、放電タイプのオゾン発生器によって生成できる。オゾンの濃度は、約1g/m3を超えることができ、又、典型的には、約50g/m3乃至150 g/m3の範囲にあり、又、望ましくは、約150 g/m3乃至約250g/m3である。気体は、並流又は向流で入れることができる。
別の実施態様によると、本発明は、溶解気体を含む液体を脱ガスするための流体処理配置を提供する。脱ガス配置は、気体接触配置と同様でよく、各々は、流体処理要素を含む。脱ガス配置は、更に、第一フロー経路に接続している液体源及び第一フロー経路及び第二フロー経路との間の圧力の差を含んでいる。圧力の差は、例えば、第二経路を真空源に接続することによって、適当に与えられる。或いは又、圧力調節器を備えることによって、第一フロー経路を第二フロー経路よりも高い圧力に維持することができる。第一フロー経路と第二フロー経路とは、二つの独立の圧力源又は真空源と接続でき、所望の圧力差に制御できる。
よって、本発明によると、水を脱ガスし、溶解した酸素を除去できる。10億分の数部(ppb)未満の水中酸素濃度を達成でき、望ましくは、1ppb又はそれ以下の酸素である。一定の実施態様では、液体が先ず脱ガスされ、次いで、第二の気体が溶解される。例えば、水を脱ガスして、溶解酸素を除去でき、HF又はHClを次いで溶解できる。
上記の気体接触配置又は脱ガス配置では、流体処理要素は、望ましくは、図23に示されている通り円筒形である。更に、第一フロー経路及び第二フロー経路は、適当な方向で流体処理層に沿って流れ、望ましくは、相対する方向である。流体処理要素の流体処理パックは、望ましくは、少なくとも二つの排水層を含み、第一排水層が流体処理媒体の第一側にあり、第二排水層が流体処理媒体の第二側にあり、第一フロー経路と第二フロー経路とは夫々第一排水層と第二排水層の中で流れる。排水層は、織り又は不織メッシュでよく、望ましくは、不織メッシュである。望ましい実施態様では、流体処理層は、先に記述した通り、軸方向に延び、レイオーバーされているプリーツを有している。
流体処理アセンブリは、適当な材料で構成できる。例えば、金属、プラスティック、エラストマ、及び/又はセラミックである。攻撃性又は腐食性の気体又は液体を接触する等の厳しい環境での使用においては、選択する材料は、望ましくは、安定な重合体、例えば、弗素重合体である。よって、例えば、流体処理要素の構成部品、例えば流体処理層又は流体処理媒体、各排水層、緩衝作用層、ラップ部材、ケージ、管、コア、ストッパ及びエンド・キャップは、弗素高分子物質、望ましくは、過弗素高分子物質で構成できる。
適当な弗素高分子物質、例えば、テトラフルオロエチレン(TFE)単量体から成る単独重合体又は共重合体が使用できる。かかる単独重合体の例は、ポリテトラフルオロエチレン(PTRE)である。
共重合体の例は、TFEとパーフルオロアルキルビニルエテル、パーフルオロアルコキシジオクソル及び3個以上の炭素原子を有するパーフルオロオレフィンから成るグループから選択された少なくとも1つの単量体とから成る共重合体である。パーフルオロアルキルビニルエテルの例は、パーフルオロメチルビニルエテル又はパーフルオロプロピルビニルエテルである。パーフルオロアルコキシジオクソルの例は、パーフルオロ-2,2-ジメチル-1,3-ジオクソルである。パーフルオロオレフィンの例は、パーフルオロプロピレンである。適当な共重合体の例は、TFEとパーフルオロアルキルビニルエテル(PFA)との共重合体、TFEとパーフルオロ-2,2-ジメチル-1,3-ジオクソル(PDD)との共重合体及びTFEとFEP共重合体等のパーフルオロプロピレンとの共重合体を含む。
TFE単量体から成る共重合体の融点又は軟化点は、PTFEのそれより低く、及び/又は融解生成物状又は溶液状で容易に処理できる。例えば、PTFEの融点は327℃であるが、TFE-FEP共重合体の融点は、260℃、TFE-PFA共重合体のそれは、305℃、そしてTFE-PDD共重合体のそれは、285℃である。PTFEとFEPの共重合体は、商業的な高分子会社、例えば、デラウエア州ウィルミントン市のデュポン・カンパニから入手できる。
TFEとPDDとの適当な共重合体は、デュポン・カンパニからTEFLON AF(登録商標)1600及びAF 2400共重合体として上市されているものを含む。AF1600共重合体は、PDD含有量が約65モル%及びTFE含有量が約35モル%であり、AF 2400共重合体は、PDD含有量が約85モル%及びTFE含有量が約15モル%であると言われている。
上記の気体接触配置又は脱ガス配置において使用される流体処理要素の流体処理層は、望ましくは、ミクロ細孔膜又は薄膜を含む。更に、流体処理層、特に、ミクロ細孔膜がPTFEから成ることが望ましい。ミクロ細孔膜は、ポア・レーティングが0.01μmであることができ、典型的には、平均ポア・レーティングが約0.01μm乃至約10.0μmであり、そして望ましくは、平均ポア・レーティングが約0.05μm乃至約0.2μmである。一定の実施態様では、流体処理媒体は、無孔膜から成る。
本発明による気体接触配置を用いて、適当な液体中の適当な気体を溶解することができる。典型的には、この気体には、酸化剤、還元剤、殺菌剤、酸及び塩基のような攻撃性又は反応性の気体を含まれる。このような気体の例は、オゾン、酸素、ClO2、CO2、HCl、HF、NH3及びそれらの組み合わせを含む。これらの気体は、純粋気体でも他の気体、例えば、窒素又はアルゴン等の不活性気体との組み合わせの気体でもよい。適当な液体の例は、水、例えば、純水、酸又はアルカリの溶液等の腐食性液体、例えば、硫酸又は水酸化アルカリ金属を含む。例えば、塩酸又は硫酸は、金属性のものを除去するのに有効である。有機物を除去するのに有効なオゾンと組み合わせると、その結果得られるオゾン-酸溶液は、1回のパス(工程)で有機物の他金属性のものも除去できる。
本発明による一定の実施態様を使用して、溶解した気体を1つの液体から別の液体に移送できる。流体処理媒体を介しての物質の移送は、適当な勾配、例えば、濃度勾配、圧力勾配、温度勾配又はこれらの勾配の組み合わせを創生することによって達成できる。
本発明の実施態様によると、流体処理配置又は要素を使用して、使用現場での化学品生成能力を提供できる。例えば、化学品、例えば、大量のHF希釈水溶液を輸送する代わりに、HF等の腐食性気体を含む気体シリンダ(ガス・ボンベ)を化学製造工場に輸送できる。製造工場では、次いで、流体処理要素を使用して気体を水に接触せしめ、所望の濃度の溶液を製造できる。これによって、製造工場にとってコスト、例えば、輸送費、の引き下げの可能性が生まれる。
更に、一定のプロセス、例えば、生物製剤、医薬、飲料及び/又は食品の製造プロセス、は、反応を促進したり終息させたりするために反応混合物に気体を添加することを行なっている。かかる気体の添加は、気泡が反応又は試薬を害し又は乱す傾向があるのでその発生を回避するように実行するのが望ましい。例えば、気泡は、発泡(foaming)を生じる惧れがある。発泡体(foam)の剪断力が発酵工程に関与するバクテリア又はイーストを害する惧れがある。本発明は、気体を重要な発泡又は気泡形成なしに反応又はプロセスに移送することができる流体処理配置を提供する。本発明の流体処理要素は、また、人工肺としても役立ち得る。水、例えば、ミクロ電子工業において使用される水、にCO2等の気体を移送することで、金属イオン等のイオンを添加することなく水の伝導性を調整する便宜な仕方を提供できる。
別の実施態様によると、本発明は、液体をその液体に可溶の気体と接触させるための方法であって、第一側及び第二側を有するプリーツ状の流体処理層から成る流体処理アセンブリを提供し且つ第一側及び第二側に沿って第一フロー経路及び第二フロー経路を画することから成り;気体を第一フロー経路を通し;液体を第二フロー経路に沿って通し;そして気体の少なくとも一部を流体処理要素を通して液体中の気体の溶液を取得する方法を提供する。
更に別の実施態様によると、本発明は、溶解気体を含む液体を脱ガスするための方法であって、第一側及び第二側を有するプリーツ状の流体処理層から成る流体処理アセンブリを提供し且つ第一側及び第二側に沿って第一フロー経路及び第二フロー経路を画することから成り;気体を第一圧力で流体処理層の第一側に沿って通し;そして液体からの気体の少なくとも一部を第二低圧力で流体処理層の第二側に移送し、よって、流体処理層の第一側及び第二側の間に圧力の差を与える方法を提供する。この圧力の差は、上記の通りに、例えば、真空を流体処理アセンブリに適用し、もって、液体からの気体の少なくとも一部を流体処理層の第一側及び第二側のもう一方の側に移送することによって、与えることができる。
気体と液体とは、互いに適当な方向−並流又は、望ましくは、向流をもって通すことができる。この方法の実施態様によって調製された溶液は、気泡が全くないか又は略ぼ存在しないことが可能である。気体の膜を通過しての移送は、本質的には、拡散性及び差圧メカニズムを介して発生する。
本発明に従って構築される流体処理要素の一定の望ましい実施態様は、O-リング又は接着剤を全く使用しない。この構築材は、全て弗素重合体でよい。一定の実施態様では、流体処理要素は、融解結合された構成部品を含む。従って、流体処理要素の実施態様の多くは、プロセス流体に有機物又は無機物を浸出させない。
更に、本発明の実施態様によるプリーツ状流体処理パックを含む流体処理要素は、機械的に一層頑丈である。例えば、本発明の流体処理要素は、中空繊維要素に見られるような繊維の破断又は遮断等の問題が全くない。
本発明による流体処理要素の実施態様は、長い期間に亘って、望ましくは、適度の又は低膜差圧で、水溶性又は極性液体に気体を移送するため連続的に運転できる。よって、例えば、全ての弗素重合体流体処理要素は、気体移送の大幅な低下なしに連続して運転できる。膜差圧が高い、例えば、45psiより高い、と、0.2μmミクロ細孔膜が水溶性又は極性液体によって濡らされ、気体流、例えば、オゾン流、の大幅な低下が見られる惧れがある。
複数の流体処理要素を同時に運転する時には、単一のハウジングに全ての要素を収納配置する代わりに、要素を互いに流体的に連結し、所望の寸法のアセンブリを形成するモジュールに配置するのが有利と見られる。複数のモジュールを使用する方が、同じ数の流体処理要素を収納した大きな単一のハウジングよりも製作コストが安く済み、所望の数の流体処理要素を効率的に同時に運転することができるので運転上のフレキシビリティが高くなり得る。図26乃至29は、互いに連結した複数の流体処理モジュール1100を使用して同じ流体を同時に処理できるフィルタ・アセンブリ1060等の流体処理アセンブリの実施態様を示している。
図26は、組み付け状態の流体処理アセンブリ1060の等角図である。この図にある通り、アセンブリ1060は、並行して連結された複数の流体処理モジュール1100を含む。このアセンブリ1060ではモジュール1100の数に制約はない。モジュール1100の1つの利点は、所望の数のモジュールが互いに連結できることでありながら、アセンブリ1060が単一のモジュール1100のみで済むという点である。図示されている流体処理モジュール1100は、互いに構造が同じであるが、モジュール毎に構造を変えることもできる。流体をアセンブリ1060に供給し又は流体を除去する配管等の流体コンジット1073は、アセンブリ1060の一方の端部又は双方の端部に設置される。図示されているアセンブリ1060は、8本のコンジット(アセンブリ1060の各長さ方向端部に4本)を備えているが、これ以外の数のコンジット1073も使用できる。
任意のコンジット1073によって運ばれる流体の種類及びコンジット1073を通るフローの方向とは、アセンブリ1060の運転態様によって異なり得る。コンジット1073は、アセンブリ1060の単一の端部に設置できるが、コンジット1073をアセンブリ1060の双方の端部に備えることによってモジュール1100間により均一に流体を分配できる。コンジット1073には、図示されていない弁を備え、弁を通る流体のフローを制御することができる。モジュール1100は、これらの図では縦型に配列しているが、縦方向に関して所望の配列にすることもできる。
図28は、図27のアセンブリ1060の1群のモジュール1100を示した一部分解等角図であり、図29及び30は、モジュール1100の1つの縦断面図である。これらの図に図示されている通り、各モジュール1100は、第一ヘッダー1120、第一ヘッダー1120から間隔を置いた第二ヘッダー1130及び第一ヘッダー1120と第二ヘッダー1130との間に延びる中空ケーシング1140を含む。各モジュール1100は、更に、互いに及びヘッダ1120、1130と連絡しているハウジング1110に設置されている1つ以上の流体処理要素1150を含む。
モジュール1100の各ヘッダー1120、1130は、モジュール1100を1つ又はそれ以上の隣接モジュール1100のヘッダーと流体的に連結し、また、各モジュール1100のハウジング1110の内部をその外部と流体的に連結するのに役立つ。この実施態様では、第一ヘッダー1120は、相対する外面の間をヘッダーを貫通して延びる第一ストレート穴1121及び第二ストレート穴1122を有している。第一穴1121は、連結通路1124によって第一へッダーの下面と流体的に連結しており、第二穴1122は、別の連結経路によって流体処理要素1150を受けるための第一ヘッダー1120の下面に形成されている凹部1123と流体的に連結している。同様に、第二ヘッダー1130は、相対する外面の間をヘッダーを貫通して延びる第一穴1131及び第二穴1132を有している。
第一穴1131及び第二穴1132は、夫々、二つの連結経路1134及び1135によって第二ヘッダーの上面に形成されている流体処理要素1150を受けるための凹部1133と流体的に連結している。穴は、互いに平行な直線に沿って延びているのが図示されているが、穴が延びる方向は、制限がない。図示されている穴は、円形の横断面を有しているが、穴の形状も制限がない。穴に加えて、ヘッダー1120、1130は、ヘッダーの重量を減少するために使用できる種々の貫通穴又は凹所をもって形成され、ヘッダーの冷却を向上させ又は流体を運ぶことができる。図示されているヘッダー1120、1130は、長方形の横断面を持っているが、モジュール1100が互いに並行して連結できるような形状であれば、どんな形状でも取り得る。
各ハウジング1110のケーシング1140は、同ハウジング1110内の1つ以上の流体要素1150を外部から隔離している。ケーシング1140は、同ケーシングが流体処理要素1150の周囲を取り囲めるような形状であれば、どんな形状でも取り得る。例えば、円形、多角形、又はその他の形状の横断面を取り得、又は一方の又は双方のヘッダーに取り外し式に連結し、流体処理要素1150がハウジング1110から取り外して交換できるようにすることができる。本実施態様では、ケーシング1140の各長さ方向端部が夫々ヘッダー1120、1130上に形成されている円筒形リム1128、1138に挿入されており、接着剤又は融解結合等によって水密状にリムに接合されている。
モジュール1100のハウジング1110の製作材料は、処理される流体と適合性のある材料であればどんな材料でも使用できる。例えば、先に記述した弗素重合体等である。ハウジング1110は、再使用できるようにし得、又はモジュール1100の中の流体処理要素1150がその有効寿命に達した時に廃棄するか又はリサイクルして、モジュール1100の中の流体処理要素1150を交換するコストを削減することができる。
流体処理要素1150は、特定のタイプに限定されない。例えば、流体処理要素1150は、全量濾過、横流濾過又はその双方を予定することができる。図示されているハウジング1110は、流体処理要素1150が横流洗浄で効率的に洗浄できるように構築され得るが、ハウジング1110は、また、この仕方での洗浄を予定しない流体処理要素と併せて使用できる。図示されている流体処理要素1150は、図5に図示されている流体処理要素と構造上類似している。各流体処理要素1150は、プリーツ状流体処理パック1151、流体処理パック1151によって囲まれているコア1152並びに流体処理要素1150の相対する端部に配置されている夫々第一エンド・キャップ1156及び第二エンド・キャップ1158を含む。流体処理パック1151は、図1の実施態様のそれに構造上類似している。例えば、流体処理層、流体処理層の放射状外側に配置されている外部排水層及び流体処理層の放射状内側に配置されている内部排水層の3層複合体から成り得る。この複合体は、図1に関して記述したいずれかの仕方で放射状に延びるレイオーバープリーツ状に形成できる。プリーツは、例えば、ラップ部材によってレイオーバーの状態に維持できる。
図示されている各コア1152は、その各長さ方向端部において開口しており、その各長さ方向端部において穴明き部分1153及び流体が二つの穴明き部分1153の間に延びて通過できないブラインド部分1154を含む。各穴明き部分1153は、パーフォレーション又はその他の開口を備えて形成された管状の壁を備え、この開口を流体がコア1152の内部と流体処理パック1151との間を通ることができ、一方、ブラインド部分1154は、流体が通過できない周壁を有している。このブラインド部分1154は、図5のコア120のそれと構造上類似しており、中空管及び中空管を囲んでいる弾性層を備え、これが流体処理パック1151の内周に沿ってのプリーツの隣接する脚部間の三角形のギャップに充満している。ブラインド部分1154の一方又は双方は、ストッパ1155によって又はその他の適当な仕方でシールされており、これにより、流体がコア1152の内部に沿って流れるのを防止できる。コア1152の全長に関するブラインド部分1154の長さは、図5の実施態様の場合と同じように、どんな値でも取り得る。
各流体処理パック1151の長さ方向端面は、エンド・キャップ1156及び1158によって又はその他の適当な仕方でシールされており、もって、流体がこの長さ方向端面を通ってではなく、コア1152を介して流体処理要素1150を出入りする。エンド・キャップ1156及び1158は、コア1152に固定してもよいが、固定する必要はない。各第一エンド・キャップ1156は、ハウジング1110のヘッダー1120又は1130の1つと噛み合った形状をしており、各第二エンド・キャップ1158は、水密の仕方で、永久的に又は取り外し式に隣接する流体処理要素1150の第二インド・キャップ1158に連結できるように構築されている。第二エンド・キャップ1158は、互いに直接連結するか、又はその間に配置されている適当な連結部材によって連結されてもよい。図示されているハウジング1110は、並列に互いに連結されている二つの流体処理要素1150を含んでいるが、その代わりに、単一の流体処理要素1150又は二つを超える流体処理要素1150を含んでもよい。
各流体処理要素1150は、流体が流体処理要素1150のコア1152とヘッダーにある穴の1つとの間を流れることができるようにする仕方でヘッダー1120、1130の1つに流体的に連結できる。流体処理要素1150は、ヘッダー1120、1130に永久的に又は取り外し式に連結できる。本実施態様では、各流体処理要素1150の第一エンド・キャップ1156には、ネック1157が備えられ、これは、ヘッダー1120、1130の1つの凹所に挿入され、ヘッダーの中の1つ以上の穴と流体的に連絡できるようになっている。第一エンド・キャップ1156は、それが適当な仕方で噛み合っているヘッダにシールできている。本実施態様では、O-リング又はその他のシール部材が第一エンド・キャップ1156のネック1157の外部に取り付けられており、ネック1157が挿入される凹所の内部に対してピストン・シールを形成している。
ヘッダー1120、1130の中の穴の機能は、流体処理要素1150の運転態様によって異なり得る。流体処理要素1150が全量濾過に使用される場合は、プロセス流体は、第二穴1122、1132の一方又は双方を介して導入でき、濾過水は、第一ヘッダー1120にある第一穴1121を介して除去でき、又はプロセス流体は、第一ヘッダー1120にある第一穴を介して導入でき、濾過水は、第二穴1122、1132の一方又は双方を介して除去できる。
流体処理要素1150が横流濾過に使用される場合は、プロセス流体は、第二穴1122、1132の1つを介して導入でき、濃縮流体は、もう一方の第二穴から除去でき、濾過水は、第一ヘッダー1120にある第一穴1121から除去できる。流体処理要素1150が逆流洗浄を受ける場合、逆流流体は、濾過の間に流体処理要素1150の下流側に位置している穴のいずれか1つから導入でき、濾過の間に流体処理要素1150の下流側に位置している穴のいずれか1つ以上から除去できる。
流体処理要素1150が横流洗浄を受ける場合、気体と液体の混合物等の横流洗浄流体は、第二ヘッダー1130にある穴1131、1132の1つ又は双方を介して流体処理要素1150に導入でき、洗浄流体は、第一ヘッダー1120にある第二穴1122を介して除去できる。或いは又、横流洗浄流体は、第一ヘッダー1120にある第二穴1122を介して流体処理要素1150に導入でき、第二ヘッダー1130にある第二穴1132を介して除去できる。しかし、望ましくは、本発明に従って、洗浄流体を構成する空気と気体との混合物は、第一穴1131と第二ヘッダー1130の連結経路1134を介して気体だけ供給し且つ第二穴1132と連結経路1135を介して液体だけを供給することによって凹所1133にあるフィルタ要素1150の端部において形成される。連結経路1134は気体だけを供給するので、もう一方の経路よりも小さくてよい。流体が第一穴1131に流れ込むのを防止するため、連結経路1134には、抑止弁を取り付けてもよい。例えば、空気を第一穴1131及び連結経路1134を介して供給でき、水を望ましくは約同じ圧力、例えば、最高約35psiで供給し、流体要素1150に入る前に、凹所1133で混合する。フィルタ要素1150の端部での気体と液体との混合によって、洗浄流体の有効性が高まる。第二ヘッダー1130にある第一穴1131は、気体を洗浄流体に導入する目的以外の目的のために使用できるが、第一穴1131は、通常は、横流洗浄にしか使用されず、他の運転態様には使用されない。
モジュール1100は、流体が二つの隣接するモジュール1100の対応する穴の間を流れるようにするいずれかの仕方で永久的に又は取り外し式に互いに連結できる。本実施態様では、各ヘッダー1120、1130には、取り外し式に隣接するモジュール1100のヘッダーを互いに連結するためにボルト1160を通せる穴1127、1137が備えられている。ガスケット1161又はその他のシール部材を隣接するヘッダー1120、1130の相対する面の間に置いて、隣接するヘッダーの間を漏れを生じることなく流体が流れるようにできる。本実施態様では、各ヘッダーにある各穴の端面には、ガスケット1161の1つを受けるために、穴を円筒形に広げてあり、これがヘッダー1120、1130の相対する面の間で圧縮され、シールを形成している。図示されている実施態様では用いられていないが、隣接するモジュールの間に管その他のコンジットを配置して、モジュールを相互に流体的に連結することができる。
アセンブリ1060には、フレームその他の構造体を備えて、アセンブリの頑丈さを高めることができる。本実施態様では、モジュール1100は、フレーム1070によって支持されている。各々取り付けられた4本のコンジット1073を有する二つの端板1071がアセンブリ1060の相対する長さ方向端部に配置されている。各端板1071は、アセンブリ1060の一方の端部でねじジャッキによってモジュール1100にシール接触式に押し込まれている。流体は、各コンジット1073から隣接するモジュール1100のヘッダーの1つの穴に流れ込み、次いで、直線上にある穴を通ってアセンブリ1000の他の各モジュール1100に流れ込むことができる。
流体処理アセンブリ1070は、種々の態様で運転できる。横流濾過を実行するには、処理すべきプロセス流体は、各モジュール1100のヘッダ1120、1130の1つから流体処理要素1150に導入される。その一例として、プロセス流体が各モジュール1100の第二ヘッダ1130の第二穴1132から導入される例を以下に記述する。プロセス流体は、第二穴1132から下部流体処理要素1150の第一エンド・キャップ1156に流れ込み、次いで、流体処理要素1150のコア1152の下端にあるパーフォレーションを通って流体処理要素1150の内部排水層に流れ込む。プロセス流体は、次に、内部排水層の中を下部流体処理要素1150の上端に向かって流れ、流体処理されて透過水となり、これが流体処理要素1150の外部に流れ、次いで、第一ヘッダー1120の第一穴1121に入る。プロセス流体の内、流体処理されずに下部流体処理要素1150の上端に達した部分は、下部流体処理要素1150のコア1152の上端にあるパーフォレーションを介して下部流体処理要素1150の第二エンド・キャップ1158を通って且つ上部流体処理要素1150の第二エンド・キャップ1158に流れ込み、上部流体処理要素1150のコア1152の下端にあるパーフォレーションを通過して流れ、次いで、上部流体処理要素1150の内部排水層に流れ込む。
上部流体処理要素1150では、プロセス流体は、内部排水層の中を上部流体処理要素1150の上端に向かって流れ、その際、プロセス流体の一部は、流体処理層を通って流れ、透過水となり、これが上部流体処理要素1150から出て第一ヘッダー1120の第一穴1121に流れ込む。プロセス流体の内、流体処理層を通過しない部分は、上部流体処理要素1150の上端から排出され、濃縮流体として第一ヘッダー1121の第二穴1122に入る。アセンブリ1060のこの他の全てのモジュール1100ではこれと類似のプロセスが発生する。各モジュール1100で集められた濃縮流体は、第一ヘッダー1120の直線上にある第二穴1122を通って流れ、アセンブリ1060の端部にある1つ以上のコンジット1073を介してアセンブリ1060から除去され、各モジュール1100で集められた透過水は、第一ヘッダー1120の直線上にある第一穴1121を通って流れ、アセンブリ1060の端部にある1つ以上のコンジット1073を介してアセンブリ1060から除去される。
流体処理アセンブリ1060を全量濾過態様で運転するには、プロセス流体は、第一ヘッダー1120にある第二穴1122と第二ヘッダー1130にある第二穴1132の一方又は双方から流体処理要素1150に導入でき、流体処理要素1150の流体処理層を通過した濾過水は、第一ヘッダー1120にある第一穴1121から除去できる。プロセス流体が第二穴1122及び1132の一方だけを介して導入される場合、使用されない方の第二穴の内部は、圧力下に維持され、もって、プロセス流体は、それに流れ込まない。全量濾過もプロセス流体を各モジュール1100に第一ヘッダー1120の第一穴から導入し、濾過水を第一及び第二ヘッダー1120、1130にある第二穴1122、1132の一方又は双方を通ってモジュール1100から除去することによって、実行できる。
逆流洗浄を実行するには、逆流洗浄流体は、第一ヘッダー1120の第二穴1122を通ってモジュール1100に導入され、流体処理要素1150に向かって放射状に内側に押し込められ、次いで第一及び第二ヘッダー1120、1130の第一穴1121及び1131の一方又は双方から取り除かれた粒子と共に除去できる。或いは又、逆流洗浄流体は、第二穴1122、1132の一方又はその双方を通って導入され、流体処理要素1150を通って放射状に外側に押し出され、次いで第一ヘッダー1120の第一穴1121を通って取り除かれた粒子と共に除去できる。逆流洗浄流体が流体処理要素1150を通って流れる方向は、流体が濾過の間に流される方向と反対の方向が選択される。
濾過又は逆流洗浄の間は、第二ヘッダー1130にある第一穴1131は、典型的には、使用されない。これらの状況では、第一穴1131と連絡している図示されていない弁を閉じると、第一穴1131の内部とそれが連結していない第二ヘッダー1130にある凹所1133の内部との間に流体が流れるの防止することができる。
横流洗浄を実施するためには、圧縮空気等の圧縮気体は、第二ヘッダー1130の第一穴1131を通して下部流体処理要素1150の端部にある凹所1133に導入し、水等の液体は、第二ヘッダー1132を介して凹所1133に導入する、いずれも同じ圧力でこれを行なう。空気と水とは、凹所1133で混合され、洗浄流体が形成される。洗浄流体は、下部流体処理要素1150の内部排水層の中で要素1150の長さ方向に流れ、下部流体処理要素の上端から出て上部流体処理要素1150に流れ込み、上部流体処理要素1150の内部排水層の中で同要素の上端に流れ、上部流体処理要素1150の上端から出て第一ヘッダー1120の第二穴1122に流れ込み、次いで、アセンブリ1060の一方の又は双方の端部を通ってアセンブリ1060から除去される。或いは又、圧縮空気を流体処理要素1150に単独で通すか、又は圧縮空気と液体とを順次流体処理要素1150に通し、各流体が流体処理要素1150を1回以上通るようにできる。
横流洗浄の場合、第一ヘッダー1120の第一穴1121及び流体処理要素1150を囲んでいるハウジング1110の内部の圧力は、流体処理要素1150の内部排水層の中の圧力と同じかそれより高く維持し、洗浄用流体が流体処理要素1150を通って放射状に外向きに押し出されることがないようするのが望ましい。
流体は圧縮空気と併せて第二ヘッダー1130の第一穴1131を通って導入することができるが、第一穴1130と凹所1133との間の連結経路の直径が小さく、これが流体の通過を妨げる可能性があるので、横流洗浄流体は第一穴1131ではなく第二ヘッダー1130の第二穴1132を通して導入するほうが容易であろう。横流洗浄の間は、第二ヘッダー1130の第二穴1132での圧力は、第一穴1131からの流体が第二穴1132に流れ込まないようなレベルに、例えば、実質的に同じレベルに維持するのが望ましい。
本実施態様では、モジュール1100で流体を運ぶ全ての穴には、二つの開口端部がある。しかし、モジュール1100が、二つのモジュールではなく、1つだけの隣接するモジュール1100と連絡する予定である場合は、モジュール1100は、その1つの端部だけに開口している1つ以上の穴を備えているとよい。ヘッダーにある穴は、直線に沿って延びる必要がなく、ヘッダーの相対する側の間に延びる必要がない。例えば、ヘッダーでの穴は、L字型で、二つの開口端が互いに直角を成してヘッダーの外面に開口しているのでよい。
かかる形状の穴を有するモジュール1100を使用して、線形以外の構成を有するアセンブリを形成することができる。例えば、流体処理アセンブリは、第一直線経路に沿って互いに連結されている図28に図示されているモジュールのような第一グループのモジュール1100及び第一直線経路に直角の第二直線経路に沿って互いに連結されている図28に図示されているモジュールのような第二グループのモジュール1100を含み、これら二つのグループのモジュール1100がこれら二つのグループのモジュール1100と互いに連結するためにそのヘッダーに形成されたL字型の穴を有するモジュールにおいて互いに連結している。
上記の通り、図27の流体処理アセンブリ1060は、特定の流体処理要素による使用という制限がない。先に記述した流体処理要素がいずれも適切に使用できる。例えば、図31は、図29及び30のモジュール1100に異なる流体処理要素1100を備えた改変版の縦断面図である。図示されている流体処理要素200は、通常、プロセス流体が濾過の間に流体処理要素200のプリーツの放射状外面に沿って流れる図9の実施態様の流体処理要素と同様の構造を有しており、透過水又は濾過水は、流体処理要素200の穴明きコア220に流れ込み、コア220の長さ方向端部から流れ出る。
モジュール1100のハウジング1110は、第一及び第二ヘッダー1120、1130及びその間に伸びヘッダーにシールされているケーシング1140を含む、図29及び30に掲げるハウジング1110の構造と実質的に同じ構造を備えている。ハウジング1110は、単一の流体処理要素200だけを含むように図示されているが、図29及び30の実施態様の場合のように、複数の流体処理要素200が連結できる。
先の実施態様と同様に、図31の実施態様は、種々の態様で運転できる。横流濾過を実施するには、処理すべきプロセス流体は、典型的には、第二ヘッダー1130の第二穴1132から流体処理要素200に導入される。シール・ストリップ214が流体処理要素200の下部長さ方向端部にある流体処理本体210のプリーツの放射状内側に備えられており、プロセス流体が下部エンド・キャップ230を通って第二穴1132から流れ出て、流体処理本体210の外部排水層に流れ込む。
プロセス流体は、外部排水層の中で流体処理要素200の上端に向かって流れる。その際、プロセス流体の一部は、流体処理要素200を通って流れ、流体処理され、透過水となり、これが穴明きコア220に入り、コア220の上端から出て、第一ヘッダー1120にある凹所1123に流れ込み、次いで、第一ヘッダー1120の第二穴1122に入り込んで、アセンブリ1060にある他のモジュール1100からの透過水と併せてモジュール1100から除去される。
プロセス流体の内、濾過されずに流体処理要素200の上端に達した部分は、外管240の上端にあるパーフォレーション241を通ってフィルタ要素200を囲んでいるハウジング1110の領域に流れ込み、次いで、第一ヘッダー1120の第一穴1121に流れ込み、アセンブリ1060にある他のモジュール1100からの濃縮流体と一緒に濃縮流体としてモジュー1100から除去される。
フィルタ・アセンブリ1060を全量濾過態様で運転するには、プロセス流体は、第一ヘッダー1120にある第一穴1121の一方又は双方から及び第二ヘッダー1130にある第二穴1132から導入でき、フィルタ要素200のフィルタ層を通過した濾過水は、第一ヘッダー1120にある第二穴1122から除去できる。プロセス流体が穴1121及び1132の内の1つだけから導入された場合、この他の穴の内部は、流体がそこから流れ出ないような圧力に維持することができる。全量濾過もプロセス流体を第一ヘッダー1120にある第二穴から導入し、濾過水を第一ヘッダー1120にある第一穴1121の一方又は双方及び第二ヘッダー1130にある第二穴1132を介してモジュール1100から除去することによって実行できる。
逆流洗浄を実行するには、逆流洗浄流体は、第一ヘッダー1120の第二穴1122を介して導入し、流体処理要素200を介して放射状に外向きに押し出され、第一ヘッダー1120にある第一穴1121の一方又は双方及び第二ヘッダー1130にある第二穴1132から取り除かれた粒子と一緒に除去することができる。或いは又、逆流洗浄流体は、第一ヘッダー1120にある第一穴1121の一方又は双方及び第二ヘッダー1130にある第二穴1132を通して導入され、流体処理要素200を介して放射状に内向けに押し込まれ、次いで第一ヘッダー1120の第二穴1122を介して取り除かれた粒子と一緒に除去できる。
横流洗浄を実行するには、 圧縮空気を第二ヘッダー1130の第一穴1131を介して流体処理要素200に導入し、液体を第二穴1132を介してフィルタ要素200に導入し、気体と液体を混合して洗浄流体を形成することができる。洗浄流体は、次いで、流体処理要素200の外部排水層の中でその長さ方向に流れ、次いで、外部管240にあるパーフォレーション241を通って排出され、第一ヘッダー1120にある第一穴1121を通ってモジュール1100から除去される。横流洗浄の間には、第一ヘッダー1120の第二穴1122及びコア220の内部での圧力を流体処理要素200の外部排水層の中の圧力と同じか又はそれより高く維持して、横流洗浄に使用する気体が流体処理本体210の流体処理層を介して内側に放射状に押し込められないようにするのが望ましい。先の実施態様の場合と同様に、圧縮空気だけを流体処理要素200を通して流し、又は圧縮空気と横流洗浄流体を順次流体処理要素200を通すこともできる。
以下の実施例は、更に、本発明の種々の側面を示しているが、これは勿論その範囲を限定する仕方をもって解釈すべきではない。
実施例1 この実施例は、流体処理要素、特に本発明の1つの実施態様に従っての流体処理要素の利点、即ち、洗浄が横流態様で行なわれる時にこの流体処理要素が優れた性能を提供する利点を示している。
二つの流体処理要素で、空気と組み合わせて水を使用した従来方式の逆流によって又は横流によって、洗浄の後に濾過を行なう繰り返しサイクルを行なった。各流体処理要素は、長さが約20インチ、流体処理媒体の表面積片側当たり約12平方フィートであった。二つの流体処理要素は、流体処理層、排水層及び単位面積当たりの流速が類似していた。逆流洗浄に使用した流体処理要素は、全体構造は類似していた。但し、そのコアが全長に亘って鑽孔され、その内部に遮るもののなく、もって、流体がコアの内部をその全長に亘って流れることができ、コアの下端が図5の開口エンド・キャップ140の代わりにブラインド・エンド・キャップによって閉止されていたという点だけが異なっていた。
各流体処理要素を用いて、流体処理媒体面積1平方フィート当たり0.03 gpm(1分当たりのガロン数)の流速で活性汚泥式水道水プラントの廃水を流体処理した。濾過は、逆流か又は横流による洗浄の後、20分間行なった。横流洗浄の間、水をポンプでプロセス流体チェンバーに導入し、同時に圧縮空気をプロセス流体チェンバーに導入し、もって、水と空気の混合物が流体処理要素の長さ方向に外部排水層の中を流れ、その間、圧縮空気が約1scfmの速度で流体処理要素を通過した。これは、流体処理媒体の一方の側における表面積1平方フィート当たり約0.083 scfmに相当した。同時に、流体処理要素のコアの中の圧力は、外部排水層の中の圧力より高く維持し、洗浄に使用されていた水と空気とが流体処理層を通過するのを防止した。各20分間の濾過の終了時点で、流体処理要素の終局圧力減を測定した。
従来方式の逆流洗浄に使用した流体処理要素は、最初の濾過周期の完了時点での終局圧力低下が0.5 psid未満であった。16回の濾過周期(それに先行した15回の各濾過の後に逆流洗浄を行なった)後の終局圧力低下は、5psidに増大した。横流洗浄を行なった流体処理要素では、終局圧力低下は、最初の濾過周期後でやはり0.5 psidであったが、この流体処理要素は、終局圧力低下が5psidに達するまでに約48回の濾過周期の運転ができた。よって、横流洗浄の方が、逆流洗浄に比べて流体処理要素からの粒子の除去の点で遥かに有効であった。
実施例2 この実施例は、本発明の1つの実施態様による物質移送の方法を示したものである。
ポア・レーティング0.2μm及びPFAメッシュの拡張(expanded)PTFE膜から成る図23に実質的に記述されている二つの全弗素重合体プリーツ式流体処理要素をオゾンと酸素との混合物からのオゾンの純水への移送について試験した。酸素中の二つの異なるオゾン濃度、150g/cm3及び250 g/cm3を用いた。試験は、1回通し態様で行なった。水流速度は、4 lpm乃至16 lpmと変動させた。水圧は、25psiであった。酸素圧力は、20 psiであった。オゾンの水中濃度をモニタリングした。図24は、この二つのオゾン濃度について、溶解オゾン濃度を水流速度の関数として表した。この図から見て取れる通り、気相オゾン濃度が高ければ高いほど、溶解オゾン濃度が高くなっていた。図24は、また、オゾン流束を水流速度の関数として表している。この図から見て取れる通り、オゾン流束は、溶解濃度が低いほど高かった。
実施例3 この実施例は、本発明の1つの実施態様による拡散性物質移送の利点を示したものである。
Pall CorporationからEMELONとして市販されているポア・レーティング0.1μmでダイヤモンド形状のPTFEメッシュの拡張多孔性PTFE膜から成る図23に実質的に記述されている二つの全弗素重合体プリーツ式流体処理要素を噴霧態様と非噴霧態様で試験した。非噴霧態様での試験では噴霧態様の場合に比べてオゾンの水への移送が高いことが判明した。二つの異なるオゾン濃度をこれらの試験で使用した。
O3:O2濃度が150 g/m3であり、オゾンを噴霧した試験の条件は、次の通りであった:水流速8 lpm;酸素流速 4 slpm;P(水を含む) 28 psi;P(水を除く) 25 psi;P(酸素を含む) 26 psi;P(酸素を除く) 24-26psi;循環量 8ガロン。水温は、次の通りであった:試験の開始時点華氏57.6°及び試験終了時点華氏60.1°。気体中のオゾン及び液体ストリーム中のオゾンを測定した。その結果は、次の通りであった。
O3:O2濃度が250 g/m3であり、オゾンを噴霧した試験の条件は、次の通りであった:水流速8 lpm;酸素流速 4 slpm;P(水を含む) 28 psi;P(水を除く) 25 psi;P(酸素を含む) 26 psi;P(酸素を除く) 24-26psi;循環量 8ガロン。水温は、次の通りであった:試験の開始時点華氏57.6°及び試験終了時点華氏60.1°。気体中のオゾン及び液体ストリーム中のオゾンを測定した。その結果は、次の通りであった。
O3:O2濃度が150 g/m3であり、オゾンを噴霧しなかった試験の条件は、次の通りであった:水流速8 lpm;酸素流速 4 slpm;P(水を含む) 28 psi;P(水を除く) 25 psi;P(酸素を含む) 22 psi;P(酸素を除く) 20 psi;循環量8ガロン。水温は、次の通りであった:試験の開始時点華氏68.9°及び試験終了時点華氏72.3°。気体中のオゾン及び液体ストリーム中のオゾンを測定した。その結果は、次の通りであった。
O3:O2濃度が250 g/m3であり、オゾンを噴霧しなかった試験の条件は、次の通りであった:水流速8 lpm;酸素流速 4 slpm;P(水を含む) 28 psi;P(水を除く) 25 psi;P(酸素を含む) 22 psi;P(酸素を除く) 20 psi;循環量8ガロン。水温は、次の通りであった:試験の開始時点華氏67.8°及び試験終了時点華氏70.9°。気体中のオゾン及び液体ストリーム中のオゾンを測定した。その結果は、次の通りであった。
以上のデータは、水中のオゾンの濃度が噴霧態様の場合よりも非噴霧態様の場合の方が高かったことを示している。
実施例4 この実施例は、本発明の1つの実施態様による流体処理要素を使用してオゾンを水に拡散的に移送する方法を示している。
この試験では、図23に実質的に記述されている全弗素重合体プリーツ式膜モジュールを用いた。流体処理媒体は、平均ポア・レーティングが0.1μmであった。オゾンは、ASTEX(登録商標)AX8400オゾン発生器で生成した。オゾンを上流O3:O2濃度250g/m3で非噴霧態様で通した。純水を下流で通した。水を循環させた。試験条件は、次の通りであった:水流速=16 lpm、水の背圧=2psi、気体流速=2 slpm、気体の背圧=0 psi。
気体及び水の中のオゾンの濃度をDFOZ(登録商標)及びGFFOZ(登録商標)(いずれも、IN USA Inc.製)気体及び液体オゾン検出器を使用して測定した。オゾンの流束速度は、試験開始時2.8g/m3/hr、オゾン飽和レベルでは0.3 g/m3/hrであった。連続6日間の試験で7ガロン容量の循環純水タンクで20−30ppmのオゾン濃度が達成され、維持された。主として水中に存在していた高TOC(全有機炭素)に因るオゾン破壊は、3.0−0.3 g/m3/hrであった。得られた結果を下表に示す。
図25は、流束を水中のオゾン濃度の関数として表している。この図25及び表1のデータから見て取れるように、流束は、減少した。これは、流束速度が溶液濃度の傾斜に左右されるので予想通りであった。オゾン濃度が高くなると、濃度傾斜が減少した。更に、図26に見る通り、比較的短い時間で最高オゾン濃度に達した。
この流体処理要素は、性能が大きく落ちることなく運転できた。6日間の連続試験の後、性能の大きな低下は、認められなかった。
オゾン移送試験の前後にTOC分析のため循環タンクから毎日水を抜いた。結果を下表に示す。
以上のデータは、この流体処理要素が水中の有機炭素含有量を破壊するに有効な程度の量のオゾンを水に移送したことを示している。
実施例5 この実施例は、本発明の1つの実施態様による流体処理要素の利点を示している。図23に掲げる流体処理要素は、実質的に、抽出性物質がない。
全弗素重合体流体処理要素を純水で洗浄処理し、リンセートの固有抵抗を測定した。この流体処理要素は、Pall Corporation製の0.2μmPTFE流体処理媒体とPFA織りメッシュを含んでいた。流体処理要素を水平に取り付け、純水を媒体の一方の側を2gpmで通した。もう一方の側を雰囲気に開口した。水の固有抵抗を上流部と下流部とでThornton770PC導電率計で測定した。水中のTOCもAnatelA-100P TOCモニタを使用して測定した。その結果を下表に示す。
洗浄水も一定のアニオン、カチオン及び遷移金属について分析した。検出限界と併せてこの試験結果を下表に掲げる。
以上のデータは、流体処理要素が材料を水中に浸出させなかったことを示している。
特許及び特許出願を含む本明細書において引用した全ての文献は、引用をもってその全体が本明細書に組み込まれるものとする。
本発明は、幾つかの実施態様を強調して記述したが、これらの実施態様の変形が使用できること、及び本発明が本明細書に具体的に記述された以外の仕方をもって実施できることが意図されていることは、当業者にとって自明のことである。例えば、本発明によって、開示されているいずれかの実施態様の1つ以上又は全ての特徴事項が他の開示されているいずれかの実施態様の1つ以上又は全ての特徴事項によって代替され及び/又は組み合わされ得る。加えて、本発明によると、各実施態様の開示されている全ての特徴事項が本発明に含まれ得る。従って、本発明は、以下の請求項に定められる発明の精神及び範囲内に包摂される全ての変形を含む。