JP2010184999A - コーティング剤および成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】天然資源を有効利用し、環境に優しい廃棄処理あるいはリサイクリングが可能でコスト的にも安価であり、且つ、完全な水溶性多糖類ではなく、高い結晶性を有するセルロース系コーティング剤であり、コーティング剤によって形成されるコーティング層が湿度劣化や温度依存性が抑制された優れた酸素バリア性を有し、また加工適性や保存適性にも優れ、優れた透明性と可とう性を有する成形体を提供する。
【解決手段】繊維状の微細セルロースを含有し、且つ、該微細セルロースの結晶化度が70%以上98%以下の範囲内であり、且つ、該微細セルロースの繊維幅が1nm以上1μm以下の範囲内であり、且つ、該微細セルロースの長さが繊維幅の100倍以上10000倍以下の範囲内であることを特徴とするコーティング剤。
【選択図】なし

Description

本発明は、ガスバリア性を発現するコーティング剤、及びそれを塗布して得られる成形体に関するものである。
従来、ガスバリアフィルムとしては、塩化ビニリデン共重合体(PVDC)等の塩素系のものが各種包装材料などに広く普及している。しかし、最近の環境問題に対する意識の高まりから、非塩素系のガスバリア材としてポリビニルアルコール(PVA)とエチレンビニルアルコールとの共重合体、あるいはこれらの樹脂がコートされたフィルムが使用されている。しかし、これらの樹脂も石油系材料から得られるポリマーであり、石油の枯渇化や温暖化ガス削減の観点からは充分ではなく、植物由来材料、特にセルロースなどの材料の有効利用が望まれている。
また、同様の観点から、食品などのパッケージ分野で紙やポリ乳酸や植物から合成したポリオレフィンなどが注目されているが、これらの材料にはパッケージとして要求されることの多いガスバリア性に乏しいものが多く、これらの材料へのガスバリア性の付与は大きな課題となっている。
バリア剤の方も水溶性デンプンや水溶性セルロース誘導体をはじめとする多糖類のガスバリア性コーティング剤が開発されている。これらは天然物由来ということで環境的にも安全上の観点からもPVA等の合成高分子由来のコーティング剤に比べ好ましい。しかし、水溶性多糖類のコーティング剤の温度依存性や高湿度下でのガスバリア性の劣化は避けられない。
特開2002−348522号公報
特許文献1あっては、カルボキシル基を導入した完全な水溶性ではないセルロース系コーティング剤が提案されている。しかしながら、引用文献1記載のコーティング剤にあっては繊維の絡み合いや相互作用が弱く、形成される層のフレキシビレティーや耐湿バリア性および透明性が要求される用途にはさらに高い性能が求められている。
本発明にあっては、天然資源を有効利用し、環境に優しい廃棄処理あるいはリサイクリングが可能でコスト的にも安価であり、且つ、完全な水溶性多糖類ではなく、高い結晶性を有するセルロース系コーティング剤を提供することを課題とする。そして、コーティング剤によって形成されるコーティング層が湿度劣化や温度依存性が抑制された優れた酸素バリア性を有し、また加工適性や保存適性にも優れ、優れた透明性と可とう性を有する成形体を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために請求項1に係る発明としては、繊維状の微細セルロースを含有し、且つ、該微細セルロースの結晶化度が70%以上98%以下の範囲内であり、且つ、該微細セルロースの繊維幅が1nm以上1μm以下の範囲内であり、且つ、該微細セルロースの長さが繊維幅の100倍以上10000倍以下の範囲内であることを特徴とするコーティング剤とした。
また、請求項2に係る発明としては、前記繊維状の微細セルロースの繊維幅が1nm以上50nm以下の範囲内であることを特徴とする請求項1記載のコーティング剤とした。
また、請求項3に係る発明としては、前記微細セルロースが表面にカルボキシル基を有する改質微細セルロースであって、且つ、カルボキシル基の量が0.1mmol/g以上3.8mmol/g以下の範囲内であることを特徴とする請求項1または請求項2記載のコーティング剤とした。
また、請求項4に係る発明としては、前記微細セルロースが表面にカルボキシル基を有する改質微細セルロースであって、且つ、カルボキシル基の量が0.1mmol/g以上1.9mmol/g以下の範囲内であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のコーティング剤とした。
また、請求項5に係る発明としては、前記微細セルロースの他に水溶性高分子を含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のコーティング剤とした。
また、請求項6に係る発明としては、前記水溶性高分子がポリビニルアルコールであることを特徴とする請求項5記載のコーティング剤とした。
また、請求項7に係る発明としては、前記微細セルロースの他に水溶性多糖類を含むことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のコーティング剤とした。
また、請求項8に係る発明としては、前記水溶性多糖類が天然多糖類を酸化したもの含むことを特徴とする請求項7記載のコーティング剤とした。
また、請求項9に係る発明としては、前記水溶性高分子または水溶性多糖類が水酸基またはカルボキシル基またはアミノ基を有することを特徴する請求項5乃至9のいずれかに記載のコーティング剤とした。
また、請求項10に係る発明としては、前記微細セルロースの他に、水酸基またはカルボキシル基と反応しうる反応性官能基または多価カチオンを含む化合物或いはプレポリマーを含むことを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載のコーティング剤とした。
また、請求項11に係る発明としては、前記水酸基またはカルボキシル基と反応しうる反応性官能基または多価カチオンを含む化合物或いはプレポリマーが、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、カルボジイミド化合物、シラノール化合物、オキサゾリン化合物、アミン化合物、金属アルコキシドおよびその加水分解物、塩化錫、無機層状鉱物いずれかであることを特徴とする請求項10記載のコーティング剤とした。
また、請求項12に係る発明としては、請求項1乃至11のいずれかに記載のコーティング剤から形成されるコーティング層を備える成形体とした。
また、請求項13に係る発明としては、前記コーティング層が無機蒸着層と接して設けられることを特徴とする請求項12記載の成形体とした。
また、請求項14に係る発明としては、温度25℃湿度70%における酸素透過度が0.001cm/m・atm・day以上19cm/m・atm・day以下の範囲内であることを特徴とする請求項12または請求項13記載の成形体とした。
また、請求項15に係る発明としては、前記コーティング層に含まれる微細セルロースが、(110)面あるいは(1−10)面に配向しており、コーティング層のX線回折における2θ=15.5°の回折強度(X)と2θ=22.5°の回折強度(X)の比(X/X)が0.5以上1.0以下の範囲内であることを特徴とする請求項12乃至15のいずれかに記載の成形体とした。
また、請求項16に係る発明としては、前記コーティング層の層厚が1μm以上50μm以下の範囲内であり、且つ、前記コーティング層の全光線透過率が90%以上であり、且つ、コーティング層のヘイズが2%以下であることを特徴とする請求項12乃至16のいずれかに記載の成形体とした。
また、請求項17に係る発明としては、前記コーティング層が基材上に形成され、且つ、前記基材が天然材料を含むことを特徴とする請求項11乃至16のいずれかに記載の成形体とした。
また、請求項18に係る発明としては、前記天然材料がバイオポリオレフィン、ポリ乳酸、セルロース、紙から選択されることを特徴とする請求項17記載の成形体とした。
本発明のコーティング剤および成形体は、再生可能な天然資源であるセルロースを有効に利用している。天然資源は石油由来のプラスチックより燃焼熱が低く、焼却時に有毒ガス、有害物質を発生することない。さらに、本発明のコーティング剤を塗布、乾燥すると非常に高い透明性を有するコーティング層となり、セルロースの高い結晶構造を有する上にそれらが配向したコーティング層を形成することで、透明で、酸素通過度が低く、湿度劣化が抑制され、加工適性や保存適性にも優れ、フィルム状としても有効な成形体を得ることができる。
図1は本発明の成形体の断面模式図である。 図2は本発明の成形体の別の態様の断面模式図である。
まず最初に本発明のコーティング剤について説明する。
本発明のコーティング剤は、繊維状の微細セルロースを含有し、且つ、該微細セルロースの結晶化度が70%以上98%以下の範囲内であり、且つ、該微細セルロースの繊維幅が1nm以上1μm以下の範囲内であり、且つ、該微細セルロースの長さが繊維幅の100倍以上10000倍以下の範囲内であることを特徴とする。
本発明にあっては、コーティング剤が繊維状の微細セルロースを含有し、且つ、該微細セルロースの結晶化度が70%以上であることを特徴とする。セルロースの結晶化度を高くすることにより、結晶内部には規則正しくセルロース分子鎖が並び、たくさんの水素結合が存在しており、コーティング剤によって形成されるコーティング層は理想的なガスバリア性を示すことができる。この領域をできるだけたくさん設けるために本発明のコーティング剤にあっては、微細セルロースの結晶化度が70%以上であることを特徴とする。微細セルロースの結晶化度が70%に満たない場合にあっては、微細セルロースの結晶化度が低く、本発明のような優れた耐湿性の酸素バリア性が発揮できなくなってしまう。
なお、本発明のコーティング剤において微細セルロースの結晶化度が70%以上98%以下の範囲内であれば結晶型は問わないが、微細セルロースの結晶型はI型であることが好ましい。高い結晶化度を持つセルロースファイバーを得るには、セルロースの結晶型はI型であると好ましく、現段階ではその他の結晶系で結晶化度が70%以上といった高い結晶化度を有する微細セルロースを作るのは困難である。
なお、微細セルロースの結晶構造は、天然の木材などがもつセルロースの結晶構造と同様にX線回折法などにより確認することができる。セルロースIの結晶構造を有する微細セルロースは、コーティング剤によって形成されるX線回折スペクトルを測定した時、2θ=14.60°、16.5°及び22.7°においてピークを示すものをいう。このとき、微細セルロースのセルロースIの結晶化度は下記式により算出することができる。
(式) 結晶化度(%)=(I−Ia)/I×100
I:2θ=14.60°のピーク強度
Ia:2θ=12°と18°の強度を結んだ直線と2θ=14.60°の強度から真
直ぐ下ろした直線が交わる点の強度(アモルファス領域のピーク強度)
なお、本発明にあっては、微細セルロースの結晶化度は98%以下であることを特徴とする。微細セルロースの結晶化度は高いほうがより高いガスバリア性を発現するために好ましいが、結晶化度が98%を超える微細セルロースを製造することは困難である。
また、本発明のコーティング剤に含まれる微細セルロースにあっては、繊維状であり、微細セルロースの繊維幅が1nm以上1μm以下の範囲内であり、且つ、微細セルロースの長さが繊維幅の100倍以上10000倍以下の範囲内であることを特徴とする。本発明にあっては、微細セルロースが短方向の繊維幅が1μm以下の繊維状にほぐされたセルロースの集合体からなることを特徴とする。コーティング剤に含まれる微細セルロースを極めて細い繊維の集合体とすることにより、本発明のコーティング剤により形成されるコーティング層の緻密度を向上させ、酸素バリア性を向上させることができる。微細セルロースを長さを持った繊維状とすることで、コーティング層を形成した際に微細セルロースの絡み合いや、水素結合などによる拘束を受ける箇所が多くなり、コーティング層が水や水蒸気などの影響を受け難くなり、また、フレキシビリティーも増す。
微細セルロースの繊維幅が1μmを超える場合にあっては、形成されるコーティング層を平滑な面とすることが困難となってしまう。また、形成される透明性が下がる場合や、コーティング層の可とう性が低下してしまう場合がある。。また、繊維幅が1nmに満たない微細セルロースを製造することは困難である。一方、微細セルロースの長さが繊維幅の100倍に満たない場合にあっては、繊維状の微細セルロースとすることは困難となる。また、微細セルロースの長さが繊維幅の10000倍を超える場合にあっては、コーティング剤の粘度が急激に上昇したり、平滑な面を出すのが困難になるなどの取り扱い上の問題が多くなってしまう。
本発明における微細セルロースの原料は特に限定されるものではなく、各種木材、非木材パルプ、微生物産生セルロース、バロニアセルロース、ホヤセルロース、レーヨン等の再生セルロース等を用いることができ、高圧ホモジナイザーや凍結粉砕、ミル等で粉砕した粉末状のものや加水分解などの化学的処理により精製した微細セルロース、市販されている各種セルロース粉末や、微結晶セルロース粉末も使用できる。
本発明のコーティング剤において含まれる微細セルロースの短方向の繊維幅は小さければ小さいほど好ましく、微細セルロースの短方向の繊維幅は1nm以上50nm以下の範囲内であることがさらに好ましい。微細セルロースの繊維幅を50nm以下とすることにより本発明のコーティング剤により形成されるコーティング層の緻密度をさらに向上させ、酸素バリア性をさらに向上させることができる。微細セルロースがこの範囲にあると、コーティング膜の透明性が更に優れたものとなる。透明性が優れていると、例えばこれらのコーティング剤によりパッケージを作製したとき、内包物がパッケージの外から確認できるなどの利点がある。また、基材の色や柄などに影響することがないため、好ましい。
また、本発明のコーティング剤にあっては、微細セルロースが表面にカルボキシル基を有する改質微細セルロースであって、且つ、カルボキシル基の量が0.1mmol/g以上3.8mmol/g以下の範囲内であることが好ましい。
カルボキシル基を有する繊維状微細セルロースは、水の存在下から乾燥させたとき、繊維間での水素結合を促進し、形成されるコーティング層の緻密さを向上させ、バリア性を向上させるとともに、透明性も向上させることができる。また、セルロースの結晶性を有する微細セルロースは通常は水に分散あるいは溶解し難い。しかし、微細セルロースの繊維表面あるいは結晶表面にカルボキシル基あるいはその塩類を導入すると、水や水/アルコール混合溶液への分散性が格段に向上し、コーティング剤として適したものとなる。
セルロースの結晶性を有する改質微細セルロースのカルボキシル基量が0.1mmol/g以上3.8mmol/g以下の範囲内とすることにより、酸素透過度を小さく抑えることができ、また、塗液の状態で長時間沈殿・分離することなく、均一で良好なコーティング層が形成できる。改質微細セルロースのカルボニル量が0.1mmol/gに満たない場合にあっては、緻密な膜を構成することが困難となり、成膜性が悪くなり、透明性や酸素バリア性が低下する場合がある。一方、カルボニル量が3.8mmol/gを超える場合にあっては、高湿度下でのバリア性の低下や、膜の劣化が起こる場合がある。さらには、改質微細セルロースのカルボニル量が0.1mmol/g以上1.9mmol/g以下の範囲内にあると、酸素透過度をより小さく、また、高湿度下でのバリア性をより高くすることができ好ましい。
また、本発明におけるカルボキシル基を導入するための酸化方法としては、セルロースの結晶構造を崩すことなく酸化反応が進行し、カルボキシル基を導入できれば、手法は問わない。現在では様々な方法が開発されているが、微細セルロースを水系で処理する一例を挙げて説明する。水系で処理した後乾燥工程を経ることなくコーティング剤が調製できる為、微細セルロースの凝集などを防ぐことができる。
水系で処理でき、結晶表面に効率的にカルボキシル基を導入できる酸化方法としては、N−オキシル化合物(オキソアンモニウム塩)の存在下、酸化剤を用いて、セルロースを酸化する方法を挙げることができる。N−オキシル化合物には、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジン−N−オキシル(以下TEMPOと称する)、などが含まれる。この酸化方法では、酸化の程度に応じて、カルボキシル基を均一かつ効率よく導入できる。本酸化反応は、前記N−オキシル化合物と、臭化物又はヨウ化物との共存下で行うのが有利である。臭化物又はヨウ化物としては、水中で解離してイオン化可能な化合物、例えば、臭化アルカリ金属やヨウ化アルカリ金属などが使用できる。酸化剤としては、ハロゲン、次亜ハロゲン酸,亜ハロゲン酸や過ハロゲン酸又はそれらの塩、ハロゲン酸化物、窒素酸化物、過酸化物など、目的の酸化反応を推進し得る酸化剤であれば、いずれの酸化剤も使用できる。
本発明の酸化では、微細セルロースのセルロース骨格中の6位の水酸基を選択的に酸化し、骨格中のグルコースをグルクロン酸に変換するものである。n−オキシル化合物は触媒量で済み、例えば、セルロースに対して重量比で10PPM〜2%あれば充分である。
酸化反応条件などは特に限定されず、セルロースの性状、使用する設備などによって最適化されるべきであるが、臭化物やヨウ化物との共存下で酸化反応を行うと、温和な条件下でも酸化反応を円滑に進行させることができ、カルボキシル基の導入効率を大きく改善できる。
臭化物及び/又はヨウ化物は、必要であれば添加することができ、その使用量は、酸化反応を促進できる範囲で選択でき、例えば、セルロースに対し100ppm〜20%である。
本発明における改質微細セルロースの酸化反応系は、n−オキシル化合物にはTEMPOを用い、臭化ナトリウムの存在下、酸化剤として次亜塩素酸ナトリウムを用いるのが好ましい。
本発明におけるセルロースの酸化反応では、セルロースの結晶表面への酸化の選択性を上げ、副反応を抑える目的で、反応温度は室温以下で反応させることが望ましい。特に、絶乾状態ではなく、通常の食品などのバリア材の使用環境下や、高湿度下でのバリア性の劣化を抑えるためには微細セルロースの分子量の低下や結晶性の低下などの副反応を抑えることは重要であり、系内を冷却して酸化反応を行うことは有効である。特に5℃以下の低温での反応は、分子量の低下を抑えるのに非常に有効であるためか、出来上がった膜の耐水性の向上などが見られる。
また、同様の理由により、系内の酸化剤濃度の急激な上昇は、副反応を促す。そのため、酸化剤の添加は、滴下などによりorp値(酸化還元電位)の急激な上昇を抑えるなどの工夫が有効である。
また、本発明における改質微細セルロースの酸化反応における反応系のpHは、反応の効率の面から、pH9〜10の間で反応を行うことが望ましい。
また、この方法によりセルロースを酸化させると、カルボキシル基の他にアルデヒド基を導入させることになる。このアルデヒド基は他の材料との密着性や形成されるコーティング層自体の強度を向上させたり、添加剤との反応を促進する効果があるようである。一方、アルデヒド基は、着色を促進させたり、分散を阻害する場合がある。そのため、アルデヒド基を導入させないために、亜塩素酸ナトリウムを酸化剤として用い、TEMPOなどのn−オキシル化合物とともにセルロースを酸化させる方法があり、この方法を用いることもできる。あるいは、前述の次亜塩素酸ナトリウムなどを用いる酸化方法により、セルロースを酸化させた後、次亜塩素酸ナトリウムや亜塩素酸ナトリウムなどによる二段階酸化あるいは水素化ホウ素ナトリウムなどによる還元反応などを行うことで、アルデヒド基をカルボキシル基あるいは水酸基などに変換したセルロース材料を用いることも有効である。
更に、本発明における改質微細セルロースの調製の際には、酸化反応後に更なる解繊処理や微細化処理、分散処理を施して、より微細な繊維状改質微細セルロースを調製することでも得られる。解繊処理には、通常のジューサーミキサー、ヘンシェルミキサー、高速ミキサー、シェアミキサー、リボンブレンダー、ホモミキサー、ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、ボールミル、サンドミル、遊星ミル、三本ロール、グラインダー、アトライター、バスケットミル、高圧ホモジナイザーなどを用いることができる。
特に、上述のTEMPOを用いた酸化方法により、パルプなどのセルロースを酸化すると、結晶表面に効率的にカルボキシル基が導入されるため、その後の水中での解繊処理で、通常の繊維状の微細セルロースを調製するより少ないエネルギーで繊維状の微細セルロースが調製できる。この微細セルロースは最適な条件下で幅が3nm〜4nm、長さが数μmであり、この方法で調製された繊維状の微細セルロースは、本発明のコーティング剤に好適用いることができる。
また、本発明のコーテイング剤にあっては、微細セルロースの他に水溶性高分子または水溶性多糖類を含むことが好ましい。コーティング剤に含まれる水溶性高分子または水溶性多糖類の量は微細セルロースの添加量に対し5重量%以上95重量%以下であることが好ましい。この水溶性高分子または水溶性多糖類は、本発明の微細セルロース繊維がより緻密な皮膜を形成するのを促進する役割と、バリア性および成膜性、可とう性、物理的強度、透明性などの性能を向上させるために添加される。また、後述の水酸基またはカルボキシル基と反応しうる反応性官能基を含む化合物あるいはプレポリマーまたは多価カチオンを添加した際、それらと微細セルロース繊維との相互作用を向上させ、耐水性を向上させたり、隙間をうめたりする役割を果たしていると考えられる。しかし、水溶性高分子または水溶性多糖類の添加量が多すぎると、逆に耐水性が低下するなど皮膜の性能を劣化させる場合があり、さらにはコーティング剤に含まれる水溶性高分子または水溶性多糖類の量は微細セルロースに対し、5重量%以上55重量%以下の範囲内であることが好ましい。また、特にその水溶性高分子が石油由来の合成高分子である場合は、本発明の目的の1つである天然資源・植物由来材料の有効利用という観点からも、微細セルロースの添加量に対し49重量%以下であることが好ましい。
また、微細セルロースや後述する反応性官能基を含む化合物あるいはプレポリマーまたは多価カチオンとの相互作用や形成されるコーティング層のバリア性を向上させる目的から、水溶性高分子または水溶性多糖類は水酸基又はカルボキシル基又はアミノ基を持つものがよい。特に水溶性多糖類の場合、天然多糖類を酸化したものであると、水溶性多糖類の中に水酸基とカルボキシル基を有する多糖類が得られるうえ、繊維状の微細セルロースとも構造が類似しており、なじみもよく、緻密な膜を形成することができる。これにより、特に酸素バリア性の低下がなく、可とう性・耐水性・物理的強度付与など膜の機能化を図ることができる。
このような機能をもつ水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸、ポリアミン、ポリウレタンやそれらの誘導体、水溶性多糖類としては、澱粉、カルボキシメチル澱粉、カチオン化澱粉、キチン、キトサンおよびその誘導体、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体、アルギン酸、ペクチン、アルギン酸、グアガムなどが挙げられる。
中でも、酸素バリア性や成膜性、微細セルロース繊維との相互作用を考慮すると、特にポリビニルアルコールがより好ましい。また、天然多糖類を酸化して得られる水溶性多糖類の調製方法は特に限定されないが、高いガスバリア性および微細セルロース繊維との相互作用を考慮すると、多糖類の一級水酸基のみを選択的に酸化する前述のN−オキシル化合物を用いた酸化方法が好ましい。この酸化方法は、澱粉などのもともとの水溶性多糖類を用いて酸化処理を行っても水溶性酸化多糖類が得られるが、セルロースやキチンなどの水不溶性の多糖類を用いる場合、あらかじめ結晶性を低下させてから、酸化処理を行うことでより均一な構造を持ち、水への溶解性が高くガスバリア性の高い水溶性多糖類が得られる。この多糖類の酸化により得られる水溶性多糖類は、化学構造が類似しており、微細セルロース繊維表面への密着などの相互作用も大きく、また繊維間の微細な隙間を埋め、かつバリア性が高い上、天然のバイオマス資源から得られるものであり、環境負荷の少ない材料としてより好ましい。
また、本発明のコーティング剤にあっては、さらに水酸基またはカルボキシル基と反応しうる反応性官能基を含む化合物あるいはプレポリマーまたは多価カチオンを含むことが好ましい。これらの化合物やプレポリマーはコーティング剤皮膜あるいは成形体の主に耐水性、耐湿熱性および耐湿バリア性を向上させ、可とう性や物理的強度付与にも影響する。
これらの水酸基またはカルボキシル基と反応しうる反応性官能基を含む化合物あるいはプレポリマーまたは多価カチオンには、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、カルボジイミド化合物、シラノール化合物、オキソザリン化合物、アミン化合物、金属アルコキシドおよびその加水分解物、塩化錫、無機層状鉱物であることが好ましく、その他キトサン、および各種カルシウム塩、アルミニウム塩などを用いても良い。
例えばコーティング剤に加えられるイソシアネート化合物は、その分子中に2個以上のイソシアネート基(NCO基)を有するものであり、例えばトリレンジイソシアネート(TDI)、トリフェニルメタントリイソシアネート(TTI)、テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)などのモノマー類と、これらの重合体、誘導体を用いることができる。
また、エポキシ化合物としては、1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有する化合物、或いは高分子であれば特に制限はない。例えば、グリシジルエーテル類やグリシジルエステル類、グリシジルアミン類等が挙げられる。グリシジルエーテル類としては、ソルビトールポリグリシジルエーテル類や、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル類、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル類、ジグリセロールポリグリシジルエーテル類、グリセロールポリグリシジルエーテル類、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル類などが挙げられる。
金属アルコキシドは、下記一般式
(式) M(OR)
(M:Si、Ti、Ai、Zr等の金属/R:HまたはCH、C等のアルキル基/nは自然数)
で表せるものを用いることができる。なかでもテトラエトキシシラン〔Si(OC〕、トリイソプロポキシアルミニウム〔Al(O−2’−C〕が加水分解後、水系の溶媒中において比較的安定であるので好ましい。
塩化錫は、塩化第一錫(SnCl)、塩化第二錫(SnCl)、或いはそれらの混合物を用いることができ、無水物でも水和物でも用いることができる。
無機層状鉱物としては、スメクタイト族、バーミキュライト族、マイカ族等の無機層状化合物を用いることができる。具体的には、カオリナイト、ディッカイト、ナクライト、ハロイサイト、アンチゴライト、クリソタイル、パイロフィライト、モンモリロナイト、バイデライト、ヘクトライト、サポナイト、スチーブンサイト、テトラシリリックマイカ、ナトリウムテニオライト、白雲母、マーガライト、タルク、バーミキュライト、金雲母、ザンソフィライト、緑泥石等で天然であっても合成物であってもよい。また鱗片状シリカ等も使用できる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、コーティング剤組成物に使用した場合のガスバリア性能、印刷適性からモンモリロナイトの使用が好ましい。
本発明のコーティング剤中には微細セルロースの他に、各種溶媒を含む。これらの溶媒としては、例えば、水、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、tert−ブタノールなどのアルコール系溶媒、が好ましいが、その他にも、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコール系溶媒、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒、例えば、ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチルエーテルなどのエーテル系溶媒、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチルなどのエステル系溶媒、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、メチルナフタレン、ソルベントナフサなどの芳香族系溶媒、例えば、四塩化炭素、クロロホルム、塩化メチレンなどのハロゲン化炭化水素系溶媒、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリルなどの極性溶媒などが挙げられる。これらの溶媒は単独または2種以上併用してもよい。しかし、酸素および水蒸気などのガスバリア性の高い緻密な膜を形成させるためには、水及び含水アルコール系溶媒が好ましい。
また、本発明のコーティング剤中には、更に添加剤などを含有させ、更に耐水・耐湿性、耐熱性などの機能を付与することも可能である。また、顔料分散剤等を配合することもできる。
次に、本発明の成形体について説明する。
本発明の成形体あっては、コーティング剤によって形成されるコーテイング層を備える。
コーティング層は、本発明のコーティング剤を塗布、乾燥して形成される。本発明の成形体としては、主にフィルム状やシート状のものが一般的であるが、他に、カップ状、ボトル状、テープ状、中空状、パイプ状、チューブ状、ロッド状等のモールド成形品、異型押出品、射出成形品など種々の成形法によって得られるものを例示することができる。
本発明のコーティング剤の塗布方法としては、コンマコーター、ロールコーター、リバースロールコーター、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、ナイフコーター、バーコーター、ワイヤーバーコーター、ダイコーター、ディップコーターを用いた塗布方法を用いることができる。成形体を得る方法としては、コーティング剤を成形済みの基材に塗布してなる方法の他、成形済みの基材に塗布したコーティング皮膜を剥離しコーティング層単独からなるフィルム状やシート状の成形体を得る方法、更にはキャストによるフィルムやシート状物を得る方法などが挙げられる。
図1に本発明の成形体の断面模式図を示した。図1(a)の成形体にあっては、コーティング層1単独でフィルム状(シート状)の成形体となっている。図1(b)の成形体にあっては基材2上にコーティング層1が形成されフィルム状(シート状)の成形体となっている。図1(c)の成形体にあってはコーティング層1単独でカップ状の成形体となっている。図1(d)の成形体にあっては基材2上にコーティング層が形成されカップ状の成形体となっている。なお、本発明の成形体にあっては、基材が複数の層によって形成されていてもよいし、コーティング層と基材以外の層を含んでいても構わない。
図2に本発明の成形体の別の態様の断面模式図を示した。図2の成形体にあっては、基材1上に、無機蒸着層3、コーティング層2を順に備える。本発明にあっては、コーティング層2が無機蒸着層3と接するように設けられることが好ましい。
無機蒸着層と繊維状の微細セルロースを含むコーティング層を接するように設けることにより、無機蒸着層の無機化合物の硬さや脆さにより生じるクラックなどをコーティング層で保護することができる。これにより、きるだけ少ない層構成で、ガスバリア性に優れ、かつ後加工などにも耐えうる可撓性に優れたガスバリア性の成形体を得ることができる。
本発明のコーティング剤は可とう性及び酸素バリア性に優れるという特徴を持つことから、無機蒸着層と接して積層させた成形体にあってはコーティング層が無機蒸着層を保護する保護層としても機能するため、酸素及び水蒸気バリア性に優れた成形体とすることができる。
無機蒸着層上に繊維状の微細セルロースを含むコーティング層を直接積層することにより、無機蒸着層とコーティング層との界面に両層の反応層を生じるか、あるいはコーティング層が無機蒸着層に生じるピンホール、クラック、粒界などの欠陥或いは微細孔を充填、補強することで、緻密構造が形成されるため、得られる積層体はさらに高いガスバリア性、耐水性、耐湿性を発現することができるとともに、変形に耐えられるさらに高い可撓性を発現することができる。また、無機蒸着層上に繊維状の微細セルロースを含むコーティング層を直接設けることにより、得られる成形体の各層間の密着強度を向上させることができる。
無機蒸着層は、珪素、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、錫、マグネシウムなどの無機化合物の酸化物、窒化物、弗化物の単体、或いはそれらの複合物を用い、真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマ気相成長法(CVD法)などの真空成膜法により形成される。また、無機蒸着層と基材の密着性及び蒸着薄膜層の緻密性を向上させるために、プラズマアシスト法やイオンビームアシスト法を用いて蒸着することも可能である。
無機蒸着層層形成材料として、無機化合物の中でも酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化スズ、酸化ケイ素を好適に用いることができる。さらに、酸化アルミニウムは、無色透明であり、ボイル・レトルト耐性等の特性にも優れており広範囲の用途として用いることができる。
無機蒸着層の膜厚は、用途やコーティング層の膜厚によって異なり、数十Åから5000Åの範囲が望ましいが、50Å以下では薄膜の連続性に問題があり、また3000Åを越えるとクラックが発生しやすく、可撓性が低下しやすい。したがって、無機蒸着層の好ましい膜厚は50Å以上3000Å以下の範囲内であり、さらには、50Å以上300Å以下の範囲内である。
本発明の成形体にあっては、微細セルロースを含むコーティング層を備えることにより、高い酸素バリア性を備える。本発明の成形体にあっては、温度25度湿度70%における酸素透過度が0.01cm/m・atm・day以上19cm/m・atm・day以下の範囲内であることが好ましい。酸素透過度が19cm/m・atm・dayを超える場合には十分な酸素バリア性を備える成形体とすることが困難となる。一方、成形体の酸素透過度は低ければ低いほど酸素バリア性が高く好ましいが、酸素透過度が0.01cm/m・atm・dayを下回る成形体を作製するためにはより多くの層を積層して積層体を製造する必要があり困難となる。
なお、無機蒸着層と繊維状の微細セルロースを含むコーティング層を備え、無機蒸着層とコーテイング層が接するように設けられる成形体にあっては、温度25度湿度70%における酸素透過度が0.01cm/m・atm・day以上5.0cm/m・atm・day以下の範囲内であることが好ましい
また、本発明の成形体にあっては、コーティング層に含まれる微細セルロースが(110)面あるいは(1−10)面に配向しており、コーティング層のX線回折における2θ=15.5°の回折強度(X)と2θ=22.5°の回折強度(X)の比(X/X)が0.5以上1.0以下の範囲内であることが好ましい。
本発明のコーティング剤を塗布して得られるコーティング層は(110)面、あるいは(1−10)面に配向する。通常のセルロースは繊維状であっても、特に配向させなければX線回折を測定した時は(200)面が強く現れる。しかし、本発明の成形体におけるコーティング層は(110)面、あるいは(1−10)面に配向しており、この2つに由来するピークが重なる。(110)面、あるいは(1−10)面に由来する2θ=15.5°の回折強度(X)が、(200)面に由来する2θ=22.5°の回折強度(X)に対し、0.5以上1.0以下の範囲内となる。このように微細セルロースが(110)面あるいは(1−10)面に配向しているコーティング層とすることで、より高いガスバリア性を発揮できる。この原因については結晶が面配向することにより、ガスの通り道が、少なくなることに起因しているのではないかと考えられる。
微細セルロースについて(110)面あるいは(1−10)面への面配向を促進させコーティング層を形成するにあっては、微細セルロースの形が繊維形状であり、かつ、微細セルロースの結晶ができるだけ露出し、1本又は数本が束になり、ある決まった均一な径を持つものが好ましい。さらに、このような面配向を促進するためのコーティング方法としては、各種ロールコート法、Tダイキャストコート、ブレードコート、バーコート法が特に好ましい。
本発明の成形体にあっては、コーティング層の層厚が1μm以上50μm以下の範囲内であり、且つ、コーティング層の全光線透過率が90%以上であり、且つ、コーティング層のヘイズが2%以下であることが好ましい。コーティングの層厚を1μm以上とすることにより優れた酸素バリア性を有する成形体とすることができた。また、コーティング層の層厚が50μmを超える場合にあっては、製造コストがかさむ等の問題が発生する。
コーティング層の層厚が1μm以上50μm以下の範囲内であり、且つ、コーティング層の全光線透過率が90%以上であり、且つ、コーティング層のヘイズが2%以下であるこると、本発明の成形体をパッケージ分野でのガスバリア性フィルムとして用いる際に内容物がはっきりと見える、印刷の柄や色の再現性が高いなどのため好ましい。また、微細セルロース繊維だけでなく、水溶性高分子や水溶性多糖類、水酸基やカルボキシル基と反応しうる化合物などを含んでいてもこの範囲にあることは、微細セルロース繊維の短方向の幅が、細かいことと、微細セルロース繊維間あるいは水溶性高分子との間でたくさんの水素結合が存在し、緻密な膜を形成していること、化合物が微分散したハイブリッド構造をとっていることに起因していると考えられる。
本発明の成形体に用いる基材としては、プラスチック材料を用いることができる。プラスチック材料の例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル系材料、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン系材料、ポリスチレンフィルム、ナイロンなどのポリアミド、ポリカーボネート、ポリアクリルニトリル(PAN)、ポリイミド等が挙げられる。さらには、プラスチック材料としては、ポリ塩化ビニル、セルロース、トリアセチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリウレタン等を用いることもできる。また、以上のプラスック材料の少なくとも一種類以上を成分に持つ、あるいは共重合成分に持つ、あるいはそれらの化学修飾体を成分に有するプラスチック材料を用いることもできる。
また、本発明の目的のひとつである、天然材料を有効に利用した、環境負荷の小さいガスバリア材を得るには、基材が、天然材料を原料として含んでいることが好ましい。基材を天然材料とすることにより、さらに、天然資源を有効利用し環境に優しい廃棄処理あるいはリサイクリングが可能な成形体とすることができる。
基材に用いられる天然材料としては、例えば、バイオポリオレフィン、ポリ乳酸などの植物から化学合成されるバイオプラスチック、ヒドロキシアルカノエートなどの微生物が産生するプラスチックを含む基材、あるいは、木材や草木などからパルプ化、抄紙などの工程を経て得られる紙や紙容器類、更には、セルロースを含むフィルムあるいは成形体であっても良い。このセルロースを含む基材は、セロハンやアセチル化セルロースなどのセルロース誘導体フィルムや基材を用いてもよいが、本発明で用いるセルロースファイバーを水や水/アルコール混合水溶液からキャストして、乾燥して得られる透明基材や、セルロースファイバーの他に樹脂や繊維、紙などを含んでなる透明あるいは不透明な基材を用いることができる。これらのセルロースファイバーは、通常のセルロース誘導体より、製造工程で有害な試薬を用いないということから、環境への負荷がより少ないということに加え、フィルムまたは基材自体のバリア性も高いことから、本発明の基材として用いるには最も好ましい。更にはこれらの組合せ、複合素材などを使用することができる。近年では、少しでも石油系材料の替わりに天然物原料から得られる材料を用いて、原料のCO使用量を抑えるなどの考え方も有効とされており、これらの天然物を原料として含む量は高いほど好ましいが、100%でなくても良い。
これらの基材の形状は特に限定されることなく、フィルム状、シート状、ボトル状、筒状、各種成形体など、用途によって選ぶことができる。特に、コーティング層の透明性や可とう性を活かすことを考慮すると、基材はフィルム状であることが好ましく、透明なプラスチックフィルムを好適に用いることができる。フィルム状基材は延伸、未延伸のどちらでも良く、また、機械的強度や寸法安定性を有するものが良い。この中でも基材としては二軸方向に任意に延伸されたポリエチレンテレフタレートフィルムやポリアミドフィルムが好ましく用いられる。基材には周知の種々の添加剤や安定剤、例えば帯電防止剤、紫外線防止剤、可塑剤、滑剤、着色剤などが使用されても良い。
本発明の成形体には、必要に応じて、コーティング層、基材及び無機蒸着層の他、さらにヒートシールを可能とする熱可塑性樹脂層、印刷層等を積層することができる。この場合、積層する各層は、溶融押出により積層してもよく、接着剤を用いて積層しても、また、蒸着などによって積層させることもできる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。
〔微細セルロース製造例1〕
漂白済みの針葉樹クラフトパルプ30gを水で軽く解繊し、総量1400mLの水に浸した。あらかじめ200mLの水に溶解させたTEMPO0.3gと臭化ナトリウム3gを加えた。周りを氷冷し、5℃以下とした。ここに次亜塩素酸ナトリウム水溶液200mLを30分間かけて滴下して反応を開始した。0.5N−水酸化ナトリウム水溶液で系内のpHを10に保った。8時間後、酸化パルプを目開き20μmのメッシュでろ過し、水で洗浄した。再度、固形分濃度5%のウェット酸化パルプに次亜塩素酸ナトリウム水溶液50mLを添加し、室温で1時間攪拌した後、繰返し充分に水で洗浄した。パルプに固形分濃度1%となるように蒸留水を添加し、ジューサーミキサーに10分間かけて、透明なセルロース分散液を調製した。
〔微細セルロース製造例2〕
漂白済みの針葉樹クラフトパルプ30gを水で解繊し、総量1400mLの水に浸した。あらかじめ200mLの水に溶解させたTEMPO0.3gと臭化ナトリウム3gを加えた。周りを氷冷しながら系内に次亜塩素酸ナトリウム100mLを30分間で滴下して反応を開始した。0.5N−水酸化ナトリウム水溶液で系内のpHを10に保った。1時間後、1M−塩酸を添加してpHを2まで低下させた。酸化パルプを目開き20μmのメッシュでろ過し、水で繰返し充分に洗浄した。固形分濃度5%のウェット酸化パルプに、水素化ホウ素ナトリウムを10g添加し、pH4で3時間攪拌後、充分に水で洗浄した。洗浄後のパルプに固形分濃度1%となるように蒸留水を添加し、シェアミキサーで3時間攪拌した後、超音波ホモジナイザーで透明なセルロース分散液を調製した。
〔微細セルロース比較製造例3〕
市販の微細セルローススラリー(固形分30g分)を水に分散させ、総量1400mLとした。あらかじめ200mLの水に溶解させたTEMPO0.3gと臭化ナトリウム3gを加えた。ここに次亜塩素酸ナトリウム300mLを30分間で滴下して反応を開始した。反応は5℃以下で行った。0.5N−水酸化ナトリウム水溶液で系内のpHを10に保った。24時間後、微細セルロースを水又はエタノールを用いて洗浄した。洗浄後の微細セルロースに固形分濃度5%となるように蒸留水を添加し、亜塩素酸ナトリウム5gを添加し、pH4で10時間攪拌後、充分に水で洗浄した。洗浄後の改質微細セルロースに固形分濃度1%となるように蒸留水を添加し、セルロース水分散液を調製した。このセルロース水分散液を超音波ホモジナイザーで1分間処理をおこない、透明なセルロース分散液を調製した。
〔比較製造例4〕
漂白済みの針葉樹クラフトパルプ30gを、総量1400mLの水に浸した。あらかじめ200mLの水に溶解させたTEMPO0.3gと臭化ナトリウム3gを加えた。次亜塩素酸ナトリウム100mLを添加した。0.5N−水酸化ナトリウム水溶液で系内のpHを10に保った。pH変動がおさまったら、酸化パルプを目開き20μmのメッシュでろ過し、水で繰返し充分に洗浄した。洗浄後のパルプに固形分濃度1%となるように蒸留水を添加し、ホモジナイザーで30分攪拌し、透明なセルロース分散液を調製した。
〔比較製造例5〕
市販のカルボキシメチルセルロースナトリウム塩を水/エタノール(水:エタノール重量比で90:10)に溶解させ、固形分濃度1%のセルロース溶液を調製した。
〔比較製造例6〕
市販の微細セルローススラリー(固形分30g分)を水に分散させ、総量1400mLとした。あらかじめ200mLの水に溶解させたTEMPO0.3gと臭化ナトリウム3gを加えた。ここに次亜塩素酸ナトリウム300mLを30分間で滴下して反応を開始した。反応は5℃以下で行った。0.5N−水酸化ナトリウム水溶液で系内のpHを10に保った。24時間後、pH変動がおさまったら、微細セルロースを水又はエタノールを用いて繰返し充分に洗浄した。洗浄後の微細セルロースに固形分濃度5%となるように蒸留水を添加し、セルロース分散液を調製した。
〔酸化水溶性多糖類製造例7〕
市販の再生セルロース試料としてベンコット(旭化成)を用いた。再生セルロース試料10gを水に分散させ、あらかじめ水に溶解させたTEMPO0.1g、NaBr1.3gを加え、総量を500mLとした。系内を5℃以下に冷却し、次亜塩素酸ナトリウム100gをゆっくり添加して反応を開始した。反応中は0.5N−水酸化ナトリウム水溶液で系内のpHを10.5に保った。セルロースのグルコースユニットに対し等モルの水酸化ナトリウムを添加した時点、約2時間後pHの変動がおさまり、反応液が完全な透明となったら、エタノールを添加し、反応を終了させた。反応液を過剰のエタノールに加え、生成物を沈殿させ、含水エタノール、含水アセトン、アセトンなどで順次洗浄を行い、白色生成物を得た。
・セルロース外観観察
製造例1から2よび比較製造例3から6のセルロース分散液もしくは溶液を0.1%濃度で水に分散あるいは溶解させたものを透過電子顕微鏡(TEM)用試料台に薄く延ばし、80℃で加熱乾燥させて観察用試料を作成し、透過型電子顕微鏡(TEM)にて観察を行った。その結果、製造例1は短方向の繊維幅が3−5nmのセルロースファイバーが観察され、平均の短方向の繊維幅は5nmであった。長さ方向は約3μmであった。製造例2においては、繊維幅が5−200nmのセルロースファイバーが観察され、平均の短方向の繊維幅は8nmであり、長さ方向は4μmであった。また、比較製造例3では10−50nmのセルロースファイバーが観察され、平均の短方向の繊維幅は50nmであり、長さ方向は3μmであった。また、比較製造例4は短方向の繊維幅が3−5nmのセルロースファイバーが観察され、平均の短方向の繊維幅は5nmであった。長さ方向は約3μmであった。比較製造例6は380nm以下のものファーバー状のものも確認されたが、その平均の幅は1μm以上(3μm)であった。また、比較製造例5では、完全に分子分散しているようで、繊維幅を観察できなかったことから、繊維幅は1nm以下であり、ファイバー状ではないと推測できる。
・セルロースの結晶性測定
製造例1から3および比較製造例4〜6のセルロース分散液もしくは溶液を加熱乾燥させ、厚さ10から50μmのキャストフィルムを作製し、X線回折法(XRD)により結晶構造の解析をおこなった。CuKα線を用い、加速電圧、電流はそれぞれ40kV,40mAであった。ここで、セルロースの結晶化度は、2θ=10°および18°の回折強度を結ぶ直線と15°から垂直に降ろした直線との交わる点の強度Iaと、2θ=15°の回折強度Iの比から求めた。
結晶化度={(I−Ia)/I}×100(%)
製造例1 80%
製造例2 70%
比較製造例3 50%
比較製造例4 60%
比較製造例5 0%
比較製造例6 50%
製造例7 0%
さらに、製造例1及び2のキャストフィルムにおいては2θ=15.5°の回折強度(X)と2θ=22.5°の回折強度(X)の比(X/X)がそれぞれ0.7、0.8であった。また、製造例1および2のキャストフィルムのヘイズを測定した。その結果製造例1のフィルムはヘイズが1.8%、製造例2のフィルムはヘイズ率が1.7%であった。
・カルボキシル基量測定
製造例1から3および比較製造例4〜6のセルロース分散液もしくは溶液を固形分でおよそ0.1gに当たる量をとり、乾燥重量(g)を小数点4桁まで求めた。0.2%濃度で水に充分に分散あるいいは溶解させた後、塩酸を加えてpH2.9とした後、0.1N−水酸化ナトリウム水溶液を用いて電導度滴定法により、カルボキシル基量(mmol/g)を求めた。
製造例1 1.8mmol/g
製造例2 1.3mmol/g
比較製造例3 3.5mmol/g
比較製造例4 1.5mmol/g
比較製造例5 4.8mmol/g
比較製造例6 3.5mmol/g
製造例7 5.0mmol/g
(各成分の調整)
以下のようにしてコーティング剤(A)〜(I)の各成分を調整した。
(A)繊維状の微細セルロース(製造例1)のセルロース分散液1.0wt%水/エタノール溶液(水:エタノール重量比で90:10)
(B)繊維状の微細セルロース(製造例2)のセルロース分散液1.0wt%水/エタノール溶液(水:エタノール重量比で90:10)
(C)繊維状の微細セルロース(比較製造例3)のセルロース分散液1.0wt%水/エタノール溶液(水:エタノール重量比で90:10)
(D)比較製造例4のセルロース分散液1.0wt%水/エタノール溶液(水:エタノール重量比で90:10)
(E)比較製造例5のセルロース分散液1.0wt%水/エタノール溶液(水:エタノール重量比で90:10
(F)酸化水溶性多糖類製造例7の水溶液1.0wt%水/エタノール溶液(水:エタノール重量比で90:10
(G)ポリビニルアルコールの水溶液1.0wt%水/エタノール溶液(水:エタノール重量比で90:10
(H)(A)と(F)を50/50で混ぜ合わせた1.0wt%の水溶液
(I)(B)と(G)を50/50で混ぜ合わせた1.0wt%の水溶液
〔実施例1−7〕
厚さ12μmのポリエチレンテレフタレート(以下、PETとする)フィルムを基材とし、(表1)に示す組成のコーティング剤をバーコーターにより塗布し、乾燥機で120℃、1分間乾燥させ、膜厚約0.1μmのコーティング層を形成し積層フィルムからなる成形体を得た。
・酸素バリア性評価
得られた成形体のガスバリア性を酸素透過度の測定により評価した。酸素バリア性を25℃−70%RH雰囲気下で酸素透過度測定装置(モダンコントロール社製 MOCON OXTRAN 10/50)を用いて測定した。その結果を(表1)に示す。
Figure 2010184999
・可とう性評価
実施例5および比較例6の成形体を縦横15%の伸びを生じるまで引っ張り試験をおこなった。そして、引っ張り試験後の酸素バリア性を同様に測定したところ、実施例5の成形体は3.8cm/m・atm・dayであり、比較例6の成形体は33cm/m・atm・dayであった。
〔実施例8〕
コーティング剤(H)90重量部に水溶性カルボジイミド(V−02−L2)10重量部をを混ぜ合わせコーティング剤を得た。厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを基材とし、得られたコーティング剤をバーコーターにより塗布し、乾燥機で120℃、1分間乾燥させ、膜厚約0.1μmのコーティング層を形成し積層フィルムからなる成形体を得た。
〔実施例9〕
テトラエトキシシラン〔Si(OC:以下、TEOSとする〕10.4gに塩酸(0.1N)89.6gを加え、30分間攪拌し加水分解させた固形分1wt%(SiO換算)の加水分解溶液を調製した。この溶液を重量換算で50部に対しコーティング剤(I)を50部混合させた後攪拌をおこない、コーティング剤を作製した。厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを基材とし、得られたコーティング剤をバーコーターにより塗布し、乾燥機で120℃、1分間乾燥させ、膜厚約0.1μmのコーティング層を形成し積層フィルムからなる成形体を得た。
得られた成形体を40℃−90%RHの恒温恒湿下で4週間保存し、4週間の保管前後のガスバリア性を酸素透過度の測定により評価した。酸素バリア性を25℃−70%RH雰囲気下で酸素透過度測定装置(モダンコントロール社製 MOCON OXTRAN 10/50)を用いて測定した。その結果を(表2)に示す。
Figure 2010184999
測定の結果、実施例の成形体は比較例と比べ、酸素バリア性は高く、高ガスバリア性を示した。更に、高温高湿下保存後のガスバリア性の低下も抑えられている様子が確認できた。
1 コーティング層
2 基材
3 無機蒸着層

Claims (18)

  1. 繊維状の微細セルロースを含有し、且つ、
    該微細セルロースの結晶化度が70%以上98%以下の範囲内であり、且つ、
    該微細セルロースの繊維幅が1nm以上1μm以下の範囲内であり、且つ、
    該微細セルロースの長さが繊維幅の100倍以上10000倍以下の範囲内である
    ことを特徴とするコーティング剤。
  2. 前記繊維状の微細セルロースの繊維幅が1nm以上50nm以下の範囲内であることを特徴とする請求項1記載のコーティング剤。
  3. 前記微細セルロースが表面にカルボキシル基を有する改質微細セルロースであって、且つ、カルボキシル基の量が0.1mmol/g以上3.8mmol/g以下の範囲内であることを特徴とする請求項1または請求項2記載のコーティング剤。
  4. 前記微細セルロースが表面にカルボキシル基を有する改質微細セルロースであって、且つ、カルボキシル基の量が0.1mmol/g以上1.9mmol/g以下の範囲内であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のコーティング剤。
  5. 前記微細セルロースの他に水溶性高分子を含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のコーティング剤。
  6. 前記水溶性高分子がポリビニルアルコールであることを特徴とする請求項5記載のコーティング剤。
  7. 前記微細セルロースの他に水溶性多糖類を含むことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のコーティング剤。
  8. 前記水溶性多糖類が天然多糖類を酸化したもの含むことを特徴とする請求項7記載のコーティング剤。
  9. 前記水溶性高分子または水溶性多糖類が水酸基またはカルボキシル基またはアミノ基を有することを特徴する請求項5乃至9のいずれかに記載のコーティング剤。
  10. 前記微細セルロースの他に、水酸基またはカルボキシル基と反応しうる反応性官能基または多価カチオンを含む化合物或いはプレポリマーを含むことを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載のコーティング剤。
  11. 前記水酸基またはカルボキシル基と反応しうる反応性官能基または多価カチオンを含む化合物或いはプレポリマーが、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、カルボジイミド化合物、シラノール化合物、オキサゾリン化合物、アミン化合物、金属アルコキシドおよびその加水分解物、塩化錫、無機層状鉱物いずれかであることを特徴とする請求項10記載のコーティング剤。
  12. 請求項1乃至11のいずれかに記載のコーティング剤から形成されるコーティング層を備える成形体。
  13. 前記コーティング層が無機蒸着層と接して設けられることを特徴とする請求項12記載の成形体。
  14. 温度25℃湿度70%における酸素透過度が0.001cm/m・atm・day以上19cm/m・atm・day以下の範囲内であることを特徴とする請求項12または請求項13記載の成形体。
  15. 前記コーティング層に含まれる微細セルロースが、(110)面あるいは(1−10)面に配向しており、コーティング層のX線回折における2θ=15.5°の回折強度(X)と2θ=22.5°の回折強度(X)の比(X/X)が0.5以上1.0以下の範囲内であることを特徴とする請求項12乃至15のいずれかに記載の成形体。
  16. 前記コーティング層の層厚が1μm以上50μm以下の範囲内であり、且つ、前記コーティング層の全光線透過率が90%以上であり、且つ、コーティング層のヘイズが2%以下であることを特徴とする請求項12乃至16のいずれかに記載の成形体。
  17. 前記コーティング層が基材上に形成され、且つ、前記基材が天然材料を含むことを特徴とする請求項11乃至16のいずれかに記載の成形体。
  18. 前記天然材料がバイオポリオレフィン、ポリ乳酸、セルロース、紙から選択されることを特徴とする請求項17記載の成形体。
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