JP2015024541A - 匂いバリア性積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】食品、トイレタリー製品、医薬品の包装用として好適な、匂いバリア性に優れかつ天然資源を有効利用し廃棄性にも優れた環境配慮型材料である積層体、およびその製造方法ならびに成形容器を提供する。【解決手段】複数の層が積層されてなる積層体であって、紙からなる基材と、該基材の少なくとも片面に積層されて、平均繊維径10μm以下のセルロースの微細繊維を含む繊維層とを備え、前記繊維層は水溶性高分子を含有することを特徴とする匂いバリア性積層体。【選択図】図1

Description

本発明は、臭気から内容物を保護し、および内容物の匂いや効能が劣化・変質することを抑制したり、外部に漏れ出すことを防止したりする、食品、トイレタリー製品、医薬品の包装用として好適な積層体およびその製造方法ならびに成形容器に関する。
香料や薬効成分等の揮発性薬剤を含有する内容部を収納する場合、輸送や保存過程で内容物中の香料、薬効成分が包装容器を透過し外部に拡散することにより、内容物が劣化・変質することが無いよう、その包装材料には考慮が必要である。反対に、輸送や保存中に外部の臭気が包装容器を透過し内容物についてしまう「匂い移り」も問題となっており、包装材料には外部の臭気を透過しないバリア性も求められている。特に、近年、消費者の匂いに対する要求の多様化により、石鹸、洗剤、浴用剤等の日用品、トイレタリー製品においては、各種香料成分を用いて匂いに特徴をもたせた製品が多く市販されており、匂いバリア性を備える包装材料の要求は高まっている。
また、包装容器としてはプラスチックなどからなる成形容器が多く使用されている。しかし、プラスチックは、殆どが石油由来の有限な資源であり、廃棄の際にも燃焼熱が高く、環境ホルモンの問題などが指摘されている。近年の環境保全型思考や、容器包装リサイクル法の施行に伴い、プラスチック材料から紙などの再生可能な天然資源由来の材料への転換が必要となっている。
従来、匂いバリア材には、アルミニウム箔、ポリ塩化ビニリデン系樹脂等の樹脂フィルム、あるいはこれらの樹脂がコートされたフィルムや、セラミック蒸着フィルム等が使用され、それらを様々な基材に積層させた積層体が包装材料として用いられている(例えば、特許文献1)。
前記アルミニウム箔は、匂いバリア性に優れ、樹脂フィルム、紙などの基材に積層され包装材料として多用されている。しかしながら、包装材料中に金属であるアルミニウム層を形成すると、製品の検査において金属探知を行えないという問題がある。また、内容物を加熱したい場合に、電子レンジを使用することができないという問題がある。さらに、使用後の容器を廃棄する場合、再資源化のためには材料別に分別回収することが望ましいが、一旦積層したアルミニウム層を剥離し分別することは一般家庭においては不可能であり、アルミニウムを分別回収し再利用することが困難である。これらを焼却処分すると、焼却残渣も多くなり、焼却炉を傷めてしまう問題もある。
樹脂フィルムやセラミック蒸着フィルムからなる匂いバリア材料においては、上記の金属探知や電子レンジ使用の問題は解決できるが、石油由来資源の枯渇が懸念されており、再生可能資源への転換が望まれている。
再生可能な天然資源由来の材料として紙が挙げられる。紙は単体では多孔質状の匂い透過性の高い基材であり、匂いバリア材として用いることはできない。そこで、紙基材に各種バリア層を積層し匂いバリア性包装材料として利用する検討が行なわれている。例えばバリア性を有するフィルムやバリア層を有するフィルムに紙基材を貼り合わせる手法や、紙基材上に無機層状化合物を有する樹脂組成物層、熱可塑性樹脂層を設ける手法や、紙基材や紙容器に樹脂層を設け、さらに蒸着やCVDなどによる無機薄膜層を積層させることによりバリア性を付与する手法が検討されている。
しかしながら、これらの手法においては再生可能な天然資源由来材料である紙に、金属あるいは石油由来の合成樹脂等からなるバリア層を積層しており、上述の廃棄時の分別の問題、石油資源からの脱却は解決できていない。
特開2004−299203号公報
そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、食品、トイレタリー製品、医薬品の包装用として好適な、匂いバリア性に優れかつ天然資源を有効利用し廃棄性にも優れた環境配慮型材料である積層体、およびその製造方法ならびに成形容器を提供することを課題とした。
上記課題を解決するための手段として、本発明の一態様は、複数の層が積層されてなる積層体であって、紙からなる基材と、該基材の少なくとも片面に積層されて、平均繊維径10μm以下のセルロースの微細繊維を含む繊維層とを備えることを特徴とする匂いバリア性積層体である。
また、前記繊維層は、1nm以上50nm以下の繊維径を有するセルロースの微細繊維を10%以上含有することを特徴とする匂いバリア性積層体である。
また、前記セルロースの微細繊維は、50%以上100%以下の結晶性を有することを特徴とする匂いバリア性積層体である。
また、前記セルロースの微細繊維は、セルロース質量に対してカルボキシル基を0.1mmol/g以上3.5mmol/g以下有することを特徴とする匂いバリア性積層体である。
また、前記繊維層は、水溶性高分子を含有することを特徴とする匂いバリア性積層体である。
また、前記繊維層は、無機層状化合物を含有することを特徴とする匂いバリア性積層体である。
また、前記繊維層の厚みは、100nm以上2000nm以下であることを特徴とする匂いバリア性積層体である。
また、前記匂いバリア性積層体の少なくとも片面側に、樹脂層を設けたことを特徴とする匂いバリア性積層体である。
また、本発明の別の態様は、匂いバリア性積層体を用いたことを特徴とする成形容器である。
また、本発明の別の態様は、紙からなる基材の少なくとも片面に、1nm以上10μm以下の繊維径を有するセルロースの微細繊維を含む塗液を塗布して塗膜を形成する工程と、前記塗膜を乾燥させて繊維層を形成する工程と、前期繊維層上に樹脂層を形成する工程と、を含むことを特徴とする匂いバリア性積層体の製造方法である。
本発明によれば、食品、トイレタリー製品、医薬品の包装用として好適な、匂いバリア性に優れ、かつ天然資源を有効利用し廃棄性にも優れた環境配慮型材料である積層体、およびその製造方法ならびに成形容器を提供することができる。
本発明に係る積層体の第1実施形態の断面図である。 本発明に係る積層体の第2実施形態の断面図である。
以下、本発明の詳細について実施形態に基づいて説明する。
図1に示す第1実施形態の積層体100は、少なくとも紙からなる基材1と、この基材1の少なくとも片面に付設された繊維層2とを有して構成されている。
基材1としては、通常の上質紙、各種コート紙、裏打ち紙、含浸紙、ボール紙や板紙、それらと樹脂フィルム層や金属層などを貼合せ製函してなるものや、箱型に成形されたパルプモールドなどを用いることができるが、これらに限定されるものではない。
繊維層2は、セルロースの微細繊維を含むものであり、そのセルロースの微細繊維の平均径が1nm以上10μm以下の範囲にある。これらの繊維径の測定は、AFMやSEMなどの装置を用いて形状観察を行い、任意の多数のサンプルの繊維幅を測定してその平均をとる手法、あるいは塗液の粒度分布計などを用いた粒径測定結果から計測することが可能である。なお、本発明では前者の観察からの計測値を用いた。
ここで、上記セルロースの微細繊維は、その平均繊維径が、1nm以上10μm以下の範囲にあると、繊維層2が緻密な膜を形成し匂いバリア性を発現する。平均繊維径が1nmより小さい場合には、紙のパルプ繊維間に微細繊維が染み込み、基材上に微細繊維の膜を形成することができず匂いバリア性を発現しない。また、10μmより大きい場合には、繊維間の空隙が大きくなり膜の密度が低下し匂いバリア性が低下するため好ましくない。
匂いバリア性は、膜が揮発性薬剤の透過を遮ることで発現する。匂いバリア性の発現には、膜がバリアしようとする分子が透過できないよう十分に緻密で、連続した空隙がないことが重要である。セルロースの微細繊維は、剛直であり、かつ分子内に多数存在する水酸基やカルボキシル基の水素結合効果により繊維同士が強固に結びつき緻密な膜を形成することができる。またTgも高く分子の動きが小さいため良好なバリア性を発現するものと考えられる。さらに、セルロース微細繊維から成る膜は、薬剤の吸着性も低い特徴を有しており、膜自体への揮発性薬剤の吸着を抑えることができ、匂いバリア層として好適である。
また、本発明の積層体は、紙の基材1上に、前述のセルロースの微細繊維を含む分散液を塗布し、これを乾燥させることで基材1の匂いバリア性を向上させることができる。これにより塗布・乾燥という比較的簡便な手法で基材1を改質することができる。
セルロースの微細繊維を含む分散液の塗布の手法としては、公知の方法を用いることができる。具体的には、グラビアコーター、ディップコーター、リバースコーター、ワイヤーバーコーター、ダイコーター等である。ウェット成膜方法を用いることにより、紙の基材1の表面に均一に塗膜を形成することができる。また、塗液の溶媒についても特に限定されるものではなく、セルロース微細繊維が分散性よく分散するものであればよく、水・アルコールをはじめとした各種液体を1種類または複数種用いることができる。
また、この繊維層2は、さらに1nm以上50nm以下の繊維径を有するセルロースの微細繊維が10%以上含まれていることを特徴としている。セルロースの微細繊維の繊維径が1nm以上50nm以下の範囲にある場合、繊維が高密度に堆積し、さらにセルロース分子間の水素結合効果により膜の緻密さが向上するため、より高い匂いバリア性が得られる。さらに、上記範囲の繊維径の微細繊維であれば、膜の表面平滑性、均一性も向上し、後述する積層工程での密着性が良くなる、より薄膜で匂いバリアが得られるなどの効果が得られる。一方、セルロースの微細繊維の繊維径が1nmよりも小さい場合は、紙のパルプ繊維間に微細繊維が染み込み、基材上に微細繊維の均一な膜を形成することができず匂いバリア性を発現しないため好ましくない。また、50nmよりも大きい場合には、表面平滑性が低下し積層工程で密着性が劣るため好ましくない。
さらに、上記繊維層2に含まれるセルロースの微細繊維は、50%以上100%以下の結晶性を有することを特徴としている。結晶内は各種揮発成分の透過や吸着が抑えられるため、高い匂いバリア性を付与することができる。セルロースの微細繊維が50%より低い結晶性の場合には、揮発成分の透過量や吸着量が増えるため好ましくない。
また、上記繊維層2に含まれるセルロースの微細繊維は、セルロース質量に対しカルボキシル基量が0.1mmol/g以上3.5mmol/g以下の範囲にあることを特徴としている。これらのカルボキシル基量は、セルロース繊維の伝導度滴定法により測定することができる。
カルボキシル基量が0.1mmol/g以上3.5mmol/g以下の範囲にあると、カルボキシル基の静電反発効果により、分散安定性が増し、基材上へ層を形成する際に均一に形成することが可能となる。カルボキシル基は0.1mmol/g未満である場合には、匂いバリア性が充分に発揮できず、また、3.5mmol/gより大きい場合には、高湿度下での酸素バリア性や、水への耐性が低くなってしまうため好ましくない。
その測定方法としては、改質処理したセルロースの乾燥質量換算で0.2gをビーカーにとり、イオン交換水80mlを添加する。そこに0.01M塩化ナトリウム水溶液5mlを加え、攪拌させながら0.1M塩酸を加えて全体がpH2.8となるように調整した。ここに自動滴定装置(東亜ディーケーケー株式会社製、AUT−701)を用いて0.1M水酸化ナトリウム水溶液を0.05ml/30秒で注入し、30秒毎の電導度とpH値を測定し、pH11まで測定を続けた。得られた電導度曲線から水酸化ナトリウムの滴定量を求め、カルボキシル基含有量を算出した。
また、この積層体100に含まれる繊維層2には、添加剤として水溶性高分子を添加して使用してもよい。水溶性高分子は特に限定されず、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース等が挙げられ、特にセルロースの微細繊維との親和性と結晶性の高さからポリビニルアルコールが好ましい。重合度や官能基の量は特に限定されず、用途に応じて適宜選定すればよい。
繊維層は水溶性高分子を混合することによって成膜性を改善することができる。剛直な繊維の隙間に水溶性高分子が入り込む事で柔軟性が増し、ハンドリング時の割れを抑制することができる。また、紙基材と繊維層の密着性も向上することができる。剛直なセルロース繊維は紙基材表面上に堆積するように層を形成し、紙基材との染み込み、絡み合いの相互作用が小さい。また、凹凸の大きい紙基材表面との間に微小な空隙が生じて密着性が弱くなる。これに対し、水溶性高分子を添加することで、水中に分子分散している水溶性高分子の一部が紙繊維間へと染み込み、空隙なく基材上に層を形成することで、紙基材との相互作用が増し、密着性が向上するものと考えられる。
また、この積層体100に含まれる繊維層2には、添加剤として無機層状化合物を添加して使用してもよい。無機層状化合物とは、層状構造を有する結晶性の無機化合物をいい、例えば、カオリナイト族、スメクタイト族、マイカ族等に代表される粘土鉱物をあげることができる。無機層状化合物である限り、その種類、粒径、アスペクト比等は、その要求特性に応じて適宜選択することができ、特に限定されない。一般的には、スメクタイト族の無機層状化合物として、モンモリロナイト、ヘクトライト、サポナイト等をあげることができ、これらの中でも、塗液中の安定性や、塗工性等の点から好ましいものとしてモンモリロナイトをあげることができる。無機層状化合物の添加は、高湿度下での匂いバリア性の発揮に効果がある。
さらに、セルロースの微細繊維を含む繊維層2には、添加剤として、アミノ基、エポキシ基、水酸基、カルボジイミド基、ポリエチレンイミン、イソシアネートなどの反応性官能基を有する化合物を含んでも良い。これらの添加剤は、セルロース中の水酸基、カルボキシル基、アルデヒド基と反応し、特に膜強度、耐水性、耐湿性、または紙基材との密着性向上に効果がある。また、シリカ化合物またはその加水分解物を含んでもよい。シリカ化合物またはその加水分解物を含むことで、水への耐水性および高湿度下での匂いバリア性が向上する。この他、要求特性に応じて、本発明の効果を阻害しないレベルで、顔料、染料、分散剤等の添加剤等を配合することもできる。
また、本発明の匂いバリア性積層体の繊維層2の厚みは、100nm以上2000nm以下であることが好ましい。上記範囲より小さい値であると、基材表面を十分に覆うことができず繊維層にピンホールが生じ、匂いバリア性が不良となる可能性が高まる。繊維層2の厚みを100nm以上2000nm以下の範囲にすることにより、充分な匂いバリア性を発揮し、かつコスト面でも優れている。上記範囲より大きい値であると、材料コストが増大するとともに、塗工乾燥時の乾燥不可が大きくなりラインスピードが低下するため生産性が低下するため、コスト的に不利である。また、塗布量が増えると、分散媒の紙への染み込み量が多くなり、紙基材が膨潤し乾燥後の収縮が大きくなるため外観不良となったり、基材の凹凸が後工程で問題となる。また、層の剛性が増し成形加工時に割れが発生するなどの問題が生じやすくなり、匂いバリア性が発揮できない場合がある。
また、本発明の匂いバリア性積層体は必要に応じて、図2に示す第2の実施形態の匂いバリア性積層体(樹脂層有り)200のように樹脂層3をさらに積層することができる。樹脂層を形成することで、防汚性や浸透性の高い液体に対して耐液性を付与することができる。また、熱によりヒートシール可能な樹脂を用いることで、成形などの際に形状保持・密閉性付与・内容物漏れを防ぐことができる。樹脂層は、必要に応じて、繊維層の全面または一部に形成すればよい。樹脂層の材料としては特に限定されず、ポリオレフィン系・エポキシ系・ウレタン系・イソシアネート系・ポリエステル系・植物由来材料(バイオプラ)など公知の材料を用いることができる。ヒートシール可能な樹脂としては、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、中密度ポリエチレン樹脂(MDPE)、高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)などのポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン樹脂、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体などのポリプロピレン系樹脂などから選択可能であるが、作業性、加工適性、経済性などの面から直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)が好ましい。
樹脂層は通常包装材料を製造する方法で形成することができ、例えば、ウエットラミネーション法、ドライラミネーション法、無溶剤ラミネーション法、サーマルラミネーション法、溶融押し出しラミネーション法などが挙げられる。繊維層2上に樹脂層を形成する際には、未密着性改善のため、予め、コロナ処理、オゾン処理、プラズマ処理、グロー放電処理、化学薬品を用いた酸化処理など公知の表面処理を繊維層に施してもよい。あるいは、繊維層と樹脂層の間に、プライマーコート層、アンカーコート層、接着剤層などを任意に形成してもよい。
さらに、本発明の匂いバリア性積層体は、必要に応じて、印刷層、帯電防止層等を積層したりすることができる。この場合、積層する各層は、溶融押出により積層してもよく、接着剤を用いて積層しても、また、蒸着などによって積層させることもできる。
なお、上述した本発明に係る積層体は、各種フィルムやシートに用いることができるほか、カップ状、ボトル状、箱状などに成形し、各種成形容器として用いることができる。
例えば、カップ状容器は、本発明の積層体から、抜き型により打ち抜いた胴材と、同様に積層体から作成した底部材とをカップ成形機によってカップ形状に成形する。次に別に作製した蓋材を剥離可能な様にシールし密閉することにより作製できる。ここで、胴材、底部材、蓋材の全てが本発明の積層体である必要は無く、必要に応じて異なるシート材を用いてもよい。このような成形容器の場合、材料の側縁部(断面)が漏れやバリア性低下の問題となることがある。この場合、側端縁から積層体を表面(内容物と接しない側)に折り返ししてから端部を熱圧着したり、側縁部をテープ上のエッジプロテクト材で覆い、保護してから熱圧着することで端面保護を行うことも可能である。
以下、本発明の詳細について実施例を用いて説明する。
[製造例1]
針葉樹クラフトパルプ30gを水600gに浸漬し、ミキサーにて分散させた。分散後のパルプスラリーにあらかじめ水200gに溶解させたTEMPOを0.3g、NaBrを3g添加し、更に水で希釈し全体を1400mLとした。系内を20℃に保ち、セルロース1gに対し10mmolになるよう次亜塩素酸ナトリウム水溶液を計りとり滴下した。
滴下開始からpHは低下を始めるが、0.5M水酸化ナトリウム水溶液を随時滴下し、系のpHを10に保った。4時間後、0.5M水酸化ナトリウム水溶液の滴下量が2.8mmol/gになったところでエタノールを30g添加し、反応を停止させた。反応系に0.5M塩酸を添加し、pH2まで低下させた。酸化パルプをろ過し、0.01M塩酸または水で繰返し洗浄した後、酸化パルプを得た。自動滴定装置(東亜ディーケーケー社製、AUT−701)を用いて0.1M水酸化ナトリウム水溶液により電導度滴定を行ったところ、カルボキシル基量が1.6mmol/gと算出された。得られた酸化パルプを水で希釈し0.5M水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH9に調整し酸化パルプ1%懸濁液とした。この懸濁液を3時間高速攪拌機で分散処理し、1%のセルロースの微細繊維を含む分散液を得た。
[製造例2]
上記製造例1の1%セルロースの微細繊維を含む分散液に、水溶性高分子である市販のポリビニルアルコール(PVA)(分子量10万、けん化度98%)の固形分4%水溶液をセルロースとPVAの質量比が3:1となるように混ぜ合わせた。さらにマグネチックスターラーで3時間撹拌し水溶性高分子添加セルロース微細繊維分散液を得た。
[製造例3]
上記製造例1の1%セルロースの微細繊維を含む分散液に、水に分散させた固形分4%のモンモリロナイトをセルロースとモンモリロナイトの質量比が1:1となるように混ぜ合わせた。更に超音波ホモジナイザーで1分間分散させ無機層状化合物添加セルロース微細繊維分散液を得た。
[比較製造例1]
製造例1と同様に調製した酸化パルプ1%懸濁液を、高速撹拌機で20分間撹拌処理し、比較製造例1の分散液を得た。比較製造例1の分散液は、製造例1の分散液に比べ透明度が劣り白濁していた。
[製造例の評価1]
製造例1および比較製造例1の分散液を0.01%濃度まで希釈し、マイカ上に塗布しAFMにて繊維形態を観察した。1本ずつ存在している任意の繊維10点の幅の平均を求め、平均の繊維径とした。
製造例1・・・・・2nm
比較製造例1・・・15μm
[製造例の評価2]
製造例1のセルロース微細繊維分散液を加熱乾燥させ、厚さ15μmのキャストフィルムを作製し、X線回折法(XRD)により結晶構造の解析をおこなった。CuKα線を用い、加速電圧、電流はそれぞれ40kV、40mAであった。ここで、セルロースの結晶化度は、2θ=10°および18°の回折強度を結ぶ直線と15°から垂直に降ろした直線との交わる点の強度Iaと、2θ=15°の回折強度Iの比から求めた。
結晶化度={(I−Ia)/I}×100(%)
製造例1・・・70%
[実施例1−3]
製造例1−3の各分散液を坪量260g/mのカップ原紙の表面にバーコーターにて乾燥膜厚1000nmとなるように塗布し、120℃のオーブンで5分間乾燥し、実施例1−3の積層体を作製した。繊維層の厚みは、試料を光硬化性樹脂を用いて包埋後、ウルトラミクロトームにより切削し、SEMによる断面観察を行い確認した。
[実施例4−6]
実施例1−3の積層体の両面に、コロナ処理を施した後、LLDPEを厚さ40μmとなるよう押し出しラミネーションし樹脂層を有する積層体4−6を得た。積層体4−6を抜き型を用いて打ち抜き、胴材、底部材を作製した後カップ成形機にかけ、実施例4−6のカップ容器を作製した。
[比較例1]
繊維層を形成させていない坪量260g/mのカップ原紙を比較例1として用いた。
[比較例2]
比較製造例1の分散液を坪量260g/mのカップ原紙の表面にバーコーターにて乾燥膜厚1000nmとなるように塗布し、120℃のオーブンで5分間乾燥し、比較例2の積層体を作製した。繊維層の厚みは、試料を光硬化性樹脂を用いて包埋後、ウルトラミクロトームにより切削し、SEMによる断面観察を行い確認した。
[比較例3−4]
製造例1の分散液を坪量260g/mのカップ原紙の表面にバーコーターにて乾燥膜厚50nm(比較例3)、2500nm(比較例4)となるように塗布し、120℃のオーブンで5分間乾燥し、比較例3−4の積層体を作製した。繊維層の厚みは、試料を光硬化性樹脂を用いて包埋後、ウルトラミクロトームにより切削し、SEMによる断面観察を行い確認した。
[比較例5−6]
比較例3−4の積層体の両面に、コロナ処理を施した後、LLDPEを厚さ40μmとなるよう押し出しラミネーションし樹脂層を有する積層体5−6を得た。積層体5−6を抜き型を用いて打ち抜き、胴材、底部材を作製した後カップ成形機にかけ、比較例5−6のカップ容器を作製した。
〔実施例・比較例の評価1〕
各積層体について、分散液を塗工乾燥後の外観を比較した。また、カップ法による、l−メントール、およびリモネンの透過率(単位:g/m・day)を20℃、10%RHの条件で測定した。結果を表1に示す。
同表に示す結果から判るように、実施例1−3は乾燥後も基材の収縮が少なく外観も良好であり、かつ繊維層未形成のカップ原紙(比較例1)に匂いバリア性を付与できることが確認された。これらは、紙基材とセルロース微細繊維という天然物からなる匂いバリア材であり、紙としての廃棄が可能なだけでなく、これまでフィルム貼り合わせや金属蒸着により製造していたものが、塗工・乾燥という簡便な工程で得ることができる。
Figure 2015024541

○・・・目視にて、塗工ムラまたは基材の収縮が見られないもの
×・・・目視にて、塗工ムラまたは基材の収縮が見られたもの
〔実施例・比較例の評価2〕
実施例4−6および比較例5−6について、カップ内に市販の防虫製剤(成分:パラジクロルベンゼン)を収容し、両面にポリエチレン層を有するPETフィルム(PE/PET/PE)を蓋材として熱シールし密閉容器とした。容器中の防虫製剤の匂いを外側より官能評価した。結果を表2に示す。
同表に示す結果から、実施例4−6は匂いバリア性に優れる容器であることが判る。これらの容器は、金属箔などの貼り合わせを行なっていないため、金属探知器を通すことが可能であり、かつ電子レンジの温めにも用いることができる。
Figure 2015024541

○・・・外側から匂いが感じられないもの
×・・・外側から匂いが感じられるもの
1・・・基材
2・・・繊維層
3・・・樹脂層
100・・・匂いバリア性積層体
200・・・匂いバリア性積層体(樹脂層有り)

Claims (10)

  1. 複数の層が積層されてなる積層体であって、紙からなる基材と、該基材の少なくとも片面に積層されて、平均繊維径10μm以下のセルロースの微細繊維を含む繊維層とを備えることを特徴とする匂いバリア性積層体。
  2. 請求項1に記載の匂いバリア性積層体であり、前記繊維層は、1nm以上50nm以下の繊維径を有するセルロースの微細繊維を10%以上含有することを特徴とする匂いバリア性積層体。
  3. 請求項1または2に記載の匂いバリア性積層体であり、前記セルロースの微細繊維は、50%以上100%以下の結晶性を有することを特徴とする匂いバリア性積層体。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の匂いバリア性積層体であり、前記セルロースの微細繊維は、セルロース質量に対してカルボキシル基を0.1mmol/g以上3.5mmol/g以下有することを特徴とする匂いバリア性積層体。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の匂いバリア性積層体であり、前記繊維層は、水溶性高分子を含有することを特徴とする匂いバリア性積層体。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の匂いバリア性積層体であり、前記繊維層は、無機層状化合物を含有することを特徴とする匂いバリア性積層体。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の匂いバリア性積層体であり、前記繊維層の厚みは、100nm以上2000nm以下であることを特徴とする匂いバリア性積層体。
  8. 請求項1乃至7のいずれか1項に記載の匂いバリア性積層体において、前記匂いバリア性積層体の少なくとも片面側に、樹脂層を設けたことを特徴とする匂いバリア性積層体。
  9. 請求項1乃至8のいずれか1項に記載の匂いバリア性積層体を用いたことを特徴とする成形容器。
  10. 紙からなる基材の少なくとも片面に、1nm以上10μm以下の繊維径を有するセルロースの微細繊維を含む塗液を塗布して塗膜を形成する工程と、
    前記塗膜を乾燥させて繊維層を形成する工程と、
    前期繊維層上に樹脂層を形成する工程と、
    を含むことを特徴とする匂いバリア性積層体の製造方法。
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