JP6318490B2 - 積層体 - Google Patents

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Description

本発明は、ガス・臭気・液体・薬剤などの各種対象に対して内容物へのバリア性を付与し、これらにより内容物が劣化・変質することを抑制したり、外部に漏れ出すことを防止したりするものであり、食品、トイレタリー製品、医薬品、電子部材、電子機器等の包装用として好適な積層体およびその製造方法ならびに成形容器に関する。
食品、医薬品、電子部材、電子機器等には酸素や水蒸気等によって劣化したり変質したりすることを抑制するために、それらの包装用に、酸素や水蒸気の透過度を抑制したガスバリアフィルム等のガスバリア材が使用されている。
従来、この種のガスバリア材には、ポリビニルアルコール(PVA)とエチレンビニルアルコールとの共重合体、ポリ塩化ビニリデン系樹脂等の樹脂フィルム、あるいはこれらの樹脂がコートされたフィルムや、セラミック蒸着フィルム等が使用され、それらを様々な基材に積層させた積層体が検討されている。
また、バリア用の包装容器としてはプラスチックなどからなる成形容器が多く使用されている。しかし、プラスチックは、殆どが石油由来の有限な資源であり、燃焼熱が高く、環境ホルモンの問題などが指摘されている。近年の環境保全型思考や、容器包装リサイクル法の施行に伴い、プラスチック材料から紙などの再生可能な天然資源由来の材料への転換が必要となっている。
なお、紙に各種バリア層を設けて包装材料として利用する検討が行なわれている。例えばバリア性を有するフィルムやバリア層を有するフィルムに紙基材を貼り合わせる手法や、紙基材上に無機層状化合物を有する樹脂組成物層、熱可塑性樹脂層を設ける手法(例えば特許文献1参照)や、紙基材や紙容器に樹脂層を設け、蒸着やCVDなどによる無機薄膜層を積層させることによりバリア性を付与する手法が検討されている。
しかし、紙基材表面には、無数の凹凸がミリオーダーあるいはナノオーダーで存在する。そのため、紙基材上に無機薄膜層を積層させることによりバリア性を付与する手法では、ガラス質の極めて脆い性質を有する無機薄膜層を成膜した場合、紙基材表面の凹凸上に形成したことに起因する欠陥がバリア層内に発生し、バリア性を低下させてしまうといった問題が指摘されている。
また、紙に各種バリア層を設けてバリア性を付与する際、紙基材の密度、透気度、平滑性を制御し、より高いバリア性を付与することが考えられている。例えば、密度の高い紙を用いることや、樹脂により紙繊維の間を目止めする手法が検討されている。
しかし、これらの手法は、充分なバリア性を付与できるほどではないものや、接触・あるいは貼り合わせただけなので、紙繊維との相互作用が少ない手法である。また、コーティングや含浸などにより目止めをする手法であっても、紙表面のミリオーダーあるいはナノオーダーでの凹凸に追従した層を形成してしまい、充分な機能を発揮することができず、そのため、相当の厚みを有する層を形成して紙の凹凸の影響を除去するしかなく、単なる目止め、穴埋め材に過ぎなかった。
また、このような目止め剤の多くは石油由来の合成高分子を用いるため、紙材料本来の持つ再生可能な天然物由来材料という利点を充分に活用できない。なお、天然物由来材料からなる、バリア性を持つ高分子や繊維のコーティングなどによる目止め剤もいくつか報告されているものの、分子分散した単なる高分子ではその形状と柔らかさから、紙表面の凹凸に追従した層を形成してしまう。また、薄膜で機能を有する膜は得られておらず、相当の厚みを有する層を形成しても、前述のバリア、目止めの機能と環境適合性という両面を充分に達成されたものは得られていなかった。
さらに、この目止めの機能を発現し、平滑性を向上させる際に新たな目止め剤としてセルロース微細繊維を水に分散させた液を紙表面にコーティングする事で紙の表面にセルロース微細繊維の薄膜を形成し、平滑性を付与したもの(例えば特許文献2)に蒸着による無機薄膜層を積層させることによりバリア性を付与する手法が検討されている。
この手法を用いた場合は紙表面にセルロース微細繊維が平滑な膜を形成することで、紙の凹凸を埋め、蒸着で無機薄膜層を積層すると高い酸素バリア性を付与する事ができる。しかし、セルロース微細繊維、紙基材共に含水率が高く、特に高湿度下では15%以上の含水率となることもあり、基材側に水の分子が大量に存在することで無機薄膜層が存在していても水蒸気バリア性が悪化する。そのために実際にバリア性包装材として使用する際は水蒸気透過率が高く、高温・高湿度下では用途が限定されるといった問題があった。
特開平11−309816号公報 特願2012−506981号公報
そこで、本発明は、以上のような背景技術を考慮してなされたもので、天然資源を有効利用し、総合的に環境に配慮した材料を提供することを目的とし、かつ紙繊維との相互作用により、優れた強度を有しつつも、紙基材との親和性・密着にも優れ、薄膜でも充分に酸素バリア性・水蒸気バリア性を付与し得るバリア材料となりうる積層体およびその製造方法ならびに成形容器を提供することを課題としている。
上記の課題を解決するための手段として、本発明の一態様は、複数の層が積層されてなる積層体において、紙からなる基材と、該基材の少なくとも片面に積層されて、無機層状化合物を含まず、繊維径10μm以下のセルロース微細繊維と水溶性高分子とを含む厚さ0.01μm以上、10μm以下の繊維層と、該繊維層上に厚さ0.01μm以上、10μm以下の疎水性樹脂層、該疎水性樹脂層上に、さらに金属又は金属酸化物よりなる蒸着層を設け、当該蒸着層上に更に樹脂層を備えた積層体であり、当該積層体の酸素透過度が0.001から10(ml/m・day)の間、かつ、水蒸気透過度が3.0以下(ml/m・day)であることを特徴とする積層体である。
また、前記セルロース微細繊維を含む繊維層はセルロースの微細繊維を10%以上99%以下含有することを特徴とする積層体である。
また、前記セルロースの微細繊維がセルロース質量に対してカルボキシル基を0.1mmol/g以上3.5mmol/g以下有することを特徴とする積層体である。
また、前記セルロースの微細繊維が50%以上100%以下の結晶性を有することを特徴とする積層体である。
また、前記樹脂層のラミネート強度が1.0N以上であることを特徴とする積層体である。
また、積層体の少なくとも片面側にシーラント層を設けたことを特徴とする積層体である。
上述したように、本発明に係る積層体は、紙からなる基材上にセルロースの微細繊維を含む層を形成させるものなので、天然資源を有効利用し総合的に環境に配慮した材料を提供することができる。
そして、この積層体は、紙からなる基材の少なくとも片面に、10μm以下の繊維径を有するセルロースの微細繊維を含む繊維層を備えるので、セルロースの微細繊維の繊維径をこの範囲に規定すれば、紙繊維との相互作用により、優れた強度を有するとともに、紙基材との親和性・密着にも優れ、薄膜でも充分にガス・臭気・液体・薬剤など各種バリア性を付与し得るバリア材料となりうる。
更に、繊維層に水溶性高分子を混合することで紙に微細繊維を含む塗液が染み込み、紙の繊維と微細繊維が絡まりあう。この状態で乾燥させる事で微細繊維と紙が混じった層が部分的に形成されるため、紙と繊維層の界面が明確でなくなり界面での剥離が生じにくく、密着性の強い積層体を得る事ができる。よって、これを用いた成形容器によれば、上記課題を同様に解決することができる。
続いて、繊維層上にポリオレフィンなどの疎水性樹脂からなる層を備える事で紙基材や繊維層中に含まれる水分子を遮る事ができる。セルロース微細繊維で平滑に加工された表面に疎水性の樹脂を塗布することで無機薄膜層に隣接する層の含水率を抑制し、水蒸気バリア性を高い積層体を得る事ができる。塗工液は溶液タイプのものでもエマルジョンタイプのものでも構わないが、乾燥後の樹脂の含水率が低いものほど効果が得られやすい。
更に、上述したように、本発明に係る積層体に、金属あるいは金属酸化物よりなる層を有する構成とすれば、より高いバリア性に優れた積層体を得ることができる。また、セルロースの微細繊維を含む層に超微細繊維を含む構成とすれば、金属あるいは金属酸化物よりなる層の欠陥を防ぐことができる。
また、セルロースの微細繊維を含む層に微細繊維の中でも、上述したような所定の範囲の径をもつ繊維あるいは粒子を含む構成とすれば、効率よく基材の表面を改質することができ、優れた積層体を得ることができる。
本発明に係る積層体の第1実施形態の断面図である。 本発明に係る積層体の第2実施形態の断面図である。 本発明に係る積層体の第3実施形態の断面図である。 本発明に係る積層体の第4実施形態の断面図である。
以下、本発明の詳細について実施形態に基づいて説明する。
図1に示す第1実施形態の積層体100は、少なくとも紙からなる基材1と、この基材1の片面に付設された繊維層2と疎水性樹脂層3、蒸着層4を有して構成されている。
基材1としては、通常の上質紙、各種コート紙、裏打ち紙、含浸紙、ボール紙や板紙、それらと樹脂フィルム層や金属層などを貼合せ製函してなるものや、箱型に成形されたパルプモールドなどを用いることができるが、これらに限定されるものではない。
繊維層2は、セルロースの微細繊維を含むものであり、そのセルロースの微細繊維が、平均径が1nm以上200nm以下の範囲にある。これらの繊維径の測定は、AFMやSEMなどの装置を用いて形状観察を行い、任意の多数のサンプルの繊維幅を測定してその平均をとる手法、あるいは塗液の粒度分布計などを用いた粒径測定結果から計測することが可能である。なお、本発明では前者の観察からの計測値を用いた。
ここで、上記セルロースの微細繊維は、その平均径が、1nm以上200nm以下の範囲にあると、ナノレベルで塗布あるいはキャスト膜表面の平滑性が向上し、紙基材の平滑化に大きな効果を及ぼす。また、繊維の絡み合いや水素結合面積が膨大になることから、良好なバリア性と紙基材中の繊維との相互作用も増大し、密着性も向上する。
また、この繊維層2は、更に1nm以上30nm以下の平均径を有するセルロースの微細繊維が10%以上含まれていることを特徴としている。セルロースの微細繊維がこの範囲にあると、前記の膜面の平滑性を向上させる効果が大きく、更に金属や酸化金属層を付与したときに、より緻密で孔や欠陥のない層が形成され、高いバリア性を付与することができる。
更に、上記積層体100の複数の層のうち、繊維層2に含まれるセルロースの微細繊維は、50%以上100%以下の結晶性を有することを特徴としている。結晶性がこの範囲にあると、高い強度を付与できるだけでなく、結晶内には各種ガス・薬剤・液体などの吸着が抑えられ、高いバリア性を付与することができる。
また、紙の基材1と、繊維層2に含まれるセルロースの微細繊維の相互作用を利用し、親和性・密着性も高い複合材料からなるバリア材を提供することができる。また、径の大きな微細繊維と、径の小さな微細繊維を含むことにより、紙の細孔に効率よく充填した緻密な膜を形成することができる。また硬い構造と柔らかい構造を有することで、薄膜でも充分な強度とバリア性を有する材料を提供することができる。
また、上記繊維層2に含まれるセルロースの微細繊維は、セルロース質量に対しカルボキシル基量が0.1mmol/g以上3.5mmol/g以下の範囲にあることを特徴としている。これらのカルボキシル基量は、セルロース繊維の伝導度滴定法により測定することができる。
カルボキシル基量が0.1mmol/g以上3.5mmol/g以下の範囲にあると、特に包装材料の性能として重要な項目である酸素バリア性が良好な積層体が得られる。カルボキシル基は0.1mmol/g未満であると、酸素バリア性が充分に発揮できず、また、3.5mmol/g以上であると高湿度下での酸素バリア性や、水への耐性が低くなってしまう。
その測定方法としては、改質処理したセルロースの乾燥質量換算0.2gをビーカーにとり、イオン交換水80mlを添加する。そこに0.01M塩化ナトリウム水溶液5mlを加え、攪拌させながら0.1M塩酸を加えて全体がpH2.8となるように調整した。ここに自動滴定装置(東亜ディーケーケー株式会社製、AUT−701)を用いて0.1M水酸化ナトリウム水溶液を0.05ml/30秒で注入し、30秒毎の電導度とpH値を測定し、pH11まで測定を続けた。得られた電導度曲線から水酸化ナトリウムの滴定量を求め、カルボキシル基含有量を算出した。
また、上記繊維層2は水溶性高分子を含むものであり、微細繊維の分散液に添加する事ができる。樹脂は特に限定されないが、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース等が好ましく、重合度や官能基の量も限定されない。
ここで、上記水溶性高分子は繊維層のうち1%以上90%以下が好ましい。水溶性高分子の添加量が少なすぎると紙と繊維層の界面が明確で剥離しやすくなる。また添加量が多すぎる場合、塗液が紙に完全に染み込んでしまい、紙表面の凹凸を埋める事ができず、金属や酸化金属層を付与したときに、孔や欠陥のある膜となりバリア性が悪化する。
また、水溶性高分子水溶液は水に水溶性高分子の粉末を添加して加熱攪拌することによって得る事ができる。この際、水溶性高分子の固形分濃度は0.1%以上、10%以内が好ましい。水溶性高分子の固形分濃度が低すぎると微細繊維の分散液と混合した際に塗液の固形分濃度が低下して乾燥に時間やエネルギーがかかるため不利である。また固形分濃度が高すぎると粘度が高くなるため塗工の際に塗りむらや欠陥の原因となる場合がある。
さらに、セルロース分散液に上記水溶性樹脂を混合することによって製膜性を改善する事ができる。剛直な繊維の隙間に水溶性高分子が入り込む事で柔軟性が増し、乾燥工程でのうねりの発生を抑制する事ができる。うねりの少ない塗工膜を作製することで後の工程での加工適性を改善する事ができる。
また、本発明の積層体の繊維層2の厚みは、100nm以上2000nm以下であることが好ましい。繊維層2の厚みを100nm以上2000nm以下の範囲にすることにより、膜厚が薄くても充分なバリア性を発揮するため、コスト面でも優れている。なお、上記範囲より大きい値であっても、強度が向上し、バリア性も悪くはならないが、コスト面で好ましくないことと、硬すぎて積層体の加工時に割れが発生するなどの問題が生じる場合がある。また、上記範囲より小さい値であると、被膜成形時にピンホールなどが生じてしまい、また紙基材表面の繊維を充分に覆うことができなくなり、ガス・水分・油などのバリア性が発揮できない場合がある。
また、本発明の積層体は、紙の基材1上に、前述のセルロースの微細繊維を含む液を塗布し、これを乾燥させることで基材1の平滑性とバリア性を向上させることができる。これにより塗布・乾燥という比較的簡便な手法で基材1を改質することができる。
セルロースの微細繊維を含む液の塗布の手法としては、公知の方法を用いることができる。具体的には、グラビアコーター、ディップコーター、リバースコーター、ワイヤーバーコーター、ダイコーター等である。ウェット成膜方法を用いることにより、紙の基材1の凹凸に追従しない表面形状の塗膜を形成することができる。また、塗液の溶媒についても特に限定されるものではないが、アルコールをはじめとした各種有機溶剤を1種類または複数種混合して用いることができる。
疎水性樹脂層3は、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂などが使用できるが、中でも含水率の低いポリオレフィン樹脂が好ましい。塗工液は溶液タイプのものでもエマルジョンタイプのものでも構わないが、乾燥後の樹脂の含水率が低いものほど効果が得られやすい。
樹脂を含む液の塗布の手法としては、公知の方法を用いることができる。具体的には、グラビアコーター、ディップコーター、リバースコーター、ワイヤーバーコーター、ダイコーター等である。
また、疎水性樹脂層3の膜厚は、0.01μm以上、5μm以下が好ましい。薄すぎる場合は蒸着層に接する水分子の量が多く、水蒸気バリア性が十分に得られないため好ましくない。また膜厚が厚すぎる場合、熱による寸法安定性が悪く変形しやすい。剥離の原因や蒸着層の割れの原因となりバリア性が悪化する。
疎水性樹脂層3を形成する前工程として、プラズマ処理、コロナ処理などを行うことにより、機能層表面の水分や塵等を除去すると共にその表面の平滑化、活性化を促進させてもよい。
疎水性樹脂を塗工した後の乾燥温度は60℃以上、150℃未満が好ましい。60℃以下であると乾燥不良が発生することや、加工速度が遅くなるため好ましくない。また150℃を超える場合、樹脂の分子の配向性が失われるため透湿率が悪化し、蒸着層に接する水分子の量が多くなるため好ましくない。
蒸着層4は、金属あるいは酸化金属からなっており、各種金属あるいは酸化金属を蒸着コーティング、浸漬、ラミネーションなどにより積層させることができる。金属や酸化金属の種類は特に限定しないが、本発明に係る積層体あるいは、これを用いたバリア材などとして利用する場合には、アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化シリカなどが好ましい。
特に、この蒸着層4として、アルミニウムや酸化アルミニウム、酸化シリカなどの層を付与する場合、プラズマ・真空蒸着などの蒸着プロセスにより成形することができ、これらによる薄膜は効率的に生産性も良くバリア性等の機能を付与することができる。また、本来、紙などの基材1は凹凸が激しく、紙基材内部に含まれる水分などのガスが抜けるなどの理由により、均一な連続した薄膜が成形できないなど、前記プロセスで成膜することは困難であったが、上述した本発明中の繊維層2を含むことにより、平滑性とガスバリア性を付与することにより、効率よく基材の表面を改質することができ、これらの課題を解
決することができる。
なお、蒸着層4を形成する前工程として、プラズマ処理などを行うことにより、機能層表面の水分や塵等を除去すると共にその表面の平滑化、活性化を促進させてもよい。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて設計の変更等の変形を加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施形態も本発明の範囲に含まれるものである。
例えば、本発明の積層体は、必要に応じて、図2に示す第2実施形態の積層体200のように、第1実施形態の構成に、さらに繊維層2を積層することができる。さらに、本発明の積層体は、図3に示す第3実施形態の積層体300のように、第1の実施形態の構成に、さらに保護層5を積層する事ができる。保護層を設けることでガスバリア性を向上し、かつクラック等の欠陥の発生を抑制する事ができる。
さらに、本発明の積層体は、図4に示す第4実施形態の積層体400のように、更に樹脂層又はシーラント層6を積層したり、各層間の強度を向上させるためのアンカー・プライマー層、防汚染層、印刷層、帯電防止層等を積層したりすることができる。この場合、積層する各層は、溶融押出により積層してもよく、接着剤を用いて積層しても、また、蒸着などによって積層させることもできる。
特に、例えば樹脂層に関しては防汚・浸透性の高い液体へのバリアを付与することができ、シーラント層に関しては、成形などの際に形状保持・内容物漏れを防ぐことができる。各層の材料としては特に限定されず、ポリオレフィン系・エポキシ系・ウレタン系・イソシアネート系・ポリエステル系・植物由来材料(バイオプラ)など公知の材料を用いることができる。
なお、上述した本発明に係る積層体は、各種フィルムやシートに用いることができるほか、ボトル状、筒状、箱状などの各種成形容器に用いることができる。
以下、本発明の詳細について実施例を用いて説明する。
[セルロース繊維の製造方法]
針葉樹クラフトパルプ30gを水600gに浸漬し、ミキサーにて分散させた。分散後のパルプスラリーにあらかじめ水200gに溶解させたTEMPOを0.3g、NaBrを3g添加し、更に水で希釈し全体を1400mLとした。系内を20℃に保ち、セルロース1gに対し10mmolになるよう次亜塩素酸ナトリウム水溶液を計りとり滴下した。
滴下開始からpHは低下を始めるが、0.5M水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを10に保った。3時間後、0.5M水酸化ナトリウムが2.8mmol/gになったところでエタノールを30g添加し、反応を停止させた。反応系に0.5M塩酸を添加し、pH2まで低下させた。酸化パルプをろ過し、0.01M塩酸または水で繰返し洗浄した後、酸化パルプを得た。自動滴定装置(東亜ディーケーケー社製、AUT−701)を用いて0.1M水酸化ナトリウムにより電導度滴定を行ったところ、カルボキシル基量が1.6mmol/gと算出された。得られた酸化パルプを水で希釈し水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH9の1%分散液を得た。分散液を超音波ホモジナイザーで5分間処理し、1%のセルロースの微細繊維を含む分散液を得た。
[水溶性高分子水溶液の調製方法]
水溶性高分子である市販品のPVA(PVA−124、クラレ社製)5gをビーカーに量りとり、純水500gを加えた。これを100℃に加熱し、溶解させ1%溶液として用いた。同様の手順で10%の溶液を作製した。
[塗工液の製造方法]
セルロース繊維の製造方法で得られた微細繊維の分散液と水溶性高分子水溶液の調製方法1で得られたPVA水溶液を混合する。この際の混合比は固形分で微細繊維/PVA=9/1、7/3、5/5、3/7、1/9となるように混合し、それぞれを塗工液(1)から(5)とする。この際使用するPVA溶液は、塗工液(1)と(2)の場合1%のものを、塗工液(3)から(5)の場合10%のものを微細繊維の分散液に混合する事とする。
[実施例1−5]
塗工液(1)−(5)の各塗工液を坪量260g/mのカップ原紙の表面にバーコーターにて膜厚1000nmとなるように塗布し、120℃のオーブンで10分間乾燥した。さらに疎水性樹脂としてXP8812(星光PMC社製)を水で希釈し、固形分濃度20%とした後にバーコーターにてそれぞれの膜厚が0.3μmとなるように塗布し、80℃のオーブンで10分間乾燥した。さらに真空蒸着により酸化ケイ素の皮膜を50nmで積層し、蒸着面にさらにウレタン系接着剤を用い、厚み30μmのポリエチレンフィルムをドライラミネートし、実施例1−5の積層体を作製した。
[実施例6−10]
塗工液(1)−(5)の各塗工液を坪量260g/mのカップ原紙の表面にバーコーターにて膜厚1000nmとなるように塗布し、120℃のオーブンで10分間乾燥した。さらに疎水性樹脂としてTD−4010(ユニチカ社製)を水で希釈し、固形分濃度20%とした後にバーコーターにてそれぞれの膜厚が0.3μmとなるように塗布し、120℃のオーブンで10分間乾燥した。さらに真空蒸着により酸化ケイ素の皮膜を50nmで積層し、蒸着面にさらにウレタン系接着剤を用い、厚み30μmのポリエチレンフィルムをドライラミネートし、実施例6−10の積層体を作製した。
[比較例1]
繊維層2を形成させていない坪量260g/mのカップ原紙に真空蒸着により酸化ケイ素の皮膜を50nmで積層し、蒸着面にさらにウレタン系接着剤を用い、厚み30μmのポリエチレンフィルムをドライラミネートしたものを比較例1として用いた。
[比較例2]
繊維層2としてセルロース繊維の製造方法で得られた微細繊維の分散液を坪量260g/mのカップ原紙の表面にバーコーターにて膜厚1000nmとなるように塗布し、120℃のオーブンで10分間乾燥した。さらに真空蒸着により酸化ケイ素の皮膜を50nmで積層し、蒸着面にさらにウレタン系接着剤を用い、厚み30μmのポリエチレンフィルムをドライラミネートし、比較例2の積層体を作製した。
[比較例3]
繊維層2としてセルロース繊維の製造方法で得られた微細繊維の分散液と水溶性高分子水溶液の調製方法で得られたPVA水溶液を混合し、混合比は固形分で微細繊維/PVA=5/5となるようにしたものを坪量260g/mのカップ原紙の表面にバーコーターにて膜厚1000nmとなるように塗布し、120℃のオーブンで10分間乾燥した。さらに真空蒸着により酸化ケイ素の皮膜を50nmで積層し、蒸着面にさらにウレタン系接着剤を用い、厚み30μmのポリエチレンフィルムをドライラミネートし、比較例3の積層体を作製した。
[実施例・比較例の評価1]
各積層体について、モコン法を用いて、酸素透過度(単位:ml/m・day・atm)を30℃、70%RHの条件で測定した。酸素透過度が0.001から10(ml/m・day・atm)の範囲内にあれば、酸素を嫌う多くの内容物を保護するのに十分な機能があるといえ、紙基材とセルロース繊維という天然物からバリア性フィルム並みの性能を示すものが得られる。これらは、紙としての廃棄が可能なだけでなく、これまでフィルムでは着色や印刷、貼り合わせ、金属蒸着により酸素ガスの他、光を遮断していたものが、工程も少なく同等の性能を得ることができる。また、金属箔などの貼り合わせを行なっていないため、金属探知器を通すことも可能となる。また、酸素と同じような大きさのガスやにおいの漏れも防止することができる。
[実施例・比較例の評価2]
各積層体について、モコン法を用いて、40℃、90%RH雰囲気下での水蒸気透過度(g/m・day)を、40℃、90%RH雰囲気下で測定した。疎水性樹脂層を積層することによって水蒸気透過率が改善する事がわかる。
[実施例・比較例の評価3]
各積層体について、ラミネート強度の測定を行った。積層体を、幅15mm×長さ10cmの短冊状に切り抜き、試験片とした。該試験片について、JIS−K−7127に準拠して、引張り速度300mm/minでT字剥離を行って、基材とPPフィルムの間の密着強度(N/15mm)を測定した。結果に示すようにセルロース繊維にPVAを混合することによって、積層体の密着性が向上する事がわかる。PVAを添加することによって紙に塗液が染み込み、繊維層との界面の密着が向上することで剥離しにくい強度の強い積層体を得る事ができる。
Figure 0006318490
Figure 0006318490
表に示す結果より、本発明の積層体は、バリア性・密着性に優れていると言うことができる。紙から成る基材1上にセルロースの微細繊維を含む繊維層2を形成させることにより、平滑性が良好で、金属あるいは金属酸化物よりなる連続した層を形成することができ、バリア性に優れた積層体を得ることができることが確認された。更に、セルロースの微細繊維を含む層に疎水性樹脂層を積層することにより、金属酸化物よりなる層に接する水分子の量を減らし、積層体の水蒸気バリア性を向上させることができることが確認された。
1・・・基材
2・・・繊維層
3・・・疎水性樹脂層
4・・・蒸着層
5・・・保護層
6・・・シーラント層

Claims (6)

  1. 複数の層が積層されてなる積層体において、
    紙からなる基材と、
    該基材の少なくとも片面に積層されて、無機層状化合物を含まず、繊維径10μm以下のセルロース微細繊維と水溶性高分子とを含む厚さ0.01μm以上、10μm以下の繊維層と、
    該繊維層上に厚さ0.01μm以上、10μm以下の疎水性樹脂層、該疎水性樹脂層上に、さらに金属又は金属酸化物よりなる蒸着層を設け、当該蒸着層上に更に樹脂層を備えた積層体であり、当該積層体の酸素透過度が0.001から10(ml/m・day)の間、かつ、水蒸気透過度が3.0以下(ml/m・day)であることを特徴とする積層体。
  2. 請求項1に記載の積層体であり、前記セルロース微細繊維を含む繊維層はセルロースの微細繊維を10%以上99%以下含有することを特徴とする積層体。
  3. 請求項1または2に記載の積層体であり、前記セルロースの微細繊維がセルロース質量に対してカルボキシル基を0.1mmol/g以上3.5mmol/g以下有することを特徴とする積層体。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の積層体であり、前記セルロースの微細繊維が50%以上100%以下の結晶性を有することを特徴とする積層体。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の積層体であり、前記樹脂層のラミネート強度が1.0N以上であることを特徴とする積層体。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の積層体であり、積層体の少なくとも片面側にシーラント層を設けたことを特徴とする積層体。
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