JP5514533B2 - ガスバリア性積層体 - Google Patents

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Description

本発明は、酸素ガス等の透過を抑制できるガスバリア性積層体に関する。
現状の酸素、水蒸気等のガスバリア用材料は、主として化石資源から製造されているため、非生分解性であり、焼却処分せざるを得ない。そこで、再生産可能なバイオマスを原料として、生分解性のある酸素バリア材料を製造することが検討されている。
特許文献1には、微細セルロースを含有するコーティング剤を基材に塗布した積層材料が記載されている(請求項15、16,実施例1等)。しかし、基材とコーティング層との密着性の試験方法及び評価基準が不明確で、具体的な効果が確認できない。
特許文献2には、基材となる成形体に、平均繊維径が200nm以下のセルロース繊維を含み、前記セルロース繊維を構成するセルロースのカルボキシル基含有量が0.1〜2mmol/gであるガスバリア用材料からなる層を有しているガスバリア性複合成形体の発明が記載されている。このガスバリア性複合成形体は、実施例に記載のとおり、高い酸素ガスバリア性と水蒸気バリア性を有している。
特開2002−348522号公報 特開2009−057552号公報
特許文献2の発明では、例えば、実施例2(段落番号0073)に記載されているとおり、基材シート(PET製)にガスバリア用材料を塗布した後、乾燥して、ガスバリア性複合成形体を製造している。この製造方法により得られたガスバリア性複合成形体は、上記のとおり、高いガスバリア性を有しているが、基材とガスバリア用材料層との密着強度をより高める点で改善の余地がある。
また、特許文献2の発明では、段落番号0050において、ガスバリア性複合成形体の製造方法として、基材に対して、予め作製したガスバリア用材料からなるガスバリア性成形体を貼り合わせて積層する方法を適用できると記載されており、前記の貼り合わせ方法として、接着剤を使用する方法、熱融着法等が例示されている。この貼り合わせ方法にて接着剤を使用した場合には、基材、接着剤層、ガスバリア用材料層の3層構造のガスバリア性複合成形体が得られることになる。このような3層構造のガスバリア性複合成形体をさらに他の成形体に被着一体化させようとした場合、他の基材に対する熱的影響を及ぼさないようにするとき、再度接着剤を使用して、基材と他の成形体を接着させる必要がある。
本発明は、基材自体を接着性樹脂から形成することにより、基材とガスバリア性を有する微細セルロース繊維層との密着強度を飛躍的に高めると共に、他の成形体との接着も容易になる、ガスバリア性積層体を提供することを課題とする。
本発明は、課題の解決手段として、下記の各発明を提供する。
(1)熱可塑性の接着性樹脂からなる基材と微細セルロース繊維層を有するガスバリア性積層体であって、
前記微細セルロース繊維層を形成する微細セルロースが、平均繊維径が200nm以下のセルロース繊維を含み、
前記平均繊維径が200nm以下のセルロース繊維を構成するセルロースのカルボキシル基含有量が0.1〜2mmol/gである、ガスバリア性積層体。
(2)前記熱可塑性の接着性樹脂が、主鎖に官能基が導入されたポリオレフィン、アイオノマー樹脂、エチレン又はエチレンを含むモノマーとグリシジルメタクリレートとの共重合体である、請求項1記載のガスバリア性積層体。
(3)前記熱可塑性の接着性樹脂が、前記主鎖にグラフト反応によりカルボキシル基が導入されたポリオレフィンである、請求項1記載のガスバリア性積層体。
(4)前記熱可塑性の接着性樹脂が、エチレン、酢酸ビニル、グリシジルメタクリレートとの共重合体又はエチレン、アクリル酸メチル、グリシジルメタクリレートとの共重合体である、請求項1記載のガスバリア性積層体。
(5)さらに前記微細セルロース繊維層が被覆層で覆われている、請求項1〜4のいずれか1項記載のガスバリア性積層体。
本発明のガスバリア性積層体は、基材と微細セルロース繊維層との密着強度が飛躍的に向上されている。
<熱可塑性の接着性樹脂からなる基材>
本発明のガスバリア性積層体の基材は、熱可塑性の接着性樹脂からなるものである。
熱可塑性の接着性樹脂は公知の熱可塑性接着剤を挙げることができるが、本発明では、主鎖に官能基が導入されたポリオレフィン、アイオノマー樹脂、エチレン又はエチレンを含むモノマーとグリシジルメタクリレートとの共重合体から選ばれるものが好ましい。
主鎖に官能基が導入されたポリオレフィンは、主鎖にグラフト反応によりカルボキシル基が導入されたポリオレフィンが好ましく、例えば、市販の熱可塑性樹脂「アドマー」(登録商標)(三井化学(株)製又は東セロ(株)製)、ポリオレフィン系接着性樹脂(商品名モディック;三菱化学(株)製)を用いることができる。
アイオノマー樹脂は、エチレン−メタクリル酸共重合体又はエチレン−アクリル酸共重合体の分子間を、ナトリウムや亜鉛等の金属イオンで分子間結合した樹脂であり、例えば、市販のアイオノマー樹脂(商品名ハイラミン;三井・デュポンケミカル(株)製)を用いることができる。
エチレンを含むモノマーとグリシジルメタクリレートとの共重合体は、エチレン、酢酸ビニル、グリシジルメタクリレートとの共重合体、又はエチレン、アクリル酸メチル、グリシジルメタクリレートとの共重合体を用いることができる。
エチレンとグリシジルメタクリレートとの共重合体は、登録商標ボンドファースト(グレード2C、E;住友化学(株)製)、エチレン、酢酸ビニル、グリシジルメタクリレートとの共重合体は、登録商標ボンドファースト(グレード2B,7B;住友化学(株)製)、エチレン、アクリル酸メチル、グリシジルメタクリレートとの共重合体は、(グレード7L,7M;住友化学(株)製)を用いることができる。その他、登録商標ボンドファースト(グレードVC40;住友化学(株)製)も用いることができる。
基材には、本発明の課題を解決できる範囲内で、充填剤、顔料等の着色剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤等の公知の樹脂添加剤を含有させることができる。
<微細セルロース繊維層>
本発明のガスバリア性積層体において、微細セルロース繊維層を形成する微細セルロース繊維は、平均繊維径が200nm以下のものであり、好ましくは1〜200nm、より好ましくは1〜100nm、更に好ましくは1〜50nmのものである。平均繊維径は、実施例に記載の測定方法により、求められるものである。
微細セルロース繊維を構成するセルロースのカルボキシル基含有量は、高いガスバリア性を得ることができる観点で、0.1〜2mmol/gであり、好ましくは0.4〜2mmol/g、より好ましくは0.6〜1.8mmol/gであり、更に好ましくは0.6〜1.6mmol/gである。カルボキシル基含有量は、実施例に記載の測定方法により、求められるものである。カルボキシル基含有量が0.1mmol/g未満であると、後述の繊維の微細化処理を行っても、セルロース繊維の平均繊維径が200nm以下に微細化されない。
なお、本発明で用いる微細セルロース繊維は、セルロース繊維を構成するセルロースのカルボキシル基含有量が上記範囲のものであるが、実際の製造過程における酸化処理等の制御状態によっては、酸化処理後のセルロース繊維中に前記範囲を超えるものが不純物として含まれることもあり得る。
本発明で用いる微細セルロース繊維は、平均アスペクト比が10〜1,000、より好ましくは10〜500、さらに好ましくは100〜350のものである。平均アスペクト比は、実施例に記載の測定方法により、求められるものである。
本発明で用いる微細セルロース繊維は、例えば、次の方法により製造することができる。まず、原料となる天然繊維(絶対乾燥基準)に対して、約10〜1000倍量(質量基準)の水を加え、ミキサー等で処理して、スラリーにする。
原料となる天然繊維としては、例えば、木材パルプ、非木材パルプ、コットン、バクテリアセルロース等を用いることができる。
次に、触媒として2,2,6,6,−テトラメチル−1−ピペリジン−N−オキシル(TEMPO)を使用して、前記天然繊維を酸化処理する。触媒としては他に、TEMPOの誘導体である4−アセトアミド−TEMPO、4−カルボキシ−TEMPO、及び4−フォスフォノオキシ−TEMPO等を用いることができる。
TEMPOの使用量は、原料として用いた天然繊維(絶対乾燥基準)に対して、0.1〜10質量%となる範囲である。
酸化処理時には、TEMPOと共に、次亜塩素酸ナトリウム等の酸化剤、臭化ナトリウム等の臭化物を共酸化剤として併用する。
酸化剤は次亜ハロゲン酸又はその塩、亜ハロゲン酸又はその塩、過ハロゲン酸又はその塩、過酸化水素、及び過有機酸などが使用可能であるが、好ましくは次亜塩素酸ナトリウムや次亜臭素酸ナトリウムなどのアルカリ金属次亜ハロゲン酸塩である。酸化剤の使用量は、原料として用いた天然繊維(絶対乾燥基準)に対して、約1〜100質量%となる範囲である。
共酸化剤としては、臭化アルカリ金属、例えば臭化ナトリウムを使用することが好ましい。共酸化剤の使用量は、原料として用いた天然繊維(絶対乾燥基準)に対して、約1〜30質量%となる範囲である。
スラリーのpHは、酸化反応を効率良く進行させる点から9〜12の範囲で維持されることが望ましい。
酸化処理の温度(前記スラリーの温度)は、1〜50℃において任意であるが、室温で反応可能であり、特に温度制御は必要としない。また反応時間は1〜240分間が望ましい。
酸化処理後に、使用した触媒等を水洗等により除去する。この段階では反応物繊維は微細化されていないので、水洗とろ過を繰り返す精製法で行うことができる。必要に応じて乾燥処理した繊維状や粉末状の微細セルロース繊維の中間体(後述の微細化処理前のセルロース繊維)を得ることができる。
その後、該中間体を水等の溶媒中に分散し、微細化処理をする。微細化処理は、離解機、叩解機、低圧ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、グラインダー、カッターミル、ボールミル、ジェットミル、短軸押出機、2軸押出機、超音波攪拌機、家庭用ジューサーミキサーで所望の繊維幅や長さに調整することができる。この工程での固形分濃度は50質量%以下が好ましい。それを超えると分散にきわめて高いエネルギーを必要とすることから好ましくない。
このような微細化処理により、平均繊維径が200nm以下の微細セルロース繊維を得ることができ、更に平均アスペクト比が10〜1,000、より好ましくは10〜500、さらに好ましくは100〜350のものである微細セルロース繊維を得ることができる。
その後、必要に応じて固形分濃度を調整した懸濁液状(目視的に無色透明又は不透明な液)又は必要に応じて乾燥処理した粉末状(但し、微細セルロース繊維が凝集した粉末状物であり、セルロース粒子を意味するものではない)のガスバリア用材料を得ることができる。なお、懸濁液にするときは、水のみを使用したものでもよいし、水と他の有機溶媒(例えば、エタノール等のアルコール)や界面活性剤、酸、塩基等との混合溶媒を使用したものでもよい。
このような酸化処理及び微細化処理により、セルロース構成単位のC6位の水酸基がアルデヒド基を経由してカルボキシル基へと選択的に酸化され、前記カルボキシル基含有量が0.1〜2mmol/gのセルロースからなる、平均繊維径が200nm以下の微細化された高結晶性の微細セルロース繊維を得ることができる。この高結晶性の微細セルロース繊維はセルロースI型結晶構造を有している。これは、このセルロース繊維は、I型結晶構造を有する天然由来のセルロース固体原料が表面酸化されて、微細化された繊維であることを意味する。すなわち、天然セルロース繊維はその生合成の過程において生産されるミクロフィブリルと呼ばれる微細な繊維が多束化して高次な固体構造が構築されているが、そのミクロフィブリル間の強い凝集力(表面間の水素結合)を、アルデヒド基あるいはカルボキシル基の導入によって弱め、さらに微細化処理を経ることで微細セルロース繊維が得られる。
そして、酸化処理条件を調整することにより、前記のカルボキシル基含有量を所定範囲内にて増減させ、極性を変化させたり、該カルボキシル基の静電反発や前述の微細化処理したりすることにより、微細セルロース繊維の平均繊維径、平均繊維長、平均アスペクト比等を制御することができる。
上記の酸化処理、微細化処理によって得られた微細セルロース繊維は、下記の(I)、(II)、(III)の要件を満たすことができる。
(I):固形分0.1質量%に希釈したセルロース繊維懸濁液中のセルロース繊維質量に対して、目開き16μmのガラスフィルターを通過できるセルロース繊維の質量分率が5%以上であること。
(II):固形分1質量%に希釈したセルロース繊維懸濁液中に、粒子径が1μm以上のセルロースの粒状体を含まないこと。
(III):固形分1質量%に希釈した微細セルロース繊維懸濁液の光透過率が、0.5%以上になること。
要件(I):上記の酸化処理、微細化処理によって得られた固形分0.1質量%の懸濁液は、目開き16μmのガラスフィルターを通過させたときに、該ガラスフィルター通過前の懸濁液中に含まれる全セルロース繊維量に対して質量分率5%以上が該ガラスフィルターを通過できるものである(該ガラスフィルターを通過できる微細セルロース繊維の質量分率を微細セルロース繊維含有率とする)。ガスバリア性の観点から、微細セルロース繊維含有率は、好ましくは30%以上、より好ましくは90%以上である。
要件(II):上記の酸化処理、微細化処理によって得られた固形分1質量%の懸濁液は、原料として用いた天然繊維が微細化されており、粒子径が1μm以上のセルロースの粒状体は含まないものが好ましい。ここで、粒状体とは、略球状であり、その形状を平面に投影した投影形状を囲む長方形の長軸と短軸の比(長軸/短軸)が最大でも3以下であるものとする。粒状体の粒子径は、長軸と短軸の長さの相加平均値とする。この粒状体の有無の判定は、光学顕微鏡による観察で行うことができる。
要件(III):前記の酸化処理、微細化処理によって得られた固形分1質量%のセルロース繊維懸濁液は、光透過率が0.5%以上であることが好ましく、ガスバリア性の観点から、より好ましくは40%以上、さらに好ましくは60%以上である。
そして、上記の酸化処理、微細化処理により得られるガスバリア用材料からなるガスバリア層は、微細セルロース繊維間の水素結合や架橋的な強い相互作用が生まれ、ガスの溶解、拡散を抑制し、高い酸素バリア性等のガスバリア性を発現できるものと考えられる。また、セルロース繊維の巾や長さによって、成形後のセルロース繊維間の細孔サイズや細孔分布を変化させることができるため(即ち、分子篩効果を変化させることができるため)、分子選択的バリア性も期待できる。
本発明で用いる微細セルロース繊維を懸濁液状にするとき、目的に応じた成形ができるように固形分濃度を調整すればよく、例えば、固形分濃度は0.05〜30質量%の範囲にすることができる。
なお、本発明で用いる微細セルロース繊維には、本発明の課題を解決できる種類及び量の範囲内において、公知の充填剤、顔料等の着色剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、耐水化剤(シランカップリング剤等)、粘土鉱物(モンモリロナイト等)、架橋剤(エポキシ基、イソシアネート基等の反応性官能基を有する添加剤)、金属塩、コロイダルシリカ、アルミナゾル、酸化チタン等を配合することができる。
<ガスバリア性積層体>
本発明のガスバリア性積層体は、熱可塑性の接着性樹脂からなる基材と微細セルロース繊維層を有するものであり、次の方法にて製造することができる。
まず、熱可塑性の接着性樹脂からなる基材を製造する。基材は、熱可塑性樹脂の公知の成型加工法である、例えば、Tダイを備えた押出機を用いたフィルムやシートの押出成形法を適用し、必要に応じて延伸処理をして得ることができる。また基材は、上記した接着性樹脂からなるフィルム(市販品)を用いることもできる。
基材の厚みは、用途に応じた強度が得られるように適宜選択すればよく、1〜1000μmの範囲で選択することができる。
次に、基材の一面又は両面に対して、塗布法、噴霧法、浸漬法等の公知の方法により、好ましくは塗布法又は噴霧法により、微細セルロース繊維の懸濁液を付着させ、ガスバリア層(ガスの透過を抑制できる層)となる微細セルロース繊維層を形成する。その後、自然乾燥、送風乾燥、加熱乾燥、好ましくは加熱乾燥等の方法により乾燥して、ガスバリア性積層体を得る。
本発明のガスバリア性積層体は、防湿性、耐久性等の用途に応じた機能を付与するため、さらに微細セルロース繊維層が被覆層で覆われていてもよい。被覆層は、上記した熱可塑性の接着性樹脂からなる層であってもよい。
微細セルロース繊維層に被覆層を形成する方法としては、接着剤を使用して形成する方法、熱融着法等で貼り合わせる方法や、塗布法、噴霧法、浸漬法等の公知の方法を適用できる。
ここで、高い防湿性能を有する防湿層を形成する場合には、ポリオレフィンやポリエステル等のプラスチック、これらに無機酸化物(酸化アルミや酸化ケイ素等)を蒸着したもの、これらを板紙に積層したもの、ワックスやワックスを紙にコートしたもの等を用いることができる。高い防湿性能を有する防湿層は、水蒸気透過度が0.1〜600g/m2・day、好ましくは0.1〜300g/m2・day、より好ましくは0.1〜100g/m2・dayのものを用いることが好ましい。前記の高い防湿性能を有する防湿層を有するガスバリア性複合成形体にすることで、微細セルロース繊維層への水蒸気の溶解、拡散を抑制することができるため、高湿度条件におけるガスバリア性の低下を抑制できる。
なお、本発明のガスバリア性積層体は、保管や運搬時の保護等の目的で、微細セルロース繊維層が形成されていない基材表面が被覆層で覆われていてもよい。
本発明のガスバリア性積層体は、基材が接着性樹脂からなるものであるため、他の成形体との接着が容易である。他の成形体と接着するときは、基材又は成形体を加熱して接着する融着方法、基材や成形体に溶剤を塗布して接着する溶着法等の方法を適用できる。他の成形体としては、紙、木材、プラスチック、金属、セラミックス又これらの複合体等からなる、平面状及び立体状のものを挙げることができる。
本発明のガスバリア性積層体は、微細セルロース繊維層に含まれるセルロース繊維のカルボキシル基量やアスペクト比、ガスバリア用材料からなる層の厚み、基材及び防湿層の水蒸気透過度を制御することにより、仕様(ハイバリア性、透明性など)に応じた積層体を得ることができる。
(1)微細セルロース繊維
(1-1)平均繊維径、平均繊維長及び平均アスペクト比
セルロース繊維の平均繊維径は、0.001質量%に希釈した懸濁液をマイカ上に滴下して乾燥したものを観察試料として、原子間力顕微鏡(Nanoscope III Tapping mode AFM、Digital instrument社製,プローブはナノセンサーズ社製Point Probe(NCH)使用)で繊維高さを測定した。セルロース繊維が確認できる画像において、5本以上抽出し、その繊維高さの算術平均を平均繊維径とした。
平均アスペクト比は、セルロース繊維を水で希釈した希薄懸濁液(0.005〜0.04質量%)の粘度から算出した。粘度の測定には、レオメーター(MCR300、DG42(二重円筒)、PHYSICA社製)を用いて、20℃で測定した。セルロース繊維の質量濃度とセルロース繊維懸濁液の水に対する比粘度の関係から、次式でセルロース繊維のアスペクト比を逆算し、セルロース繊維の平均アスペクト比とした。
Figure 0005514533
(The Theory of Polymer Dynamics, M.DOI and D.F.EDWARDS, CLARENDON PRESS・OXFORD,1986,P312に記載の剛直棒状分子の粘度式(8.138)を利用した(ここでは、剛直棒状分子=セルロース繊維とした)。(8.138)式と Lb2×ρ0=M/NAの関係から数式1が導出される。ここで、ηspは比粘度、πは円周率、lnは自然対数、Pはアスペクト比(L/b)、γ=0.8、ρsは分散媒の密度(kg/m3)、ρ0はセルロース結晶の密度(kg/m3)、Cはセルロースの質量濃度(C=ρ/ρs)、Lは繊維長、bは繊維幅(セルロース繊維断面は正方形とする)、ρはセルロース繊維の濃度(kg/m3)、Mは分子量、NAはアボガドロ数を表す)。
平均繊維長は、上記の方法より測定された繊維径とアスペクト比より算出した。
(1-2)カルボキシル基含有量(mmol/g)
酸化したパルプの絶乾重量約0.5gを100mlビーカーにとり、イオン交換水を加えて全体で55mlとし、そこに0.01M塩化ナトリウム水溶液5mlを加えてパルプ懸濁液を調製し、パルプが十分に分散するまでスタラーにて攪拌した。そして、0.1M塩酸を加えてpH2.5〜3.0としてから、自動滴定装置(AUT−501、東亜デイーケーケー(株)製)を用い、0.05M水酸化ナトリウム水溶液を待ち時間60秒の条件で注入し、パルプ懸濁液の1分ごとの電導度とpHの値を測定し、pH11程度になるまで測定を続けた。そして、得られた電導度曲線から、水酸化ナトリウム滴定量を求め、カルボキシル基含有量を算出した。
天然セルロース繊維はセルロース分子約20〜1500本が集まって形成される高結晶性ミクロフィブリルの集合体として存在する。本発明で用いる微細セルロース繊維の製造で採用しているTEMPO酸化反応では、この結晶性ミクロフィブリル表面に選択的にカルボキシル基を導入することができる。したがって、現実には結晶表面にのみカルボキシル基が導入されているが、上記測定方法によって定義されるカルボキシル基含有量はセルロース重量あたりの平均値である。
(1-3)セルロース繊維懸濁液中の微細セルロース繊維の質量分率(微細セルロース繊維含有率)(%)
セルロース繊維懸濁液を0.1質量%に調製して、その固形分濃度を測定した。続いて、そのセルロース繊維懸濁液を目開き16μmのガラスフィルター(25G P16,SHIBATA社製)で吸引ろ過した後、ろ液の固形分濃度を測定した。ろ液の固形分濃度(C1)をろ過前の懸濁液の固形分濃度(C2)で除した(C1/C2)値を微細セルロース繊維含有率(%)として算出した。
(2)テープ剥離試験
180°剥離試験機(PEELING TESTER,型式 IPT200-5N,測定範囲0.001〜5.0N;株式会社イマダ製)を用いて、下記の方法でテープ剥離試験を行った。
実施例及び比較例のガスバリア性積層体の一部にカッターにて切り込みを入れる。次に、幅15mm、長さ140mmのセロハンテープ(商品名 セロテープ;ニチバン(株)製)の一部を折り返して張り合わせ、粘着部分を100mmとした。その粘着部分の端をガスバリア性積層体の一部にカッターにて切り込みを入れた端部に合わせた状態で密着して張り合わせる。その後、密着して張り合わせた部分を幅15mm、長さ100mmに切断し、試験サンプルとした。
まず、試験サンプルを、台上に幅15mm、長さ120mmの両面テープ(商品名、ナイスタック;ニチバン(株)製)を介して固定した。その後、セロハンテープの折り返してある部分をテープ剥離試験機のクリップでしっかりと固定した状態で、剥離角度(ガスバリア性積層体とセロハンテープがなす角度)が165〜180°になるようにして、300mm/minの速度で引っ張り、基材と微細セルロース繊維層との剥がれを評価した(セロハンテープ側に微細セルロース繊維層が付着したときを「剥がれた」とした)。
製造例1<微細セルロース繊維の製造>
(1)原料、触媒、酸化剤、共酸化剤
天然繊維:針葉樹の漂白クラフトパルプ(製造会社:フレッチャー チャレンジ カナダ、商品名 「Machenzie」、CSF650ml)TEMPO:市販品(製造会社:ALDRICH、Free radical、98%)次亜塩素酸ナトリウム:市販品(製造会社:和光純薬工業(株) Cl:5%)臭化ナトリウム:市販品(製造会社:和光純薬工業(株))。
(2)製造手順
まず、上記の針葉樹の漂白クラフトパルプ繊維3100gを2979900gのイオン交換水で十分攪拌後、パルプ質量3100gに対し、TEMPO1.25質量%、臭化ナトリウム12.5質量%、次亜塩素酸ナトリウム14.228.4質量%をこの順で添加し、pHスタッドを用い、0.5M水酸化ナトリウムの滴下にてpHを10.5に保持し、温度20℃で酸化反応を行った。
(3)微細化手順
次に、120分の酸化時間で滴下を停止し、酸化パルプを得た。該酸化パルプをイオン交換水にて十分洗浄し、脱水処理を行った。その後、酸化パルプの濃度を1質量%に調整し、ミキサー(Vita−Mix−Blender ABSOLUTE、大阪ケミカル(株)製にて120分間攪拌することにより、繊維の微細化処理を行い、懸濁液を得た。得られた懸濁液に対して、イソプロピルアルコール(IPA)を30質量%添加した。
実施例1〜12<ガスバリア性積層体の製造>
基材は、表1に示す熱可塑性の接着性樹脂からなるフィルムを用いた。基材フィルムを台上に置き、その上に製造例1で得た微細セルロース繊維の懸濁液をコントロールコータ装置(RK Print-Coat Instruments Ltd.製,Model No.:K202)(塗布条件:コーティングバー No.3,速度5)により塗布した。その後、表1に示す実施例の温度と時間で乾燥して、ガスバリア性積層体を得た。
比較例1〜4
基材は、表1に示す熱可塑性樹脂からなるフィルムを用いた。基材フィルムを台上に置き、その上に製造例1で得た微細セルロース繊維の懸濁液をコントロールコータ装置(RK Print-Coat Instruments Ltd.製,Model No.:K202)(塗布条件:コーティングバー No.3,速度5)により塗布した。その後、表1に示す実施例の温度と時間で乾燥して、ガスバリア性積層体を得た。その後、表1記載の乾燥温度と乾燥時間で乾燥して、比較例のガスバリア性積層体を得た。
Figure 0005514533
・QE060:登録商標アドマー(接着性樹脂、三井化学(株)製)からなるフィルム(ポリプロピレン(PP)フィルム)(東セロ(株)製),ビカット軟化点123℃,融点140℃
・QF551:登録商標アドマー(接着性樹脂、三井化学(株)製)からなるフィルム(ポリプロピレン(PP)フィルム),ビカット軟化点112℃,融点135℃
・P555:商品名モディック(接着性樹脂、三菱化学(株)製)からなるフィルム(ポリプロピレン(PP)フィルム),ビカット軟化点112℃,融点143℃
・NE060:登録商標アドマー(接着性樹脂、三井化学(株)製)からなるフィルム(直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)フィルム)(東セロ(株)製),ビカット軟化点102℃,融点122℃
・NF528:登録商標アドマー(接着性樹脂、三井化学(株)製)からなるフィルム(直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)フィルム),ビカット軟化点77℃,融点120℃
・M545:商品名モディック(接着性樹脂、三菱化学(株)製)からなるフィルム(直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)フィルム),ビカット軟化点62℃,融点111℃
・PET:ポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名:テトロンG2、帝人デュポンフィルム(株)製
・PP:ポリプロピレンフィルム(商品名:OP M−1、東セロ(株)製
・LLDPE:直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(商品名:TUX LLDPE MC−S、東セロ(株)製
・PLA:ポリ乳酸フィルム(商品名:パルグリーンLC−4、東セロ(株)製
実施例13〜16
実施例1のガスバリア性積層体の微細セルロース繊維層上に、表2に示す被覆フィルムからなる被覆層を、表2に示す温度、圧力、時間で熱プレスにより形成して、3層構造(中間層が微細セルロース繊維層)のガスバリア性積層体を得た。熱プレス時に前記3層構造のガスバリア性積層体の一部がチャッキング部となるように、熱プレス部位よりずらして未接合部とした。次に、幅15mm、長さ120mm(未接合部20mm含む)にカットし、得られた積層体の微細セルロース繊維層と被覆層との間をT字剥離により接着強度を測定した。この測定では、オリエンテック テンシロン(型式 RTA−500,(株)オリエンテック製,測定範囲0〜40N)を用いて、剥離速度100mm/minで測定した。
Figure 0005514533
本発明のガスバリア性積層体は、ガスバリア性が要求される各種包装材料として利用することができる。

Claims (2)

  1. 熱可塑性の接着性樹脂からなる基材と微細セルロース繊維層を有するガスバリア性積層体であって、
    前記微細セルロース繊維層を形成する微細セルロースが、平均繊維径が200nm以下のセルロース繊維を含み、
    前記平均繊維径が200nm以下のセルロース繊維を構成するセルロースのカルボキシル基含有量が0.1〜2mmol/gであり、
    前記熱可塑性の接着性樹脂が、エチレン、酢酸ビニル、グリシジルメタクリレートとの共重合体又はエチレン、アクリル酸メチル、グリシジルメタクリレートとの共重合体である、ガスバリア性積層体。
  2. さらに前記微細セルロース繊維層が被覆層で覆われている、請求項記載のガスバリア性積層体。
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