JP6083790B2 - 膜状体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、微細セルロース繊維を含有する膜状体の製造方法に関する。
近年、環境に対する負荷の少ない技術が脚光を浴びるようになり、かかる技術背景の下、天然に多量に存在するバイオマスであるセルロース繊維を使った材料が注目され、これに関して種々の改良技術が提案されている。また、これまで知られているガスバリア性を有する膜状体として、層状無機化合物やポリアクリルアミドを添加したものが知られている。
例えば特許文献1には、水蒸気や酸素に対するバリア性の高い膜状体として、ナノサイズの繊維径をもった微細セルロース繊維と、モンモリロナイト等の層状無機化合物とを含み、該微細セルロース繊維を構成するセルロースのカルボキシ基含有量が0.1〜3mmol/gであり、該層状無機化合物と該微細セルロース繊維との質量比(層状無機化合物/セルロース繊維)が0.01〜100である膜状体が記載されている。
また特許文献2には、リサイクル性に優れ且つ低コストで生産が可能な紙製ガスバリア材料として、紙基材の少なくとも一方の面に、紫外線照射処理を施したセルロースナノファイバーを含有するガスバリア層を設けたものが記載されている。また、特許文献2の〔0036〕には、ガスバリア層に水溶性のガスバリア性樹脂を含有させることが好ましい旨記載されており、該ガスバリア性樹脂の一例としてポリアクリルアミドが記載されている。
また特許文献3には、平板状顔料(層状無機化合物)を主体とするガスバリア層において、成膜性を改良し、機械強度に優れるガスバリア積層体を提供する目的で、該ガスバリア層に、カチオン性のポリアクリルアミド等の水素結合性樹脂を含有させることが記載されている(特許文献3の〔0019〕、〔0020〕及び〔0037〕の記載参照)。
特開2011−132501号公報 特開2012−76231号公報 特開2009−255399号公報
特許文献1に記載されている、微細セルロース繊維と層状無機化合物とを含む膜状体は、特に高湿度雰囲気中でのガスバリア性に優れているものの、機械強度の点で改良の余地がある。膜状体の機械強度が弱いと、例えば、基材フィルムの一面上に膜状体を設けてなる積層体の使用時において、膜状体の内部破壊(凝集破壊)が生じ、基材フィルムから膜状体が剥離するおそれがある。
従って、本発明の課題は、高湿度雰囲気中で高いガスバリア性を発現し且つ機械強度に優れる膜状体の製造方法を提供することにある。
本発明は、セルロースのカルボキシ基含有量が0.1mmol/g以上3mmol/g以下の微細セルロース繊維、層状無機化合物及びポリアクリルアミドを含む、膜状体の製造方法であって、前記ポリアクリルアミドとしてノニオン性のポリアクリルアミドを用い、該ノニオン性のポリアクリルアミド、前記微細セルロース繊維、前記層状無機化合物及び液媒体を混合して塗布液を調製する塗布液調製工程と、前記塗布液から塗膜を形成し、該塗膜を80℃以上250℃以下の乾燥温度で乾燥させる塗膜形成・乾燥工程とを有する、膜状体の製造方法を提供することにより、前記課題を解決したものである。
本発明によれば、高湿度雰囲気中で高いガスバリア性を発現し且つ機械強度に優れる膜状体が提供される。
本発明の製造目的物である膜状体は、セルロースのカルボキシ基含有量が0.1mmol/g以上3mmol/g以下の微細セルロース繊維(以下、単に、微細セルロース繊維ともいう)、層状無機化合物及びノニオン性のポリアクリルアミドを必須成分として含有する。以下、これら3成分について説明する。
本発明で用いる微細セルロース繊維は、平均繊維径が好ましくは200nm以下のものである。膜状体の一成分として、平均繊維径が200nm以下の微細セルロース繊維を用いることで、セルロース繊維間の空隙を小さくすることができ、良好なガスバリア性が得られるようになる。微細セルロース繊維の平均繊維径は、好ましくは1nm以上、そして、好ましくは200nm以下、更に好ましくは100nm以下、特に好ましくは50nm以下、より具体的には、好ましくは1〜200nm、更に好ましくは1〜100nm、特に好ましくは1〜50nmである。平均繊維径は下記測定方法により測定される。下記測定方法における「セルロース繊維」は「微細セルロース繊維」に読み替えることができる。
<平均繊維径の測定方法>
固形分濃度0.0001質量%のセルロース繊維に水又はエタノールを加えた分散液を調製し、該分散液を、マイカ(雲母)上に滴下して乾燥したものを観察試料として、原子間力顕微鏡(AFM、Nanoscope III Tapping mode AFM、Digital instrument社製、プローブはナノセンサーズ社製Point Probe (NCH)を使用)を用いて、該観察試料中のセルロース繊維の繊維高さを測定する。そして、セルロース繊維が確認できる顕微鏡画像において、微細セルロース繊維を5本以上抽出し、それらの繊維高さから平均繊維径を算出する。一般に高等植物から調製されるセルロースナノファイバーの最小単位は6本×6本の分子鎖がほぼ正方形の形でパッキングされていることから、AFMによる画像で分析できる高さを繊維の幅と見なすことができる。
本発明で用いる微細セルロース繊維は、微細であること(平均繊維径が好ましくは200nm以下であること)に加え、これを構成するセルロースのカルボキシ基含有量によっても特徴づけられる。具体的には、本発明で用いる微細セルロース繊維を構成するセルロースのカルボキシ基含有量は0.1〜3mmol/gである。該カルボキシ基含有量は、好ましくは0.1mmol/g以上、更に好ましくは0.4mmol/g以上、特に好ましくは0.6mmol/g以上、そして、好ましくは3mmol/g以下、更に好ましくは2mmol/g以下、特に好ましくは1.8mmol/g以下、より具体的には、好ましくは0.1〜3mmol/g、更に好ましくは0.4〜2mmol/g、特に好ましくは0.6〜1.8mmol/gである。尚、本発明の製造目的物である膜状体には、カルボキシ基含有量が斯かる範囲外であるセルロース繊維が、意図せずに不純物として含まれることもあり得る。
微細セルロース繊維を構成するセルロースのカルボキシ基含有量が0.1mmol/g以上3mmol/g以下であることは、好ましくは平均繊維径200nm以下の微小な平均繊維径をもつ微細セルロース繊維を安定的に得る上で重要な要素である。即ち、天然セルロースの生合成の過程においては、通常、ミクロフィブリルと呼ばれるナノファイバーがまず形成され、これらが多束化して高次な固体構造を構築しているところ、本発明で用いる微細セルロース繊維は、後述するように、これを原理的に利用して得られるものであり、天然由来のセルロース固体原料においてミクロフィブリル間の強い凝集力の原動となっている表面間の水素結合を弱めるために、その一部を酸化し、カルボキシ基に変換することによって得られる。従って、セルロースに存在するカルボキシ基の量の総和(カルボキシ基含有量)が多いほうが、より微小な繊維径として安定に存在することができ、また水中においては、電気的な反発力が生じることにより、ミクロフィブリルが凝集を維持せずにばらばらになろうとする傾向が高まり、ナノファイバーの分散安定性がより増大する。前記カルボキシ基含有量が0.1mmol/g未満では、微小な平均繊維径をもつ微細セルロース繊維として得られ難くなり、また、水等の極性溶媒中における分散安定性が低下するおそれがある。微細セルロース繊維のカルボキシ基含有量は下記測定方法により測定される。下記測定方法における「セルロース繊維」は「微細セルロース繊維」に読み替えることができる。
<カルボキシ基含有量の測定方法>
乾燥質量0.5gのセルロース繊維を100mlビーカーにとり、イオン交換水を加えて全体で55mlとし、そこに0.01M塩化ナトリウム水溶液5mlを加えて分散液を調製し、セルロース繊維が十分に分散するまで該分散液を攪拌する。この分散液に0.1M塩酸を加えてpHを2.5〜3に調整し、自動滴定装置(AUT−50、東亜ディーケーケー(株)製)を用い、0.05M水酸化ナトリウム水溶液を待ち時間60秒の条件で該分散液に滴下し、1分ごとの電導度及びpHの値を測定し、pH11程度になるまで測定を続け、電導度曲線を得る。この電導度曲線から、水酸化ナトリウム滴定量を求め、次式により、セルロース繊維のカルボキシ基含有量を算出する。
カルボキシ基含有量(mmol/g)=水酸化ナトリウム滴定量×水酸化ナトリウム水溶液濃度(0.05M)/セルロース繊維の質量(0.5g)
本発明で用いる微細セルロース繊維は、膜状体の機械強度の向上の観点から、平均アスペクト比(繊維長/繊維径)が、好ましくは10以上、更に好ましくは50以上、特に好ましくは100以上、そして、好ましくは1000以下、更に好ましくは500以下、特に好ましくは350以下、より具体的には、好ましくは10〜1000、更に好ましくは50〜500、特に好ましくは100〜350である。平均アスペクト比は下記測定方法により測定される。
<平均アスペクト比の測定方法>
平均アスペクト比は、セルロース繊維に水を加えて調製した分散液(セルロース繊維の質量濃度0.005〜0.04質量%)の粘度から算出する。分散液の粘度は、レオメーター(MCR、DG42(二重円筒)、PHYSICA社製)を用いて20℃で測定する。分散液のセルロース繊維の質量濃度と分散液の水に対する比粘度との関係から、下記式(1)によりセルロース繊維のアスペクト比を逆算し、これを平均アスペクト比とする。下記式(1)は、The Theory of Polymer Dynamics,M.DOI and D.F.EDWARDS,CLARENDON PRESS・OXFORD,1986,P312に記載の剛直棒状分子の粘度式(8.138)と、Lb2×ρ=M/NAの関係〔式中、Lは繊維長、bは繊維幅(セルロース繊維断面は正方形とする)、ρはセルロース繊維の濃度(kg/m3)、Mは分子量、NAはアボガドロ数を表す〕から導出される。尚、粘度式(8.138)において、剛直棒状分子=セルロース繊維とした。また、下記式(1)中、ηSPは比粘度、πは円周率、lnは自然対数、Pはアスペクト比(L/b)、γ=0.8、ρSは分散媒の密度(kg/m3)、ρ0はセルロース結晶の密度(kg/m3)、Cはセルロースの質量濃度(C=ρ/ρS)を表す。
Figure 0006083790
本発明で用いる微細セルロース繊維は、例えば天然セルロース繊維を酸化してカルボキシ基含有セルロース繊維を得る酸化反応工程、及び該カルボキシ基含有セルロース繊維を微細化処理する微細化工程を含む製造方法により得ることができる。酸化反応工程では、先ず、水中に天然セルロース繊維を分散させたスラリーを調製する。スラリーは、原料となる天然セルロース繊維(絶対乾燥基準)に対して約10〜1000倍量(質量基準)の水を加え、ミキサー等で処理することにより得られる。天然セルロース繊維としては、例えば、針葉樹系パルプ、広葉樹系パルプ等の木材パルプ;コットンリンター、コットンリントのような綿系パルプ;麦わらパルプ、バガスパルプ等の非木材系パルプ;バクテリアセルロース等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。天然セルロース繊維は、叩解等の表面積を高める処理が施されていても良い。
次に、N−オキシル化合物を酸化触媒として用い、水中において天然セルロース繊維を酸化処理してカルボキシ基含有セルロース繊維を得る。N−オキシル化合物としては、例えば2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジン−N−オキシル(TEMPO)、4−アセトアミド−TEMPO、4−カルボキシ−TEMPO、4−フォスフォノオキシ−TEMPO等を用いることができる。N−オキシル化合物の添加は触媒量で十分であり、通常、原料として用いた天然セルロース繊維(絶対乾燥基準)に対して0.1質量%以上10質量%以下となる範囲である。
天然セルロース繊維の酸化処理においては、酸化剤(例えば、次亜ハロゲン酸又はその塩、亜ハロゲン酸又はその塩、過ハロゲン酸又はその塩、過酸化水素、過有機酸等)と、共酸化剤(例えば、臭化ナトリウム等の臭化アルカリ金属)とを併用する。酸化剤としては、特に、次亜塩素酸ナトリウムや次亜臭素酸ナトリウム等のアルカリ金属次亜ハロゲン酸塩が好ましい。酸化剤の使用量は、通常、原料として用いた天然セルロース繊維(絶対乾燥基準)に対して約1質量%以上100質量%以下となる範囲である。また、共酸化剤の使用量は、通常、原料として用いた天然セルロース繊維(絶対乾燥基準)に対して約1〜30質量%となる範囲である。
天然セルロース繊維の酸化処理においては、酸化反応を効率良く進行させる観点から、反応液(前記スラリー)のpHが9以上12以下の範囲に維持されることが望ましい。また、酸化処理の温度(前記スラリーの温度)は、1以上50℃以下において任意であるが、室温で反応可能であり、特に温度制御は必要としない。反応時間は1分間以上240分間以下が望ましい。
酸化反応工程後、微細化工程前に精製工程を実施し、未反応の酸化剤や各種副生成物等の、前記スラリー中に含まれるカルボキシ基含有セルロース繊維及び水以外の不純物を除去する。カルボキシ基含有セルロース繊維は通常、この段階ではナノファイバー単位までばらばらに分散していないため、精製工程では、例えば水洗とろ過を繰り返す精製法を行うことができる。その際に用いる精製装置は特に制限されない。こうして得られた精製処理されたカルボキシ基含有セルロース繊維は、通常、適量の水を含浸させた状態で次工程(微細化工程)に送られるが、必要に応じ、乾燥処理した繊維状や粉末状としても良い。
微細化工程では、精製工程を経たカルボキシ基含有セルロース繊維を水等の溶媒中に分散させ微細化処理を施す。この微細化工程を経ることにより、平均繊維径及び平均アスペクト比がそれぞれ前記範囲にある微細セルロース繊維が得られる。
微細化処理において、分散媒としての溶媒は通常は水が好ましいが、水以外にも目的に応じて水に可溶な有機溶媒(アルコール類、エーテル類、ケトン類等)を使用しても良く、これらの混合物も好適に使用できる。微細化処理で使用する分散機としては、例えば、離解機、叩解機、低圧ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、グラインダー、カッターミル、ボールミル、ジェットミル、短軸押出機、二軸押出機、超音波攪拌機、家庭用ジューサーミキサー等が挙げられる。微細化処理におけるカルボキシ基含有セルロース繊維の固形分濃度は50質量%以下が好ましい。
微細化工程後に得られる微細セルロース繊維は、必要に応じ、固形分濃度を調整した懸濁液状の形態(目視的に無色透明又は不透明な液)、あるいは乾燥処理した粉末状の形態(但し、セルロース繊維が凝集した粉末状であり、セルロース粒子を意味するものではない)とすることができる。懸濁液状にする場合、分散媒として水のみを使用しても良く、あるいは水と他の有機溶媒(例えば、エタノール等のアルコール類)や界面活性剤、酸、塩基等との混合溶媒を使用しても良い。
以上の通りの天然セルロース繊維の酸化処理及び微細化処理によって、セルロース構成単位のC6位の水酸基がアルデヒド基を経由してカルボキシ基へと選択的に酸化され、カルボキシ基含有量が0.1mmol/g以上3mmol/g以下のセルロースからなる、平均繊維径が好ましくは200nm以下の微細化された高結晶性セルロース繊維を得ることができる。この高結晶性セルロース繊維は、セルロースI型結晶構造を有している。これは、本発明で用いる微細セルロース繊維が、I型結晶構造を有する天然由来のセルロース固体原料が表面酸化され微細化された繊維であることを意味する。即ち、天然セルロース繊維は、その生合成の過程において生産されるミクロフィブリルと呼ばれる微細な繊維が多束化して高次な固体構造を構築しているところ、そのミクロフィブリル間の強い凝集力(表面間の水素結合)を、前記の酸化処理によるアルデヒド基あるいはカルボキシ基の導入によって弱め、更に前記の微細化処理を経ることで、微細セルロース繊維が得られる。そして、酸化処理の条件を調整することで、カルボキシ基含有量を所定の範囲内にて増減させて極性を変化させることができ、またカルボキシ基の静電反発や微細化処理によって、セルロース繊維の平均繊維径、平均繊維長、平均アスペクト比等を制御することができる。
本発明において、層状無機化合物は、主として、微細セルロース繊維を含む膜状体のガスバリア性をより一層高める目的で使用される。本発明で用いる層状無機化合物としては、層状の構造を有する結晶性の無機化合物を用いることができる。無機化合物の具体例としては、カオリナイト族、スメクタイト族、マイカ族等に代表される粘土鉱物を挙げることができる。カオリナイト族の粘土鉱物としては、例えばカオリナイトが挙げられる。スメクタイト族の粘土鉱物としては、例えばモンモリロナイト、ベントナイト、サポナイト、ヘクトライト、パイデライト、スティブンサイト、ノントロナイトが挙げられる。マイカ族の粘土鉱物としては、例えばバーミキュライト、ハロイサイト、テトラシリシックマイカが挙げられる。また、層状複水酸化物であるハイドロタルサイト等を用いることもできる。
層状無機化合物として粘土鉱物以外のものを用いることも可能である。そのような化合物としては、例えば層状の構造を有する、チタン酸塩、ニオブ酸塩、マンガン酸塩、リン酸塩、酸化スズ、酸化コバルト、酸化銅、酸化鉄、酸化ニッケル、酸化白金、酸化ルテニウム、酸化ロジウム等の金属酸化物、あるいはこれらの成分元素の複合酸化物等が挙げられる。またグラファイトを用いることもできる。
以上の各種の層状無機化合物は、天然のものでも良く、あるいは合成されたものでも良い。これら各種の層状無機化合物は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。特に、前記の層状無機化合物のうち、モンモリロナイト、テトラシリシックマイカは、水蒸気バリア性又は高湿度雰囲気中での酸素バリア性が特に高いことから好適に用いられる。
層状無機化合物は、その平均粒径が、好ましくは0.01μm以上、更に好ましくは0.1μm以上、そして、好ましくは60μm以下、更に好ましくは40μm以下、より具体的には、好ましくは0.01〜60μmであり、更に好ましくは0.1〜40μmである。この範囲の平均粒径を有する層状無機化合物を用いることで、膜状体における層状無機化合物の分散性を良好にすることができ、延いては膜状体のガスバリア性を一層高めることができる。平均粒径は次の方法で測定される。まず、層状無機化合物をイオン交換水で0.05質量%に希釈する。レーザー回折式粒度分布計(SALD−300V、解析ソフトWingSALD−300V、島津製作所製)を用いて粒度分布を測定する。粒度分布の平均値を算出し、これを平均粒径として定義する。尚、屈折率は、モンモリロナイト、マイカ、テトラシリシックマイカ、タルク、サポナイト、酸化マグネシウムを1.6とし、チタン酸塩を2.6とする。
本発明では、主として膜状体の機械強度をより一層高め、膜状体の内部破壊(凝集破壊)をより確実に防止する観点から、水溶性高分子であるポリアクリルアミドを用いるところ、本発明で用いるポリアクリルアミドのイオン性はノニオン性であり、カチオン性又はアニオン性ではない。微細セルロース繊維及び層状無機化合物を含有する膜状体に、更にノニオン性のポリアクリルアミドを配合することにより、該膜状体のガスバリア性を維持又は向上させつつ、比較的少ない配合量で該膜状体の機械強度を実用上十分なレベルに向上させることができる。カチオン性又はアニオン性のポリアクリルアミドは、ノニオン性のポリアクリルアミドに比して、微細セルロース繊維及び層状無機化合物を含む膜状体の機械強度の向上効果に乏しい。ノニオン性のポリアクリルアミドとしては市販品を用いることもでき、例えば、MTアクアポリマー(株)製の商品名「アコフロック」等を用いることができる。
本発明で用いるノニオン性のポリアクリルアミドの平均分子量は、膜状体の機械強度を向上させる観点から、好ましくは500万以上、更に好ましくは900万以上、そして、好ましくは2000万以下、更に好ましくは1800万以下、より具体的には、好ましくは500万〜2000万、更に好ましくは900万〜1800万である。ノニオン性のポリアクリルアミドの平均分子量は以下の方法により測定される。
<ノニオン性のポリアクリルアミドの平均分子量の測定方法>
ノニオン性のポリアクリルアミドの1質量%水溶液を調製し、下記測定条件でゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)にて測定した。換算分子量にはプルランを用いた。下記測定条件から測定対象物(ノニオン性のポリアクリルアミド)の重量平均分子量を求め、それをその測定対象物の平均分子量とした。
[測定条件]
・カラム:OHpak SB-806M HQ(昭和電工(株)製)
・溶離液:0.15M NaNO3 /0.5M酢酸
・流速:1mL/min
・カラム温度:40℃
・検出器:RI
・試料濃度:0.2mg/mL
・注入量:100μL
本発明の製造目的物である膜状体における層状無機化合物と微細セルロース繊維との含有質量比(層状無機化合物/微細セルロース繊維)は、0.01以上、そして、100以下、好ましくは10以下であり、より具体的には、好ましくは0.01〜100、更に好ましくは0.01〜10である。膜状体における層状無機化合物と微細セルロース繊維との含有質量比が斯かる範囲内であれば、膜状体の透明性を維持しつつ、ガスバリア性を向上させることができる。この含有質量比は、前記の3成分(微細セルロース繊維、層状無機化合物、ノニオン性のポリアクリルアミド)を含む塗布液を調製するときの、層状無機化合物と微細セルロース繊維との仕込量から算出することが可能である。
また、本発明の製造目的物である膜状体におけるノニオン性のポリアクリルアミドと微細セルロース繊維との含有質量比(ノニオン性のポリアクリルアミド/微細セルロース繊維)は、0.01以上、そして、1以下、好ましくは0.5以下であり、より具体的には、好ましくは0.01〜1、更に好ましくは0.01〜0.5である。膜状体におけるノニオン性のポリアクリルアミドと微細セルロース繊維との含有質量比が斯かる範囲内であれば、ガスバリア性を維持しつつ、膜状体の機械強度を向上させることができる。この含有質量比は、前記の3成分(微細セルロース繊維、層状無機化合物、ノニオン性のポリアクリルアミド)を含む塗布液を調製するときの、ノニオン性のポリアクリルアミドと微細セルロース繊維との仕込量から算出することが可能である。
前記の膜状体における各成分の含有質量比(層状無機化合物/微細セルロース繊維、ノニオン性のポリアクリルアミド/微細セルロース繊維)は、仕込量から算出する以外に、下記方法による膜状体の分析によっても算出することができる。下記方法では、先ず、測定対象の膜状体を燃焼させることにより該膜状体中の窒素含有量を測定し、該窒素含有量から該膜状体中のポリアクリルアミド成分の含有率を算出し、次いで、該ポリアクリルアミド成分の含有率と、燃焼後の残存物から算出される該膜状体中の層状無機化合物の含有率とから、該膜状体中の微細セルロース繊維の含有率を算出し、目的とする各成分の含有質量比を算出する。
<膜状体中での各成分の含有質量比の算出方法>
先ず、測定対象の膜状体中の窒素含有量を、ケルダール法に従い燃焼型有機元素分析装置を用いて測定し、その測定値から膜状体中のポリアクリルアミド成分(ノニオン性のポリアクリルアミド)の含有率を求める。膜状体中の窒素は、該膜状体中に含まれるポリアクリルアミド成分に由来するものであり、測定される窒素含有量は、膜状体中におけるポリアクリルアミド成分の含有率の指標となる。より具体的には、燃焼型有機元素分析装置(ヤナコ分析工業(株)製、CHNCORDER MT−6)を用い、燃焼炉950℃、酸化炉850℃、還元炉550℃の条件で膜状体2mgを完全燃焼させ、熱伝導検出器により窒素含有量(質量%)を測定し、次式により膜状体中のポリアクリルアミド成分(ノニオン性のポリアクリルアミド)の含有率を算出する。次式中、Nは窒素含有量(質量%)、MAはノニオン性のポリアクリルアミドのモノマーのモル質量(g/mol)、MNは窒素の原子量(g/mol)である。
膜状体中のポリアクリルアミド成分の含有率(質量%)=N×MA/MN
また、前記の温度設定では、セルロース成分及びポリアクリルアミド成分(ノニオン性のポリアクリルアミド)はほぼ完全燃焼し、層状無機化合物は不燃であることから、燃焼後の残存物の質量を測定し、その測定値を燃焼前の膜状体の質量(2mg)で除することにより、膜状体中の層状無機化合物の含有率(質量%)を算出する。
膜状体中の微細セルロース繊維の含有率は、100から、前記ポリアクリルアミド成分の含有率と前記層状無機化合物の含有率との合計含有率を差し引くことにより算出できる。
こうして算出した、膜状体中の3成分(微細セルロース繊維、層状無機化合物、ノニオン性のポリアクリルアミド)それぞれの含有率から、該膜状体中での各成分の含有質量比(層状無機化合物/微細セルロース繊維、ポリアクリルアミド/微細セルロース繊維)をそれぞれ算出する。
本発明の製造目的物である膜状体には、前記の3成分(微細セルロース繊維、層状無機化合物、ノニオン性のポリアクリルアミド)に加え、必要に応じ、公知の充填剤、顔料等の着色剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、耐水化剤(シランカップリング剤等)、架橋剤(例えばエポキシ基、イソシアネート基、アルデヒド基等の反応性官能基を有する添加剤)、金属塩、コロイダルシリカ、アルミナゾル、酸化チタン等を含有させることができる。
本発明の膜状体の製造方法は、前記の3成分(微細セルロース繊維、層状無機化合物、ノニオン性のポリアクリルアミド)及び液媒体を混合して塗布液を調製する塗布液調製工程と、該塗布液から塗膜を形成し、該塗膜を特定の乾燥温度で乾燥させる塗膜形成・乾燥工程とを有する。
前記塗布液調製工程では、混合容器内に前記の3成分及び液媒体を投入し、これらを攪拌して混合する。各成分の投入量は、製造目的物である膜状体における各成分の含有質量比が前記範囲となるように設定する。各成分の投入順序は特に制限されず、各成分を同時に投入しても良い。通常、前記の3成分はそれぞれ液媒体に分散又は溶解した状態で、混合容器内に投入される。液媒体としては、水が好ましく用いられるが、それ以外にも水に可溶な有機溶媒(アルコール類、エーテル類、ケトン類等)と水との混合溶媒を用いることができる。各成分をそれぞれ液媒体に分散又は溶解した状態で混合容器内に投入する場合において、その分散又は溶解液における各成分の濃度は特に制限されないが、例えば、液媒体として水を用いた場合、微細セルロース繊維の水分散液における固形分濃度(微細セルロース繊維の濃度)は、好ましくは0.1質量%以上10質量%以下であり、層状無機化合物の水分散液における固形分濃度(層状無機化合物の濃度)は、好ましくは0.1質量%以上10質量%以下であり、ノニオン性のポリアクリルアミドの水溶液における固形分濃度(ノニオン性のポリアクリルアミドの濃度)は、好ましくは0.1質量%以上10質量%以下である。また、前記塗布液調製工程で得られる塗布液の固形分濃度は、特に制限されないが、好ましくは0.1質量%以上10質量%以下である。
前記塗膜形成・乾燥工程では、先ず、前記塗布液調製工程で調製された塗布液から塗膜を形成する。この塗膜形成は、基材の一面に塗布液を塗布することにより実施可能である。塗膜形成に用いる基材は、前記の3成分を含む塗布液が塗布可能なものであれば良く、例えば、フィルム、シート、織布、不織布等の薄状物を用いることができる。好ましい基材の一例として、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のプラスチックフィルムが挙げられる。基材の厚みは特に制限されず、通常7μm以上150μm以下の範囲から適宜選択される。また、基材としては、塗布液に対する濡れ性(親水性)を改善する為に、適宜コロナ放電処理等の表面処理を行ったものを用いることができる。
塗布液の基材への塗布方法は特に制限されず、公知の塗布方式を利用することができ、例えば、バーコート方式、ロールコート方式、ダイコート方式、スライドコート方式、スプレーコート方式等を利用することができる。塗膜形成のための塗布液の塗布回数は、通常1回であるが、必要に応じ、複数回(2回)に分けて塗布液を基材に塗布することもできる。その場合、1回目の塗布液の塗布によって形成された塗膜が湿潤状態のうちに2回目の塗布液の塗布を実施する、いわゆるウェット・オン・ウェット方式の塗布方法が好ましい。乾燥前の塗膜の厚み(湿潤状態の塗膜の厚み)は、膜状体の用途等に応じて適宜設定することができ、特に制限されないが、好ましくは1μm以上500μm以下である。
前記塗膜形成・乾燥工程では、次いで、形成された塗膜を特定の乾燥温度で乾燥させ、該塗膜を膜状体とする。前述したように、塗膜形成に基材を用いた場合、通常、基材と共に塗膜を乾燥させ、この乾燥工程を経ることで、基材の一面上に膜状体が形成された基材付きの膜状体(ガスバリア性積層体)が得られる。この塗膜の乾燥は、高湿度雰囲気中でのガスバリア性(特に酸素バリア性)を左右する重要な因子であり、本発明では乾燥温度を80〜250℃に設定する。即ち、塗膜の乾燥温度は、80℃以上、好ましくは100℃以上、更に好ましくは120℃以上、そして、250℃以下、好ましくは200℃以下、更に好ましくは180℃以下、より具体的には、80〜250℃、好ましくは100〜200℃、更に好ましくは120〜180℃である。塗膜の乾燥温度が80℃未満では、膜状体の機械強度の向上効果が十分に得られず、250℃を超えると、微細セルロース繊維が熱分解するおそれがある。
塗膜の乾燥手段としては、例えば、電気乾燥炉(自然対流式又は強制対流式)、熱風循環式の乾燥炉、遠赤外線による加熱と熱風循環を併用した乾燥炉、加熱しながら減圧できる減圧乾燥炉を用いた方法等を採用することができる。乾燥時間は、乾燥温度、塗膜の厚み等に応じ適宜設定すれば良く、特に制限されないが、好ましくは1分以上、更に好ましくは10分以上、そして、好ましくは60分以下、更に好ましくは120分以下、より具体的には、好ましくは1〜120分、更に好ましくは10〜60分である。
前記塗膜形成・乾燥工程を経て得られた膜状体は、基材に積層されたままの状態で用いることもでき、あるいは基材から剥離してそれ単独で、又は剥離後に別の基材に積層して用いることもできる。本発明の製造方法の実施によって得られる膜状体は、各種のガス、例えば大気中に含まれるガスである酸素、水蒸気、窒素、二酸化炭素等に対するバリア性、特に、高湿度雰囲気(湿度70%RH以上)中でのガスバリア性、とりわけ高湿度雰囲気中での酸素バリア性の高いものである。具体的には、本発明の製造方法の実施によって得られる膜状体は、30℃、70%RHにおける酸素透過度が、0.01〔×10-5cm3/(m2・day・Pa)〕以上、そして、20〔×10-5cm3/(m2・day・Pa)〕以下であり、好ましくは5〔×10-5cm3/(m2・day・Pa)〕以下であり、具体的には、好ましくは0.01〜20〔×10-5cm3/(m2・day・Pa)〕、更に好ましくは0.01〜5〔×10-5cm3/(m2・day・Pa)〕という低レベルのものである。酸素透過度は下記測定方法により測定される。
<酸素透過度の測定方法>
JIS K−7126−2 付属書A(等圧法)の測定法に準拠して、酸素透過率測定装置OX−TRAN2/21(型式ML&SL、MODERN CONTROL社製)を用い測定した。測定環境は、温度30℃、湿度70%RHで一定とした。「30℃、70%RHにおける酸素透過度」とは、30℃及び湿度70%RHの酸素ガス、30℃及び湿度70%の窒素ガス(キャリアガス)の環境下での酸素透過度である。
本発明の製造方法の実施によって得られる膜状体は、高湿度雰囲気中でのガスバリア性及び機械強度に優れているため、例えば、食品、化粧品、医薬、医療器材、機械部品、電子機器及び衣料等の包装材料等の用途に好適に用いられる。
上述した実施形態に関し、本発明はさらに以下の膜状体の製造方法を開示する。
<1> セルロースのカルボキシ基含有量が0.1〜3mmol/gの微細セルロース繊維、層状無機化合物及びポリアクリルアミドを含む、膜状体の製造方法であって、
前記ポリアクリルアミドとしてノニオン性のポリアクリルアミドを用い、該ノニオン性のポリアクリルアミド、前記微細セルロース繊維、前記層状無機化合物及び液媒体を混合して塗布液を調製する塗布液調製工程と、
前記塗布液から塗膜を形成し、該塗膜を80〜250℃の乾燥温度で乾燥させる塗膜形成・乾燥工程とを有する、膜状体の製造方法。
<2> 前記ノニオン性のポリアクリルアミドの平均分子量が500万〜2000万である前記<1>記載の膜状体の製造方法。
<3> 前記ノニオン性のポリアクリルアミドの平均分子量は、好ましくは500万以上、更に好ましくは900万以上、そして、好ましくは2000万以下、更に好ましくは1800万以下、より具体的には、好ましくは500万〜2000万、更に好ましくは900万〜1800万である。前記<1>又は<2>記載の膜状体の製造方法。
<4> 前記膜状体における前記層状無機化合物と前記微細セルロース繊維との含有質量比(層状無機化合物/微細セルロース繊維)が0.01〜100である前記<1>〜<3>の何れか一項に記載の膜状体の製造方法。
<5> 前記膜状体における前記層状無機化合物と前記微細セルロース繊維との含有質量比(層状無機化合物/微細セルロース繊維)が0.01〜10である前記<1>〜<3>の何れか一項に記載の膜状体の製造方法。
<6> 前記膜状体における前記ノニオン性のポリアクリルアミドと前記微細セルロース繊維との含有質量比(ノニオン性のポリアクリルアミド/微細セルロース繊維)が0.01〜1である前記<1>〜<5>の何れか一項に記載の膜状体の製造方法。
<7> 前記膜状体における前記ノニオン性のポリアクリルアミドと前記微細セルロース繊維との含有質量比(ノニオン性のポリアクリルアミド/微細セルロース繊維)が0.01〜0.5である前記<1>〜<6>の何れか一項に記載の膜状体の製造方法。
<8> 前記塗布液調製工程で得られる塗布液の固形分濃度が0.1〜10質量%である前記<1>〜<7>の何れか一項に記載の膜状体の製造方法。
<9> 前記塗膜の乾燥温度は、80℃以上、好ましくは100℃以上、更に好ましくは120℃以上、そして、250℃以下、好ましくは200℃以下、更に好ましくは180℃以下、より具体的には、80〜250℃、好ましくは100〜200℃、更に好ましくは120〜180℃である前記<1>〜<8>の何れか一項に記載の膜状体の製造方法。
<10> 前記塗膜の乾燥時間は、好ましくは1分以上、更に好ましくは10分以上、そして、好ましくは60分以下、更に好ましくは120分以下、より具体的には、好ましくは1 〜120 分、更に好ましくは10〜60分である前記<1>〜<9>の何れか一項に記載の膜状体の製造方法。
<11> 前記カルボキシ基含有量は、好ましくは0.1mmol/g以上、更に好ましくは0.4mmol/g以上、特に好ましくは0.6mmol/g以上、そして、好ましくは3mmol/g以下、更に好ましくは2mmol/g以下、特に好ましくは1.8mmol/g以下、より具体的には、好ましくは0.1〜3mmol/g、更に好ましくは0.4〜2mmol/g、特に好ましくは0.6〜1.8mmol/gである前記<1>〜<10>の何れか一項に記載の膜状体の製造方法。
<12> 前記層状無機化合物は、モンモリロナイト及びテトラシリシックマイカのうちの少なくとも一方である前記<1>〜<11>の何れか一項に記載の膜状体の製造方法。
<13> 前記層状無機化合物の平均粒径は、好ましくは0.01μm以上、更に好ましくは0.1μm以上、そして、好ましくは60μm以下、更に好ましくは40μm以下、より具体的には、好ましくは0.01〜60μmであり、更に好ましくは0.1〜40μmである前記<1>〜<12>の何れか一項に記載の膜状体の製造方法。
<14> 前記塗膜形成・乾燥工程において、基材の一面に塗布液を塗布することで塗膜を形成する前記<1>〜<13>の何れか一項に記載の膜状体の製造方法。
<15> 前記基材の厚みが7μm以上150μm以下である前記<14>記載の膜状体の製造方法。
<16> 前記塗膜形成・乾燥工程において、乾燥前の塗膜の厚みが1μm以上150μm以下である前記<1>〜<15>の何れか一項に記載の膜状体の製造方法。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。
〔実施例1〕
(1)微細セルロース繊維の製造
針葉樹の漂白クラフトパルプ(製造会社:フレッチャー チャレンジ カナダ、商品名「Machenzie」、CSF650ml)を天然セルロース繊維として用いた。TEMPOとしては、市販品(製造会社:ALDRICH、Free radical、98質量%)を用いた。次亜塩素酸ナトリウムとしては、市販品(製造会社:和光純薬工業(株))を用いた。臭化ナトリウムとしては、市販品(製造会社:和光純薬工業(株))を用いた。まず、針葉樹の漂白クラフトパルプ繊維100gを9900gのイオン交換水で十分に攪拌した後、パルプ質量100gに対し、TEMPO1.25質量%、臭化ナトリウム12.5質量%、次亜塩素酸ナトリウム28.4質量%をこの順で添加した。pHスタッドを用い、0.5M水酸化ナトリウムを滴下してpHを10.5に保持し、酸化反応を行った。酸化を120分行った後に滴下を停止し、カルボキシ基含有セルロース繊維を得た。イオン交換水を用いてカルボキシ基含有セルロース繊維を十分に洗浄し、次いで脱水処理を行った。その後、得られたカルボキシ基含有セルロース繊維100gをイオン交換水7592gに分散させ、高圧ホモジナイザー(スターバーストラボHJP−25005、(株)スギノマシン製)を用いて、吐出圧力245MPaの条件で2回処理を行った。その操作によって繊維の微細化処理を行い、微細セルロース繊維の水分散液を得た。この水分散液の固形分濃度は1.3質量%であった。この微細セルロース繊維の平均繊維径は3.3nm、平均アスペクト比は200、カルボキシ基含有量は1.4mmol/gであった。
(2)膜状体の製造
層状無機化合物としてのテトラシリックマイカ(製造会社:トピー工業(株)、商品名「NTS−5」)6%分散液45mlをコニカルチューブに入れ、遠心器(ユニバーサル冷却遠心器 5922、久保田商事(株)製)を用い、10,000rpmで10分間遠心分離した。遠心分離によってテトラシリックマイカは4層に分離した。分離した層のうち上部から第2層目をスポイトで回収し、固形分濃度が3.1%のテトラシリックマイカの水分散液を得た。また、ノニオン性のポリアクリルアミド(製造会社:MTアクアポリマー(株)、商品名「アコフロックN−101LL」)とイオン交換水とを混合し、マグネチックスターラーで24時間攪拌し、固形分濃度2質量%のノニオン性のポリアクリルアミドの水溶液を得た。そして、前記の微細セルロース繊維の水分散液、テトラシリックマイカの水分散液及びノニオン性のポリアクリルアミドの水溶液を混合し、ホモディスパー(1000〜12000rpm、プライミクス(株)製)を用いて5分間攪拌し、固形分濃度1.1質量%の塗布液を得た。塗布液調製に際しての各液の配合量は、最終的に得られる膜状体における微細セルロース繊維に対する各成分(層状無機化合物、ノニオン性のポリアクリルアミド)の含有質量比が、層状無機化合物/微細セルロース繊維=0.5、ノニオン性のポリアクリルアミド/微細セルロース繊維=0.01となるように調整した。そして、バーコート方式の塗布装置を用いて、基材(表面にコロナ放電処理が施された厚み25μmのPETフィルム)の一面上に塗布液を塗布して、湿潤状態での厚みが100μmの塗膜を形成し(塗膜形成のための塗布液の塗布回数は1回)、直後に(該塗膜が湿潤状態のうちに)、自然対流式の電気乾燥炉を用いて該塗膜を所定の乾燥温度120℃で30分間乾燥させて、目的とする膜状体(基材付きの膜状体)を得た。
〔実施例2〜6〕
ノニオン性のポリアクリルアミドの種類及び微細セルロース繊維に対する該ポリアクリルアミドの含有質量比(ノニオン性のポリアクリルアミド/微細セルロース繊維)を適宜変更した以外は、実施例1と同様にして膜状体を得た。
・実施例2において、ノニオン性のポリアクリルアミドはMTアクアポリマー(株)製の商品名「アコフロックN−101LL」、ノニオン性のポリアクリルアミド/微細セルロース繊維=0.1。
・実施例3において、ノニオン性のポリアクリルアミドはMTアクアポリマー(株)製の商品名「アコフロックN−100S」、ノニオン性のポリアクリルアミド/微細セルロース繊維=0.01。
・実施例4において、ノニオン性のポリアクリルアミドはMTアクアポリマー(株)製の商品名「アコフロックN−100S」、ノニオン性のポリアクリルアミド/微細セルロース繊維=0.1。
・実施例5において、ノニオン性のポリアクリルアミドはMTアクアポリマー(株)製の商品名「アコフロックN−100」、ノニオン性のポリアクリルアミド/微細セルロース繊維=0.01。
・実施例6において、ノニオン性のポリアクリルアミドはMTアクアポリマー(株)製の商品名「アコフロックN−100」、ノニオン性のポリアクリルアミド/微細セルロース繊維=0.1。
〔実施例7〕
ノニオン性のポリアクリルアミドとしてMTアクアポリマー(株)製の商品名「アコフロックN−100」を用い、且つ電気乾燥炉による塗膜の乾燥温度を80℃とした以外は、実施例1と同様にして膜状体を得た。
〔実施例8〜11〕
ノニオン性のポリアクリルアミドの種類並びに微細セルロース繊維に対する該ポリアクリルアミドの含有質量比(ノニオン性のポリアクリルアミド/微細セルロース繊維)及び微細セルロース繊維に対する層状無機化合物の含有質量比(層状無機化合物/微細セルロース繊維)を適宜変更した以外は、実施例1と同様にして膜状体を得た。
・実施例8において、ノニオン性のポリアクリルアミドはMTアクアポリマー(株)製の商品名「アコフロックN−100S」、層状無機化合物/微細セルロース繊維=0.1、ノニオン性のポリアクリルアミド/微細セルロース繊維=0.01。
・実施例9において、ノニオン性のポリアクリルアミドはMTアクアポリマー(株)製の商品名「アコフロックN−100S」、層状無機化合物/微細セルロース繊維=0.1、ノニオン性のポリアクリルアミド/微細セルロース繊維=0.1。
・実施例10において、ノニオン性のポリアクリルアミドはMTアクアポリマー(株)製の商品名「アコフロックN−100」、層状無機化合物/微細セルロース繊維=0.1、ノニオン性のポリアクリルアミド/微細セルロース繊維=0.01。
・実施例11において、ノニオン性のポリアクリルアミドはMTアクアポリマー(株)製の商品名「アコフロックN−100」、層状無機化合物/微細セルロース繊維=0.1、ノニオン性のポリアクリルアミド/微細セルロース繊維=0.1。
〔比較例1〕
ノニオン性のポリアクリルアミドを用いない以外は実施例1と同様にして膜状体を得た。
〔比較例2〕
ノニオン性のポリアクリルアミドを用いず、且つ微細セルロース繊維に対する層状無機化合物の含有質量比(層状無機化合物/微細セルロース繊維)を0.1とした以外は実施例1と同様にして膜状体を得た。
〔比較例3〜17〕
ノニオン性のポリアクリルアミドに代えて各種水溶性高分子を用い、且つ微細セルロース繊維に対する該水溶性高分子の含有質量比(水溶性高分子/微細セルロース繊維)を適宜変更した以外は、実施例1と同様にして膜状体を得た。
・比較例3において、水溶性高分子は和光純薬工業(株)製の商品名「ポリアクリル酸」(平均分子量5,000)、水溶性高分子/微細セルロース繊維=0.01。
・比較例4において、水溶性高分子は和光純薬工業(株)製の商品名「ポリアクリル酸ナトリウム」(重合度2,700〜7,500)、水溶性高分子/微細セルロース繊維=0.01。
・比較例5において、水溶性高分子は和光純薬工業(株)製の商品名「ポリアクリル酸ナトリウム」(重合度2,700〜7,500)、水溶性高分子/微細セルロース繊維=0.1。
・比較例6において、水溶性高分子は信越化学工業(株)製の商品名「メトローズSM」、水溶性高分子/微細セルロース繊維=0.01。
・比較例7において、水溶性高分子は信越化学工業(株)製の商品名「メトローズSM」、水溶性高分子/微細セルロース繊維=0.1。
・比較例8において、水溶性高分子は和光純薬工業(株)製の商品名「ポリエチレングリコール1,000」、水溶性高分子/微細セルロース繊維=0.01。
・比較例9において、水溶性高分子は和光純薬工業(株)製の商品名「ポリエチレングリコール1,000」、水溶性高分子/微細セルロース繊維=0.1。
・比較例10において、水溶性高分子は和光純薬工業(株)製の商品名「ヒドロキシプロピルセルロース6.0〜10.0」、水溶性高分子/微細セルロース繊維=0.01。
・比較例11において、水溶性高分子は和光純薬工業(株)製の商品名「ヒドロキシプロピルセルロース6.0〜10.0」、水溶性高分子/微細セルロース繊維=0.1。
・比較例12において、水溶性高分子は住友精化(株)製の商品名「HEC−Y」、水溶性高分子/微細セルロース繊維=0.01。
・比較例13において、水溶性高分子は住友精化(株)製の商品名「HEC−Y」、水溶性高分子/微細セルロース繊維=0.1。
・比較例14において、水溶性高分子はDSP五協フード&ケミカル(株)製の商品名「キサンタンガム、ラボールガムGS−C」、水溶性高分子/微細セルロース繊維=0.01。
・比較例15において、水溶性高分子はDSP五協フード&ケミカル(株)製の商品名「キサンタンガム、ラボールガムGS−C」、水溶性高分子/微細セルロース繊維=0.1。
・比較例16において、水溶性高分子は星光PMC(株)製の商品名「ポリアミドエピクロロヒドリンWS4020」、水溶性高分子/微細セルロース繊維=0.01。
・比較例17において、水溶性高分子は星光PMC(株)製の商品名「ポリアミドエピクロロヒドリンWS4020」、水溶性高分子/微細セルロース繊維=0.1。
〔比較例18〕
ノニオン性のポリアクリルアミドとしてMTアクアポリマー(株)製の商品名「アコフロックN−100」を用い、且つ電気乾燥炉による塗膜の乾燥温度を23℃とした以外は、実施例1と同様にして膜状体を得た。
〔比較例19〕
ノニオン性のポリアクリルアミドとしてMTアクアポリマー(株)製の商品名「アコフロックN−100」を用い、且つ電気乾燥炉による塗膜の乾燥温度を60℃とした以外は、実施例1と同様にして膜状体を得た。
〔比較例20〜25〕
ノニオン性のポリアクリルアミドに代えてアニオン性のポリアクリルアミドを用い、且つ微細セルロース繊維に対する該アニオン性のポリアクリルアミドの含有質量比(アニオン性のポリアクリルアミド/微細セルロース繊維)を適宜変更した以外は、実施例1と同様にして膜状体を得た。
・比較例20において、アニオン性のポリアクリルアミドはMTアクアポリマー(株)製の商品名「アコフロックA−150」、アニオン性のポリアクリルアミド/微細セルロース繊維=0.01。
・比較例21において、アニオン性のポリアクリルアミドはMTアクアポリマー(株)製の商品名「アコフロックA−150」、アニオン性のポリアクリルアミド/微細セルロース繊維=0.1。
・比較例22において、アニオン性のポリアクリルアミドはMTアクアポリマー(株)製の商品名「アコフロックA−110L」、アニオン性のポリアクリルアミド/微細セルロース繊維=0.01。
・比較例23において、アニオン性のポリアクリルアミドはMTアクアポリマー(株)製の商品名「アコフロックA−110L」、アニオン性のポリアクリルアミド/微細セルロース繊維=0.1。
・比較例24において、アニオン性のポリアクリルアミドはMTアクアポリマー(株)製の商品名「アコフロックA−95」、アニオン性のポリアクリルアミド/微細セルロース繊維=0.01。
・比較例25において、アニオン性のポリアクリルアミドはMTアクアポリマー(株)製の商品名「アコフロックA−95」、アニオン性のポリアクリルアミド/微細セルロース繊維=0.1。
〔比較例26〕
ノニオン性のポリアクリルアミドとしてMTアクアポリマー(株)製の商品名「アコフロックN−100」を用い、且つ微細セルロース繊維に対する該ノニオン性のポリアクリルアミドの含有質量比(ノニオン性のポリアクリルアミド/微細セルロース繊維)を0.01、微細セルロース繊維に対する層状無機化合物の含有質量比(層状無機化合物/微細セルロース繊維)を0.1とした以外は、実施例1と同様にして膜状体を得た。
〔比較例27〕
ノニオン性のポリアクリルアミドとしてMTアクアポリマー(株)製の商品名「アコフロックN−100」を用い、且つ微細セルロース繊維に対する該ノニオン性のポリアクリルアミドの含有質量比(ノニオン性のポリアクリルアミド/微細セルロース繊維)を0.01、微細セルロース繊維に対する層状無機化合物の含有質量比(層状無機化合物/微細セルロース繊維)を0.1とし、且つ電気乾燥炉による塗膜の乾燥温度を60℃とした以外は、実施例1と同様にして膜状体を得た。
〔評価〕
実施例及び比較例で得られた膜状体について、前記測定方法に従って30℃、70%RHにおける酸素透過度を測定すると共に、下記方法に従って機械強度を評価した。また、実施例及び比較例それぞれの一部ついて、下記方法に従ってテープ剥離強度を評価した。それらの結果を下記表1〜4に示す。
<機械強度の評価方法>
JIS5600−5−6塗料一般試験方法−塗膜の機械的性質:付着性(クロスカット法)に準拠し、次の方法でテープ剥離試験を行った。
先ず、A4サイズ(210×297mm)の基材付きの膜状体(評価対象物)を用意した 。
次に、幅15mm、長さ140mmの粘着テープ(商品名「セロテープ(登録商標)」、ニチバン(株)製)の一部(40mmの長さ部分)を折り返して互いに貼り合わせ(折り返した貼り合わせ部分の長さは20mm)、粘着部分を残部の100mmの長さ部分としたものを用意した。
次に、基材付きの膜状体における該膜状体の表面に、50〜100mmの直線状の切り込みを入れ、その切り込み線上に粘着テープの粘着部分の端を合わせた状態で、100mmの長さの粘着部分を膜状体の表面に密着して貼り合わせた。
その後、密着して貼り合わせた部分を幅15mm、長さ100mmに切断し、膜状体の表面に粘着テープが貼り付けられ、基材付き膜状体と粘着テープとが一体になったものを試験サンプルとした。
そして、幅15mm、長さ120mmの両面テープ(商品名「ナイスタック」、ニチバン(株)製)の一面側の粘着面を水平な台上に貼り付けて固定し、他面側の粘着面に試験サンプルの基材部分を貼り付けた。
その後、粘着テープの折り返してある部分(長さ20mmの部分)を指で摘み、剥離角度(膜状体と粘着テープとのなす角度)が60°になるようにして、0.5〜1秒で粘着テープを試験サンプルから確実に剥離し、粘着テープ側と基材側とに分離したものをそれぞれ評価サンプルとした。
こうして得られた2つの評価サンプル(粘着テープ側サンプル、基材側サンプル)について、走査型電子顕微鏡(日本電子(株)製、エネルギー分散型X線分析システム)を用いて、剥離面(粘着テープ側サンプルについては粘着テープの粘着面側、基材側サンプルについては膜状体側)の元素解析を行った。この元素解析においては、膜状体の一成分である層状無機化合物に着目し、層状無機化合物特有のピークが検出されれば、その評価サンプル(粘着テープ側、基材側)に膜状体が存在すると判断する。層状無機化合物特有のピークが、粘着テープ側及び基材側の何れか一方でのみ検出された場合を○(膜状体の内部破壊無し)、粘着テープ側及び基材側の両方で検出された場合を×(膜状体の内部破壊有り)とした。膜状体の機械強度が不十分な場合には、前記テープ剥離試験において膜状体の内部破壊が起こり、その結果、粘着テープ側及び基材側の両方に膜状体(層状無機化合物)が存在することになる。これに対し、膜状体の機械強度が十分な場合には、前記テープ剥離試験において膜状体の内部破壊は起こらず、膜状体は、他の部材(粘着テープ又は基材)との界面で剥離して、粘着テープ側及び基材側の何れか一方のみに付着するので、層状無機化合物は、粘着テープ側及び基材側の何れか一方でのみ検出されることになる。
<テープ剥離強度の評価方法>
180°剥離試験機(PEELING TESTER,型式 IPT200-5N,測定範囲0.001〜5.0N;株式会社イマダ製)を用いて、次の方法でテープ剥離試験を行った。
先ず、前記<機械強度の評価方法>と同様の手順により、基材付き膜状体(評価対象物)と粘着テープ(商品名「セロテープ(登録商標)」、ニチバン(株)製)とが一体になった試験サンプルを作製した。そして、幅15mm、長さ120mmの両面テープ(商品名「ナイスタック」、ニチバン(株)製)の一面側の粘着面を水平な台上に貼り付けて固定し、他面側の粘着面に試験サンプルの基材部分を貼り付けた。その後、粘着テープの折り返してある部分(長さ20mmの部分)をテープ剥離試験機のロードセルに取り付けられたクリップでしっかりと固定した状態で、剥離角度(膜状体と粘着テープとのなす角度)が165〜180°になるようにして、300mm/minの速度で引っ張り、このときのロードセルの値(基材付き膜状体における基材と膜状体との剥離強度)を、テープ剥離強度とした。このテープ剥離強度も、前述した「膜状体の内部破壊の有無」と同様に、膜状体の機械強度の評価方法の1つであり、テープ剥離強度が大きいほど機械強度に優れるとされ、高評価となる。
Figure 0006083790
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表1から明らかなように、各実施例の膜状体は、何れも高湿度雰囲気中で高いガスバリア性を発現し、且つ機械強度に優れ、内部破壊が見られなかった。また、表4から明らかなように、各実施例の膜状体は、何れもテープ剥離強度が4N以上であり、この点からも機械強度に優れていることがわかる。これに対し、表2及び表3から明らかなように、水溶性高分子を用いなかった比較例1及び2の膜状体、並びに水溶性高分子としてノニオン性のポリアクリルアミド以外のものを用いた比較例3〜17及び20〜25の膜状体は、何れも機械強度に劣り、内部破壊が見られた。また、比較例18、19、26及び27は、何れも水溶性高分子としてノニオン性のポリアクリルアミドを用いているものの、塗膜の乾燥温度が80℃未満であるため、機械強度に劣る結果となった。また、表4から明らかなように、各比較例の膜状体は、何れもテープ剥離強度が3N未満であり、この点からも機械強度に劣ることがわかる。以上のことから、膜状体の機械強度の向上には、膜状体の成分としてノニオン性のポリアクリルアミドを用いること、及び膜状体を形成する際の塗膜の乾燥温度を80℃以上とすることが有効であることがわかる。

Claims (4)

  1. セルロースのカルボキシ基含有量が0.1mmol/g以上3mmol/g以下の微細セルロース繊維、層状無機化合物及びポリアクリルアミドを含む、膜状体の製造方法であって、
    前記ポリアクリルアミドとしてノニオン性のポリアクリルアミドを用い、該ノニオン性のポリアクリルアミド、前記微細セルロース繊維、前記層状無機化合物及び液媒体を混合して塗布液を調製する塗布液調製工程と、
    前記塗布液から塗膜を形成し、該塗膜を80℃以上250℃以下の乾燥温度で乾燥させる塗膜形成・乾燥工程とを有する、膜状体の製造方法。
  2. 前記ノニオン性のポリアクリルアミドの平均分子量が500万以上2000万以下である請求項1記載の膜状体の製造方法。
  3. 前記膜状体における前記層状無機化合物と前記微細セルロース繊維との含有質量比(層状無機化合物/微細セルロース繊維)が0.01以上100以下である請求項1又は2記載の膜状体の製造方法。
  4. 前記膜状体における前記ノニオン性のポリアクリルアミドと前記微細セルロース繊維との含有質量比(ノニオン性のポリアクリルアミド/微細セルロース繊維)が0.01以上1以下である請求項1〜3の何れか一項に記載の膜状体の製造方法。
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