JP6331262B2 - ガスバリア性積層体およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ガスバリア性積層体およびその製造方法に関する。
食品、医薬品、エレクロトニクス部品等の包装に用いられる包装材料は、内容物の変質を防止するため、酸素等の気体を遮断するガスバリア性を備えることが求められている。
現在、包装材料としては、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)等のPVA系樹脂を用いたガスバリア性フィルムや、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)系樹脂を用いたガスバリア性フィルムが多用されている。
しかし、PVA系樹脂を用いたガスバリア性フィルムは湿度依存性が大きく、湿度の上昇に従い、吸湿・膨潤等によってガスバリア性が大幅に低下する問題がある。PVDC系樹脂を用いたガスバリア性フィルムは、酸素透過度に対する湿度依存性はほとんどないものの、分子構造中に塩素原子を含むことから、焼却によるダイオキシン発生のおそれがあり、環境への影響が懸念されている。さらに、PVA系樹脂やPVDC系樹脂は、化石資源由来の材料をもとに製造されており、資源の枯渇や温暖化ガス削減の観点から好ましくない。
特許文献1では、水溶性ポリマーであるポリアクリル酸(PAA)の層と、該層に隣接した多価金属化合物の層とを有するフィルムを、相対湿度20%以上の雰囲気下に置く方法が提案されている。該方法によれば、該フィルム中のPAA分子鎖同士が多価金属イオンによりイオン架橋し、高湿度下における酸素バリア性が向上するとされている。
しかし、PAAもまた化石資源由来の材料をもとに製造されており、資源の枯渇や温暖化ガス削減の観点から好ましくない。
一方、近年、化石資源の枯渇問題の解決を目指して、持続的に利用可能な環境調和型材料であるバイオマスを用いた機能性材料の開発が盛んに行われている。その中でも木材の主成分であるセルロースは、地球上に最も大量に蓄積された天然高分子材料であることから、資源循環型社会の中核を担う物質として期待が寄せられている。
木材中では、数十本以上のセルロース分子が束になって高結晶性でナノメートルオーダーの繊維径をもつ微細繊維(ミクロフィブリル)を形成しており、さらに多数の微細繊維が互いに水素結合してセルロース繊維を形成し、植物の支持体となっている。
このように安定な構造を有することから、木材に含まれる天然のセルロース繊維は、特殊な溶媒以外には不溶であり、成形性にも乏しく、機能性材料としては扱いにくい面があった。そこで、木材中のセルロース繊維を、繊維径がナノメートルオーダーになるまで微細化(ナノファイバー化)して利用しようとする試みが活発に行われている。
木材中のセルロース繊維をナノファイバー化する手法の1つとして、セルロース繊維を、比較的安定なN−オキシル化合物である2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−1−オキシラジカル(TEMPO)を触媒として用いて酸化(TEMPO酸化)する手法が報告されている(例えば特許文献2)。TEMPO酸化反応は、水系、常温、常圧で進行する環境調和型の化学改質が可能で、例えば木材パルプに適用した場合、結晶構造内部には反応が進行せず、結晶表面のセルロース分子鎖が持つ−CHOHのみを選択的に酸化しカルボキシ基へと変換することができる。結晶表面に導入されたカルボキシ基間には静電的な反発力が働くため、TEMPO酸化後の木材パルプを水中に分散させた状態で軽微な機械処理を施すと、セルロース繊維が微細繊維単位まで微細化されたセルロースシングルナノファイバー(以下CSNFと称する)の水分散液を得ることができる。このようにして得られるCSNFは、短軸径が4nm前後と微細で、長軸径500nm〜数μmに及ぶ高アスペクト比を有している。
このCSNFの水分散液を基材に塗布乾燥することによってCSNFが積層した膜(CSNF積層膜)を形成できる。該CSNF積層膜は透明性が高く、例えば透明基材上にCSNF積層膜を設けた積層体は透明性が高い。また、該CSNF積層膜は、高結晶性のCSNFが緻密に集積した構造を有しており、膜内部の空隙サイズが非常に小さいことから高い酸素バリア性を示すことが報告されている(非特許文献1)。
前記の特性から、CSNF等のセルロースナノファイバーを用いたカーボンニュートラルなガスバリア材の研究については既に多くの報告がある。
しかし、セルロースナノファイバーを用いたガスバリア材の実用化に向けては、PVA系樹脂を用いたガスバリア性フィルムの場合と同様に、高湿度条件下において、吸湿・膨潤等によってガスバリア性が低下する問題がある。
このような問題に対し、例えば特許文献3では、特定のセルロース繊維を含むガスバリア用材料からなる層を基材に設けたガスバリア性複合成形体に、さらに防湿層を積層することが提案されている(段落[0056]等)。特許文献4では、特定のセルロース繊維とPVAとを含む水性分散液で膜状のガスバリア性成形体を形成することせることが提案されている。特許文献5では、特定のセルロース繊維と、反応性官能基を有する架橋剤(グリオキサール等)を含むガスバリア用材料を用いて、架橋構造が形成されたセルロース繊維層を形成することが提案されている。
国際公開第2003/091317号 特開2008−1728号公報 特開2009−57552号公報 特開2012−41489号公報 特開2010−168572号公報
Hayaka Fukuzumi, et al. Biomacromolecules,2009,10(1),162−165
しかし、セルロースナノファイバーを用いたガスバリア材の高湿度下におけるガスバリア性は、未だ実用レベルには達していないのが現状である。
例えば特許文献3に記載の方法では、ガスバリア用材料からなる層自体の耐湿性は低く、防湿層の防湿効果により該層の吸湿速度は遅くなるものの、吸湿自体を完全に抑制できるわけではないため、最終的に酸素バリア性は低下してしまう。
特許文献4、5に記載の方法では、湿度の影響をある程度抑えることができるものの、その効果には未だ改善の余地がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、セルロースを用いた、高湿度条件下でも良好なガスバリア性を有するガスバリア性積層体およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題の解決のため鋭意検討を重ねたところ、酸型のカルボキシ基を有するセルロースナノファイバーを含む層に隣接して多価金属化合物を含む層を形成し、多価金属化合物を含む層から多価金属イオンを、セルロースナノファイバーを含む層に移行させ、前記セルロースナノファイバー同士を多価金属イオンでイオン架橋させることによって、高湿度条件下におけるガスバリア性が改善することを見出した。
なお、上記の特許文献2等に記載されるTEMPO酸化反応は、通常、水酸化ナトリウムの存在下で行われ、得られるCSNF水分散液において、CSNFが有するカルボキシ基の多くはナトリウムイオンと塩を形成している。かかるCSNF水分散液をそのままセルロースナノファイバーを含む層の形成に用いた場合、ナトリウムイオンから亜鉛イオンへ直接のイオン交換はほとんど進行しないため、CSNF同士が多価金属イオンでイオン架橋した構造を得ることはできない。
本発明は、上記知見に基づくものであり、以下の態様を有する。
[1]基材上に、カルボキシ基を有するセルロースナノファイバーを含む層(A)と、多価金属化合物を含む層(B)とを有し、
前記層(A)と前記層(B)とが接しており、
前記層(A)中の前記セルロースナノファイバーが、前記多価金属化合物に由来する多価金属イオンによりイオン架橋しており、前記多価金属イオンによるイオン架橋前の前記セルロースナノファイバーが酸型であり、
前記層(A)中の前記セルロースナノファイバーの含有量が、前記層(A)の総質量に対し、50質量%以上であり、
前記層(A)がポリカルボン酸系重合体を含み、前記ポリカルボン酸系重合体の含有量が、前記層(A)中の前記セルロースナノファイバーの含有量100質量%に対し、10〜50質量%であり、
前記層(B)がイソシアネート化合物をさらに含むことを特徴とするガスバリア性積層体。
[2]前記セルロースナノファイバーの数平均短軸径が1nm以上100nm以下であり、数平均長軸径が100nm以上であり且つ前記数平均短軸径の50倍以上である[1]に記載のガスバリア性積層体。
[3]前記カルボキシ基が、N−オキシル化合物を用いた酸化反応によって導入されたものである[1]または[2]に記載のガスバリア性積層体。
[4]前記カルボキシ基の含有量が、前記セルロースナノファイバー1g当たり0.1mmol以上5.0mmol以下である[1]〜[3]のいずれか一項に記載のガスバリア性積層体。
[5]前記多価金属化合物が2価の金属化合物である[1]〜[4]のいずれか一項に記載のガスバリア性積層体。
[6]前記2価の金属化合物が酸化亜鉛である[5]に記載のガスバリア性積層体
[7]前記層(A)が無機層状化合物をさらに含む[1]〜[]のいずれか一項に記載のガスバリア性積層体。
]前記層(A)中の前記無機層状化合物の含有量が、前記セルロースナノファイバーの含有量に対して0.01質量%以上20質量%以下である[]に記載のガスバリア性積層体。
][1]〜[]のいずれか一項に記載のガスバリア性積層体を製造する方法であって、
基材上に、酸型のカルボキシ基を有するセルロースナノファイバーと、ポリカルボン酸系重合体とを含む塗液を塗布し乾燥して層(A1)を形成する工程(a)と、
前記層(A1)上に、多価金属化合物とイソシアネート化合物を含む塗液を塗布し乾燥して層(B)を形成する工程(b)と、
前記多価金属化合物または該多価金属化合物に由来する多価金属イオンを前記層(B)から前記層(A1)に転移させ、前記セルロースナノファイバーが有するカルボキシ基と反応させることによって、前記セルロースナノファイバーを前記多価金属イオンでイオン架橋し、前記層(A)を形成する工程(c)と、を具備し、
前記ポリカルボン酸系重合体の含有量が、前記塗液中の前記セルロースナノファイバーの含有量100質量%に対し、10〜50質量%であることを特徴とするガスバリア性積層体の製造方法。
10]前記工程(c)が、前記層(A1)と前記層(B)とを有する積層体を高温熱水処理する工程を含む[]に記載のガスバリア性積層体の製造方法。
本発明によれば、セルロースを用いた、高湿度条件下でも良好なガスバリア性を有するガスバリア性積層体およびその製造方法を提供できる。
本発明のガスバリア性積層体の製造方法の一例を示す概略工程図である。
本発明のガスバリア性積層体は、基材上に、カルボキシ基を有するセルロースナノファイバーを含む層(A)と、多価金属化合物を含む層(B)とを有し、
前記層(A)と前記層(B)とが接しており、
前記層(A)中の前記セルロースナノファイバーが、前記多価金属化合物に由来する多価金属イオンによりイオン架橋していることを特徴とする。
<層(A)>
層(A)は、カルボキシ基を有するセルロースナノファイバーを含む層である。また、層(A)においては、該セルロースナノファイバーが、層(A)に隣接する層(B)に含まれる多価金属化合物に由来する多価金属イオンによりイオン架橋している。
以下、セルロースナノファイバーを「CNF」ともいう。
本発明において、「ナノファイバー」とは、数平均短軸径(平均繊維径)がナノメートルオーダー(1nm以上1μm未満)の繊維を示す。
本発明において、CNFの数平均短軸径は、1nm以上100nm以下が好ましく、2nm以上50nm以下がより好ましく、4nm以上20nm以下が特に好ましい。数平均短軸径が1nm以上であると、高結晶性の微細化セルロース繊維構造をとることが出来、形成される層(A)のガスバリア性が良好である。数平均短軸径が100nm以下であると、層(A)が高い透明性を有するものとなる。
CNFの数平均長軸径(平均繊維長)は、100nm以上であり且つ前記数平均短軸径の50倍以上であることが好ましい。これにより、ガスバリア層を形成する際に、繊維同士が充分に絡み合い、充分な膜凝集力が得られる。
CNFの数平均長軸径は、200nm以上であり且つ前記数平均短軸径の100倍以上であることがより好ましい。
CNFの数平均長軸径の上限は、膜凝集力の点では特に限定されないが、製造し易さ等の点では、10μm以下が好ましく、5μm以下がより好ましい。
CNFの数平均短軸径は、透過型電子顕微鏡観察および原子間力顕微鏡観察により100本の繊維(多価金属イオンによるイオン架橋前のCNF)の短軸径(最小径)を測定し、その平均値として求められる。CNFの数平均長軸径は、透過型電子顕微鏡観察および原子間力顕微鏡観察により100本の繊維(多価金属イオンによるイオン架橋前のCNF)の長軸径(最大径)を測定し、その平均値として求められる。
前記CNFが有するカルボキシ基は、N−オキシル化合物を用いた酸化反応により導入されたものであることが好ましい。
TEMPOをはじめとするN−オキシル化合物を用いた酸化反応では、結晶表面のセルロース分子鎖が持つグルコピラノース単位の第6位の−CHOHが高い選択性で酸化され、アルデヒド基を経てカルボキシ基に変換される。
このように結晶表面に導入されたカルボキシ基を有するCNF間には静電的な反発力が働くため、水性媒体中で再凝集しにくく、分散安定性が良好である。
N−オキシル化合物を用いた酸化反応については後で詳しく説明する。
前記CNF中の前記カルボキシ基の含有量は、前記CNF1g当たり0.1mmol以上5.0mmol以下の範囲内であることが好ましく、0.5mmol以上2.0mmol以下であることがより好ましい。
CNF中のカルボキシ基量が0.1mmol/g以上であると、多価金属イオンによる架橋点の増加により高湿度下での酸素バリア性が向上する。また、塗液中での分散安定性が良好である。
CNF中のカルボキシ基量が5.0mmol/g以下であると、CNFの結晶構造が充分に保持され、ガスバリア性および膜凝集力が良好である。
層(A)においては、前記CNFが、多価金属イオンによりイオン架橋している。すなわち、CNFが有するカルボキシ基と、層(B)から層(A)に転移した多価金属化合物または多価金属イオンとが反応し、カルボキシ基の対イオン(H)と多価金属イオンとがイオン交換する。1つの多価金属イオンが複数のカルボキシ基の対イオンとなることで、複数のCNFが多価金属イオンを介して架橋(イオン架橋)した状態となる。
このように、層(A)を構成するCNFがイオン架橋していることで、層(A)は、高湿度条件下でも良好なガスバリア性を発揮するガスバリア層として機能する。
CNFが多価金属イオンによりイオン架橋しているかどうかは、赤外分光法により酸型カルボキシ基由来の1720cm−1付近の吸収ピークが多価金属型カルボキシ基由来の1600cm−1付近へとシフトすることにより、定性的に確認できる。
層(A)中のCNFの含有量は、層(A)の総質量に対し、50質量%以上であることがより好ましく、60質量%以上であることがより好ましい。CNFの含有量が50質量%以上であると、層(A)のガスバリア性、膜凝集力、バイオマス化度等が良好である。層(A)中のCNFの含有量の上限は特に限定されず、100質量%であってもよい。
層(A)は、前記CNFに加えて、ポリカルボン酸系重合体をさらに含んでもよい。これにより、高湿度条件下でのガスバリア性をさらに向上させることができる。また、層(A)の膜凝集力が向上し、他の層(基材等)に対する密着性が向上する。
ポリカルボン酸系重合体は、分子内にカルボキシ基を2個以上有する重合体である。ポリカルボン酸系重合体としては、カルボキシ基を少なくとも1個含有する構成単位を2個以上有する重合体が好ましい。
ポリカルボン酸系重合体としては、たとえば、分子内にエチレン性二重結合を有する不飽和カルボン酸の重合体;前記不飽和カルボン酸と他の単量体との共重合体;アルギン酸、カルボキシメチルセルロース、ペクチン等の分子内にカルボキシ基を有する酸性多糖類(ただし前記CNFを除く。)等が挙げられる。
前記不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、クロトン酸等が挙げられる。
前記不飽和カルボン酸と共重合可能な不飽和単量体としては、分子内にエチレン性二重結合を有するものが好ましく、たとえばオレフィン類(エチレン、プロピレン等)、飽和カルボン酸ビニルエステル類(酢酸ビニル等)、不飽和カルボン酸アルキルエステル類(アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、アルキルイタコネート等)、塩化ビニル、塩化ビニリデン、スチレン、アクリルアミド、アクリロニトリル等が挙げられる。
不飽和カルボン酸の重合体は、単独重合体でもよく、2種以上の不飽和カルボン酸を重合した共重合体でもよい。
不飽和カルボン酸と他の単量体との共重合体に用いられる不飽和カルボン酸、他の単量体はそれぞれ1種でも2種以上でもよい。
ポリカルボン酸系重合体としては、層(A)のガスバリア性、透明性等の点から、不飽和カルボン酸の重合体が好ましく、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸およびイタコン酸から選ばれる単量体の単独重合体および共重合体から選ばれる少なくとも1種がより好ましく、アクリル酸およびメタクリル酸から選ばれる単量体の単独重合体および共重合体から選ばれる少なくとも1種が特に好ましい。
ポリカルボン酸系重合体の(多価金属イオンによりイオン架橋していない状態での)重量平均分子量は、2,000〜10,000,000の範囲内であることが好ましく、5,000〜1,000,000の範囲内であることがより好ましい。重量平均分子量が2,000以上であると、形成される層(A)の柔軟性や耐水性が良好である。重量平均分子量が10,000,000以下であると、原料の粘度が充分に低く扱いやすい。また、これを含有する塗液(後述する層(A1)形成用塗液)の粘度も充分に低くなるため、CNFが均一に分散した塗液を得やすい。
なお、上記重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により求められるポリスチレン換算の重量平均分子量である。
層(A)中のポリカルボン酸系重合体の含有量は特に限定されないが、ポリカルボン酸系重合体の含有量の増大は、層(A)の形成に用いられる塗液の粘度増大や層(A)のバイオマス化度低下に繋がる。そのため、層(A)中のポリカルボン酸系重合体の含有量は、層(A)中の前記CNFの含有量(固形分量)に対し、50質量%以下であることが好ましく、1質量%以上45質量%以下であることがより好ましく、2質量%以上40質量%以下であることがさらに好ましい。
層(A)は、前記CNFに加えて、または前記CNFおよびポリカルボン酸系重合体に加えて、無機層状化合物をさらに含んでもよい。これにより、高湿度条件下でのガスバリア性をさらに向上させることができる。
無機層状化合物としては、カオリナイト、ディッカイト、ナクライト、ハロイサイト、アンチゴライト、クリソタイル、パイロフィライト、モンモリロナイト、バイデライト、ヘクトライト、サポナイト、スチーブンサイト、テトラシリリックマイカ、ナトリウムテニオライト、白雲母、マーガライト、タルク、バーミキュライト、金雲母、ザンソフィライト、緑泥石等が挙げられる。
これらの無機層状化合物は市販品を用いることができる。市販品としては、スメクタイト系の粘土鉱物に属するサポナイト構造を有するスメクトンSA(クニミネ工業社製)、ソジウム型のモンモリロナイトであるクニピア−F(クニミネ工業社製)、合成マイカソマシフME−100(コープケミカル社製)、合成マイカPDM-5B(トピー工業社製)、精製された天然ベントナイトであるベンゲル(豊順洋行製)等が挙げられる。
無機層状化合物には有機化合物が複合化されていてもよい。有機化合物が複合化された無機層状化合物としては、例えば、長鎖アルキル基を有する第4級アンモニウムイオンがイオン交換によって層間にインターカレートされた無機層状化合物が挙げられる。このような無機層状化合物の市販品としては、ベントン27、ベントン38(エレメンティススペシャリティーズ社製)等が挙げられる。
層(A)に含まれる無機層状化合物は1種でも2種以上でもよい。
層(A)中の無機層状化合物の含有量は特に限定されないが、層(A)中の前記CNFの含有量(固形分量)に対し、0.01質量%以上20質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上15質量%以下であることがより好ましく、1.0質量%以上10質量%以下であることが特に好ましい。無機層状化合物の割合がCNFに対し0.01質量%以上であると、層(A)のガスバリア性、特に高湿度条件下での酸素バリア性が良好である。20質量%以下であると、層(A)が充分な膜凝集力を有し、ガスバリア性積層体の層間密着性が良好である。また、無機層状化合物が充分に薄片化され、層(A)の透明性が良好となる。
層(A)は、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、CNF、ポリカルボン酸系重合体および無機層状化合物以外の他の成分をさらに含有してもよい。
該他の成分としては、例えば層(A)の形成に用いられる塗液の調製時にpH調整に用いられた成分を含有してもよい。
また、該他の成分として、各種添加剤を含有してもよい。添加剤としては、当該ガスバリア性積層体の用途等に応じて、公知の添加剤のなかから適宜選択できる。具体的には、ポリカルボン酸系重合体以外の水溶性高分子(例えばPVA、EVOH等のPVA系樹脂)、アルコキシシラン等の有機金属化合物またはその加水分解物、無機針状鉱物、レベリング剤、消泡剤、潤滑剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、染料、顔料、安定剤、磁性粉、配向促進剤、可塑剤、架橋剤等が挙げられる。
ただしこれら他の成分の添加は塗液の粘度増大や層(A)のバイオマス化度の低下に繋がるため、該他の成分の含有量は、層(A)中の前記CNFの含有量(固形分量)に対し、50質量%以下であることが好ましい。
層(A)は、例えば、カルボキシ基を有するCNFを含有する層(A1)を形成し、層(A1)に、多価金属化合物を含む層(B)を接触させ、前記多価金属化合物または該多価金属化合物に由来する多価金属イオンを層(B)から層(A1)に転移させ、前記CNFが有するカルボキシ基と反応させることによって形成できる。該反応により、CNFが多価金属イオンでイオン架橋され、層(A1)が層(A)となる。
層(A1)に含まれるCNF、つまり多価金属イオンによるイオン架橋前のCNFは、酸型であることが好ましい。
前記CNFが酸型であるとは、CNFが有するカルボキシ基が、H以外の対イオンと塩を形成していない(−COOH、または−COOである)ことを示す。
CNFが酸型であると、多価金属イオンによるイオン架橋が進行しやすい。
一方、CNFが、多価カチオン(多価金属イオン等)を対イオンとする塩型であると、これを含有する塗液がゲル状となり、層(A1)の形成が困難である。
CNFが、H以外の1価カチオン(Na等)を対イオンとする塩型であると、多価金属イオンによるイオン架橋が進行しにくい。特にナトリウム塩の場合、ナトリウムイオンから多価金属イオンへ直接のイオン交換はほとんど進行せず、CNF同士が多価金属イオンでイオン架橋した構造を得ることは困難である。
層(A1)は、例えば、基材上に、カルボキシ基を有するCNFを含有する塗液(以下、層(A1)形成用塗液ともいう。)を塗布することにより形成できる。
層(A1)形成用塗液は、前記CNFが分散媒に分散した分散液である。該層(A1)形成用塗液を塗布すると、CNFが基材上に堆積する。その後、乾燥により分散媒が除去されることで、CNFが緻密に積層した層(A1)が形成される。
層(A1)形成用塗液、これを用いた層(A1)の形成方法、および層(A1)を層(A)とする方法については後で詳しく説明する。
層(A)の厚みは、所望のガスバリア性に応じて適宜設定でき特に限定されないが、0.1〜5μmが好ましく、0.2〜3μmがより好ましい。該厚みが0.1μm以上であると、層(A)を設けることによるガスバリア性の向上効果が充分に得られ、5μm以下であると、透明性および生産性が良好である。
ガスバリア性積層体が有する層(A)は1層でも2層以上でもよい。
層(A)は、基材の片面のみに設けられてもよく、両面に設けられてもよい。
<層(B)>
層(B)は、多価金属化合物を含む層である。層(B)は、層(A)に接して設けられる。
多価金属化合物とは、金属イオンの価数が2以上の多価金属の化合物である。
多価金属としては、例えば、ベリリウム、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属;チタン、ジルコニウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛などの遷移金属;アルミニウム等が挙げられる。
多価金属化合物としては、例えば多価金属の単体、酸化物、水酸化物、炭酸塩、有機酸塩(例えば、酢酸塩)もしくは無機酸塩、多価金属酸化物のアンモニウム錯体もしくは2〜4級アミン錯体、またはそれらの炭酸塩もしくは有機酸塩が挙げられる。これらの多価金属化合物は単独で、または少なくとも2種類の多価金属化合物を混合して用いることができる。
多価金属化合物としては、ガスバリア性、製造性の観点から、亜鉛化合物、カルシウム化合物、マグネシウム化合物等の2価の金属化合物が好ましく、扱いやすさやコストの点から、酸化亜鉛が特に好ましい。
層(B)は、多価金属化合物を含有する塗液(以下、層(B)形成用塗液ともいう。)を用いて形成できる。層(B)形成用塗液およびこれを用いた層(B)の形成方法については後で詳しく説明する。
層(B)を、層(B)形成用塗液を用いて形成する場合、層(B)形成用塗液においては、多価金属化合物の粒子が液体媒体に分散していてもよく、多価金属化合物が液体媒体に溶解していてもよい。ガスバリア性、生産性の観点から、多価金属化合物の粒子が液体媒体に分散していることが好ましい。
多価金属化合物の粒子の平均粒子径は特に限定されないが、ガスバリア性、コーティング適性、透明性の観点から、5μm以下であることが好ましく、1μm以下であることがより好ましく、0.1μm以下であることが特に好ましい。
層(B)は、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、多価金属化合物以外の他の成分をさらに含有してもよい。
例えば層(B)を、多価金属化合物の粒子が液体媒体に分散した層(B)形成用塗液を用いて形成する場合、粒子の分散性を高めるため、分散剤をさらに含有してもよい。
分散剤としては、使用する液体媒体に溶解または分散可能な樹脂が好ましい。分散剤としては、塗料等に用いられている公知の樹脂を用いることができ、例えば、例えばアルキド樹脂、メラミン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
また、成膜性の向上のため、イソシアネート化合物を含有してもよい。イソシアネート化合物としては、例えば、フェニルイソシアネート、ブチルイソシアネート、オクタデシルイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
層(B)の厚さは、透明性および生産性の観点から、0.01〜5μmが好ましく、0.02〜3μmがより好ましい。
ガスバリア性積層体が有する層(B)は1層でも2層以上でもよい。
<基材>
基材としては、特に制限は無く、公知の種々のシート状の基材を用いることができ、例えばプラスチックフィルム、ガラス板、セルロース系基材、等が挙げられる。
プラスチックフィルムを構成するプラスチック材料としては、例えば、ポリオレフィン系(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステル系(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、セルロース系(トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、セロファン等)、ポリアミド系(6−ナイロン、6,6−ナイロン等)、アクリル系(ポリメチルメタクリレート等)、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、エチレンビニルアルコール等の有機高分子化合物が挙げられる。また、前述の有機高分子化合物の中から、少なくとも1種以上の成分を持つ、或いは共重合成分に持つ、或いはそれらの化学修飾体を成分に有する有機高分子材料も可能である。また、ポリ乳酸、バイオポリオレフィンなど植物から化学合成されるバイオプラスチック、ヒドロキシアルカノエートなど微生物が生産するプラスチック等を用いることも可能である。
セルロース系基材は、セルロース系材料から構成される基材であり、セルロース系材料としては、紙、セロハン、アセチル化セルロース、セルロース誘導体、微細化セルロース繊維等が挙げられる。
環境等への配慮から基材にも環境負荷の少ないものが求められる場合、基材としては、上記のうち、植物から化学合成されるバイオプラスチックを含む基材、微生物が生産するプラスチックを含む基材、セルロース系基材等が好ましい。
基材は、可塑剤、酸化防止剤、難燃剤、充填剤、帯電防止剤、結晶化促進剤、発泡剤、光沢剤、濡れ性改良剤等の添加剤を含有してもよい。
基材は、コロナ放電、プラズマ処理、酸化処理等の表面処理が施されていてもよい。
基材の厚さは、当該ガスバリア性包装材の用途等に応じて適宜設定でき特に限定されないが、通常、1〜100μm程度である。
<他の層>
本発明のガスバリア性積層体は、必要に応じて、前記基材、層(A)および層(B)以外の他の層をさらに有してもよい。
本発明のガスバリア性積層体が有してもよい他の層としては、たとえば、ヒートシール可能な熱可塑性樹脂層(以下、ヒートシール層ともいう。)、前記基材とヒートシール層との間に設けられる中間フィルム層、印刷層等が挙げられる。また、各層をドライラミネート法やウェットラミネート法で積層する場合には、該積層のための接着層(ラミネート用接着剤層)を有してもよい。また、ヒートシール層を溶融押し出し法で積層する場合には、該積層のためのプライマー層やアンカーコート層などを有してもよい。
ヒートシール層は、袋状包装体などを形成する際に密封層として設けられるものである。ヒートシール層を有する場合、該ヒートシール層は、当該ガスバリア性包装材の少なくとも一方の最外層に配置される。ヒートシール層を最外層に有することで、該ガスバリア性積層体を袋状包装体などの形状に容易に加工でき、包装材料としての有用性が高まる。
ヒートシール層としては、公知のものを用いることができ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体またはそれらの金属架橋物等の樹脂の1種からなるフィルムが用いられる。
ヒートシール層の厚さは、目的に応じて決められるが、一般的には15〜200μmの範囲である。
ヒートシール層の積層方法としては、ヒートシール層を形成するフィルムを、ラミネート用接着剤層を形成するための接着剤(2液硬化型ウレタン樹脂など)を用いて貼り合わせるドライラミネート法等を用いることが一般的であるが、これに限定されず、公知の方法により積層することができる。
中間フィルム層は、ボイルおよびレトルト殺菌時の破袋強度を高めるために設けられる。中間フィルム層を構成するフィルムとしては、機械強度及び熱安定性の面から、二軸延伸ナイロンフィルム、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリプロレンフィルムの内から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
中間フィルム層の厚さは、材質や要求品質等に応じて決められるが、通常、10〜30μmの範囲内である。
中間フィルム層の積層方法としては、ラミネート用接着剤層を形成するための接着剤(2液硬化型ウレタン樹脂など)を用いて貼り合わせるドライラミネート法を用いることができる。
印刷層は、包装袋などとして実用的に用いるために形成される。
印刷層は、ウレタン系、アクリル系、ニトロセルロース系、ゴム系、塩化ビニル系等の従来から用いられているインキバインダー樹脂に各種顔料、体質顔料及び可塑剤、乾燥剤、安定剤等の添加剤などが添加されてなるインキにより構成される層であり、文字、絵柄等が形成された様態となっている。
印刷層は、グラビア印刷、フレキソ印刷等の公知の印刷法により形成できる。
ラミネート用接着剤層として用いられる接着剤としては、積層される各層の材質に応じてアクリル系、ポリエステル系、エチレン−酢酸ビニル系、ウレタン系、塩化ビニル−酢酸ビニル系、塩素化ポリプロピレン系などの公知の接着剤を用いることができる。
ヒートシール層または中間フィルム層の積層時に、ラミネート用接着剤層を形成するための接着剤の塗布方法としては、公知の塗布法を用いることができる。例えば、ロールコーター、リバースロールコーター、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、ナイフコーター、バーコーター、ワイヤーバーコーター、ダイコーター、ディップコーター等を用いて塗布できる。接着剤の塗布量としては、1〜10g/mが好ましい。
本発明のガスバリア性積層体の層構成は、当該ガスバリア性積層体の用途等を考慮して適宜設定できる。
包装材料として用いる場合の本発明のガスバリア性積層体の好ましい層構成例(a)〜(c)を以下に示す。ただし本発明のガスバリア性積層体はこれらの層構成例に限定されるものではない。
(a)基材/層(A)/層(B)/ラミネート用接着剤層/ヒートシール層。
(b)基材/層(A)/層(B)/印刷層/ラミネート用接着剤層/ヒートシール層。
(c)基材/層(A)/層(B)/ラミネート用接着剤層/中間フィルム層/ラミネート用接着剤層/ヒートシール層。
<ガスバリア性積層体の製造方法>
本発明のガスバリア性積層体は、例えば、基材上に、カルボキシ基を有するCNFを含む層(A1)と、多価金属化合物を含む層(B)とを有する積層体(以下「前駆積層体」ともいう。)を作製し、前記多価金属化合物または該多価金属化合物に由来する多価金属イオンを前記層(B)から前記層(A1)に転移させ、前記CNFが有するカルボキシ基と反応させることによって製造することができる。
前駆積層体の層構成は、層(A)が層(A1)となっている以外は、本発明のガスバリア性積層体の層構成と同じである。
以下、本発明のガスバリア性積層体の製造方法を、添付の図1を用い、基材/層(A)/層(B)の層構成を有するガスバリア性積層体を製造する場合を例に挙げて説明する。
この例のガスバリア性積層体の製造方法は、以下の工程(a)〜(c)を具備する。
工程(a):基材1上に、酸型のカルボキシ基を有するCNF(以下「H型CNF」ともいう。)を含む塗液L(層(A1)形成用塗液)を塗布し乾燥して層(A1)を形成する工程。
工程(b):前記層(A1)上に、多価金属化合物を含む塗液(層(B)形成用塗液)を塗布し乾燥して層(B)を形成する工程。
工程(c):前記多価金属化合物または該多価金属化合物に由来する多価金属イオンを前記層(B)から前記層(A1)に転移させ、前記H型CNFが有するカルボキシ基と反応させることによって、前記H型CNFを前記多価金属イオンでイオン架橋する工程。
[層(A1)形成用塗液]
層(A1)形成用塗液は、H型CNFを含有する。
層(A1)形成用塗液中のH型CNFの含有量は特に限定されないが、通常、層(A1)形成用塗液の総質量に対し、0.01質量%以上5質量%以下が好ましい。0.01質量%未満であると、成形体形成用組成物としては溶媒過多となってしまい、層(A1)をある程度の厚みまで厚くするのに手間がかかる。5質量%を超えると、H型CNF同士の絡み合いで粘度が上昇し、均一な攪拌が難しくなる。
層(A1)形成用塗液は、CNF以外に、前述したポリカルボン酸系重合体、無機層状化合物、他の成分等の任意成分をさらに含有してもよい。層(A1)形成用塗液中の任意成分の含有量は、層(A)中のCNFに対する任意成分の所望の割合に応じて設定される。
層(A1)形成用塗液の液体媒体(H型CNFを分散させる分散媒)としては、通常、水性媒体が用いられる。
水性媒体としては、水、または水と有機溶剤との混合液が挙げられる。該有機溶剤としては、水に溶解あるいは均一に混合し、かつCNFおよび無機層状化合物の分散性を損なわないものであれば特に限定されず、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等のアルコール、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類等が挙げられ、アルコールが好ましい。
水性媒体としては、水が特に好ましい。
層(A1)形成用塗液の調製方法は、特に限定されないが、例えば、H以外の1価カチオン(Na等)と塩を形成したカルボキシ基を有する塩型CNFの分散液を調製する工程(塩型CNF分散液調製工程)と、調製した塩型CNFの分散液中の塩型CNFのカルボキシ基の対イオンをHに交換する工程(酸型CNFへの変換工程)とを行うことにより調製できる。酸型CNFへの変換工程の後、必要に応じて、得られたH型CNFの分散液に、任意成分を添加する工程を行ってもよい。
〈塩型CNF分散液調製工程〉
塩型CNFの分散液は、市販のものを用いてもよく、公知の製造方法を利用して製造したものを用いてもよい。
以下、木材系天然セルロースから、N−オキシル化合物を用いた酸化反応により導入されたカルボキシ基を有する塩型CNFの分散液を調製する方法の一例を説明する。
この例の調製方法は、木材系天然セルロースを、N−オキシル化合物を用いて酸化して酸化セルロースを得る工程(酸化工程)と、該酸化セルロースを水性媒体中で微細化して塩型CNF分散液を調製する工程(微細化工程)とを含む。
(酸化工程)
木材系天然セルロースとしては、特に限定されず、針葉樹パルプや広葉樹パルプ、古紙パルプ、など、一般的にセルロースナノファイバーの製造に用いられるものを用いることができる。精製および微細化のしやすさから、針葉樹パルプが好ましい。
N−オキシル化合物としては、TEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−1−オキシラジカル)、2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン−1−オキシル、4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−エトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−アセトアミド−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、等が挙げられる。その中でも、TEMPOが好ましい。
N−オキシル化合物の使用量は、触媒としての量でよく、特に限定されない。通常、酸化処理する木材系天然セルロースの固形分に対して0.01〜5.0質量%程度である。
N−オキシル化合物を用いた酸化方法としては、木材系天然セルロースを水中に分散させ、N−オキシル化合物の共存下で酸化処理する方法が挙げられる。
このとき、N−オキシル化合物とともに、共酸化剤を併用することが好ましい。この場合、反応系内において、N−オキシル化合物が順次共酸化剤により酸化されてオキソアンモニウム塩が生成し、該オキソアンモニウム塩によりセルロースが酸化される。かかる酸化処理によれば、温和な条件でも酸化反応が円滑に進行し、カルボキシ基の導入効率が向上する。酸化処理を温和な条件で行うと、セルロースの結晶構造を維持しやすい。
前記共酸化剤としては、ハロゲン、次亜ハロゲン酸、亜ハロゲン酸や過ハロゲン酸、またはそれらの塩、ハロゲン酸化物、窒素酸化物、過酸化物など、酸化反応を推進することが可能であれば、いずれの酸化剤も用いることができる。入手の容易さや反応性から、次亜塩素酸ナトリウムが好ましい。
前記共酸化剤の使用量は、酸化反応を促進することができる量でよく、特に限定されない。通常、酸化処理する木材系天然セルロースの固形分に対して1〜200質量%程度である。
前記N−オキシル化合物および共酸化剤とともに、臭化物およびヨウ化物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物をさらに併用してもよい。これにより、酸化反応を円滑に進行させることができ、カルボキシル基の導入効率を改善することができる。
該化合物としては、臭化ナトリウムまたは臭化リチウムが好ましく、コストや安定性から、臭化ナトリウムがより好ましい。
該化合物の使用量は、酸化反応を促進することができる量でよく、特に限定されない。通常、酸化処理する木材系天然セルロースの固形分に対して1〜50質量%程度である。
前記酸化反応の反応温度は、4〜50℃が好ましく、10〜40℃がより好ましい。4℃以下であると、試薬の反応性が低下し反応時間が長くなってしまう。50℃以上であると副反応が促進して試料が低分子化し、成形体を形成した際の材料特性を損なってしまう。
前記酸化処理の反応時間は、反応温度、所望のカルボキシ基量等を考慮して適宜設定でき、特に限定されないが、通常、1〜5時間程度である。
前記酸化反応時の反応系のpHは、9〜11が好ましい。該pHは、20℃におけるpHである。pHが9以上であると反応を効率よく進めることができる。pHが11を超えると副反応が進行し、試料の分解が促進されてしまうおそれがある。
前記酸化処理においては、酸化が進行するにつれて、カルボキシ基が生成することにより系内のpHが低下してしまう。酸化処理中、反応系のpHを9〜11に保つことが好ましい。反応系のpHを9〜11に保つ方法としては、pHの低下に応じてアルカリ水溶液を添加する方法が挙げられる。アルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化リチウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、アンモニア水溶液、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液、水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液、水酸化テトラブチルアンモニウム水溶液、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム水溶液などの有機アルカリなどが挙げられる。コストなどの面から水酸化ナトリウム水溶液が好ましい。
pH9〜11の反応系では、生成したカルボキシ基がアルカリと反応して塩を形成する。そのため、この後の微細化工程で得られるCNFは、塩型となっている。たとえばpH調整に用いるアルカリ水溶液が水酸化ナトリウム水溶液の場合、得られるCNFは、カルボキシ基がNaと塩を形成するNa型である。
前記N−オキシル化合物による酸化反応は、反応系にアルコールを添加することにより停止させることができる。このとき、反応系のpHは前記の範囲内に保つことが好ましい。
添加するアルコールとしては、反応をすばやく終了させるためメタノール、エタノール、プロパノールなどの低分子量のアルコールが好ましく、反応により生成される副産物の安全性などから、エタノールが特に好ましい。
酸化処理後の反応液は、そのまま微細化工程に供してもよいが、N−オキシル化合物等の触媒、不純物等を除去するために、反応液に含まれる酸化セルロースを回収し、洗浄液で洗浄することが好ましい。
酸化セルロースの回収は、ガラスフィルターや20μm孔径のナイロンメッシュを用いたろ過等の公知の方法により実施できる。
酸化セルロースの洗浄に用いる洗浄液としては蒸留水が好ましい。
(微細化工程)
酸化セルロースを微細化する方法としてはまず、酸化セルロースに水性媒体を加えて懸濁させる。
水性媒体としては、前記と同様のものが挙げられ、水が特に好ましい。
必要に応じて、酸化セルロースや生成するCNFの分散性を上げるために、懸濁液のpH調整を行ってもよい。pH調整に用いられるアルカリ水溶液としては、前記酸化工程の説明で挙げたアルカリ水溶液と同様のものが挙げられる。
続いて該懸濁液に物理的解繊処理を施して、酸化セルロースを微細化する。
物理的解繊処理としては、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー、ボールミル、ロールミル、カッターミル、遊星ミル、ジェットミル、アトライター、グラインダー、ジューサーミキサー、ホモミキサー、超音波ホモジナイザー、ナノジナイザー、水中対向衝突などの機械的処理が挙げられる。
このような物理的解繊処理を行うことで、懸濁液中の酸化セルロースが微細化され、繊維表面にカルボキシ基を有する塩型CNFの分散液を得ることができる。このときの物理的解繊処理の時間や回数により、得られるCNF分散液に含まれる塩型CNFの数平均短軸径および数平均長軸径を調整できる。
上記のようにして、塩型CNFの分散液が得られる。
得られた分散液は、そのまま、または希釈、濃縮等を行って、酸型CNFへの変換工程に供することができる。また、該分散液中に含まれる塩型CNFを回収し、これを分散媒に分散させたものを酸型CNFへの変換工程に供してもよい。
〈酸型CNFへの変換工程〉
この工程では、塩型CNFのカルボキシ基の対イオンをHに交換する。
前項で得られた分散液中のCSFは、導入されたカルボキシ基が、H以外の1価カチオン(通常、Na)と塩を形成した塩型となっている。多価金属イオンによるイオン架橋を効率的に行うためには、塩型CNFの対イオンをHに変換してH型CNFとする必要がある。
H型CNFは、塩型CNF分散液のpHを、酸性水溶液を用いて3以下に調整することによって容易に調製することができる。
pH調整用の酸性水溶液としては特に限定しないが、扱いやすさの点から塩酸が好ましい。
ただし酸性水溶液を用いて塩型CNF分散液のpHを3以下に調整すると、Hへの変換と同時に、NaCl等の塩が発生する。該塩が発生すると、H型CNF同士の静電反発効果が遮蔽され、分散液中でH型CNFが凝集・ゲル化してしまい、そのままでは層(A1)形成用塗液として用いることができない。
したがって、ゲル化したH型CNFを再分散させるために、対イオンをHに交換した後、さらに、ゲル化したH型CNFを洗浄する工程(ゲル洗浄工程)を経る必要がある。
ゲル洗浄工程では、まず、ゲル化したH型CNFを希酸により洗浄して塩を除去したのち、蒸留水により洗浄して過剰な酸性分を除去し、さらに軽微な解繊処理を施す。これにより、均一に分散したH型CNF分散液を得ることができる。
ゲル洗浄を行う際の洗浄液として初めから蒸留水を用いてしまうと急激にpHが上昇し、H型CNFが塩型CNFへと再変換されてしまうおそれがある。
ゲル洗浄の方法としては、遠心分離、ナイロンメッシュ処理、透析処理などが挙げられる。
解繊処理方法としては、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー、ボールミル、ロールミル、カッターミル、遊星ミル、ジェットミル、アトライター、グラインダー、ジューサーミキサー、ホモミキサー、超音波ホモジナイザー、ナノジナイザー、水中対向衝突などを用いることができる。
こうして得られたH型CNF分散液は、良好な塗工性を有しており、そのまま層(A1)形成用塗液として用いることができる。例えば基材などに塗布し乾燥することによって層(A1)を形成することが可能である。または必要に応じて、H型CNF分散液に、ポリカルボン酸系重合体、無機層状化合物、その他の成分等を添加して層(A1)形成用塗液としてもよい。
なお、本発明において用いられるH型CNFは、上記の方法により得られるものに限定されない。
たとえば上記方法で原料として用いるセルロースの種類は木材系天然セルロースに限定されず、例えばコットンリンター、竹、麻、バガス、ケナフ、バクテリアセルロース、ホヤセルロース、バロニアセルロースといった非木材系天然セルロースを用いてもよい。材料調達の容易さおよび安定供給の面から、木材系天然セルロースが好ましい。
CNFは、前述のN−オキシル化合物による酸化処理および物理的解繊処理の組み合わせにより得られるものに限定されず、該酸化処理、希酸加水分解処理等による化学処理、物理的解繊処理、酵素処理等の公知の方法のいずれか1種を単独で用いて得られたものでも、2種以上を組み合わせて得られたものでもよい。また、バクテリアセルロースも、カルボキシ基が導入されるCNFとして用いることが出来る。積層体を形成した時の透明性を考慮すると、各種セルロース系材料を、前述のN−オキシル化合物による酸化処理および物理的解繊処理の組み合わせにより微細化したCNFを用いることが好ましい。
[工程(a)]
工程(a)では、基材1上に、層(A1)形成用塗液Lを塗布し乾燥して層(A1)を形成する。
層(A1)形成用塗液の塗布は、公知の塗布方法を用いて実施できる。例えば、ロールコーター、リバースロールコーター、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、ナイフコーター、バーコーター、ワイヤーバーコーター、ダイコーター、ディップコーター、スピンコーター等のコーターを用いて塗布できる。
層(A1)形成用塗液の乾燥は、熱風乾燥、熱ロール乾燥、赤外線照射など、公知の乾燥方法を用いて実施できる。乾燥条件としては、特に限定しないが、乾燥温度としては20℃以上200℃以下が好ましく、30℃以上150℃以下がより好ましい。20℃以下では水性媒体の除去に時間がかかりすぎてしまい、200℃以上ではCNFが熱分解し黄変してしまうおそれがある。
層(A1)形成用塗液の塗布量、塗布回数等によって、形成される層(A1)の厚み、ひいては層(A)の厚みを調整できる。
[工程(b)]
工程(b)では、前記層(A1)上に、多価金属化合物を含む塗液(層(B)形成用塗液)を塗布し乾燥して層(B)を形成する。
層(B)形成用塗液は、多価金属化合物と、多価金属化合物を分散または溶解させる液体媒体と、必要に応じて任意成分(分散剤、その他任意成分等)を混合することにより調製できる。
層(B)形成用塗液の液体媒体としては、水性媒体が好ましい。
水性媒体としては、水、または水と有機溶剤との混合液が挙げられる。該有機溶剤としては、水に溶解あるいは均一に混合し、かつ多価金属化合物の分散性または溶解性を損なわないものであれば特に限定されず、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等のアルコール、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類等が挙げられ、アルコールが好ましい。
水性媒体としては、水、または水とアルコールとの混合溶媒が特に好ましい。
層(B)形成用塗液の塗布は、公知の塗布方法を用いて実施できる。例えば、ロールコーター、リバースロールコーター、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、ナイフコーター、バーコーター、ワイヤーバーコーター、ダイコーター、ディップコーター、スピンコーター等のコーターを用いて塗布できる。
層(B)形成用塗液の乾燥は、熱風乾燥、熱ロール乾燥、赤外線照射など、公知の乾燥方法を用いて実施できる。乾燥条件としては、特に限定しないが、乾燥温度としては20℃以上200℃以下が好ましく、30℃以上150℃以下がより好ましい。20℃以下では水性媒体の除去に時間がかかりすぎてしまい、200℃以上では、隣接する層(A)中のCNFが熱分解し黄変してしまうおそれがある。
層(B)形成用塗液の塗布量、塗布回数等によって、形成される層(B)の厚みを調整できる。
[工程(c)]
上記のようにして、基材1上に、層(A)と、該層(A)に直接接する層(B)とを有する前駆積層体が得られる。
工程(c)では、得られた前駆積層体について、前記多価金属化合物または該多価金属化合物に由来する多価金属イオンを前記層(B)から前記層(A1)に転移させ、前記H型CNFが有するカルボキシ基と反応させる。これによって、前記H型CNFが前記多価金属イオンでイオン架橋し、層(A1)が層(A)となる。
工程(c)は、例えば、前駆積層体を相対湿度20%以上の雰囲気下に置くことにより実施できる。
前駆積層体を相対湿度20%以上の雰囲気下に置く方法としては、例えば、前駆積層体に対し、レトルト処理、ボイル処理、調湿処理のうちの少なくとも1種の処理を施す方法が挙げられる。
レトルト処理は、一般に食品等を保存するために、カビ、酵母、細菌などの微生物を加圧殺菌する処理である。レトルト装置は、加熱蒸気を利用する蒸気式、加圧過熱水を利用する熱水式等がある。前駆積層体のレトルト処理条件としては、105〜140℃、0.15〜0.3MPaで、10〜120分の条件が好ましい。
ボイル処理は、食品等を保存するため湿熱殺菌する処理である。ボイル処理は、通常、熱水槽を用いて行うが、一定温度の熱水槽の中に浸漬し、一定時間後に取り出すバッチ式と、熱水槽の中をトンネル式に通して殺菌する連続式がある。前駆積層体のボイル処理条件としては、60〜100℃、大気圧下で、10〜120分の条件が好ましい。
調湿処理は、前駆積層体を、10〜99℃、大気圧下、相対湿度20〜99%の雰囲気下に置くことである。調湿時間は、温度と湿度によってその最適な範囲が異なり、低温低湿度であるほど長時間の調湿を必要とし、高温高湿度であるほど短時間で処理を終えることができる。例えば、30℃で相対湿度70%の条件下では10時間以上、40℃で相対湿度90%の条件下では3時間以上、60℃で相対湿度90%の条件下では30分以上の調湿処理を行えば、充分にイオン架橋を進行させることができる。なお、層(B)の表面上に接着剤等を介して他の層(ヒートシール層等)をラミネートした場合は、ラミネートしていない場合に比べて充分なガスバリア性を発現するために必要な調湿時間は長くなる。
工程(b)の一部が工程(c)を兼ねてもよい。例えば工程(b)で層(B)形成用塗液を塗布、乾燥する際に、多価金属化合物または該多価金属化合物に由来する多価金属イオンの層(A1)への転移とイオン架橋が進行し得る。
工程(c)は、多価金属イオンによるイオン架橋をより効率的に促進する観点から、前駆積層体を高温熱水処理する工程を含むことが好ましい。
本発明において「高温熱水処理」とは、75℃以上(好ましくは80〜140℃)の水(水蒸気であってもよい。)に接触させる処理を意味する。
高温熱水処理としては、レトルト処理、ボイル処理等が挙げられる。
前駆積層体に施す高温熱水処理は1種のみでも2種以上の組み合わせでもよい。
なお、ここでは基材/層(A)/層(B)の層構成を有するガスバリア性積層体を製造する場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されない。
例えば工程(b)の後、工程(c)の前に、または工程(c)の後、必要に応じて、層(B)上に、中間フィルム層、ヒートシール層、印刷層などをさらに積層してもよい。また、各層をドライラミネート法やウェットラミネート法で積層するための接着層(ラミネート用接着剤層)や、ヒートシール層を溶融押出し法で積層する場合のプライマー層やアンカーコート層などを積層してもよい。
<作用・効果>
本発明のガスバリア性積層体は、前記層(A)を有することから、基材単独の場合に比べて、優れたガスバリア性を有する。該ガスバリア性は、低湿度条件下はもちろん、高湿度条件下でも良好である。すなわち、層(A)は、多数のCNFが緻密に積層したCNF積層膜である。CNFが緻密に集積した構造を有することから、膜内部の空隙サイズが非常に小さく、高い酸素バリア性を示す。また、CNF積層膜を形成するCNF同士が、多価金属イオンによりイオン架橋していることによって、CNF同士を架橋させない場合に比べて、ガスバリア性が高まり、さらに、吸湿による膜の膨潤が抑制されている。そのため、高湿度条件下でも良好な酸素バリア性を示す。
また、層(A)は、CNF同士を架橋させることで、CNF同士を架橋させない場合に比べて、膜凝集力も良好である。層(A)の膜凝集力が良好であることから、ガスバリア性積層体の層間密着性(例えば基材と層(A)との間の密着性、層(A)を介して積層した基材とヒートシール層との間の密着性等)も良好であり、実用上有用である。
したがって、本発明によれば、カーボンニュートラルな新規ガスバリア性積層体の実用化が可能となる。
本発明のガスバリア性積層体は、各種物品を包装する包装材として有用である。特に、ガスバリア性を有することから、酸素ガス、水蒸気、その他各種ガスによって変質や腐敗、劣化等が生じるおそれのある物品、例えば食品、医薬品、エレクトロニクス部品等、の包装に用いられる包装材料として有用である。具体的には、相対湿度70%、30℃の条件下で40cm/m・day・Pa以下、より好ましくは20cm/m・day・Pa以下の酸素バリア性があれば、食品用包装材料として実用化の可能性があり、本発明におけるガスバリア性積層体は該条件を十分に満たしている。
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明の技術範囲はこれらの実施形態に限定されるものではない。
以下の各例において、「%」は、特に断りのない限り、質量%(w/w%)を示す。
[実施例1]
<H型CNFの調製>
針葉樹クラフトパルプ70gを蒸留水3500gに懸濁し、蒸留水350gにTEMPOを0.7g、臭化ナトリウムを7g溶解させた溶液を加え、20℃まで冷却した。ここに2mol/L、密度1.15g/mLの次亜塩素酸ナトリウム水溶液450gを滴下により添加し、酸化反応を開始した。系内の温度は常に20℃に保ち、反応中のpHの低下は0.5Nの水酸化ナトリウム水溶液を添加することでpH10に保ち続けた。セルロースの質量に対して、水酸化ナトリウムが3.00mmol/gになったと時点で、過剰量のエタノールを添加し反応を停止させた。その後、ガラスフィルターを用いて蒸留水によるろ過洗浄を繰り返し、酸化パルプを得た。
前記TEMPO酸化で得た酸化パルプを固形分重量で0.1g量りとり、1%濃度で水に分散させ、塩酸を加えてpHを2.5とした。その後0.5N水酸化ナトリウム水溶液を用いた電導度滴定法により、酸化パルプ1g当たりのカルボキシ基量(mmol/g)を求めた。結果は1.6mmol/gであった。
前記TEMPO酸化で得た酸化パルプ1gを99gの蒸留水に分散させ、ジューサーミキサーで30分間微細化処理し、Na型CNFが固形分濃度1%で分散した水分散液(Na型CNF水分散液)を得た。該Na型CNF水分散液に含まれるNa型CNFの数平均短軸径は4nm、数平均長軸径は1110nmであった。
1M塩酸を用いて前記Na型CNF分散液のpHを1.6に調整したところ、CNF水分散液はゲル状に変化し、流動性および塗工性は失われた。これは酸性条件下で水素結合が形成されやすくなったことに加え多量の塩が発生したためCNF同士の静電反発力が遮蔽されることによりCNFの分散性が損なわれたためと考えられる。
ゲル状に変化した時点で、カルボキシ基の対イオンはNaからHに交換されているため、塩を除去するためにゲル洗浄を行った。
ゲル洗浄の際、ガラスフィルターなどを用いたろ過洗浄などではゲルが細孔を通過、あるいは細孔に詰まってしまうため、ポアサイズ20μmのナイロンメッシュによるろ過洗浄を採用した(一部試料がポアを通過し収率が下がるため、可能であれば遠心分離機による洗浄を推奨する。)。また、ゲル洗浄を行う際の洗浄液として初めから蒸留水を用いてしまうと急激にpHが上昇し、ゲル内に残っているナトリウムイオンによってH型CNFがNa型CNFへと再変換されてしまうおそれがある。これを防ぐため、初期段階の洗浄液には0.1Mの希塩酸を用いた。
希塩酸によるろ過洗浄を繰り返し行い、ナトリウムイオンをゲル内から除去したのち、蒸留水によってさらにろ過洗浄を行った。具体的には該希塩酸で5回ゲル洗浄を行ったのち、蒸留水で5回ゲル洗浄を行った。
こうして洗浄したCNFゲルに蒸留水を加え、ジューサーミキサーで30分間微細化処理し均一に再分散させることで、H型CNFが固形分濃度1%で分散した水分散液(H型CNF水分散液)を得た。該H型CNF水分散液に含まれるH型CNFの数平均短軸径は4nm、数平均長軸径は1100nmであった。
なお、該H型CNF水分散液を乾燥して得られた自立フィルムに関し蛍光X線装置(Rigaku、Supermini)を用いた元素分析を用いてナトリウムの残存量を測定したところ、未検出であった。
<層(A1)の形成>
前記H型CNF水分散液を層(A1)形成用塗液とし、これを、膜厚25μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に、バーコーター#100を用いて塗布し、120℃で30分乾燥して層(A1)を形成した。層(A1)形成用塗液の塗布量は、層(A1)の膜厚(乾燥後)が約1μmになる量とした。形成された層(A1)の膜厚は、反射分光式膜厚計(FE−3000、大塚電子)により確認した。
<層(B)の形成>
蒸留水67.0gに、酸化亜鉛超微粒子(堺化学工業株式会社製、FINEX50、平均一次粒子径20nm)を30.0g、分散剤としてポリアクリル酸ナトリウム(東亞合成株式会社製、アロンT−50:固形分濃度40%)を3.0g加えて、高速攪拌機(プライミクス株式会社製、T.K.フィルミックス)を用いて充分に分散させて、100.0gの酸化亜鉛超微粒子水分散液を得た。
この酸化亜鉛超微粒子水分散液25.0gに、蒸留水55.1gと、ポリエステル樹脂水性分散体(ユニチカ株式会社製、エリーテル KT−8803:固形分濃度30%、ポリエステル樹脂の数平均分子量は13,000、Tgは65℃、酸価は7mgKOH/g)4.1gと、水分散性イソシアネート化合物(Henkel製、Liofol HardenerUR5889−21:固形分濃度100%)0.45gとを加えて攪拌した後、IPA(イソプロピルアルコール)を10.3g加えて攪拌し、金属酸化物を含む層(B)形成用塗液を得た。
該層(B)形成用塗液を、前記層(A1)上に、バーコーター#50を用いて塗布し、120℃で10分乾燥して層(B)を形成した。これにより、基材/層(A1)/層(B)の層構成の積層体(I)を得た。
<ヒートシール層を貼り合わせる工程>
前記積層体(I)の層(B)側に、ラミネート用接着剤層を介してヒートシール層をドライラミネーション法により貼り合わせ、50℃、4日間養生した。これにより、基材/層(A1)/層(B)/ラミネート用接着剤層/ヒートシール層の層構成の積層体(II)を得た。
ヒートシール層としては、厚さが70μmの未延伸プロピレン(CPP)フィルム(RXC22、三井化学東セロ社製)を使用し、ラミネート用接着剤層を形成する接着剤としては、二液硬化型ポリウレタン系ラミネート用接着剤(A525/A52、三井化学ポリウレタン社製)を使用した。接着剤は、グラビアコート法により、乾燥後の塗布量が3.0g/mとなるように層(B)上に塗布した。
<多価金属イオンによりCNF同士をイオン架橋させる工程>
前記積層体(II)を、熱水貯湯式レトルト殺菌装置((株)日阪製作所製)を用いて、120℃、処理槽圧力2kgで30分間レトルト処理した。これにより、層(B)から層(A1)へ多価金属イオンを転移させ、該多価金属イオンによりCNF同士のイオン架橋を形成させ、層(A1)を層(A)とした。これにより、基材(PETフィルム)/層(A)/層(B)/ラミネート用接着剤層/ヒートシール層の層構成のガスバリア性積層体を得た。
[実施例2]
前記H型CNF水分散液に対し、H型CNFの固形分に対して10%に相当する量のポリアクリル酸(分子量:約30k)を添加し、これを層(A1)形成用塗液としたこと以外は実施例1と同様の方法にて、ガスバリア性積層体を作製した。
該ポリアクリル酸は、40%水溶液の形で、攪拌しながら少しずつH型CNF水分散液中に添加した。
[実施例3]
前記H型CNF水分散液に対し、H型CNFの固形分に対して20%に相当する量のポリアクリル酸(分子量:約30k)を添加し、これを層(A1)形成用塗液としたこと以外は実施例1と同様の方法にて、ガスバリア性積層体を作製した。
該ポリアクリル酸は、40%水溶液の形で、攪拌しながら少しずつH型CNF水分散液中に添加した。
[実施例4]
前記H型CNF水分散液に対し、H型CNFの固形分に対して30%に相当する量のポリアクリル酸(分子量:約30k)を添加し、これを層(A1)形成用塗液としたこと以外は実施例1と同様の方法にて、ガスバリア性積層体を作製した。
該ポリアクリル酸は40%水溶液の形で、攪拌しながら少しずつH型CNF水分散液中に添加した。
[実施例5]
前記H型CNF水分散液に対し、H型CNFの固形分に対して50%に相当する量のポリアクリル酸(分子量:約30k)を添加し、これを層(A1)形成用塗液としたこと以外は実施例1と同様の方法にて、ガスバリア性積層体を作製した。
該ポリアクリル酸は、40%水溶液の形で、攪拌しながら少しずつH型CNF水分散液中に添加した。
[実施例6]
前記H型CNF水分散液に対し、H型CNFの固形分に対して10%に相当する量の市販の合成マイカ(ソマシフ−ME100、コープケミカル社製)を添加し、これを層(A1)形成用塗液としたこと以外は実施例1と同様の方法にて、ガスバリア性積層体を作製した。
該合成マイカは、5%水懸濁スラリーの形で、攪拌しながら少しずつH型CNF分散液中に添加した。
[実施例7]
前記H型CNF水分散液に対し、H型CNFの固形分に対して10%に相当する量の市販の合成マイカ(PDM−5B、トピー工業社製)を添加し、これを層(A1)形成用塗液としたこと以外は実施例1と同様の方法にて、ガスバリア性積層体を作製した。
該合成マイカは、5%水懸濁スラリーの形で、攪拌しながら少しずつH型CNF分散液中に添加した。
[実施例8]
レトルト処理を行わなかったこと以外は、実施例1同様の方法にて、ガスバリア積層体を作製した。
[比較例1]
前記H型CNF水分散液の代わりに、前記Na型CNF水分散液を層(A1)形成用塗液として用いたこと以外は実施例1と同様の方法にて、ガスバリア性積層体を作製した。
[比較例2]
層(B)を形成しなかったこと以外は実施例1同様の方法にて、ガスバリア積層体を作製した。
[比較例3]
レトルト処理を行わなかったこと以外は比較例1と同様の方法にて、ガスバリア積層体を作製した。
各実施例および比較例で得られたガスバリア性積層体について、下記の評価を行った。結果を表1に示す。なお、実施例1、6〜8は参考例である。
<酸素透過度(等圧法)の測定>
ガスバリア性積層体の酸素透過度(cm/m・day・Pa)を、酸素透過度測定装置MOCON−OXTRAN(モダンコントロール社製)を用いて、30℃・70%RH雰囲気下で測定した。
<膜密着強度の測定>
ガスバリア性積層体を幅15mm×長さ10cmの短冊状に切り抜き、試験片とした。該試験片について、JIS−K−7127に準拠して、引張り速度300mm/minでT字剥離を行い、基材(PETフィルム)とヒートシール層(CPPフィルム)との間の密着強度(N/15mm)を測定した。試験環境は25℃・70%RHとした。
Figure 0006331262
酸素透過度測定の結果において、実施例1、比較例1〜3の対比から、H型CNFを含むCNF層と、多価金属化合物を含む層とを積層し、該積層体にさらにレトルト処理を施すことによって、得られるガスバリア性積層体の高湿度下における酸素バリア性が著しく向上することが確認された。これは、CNFがH型であり、かつレトルト処理により水と熱エネルギーの両方が該積層体に与えられることによって、多価金属イオンによるCNF同士の架橋が効率よく進行し、高湿度下におけるCNF含有層の吸湿および膨潤が抑制されたためと考えられる。
また、実施例1と実施例8との対比から、H型CNFを含むCNF層の上に、多価金属化合物を含む層を設けるだけでも、ある程度酸素バリア性が改善することが確認された。しかしその改善効果は、レトルト処理を行った場合に比べて小さかった。これは、多価金属イオンによるイオン架橋が、実施例1ほどには進行していないためと推測される。
また、実施例1〜5の結果から、CNF層にPAAを添加することによって、得られるガスバリア性積層体の高湿度下における酸素バリア性が大幅に向上するとともに、層間密着性も改善することが確認された。これは、PAAを介してCNF同士がより密に架橋したためと推測される。
また、実施例1、6、7の結果から、CNF層に無機層状化合物を添加することによって、得られるガスバリア性積層体の高湿度下における酸素バリア性が大幅に改善することが確認された。しかし、無機層状化合物の添加は、ガスバリア性積層体の層間密着性を低下させる傾向があることも確認された。したがって、ガスバリア性積層体を実用的に用いるためには、無機層状化合物の添加量をさらに少量にする、CNF層の膜密着力の改善を目的としてバインダーとなるポリマーなどを添加する、といった工夫を行うことが好ましい。
上記のとおり、H型のCNFを含むCNF層に隣接して多価金属化合物を含む層を形成することによって、さらにはレトルト処理等の高温熱水処理を行うことによって、ガスバリア性積層体の高湿度下における酸素バリア性が改善する。
その改善効果は、多価金属化合物を含む層の形成後、さらにレトルト処理等の高温熱水処理を行うことでさらに向上する。
また、CNF層に、ポリカルボン酸系重合体や無機層状化合物を添加することによって、ガスバリア性積層体の高湿度下における酸素バリア性がさらに向上する。特にポリカルボン酸系重合体を添加した場合は、CNF層の膜密着力も同時に改善し、ガスバリア性積層体の層間密着性が向上する。
したがって、本発明により、低環境負荷プロセスにより作製された、カーボンニュートラルで実用性の高いガスバリア材の提供が可能となる。
1 …基材
A …層(A)
A1 …層(A1)
B …層(B)

Claims (10)

  1. 基材上に、カルボキシ基を有するセルロースナノファイバーを含む層(A)と、多価金属化合物を含む層(B)とを有し、
    前記層(A)と前記層(B)とが接しており、
    前記層(A)中の前記セルロースナノファイバーが、前記多価金属化合物に由来する多価金属イオンによりイオン架橋しており、前記多価金属イオンによるイオン架橋前の前記セルロースナノファイバーが酸型であり、
    前記層(A)中の前記セルロースナノファイバーの含有量が、前記層(A)の総質量に対し、50質量%以上であり、
    前記層(A)がポリカルボン酸系重合体を含み、前記ポリカルボン酸系重合体の含有量が、前記層(A)中の前記セルロースナノファイバーの含有量100質量%に対し、10〜50質量%であり、
    前記層(B)がイソシアネート化合物をさらに含むことを特徴とするガスバリア性積層体。
  2. 前記セルロースナノファイバーの数平均短軸径が1nm以上100nm以下であり、数平均長軸径が100nm以上であり且つ前記数平均短軸径の50倍以上である請求項1に記載のガスバリア性積層体。
  3. 前記カルボキシ基が、N−オキシル化合物を用いた酸化反応によって導入されたものである請求項1または2に記載のガスバリア性積層体。
  4. 前記カルボキシ基の含有量が、前記セルロースナノファイバー1g当たり0.1mmol以上5.0mmol以下である請求項1〜3のいずれか一項に記載のガスバリア性積層体。
  5. 前記多価金属化合物が2価の金属化合物である請求項1〜4のいずれか一項に記載のガスバリア性積層体。
  6. 前記2価の金属化合物が酸化亜鉛である請求項5に記載のガスバリア性積層体。
  7. 前記層(A)が無機層状化合物をさらに含む請求項1〜のいずれか一項に記載のガスバリア性積層体。
  8. 前記層(A)中の前記無機層状化合物の含有量が、前記セルロースナノファイバーの含有量に対して0.01質量%以上20質量%以下である請求項に記載のガスバリア性積層体。
  9. 請求項1〜のいずれか一項に記載のガスバリア性積層体を製造する方法であって、
    基材上に、酸型のカルボキシ基を有するセルロースナノファイバーと、ポリカルボン酸系重合体とを含む塗液を塗布し乾燥して層(A1)を形成する工程(a)と、
    前記層(A1)上に、多価金属化合物とイソシアネート化合物を含む塗液を塗布し乾燥して層(B)を形成する工程(b)と、
    前記多価金属化合物または該多価金属化合物に由来する多価金属イオンを前記層(B)から前記層(A1)に転移させ、前記セルロースナノファイバーが有するカルボキシ基と反応させることによって、前記セルロースナノファイバーを前記多価金属イオンでイオン架橋し、前記層(A)を形成する工程(c)と、を具備し、
    前記ポリカルボン酸系重合体の含有量が、前記塗液中の前記セルロースナノファイバーの含有量100質量%に対し、10〜50質量%であることを特徴とするガスバリア性積層体の製造方法。
  10. 前記工程(c)が、前記層(A1)と前記層(B)とを有する積層体を高温熱水処理する工程を含む請求項に記載のガスバリア性積層体の製造方法。
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