JP6268746B2 - ガスバリア層形成用の塗工液及びその製造方法、ガスバリア性積層体及び包装材料 - Google Patents

ガスバリア層形成用の塗工液及びその製造方法、ガスバリア性積層体及び包装材料 Download PDF

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Description

本発明は、ガスバリア層形成用の塗工液及びその製造方法、ガスバリア性積層体及び包装材料に関し、特に、セルロース系材料によるガスバリア性を高湿度下でも維持し、劣化因子となる水蒸気などの膜内へ浸入・浸透を抑制することができ、膜強度の湿度劣化が小さいガスバリア層を作成可能な塗工液及びその製造方法、ガスバリア性積層体及び包装材料に関する。
食品や医薬品をはじめとする包装材料分野では、内容物を保護するために、包装材料を透過する酸素や水蒸気などの気体を遮断するガスバリア性が求められる。
従来、ガスバリア性材料としては温度や湿度の影響が少ないアルミニウムやポリ塩化ビニリデンが用いられてきた。しかしながら、これらを焼却処分する際には、アルミニウムにおいては焼却残渣が排気口や炉内部で詰まり焼却効率を下げてしまう問題、ポリ塩化ビニリデンにおいてはダイオキシンが発生してしまう等の問題が生じてしまうため、環境負荷の少ない材料への代替が求められている。例えば、特許文献1にあるように、同じ化石資源から作られる材料であっても、アルミニウムや塩素を含まないポリビニルアルコールやエチレンビニルアルコール共重合体への一部代替が進められているが、さらに、将来的には、石油由来材料からバイオマス材料への代替が期待されている。
そこで、新たなガスバリア材料としてセルロース系材料が注目されている。地球上で生産されるバイオマス材料の約半分を占めるセルロースは、生分解性を有することに加え、強度、弾性率、寸法安定性、耐熱性、結晶性などの物理特性にも優れているため、機能性材料への応用が期待されている。
特に、特許文献2及び3にあるように、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジン−N−オキシラジカル(以下TEMPOという。)触媒による酸化反応から得られるセルロースを分散処理して得られるセルロースナノファイバーは、前記セルロース系材料の性質に加え、透明性、乾燥条件下におけるガスバリア性に優れた膜を形成することが知られている。また、特許文献4では、セルロースナノファイバー層の他に防湿層を一層設けたガスバリア性フィルムが報告されている。さらに、水溶性高分子を添加することで屈曲性に優れ、且つ高湿度環境下においても高いガスバリア性を示す積層体が報告されている。
特開平7−164591号公報 特開2008−308802号公報 特開2008−1728号公報 特開2009−57552号公報
しかしながら、セルロースナノファイバーから成る膜は、高湿度条件下ではセルロースの吸湿・膨潤により、膜強度などの性能が低下してしまう問題がある。また特許文献5に記載の水溶性高分子を添加したガスバリア性フィルムでは吸湿・膨潤の影響はある程度抑えられるものの十分な効果は得られていないため、上記問題を解決するためにはセルロースナノファイバー膜自体をさらに耐湿化する方法が求められる。
そこで、本発明では、セルロース系材料によるガスバリア性を高湿度下でも維持し、劣化因子となる水蒸気などの膜内へ浸入・浸透を抑制することができ、膜強度の湿度劣化が小さい膜を作成可能なガスバリア層形成用の塗工液及びその製造方法、ガスバリア性積層体及び包装材料を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るガスバリア層形成用の塗工液は、セルロースナノファイバーを液体中に分散させたセルロースナノファイバー分散液と、水溶性高分子と、無機層状化合物と、撥水剤とを有することを特徴とする。ここで、セルロースナノファイバーとは、セルロースファイバー(セルロース繊維)のうち、特に繊維幅がナノメートルオーダーと極めて小さい(例えば、数nm以上、数十nm以下)セルロースファイバーのことを意味する。
また、上記のガスバリア層形成用の塗工液において、前記セルロースナノファイバーの繊維幅は3nm以上、50nm以下であることを特徴としてもよい。
本発明の別の態様に係るガスバリア層形成用の塗工液の製造方法は、セルロースナノファイバーを液体中に分散させたセルロースナノファイバー分散液に、水溶性高分子と、無機層状化合物と、撥水剤とを添加する調液工程、を備えることを特徴とする。
また、上記のガスバリア層形成用の塗工液の製造方法において、前記調液工程では、前記液体中でセルロースファイバーに酸化処理と解繊処理とを施すことによって、前記セルロースナノファイバー分散液を作成することを特徴としてもよい。
また、上記のガスバリア層形成用の塗工液の製造方法において、前記調液工程では、前記水溶性高分子を含む溶液と前記無機層状化合物とを混合して混合液を作成し、作成した前記混合液を前記セルロースナノファイバー分散液に添加することを特徴としてもよい。
また、上記のガスバリア層形成用の塗工液の製造方法において、前記調液工程では、前記水溶性高分子を含む溶液と前記無機層状化合物とを加熱しながら混合することを特徴としてもよい。
本発明のさらに別の態様に係るガスバリア性積層体は、基材と、前記基材の少なくとも一方の面に形成されたガスバリア層とを備え、前記ガスバリア層は、上記の塗工液を前記少なくとも一方の面に塗布し乾燥することにより形成されることを特徴とする。
本発明のさらに別の態様に係る包装材料は、上記のガスバリア性積層体と、前記ガスバリア性積層体の前記塗工膜を有する面上に接着層を介して取り付けられたヒートシール可能な熱可塑性樹脂層と、を備えることを特徴とする。
本発明の一態様によれば、セルロース系材料を利用することで、環境負荷の少ない塗工液を提供することができる。また、セルロースナノファイバーと無機層状化合物、水溶性高分子、撥水剤から成る塗工液を用いることで、高湿度環境下においても劣化因子となる水蒸気などの浸入・浸透を抑制することで膜強度を維持しつつ、さらに優れたガスバリア性を示すことが可能な膜を作成することができる。
また、撥水剤を含む塗工液を用いることで、セルロースナノファイバーへの水の吸着・膨潤を抑制することができ、繊維同士の絡み合いを維持することで高湿度下でも膜強度が強く、基材との密着が改善された膜を作成することができる。
本発明のガスバリア性積層体の構成の一態様を示す模式図である。 本発明のガスバリア性積層体の構成の一態様を示す模式図である。
(塗工液)
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。本発明の実施形態に係るガスバリア層形成用の塗工液はセルロースナノファイバーと水溶性高分子、無機層状化合物、撥水剤から構成される。
本発明の実施形態に係る塗工液に含まれるセルロースナノファイバーとしては、その繊維幅が、3nm以上50nm以下、長さ数μmのものを用いることができる。繊維幅が前記範囲内であると、透明、且つ強度の高い膜を得ることができる。特に、繊維幅が3nm以上10nm以下の範囲内が好適であり、繊維同士の絡み合いがより緻密となるため、ガスバリア性や強度などの性能に優れた膜を得ることができる。
ここで、セルロースナノファイバーの繊維幅測定は、0.001質量%セルロースナノファイバー水分散液をマイカ基板上に1滴落とし、乾燥させたものをサンプルとして用いることができる。測定方法は、例えば、表面形状をAFM(ナノスコープ、日本ビーコ社製)により観察し、マイカ基材と繊維の高低差を繊維幅とみなし、計測を行う。
また、繊維の絡み合いが密であるかどうかは、例えば、SEM(S−4800、日立ハイテクノロジーズ社製)を用いた表面観察や、キャストフィルムの比重を測定することで判断することができる。キャストフィルムの比重の測定については、デジタル比重計(AND−DMA−220、安藤計器製工所製)を用いて測定することができ、サンプルであるキャストフィルムは、セルロースナノファイバー水分散液をポリスチレン製の角型ケース内に所定量流し込み50℃、24時間加熱乾燥することにより作製することができる。
セルロースナノファイバーを含む膜については、表面観察によれば、繊維間に生じる隙間の数や大きさが小さいほど、また、比重の測定によれば、比重が高くなるほど、繊維幅が小さく、繊維の絡み合いが密な膜が得られる。従って、さらに繊維間の隙間をなくしていくことで、膜内への水蒸気などの劣化因子の浸入・浸透を防ぎ、高湿度下におけるガスバリア性低下を抑制することができる。
そこで、本発明の実施形態では、膜中のセルロースナノファイバー間に存在する隙間を充填することのできる材料として、ガスバリア層に、セルロースと相性の良い水溶性高分子が含まれることが好ましい。セルロースナノファイバーと水溶性高分子を混合して作製した複合化膜は、水蒸気や汚れなど劣化因子の浸入・浸透を抑制し、その結果、高湿度環境下においても優れたガスバリア性を示す膜となる。
中でも、合成高分子類からは、ポリビニルアルコールを用いることが特に好ましい。造膜性、透明性、柔軟性などに優れるポリビニルアルコールは、セルロースファイバーとの相性も良いため、容易に繊維間、繊維−無機層状化合物間の隙間を充填し、強度と密着性を併せ持つ膜を作ることができる。一般に、ポリビニルアルコール(PVA)は、ポリ酢酸ビニルをけん化して得られるものであるが、酢酸基が数十%残存している、いわゆる部分けん化PVAから酢酸基が数%しか残存していない完全けん化PVAまでを含む。
水溶性高分子としてポリビニルアルコールを用いる場合、セルロースナノファイバー(A)と、ポリビニルアルコール(B)との質量比((A)/(B))は、50/50〜95/5の範囲内であることが特に好ましい。ポリビニルアルコールのうち、部分けん化PVAを添加する場合、この範囲から外れて、ポリビニルアルコールの質量がセルロースナノファイバーの質量に比べて多くなると、プラスチック材料を用いた基材に対する濡れ性は向上するも、コーティング剤が泡立ちやすい液となるため、好ましくない。一方、ポリビニルアルコールのうち、完全けん化PVAを添加する場合、この範囲から外れて、ポリビニルアルコールの質量がセルロースファイバーの質量に比べて多くなると、泡立ちの少ない液となるがプラスチック材料を用いた基材に対する濡れ性が低下し、ハジキ等の原因となるため、好ましくない。
本発明の実施形態では、以下の方法により、セルロースファイバーから、セルロースナノファイバーの分散体であるセルロースナノファイバー分散液を得ることができる。まず、水又は水/アルコール中にて、天然セルロース原料に、酸化触媒であるN−オキシル化合物と酸化剤を作用させることで、セルロースのミクロフィブリル表面を酸化処理する。次に、不純物を除去した後、水又は水/アルコール混合液中にて分散処理を施すことで、セルロースファイバーを解繊し、水又は水/アルコール混合液中にセルロースナノファイバーを分散させたセルロースナノファイバー分散液を得ることができる。
原料の天然セルロースは、針葉樹や広葉樹などから得られる各種木材パルプ、又はケナフ、バガス、ワラ、竹、綿、海藻などから得られる非木材パルプ、ホヤから得られるセルロース、微生物が生産するセルロース等を用いることができる。また、結晶構造については、セルロースI型のものが好ましい。
酸化触媒としては、N−オキシル化合物、共酸化剤及び酸化剤を含む溶液又は懸濁液を使用する。N−オキシル化合物は、TEMPOや、4−アセトアミド−TEMPO、4−カルボキシ−TEMPO、4−フォスフォノオキシ−TEMPOなどのTEMPO誘導体を用いることができる。共酸化剤は、臭化物又はヨウ化物が好ましく、例えば、臭化アルカリ金属やヨウ化アルカリ金属を挙げることができ、特に、反応性の良い臭化ナトリウムが好ましい。酸化剤は、ハロゲン、次亜ハロゲン酸やその塩、亜ハロゲン酸やその塩、過酸化水素などを用いることができるが、次亜塩素酸ナトリウムが好ましい。
セルロース原料及び酸化触媒を含む反応液のpHは、酸化反応を効率よく進行させる点からpH9以上pH12以下の範囲内であることが好ましい。酸化反応の温度条件は、5℃以上70℃以下の範囲内であれば良いが、反応温度が高くなると副反応が生じやすくなることを考慮し50℃以下が好ましい。
酸化処理を施したセルロースは、ミクロフィブリル表面にカルボキシル基が導入され、さらに、該カルボキシル基同士の静電反発による浸透圧効果が、ナノオーダーのミクロフィブリルを独立(分散)しやすくする。特に、分散媒として水を用いた場合、最も安定な分散状態を有する。ただし、乾燥条件、液物性の改良・制御など種々の目的に応じて、アルコール類(エタノール、メタノール、イソプロパノール、tert−ブタノール)を始め、エーテル類、ケトン類を含んでもよい。
また、分散方法としては、例えば、ミキサー、高速ホモミキサー、高圧ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、グラインダー磨砕、凍結粉砕、メディアミル、ボールミルの何れか或いはこれらを組み合わせて用いることができる。
本発明の実施形態に係る塗工液には、無機層状鉱物が含まれている。無機層状鉱物としては、カオリナイト、ディッカイト、ナクライト、ハロイサイト、アンチゴライト、クリソタイル、パイロフィライト、モンモリロナイト、バイデライト、ヘクトライト、サポナイト、スチーブンサイト、テトラシリリックマイカ、ナトリウムテニオライト、白雲母、マーガライト、タルク、バーミキュライト、金雲母、ザンソフィライト、緑泥石などを用いることができる。市販品としては、スメクタイト系の粘土鉱物に属するサポナイト構造を有するスメクトンSA(クニミネ工業社製)、ソジウム型のモンモリロナイトであるクニピア−F(クニミネ工業社製)、合成マイカPDM−5B(トピー工業社製)、精製された天然ベントナイトであるベンゲル(豊順洋行製)等を用いることができる。また、層状鉱物に対して有機化合物を複合化したものであってもよい。例えば、長鎖アルキル基を有する第4級アンモニウムイオンをイオン交換によって層間にインターカレートした複合体が挙げられる。市販品としては、ベントン27、ベントン38(エレメンティススペシャリティーズ社製)等が挙げられる。
また、本発明の実施形態において、塗工液に含まれるセルロースナノファイバー及び無機層状化合物の質量比(セルロースナノファイバーの質量/無機層状化合物の質量)は、99/1〜25/75の範囲内であることが好ましい。無機層状化合物の配合量が少ないとガスバリア性を十分に得ることができず、多すぎると無機層状化合物の薄片化が不十分となるため膜のガスバリア性、膜強度、密着性に加え透明性も劣ってしまうため好ましくない。特にセルロースナノファイバーと無機層状化合物の相溶性が悪い場合、無機層状化合物の配合量が多いと膜強度が極端に低くなる傾向がある。
さらに、本発明の実施形態において、塗工液には、撥水剤が含まれている。撥水剤としては、一般的に紙への適度疎水性付与、液体の浸透を制御のために使用されているものを用いることができる。具体的にはフッ素樹脂エマルジョン、ジメチルシリコーンエマルジョン、オレフィン系エマルジョン、アルキルリン酸エステル水溶液等が挙げられる。エマルジョンタイプの撥水剤は加熱することで溶融し、繊維の表面を覆う。これによって繊維表面の親水基が水と相互作用できなくなるため繊維に疎水性が付与される。また溶液タイプの撥水剤は、非極性基と極性基を併せ持つ。極性基が繊維に吸着し、非極性基を外側に向けるため繊維の表面に疎水性が付与される。これ等の非極性基と極性基とを併せ持つ合成高分子を撥水剤として使用することができる。
また、本発明の実施形態において、塗工液に含まれるセルロースナノファイバー及び撥水剤の質量比(セルロースナノファイバーの質量/サイズ剤の質量)は、99.99/0.01〜80/20の範囲内であることが好ましい。サイズ剤の添加量が少ないと耐湿性が十分に得ることができず、多すぎるとセルロースナノファイバーの繊維同士の絡み合いや水酸基等の相互作用が疎になるために膜強度が弱くなるため好ましくない。
さらに、本発明の実施形態において、塗工液に含まれる撥水剤がエマルジョンタイプの場合は、塗工後に乾燥させることでエマルジョンが溶融し、耐湿化することができる。この際の乾燥温度は40℃以上140℃以下が好ましい。乾燥温度が40℃以下であると十分にエマルジョンが溶融することができず、繊維表面の耐湿化が十分に進行しない。また、140℃以上で乾燥させた場合、撥水剤の非極性基の配向性が失われ、十分な耐湿性が得られない。
また、本発明の実施形態において、塗工液に含まれる撥水剤が溶液型であり、スチレンなどのかさ高い骨格を持つ撥水剤を使用した場合、添加量が多くなると繊維同士の隙間が大きくなりバリア性が悪化する傾向がある。また、疎水基が大きい場合はこの隙間がより大きくなるため、繊維同士の水素結合を阻害してラミネート強度が低下する。疎水基として使用される合成高分子の骨格は小さいものほどバリア性・ラミネート強度に影響を与えにくく好ましい。
さらに、撥水剤に使用される原料樹脂の硬さもラミネート強度に影響を及ぼす。Tgが高く、硬い樹脂を使用した場合、塗工後に得られる膜が脆くなり、強度不足となる場合がある。
また、本発明の実施形態において、撥水剤は水で希釈して使用することができる。撥水剤をスターラーで攪拌しながら純水を添加することで5%以下にして使用することが好ましい。5%以上で使用すると粘度が高過ぎて均一に分散しにくい、塗工しにくいなどの問題がある。
また、撥水剤の添加をする場合、撥水剤と無機層状化合物又はセルロースファイバーが電気的に凝集物を発生させることがある。その場合、セルロース分散液・無機層状化合物・水溶性高分子の分散液や撥水剤の水溶液の濃度を希釈することで凝集物の発生を抑えることができる。
(塗工液の製造方法)
次に、本発明の実施形態に係るガスバリア層形成用の塗工液の製造方法について説明する。ガスバリア層の塗工液の調液方法としては、解繊したセルロース分散液(即ち、セルロースナノファイバー分散液)に、無機層状化合物の分散液、水溶性高分子水溶液、撥水剤を添加し、攪拌して混合する方法を採ることができる。
また、無機層状化合物は、水溶液に含まれるセルロースファイバーの解繊処理の際に添加することもできる。セルロースファイバーの解繊処理と無機層状化合物の剥離を同時処理する工程を含むことができ、分散手段としては、ミキサー処理、ブレンダー処理、超音波ホモジナイザー処理、高圧ホモジナイザー処理、ボールミル処理から選ばれる1又は2つ以上を用いることができる。この場合、水溶性高分子は解繊処理の前後の何れでも添加することができる。
前述の分散手段を用いることにより、水溶液中でセルロースファイバーの解繊及び無機層状化合物の薄片化を同時処理することができる。予めセルロースファイバー、無機層状化合物を各自分散させた水溶液を混合しても、各材料が均一に混合されず、本発明の実施形態のように透明性、ガスバリア性に優れた膜を得ることはできない場合がある。
また、前述の分散手段を用いることにより、無機層状化合物は薄片化が進行すると共に微細化される。この処理を行うことで粗大な粒子を細かくすることが可能である。粗大粒子が存在する場合、膜表面から無機粗大粒子が突き出し、接着剤が均一に塗工できないことから密着性が低下する場合がある。
さらに、セルロースナノファイバー分散液、撥水剤、無機層状化合物、或いはセルロースナノファイバー分散液、水溶性高分子、サイズ剤、無機層状化合物を混合し、その混合液を加熱する手法も用いることができる。
上記の手法を用いることで熱エネルギーにより分散液中の無機層状化合物を剥離することができる。加熱温度、時間は40℃以上100℃以下で10分以上20時間以下の加熱時間であれば良いが、層状化合物が割れてしまい、バリア性が低下することを考慮し、40℃以上90℃以下、10分以上5時間以下が好ましい。また、無機層状化合物の剥離を行う際に超音波ホモジナイザー、高圧ホモジナイザーを用いると無機層状化合物が粉砕され、バリア性が悪化する場合もある。
セルロースナノファイバー分散液と撥水剤の混合液に、水溶性高分子と無機層状化合物の混合液を添加する手法も用いることができる。即ち、水溶性高分子と無機層状化合物の混合液を予め作成しておく。そして、作成した混合液を、セルロースナノファイバー分散液と撥水剤の混合液に添加する。セルロースナノファイバー分散液に撥水剤を加えることで撥水剤が繊維に吸着し易くなり、効率的に耐湿化することができる。また、無機層状化合物と水溶性高分子を先に混合した場合の方がバリア性の良好な膜が得られる。これは効率よく無機層状化合物の層間に水溶性高分子が入り込むことで層間を広げ、より複雑な構造を持つ膜を作ることができるためである。
また、上記の水溶性高分子と無機層状化合物の混合液を加熱することもできる。例えば、セルロースナノファイバー分散液(又は、セルロースナノファイバー分散液と撥水剤の混合液)に水溶性高分子と無機層状化合物の混合液を添加する前に、該混合液(即ち、水溶性高分子と無機層状化合物の混合液)を加熱する。これにより、無機層状化合物が剥離し、より高いバリア性を得ることができる。加熱温度、時間は40℃以上100℃以下で10分以上20時間以下の加熱時間であれば良いが、層状化合物が割れてしまい、バリア性が低下することを考慮し、40℃以上90℃以下、10分以上5時間以下が好ましい。ただし、この手法を採った場合、加熱をせず、10分以上20時間以下の攪拌を行うだけでも一定の効果が得られる。また、この処理を行うことで無機層状化合物の表面積が広がるため、水溶性高分子が十分に添加されていない場合は、セルロースナノファイバーと無機層状化合物の隙間を埋めることができなくなり膜強度や密着性が悪くなる場合がある。
また、無機層状化合物の層間に存在する陽イオンを置換する方法もとることができる。アンモニア、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウムなどのイオンを含む溶液と接触すると、層間陽イオンと液中の陽イオンは瞬間的に交換反応を起こすため陽イオン交換をすることができる。無機層状化合物を添加する手順の中でこの手法を採ることで層間を開き、より高いバリア性を得ることができる。この手順は、無機層状化合物の分散液の状態で行うことができるが、セルロース分散液に添加した後、PVA溶液に添加後の何れの工程でも行うことができる。
他にも無機層状化合物を凍結粉砕する。乾燥させた後、乳鉢で粉砕するなどの手法を採ってから系内に添加する手法もとることができる。これ等の手法を採ることで無機層状化合物を細かくし、複雑な構造を採ることができるためバリア性を向上することができる。
このように塗工液に含まれる材料の分散状態は、膜化した際の透明性やガスバリア性、膜強度、密着性に多大な影響を及ぼす。特に、分散が不十分・不均一であると膜の透明性やガスバリア性、膜強度、密着性が著しく低下してしまう。膜中の無機層状化合物の層間に水溶性高分子が入り込むことでバリア性が向上し、また無機層状化合物とセルロースナノファイバーの間の隙間を水溶性高分子が埋めることで膜強度が向上する。また膜表面の平滑性が失われてしまう等の問題も生じる。無機層状化合物を微細化して分散させることで平滑性が保たれ、密着性の高い膜を作ることができる。
また、塗工液には、機能性付与のために、さらに添加剤を加えても良い。例えば、レベリング剤、消泡剤、合成高分子、無機系粒子、有機系粒子、潤滑剤、紫外線吸収剤、染料、顔料或いは安定剤などを用いることができ、これらはガスバリア性を損なわない範囲内でコーティング液に添加することができ、用途に応じてフィルム特性を改良することもできる。
(ガスバリア層)
本発明の実施形態では、上記の塗工液を基材の少なくとも一方の面上に塗布し乾燥することによって、基材の少なくとも一方の面にガスバリア層を形成する。
ガスバリア層の形成方法としては、公知の塗布法を用いることができ、例えば、ロールコーター、リバースロールコーター、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、ナイフコーター、バーコーター、ワイヤーバーコーター、ダイコーター、ディップコーター等を用いることができる。以上の塗布方法を用いて、基材の少なくとも一方の面に塗布する。乾燥方法としては、自然乾燥、送風乾燥、熱風乾燥、UV乾燥、熱ロール乾燥、赤外線照射等を用いることができる。
また、膜の強度や密着性を向上させるために、ガスバリア層の形成後にさらにUV照射やEB照射処理を施すことも可能である。
さらに、ガスバリア層上には、必要に応じて中間フィルム層、ヒートシール可能な熱可塑性樹脂層(ヒートシール層)、印刷層などを積層し、包装材料とすることができる。また、各層をドライラミネート法やウェットラミネート法で積層するための接着層(ラミネート用接着剤層)や、ヒートシール層を溶融押出し法で積層する場合のプライマー層やアンカーコート層などを積層しても良い。
(包装材料)
以下、本発明の実施形態に係るガスバリア性積層体を包装材料として用いる場合の構成例(a)〜(c)を示す。しかし、本発明の実施形態に係るガスバリア性積層体はこれに限定されるものではない。
(a)基材/ガスバリア層/ラミネート用接着剤層/ヒートシール層
(b)基材/ガスバリア層/印刷層/ラミネート用接着剤層/ヒートシール層
(c)基材/ガスバリア層/ラミネート用接着剤層/中間フィルム層/ラミネート用接着剤層/ヒートシール層
中間フィルム層は、ボイル及びレトルト殺菌時の破袋強度を高めるために設けられるもので、一般的に機械強度及び熱安定性の面から二軸延伸ナイロンフィルム、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリプロレンフィルムの内から選ばれることが多い。厚さは、材質や要求品質等に応じて決められるが、一般的には10〜30μmの範囲内である。形成方法としては2液硬化型ウレタン系樹脂等の接着剤を用いて貼り合わせるドライラミネート法により積層することができる。また、紙などのガス透過性の良い基材を用いる場合は、デンプン系の水溶性接着剤や酢酸ビニルエマルジョンのような水性接着剤を用いたウェットラミネーション法により積層できる。
また、ヒートシール層は、袋状包装体などを形成する際に密封層として設けられるものである。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体又はそれらの金属架橋物等の樹脂の1種からなるフィルムが用いられる。ヒートシール層の厚さは、目的に応じて決められるが、一般的には15〜200μmの範囲内である。形成方法としては、ヒートシール層を形成するフィルムを2液硬化型ウレタン樹脂などの接着剤を用いて貼り合わせるドライラミネート法等を用いることが一般的であるが何れも公知の方法により積層することができる。
また、ラミネート用接着剤層として用いられる接着剤としては、積層される各層の材質に応じてアクリル系、ポリエステル系、エチレン−酢酸ビニル系、ウレタン系、塩化ビニル−酢酸ビニル系、塩素化ポリプロピレン系などの公知の接着剤を用いることができる。ラミネート用接着剤層を形成するための接着剤の塗布方法としては、公知の塗布法を用いることができ、例えば、ロールコーター、リバースロールコーター、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、ナイフコーター、バーコーター、ワイヤーバーコーター、ダイコーター、ディップコーター等を用いることができる。接着剤の塗布量としては、1〜10g/mが好ましい。
また、印刷層は、包装袋などとして実用的に用いるために形成されるものであり、ウレタン系、アクリル系、ニトロセルロース系、ゴム系、塩化ビニル系等の従来から用いられているインキバインダー樹脂に各種顔料、体質顔料及び可塑剤、乾燥剤、安定剤等の添加剤などが添加されてなるインキにより構成される層であり、文字、絵柄等が形成されている。
(ガスバリア性積層体)
また、本発明の実施形態に係るガスバリア性積層体の構成例を図1、図2に示す。なお、図1、図2において、同一の構成及び機能を有する部分には同一の符号を付し、繰り返しの説明は省略する。
図1は、本発明の実施形態に係るガスバリア性積層体10の構成例を示す断面図である。
図1に示すように、このガスバリア性積層体10は、基材1と、基材1の少なくとも一方の面(一例として、上面)上に形成されたガスバリア層2と、ガスバリア層2上に形成された接着層3と、接着層3上に形成されたヒートシール層4とを有する。ここで、ガスバリア層2は、上述したように、セルロースナノファイバーと水溶性高分子、無機層状化合物、撥水剤から構成される塗工液を、基材1の一方の面上に塗布することにより形成された層である。ガスバリア層2は、酸素や水蒸気などの気体の透過を遮断する機能(即ち、ガスバリア性)を有する。
図2は、本発明の実施形態に係るガスバリア性積層体20の構成例を示す断面図である。
図2に示すように、このガスバリア性積層体20は、基材1と、基材1の少なくとも一方の面(一例として、上面)上に形成されたアンカー層5と、アンカー層5上に形成されたガスバリア層2と、ガスバリア層2上に形成された接着層3と、接着層3上に形成されたヒートシール層4とを有する。ガスバリア性積層体20は、基材1とガスバリア層2との間にアンカー層5を有する。アンカー層5は、塗工液の塗布性と塗布後の安定性を高めるための下引き層である。
(実施形態の効果)
本発明の実施形態によれば、セルロース系材料を利用することで、環境負荷の少ない塗工液を提供することができる。また、セルロースナノファイバーと無機層状化合物、水溶性高分子、撥水剤から成る塗工液を用いることで、高湿度環境下においても劣化因子となる水蒸気などの浸入・浸透を抑制することで膜強度を維持しつつ、さらに優れたガスバリア性を示すことが可能なガスバリア層2を形成することができる。また、撥水剤を含む塗工液を用いることで、セルロースナノファイバーへの水の吸着・膨潤を抑制することができ、繊維同士の絡み合いを維持することで高湿度下でも膜強度が強く、基材1との密着が改善されたガスバリア層2を形成することができる。
以下に、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
以下に示すセルロースファイバー、水溶性高分子、層状鉱物の各材料を、表に示した配合比で混合し、コーティング液を作製した。
[セルロースナノファイバーの製造方法]
漂白クラフトパルプ10gを水500ml中で一晩静置し、パルプを膨潤させた。これを20℃に温度調整し、TEMPO 0.1gと臭化ナトリウム 1gを添加し、パルプの懸濁液とした。さらに、攪拌しながらセルロース質量当たり10mmol/gの次亜塩素酸ナトリウムを添加した。この際、約1Nの水酸化ナトリウム水溶液を添加してパルプ懸濁液のpHを約10.5に保持した。その後240分間酸化反応を行い、十分に水洗しパルプを得た。得られたパルプをイオン交換水で固形分濃度1%に調整し、高速回転ミキサーを用いて約60分間攪拌し、透明なセルロースナノファイバー分散液を得た。
[ポリビニルアルコールの調製方法]
市販品のPVA(PVA−124、クラレ社製)5gをビーカーに量りとり、純水500gを加えた。これを100℃に加熱し、溶解させ1%溶液として用いた。
[無機層状化合物の分散方法]
市販品の合成マイカ、PDM−5B(トピー工業社製)を水に分散させ1%分散液として用いた。
[塗工液の調製方法]
PVAの1%溶液を60gビーカーに量り取り、攪拌しながら合成マイカの1%分散液を12g添加してPVA/合成マイカ=50/10の混合液を作成する。セルロースナノファイバー分散液100gを攪拌しながらこの混合液を60g添加してセルロース/合成マイカ/PVA=100/10/50とし、十分攪拌する。この混合液を塗工液(1)とする。
さらに、ここで得られた塗工液(1)に、撥水剤として、1%に希釈したフッ素樹脂エマルジョン(ホノール5238)、ジメチルシリコーンエマルジョン(ホノール5239)、ポリオレフィンエマルジョン(ホノール5241)、アルキルリン酸エステル(ホノール5245)をそれぞれセルロースに対して0.1、1.0、5.0%外添し、セルロース/合成マイカ/PVA/サイズ剤=100/10/50/0.1−5.0として十分に攪拌する。これらの塗工液を塗工液(2)〜(13)とする(撥水剤は全て竹本油脂社製)。
[塗工液の調製方法2]
セルロースナノファイバー分散液100gを攪拌しながら合成マイカ1%分散液を10g添加してセルロース/合成マイカ=100/10の混合液(14)を作製する。
<実施例1〜12>
[実施例1〜12におけるガスバリア性フィルムの作製]
厚さ25μmポリエチレンテレフタラートフィルム(ポリエステルフィルム E5102、東洋紡社製)基材上に、アンカー層形成用塗液(TD−4010、ユニチカ製)を膜厚0.3μmとなるようにバーコート法により塗工した。続いて塗工液の調製方法に示した配合比、調液手法で作製した塗工液(2)〜(13)を、バーコート法により乾燥膜厚1.0μmになるように塗布後、乾燥させガスバリア層を形成し、ガスバリア性フィルムを作製した。
[実施例1〜12における包装材料用ガスバリア性フィルムの作製]
さらに、作製した塗工液(2)〜(13)を塗工した積層フィルムを包装材料として用いるために、ガスバリア層側に、ラミネート用接着剤層を介してヒートシール層をドライラミネーション法により貼り合わせ、50℃、4日間養生して、包装材料用ガスバリア性フィルムを作製した。ヒートシール層としては、厚さが70μmのCPP(RXC22、三井化学東セロ社製)を使用し、ラミネート用接着剤層を形成する接着剤としては、二液硬化型ポリウレタン系ラミネート用接着剤(A525/A52、三井化学ポリウレタン社製)を使用した。接着剤は、グラビアコート法により、乾燥後の塗布量が3.0g/m となるようにガスバリア層上に塗布した。
<比較例1〜2>
[比較例1〜2におけるガスバリア性フィルムの作製]
厚さ25μmポリエチレンテレフタラートフィルム(ポリエステルフィルム E5102、東洋紡社製)基材上に、アンカー層形成用塗液(TD−4010、ユニチカ製)を膜厚0.3μmとなるようにバーコート法により塗工した。続いて塗工液の調製方法に示した配合比、調液手法で作製した塗工液(1)、(14)をバーコート法により乾燥膜厚1.0μmになるように塗布後、乾燥させガスバリア層を形成し、ガスバリア性フィルムを作製した。
[比較例1〜2における包装材料用ガスバリア性フィルムの作製]
さらに、作製した塗工液(1)、(29)を塗工し、包装材料として用いるために、ガスバリア層側に、ラミネート用接着剤層を介してヒートシール層をドライラミネーション法により貼り合わせ、50℃、4日間養生して、包装材料用ガスバリア性フィルムを作製した。ヒートシール層としては、厚さが70μmのCPP(RXC22、三井化学東セロ社製)を使用し、ラミネート用接着剤層を形成する接着剤としては、二液硬化型ポリウレタン系ラミネート用接着剤(A525/A52、三井化学ポリウレタン社製)を使用した。接着剤は、グラビアコート法により、乾燥後の塗布量が3.0g/m となるようにガスバリア層上に塗布した。
得られたガスバリア性フィルムの性能は、下記の方法に従って評価した。
[酸素透過度(等圧法)(cm /m ・day・Pa)]
酸素透過度測定装置MOCON(OX−TRAN2/21、モダンコントロール社製)を用いて、30℃、40%RH及び70%RHの雰囲気下で測定を行った。ガスバリア性フィルムの酸素透過度を測定した結果を表に示す。
[水蒸気透過度の測定]
40℃、90%RH雰囲気下での水蒸気透過度(g/m ・day)を、水蒸気過度測定装置PERMATRAN W−3/33 MG(モダンコントロール社製)を用いて測定した。
得られた包装材料用ガスバリア性フィルムのラミネート強度は以下の方法に従って評価した。
[密着強度の測定]
各3層積層体を、幅15mm×長さ10cmの短冊状に切り抜き、試験片とした。該試験片について、JIS−K−7127に準拠して、引張り速度300mm/minでT字剥離を行って、基材とPPフィルムの間の密着強度(N/15mm)を測定した。また試験環境は25℃70%RHとした。
Figure 0006268746
Figure 0006268746
表1、表2に示すように、実施例1−12の撥水剤を添加したサンプルでは高湿度下でのラミネート強度が大幅に改善されていることがわかる。これは撥水剤の添加によって繊維表面が耐湿化され、吸湿・膨潤しにくくなったためと考えられる。
以上のようにして天然材料をサイズ剤によって耐湿化することにより、湿度劣化の少ないガスバリア性積層体及び包装材料を提供できる。
1 基材
2 ガスバリア層
3 接着層
4 ヒートシール層(熱可塑性樹脂層の一例)
5 アンカー層
10、20 ガスバリア性積層体

Claims (7)

  1. セルロースナノファイバーを液体中に分散させたセルロースナノファイバー分散液と、水溶性高分子と、無機層状化合物と、前記セルロースナノファイバーよりも高い撥水性を有する溶液タイプの撥水剤とを含み、
    前記撥水剤は、フッ素樹脂エマルジョン、ジメチルシリコーンエマルジョン、ポリオレフィンエマルジョン及びアルキルリン酸エステルのうち、少なくとも1種類を含む撥水剤であり、
    前記撥水剤の添加量は、質量比で前記セルロースナノファイバーの固形成分100に対して0.1以上5以下の範囲内であることを特徴とするガスバリア層形成用の塗工液。
  2. 前記セルロースナノファイバーの繊維幅の平均値は3nm以上、50nm以下であることを特徴とする請求項1に記載のガスバリア層形成用の塗工液。
  3. セルロースナノファイバーを液体中に分散させたセルロースナノファイバー分散液に、水溶性高分子と、無機層状化合物と、前記セルロースナノファイバーよりも高い撥水性を有する溶液タイプの撥水剤とを添加する調液工程、を備え、
    前記撥水剤は、フッ素樹脂エマルジョン、ジメチルシリコーンエマルジョン、ポリオレフィンエマルジョン及びアルキルリン酸エステルのうち、少なくとも1種類を含む撥水剤であり、
    前記撥水剤の添加量は、質量比で前記セルロースナノファイバーの固形成分100に対して0.1以上5以下の範囲内であることを特徴とするガスバリア層形成用の塗工液の製造方法。
  4. 前記調液工程では、前記水溶性高分子を含む溶液と前記無機層状化合物とを混合して混合液を作成し、作成した前記混合液を前記セルロースナノファイバー分散液に添加することを特徴とする請求項3に記載のガスバリア層形成用の塗工液の製造方法。
  5. 前記調液工程では、前記水溶性高分子を含む溶液と前記無機層状化合物とを加熱しながら混合することを特徴とする請求項3又は請求項4に記載のガスバリア層形成用の塗工液の製造方法。
  6. 基材と、
    前記基材の少なくとも一方の面に形成されたガスバリア層とを備え、
    前記ガスバリア層は、請求項1又は請求項2に記載の塗工液を前記少なくとも一方の面に塗布し乾燥することにより形成されることを特徴とするガスバリア性積層体。
  7. 請求項6に記載のガスバリア性積層体と、
    前記ガスバリア性積層体の前記塗工膜を有する面上に接着層を介して取り付けられたヒートシール可能な熱可塑性樹脂層と、を備えることを特徴とする包装材料。
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