JP2008303361A - 吸水性が抑制された酸化セルロース微小繊維成形物 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は従来のセルロース系成形体に比べ、吸水性を2000%以下にする制御が容易となるセルロース系成形体を提供することにある。
【解決手段】セルロース長繊維を触媒としてN−オキシル化合物とハロゲン化アルカリ金属塩を用いて酸化し、得られた酸化セルロース繊維を洗浄後に解繊処理して得られた酸化セルロース微小繊維の水分散液に対し、カチオン性水性樹脂を添加し、次いで乾燥することによって得られる、吸水性が抑制及び制御されたセルロース系成形体。
【選択図】なし

Description

本発明は、酸化セルロース微小繊維を原料とするフィルム、膜、繊維等の成形材料に関し、本来水を吸収しやすい性質を持つセルロース成形体の吸水性を抑制及び制御し、セルロース成形体を高機能化することに関する。本発明により得られるセルロース系成形体はそれ自身で、あるいは他の樹脂や無機物と複合化することで、包装材料、塗料、繊維、布、分離膜、構造材料などとして利用することができる。
省資源、省エネルギー、二酸化炭素排出量削減、生分解性の観点から、植物由来の素材やエネルギーが注目されており、木材、植物や微生物が産出するセルロースの有効利用が進みつつある。なかでもセルロースをN−オキシル化合物とハロゲン化アルカリ金属塩を触媒として酸化することで得られる酸化セルロースは、セルロース残基の1級アルコールのみを選択的に酸化してカルボン酸(塩)とすることが可能であり、酸化セルロース繊維の酸化度を高めてカルボン酸塩を多く導入することで幅数ナノメートルの微小繊維に容易に解繊されることが知られている(例えば、非特許文献1参照)。この酸化セルロース微小繊維はカルボン酸を多量に有しえること、非常に微細な繊維であることから、成形体とした場合に優れた力学特性、光学特性、界面特性他の特性を持つ可能性があり、機能材料、構造材料などへの応用が期待されている。しかしながら、前記材料として使用するためには極めて強い親水性とそれに由来する吸水性を有する酸化セルロース微小繊維について、吸水性を制御する必要がある。
Biomacromolecules、7巻6号、1687−1691頁、2006年
セルロースをN−オキシル化合物とハロゲン化アルカリ金属塩を触媒として酸化することで得られる酸化セルロースに関する応用例は下記のごとく例示できるが、何れも本発明の効果を発現するには至らない。
例えば、多糖類の酸化により得られるアニオン性ポリマーとカチオン性ポリマーからなる複合体を徐放性を有するマイクロカプセルとして使用する例がある(例えば、特許文献1参照)が、吸水性の制御については何ら言及されていない。
同様に、酸化多糖類に多価カチオンを添加して水不溶化生成物を生成させ、洗浄、イオン交換することで水溶性ポリウロン酸を製造する例がある(例えば、特許文献2参照)が、多糖類を不溶化するのは洗浄が目的であり、吸水性の制御については何ら言及されておらず、得られる酸化多糖類は水溶性であり微小繊維ではない。
製紙用パルプ繊維をわずかに酸化させ、有機金属化合物を作用させることで耐水性、撥水性、湿潤紙力を付与させた紙および紙容器の例がある(例えば、特許文献3参照)が、パルプ繊維ほどの極めて大きな繊維では酸化セルロース微小繊維に求められる前述したような機能材料、構造材料としての期待は小さい。
特開2006−299026号公報 特開2006−282926号公報 特開2001−336084号公報
本発明の課題は、セルロース長繊維を触媒としてN−オキシル化合物とハロゲン化アルカリ金属塩を用いて酸化して得られた酸化セルロース繊維を洗浄後に解繊処理して得られた酸化セルロース微小繊維に関して、この酸化セルロース微小繊維を成形体として使用する際に、より少量の添加物の使用をもって成形体に必要とされる機能をできるだけ損なわずにセルロース系材料が本来有する吸水性を制御することで、成形体の機能をさらに高め、応用範囲をより広げることにある。
前記課題を解決するための手段としては、
(1)セルロース長繊維を触媒としてN−オキシル化合物とハロゲン化アルカリ金属塩を用いて酸化し、これにより得られた酸化セルロース繊維を洗浄後に解繊処理して得られた酸化セルロース微小繊維の水分散液に対し、カチオン性水性樹脂を添加し、次いで乾燥することによって得られる、吸水性が制御されたセルロース系成形体であり、
(2)カチオン性水性樹脂が、ポリアミンポリアミドエピハロヒドリン樹脂、ポリアミンエピハロヒドリン樹脂、ポリアクリルアミド樹脂の少なくとも1種の樹脂である前記(1)のセルロース系成形体であり、
(3)25℃で12時間イオン交換水に成形体を浸漬させたときの吸水率が1000重量%以下の範囲で制御されている前記(1)又は(2)のセルロース系成形体
である。
本発明のセルロース系成形体は従来のセルロース系成形体に比べ、吸水性を2000%以下にする制御が容易となる。
本発明はセルロース長繊維を触媒としてN−オキシル化合物とハロゲン化アルカリ金属塩を用いて酸化し、これにより得られた酸化セルロース繊維を洗浄後に解繊処理した酸化セルロース微小繊維の水分散液に対してカチオン性水性樹脂を添加し、次いで乾燥することによって得られる、吸水性が制御されたセルロース系成形体であればよい。
なお、酸化処理を行なっていない未処理のセルロース繊維を「セルロース長繊維」と、酸化処理を行なっていない未処理のセルロース繊維を酸化しただけの繊維を「酸化セルロース繊維」と、酸化処理を行なっていない未処理のセルロース繊維を酸化しただけの繊維を解繊処理して得られる微小繊維を「酸化セルロース微小繊維」と略することとする。
酸化セルロース微小繊維はセルロース長繊維を触媒としてN−オキシル化合物とハロゲン化アルカリ金属塩を用いて酸化し、得られた酸化セルロース繊維を解繊することで得られる。
セルロース長繊維としては、木材、綿花等の植物由来、ホヤなどの動物および微生物由来の天然繊維、再生セルロース繊維などを用いることができるが、植物由来の天然繊維が好ましく、植物由来の漂白済み天然繊維がさらに好ましい。また、叩解の度合いが比較的低い(カナディアンスタンダードフリーネスが300以上)セルロース長繊維が、酸化後の保水度の上昇による酸化セルロース繊維の高粘度化が抑制されるため、好ましい。
上記酸化セルロース繊維を得るための触媒であるN−オキシル化合物としては、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジン−N−オキシル、2,2,6,6−テトラエチル−1−ピペリジン−N−オキシル、2,2,6,6−テトラプロピル−1−ピペリジン−N−オキシルを挙げることができ、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジン−N−オキシルが好適である。
上記酸化セルロースを得るための触媒であるハロゲン化アルカリ金属塩としては、臭化リチウム、ヨウ化リチウムなどのハロゲン化リチウム塩、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウムなどのハロゲン化ナトリウム塩、臭化カリウム、ヨウ化カリウムなどのハロゲン化カリウム塩を挙げることができ、臭化ナトリウムとヨウ化ナトリウムが好ましく、特に臭化ナトリウムが好適である。
上記酸化セルロースを得るための酸化剤としては、塩素、臭素などのハロゲン、次亜塩素酸、次亜臭素酸などの次亜ハロゲン酸、亜塩素酸、亜臭素酸などの亜ハロゲン酸、過塩素酸、過臭素酸などの過ハロゲン酸またはそれらの塩等、目的の酸化物が得られる酸化剤であれば限定しないが、次亜塩素酸塩、亜塩素酸塩が好ましく、特に次亜塩素酸ナトリウムが好適である。
酸化反応の方法は、前記非特許文献1に記載されるような公知の方法で行なうことができる。例えば、セルロース繊維濃度1〜2重量%のセルロース長繊維水分散液に触媒として2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジン−N−オキシルと臭化ナトリウムを溶解し、セルロース長繊維水分散液を室温で攪拌しつつ所定量の次亜塩素酸ナトリウム水溶液を投入し、カルボン酸の生成によって低下するpHを水酸化ナトリウム水溶液でpH10〜11の範囲で調整することによって行なうことができる。
酸化反応後の洗浄は、酸化セルロース繊維から触媒および酸化によって生じる酸化剤の還元物を除去することを目的に行なうものであって、前記目的が達成される方法であれば特に制限は無い。例示すれば、フィルター上で酸化セルロース繊維をろ過し、ろ過物を水中で攪拌し、再度ろ過する工程を数回繰り返す方法が挙げられる。
解繊処理は、繊維を細く解く処理をいい、例えば、酸化セルロース繊維を水中で、剪断力を与えることで行うことができる。水中で行うと、酸化セルロース繊維は、カルボン酸が解離するpHの範囲内では繊維表面に存在するカルボン酸イオンの静電反撥により比較的弱いエネルギーで微小繊維に解繊され易いため好ましい。また、剪断力を与えるために、高圧ホモジナイザー、ミキサー、衝突型分散装置、二軸混練機等の装置を使用することができる。より具体的には、1重量%濃度の酸化セルロース繊維の水分散液を家庭用ミキサーで数分間処理することで、ゼリー状の酸化セルロース微小繊維の水分散物を得ることができる。
なお、酸化セルロース微小繊維の水分散液は0.01〜3重量%の透明あるいは半透明のゼリー状あるいは粘性のある液状の水分散液として得ることができる。濃度を3%より高めようとすると、解繊時に分散液の粘度が著しく上昇して硬いゼリー状になり、送液が困難になったり剪断力が均一に加えられなくなったりするため、結果として均一な分散液が得られなくなる恐れがある。逆に濃度が0.01%より低い場合は成形体とするときに除去すべき水が多くなり、脱水のためのエネルギーが余分に必要になる場合がある。
また、酸化セルロース微小繊維に含まれるカルボン酸量については、酸化セルロース繊維乾燥重量1gあたり0.5meq以上であり、5.0meq以下であることが好ましい。カルボン酸量が0.5meq未満の場合はセルロース繊維表面に導入されるカルボン酸量が少なくなり、繊維間の静電反撥が不十分となり、解繊されにくくなる場合があるため、酸化セルロース微小繊維を得るために多くのエネルギーが必要となってしまう場合がある。また、逆にカルボン酸量が5.0meqより多い場合、カルボン酸を導入するための反応時間が極めて長時間となり、またそのような酸化セルロース繊維が得られたとしても保水性が高くなり、洗浄が困難になる場合がある。カルボン酸量の定量方法については、TAPPI STANDARD METHOD T237 cm−98に準じた方法や電導度滴定による方法がある。
本発明で使用するカチオン性水性樹脂としては、セルロース系成形体の吸水率を2000%以下に制御できる、水溶性あるいは水性分散性のカチオン性官能基を含有する樹脂である。このようなカチオン性水性樹脂としてポリアミンポリアミドエピクロロヒドリン樹脂、ポリアミンエピクロロヒドリン樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウム塩)樹脂、ポリエチレンイミン樹脂、ジシアンジアミドホルマリン樹脂、ポリ(メタ)アクリレート樹脂、カチオン化澱粉、カチオン化ガム、キトサン等が挙げられ、ポリアミンポリアミドエピクロロヒドリン樹脂、ポリアミンエピクロロヒドリン樹脂、ポリアクリルアミド樹脂がより少量の使用量でセルロース系成形体の吸水率を制御できるため好ましい。これらの樹脂は単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用しても良い。
ポリアミンポリアミドエピハロヒドリン樹脂は、例えば特許文献4に記載されたような、脂肪族二塩基性カルボン酸またはその誘導体とポリアルキレンポリアミンを加熱縮合させてポリアミドポリアミンを合成し、次いで該ポリアミドポリアミンとエピハロヒドリンを反応させて得られたカチオン性熱硬化性樹脂水溶液が挙げられる。
特開平6−220189号公報
ポリアミンエピハロヒドリン樹脂は、1分子中に2つ以上のアミノ基を有するポリアミン化合物にエピハロヒドリンを反応させて得られる水性樹脂である。例えば特許文献5に例示されているようなポリアルキレンポリアミンとエピハロヒドリンとの反応物、特許文献6に例示されているようなポリ(N−置換)ジアリルアミンとエピハロヒドリンとの反応物が挙げられる。さらに、1分子中にアミノ基が1つしかない場合でも、エピハロヒドリンとの反応によって高分子化した結果、ポリマー中にアミノ基が2つ以上存在する化合物でもよく、その例として特許文献7に記載されているカチオン性化合物を挙げることができる。
特開平9−240139号公報 特公昭52−22982号公報 特開2004−74440号公報
ポリアクリルアミド樹脂は、(メタ)アクリルアミドと、(メタ)アクリルアミドと共重合し得るカチオン性モノマーと、必要であれば他のイオン性、疎水性モノマー等を含んでもよい共重合物であればその組成、性状に特に制限は無い。カチオン性モノマーとしては(メタ)アクリロイルオキシアルキルアミン類、(メタ)アクリロイルアミノアルキルアミン類、アリルアミン類、ジアリルアミン類、およびこれらの塩を挙げることができる。
酸化セルロース微小繊維の水分散液へのカチオン性水性樹脂の添加方法に特に制限は無く、次いで行なわれる乾燥工程において相互に均一に混合された状態を保持できる方法であれば構わない。例えば攪拌羽根で攪拌している酸化セルロース微小繊維分散液にカチオン性水性樹脂を添加混合する方法が挙げられる。また、セルロース長繊維の酸化工程、及び酸化セルロース繊維の解繊工程で得られる処理物の性状に悪影響を及ぼさない限りは、夫々の工程より前にカチオン性水性樹脂を添加しても構わない。
酸化セルロース微小繊維の水分散液へのカチオン性水性樹脂以外の添加できるものとして、消泡剤、発泡剤、架橋剤などを加えることができる。また、ポリ乳酸、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリスチレン、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂やポリウレタン樹脂などの樹脂、およびガラス繊維や炭素繊維などの繊維を加え、複合化してセルロース系成形体とすることができる。
酸化セルロース微小繊維へのカチオン性水性樹脂の混合比率については、酸化セルロース微小繊維成形体の機能を損なわない程度であれば特に制限は無いが、酸化セルロース微小繊維の固形分100重量部に対してカチオン性水性樹脂の固形分0.001〜50重量部であることが好ましい。カチオン性水性樹脂の混合比率が低すぎる場合は成形体の吸水性を抑制することが困難となる場合があり、逆に高すぎる場合は成形体の機能を損ねる場合や、カチオン性水性樹脂の親水性により成形体吸水率の制御が困難になる場合がある。
乾燥工程については、成形体が均一に乾燥する方法であれば手段は問わず、温風による乾燥、赤外線による乾燥、熱媒を充填した金属板との接触による乾燥、真空乾燥、凍結乾燥、風乾等の方法をとることができる。ただし、成形体を構成する成分が変質し、それらの効果が阻害されない程度の加熱を行なうことが好ましく、成形体表面の温度が200℃以下に保持される条件での乾燥が好ましい。
吸水性が制御されたセルロース系成形体とは吸水率が2000%以下に制御されていることをいい、1000%以下であることが好ましい。吸水率が2000%より高い場合は成形体の強度の低下が著しく、成形体がその形状を保持できなくなる。なお、本発明のセルロース系成形体の吸水率は、吸水率は2000%以下の範囲でセルロース系成形体の用途により適宜最適な吸水率にカチオン性水性樹脂の量や種類などを選択することで調整することができる。
本発明のセルロース系成形体は、光学フィルムや包装フィルム等の機能性フィルムなどのフィルム状成形体、透析膜や蒸留膜等の機能性膜などの膜状成形体、耐候性塗膜、耐水性塗膜、抗菌性塗膜や蛍光・蓄光塗膜などの塗膜状成形体、耐水性、形態安定性、感温・保温性や撥水性を有するなどの繊維状の、あるいは、布や不織布など布状の成形体、電化機器用部材、家電製品用部材、家具用部材、自動車用部材、建築材料、スポーツ用品用部材や食品・飲料・洗剤用容器、浴槽などに使用される射出・押出・圧縮・中空・溶融・機械的・粉末・熱・発泡・切削・研磨成形体、医薬品などのカプセル状成形体などとして用いることができ、使用する目的に合わせた任意の形状を取ることが可能である。
以下に本発明の実施例を示すが、本発明の技術的範囲はこれらの実施形態に限定されるものではない。
製造例(酸化セルロース微小繊維水分散液の製造)
攪拌装置を備えた3L容ガラス製ビーカーにセルロース長繊維として未叩解の針葉樹晒クラフトパルプ(カナディアンスタンダードフリーネス約700)の2.0%スラリー1200gを投入して緩やかに攪拌し、N−オキシル化合物として2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジン−N−オキシル0.3gとハロゲン化アルカリ金属塩として臭化ナトリウム3.0gを触媒として加えて溶解させ、更にイオン交換水を加えて総量を1800gとした。このパルプスラリーに次亜塩素酸ナトリウム水溶液(塩素濃度8%)を63.8g投入し、室温で攪拌しつつパルプスラリーのpHが10.5±0.3を保持するように4%水酸化ナトリウム水溶液を断続的に滴下した。次亜塩素酸ナトリウム水溶液投入後約90分でpHの変動が殆ど無くなったことを確認して攪拌を停止し、酸化反応の終点とした。それまでに滴下した4%水酸化ナトリウム水溶液は64gだった。反応後のパルプスラリーを200メッシュのナイロン製濾布で濾過した後、残存する水溶性薬品を除去するために濾過物を3L容ガラス製ビーカーに投入し、イオン交換水約2000gを加えて攪拌し、200メッシュのナイロン製濾布で濾過する操作を3回繰り返した。最後に濾過物にイオン交換水を加えて全量を1200gとして攪拌し、濃度2.0%の酸化パルプスラリーを得た。なお、パルプスラリーの濃度は110℃で3時間加熱乾燥した後の残存物の重量から求めた。TAPPI STANDARD METHOD T237 cm−98に準じた方法で測定した酸化パルプスラリーのカルボン酸量は対パルプ乾燥重量1gあたり1.2meqだった。得られたスラリー100gとイオン交換水100gを家庭用ジューサーミキサーにより解繊処理を行い、スラリーが半透明なゼリー状になることを確認した後、更にイオン交換水200gを加えて解繊処理を続け、0.5%濃度のほぼ無色透明でゼリー状の酸化セルロース微小繊維の水分散液を得た。
(実施例1)
上記製造例で得られた酸化セルロース微小繊維水分散液200gにポリアミンポリアミドエピクロロヒドリン樹脂(星光PMC株式会社製、製品名「WS4030」、固形分25%)を0.8g添加し、家庭用ジューサーミキサーで2分間混合した。混合物30gを内径9cmのプラスチックシャーレに均一に広げ、70℃で4時間乾燥させることで、セルロース系成形体である実施例用フィルム1を得た。
(実施例2)
実施例1において、ポリアミンポリアミドエピクロロヒドリン樹脂(星光PMC株式会社製、製品名「WS4030」、固形分25%)を0.2g添加した以外は実施例1と同様にしてセルロース系成形体である実施例用フィルム2を得た。
(実施例3)
実施例1において、ポリアミンポリアミドエピクロロヒドリン樹脂の代わりにポリアミンエピクロロヒドリン樹脂(星光PMC株式会社製、製品名「WS4010」、固形分20%)1gを25%NaOH水溶液2.2gで活性化処理した樹脂水溶液を添加した以外は実施例1と同様にしてセルロース系成形体である実施例用フィルム3を得た。
(実施例4)
実施例1において、ポリアミンポリアミドエピクロロヒドリン樹脂の代わりにポリアクリルアミド樹脂(星光PMC株式会社製、製品名「DS4395」、固形分20%)1gを添加した以外は実施例1と同様にしてセルロース系成形体である実施例用フィルム4を得た。
(実施例5)
実施例1において、ポリアミンポリアミドエピクロロヒドリン樹脂の代わりにカチオン化澱粉(日本エヌエスシー株式会社製、製品名「CATO304」)の2%糊液10gを添加した以外は実施例1と同様にしてセルロース系成形体である実施例用フィルム5を得た。
(比較例1)
製造例で得られた酸化セルロース微小繊維水分散液30gを内径9cmのプラスチックシャーレに均一に広げ、70℃で4時間乾燥させることで、セルロース系成形体である比較例用フィルム1を得た。
吸水性試験
イオン交換水150gを入れた200mL容ビーカーに実施例用フィルム1〜5、比較例用フィルム1をそれぞれ完全に浸し、25℃で12時間静置した。その後吸水したフィルム表面の余分な水分を吸い取り紙で除去して吸水フィルムの重量(A(g))を測り、70℃2時間乾燥処理後の重量(B(g))から吸水率を下式により求めた。下式で求められる吸水率は、成形体の自重に対する吸水量の割合(%)となる。結果を下表1に示す。
吸水率(%)=(A/B−1)X100
Figure 2008303361
本発明のセルロース系成形体は、酸化セルロース微小繊維の機能性を高めることにより、耐水性の優れる構造材料や吸水性を一定範囲に制御した分離膜への応用等に利用できる。

Claims (3)

  1. セルロース長繊維を触媒としてN−オキシル化合物とハロゲン化アルカリ金属塩を用いて酸化し、これにより得られた酸化セルロース繊維を洗浄後に解繊処理して得られた酸化セルロース微小繊維の水分散液に対し、カチオン性水性樹脂を添加し、次いで乾燥することによって得られる、吸水性が制御されたセルロース系成形体。
  2. カチオン性水性樹脂が、ポリアミンポリアミドエピハロヒドリン樹脂、ポリアミンエピハロヒドリン樹脂、ポリアクリルアミド樹脂の少なくとも1種の樹脂であることを特徴とする請求項1に記載のセルロース系成形体。
  3. 25℃で12時間イオン交換水に成形体を浸漬させたときの吸水率が1000重量%以下の範囲で制御されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のセルロース系成形体。
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