JP2010184244A - シャー切断鋼板の突合せ両面サブマージアーク溶接方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】定盤10上に配置した一対の鋼板11のシャー切断エッジ13の間に、カットワイヤ15を配置し、鋼板11を接近させてシャー切断エッジ13間にカットワイヤ15を挟み込み、不揃いなルート空間14に効果的にカットワイヤ15を充填して均し表面溶接し、反転した後、ルート空間14にカットワイヤ15を補充して均した後、裏面溶接する。
【選択図】図1
Description
シャー切断機によりエッジが切断された鋼板のシャー切断エッジを突合せて両面を溶接するに際し、
定盤上に、カットワイヤを溶接予定線に沿って配置するとともに、一対の鋼板を、そのシャー切断エッジが前記溶接予定線を挟んで両側に対峙するか、または前記溶接予定線上とその外側になるように配置し、
一対の鋼板の両方を互いに接近させるか、または前記外側に配置された鋼板を溶接予定線上の鋼板に接近させて、シャー切断エッジ間のルート空間にカットワイヤを挟み込んで充填し、
ルート空間のカットワイヤを補充または除去してその高さを均一に均した後、表面溶接を行い、
鋼板を反転した後、ルート空間内にカットワイヤを補充してその高さを均一に均した後、裏面溶接を行うものである。
鋼板の厚みを8mm以上、20mm以下の範囲とし、
シャー切断エッジ間の裏面のルート間隔が7mmを越える場合に、シャー切断エッジの当接部を研磨するか、または裏面のルート間隔の部分に肉盛り溶接して7mm以下とするものである。
カットワイヤを、その頂部が少なくとも鋼板の板厚中心レベル以上に盛り上げて定盤上に配置し、
表面溶接前のカットワイヤの頂部を、
裏面のルート間隔が5mm未満の場合に、鋼板の表面レベルから鋼板の板厚の1/2の板厚中心レベルまでの範囲に均し、
裏面のルート間隔が5mm以上の場合に、鋼板の表面レベルから裏面側に2mmまでの範囲に均し、
裏面溶接前のカットワイヤの頂部を、鋼板の裏面レベルから表面側に2mmまでの範囲に均すものである。
シャー切断エッジの断面は、表面に近接する位置に外方に突出する頂部を有し、
前記頂部により表面のルート間隔が前記頂部により狭い状態で、表面溶接を行い、
裏面のルート間隔が表面のルート間隔より広い状態で、裏面溶接を行うものである。
まず比較例として、エッジにI開先を形成した鋼板を突合せ、ルート空間にカットワイヤを充填して両面溶接を行う場合の手順を図7を参照して説明する。
2.鋼板1,1を反転後、ルート空間にカットワイヤ2を充填する。[図7(b)カットワイヤ充填工程]
3.十分な溶け込み深さで表面溶接して表面ビード4を形成する。[図7(c)表面溶接工程]
4.鋼板1,1を反転後、ガウジングにより裏面ハツリ5を行い、シーリングビード3を削除する。[図7(d)ハツリ工程]
5.裏面ハツリ5から十分な溶け込み深さで裏面溶接して裏面ビード6を形成する。[図7(e)裏面溶接工程]
上記の比較例によれば、表面ビード4および裏面ビード6とも、十分な溶け込み深さとビード幅、十分な強度を確保でき、溶接欠陥も見られなかった。
(シャー切断エッジ)
図1、図2に示すように、定盤10の上面には、鋼板11の高さ位置を設定するとともに、移動を案内する所定高さのガイド部材12が溶接予定線WLに平行に複数本突設されている。これら鋼板11の板厚:tは、8mm〜20mmが好適である。
大型鋼板11の溶接工程を図1〜図3を参照して説明する。
A.カットワイヤ充填工程
a.定盤10上に一対の鋼板11を、その表面を上面とし、シャー切断エッジ13が溶接予定線WLの両側で互いに対向するように所定間隔をあけて配置する。ここで、鋼板11の表面を上面としたことで、突合せ状態で、頂部Rが互いに接近しており、表面のルート間隔Gaが裏面のルート間隔Gbより狭い。[図6(c)参照]
b.定盤10上でシャー切断エッジ13の間の溶接予定線WLに沿って、カットワイヤ15をその頂部が鋼板11の板厚:tの1/2、板厚中心レベルCLより少なくとも上位となるように盛り上げて配置する。[図1(a)、図3(a)参照]
c.一対の鋼板11を互いに接近させてシャー切断エッジ13のルート空間14内にカットワイヤ15を挟み込み充填する。この当接または近接状態で、裏面のルート間隔Gbは、少なくとも7mm以下とする。[図1(b)、図3(b)参照]さらに、表ルート空間Gaから鋼板11の表面にはみ出したカットワイヤ15を取り除くとともに、ルート空間14内で不足するカットワイヤ15を補充する。[図2(a)参照]
ここで、裏面のルート間隔Gbが5mm未満の場合は、カットワイヤ15の上面レベルTLが、鋼板11の表面レベルSLから板厚中心レベルCLまでの範囲となるように均等に均す。これは、カットワイヤ15の上面レベルTLが板厚中心レベルCL未満であった場合には、余盛り高さが不足し、また表面レベルSLを超えると、均一に散布することが困難となり、溶接金属量が一定せず、溶接ビードの不整の原因となるという問題があるためである。
ここで、中間部のルート間隔Gが裏面のルート間隔Gbの7mmを越えて大きくても、カットワイヤ15を鋼板11の表面レベルSLから板厚中心レベルCLまでの範囲に充填して均等に均すことにより、溶接時の溶け落ちを防止することができる。
サブマージアーク溶接により表面溶接を行い、表面傾斜部Qから頂部Rを介して裏傾斜部Sの中間部に至る十分な溶け込み深さの表面ビード16を形成する。表面溶接での溶接電流は、たとえば700〜750Amp、溶接電圧38〜42Volt、溶接速度40〜42cm/分である。[図1(c)、図2(b)参照]
C.反転、カットワイヤ補充工程
鋼板11を吊り上げて反転させる。さらに表面のルート間隔Gaより広い裏面のルート間隔Gbを利用して、ルート空間14内にカットワイヤ15を補充し、均等な高さに均す。この時のカットワイヤ15の上面レベルULは、裏面レベルBLから表面側に2mmまでの範囲である。ここで、カットワイヤ15の上面レベルULが、表面側に2mm未満であった場合には、余盛り高さが不足し、また裏面レベルBLを超えると、均一に散布することが困難となり、溶接金属量が一定せず、裏面ビード17の不整の原因となるという問題があるためである。[図1(d)、図2(c)参照]
D.裏面溶接工程
サブマージアーク溶接により裏面溶接を行い、裏面から裏傾斜部Sに至る十分な溶け込み深さの裏面ビード18を形成する。裏面溶接での溶接電流は、たとえば800〜830Amp、溶接電圧38〜42Volt、溶接速度36〜42cm/分である。[図1(e)、図2(d)参照]
上記実施例1によれば、定盤10上に配置されたカットワイヤ15を、対峙されたシャー切断エッジ13で挟み込むことにより、シャー切断エッジ13の不揃いなルート空間14にカットワイヤ15を均一かつ効果的に充填することができる。したがって、表面溶接により、カットワイヤ15と溶接ワイヤからなる十分な量の溶接金属を十分な深さまで溶け込ませて表面ビード16を形成することができる。また反転後の裏面溶接により、カットワイヤ15と溶接ワイヤからなる十分な量の溶接金属を十分な深さまで溶け込ませて、表面ビード16に達する裏面ビード17を形成することができる。したがって、小型の溶接設備により、ブローホールや溶け落ちなどの溶接欠陥もなく、十分な接合強度で鋼板11を溶接することができる。また比較例のI開先の両面突合せ溶接に比較して、鋼板11の反転回数は1回と少なく、またシーリングビード4を形成せず、さらにハツリ加工も無くすことができ、コストを削減することができる。
次に、カットワイヤ充填工程の他の実施例2を図4を参照して説明する。
d.定盤10上でシャー切断エッジ13の溶接予定線WLに沿って、カットワイヤ15をその頂部が鋼板11の板厚中心レベルCLより少なくとも上位となるように盛り上げて配置する。
g.他方の鋼板11を一方の鋼板11に接近させてシャー切断エッジ13のルート空間14内にカットワイヤ15を充填する。(以下、カットワイヤ充填工程cと同様にカットワイヤ15の上面レベルTLを均す。)[図4(b)参照]
上記カットワイヤ充填工程の他の実施例2によれば、先の実施例と同様の作用効果を奏することができる。
次に、カットワイヤ充填工程の他の実施例3を図5を参照して説明する。
h.定盤10上に表面を上面とした一対の鋼板11を、溶接予定線WLの両側にシャー切断エッジ13が互いに対向するように配置する。
j.他方の鋼板11を一方の鋼板11に接近させてシャー切断エッジ13間にカットワイヤ15を挟み込み、ルート空間14内に充填する。(以下、カットワイヤ充填工程cと同様にカットワイヤ15の上面レベルTLを均す。)
上記カットワイヤ充填工程の他の実施例3によれば、先の実施例と同様の作用効果を奏することができる。
11 鋼板
12 ガイド部材
13 シャー切断エッジ
14 ルート空間
15 カットワイヤ
16 表面ビード
17 裏面ビード
R 頂部
Gb 裏面のルート間隔
Claims (4)
- シャー切断機によりエッジが切断された鋼板のシャー切断エッジを突合せて両面を溶接するに際し、
定盤上に、カットワイヤを溶接予定線に沿って配置するとともに、一対の鋼板を、そのシャー切断エッジが前記溶接予定線を挟んで両側に対峙するか、または前記溶接予定線上とその外側になるように配置し、
一対の鋼板の両方を互いに接近させるか、または前記外側に配置された鋼板を溶接予定線上の鋼板に接近させて、シャー切断エッジ間のルート空間にカットワイヤを挟み込んで充填し、
ルート空間のカットワイヤを補充または除去してその高さを均一に均した後、表面溶接を行い、
鋼板を反転した後、ルート空間内にカットワイヤを補充してその高さを均一に均した後、裏面溶接を行う
ことを特徴とするシャー切断鋼板の突合せ両面サブマージアーク溶接方法。 - 鋼板の厚みを8mm以上、20mm以下の範囲とし、
シャー切断エッジ間の裏面のルート間隔が7mmを越える場合に、シャー切断エッジの当接部を研磨するか、または裏面のルート間隔の部分に肉盛り溶接して7mm以下とする
ことを特徴とする請求項1記載のシャー切断鋼板の突合せ両面サブマージアーク溶接方法。 - カットワイヤを、その頂部が少なくとも鋼板の板厚中心レベル以上に盛り上げて定盤上に配置し、
表面溶接前のカットワイヤの頂部を、
裏面のルート間隔が5mm未満の場合に、鋼板の表面レベルから鋼板の板厚の1/2の板厚中心レベルまでの範囲に均し、
裏面のルート間隔が5mm以上の場合に、鋼板の表面レベルから裏面側に2mmまでの範囲に均し、
裏面溶接前のカットワイヤの頂部を、鋼板の裏面レベルから表面側に2mmまでの範囲に均す
ことを特徴とする請求項1または2記載のシャー切断鋼板の突合せ両面サブマージアーク溶接方法。 - シャー切断エッジの断面は、表面に近接する位置に外方に突出する頂部を有し、
前記頂部により表面のルート間隔が前記頂部により狭い状態で、表面溶接を行い、
裏面のルート間隔が表面のルート間隔より広い状態で、裏面溶接を行う
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のシャー切断鋼板の突合せ両面サブマージアーク溶接方法。
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