JP2006334641A - 薄板の縁継手レーザ溶接方法 - Google Patents

薄板の縁継手レーザ溶接方法 Download PDF

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Abstract

【課題】板厚が1mm程度以下の薄板同士を立向き姿勢により縁継手レーザ溶接する場合であっても、ハンピング不良の問題を解消する。
【解決手段】2枚の薄板(第1鋼板品1及び第2鋼板品2)の縁部13及び23同士を重ね合わせて被溶接部4とし、被溶接部4の端面に形成された重ね合わせ線により構成される溶接線5が鉛直方向を向くように両薄板を立てた状態にセットする。被溶接部4の板厚方向における両側に未溶融母材よりなる未溶融壁部が残存することがないように、被溶接部4の母材を板厚方向に全部溶融させるような照射条件で、鉛直方向に延びる溶接線5に対して水平方向からレーザ光6を照射する立向きの溶接姿勢にて、溶接線5に沿ってレーザ光6を相対的に下進させつつ溶接線5上にレーザ光6を照射して両縁部13及び23同士を一体的に接合する。
【選択図】 図1

Description

本発明は薄板の縁継手レーザ溶接方法に関し、より詳しくは薄板の縁部同士を重ね合わせて被溶接部とし、この被溶接部の端面に形成される重ね合わせ線により構成される溶接線に沿ってレーザ光を走査させつつ該溶接線上に該レーザ光を照射して、両該縁部同士を一体的に接合する薄板の縁継手レーザ溶接方法に関する。
従来、プレス成形等により所定形状に成形された2枚の鋼板品の縁部同士を上下に重ねて被溶接部とし、この被溶接部の端面(上下に重ねた両縁部の側端面)にレーザ光を照射して両縁部同士を一体的に接合する縁継手レーザ溶接方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この縁継手レーザ溶接方法は、溶接線が水平方向に延びるように被溶接部を保持して、横向きの溶接姿勢にてレーザ溶接するものである。すなわち、2枚の薄板の縁部同士を上下に重ね合わせて水平状態に保持する。なお、重ね合わされた両縁部がレーザ溶接される被溶接部を構成し、この被溶接部の端面に形成される重ね合わせ線が溶接線を構成する。そして、水平方向に延びる溶接線に対して水平方向(被溶接部の端面に対して垂直方向)からレーザ光を照射し、該溶接線に沿ってレーザ光を水平方向に移動させて両該縁部同士を一体的に接合する。
特開平6−269943号公報(第2−3頁、図1及び図2)
しかしながら、横向きの溶接姿勢にて縁継手レーザ溶接する前記従来技術では、被溶接部材たる鋼板品が大型部品である場合、大型の鋼板品を水平状態に保持しなければならないことから、溶接作業を行うに際して広い敷地面積が必要となる。
この点、溶接線が鉛直方向に延びるように被溶接部材たる鋼板品を立てた状態に保持し、溶接線に対して水平方向(被溶接面に対して垂直方向)からレーザ光を照射する、立向きの溶接姿勢にて縁継手レーザ溶接すれば、溶接作業を行う際の敷地面積の縮小化に有利となる。
ところで、レーザ溶接では、高エネルギ密度のレーザ光が照射される照射部に、母材金属が瞬時に溶融して深く溶け込むことによりキーホールが形成される。そして、このキーホールの後方側(溶接進行方向における後方側)に隣接して、母材金属が溶融した溶融金属よりなる深さの深い溶融池が形成され、さらにこの溶融池の後方側に隣接して、溶融金属が凝固した深溶け込みビードが形成される。
このように、キーホール、深い溶融池及び深溶け込みビードが形成されるレーザ溶接において、立向きの溶接姿勢にて縁継手レーザ溶接する場合は、鉛直方向に延びる溶接線に沿ってレーザ光を上進(上方に移動)させる、上進溶接が有利とされる。このような立向き姿勢による上進溶接では、溶接進行方向の後方側、すなわちキーホールに対して溶融池が形成される側に重力が作用する。このため、溶融金属が重力により下方へ引っ張られることで、キーホールから溶融池への溶融金属の排出が促進され、キーホールを安定に保持することができる。したがって、レーザ光がキーホール内深くまで到達することができるので、溶け込みが深くなり、有利となる。
しかしながら、板厚が1mm程度以下の薄板の縁継手レーザ溶接に、立向き姿勢による上進溶接を適用すると、以下に示すようにハンピング不良の問題が発生することが本発明者により判明した。
すなわち、立向き姿勢による上進溶接では、上述のとおり溶接進行方向の後方側(レーザ照射部たるキーホールに対して溶融池が形成される側)に重力が作用する。このため、図16に示されるように、溶融金属が重力により引っ張られて垂れることで、レーザ照射部の後方にビード溜まりが形成され、被溶接部から板厚方向の外側に大きく膨らんだ大きなハンピング(玉状塊)が溶接線方向に間隔をおいて並び連なるハンピング不良が発生する。このようなハンピング不良が発生すると、溶接部の強度が母材強度よりも小さくなるという問題がある。ここに、図16において、80がレーザ光、81が母材、82がキーホール、83が溶融金属よりなる溶融池、84が溶融金属が凝固したビード、85がハンピングである。
なお、被溶接部に照射するレーザ出力を小さくして溶け込み深さを浅くすれば、上述したハンピング不良の問題を解決することができるであろうが、ハンピング不良の発生を防止しうる程度にレーザ出力を小さくしてしまうと、溶け込み不足による接合強度の低下につながるおそれがある。
また、板厚が1.0mm程度以上の厚板の縁継手レーザ溶接に、立向き姿勢による上進溶接を適用しても、上述したようなハンピング不良の問題は発生せず、良好に接合できることを本発明者は確認している。このため、縁継手レーザ溶接に立向き姿勢による上進溶接を適用した場合に起こる、ハンピング不良の問題は、薄板特有の問題である。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、板厚が1mm程度以下の薄板同士を立向き姿勢により縁継手レーザ溶接する場合であっても、ハンピング不良の問題を解消することを解決すべき技術課題とするものである。
上記課題を解決する本発明の薄板の縁継手レーザ溶接方法は、2枚の薄板の縁部同士を重ね合わせて被溶接部とし、該被溶接部の端面に形成された重ね合わせ線により構成される溶接線に沿ってレーザ光を相対移動させつつ該溶接線上に該レーザ光を照射して、該被溶接部の母材を溶融、凝固させることにより両該縁部同士を一体的に接合する薄板の縁継手レーザ溶接方法であって、両前記縁部同士を重ね合わせるとともに、前記溶接線が鉛直方向を向くように両前記薄板を立てた状態にセットするセット工程と、鉛直方向に延びる前記溶接線に対して水平方向から前記レーザ光を照射する立向きの溶接姿勢にて、該溶接線に沿って前記レーザ光を相対的に下進させつつ該溶接線上にレーザ光を照射して、前記被溶接部の母材を板厚方向に全部溶融させて両前記縁部同士を一体的に接合する接合工程とを備えていることを特徴とするものである。
ここに、レーザ光を相対移動させるとは、2枚の薄板の縁部同士を重ね合わせた被溶接部を固定して保持した状態で、溶接線に対してレーザ光を移動させてもよいし、あるいはレーザ光を照射するレーザトーチ等を固定して保持した状態で、レーザトーチ等に対して、2枚の薄板の縁部同士を重ね合わせた被溶接部を移動させてもよいことを意味する。
また、溶接線に沿ってレーザ光を相対的に下進させるとは、固定状態にある被溶接部に対してレーザ光を溶接線に沿って下進させ(下方に移動させ)てもよいし、固定状態にあるレーザトーチ等に対して被溶接部を上進させ(上方に移動させ)てもよいことを意味する。
この薄板の縁継手レーザ溶接方法では、セット工程で2枚の薄板の縁部同士を重ね合わせるとともに、被溶接部の端面に形成される溶接線が鉛直方向を向くように両薄板を立てた状態にセットする。そして、鉛直方向に延びる溶接線に対して立向きの溶接姿勢にてレーザ光を照射して前記被溶接部の母材を板厚方向に全部溶融させる。
このようにレーザ光の照射により、未溶融壁部を残存させることなく被溶接部の母材を板厚方向に全部溶融させるような場合に、鉛直方向に延びる溶接線に対して立向きの溶接姿勢にて該溶接線に沿ってレーザ光を上進させると、前述したようなハンピング不良の問題が発生する。この点、本発明では、立向きの溶接姿勢にて溶接線に沿ってレーザ光を下進させるため、ハンピング不良の問題を効果的に解消することができる。立向きの溶接姿勢にてレーザ光を下進させると、ハンピング不良を抑えることができるメカニズムについては、必ずしも明らかでないが、以下のように考えることができる。
すなわち、立向き溶接姿勢でレーザ光を下進させると、図15に示されるように、重力の影響により、レーザ光80の照射部に形成されたキーホール82から、キーホール82の後方(溶接進行方向における後方、つまりキーホール82の上方)に形成された溶融池83への溶融金属の排出が抑制される。このため、溶接線方向に延びる溶融池83の長さが短くなって、溶融池83が早期に固まり、それによってビード溜まりが出来にくくなって、ハンピング不良が抑えられると考えられる。なお、図15において、81が母材、84が溶融金属が凝固したビードである。
ここに、十分な接合強度を得るのに十分な溶け込み深さとなるようにレーザ光を照射したときに、猶且つ被溶接部の母材が板厚方向に全部溶融することなく被溶接部に未溶融壁部が残存する程に、被溶接部の板厚が厚い場合には、立向き溶接姿勢でレーザ光を上進させる場合であってもハンピング不良の問題が発生しないことが本発明者により確認されている。これは、被溶接部の板厚方向における両側に未溶融壁部が存在することにより、溶融金属が板厚方向にはみ出ることを抑えることができ、それによってビード溜まりが出来にくくなるためと考えられる。
このため、十分な接合強度を得るのに十分な溶け込み深さとなるようにレーザ光を照射したときに、被溶接部の板厚方向における両側に未溶融壁部が残存することなく被溶接部の母材が板厚方向に全部溶融する程に、被溶接部の板厚、すなわち両薄板の板厚が薄い場合に、立向き溶接姿勢でレーザ光を下進させることによるハンピング不良抑制の効果が実質的に意義のあるものとなる。
すなわち、本発明の薄板の縁継手レーザ溶接方法は、十分な接合強度を得るのに十分な溶け込み深さとなるようにレーザ光を照射したときに、被溶接部の板厚方向における両側に未溶融壁部が残存することなく被溶接部の母材が板厚方向に全部溶融する程に、板厚の薄い薄板を縁継手レーザ溶接する場合に、好適に利用することができる。具体的には、本発明方法では、好適には、板厚が1mm以下の薄板を縁継手レーザ溶接する場合に、立向き溶接姿勢でレーザ光を下進させることによるハンピング不良抑制の効果が実質的に意義のあるものとなる。
また、ハンピング不良の問題は、被溶接部の入熱量による影響を大きく受ける。すなわち、被溶接部の入熱量が多くなれば、それに応じて被溶接部の母材の溶融量も多くなるので、ハンピング不良が発生し易くなる。そして、被溶接部の入熱量は、レーザ光を照射する際の照射条件による影響を受け、レーザ出力が大きくなるほど、また溶接速度が低くなるほど、被溶接部の入熱量が多くなる。したがって、レーザ出力が大きくなるほど、また溶接速度が低くなるほど、被溶接部の入熱量が多くなって、ハンピング不良が発生し易くなる。本発明方法によれば、立向き溶接姿勢にて溶接線に対してレーザ光を相対的に上進させる場合と比べて、被溶接部の入熱量の適正範囲(ハンピング不良を抑えることができる入熱量の範囲)を広げることが可能となる。
したがって、本発明の薄板の縁継手レーザ溶接によれば、板厚が1mm程度以下の薄板同士を立向き姿勢により縁継手レーザ溶接する場合であっても、十分な接合強度を確保しつつ、ハンピング不良の問題を解消することができる。
よって、横向き姿勢により縁継手レーザ溶接する場合と比較して、溶接作業に要する敷地面積を小さくしながらも、十分な接合強度を確保しつつハンピング不良を抑えることのできる、薄板の縁継手レーザ溶接を良好に行うことが可能となる。
本発明の薄板の縁継手レーザ溶接方法は、2枚の薄板の縁部同士を重ね合わせて被溶接部とし、該被溶接部の端面に形成された重ね合わせ線により構成される溶接線に沿ってレーザ光を相対移動させつつ該溶接線上に該レーザ光を照射して、該被溶接部の母材を溶融、凝固させることにより両該縁部同士を一体的に接合するものである。
本発明方法で溶接する被溶接部材としての薄板の種類は特に限定されず、例えば、Zn等よりなるめっき層が母材表面に被覆されためっき鋼板や、めっき層が被覆されていない裸鋼板等の鋼板品の他、アルミニウム合金板、銅合金板やステンレス鋼板等に本発明を適用することができる。
薄板の板厚としては、特に限定されるものではない。ただし、上述したように、十分な接合強度を得るのに十分な溶け込み深さとなるようにレーザ光を照射したときに、被溶接部の板厚方向における両側に未溶融壁部が残存することなく被溶接部の母材が板厚方向に全部溶融する程に、板厚の薄い薄板であるときに、本発明による効果が実質的な意義をもつ。したがって、薄板の板厚としては、1mm以下であることが好ましく、0.8mm以下であることがより好ましい。なお、薄板の板厚の下限としては0.2mm程度とすることができる。
この薄板の形状や大きさは特に限定されず、適宜設定可能である。例えば、プレス成形等により、本体部と、この本体部の端縁から連続的に略L字状等に屈曲して該端縁に一体に形成された段差状の縁部とからなるものとすることができる。本体部の両側端縁に一対の縁部が一体に形成された両薄板の両縁部同士を縁継手溶接すれば、筒状体や管状体等の中空体を得ることができ、本体部の外周端縁に環状の縁部が一体に形成された両薄板の両縁部同士を縁継手溶接すれば、容器等に適用可能な箱状体等の中空体を得ることができる。
本発明の薄板の縁継手レーザ溶接方法は、セット工程と、接合工程とを備えている。
セット工程では、両薄板の両縁部同士を重ね合わせて被溶接部とする。そして、この被溶接部の端面に形成された重ね合わせ線により構成される溶接線が鉛直方向を向くように、両薄板を立てた状態にセットする。
接合工程では、鉛直方向に延びる溶接線に対して水平方向からレーザ光を照射する立向きの溶接姿勢にて、溶接線に沿ってレーザ光を相対的に下進させつつ該溶接線上にレーザ光を照射する。このとき、上述のとおり、2枚の薄板の縁部同士を重ね合わせた被溶接部を固定して保持した状態で、溶接線に沿ってレーザ光を下方に移動させて下進させてもよいし、あるいはレーザ光を照射するレーザトーチ等を固定して保持した状態で、レーザトーチ等に対して被溶接部を上方に移動させて上進させてもよい。また、レーザ光に対して被溶接部側を移動させる場合であって、環状の被溶接部に溶接線が環状に延びているときは、固定状態にあるレーザ光に対して被溶接部を所定方向(溶接線に沿ってレーザ光が相対的に下進する方向)に回転させてもよい。
そして、この接合工程では、被溶接部の板厚方向における両側に未溶融母材よりなる未溶融壁部が残存することがないように、該被溶接部の母材を板厚方向に全部溶融させるような照射条件で、レーザ光を照射する。両薄板の板厚がそれぞれ例えば1mm以下である場合に、このような照射条件でレーザ光を照射すれば、十分な溶け込み深さを確保して十分な接合強度を確保することができる。
この接合工程で利用することのできるレーザ光の種類としては特に限定されず、YAGレーザ、CO2 レーザや半導体レーザ等を好適に用いることができる。また、被溶接部に未溶融壁部が残存することがなく該被溶接部の母材を板厚方向に全部溶融させうるような、具体的な照射条件(レーザ光の種類、出力や溶接速度等)は、薄板の板厚や種類等に応じて適宜設定することができる。
以下、実施例により、本発明をさらに詳しく説明するが本発明はこれらに限定されるものではない。
本実施例は、被溶接部材としての第1鋼板品1及び第2鋼板品2を縁継手レーザ溶接して、容器等に適用可能な箱状体(中空体)3を得るものである。
第1鋼板品1は、板厚が0.8mmの薄板から、プレス成形により所定形状に一体成形したものである。第1鋼板品1は、中央の本体部11と、この本体部11の外周端縁から連続的に略L字状に屈曲して外周端縁に傾斜部12を介して一体に形成された段差状の環状縁部13とを有している。
第2鋼板品2も同様に、板厚が0.8mmの薄板をプレス成形により所定形状に一体成形したもので、中央の本体部21と、この本体部21の外周端縁から連続的に略L字状に屈曲して外周端縁に傾斜部22を介して一体に形成された段差状の環状縁部23とを有している。
このような構成を有する2枚の鋼板品について、以下に示すように、セット工程と、接合工程とを備えた薄板の縁継手レーザ溶接方法により、縁継手レーザ溶接をしてした。
<セット工程>
図1及び図2に示されるように、第1鋼板品1の環状縁部13と、第2鋼板品2の環状縁部とを重ね合わせて環状の被溶接部4とした。そして、図1に示されるように、被溶接部4の端面に形成された重ね合わせ線により構成される溶接線5が鉛直方向を向くように、第1鋼板品1及び第2鋼板品2を立てた状態にセットした。
なお、図1は立てた状態にセットされた第1鋼板品1及び第2鋼板品2を部分的に示すとともに、鉛直方向の途中で略水平方向に切断した切断面Sを示す一部切断部分斜視図である。また、図2は、図1を上から見た一部切断平面図である。
<接合工程>
そして、鉛直方向に延びる溶接線に対して水平方向からレーザ光6を照射する立向きの溶接姿勢にて、図示しないロボットの作動により、溶接線5に沿ってレーザトーチ7を下進させつつ溶接線上5にレーザ光6を照射した。このとき、被溶接部4の板厚方向における両側に未溶融母材よりなる未溶融壁部が残存することがないように、被溶接部4の母材を板厚方向に全部溶融させるような以下に示す照射条件で、レーザ光6を照射した。なお、この照射条件でレーザ光6を照射すれば、被溶接部4において十分な溶け込み深さを確保して十分な接合強度を確保することができる。
レーザ :YAGレーザ
レーザ出力:3kW
溶接速度 :3m/min
このように鉛直方向に延びる溶接線5に対してレーザ光6を下進させる作業を、環状の被溶接部4の全周で行って、第1鋼板品1及び第2鋼板品2の重ね合わせ接合品よりなる箱状体3を得た。このとき、箱状体3の一辺部分に相当する被溶接部4を縁継手溶接する毎に、第1鋼板品1及び第2鋼板品2を90度回転させて、未だ溶接していない溶接線5を鉛直方向に向け、この溶接線5に対してレーザ光6を下進させる作業を繰り返した。
得られた箱状体3について、レーザ溶接後の被溶接部4を観察した。その結果を図3〜図6に示す。ここに、図3はレーザ溶接後の被溶接部4を図1のA−A線で切った断面における金属組織を示す写真(15倍)であり、図4はレーザ溶接後の被溶接部4を図1のA−A線で切った断面における図3の写真を模式的に示す模式断面図であり、図5(a)はレーザ溶接後の被溶接部4を図2のB矢印方向から見た写真であり、図5(b)はレーザ溶接後の被溶接部4を図2のC矢印方向から見た写真であり、図6(a)はレーザ溶接後の被溶接部4を図2のB矢印方向から見た模式図であり、図6(b)はレーザ溶接後の被溶接部4を図2のC矢印方向から見た模式図である。なお、図4及び図6において、31が溶融金属が凝固したビード(溶接金属)であり、32がレーザ溶接時に溶融していない母材金属であり、33がレーザ溶接時に溶融はしていないが熱に変色した熱影響部である。
これらの図からも明らかなように、立向きの溶接姿勢にて、所定の照射条件で、鉛直方向に延びる溶接線5に対してレーザ光6を下進させる本実施例によれば、レーザ溶接後の被溶接部4の端面に形成されたビード31は、被溶接部4の板厚方向の外側にはみ出ることのない略半円形断面をなし、ハンピング不良が全く認められなかった。
(比較例1)
前記接合工程で、溶接線5に沿ってレーザトーチ7を上進させること以外は、前記実施例1と同様にして縁継手レーザ溶接した。
得られた箱状体3について、レーザ溶接後の被溶接部4を観察した。その結果を図7〜図10に示す。ここに、図7はレーザ溶接後の被溶接部4を図1のA−A線で切った断面における金属組織を示す写真(15倍)であり、図8はレーザ溶接後の被溶接部4を図1のA−A線で切った断面における図7の写真を模式的に示す模式断面図であり、図9(a)はレーザ溶接後の被溶接部4を図2のB矢印方向から見た写真であり、図9(b)はレーザ溶接後の被溶接部4を図2のC矢印方向から見た写真であり、図10(a)はレーザ溶接後の被溶接部4を図2のB矢印方向から見た模式図である、図10(b)はレーザ溶接後の被溶接部4を図2のC矢印方向から見た模式図である。なお、図8及び図10において、31が溶融金属が凝固したビード(溶接金属)であり、32がレーザ溶接時に溶融していない母材金属であり、33がレーザ溶接時に溶融はしていないが熱に変色した熱影響部である。
これらの図からも明らかなように、立向きの溶接姿勢にて、所定の照射条件で、鉛直方向に延びる溶接線5に対してレーザ光6を上進させる比較例1では、レーザ溶接後の被溶接部4の端面に形成されたビード31において、被溶接部4の板厚方向の外側にはみ出て大きな玉状塊よりなるハンピング34が認められた。
(比較例2)
被溶接部材としての第1鋼板品1及び第2鋼板品2の板厚を1.8mmに変更するとともに、前記接合工程で、被溶接部4の母材を板厚方向に全部溶融させることなく、被溶接部4の板厚方向における両側に未溶融母材よりなる未溶融壁部が残存するような以下に示す照射条件で、レーザ光6を照射すること以外は、前記実施例1と同様にして縁継手レーザ溶接した。
レーザ :YAGレーザ
レーザ出力:3kW
溶接速度 :3m/min
得られた箱状体3について、レーザ溶接後の被溶接部4を観察した。その結果を図11及び図12に示す。ここに、図11はレーザ溶接後の被溶接部4を図1のA−A線で切った断面における金属組織を示す写真(15倍)であり、図12はレーザ溶接後の被溶接部4を図1のA−A線で切った断面における図11の写真を模式的に示す模式断面図である。なお、図12において、31が溶融金属が凝固したビード(溶接金属)であり、32がレーザ溶接時に溶融していない母材金属であり、35、35がレーザ溶接時に溶融していない未溶融母材金属よりなる未溶融壁部である。
これらの図からも明らかなように、被溶接部材としての第1鋼板品1及び第2鋼板品2の板厚が1.8mmと厚く、前記接合工程で、被溶接部4の母材を板厚方向に全部溶融させることなく、被溶接部4の板厚方向における両側に未溶融母材よりなる未溶融壁部35、35が残存するような照射条件で、レーザ光6を照射すれば、立向きの溶接姿勢にて鉛直方向に延びる溶接線5に対してレーザ光6を上進させても、ハンピング不良が発生しなかった。
(レーザ出力及び溶接速度の適正範囲)
前記実施例1及び比較例1において、接合工程におけるレーザ出力を1〜5kWの範囲で種々変更するとともに、溶接速度を1.0〜4.5m/minの範囲で種々変更して、ハンピング不良及び溶け込み不足不良の発生しない、レーザ出力及び溶接速度の適正条件範囲を調べた。
立向きの溶接姿勢にて鉛直方向に延びる溶接線5に対してレーザ光6を下進させる本実施例1におけるレーザ出力及び溶接速度の適正条件範囲を図13の斜線部に示し、立向きの溶接姿勢にて鉛直方向に延びる溶接線5に対してレーザ光6を上進させる比較例1におけるレーザ出力及び溶接速度の適正条件範囲を図14の斜線部に示す。なお、図13及び図14において、斜線部よりも上方の領域はハンピング不良が発生する条件範囲であり、斜線部よりも下方の領域は溶け込み不足不良が発生する条件範囲である。
これらの図からも明らかなように、立向きの溶接姿勢にて溶接線5に対してレーザ光6を下進させる本実施例1では、立向きの溶接姿勢にて溶接線5に対してレーザ光6を上進させる比較例1と比較して、ハンピング不良が発生しない適正条件範囲が広がることがわかる。特に、3m/min以上の高速で溶接する場合は、その効果代が大きいことがわかる。したがって、本発明によれば、3m/min以上の高速で溶接する場合に、特にハンピング不良の問題を効果的に解消できることがわかる。
本発明の実施例に係る縁継手レーザ溶接方法における接合工程の様子を模式的に示し、立てた状態にセットされた第1鋼板品及び第2鋼板品を部分的に示すとともに、鉛直方向の途中で略水平方向に切断した切断面Sを示す一部切断部分斜視図である。 本発明の実施例に係る縁継手レーザ溶接方法における接合工程の様子を模式的に示し、図1を上から見た一部切断平面図である。 本発明の実施例に係り、レーザ溶接後の被溶接部を図1のA−A線で切った断面における金属組織を示す写真(15倍)である。 本発明の実施例に係り、レーザ溶接後の被溶接部を図1のA−A線で切った断面における図3の写真を模式的に示す模式断面図である。 本発明の実施例に係り、(a)はレーザ溶接後の被溶接部4を図2のB矢印方向から見た写真であり、(b)はレーザ溶接後の被溶接部4を図2のC矢印方向から見た写真である。 本発明の実施例に係り、(a)はレーザ溶接後の被溶接部4を図2のB矢印方向から見た模式図であり、(b)はレーザ溶接後の被溶接部4を図2のC矢印方向から見た模式図である。 比較例1に係り、レーザ溶接後の被溶接部を図1のA−A線で切った断面における金属組織を示す写真(15倍)である。 比較例1に係り、レーザ溶接後の被溶接部を図1のA−A線で切った断面における図7の写真を模式的に示す模式断面図である。 比較例1に係り、(a)はレーザ溶接後の被溶接部4を図2のB矢印方向から見た写真であり、(b)はレーザ溶接後の被溶接部4を図2のC矢印方向から見た写真である。 比較例1に係り、(a)はレーザ溶接後の被溶接部4を図2のB矢印方向から見た模式図であり、(b)はレーザ溶接後の被溶接部4を図2のC矢印方向から見た模式図である。 比較例2に係り、レーザ溶接後の被溶接部を図1のA−A線で切った断面における金属組織を示す写真(15倍)である。 比較例2に係り、レーザ溶接後の被溶接部を図1のA−A線で切った断面における図11の写真を模式的に示す模式断面図である。 本発明の実施例に係り、ハンピング不良及び溶け込み不足不良の発生しない、レーザ出力及び溶接速度の適正条件範囲を調べた結果を示す説明図である。 比較例1に係り、ハンピング不良及び溶け込み不足不良の発生しない、レーザ出力及び溶接速度の適正条件範囲を調べた結果を示す説明図である。 本発明の縁継手レーザ溶接方法を実施している様子を模式的に示す部分断面図である。 従来例の縁継手レーザ溶接方法を実施している様子を模式的に示す部分断面図である。
符号の説明
1、2…第1、第2鋼板品(薄板)
13、23…縁部
4…被溶接部 5…溶接線
6…レーザ光

Claims (2)

  1. 2枚の薄板の縁部同士を重ね合わせて被溶接部とし、該被溶接部の端面に形成された重ね合わせ線により構成される溶接線に沿ってレーザ光を相対移動させつつ該溶接線上に該レーザ光を照射して、該被溶接部の母材を溶融、凝固させることにより両該縁部同士を一体的に接合する薄板の縁継手レーザ溶接方法であって、
    両前記縁部同士を重ね合わせるとともに、前記溶接線が鉛直方向を向くように両前記薄板を立てた状態にセットするセット工程と、
    鉛直方向に延びる前記溶接線に対して水平方向から前記レーザ光を照射する立向きの溶接姿勢にて、該溶接線に沿って前記レーザ光を相対的に下進させつつ該溶接線上にレーザ光を照射して、前記被溶接部の母材を板厚方向に全部溶融させて両前記縁部同士を一体的に接合する接合工程とを備えていることを特徴とする薄板の縁継手レーザ溶接方法。
  2. 前記薄板は板厚が1mm以下であることを特徴とする薄板の縁継手レーザ溶接方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US10377050B2 (en) 2015-05-19 2019-08-13 Koninklijke Philips N.V. Manufacturing method for a stationary blade and stationary blade

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