JP5121420B2 - ハイブリッド溶接用継手 - Google Patents

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Description

本発明は、レーザ溶接とMIG溶接などのアーク溶接を組み合わせたレーザ・アークハイブリッド溶接に対応したハイブリッド溶接用継手に関し、特に高速でしかも品質良く溶接することを可能にしたハイブリッド溶接用継手に関する。
例えば鉄道車両では、側構体や屋根構体に、アルミ合金からなるシングルスキンあるいはダブルスキンの形材が使用され、形材同士の接合端部を突き合わせた継手部分がレーザ・アークハイブリッド溶接によって接合される。レーザ溶接とアーク溶接を連続して行うものに対応したハイブリッド溶接用継手に関しては、下記特許文献1にダブルスキンパネルの押出中空形材を接合する場合について開示がある。図10は、同文献に記載されたハイブリッド溶接用継手を示した図である。
押出中空形材110,120は、上面板111,121と下面板112,122とが複数の傾斜リブ(不図示)によって連結され、特に突き合わされる端部には、面板111,121或いは112,122とほぼ直交する端部リブ113,123が形成されている。そして、この端部リブ113,123から突き出した突起部115,116と突起部125,126とが重なり合って嵌合し、接合端部同士の突き合わせによってハイブリッド溶接用継手が構成される。このハイブリッド溶接用継手は、角度の小さい狭開先131,132が形成され、レーザ・アークハイブリッド溶接の際、先行するレーザ溶接によって細い深い溶け込みをつくり、その直後を追随するMIG溶接によって溶加材であるフィラーワイヤを充填させていく。
特開2007−130683号公報
しかしながら、従来のハイブリッド溶接用継手は、MIG溶接のフィラーワイヤで充填する開先空間が大きいため、接合速度を上昇させる妨げとなっていた。すなわち、従来のハイブリッド溶接用継手は、例えば上面板111と突起部126の突き当て面を溶接させることになるが、その突き当て面全体が傾斜面となって開先が形成されているので、狭開先131であってもフィラーワイヤによる充填空間が大きかった。そのため、レーザを使用したハイブリッド溶接であっても、MIGによる溶接速度の上昇には限界があった。また、V字開先のハイブリッド溶接用継手は、レーザを反射させやすいアルミ合金材の接合の場合、斜面を反射してもルート部にレーザが集まりにくいため、エネルギ効率が良くない等の問題もあった。
そこで本発明は、かかる課題を解決すべく、レーザ・アークハイブリッド溶接を高速で行うことができるようにしたハイブリッド溶接用継手を提供することを目的とする。
本発明に係るハイブリッド溶接用継手は、板材からなる一対の被接合部材を接合すべく突き合わせた接合端部同士を、レーザ溶接とアーク溶接が連続するレーザ・アークハイブリッド溶接を行うために、その突き合わせた一対の接合端部によって形成されるものであって、前記接合端部には、レーザ照射側に位置する段差面と、その段差面より突き合わせ方向に突き出したレーザ反照射側に位置する接合突起とが設けられ、前記レーザ・アークハイブリッド溶接の溶接方向に沿った当該接合端部の角部が曲面で形成されたものであり、前記接合突起同士を突き合わせることで、向かい合う段差面同士によって溶接溝が形成されるものであることを特徴とする。
また、本発明に係るハイブリッド溶接用継手は、前記段差面は2段であって、前記溶接溝の幅がレーザ照射側から前記接合突起側へと段階的に狭くなるようにしたものであることが好ましい。
また、本発明に係るハイブリッド溶接用継手は、前記段差面が、レーザ照射方向にほぼ平行な面であって、前記溶接溝の幅がレーザ照射側から前記接合突起側へとほぼ一定であることが好ましい。
また、本発明に係るハイブリッド溶接用継手は、前記段差面が2段であって、その段差面のうち、前記レーザ照射側の段差面は、前記溶接溝をレーザ照射側に広げるようにした傾斜面又は曲面であり、前記接合突起側の段差面は、前記溶接溝の幅がほぼ一定になるようにレーザ照射方向にほぼ平行な面であり、2段に形成された前記段差面が曲面によって連続して形成されたものであることが好ましい。
また、本発明に係るハイブリッド溶接用継手は、前記接合端部には、その被接合部材のレーザ照射側表面に突設された切削用突起が形成され、その切削用突起にまで前記段差面が形成されているものであることが好ましい。
また、本発明に係るハイブリッド溶接用継手は、前記溶接溝の最も広い溝幅が前記レーザのスポット径とほぼ同じであることが好ましい。
また、本発明に係るハイブリッド溶接用継手は、前記被接合部材は押出中空形材であって、前記接合端部が、複数のリブによって連結された上面板及び下面板の一方又は双方に形成されたものであることが好ましい。
本発明のハイブリッド溶接用継手では、接合突起同士を突き合わせた当接面に対し、段差面によって形成された溶接溝を介してレーザビームが照射され、その後方では、レーザビームで予熱された溶接溝内にMIGなどのアーク溶接が行われ、溶けたフィラーワイヤが溶接溝内に充填される。
よって、本発明によれば、レーザ溶接を行う箇所が板厚全体ではなく、接合突起が当接した一部であるため、レーザ溶接を行う面積が小さい分、レーザビームの熱が入りやすく、高速での溶接が可能となる。また、段差面による溶接溝は、従来のV字開先に比べて幅が狭く容積が小さいため、溶かしたフィラーワイヤを充填する時間も短縮することができ、この点でも溶接速度を上げることが可能になる。
次に、本発明に係るハイブリッド溶接用継手の一実施形態について図面を参照しながら以下に説明する。
(第1実施形態)
図1は、被接合部材であるアルミ板同士を接合する第1実施形態のハイブリッド溶接用継手を示した図である。図示する一対のアルミ板11は、上下両面が平行な厚さ一定の板材であって、両者の上下両面が面一になるように突き合わせた接合端部にハイブリッド溶接用継手が形成される。本実施形態のハイブリッド溶接用継手10は、一対のアルミ板11に対して形成された同じ形の端部形状によって構成されている。
ハイブリッド溶接用継手10は、アルミ板11の接合端部において面内方向(板厚方向に直交する図面横方向をいう。以下、同じ)に突き出した接合突起12が形成され、接合端部が段差形状になっている。従って、接合時には図示するように接合突起12同士が突き合わされ、レーザ照射側(図面上方)には、段差面13同士の隙間が溶接溝15となって形成される。接合突起12の突き当て面や段差面13は、アルミ板11の上下両面にほぼ直交するように形成されている。
被接合部材であるアルミ板11は、押出形材であるため、押し出し方向に沿った角部は曲面のRになっているが、ハイブリッド溶接用継手10の基本形状は図2に示すように角を有する矩形断面で構成されたものである。このハイブリッド溶接用継手10xから分かるように、段差面13xは面外方向(板厚方向の図面縦方向いう。以下、同じ)に平行であり、接合突起12x同士が当接することにより、一定幅の溶接溝15xが構成されるようになっている。
ところで、ハイブリッド溶接用継手10を構成する各部の寸法は、板厚aが3mmであるアルミ板11に対し、厚さbが2mmの接合突起12が形成されている。ただし、角部が曲面になっているため、1.4mm分が実際に突き当てられる当接幅cとなっている。また、段差面13と接合突起12との段差dが0.3mmであるため、溶接溝15は、溝幅が0.6mmであり、接合突起12の厚さbが2mmであるので深さがおよそ1mmになる。溶接溝15の溝幅を0.6mmにしているのは、照射されるレーザビームのスポット径に合わせているからである。
そこで、アルミ板11同士を接合するには、接合突起12同士を突き合わせて構成されるハイブリッド溶接用継手10にハイブリッド溶接が行われる。ハイブリッド溶接は、例えばファイバーレーザが使用され、接合突起12の当接面16に沿うようにレーザビームが照射され、図面を貫く接合線方向に移動しながら連続的な溶接が行われる。その際、シールドガスはMIG溶接のトーチから同軸で供給され、また、レーザビームの照射が行われる後方では、MIGトーチによるMIG溶接が追随して行われる。なお、レーザはファイバーレーザの他、半導体レーザやYAGレーザなどであってもよく、また、アーク溶接はTIG溶接であってもよい。
こうしたハイブリッド溶接用継手10に対するハイブリッド溶接では、先行するレーザビームBが溶接溝15内に入り込み、図3(a)に示すように、接合突起12同士が当接した当接面16の位置に照射される。なお、図3では、レーザビームBの反射が分かりやすいように、左側半分だけを示している。
ハイブリッド溶接によるレーザビームBは、板厚aのうち接合突起12の当接幅c部分を溶融させる。そして、その後方では、レーザビームBによって予熱された溶接溝15内にMIG溶接が行われ、溶けたフィラーワイヤが溶接溝15を埋めるように充填される。
本実施形態のハイブリッド溶接用継手10では、アルミ板11同士を図1に示すように面内方向に接合する場合、レーザによる溶融を行う箇所が板厚全体ではなく、一部である当接面16の範囲である。よって、レーザによる溶融を行う面積が小さいので、レーザビームBの熱が入りやすくなり、高出力にすることなく高速での溶接が可能となる。また、本実施形態の溶接溝15は、従来のV字開先に比べて幅が狭く容積が小さいため、溶かしたフィラーワイヤを充填する時間も短縮することができ、この点でも溶接速度を上げることが可能になる。
ところで、図3(b)に示すように、角部に曲面が形成されただけの従来形では、突き合わされた部分付近に照射されたレーザビームBの一部が反射してしまい溶接効率が良くない。これに対して本実施形態の溶接溝15は、図3(a)に示すように、段差面13の曲面R1によって、レーザビームBが反射してレール部に集中するため、当接面16のレーザ溶接を効率良く行うことができる。また、従来形と同じ形状の曲面R2部分で反射したレーザビームは、溶接溝15内の段差面13に当たる。従って、直接段差面13に照射されるレーザビームBも含めて溶接溝15内を予熱するため、次のMIG溶接を効率良く行うことができ、速度を上げた溶接作業が可能になる。
また、レーザ溶接では、レーザビームによって溶接部が瞬時に加熱されてガス化されるため、ブローホールなどの溶接欠陥が生じる問題がある。しかし、本実施形態では、当接面16の面積が小さくレーザビームBの熱が全体に入って溶け込むため、溶接欠陥を防止したビードを得ることが可能になる。そして、溶接溝15の容積が小さいため、前述したようにMIG溶接の速度を上げても、フィラーワイヤの供給不足によるアンダーフィルを回避することができる。
(第2実施形態)
次に図4は、被接合部材であるアルミ板同士を接合する第2実施形態のハイブリッド溶接用継手を示した図である。このアルミ板21も、上下両面が平行な厚さ一定の板材であり、一対のアルミ板21同士を突き合わせた接合端部にハイブリッド溶接用継手20が形成される。すなわち、ハイブリッド溶接用継手20は、一対のアルミ板21に対して形成された同じ形の端部形状によって構成される。
アルミ板21の接合端部には、面内方向に突き出した接合突起22が形成され、接合端部が段差形状になっている。そして特に、本実施形態では接合突起22から2段形状に段差面23,24が形成され、接合時には図示するように接合突起22同士が突き合わされ、レーザ照射側(図面上方)に、段差面23,24同士の隙間が溶接溝25となって形成される。接合突起22の突き当て面や段差面23,24は、アルミ板21の上下両面にほぼ直交するように形成されている。そして、このアルミ板21も押出形材であるため、押し出し方向に沿った角部が曲面になっている。
ところで、ハイブリッド溶接用継手20を構成する各部の寸法は、板厚eが3mmのアルミ板21に対し、接合突起22同士が接する当接面26の当接幅fが1mmである。また、段差面23,24の各段差位置は、下面側からの距離g,hが1.6mmと2mmであり、それぞれ当接面26との段差i,jが0.1mmと0.3mmである。従って、溶接溝25は、表面から深さ1mmほどの位置までの溝幅が0.6mmであり、そこから更に0.4mmほどの深さが溝幅0.2mmと狭くなった2段形状の溝が形成される。ここでも溝幅の0.6mmは、照射されるレーザビームのスポット径に合わせている。
そこで、図示するハイブリッド溶接用継手20には、先ず図面上方からファイバーレーザなどを使用してレーザビームが照射される。その際、前方ではレーザ用シールドガスが供給され、また、そうしたレーザビームの後方では、MIGトーチによるMIG溶接が追随して行われる。従って、先行するレーザビームが溶接溝25内に入り込み、接合突起22同士が当接した当接面26の位置に照射され、板厚eのうち接合突起22の当接幅f部分を溶融させたレーザによる溶融が行われる。レーザによる溶融の後方では、レーザビームによって熱が加えられた溶接溝25にMIG溶接が行われ、溶けたフィラーワイヤが溶接溝25を埋めるように充填される。
よって、本実施形態のハイブリッド溶接用継手20でも、板厚eの一部である当接面26をレーザにより溶融するため、溶接面積が小さくなることによって、レーザビームの熱が入りやすくなり、高出力にすることなく高速での溶接が可能となる。特に本実施形態では溶接溝25が深くなっているため、より高速化が可能になる。また、溶接溝25の容積が小さいため溶かしたフィラーワイヤを充填する時間も短縮することができ、この点でも溶接速度を上げることが可能になる。なお、溶接溝25が深くなっても溝幅が狭いため、本実施形態における高速化の影響はない。
その他、レーザビームが溶接溝25内を予熱することにより、MIG溶接の速度を上げることができる。また、溶接溝25内の曲面によってレーザビームがレール部側に反射していくので、当接面26のレーザによる溶融を効率良く行うことができる。そのため、本実施形態では、当接面26の面積が小さくレーザビームBの熱が全体に入って溶け込むため、ブローホールなどの溶接欠陥を防止したビードを得ることが可能になる。更に、溶接溝25の容積が小さいことで、MIG溶接の速度を上げてもフィラーワイヤの供給不足によるアンダーフィルを回避することができる。
(第3実施形態)
次に、図5は、被接合部材であるアルミ板同士を接合する、第3実施形態のハイブリッド溶接用継手を示した図であり、図6は、同じハイブリッド溶接用継手の拡大図である。
本実施形態のハイブリッド溶接用継手30も、一対のアルミ板31同士を突き合わせた接合端部を接合するものであり、各アルミ板31の接合端部に対称形状で形成されている。ただし、本実施形態では、アルミ板31の接合端部に切削用突起38が面外方向に突設されている。具体的には、厚さkが3mmのアルミ板31に対し、高さlが1.5mmで、幅mが10mmの切削用突起38が、図面を貫く接合方向に連続して形成されている。なお、切削用突起38は溶接後に切削され、溶接表面が面一に仕上げられる。
そして、こうしたアルミ板31の接合端部には、前記第2実施形態と同様に、2段形状の段差面33,34とともに、面内方向に突き出した接合突起32が形成されている。接合時には図示するように接合突起32同士が突き合わされ、レーザ照射側(図面上方)に、段差面33,34同士の隙間が溶接溝35となって形成される。そして、このアルミ板31も押出形材であるため、押し出し方向に沿った角部が曲面になっている。
アルミ板31に形成されたハイブリッド溶接用継手30の各部寸法は、4.5mmの板厚の接合端部に対し、接合突起32の高さoが2mmであり、段差面34の高さpが3mmである。そして、本実施形態では、段差面34はアルミ板31の上下両面にほぼ直交しているが、段差面33は、傾斜して形成されている。段差面34同士の幅qが0.2mmであるのに対し、段差面33同士による最も広い開口部の幅rはレーザビームのスポット径に合わせた0.6mmであり、段差面33の傾斜角θは5°である。また、段差面33から34へ連続する曲面R3は、その曲率半径が2mmで形成されている。
そこで、このハイブリッド溶接用継手30に対しても、図面上方からファイバーレーザなどを使用してレーザビームの照射によるレーザによる溶融が行われ、その後方ではMIG溶接が追随して行われる。先行するレーザビームは溶接溝35内に入り込み、接合突起32同士が当接した当接面36の位置に照射され、当接面36部分が溶融する。レーザによる溶融の後方では、レーザビームによって熱が加えられた溶接溝35にMIG溶接が行われ、溶けたフィラーワイヤが溶接溝35を埋めるように充填される。
よって、本実施形態のハイブリッド溶接用継手30でも、板厚の一部である当接面36をレーザにより溶融するため、溶接面積が小さくなることによってレーザビームの熱が入りやすくなり、高出力にすることなく高速での溶接が可能となる。特に本実施形態のハイブリッド溶接用継手30は、段差面33の角度や曲面R3の曲率半径を設定することで、突き合わされた部分へとレーザビームが集中し易く、エネルギ効率の良いレーザによる溶融が行われる。図7は、ハイブリッド溶接用継手30に照射されるレーザビームBを模式的に示した図である。レーザビームBの反射が分かりやすいように、左側半分だけを示している。
溶接溝35内に照射されたレーザビームBは、段差面34同士の隙間に直接入る他、傾斜面である段差面33や曲面R3に当たって反射して段差面34同士の隙間に入っていく。すなわち、曲面ばかりだと外向きに反射してしまう部分ができ、斜面だけでは集中が起きない。そこで、本実施形態では、傾斜した段差面33と曲面R3などを組み合わせ、効率良くレーザビームのエネルギが接合部に集中するようにしている。従って、溶接溝35内に照射されたレーザビームBは、接合部に集中して当接面36のレーザ溶接を効率良く行うことができるため、溶接速度を上げる他、当接面36の溶け込みによってブローホールなどの溶接欠陥を防止したビードを得ることが可能になる。
一方、溶接溝35の容積が小さいため溶かしたフィラーワイヤを充填する時間も短縮することができ、この点でも溶接速度を上げることが可能になる。ただし、本実施形態では、最終的に切削用突起38の厚さ分だけ削り取ってしまうため、溶接溝35内にフィラーワイヤを完全に充填する必要もない。従って、切削用突起38を削り取って残る部分が段差面34の溝部分なので、フィラーワイヤの充填量は更に少なくて済み、この点でも溶接速度を上げることができ、アンダーフィルの問題も解消できる。その他、レーザビームが溶接溝35内を予熱することにより、MIG溶接の速度を上げることができるなどの効果を奏する。なお、本実施形態では段差面33を傾斜面としたが、緩やかな曲面とするようにしたものであってもよい。
(第4実施形態)
次に、被接合部材がアルミ合金の押出中空形材である場合について説明する。図8は、押出中空形材同士を接合する第4実施形態のハイブリッド溶接用継手を示した図である。図示する押出中空形材は、その一部分しか示していないが、図10に示す従来例と同様に構成され、上面板111,121と不図示の下面板とが複数の傾斜リブによって連結され、特に突き合わされる接合端部には上面板111,121などと直交する端部リブ113,123が形成されている。そして、接合端部は、上下両面板に対称的に構成され、端部リブ113,123から突き出した突起部115,126とが重なり合って嵌合し、ハイブリッド溶接用継手40が構成される。
ハイブリッド溶接用継手40は、例えば上面板121と突起部126の接合端部に前記第1実施形態と同様に形成されている。すなわち、上面板121と突起部126の接合端部において面内方向に突き出した接合突起41が形成され、突き合わされた状態でレーザ照射側(図面上方)に段差面42同士の隙間による溶接溝43が形成される。
そして、本実施形態でも、図示するハイブリッド溶接用継手40には、先行するレーザビームが溶接溝43内に入り込み、接合突起41同士が当接した当接面45が溶融し、その後方ではレーザビームによって熱が加えられた溶接溝43にMIG溶接が行われ、溶けたフィラーワイヤが溶接溝43を埋めるように充填される。
よって、この押出中空形材のハイブリッド溶接用継手40でも、当接面45の面積が小さく、レーザビームの熱が全体に入りやすいため、高出力にすることなく高速での溶接が可能となり、また、ブローホールなどの溶接欠陥を防止したビードを得ることが可能になる。そして、レーザビームによる溶接溝43内の予熱や、その溶接溝43の容積が小さいことにより、MIG溶接の速度を上げることも可能になるなど、前記第1実施形態と同様の効果を奏する。
(第5実施形態)
次に、本実施形態でも被接合部材がアルミ合金の押出中空形材である場合について説明する。図8は、押出中空形材同士を接合する第5実施形態のハイブリッド溶接用継手を示した図である。図示する押出中空形材は、その一部分しか示していないが、上面板61,62と、不図示の下面板とが複数の傾斜リブによって連結されている。そして、押出中空形材の一方の上面板58側端部にあって、上面板62や下面板と直交する端部リブ63が形成され、その端部リブ63からは面内方向に突き出し、図示するように屈曲して他方の上面板61を受ける受突起64が形成されている。
押出中空形材は、接合端部が上下両面板に対称的に構成され、図示するように上面板61,62同士或いは下面板同士が接合端部を突き合わせたハイブリッド溶接用継手50が構成されている。ハイブリッド溶接用継手50は、肉厚に形成された上面板61,62の接合端部に、前記第3実施形態と同様に形成されている。すなわち、面外方向に突設した切削用突起58が形成され、接合端部には2段形状の段差面53,54とともに、面内方向に突き出した接合突起52が形成されている。上面板61,62の接合突起52同士が突き合わされ、レーザ照射側(図面上方)に、段差面53,54同士の隙間が溶接溝55となる。
そして、本実施形態でも、図示するように押出中空形材同士を嵌合させたハイブリッド溶接用継手50にハイブリッド溶接が行われる。先行するレーザビームが溶接溝53内に入り込み、接合突起51同士が当接した当接面55が溶融し、その後方ではレーザビームによって熱が加えられた溶接溝53にMIG溶接が行われ、溶けたフィラーワイヤが溶接溝53を埋めるように充填される。
よって、この押出中空形材のハイブリッド溶接用継手50でも、当接面55の面積が小さく、レーザビームの熱が全体に入りやすいため、高出力にすることなく高速での溶接が可能となり、また、ブローホールなどの溶接欠陥を防止したビードを得ることが可能になる。そして、レーザビームによる溶接溝53内の予熱や、その溶接溝53の容積が小さいことにより、MIG溶接の速度を上げることも可能になるなど、前記第3実施形態と同様の効果を奏する。また、本実施形態では、受突起64による空間65にシールドガスが入り込み、ブローホールなどの溶接欠陥を防止して高品質の溶接部が得られる。
以上、本発明に係るハイブリッド溶接用継手について複数の実施形態を示して説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
前記各実施形態で示した被接合部材の寸法は一例であって、異なるサイズのあってもなんら問題はない。
また、前記実施形態では、被接合部材としてアルミ板やアルミ合金からなる押出中空形材を示して説明したが、被接合部材の材質や形状はこれらに限るものではない。
被接合部材であるアルミ板同士を接合する第1実施形態のハイブリッド溶接用継手を示した図である。 第1実施形態のハイブリッド溶接用継手について原形を示した図である。 第1実施形態のハイブリッド溶接用継手について、レーザビームの反射を対比して示した図である。 被接合部材であるアルミ板同士を接合する第2実施形態のハイブリッド溶接用継手を示した図である。 被接合部材であるアルミ板同士を接合する第3実施形態のハイブリッド溶接用継手を示した図である。 図5に示した第3実施形態のハイブリッド溶接用継手の拡大図である。 第3実施形態のハイブリッド溶接用継手に照射されるレーザビームを模式的に示した図である。 被接合部材である押出中空形材同士を接合する第4実施形態のハイブリッド溶接用継手を示した図である。 被接合部材である押出中空形材同士を接合する第5実施形態のハイブリッド溶接用継手を示した図である。 従来のハイブリッド溶接用継手を示した図である。
符号の説明
1 ハイブリッド溶接用継手
11 アルミ板
12 接合突起
13 段差面
15 溶接溝
16 当接面

Claims (7)

  1. 板材からなる一対の被接合部材を接合すべく突き合わせた接合端部同士を、レーザ溶接とアーク溶接が連続するレーザ・アークハイブリッド溶接を行うために、その突き合わせた一対の接合端部によって形成されるハイブリッド溶接用継手において、
    前記接合端部には、レーザ照射側に位置する段差面と、その段差面より突き合わせ方向に突き出したレーザ反照射側に位置する接合突起とが設けられ、前記レーザ・アークハイブリッド溶接の溶接方向に沿った当該接合端部の角部が曲面で形成されたものであり、前記接合突起同士を突き合わせることで、向かい合う段差面同士によって溶接溝が形成されるものであることを特徴とするハイブリッド溶接用継手。
  2. 請求項1に記載するハイブリッド溶接用継手において、
    前記段差面は2段であって、前記溶接溝の幅がレーザ照射側から前記接合突起側へと段階的に狭くなるようにしたものであることを特徴とするハイブリッド溶接用継手。
  3. 請求項1又は請求項2に記載するハイブリッド溶接用継手において、
    前記段差面は、レーザ照射方向にほぼ平行な面であって、前記溶接溝の幅がレーザ照射側から前記接合突起側へとほぼ一定であることを特徴とするハイブリッド溶接用継手。
  4. 請求項1に記載するハイブリッド溶接用継手において、
    前記段差面は2段であって、その段差面のうち、前記レーザ照射側の段差面は、前記溶接溝をレーザ照射側に広げるようにした傾斜面又は曲面であり、前記接合突起側の段差面は、前記溶接溝の幅がほぼ一定になるようにレーザ照射方向にほぼ平行な面であり、2段に形成された前記段差面が曲面によって連続して形成されたものであることを特徴とするハイブリッド溶接用継手。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載するハイブリッド溶接用継手において、
    前記接合端部には、その被接合部材のレーザ照射側表面に突設された切削用突起が形成され、その切削用突起にまで前記段差面が形成されているものであることを特徴とするハイブリッド溶接用継手。
  6. 請求項1乃至請求項5のいずれかに記載するハイブリッド溶接用継手において、
    前記溶接溝の最も広い溝幅が、前記レーザのスポット径とほぼ同じであることを特徴とするハイブリッド溶接用継手。
  7. 請求項1乃至請求項6のいずれかに記載するハイブリッド溶接用継手において、
    前記被接合部材は押出中空形材であって、前記接合端部が、複数のリブによって連結された上面板及び下面板の一方又は双方に形成されたものであることを特徴とするハイブリッド溶接用継手。
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