JP2010178655A - 結晶性カロテノイド色素の変色抑制方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】
セルロースを結晶性カロテノイド色素と併用して、飲食品を調製する。
【選択図】図1
Description
A.結晶性カロテノイド色素の変色防止方法
本発明は、結晶性カロテノイド色素を用いて親油性成分を含有する飲食品を着色する際に問題となる、結晶性カロテノイド色素の変色を防止する方法に関する。
本発明は、結晶性カロテノイド色素を用いて親油性成分を含有する飲食品を着色する方法に関する。
以下に、飲食品の着色方法について例示するが、本発明はこれらの方法に制限されるものではない。
魚肉の肉片等を塩漬けあるいは擦りつぶしたものに調味料、でんぷん、食塩、食用油脂、つなぎ等を添加し、更に、本発明に係る結晶性カロテノイド色素およびセルロースの1種以上を加え、ケーシングに充填または成形した後、蒸したり油で揚げて調製する。水産練製品の例としては、魚肉ハム、魚肉ソーセージ、魚肉すり身、蒲鉾、竹輪、はんぺん、薩摩揚げ、伊達巻き、鯨ベーコン等が挙げられる。
豚肉、牛肉等に植物性タンパク、調味料、食塩等と本発明に係る結晶性カロテノイド色素およびセルロースの1種以上を混合し、加熱し畜肉加工品を作る。ここでいう畜肉加工品とは、例えばハム、ソーセージ、焼き豚等が挙げられる。
糖類、果汁、酸類、牛乳を主原料とし、これに安定剤、香料(精油分を含む)等を加え飲料を調製する。調製した混合液に本発明に係る結晶性カロテノイド色素およびセルロースの1種以上を添加混合した後、殺菌、充填する。ここでいう飲料類とは、例えば乳飲料、乳酸菌飲料、果汁入り清涼飲料、炭酸飲料、果汁飲料等が挙げられる。
牛乳、クリーム、練乳、粉乳、糖類、果実、餡等を主原料とし、これに酸類、乳化剤、安定剤、香料等を加え冷菓ミックス液を調製する。このミックス液に本発明に係る結晶性カロテノイド色素およびセルロースの1種以上を添加混合した後、殺菌、冷却後フリージングし容器に充填する。このものを0℃以下に冷却し凍結して仕上がりとする。ここでいう冷菓とは、例えばアイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス、シャーベット、氷菓等が挙げられる。
小麦粉、バター、卵等を主原料とし、これに香料、膨張剤等を加え焼き菓子の生地を作る。本発明に係る結晶性カロテノイド色素およびセルロースの1種以上を加え練合する。次に圧延ローラーを通して適当な厚さにし成形する。油で揚げるかまたはオーブンで焼く。ここでいう焼き菓子とは、例えばハードビスケット、クッキー、おかき、煎餅などである。
砂糖、水飴等の主原料に水を加え約150℃まで加熱し溶解する。これを130℃まで放冷した後、副材料の精油分含有した香料などと、本発明に係る結晶性カロテノイド色素およびセルロースの1種以上を加え、成形し、室温まで冷却してキャンディーを調製する。ここでいうキャンディー類にはハードキャンディー、ソフトキャンディー、ドロップ、タフィなどがあり、例えばキャラメル、グミキャンディー、ヌガー、ボンボン、バターボール、マーブル、マシュマロ等があげられる。
主原料の砂糖、水飴、精油分を含有する香料等に凝固剤としてペクチン、寒天、ゼラチン、カラギーナン等を適当な割合で混合し、次に本発明に係る結晶性カロテノイド色素およびセルロースの1種以上を加え加熱溶解した後、容器に充填し、殺菌後5℃1時間冷却してゼリーを作る。ここでいうゼリー類とは、例えばゼラチンゼリー、ペクチンゼリー、寒天ゼリー等が挙げられる。
本発明は、親油性成分を含有する飲食品を、結晶性カロテノイド色素を用いて着色する際に生じる変色が抑えられた飲食品に関する。その解決手段として、飲食品の製造原料としてセルロースを添加することにより、結晶性カロテノイド色素が加熱殺菌工程等の加熱工程を経る際に、飲食品に含まれる脂質等の親油性成分に溶解し、色調が著しく変化する問題が解決される。
本発明は、親油性成分を含有する飲食品を着色した際に生じる結晶性カロテノイド色素の変色を、効果的に抑制する飲食品用着色料製剤を提供するものである。
試料:
・着色料製剤A 着色料製剤「リコピンベースNO.34824(三栄源エフ・エフ・アイ(株)製」(リコピン結晶をアラビアガムで分散した製剤。リコピン含有量1%)
・着色料製剤B 着色料製剤「リコピンベースNO.35153(三栄源エフ・エフ・アイ(株)製」(リコピン結晶をグリセリン脂肪酸エステルで分散した製剤。リコピン含有量2.5%)
・着色料製剤C 着色料製剤
調製方法:結晶のリコピン50gをエタノール950gに添加混合し、湿式摩砕機ダイノミル(WAB社製ダイノミルKDL)を用い粉砕し、これを水3750gにメチルセルロース250gを配合して溶解したものに添加し、高圧ホモジナイザーにて圧力350kg/cm2で分散均一化処理して、着色料製剤Cを調製した。着色料製剤Cの粒度分布をレーザー解析式粒度分布計(SALD−2100 島津製作所社製)にて測定したところ0.60μmであった。リコピン含量は1%であった。
・着色料製剤D カロチン製剤
調製方法:水740gにアラビアガム150g、プロピレングリコール100gを配合して溶解し、水相成分を調製した水相成分に結晶のβ-カロチン10gを添加混合し、湿式摩砕機ダイノミル(WAB社製ダイノミルKDL)を用い粉砕し、着色製剤Dを調製した。着色製剤Dの粒度分布をレーザー解析式粒度分布計(SALD−2100 島津製作所社製)にて測定したところ0.48μmであった。β-カロチン含量は1%であった。
下記魚肉ソーセージ処方に準じて、冷凍すり身を解凍した後、サイレントカッターに入れ、粗ずりした後、食塩を加えて塩ずりした。これにグルタミン酸ナトリウムを加え、氷水に分散させた馬鈴薯澱粉を加えて混合し、更にコーンサラダ油を加え、すり身を調製した。
冷凍すけそうすり身* 100g
食塩 1.6g
L-グルタミン酸ナトリウム 0.4g
氷水 24g
馬鈴薯澱粉 3.2g
コーンサラダ油* 8g
HPC:ヒドロキシプロピルセルロース
HPMC:ヒドロキシプロピルメチルセルロース
実施例11 蒲鉾
下記蒲鉾処方に準じて、冷凍すり身を解凍した後、サイレントカッターに入れ、粗ずりした後、食塩を加えて塩ずりする。これにグルタミン酸ナトリウム及びソルビン酸カリウムを加え、氷水に分散させた馬鈴薯澱粉を加えて混合し、すり身を調製した。
このすり身に着色料製剤Bおよび5%(W/V)メチルセルロース水溶液を混合したものを、すり身20gに添加した。残りのすり身を蒲鉾状に成形したものに重層し、包装後、95℃、40分蒸し蒲鉾を作った。着色した蒲鉾を加熱前後で肉眼観察した。
冷凍すり身(脂質含有量 1%以上)* 100g
食塩 3g
L-グルタミン酸ナトリウム 1g
ソルビン酸カリウム 0.2g
馬鈴薯澱粉 10g
砂糖 2g
氷水 60g
着色料製剤B 0.05g
5%(W/V)メチルセルロース水溶液 0.5g
実施例11とメチルセルロースを添加しない以外は同様の方法で蒲鉾を作り、加熱前後の色調を比較した。
■結果
色調:着色した蒲鉾を肉眼で観察した。
結果:比較例4はオレンジ色を呈し、加熱前後での変色が認められた。実施例11は赤色を呈し、加熱前後での色調差は認められなかった。
下記カニ風味蒲鉾処方に準じて、冷凍すり身を解凍した後、サイレントカッターに入れ、粗ずりした後、食塩を加えて塩ずりする。これにグルタミン酸ナトリウム及びソルビン酸カリウムを加え、氷水に分散させた馬鈴薯澱粉を加え、調味料、フレーバーを加え混合し、カニ風味蒲鉾すり身を調製した。
冷凍すり身(脂質含有量 1%以上)* 100g
食塩 2.5g
L-グルタミン酸ナトリウム 1g
ソルビン酸カリウム 0.2g
調味料(エビ、カニ用)* 1.5g
フレーバー(エビ、カニ用)* 7g
氷水 50g
カニ風味蒲鉾すり身* 5g
卵白 10g
着色料製剤A 0.5g
5%(W/V)メチルセルロース水溶液 1g
実施例12とメチルセルロースを添加しない以外は同様の方法でカニ風味蒲鉾を作り、加熱前後の色調を比較した。
■結果
色調:着色したカニ風味蒲鉾を肉眼で観察した。
結果:比較例5はオレンジ色を呈し、加熱前後での変色が認められた。実施例12は赤色を呈し、加熱前後での色調差は認められなかった。
下記ウインナーソーセージ処方により添加し練り合わせた後、豚腸に充填し70℃30分間加熱しウインナーソーセージを調製し、加熱前後の色調を比較した。
豚肉* 600g
豚油* 260g
水 140g
調味料 2g
砂糖 2g
食塩 16g
着色料製剤B 0.3g
5%(W/V)メチルセルロース水溶液 3g
実施例13とメチルセルロースを添加しない以外は同様の方法でウインナーソーセージを作り、加熱前後の色調を比較した。
■結果
色調:着色したウインナーソーセージを肉眼で観察した。
結果:比較例6はオレンジ色を呈していたが、実施例13は赤味の強い色調を呈していた。
下記苺乳飲料の処方に準じて、3を75℃まで加温した後、1と2(三菱化学フーズ(株)製)を混合したものを添加した。75℃10分間で溶解した後、室温まで冷却した。5と6を混合し、これに7を添加、70℃10分間加熱溶解した後、室温まで冷却した。1、2、3に2および5、6、7さらに9,10,11,12を順に添加混合し、水にて全量を100gとした。この液を75℃まで加熱し、20MPaでホモジナイズ処理し、UHT殺菌(143℃30秒)を行い、色調を比較した。
1 砂糖 3.5g
2 乳化剤(エステルP-1670) 0.05g
3 水 45.0g
4 牛乳* 17.0g
5 砂糖 3.5g
6 脱脂粉乳 6.8g
7 水 15.9g
8 イチゴ濃縮透明果汁(1/5) 1.8g
9 10%(w/v)ビタミンC水溶液 0.2g
10 10%(w/v)重曹水 2.4g
11 着色料製剤B 0.05g
12 5%(W/V)メチルセルロース水溶液 0.5g
精製水にて全量を100gとする。
実施例14とメチルセルロースを添加しない以外は同様の方法で苺乳飲料を作り、色調を比較した。
■結果
色調:着色した苺乳飲料を肉眼で観察した。
結果:比較例7は黄色味の強いオレンジ色の色調を呈していたが、実施例14は赤色を呈していた。
下記オレンジシャーベット処方に準じて、1〜4を混合し、水に添加し、撹拌下5を添加し75℃まで加熱した。これを15MPaでホモジナイズ処理し、6〜11を添加した。95℃15秒取り出し温度7℃の条件でプレート殺菌し、さらに5℃まで冷却した。これをカップに充填し硬化させ色調を評価した。
1 砂糖 15g
2 粉末水飴 6g
3 脱脂粉乳 2g
4 サンナイスSHM-2(三栄源エフ・エフ・アイ(株)製) 0.6g
5 精製やし油* 1g
6 5倍濃縮オレンジ果汁 4g
7 クエン酸(結晶) 0.2g
8 オレンジフレーバー* 0.2g
9 10%(w/v)ビタミンC水溶液 0.2g
10 着色料製剤D 0.05g
11 5%(W/V)メチルセルロース水溶液 1.0g
精製水にて全量を100gとする。
実施例15とメチルセルロースを添加しない以外は同様の方法でオレンジシャーベットを作り、色調を比較した。
■結果
色調:着色したオレンジシャーベットを肉眼で観察した。
結果:比較例8は、黄色を呈していたが、実施例15はオレンジ色であった。
下記処方のように添加し、練り上げた後、圧延、成形後、約180℃、40分程度で焼機にて焼き上げハードビスケットを作った。
小麦粉(強力粉) 50g
粉糖 20g
炭酸ナトリウム 0.25g
水 16.3g
炭酸アンモニウム 0.25g
ショートニング* 12.5g
全脂粉乳* 0.9g
着色料製剤B 0.2g
5%(W/V)メチルセルロース水溶液 1.0g
精製水で全量を100gにする
実施例16とメチルセルロースを添加しない以外は同様の方法でハ−ドビスケットを作り、色調を比較した。
■結果
色調:着色したハ−ドビスケットを肉眼で観察した。
結果:比較例9は黄色味の強いオレンジ色を呈していたが、実施例16は赤味の強いオレンジ色を呈し、比較例9に比べ赤味が強い色調であった。
下記フルーツ風味ゼリーの処方に準じて、試料を添加し、全量を水で100mlにし80℃、10分加熱溶解したものに添加した後、着色料製剤Bと5%(W/V)メチルセルロース水溶液を混合したものおよびグレープフルーツ香料を添加混合した。これを容器に充填し85℃にて20分間殺菌した。殺菌前後の色調を比較した。
砂糖 14.25g
クエン酸(無水) 0.2g
クエン酸三ナトリウム 0.19g
ビタミンC 0.02g
カラギーナン 1g
着色料製剤B 0.15g
8%(W/V)メチルセルロース水溶液 5.0g
グレープフルーツ香料(精油含有量10%)* 1g
全量を精製水で100mlにする
実施例17とメチルセルロースを添加しない以外は同様の方法でフルーツ風味ゼリーを作り、色調を比較した。
■結果
着色したフルーツ風味ゼリーの色調を殺菌前後で肉眼にて観察した。
結果:比較例10は、殺菌後は殺菌前に比べ明らかに黄色に変色し、黄色味の強いオレンジ色であったが、実施例17では黄色への変色は抑えられ、赤味が強いオレンジ色でであった。色調の違いを図2に示す。
下記ハードキャンディーの処方に準じて、1、2、7を155℃まで加熱し、120℃まで冷却し、3〜9を加え混合後、成形した。色調を観察した。
1 砂糖 65.0g
2 水飴 45.0g
3 ショートニング* 2.0g
4 DKクリーマーE−40(第一工業製薬(株))0.1g
5 クエン酸 1.2g
6 香料* 0.2g
7 水 30.0g
8 着色料製剤D 0.3g
9 8%(W/V)メチルセルロース水溶液 3.0g
実施例18とメチルセルロースを添加しない以外は同様の方法でハードキャンディーを作り、色調を比較した。
■結果
着色したハードキャンディーの色調を肉眼にて観察した。
結果:比較例11は、殺菌後は殺菌前に比べ黄色に変色していたが、実施例18は、変色が抑えられオレンジ色であった。
Claims (12)
- 結晶性カロテノイド色素と親油性成分を含有する飲食品において、セルロースを配合することを特徴とする結晶性カロテノイド色素の変色抑制方法。
- 結晶性カロテノイド色素とセルロースの配合割合が1:1以上である請求項1に記載の結晶性カロテノイド色素の変色抑制方法。
- 結晶性カロテノイド色素がリコピン、β-カロチン、ルテイン、β-アポカロテナール、カンタキサンチン、アスタキサンチンの一種以上である、請求項1又は2に記載の結晶性カロテノイド色素の変色抑制方法。
- 結晶性カロテノイド色素とセルロースを添加することを特徴とする、親油性成分を含有する飲食品の着色方法。
- 結晶性カロテノイド色素とセルロースの配合割合が1:1以上である請求項4に記載の飲食品の着色方法。
- 結晶性カロテノイド色素がリコピン、β-カロチン、ルテイン、β-アポカロテナール、カンタキサンチン、アスタキサンチンの一種以上である請求項4又は5に記載の飲食品の着色方法。
- 結晶性カロテノイド色素とセルロースを含有することを特徴とする、結晶性カロテノイド色素の変色が抑制された親油性成分を含む飲食品。
- 結晶性カロテノイド色素とセルロースの配合割合が1:1以上である請求項7に記載の飲食品。
- 結晶性カロテノイド色素がリコピン、β-カロチン、ルテイン、β-アポカロテナール、カンタキサンチン、アスタキサンチンの一種以上である請求項7又は8に記載の飲食品。
- セルロースを含有することを特徴とする結晶性カロテノイド色素の変色抑制効果を有する親油性成分含有飲食品用着色料製剤。
- 結晶性カロテノイド色素とセルロースの配合割合が1:1以上である、請求項10に記載の着色料製剤。
- 結晶性カロテノイド色素がリコピン、β-カロチン、ルテイン、β-アポカロテナール、カンタキサンチン、アスタキサンチンの一種以上である請求項10又は11に記載の着色料製剤。
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