JP2010177050A - 蛍光ランプ及びこの蛍光ランプの製造方法 - Google Patents
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Abstract
本発明の目的は、端壁に設けた蛍光体の剥がれを抑制した蛍光ランプを提供することにある。
【解決手段】
第1の発明に係る蛍光ランプは、内面に蛍光体が設けられた放電容器と、放電容器を介在させて対向された電極と、からなる蛍光ランプにおいて、前記放電容器は、少なくとも一方の端部に塗布剤用パイプ残部が設けられ、この端壁は、塗布剤用排出パイプ残部に向かって略漏斗状であり、且つ、その内面にも蛍光体が設けられたことを特徴とする。
【選択図】図1
Description
図12(a)は、特許文献1に記載される蛍光ランプ91の説明図である。
蛍光ランプ91は、二重管構造の放電容器911と、放電容器911の内面に設けた蛍光体913と、放電容器911の外面に設けた一対の電極912と、により構成される。
放電容器911は、円筒状の外管9112と、外管9112の内部に外管9112と同軸に配置した内管9111と、により二重管構造で構成され、該二重管構造の両端を円環状の端壁9113で封止される。放電容器911を構成する部材は、例えば石英ガラスである。
この放電容器911の内部には、発光ガスとして例えばキセノンガスが封入される。
蛍光ランプ91は、一対の電極912に高周波・高電圧が入力されることで、エキシマ放電を生じ、このエキシマ放電から例えば200nm以下の真空紫外線が生じる。蛍光体913は、この真空紫外線が照射されることで励起され、励起光が放電容器911に透過されて放射される。
図12(b)のエキシマランプ92は、放電容器921の内面に蛍光体が設けられていない点と、内管9211の内面に設けた電極922が板状である点と、放電容器921の端壁9213に流体流通管の残部924が設けられた点とで、図12(a)の蛍光ランプ91と相違する。図12(b)のエキシマランプ92の説明として、図12(a)の蛍光ランプ91との相違点である流体流通管の残部924について述べる。
放電容器921の両端に設けた端壁9213には、流体流通管が設けられ、一方の流体流通管から洗浄液が流入され、放電容器921中の空気は他方の流体流通管から排出される。放電容器921に流入された洗浄液は、一方の流体流通管から排出され、他方の流体流通管から空気が流入される。この薬液洗浄処理後、洗浄用水により濯ぎ処理が行なわれる。
上記処理後、放電容器921は乾燥処理が施され、封止工程が行なわれる。この封止工程では、一方の流体流通管が例えばバーナーによって焼き切られた後、放電容器921内部の空気を排出し、キセノンガスなどの発光ガスが充填され、最後に他方の流体流通管が焼き切られる。この焼き切られた流体流通管が流体流通管の残部924となる。
特許文献2の場合、発光ガスとしてキセノンガスが充填されることから、ランプ点灯時に得られる紫外線は、波長200nm以下の真空紫外線である。
図12(c)のエキシマランプ93は、放電容器921の形状が二重管構造ではなく一重の管形状である点と、その管形状が直方体である点とで、図12(b)のエキシマランプ92と相違する。図12(c)のエキシマランプ93の説明として、図12(b)のエキシマランプ92との相違点について述べる。
このチップ管924は、放電容器921内部の空気の排気と、放電容器921内部への発光ガスとしてキセノンガスが充填される。
特許文献3の場合、発光ガスとしてキセノンガスが充填されることから、ランプ点灯時に得られる紫外線は、波長200nm以下の真空紫外線である。
特許文献1に記載される蛍光ランプ91は、放電容器911の内面に蛍光体913を設けるため、特許文献2及び3に示す流体流通管やチップ管から放電容器の内部に蛍光体を充填させることが考えられる。ところが、このような製造方法では、放電容器の端壁に設けた蛍光体が剥がれてしまうという問題が生じた。蛍光体が剥がれてしまうと、この剥がれた蛍光体が放電容器の内部では不純物となってしまい、放電の邪魔になり、その部分で光量低下を起こすことになる。
蛍光体の熱膨張係数は、放電容器が構成する部材の熱膨張係数よりも大きい。放電容器の側壁に設けられ蛍光体は、極めて薄く形成されることから、ランプが点灯されて加熱されても、側壁に設けられた蛍光体の膨張量は小さく、側壁から剥がれることが抑制される。ところが、蛍光体を塗布するための蛍光体スラリーは粘度が大きく、放電容器の内面に蛍光体スラリーを塗布する工程において、蛍光体スラリーは、側壁を流れる速さに比べ、端壁を流れる速さが遅いため、放電容器の端壁に設けられた蛍光体の厚みは、側壁に設けられた蛍光体の厚みに比べて厚く凝縮される。このため、ランプが点灯されて加熱されると、端壁に凝縮された蛍光体の膨張量は、側壁に設けられた蛍光体のように薄く凝縮していない状態に比べて大きく、また端壁の膨張量よりも大きい。このため、端壁に設けられた蛍光体は、側壁に設けられた蛍光体との間の熱膨張量差によって、且つ、端壁との間の熱膨張量差によって、剥がれたものと推測される。
また、端壁が例えば石英ガラスのように、波長200nm以下の真空紫外線を透過する場合、端壁から透過された真空紫外線が酸素に吸収され、オゾンが形成される。オゾンは、樹脂等を分解してしまうため、蛍光ランプ周辺の装置類のオゾン対策をしなければならず、装置が複雑化する。
第2の発明に係る蛍光ランプは、第2の発明において、前記放電容器は、ガラス層を介して前記蛍光体が設けられたことを特徴とする。
第3の発明に係る蛍光ランプは、第1又は2において、前記塗布剤用パイプ残部が両方の端部に設けられたことを特徴とする。
第4の発明に係る蛍光ランプの製造方法は、内面に蛍光体が設けられた放電容器と、放電容器を介在させて対向された電極と、からなる蛍光ランプの製造方法において、放電容器形成管の少なくとも一方の端部の端面が、放電容器形成管の長手方向に対して傾斜されるように形成され、一方の端壁形成板が、この傾斜された端面に沿って接合され、一方の塗布剤用排出パイプが、一方の端壁形成板が一方の塗布剤用排出パイプに向かって漏斗状となるように、且つ放電容器形成管の中空と塗布剤用排出パイプの中空とが連通するように、接合され、これによりガラス管が形成される工程と、蛍光体スラリーが、ガラス管の内部に充填され、ガラス管の一方の塗布剤用排出パイプから排出される工程と、を有することを特徴とする。
第2の発明に係る蛍光ランプは、上記特徴により、放電容器と蛍光体との間にガラス層が形成され、このガラス層を構成するガラスの軟化点が放電容器を構成する部材の軟化点よりも低いので、蛍光体の焼成時にガラス層が軟化され、放電容器と蛍光体との結合をガラス層によって強固にすることができ、蛍光体の剥がれを抑制することができる。さらに、ガラス層の軟化点が放電容器を構成する部材の軟化点よりも低いので、蛍光体は1000℃以上の温度に加熱されないので、劣化されることなく焼成できる。
長尺の放電容器の場合、放電容器の内面に蛍光体スラリーを塗布して排出する際に、一方の塗布剤用排出パイプだけでは十分な排出ができないので、他方の塗布剤用排出パイプも用いて排出を行なう。このため、第3の発明に係る蛍光ランプは、上記特徴により、他方の端壁の形状が漏斗状となり、他方の端壁に設けた蛍光体の厚みを、側壁に設けた蛍光体の厚みよりも極端に厚くなることを抑制できるので、他方の端壁に設けた蛍光体と側壁に設けた蛍光体との熱膨張量差を小さくすることができ、さらに他方の端壁に設けた蛍光体と端壁を構成する部材との熱膨張量差を小さくすることができ、これにより他方の端壁に設けた蛍光体の剥がれを抑制することができる。さらに、端壁の内面に蛍光体が設けられたことにより、エキシマ放電により生じる紫外線を端壁に直接照射されることが抑制され、放電容器の寿命を伸ばすことができる。
第4の発明に係る蛍光ランプの製造方法は、上記特徴により、蛍光体スラリーが漏斗状の端壁の内面を円滑に流れ、一方の塗布剤用排出パイプから円滑に排出されるので、漏斗状の端壁に設けられる蛍光体の厚みを、側壁に設けた蛍光体の厚みよりも極端に厚く凝縮されることを抑制できるので、他方の端壁に設けた蛍光体と側壁に設けた蛍光体との熱膨張量差を小さくすることができ、さらに他方の端壁に設けた蛍光体と端壁を構成する部材との熱膨張量差を小さくすることができ、これにより他方の端壁に設けた蛍光体の剥がれを抑制することができる。さらに、端壁の内面に蛍光体が設けられたことにより、エキシマ放電により生じる紫外線を端壁に直接照射されることが抑制され、放電容器の寿命を伸ばすことができる。
図1は、第1の実施例に係る蛍光ランプ1の長手方向に沿った断面図である。
図2(a)は、図1の蛍光ランプ1の一方の端部の斜視図であり、図2(b)は、図2(a)の蛍光ランプの長手方向に対して直交する断面図(図2(a)のA−A断面図)である。
端壁241,242は、この側壁23の傾斜に沿うと共に、塗布剤用パイプ残部251,252に向かって順次縮径するように漏斗状に構成される。図1に示す断面においては、端壁241,242は、中央に位置する塗布剤用パイプ残部251,252に向かって、紙面左右から順次縮径する漏斗状に構成される。この端壁241,242は、図1の断面において、放電容器2の長手方向の対する垂線に対して、その傾斜角度Rは、例えば10°〜45°で構成される。
漏斗状の端壁241,242の中央には、塗布剤用パイプ残部251,252が外方に突出するように設けられる。塗布剤用パイプ残部251,252の内方には中空があり、漏斗状の端壁241,242の中央には、この中空と側壁23の内方の中空とを連通する穴部が設けられる。
このガラス層4は、蛍光体5と放電容器2との結合を強固にするために設けられる。このため、ガラス層は、少なくとも蛍光体5が設けられる範囲に設けられる。蛍光体5が設けられる範囲は、電極31,32間のエキシマ放電からの紫外線を効率良く受けるために側壁23の内面に設けられ、またエキシマ放電からの紫外線を端壁241,242に照射させないために端壁241,242の内面に設けられる。このため、ガラス層4は、側壁23の内面と端壁241,242の内面にも設けられる。
蛍光体5を構成する部材としては、例えばユーロピウム付活ホウ酸ストロンチウム(Sr−B−O:Eu、中心波長368nm)蛍光体5、セリウム付活アルミン酸マグネシウムランタン(La−P−O:Gd,Pr、中心波長311nm)蛍光体5などである。これらの蛍光体5は、いずれも波長250nm未満の領域の紫外線を吸収して、各々有する中心波長帯の光に変換して放射する。
図3は、ガラス管6の形成工程を示す説明図である。
図4(i)及び(k)は、図3で得られたガラス管6の内面にガラス層4を形成する工程の説明図である。図4(l),(m)及び図5(n)は、図4で形成したガラス層4の内面に蛍光体5を形成する工程の説明図である。
図5(o)〜(q)は、図4で得られた放電容器2を封止する工程の説明図である。
溶融石英ガラスからなる端壁形成板62を、放電容器形成管61の端面の長さに相当する長さで切り出して準備し(図3(c)は端壁形成板62の斜視図)、放電容器形成管61の端面に当接する(図3(d)は、放電容器形成管61と端壁形成板62とを当接させた側面図)。この当接は、放電容器形成管61がガラス旋盤の一方のチャック811に固定され、ガラス旋盤の他方のチャック812に固定された治具813で端壁形成板62を放電容器形成管61の端面に向かって押圧することで実現される(図3(d))。
このガラス旋盤における一方のチャック811と他方のチャック812とは、同軸で同回転できる機構を有する。
当接部分の溶着後、端壁形成板62は、バーナー82で加熱されることで軟化され、傾斜状の端面に沿って屈曲され、傾斜状の端面に当接される。この新たに当接した部分と端壁形成板62とは、ガラス旋盤によって回転・停止が繰り返されながら、バーナー82で加熱されることで溶着される(図3(f))。
この穴部621には、溶融石英ガラスからなる円筒状の一方の塗布剤用排出パイプ631を準備し、その端部を穴部621に当接させて、バーナー82で加熱され、端壁形成板62と一方の塗布剤用排出パイプ631とが接合される。
ガラス層4構成用の塊状のガラスを細かく砕き、ボールミルにかける。粉砕したガラス粉末をメッシュにかけることにより粒径を分類し、平均粒径が0.5〜10μm(好ましくは1〜5μm)のガラスの粉末を作製する。
このガラス粉末を、ニトロセルロース、酢酸ブチル液と重量比1:4の割合で混合する。混合液をアルミナボールとともにボールミルにかけて、十分ミリングし、ガラス粉末が分散されたスラリーを製作する。以下、このガラス粉末を分散させたスラリーを「ガラススラリー71」と称する。
ガラス層4を構成するガラスは、放電容器2の基材となる石英ガラスの軟化点(1600℃)よりも低い軟化点を有するガラスである。好ましくは、軟化点が蛍光体5の焼成温度(400〜900℃)範囲にあるガラスであり、更に好ましくは、耐熱衝撃性の良好な硬質ガラスである。
なかでも、ホウケイ酸ガラス(Si−B−O系ガラス、軟化点:約800℃)、アルミノケイ酸ガラス(Si−Al−O系ガラス、軟化点:約900℃)が好ましく、このような硬質ガラスは、単独で用いても良いし適宜の割合で混合して用いても良い。
本実施例において、ガラス管6は、図4(i)に示すように、その長手方向が垂直に保持され、ガラススラリー71で満たした容器の液面に一方の塗布剤用排出パイプ631が入れられる。ガラス管6は、他方の塗布剤用排出パイプ632からガラス管6の内部の空気を吸引することで、一方の塗布剤用排出パイプ631からガラススラリー71が吸い上げられ、ガラス管6の内部にガラススラリー71が充填され(図4(k))、その後、一方の塗布剤用排出パイプ631からガラススラリー71が排出される。このとき、ガラススラリー71は粘度を有することから、放電容器形成管61の内面,他方の端壁形成板62(紙面上方側)の内面,一方の端壁形成板62(紙面下方側)の内面,一方の塗布剤用排出パイプ632の内面及び一方の塗布剤用排出パイプ631の内面には、ガラススラリー71が塗布される。ここで、端壁形成板62の形状は、一方の塗布剤用排出パイプ631に向かって順次縮径する漏斗状になっており、ガラス粉末を一方の塗布剤用排出パイプ631へ円滑にガラススラリー71を流しだすことができ、ガラス粉末の溜りが発生することを抑制できる。このとき、ガラススラリー71の厚みが1〜30μmの範囲に形成されることが好ましい。この塗布されるガラススラリー71の厚みは、ガラススラリー71の粘度や塗布回数を調整することによって、変えることができる。
なお、後工程で形成する蛍光体5は、その発光が紫外線の場合、ガラス層4の厚みが厚いと蛍光体からの紫外線を透過する十分な透過率が得られないことがある。このため、ガラス層4の厚みは、後工程で形成する蛍光体5を保持できる範囲で、可及的に小さい方が好ましい。
ガラス管6の他方の塗布剤用排出パイプ632から、一方の塗布剤用排出パイプ631へ、乾燥窒素ガスを流すことで、ガラススラリー71に含まれる酢酸ブチルを蒸発させる。ここでも、端壁形成板62の形状は、一方の塗布剤用排出パイプ631に向かって順次縮径する漏斗状になっていることから、ガラス粉末を一方の塗布剤用排出パイプ631へ円滑に流し出すことができ、ガラス粉末の溜りが発生することを抑制できる。この結果、ガラス管6の内表面上に厚さが1〜30μmのガラス粉末が堆積した層が形成される。
焼成条件は、大気中であって、約500〜1000℃、時間としては、最高温度での保持時間で表すと、0.2〜1時間である。上述したホウケイ酸ガラス、アルミノケイ酸ガラスを用いた場合には、600〜900℃で行うのが好ましい。この焼成工程によって粒子同士が結合するとともに、ガラス管6に融着し、ガラス層4が基材に強力に結着することになる。
なお、ガラス層4は、溶融温度まで昇温しないことから通常は粉末状の形態を維持しているが、更に温度を上げて溶融させた状態としても構わない。
蛍光体5の塗布方法は先に2.で説明した手順と同様であり、発光管構成用ガラス管を垂直に保持し、蛍光体スラリー72を満たした容器の液面に一方の塗布剤用排出パイプ631が入れられる。ガラス管6は、他方の塗布剤用排出パイプ632からガラス管6の内部の空気を吸引することで、一方の塗布剤用排出パイプ631から蛍光体スラリー72が吸い上げられ、ガラス管6の内部に蛍光体スラリー72が充填され(図4(m))、その後、一方の塗布剤用排出パイプ631から蛍光体スラリー72が排出される。このとき、蛍光体スラリー72は粘度を有することから、放電容器形成管61の内面,他方の端壁形成板62(紙面上方側)の内面,一方の端壁形成板62(紙面下方側)の内面,一方の塗布剤用排出パイプ632の内面及び一方の塗布剤用排出パイプ631の内面には、蛍光体スラリー72が塗布される。ここで、端壁形成板62の形状は、一方の塗布剤用排出パイプ631に向かって順次縮径する漏斗状になっており、蛍光体粉末を一方の塗布剤用排出パイプ631へ円滑に流し出すことができ、蛍光体粉末の溜り(凝縮)が発生することを抑制できる。
本発明に係る蛍光ランプ1に好適に用いることができる蛍光体は、例えば、ユ−ロピウム付活ホウ酸ストロンチウム(Sr−B−O:Eu(以下SBEと称する。)、中心波長368nm)蛍光体、セリウム付活アルミン酸マグネシウムランタン(La−Mg−Al−O:Ce(以下、LAMと称する。)、中心波長338nm(ただしbroad))蛍光体、ガドリニウム、プラセオジム付活リン酸ランタン(La−P−O:Gd,Pr(以下、LAP:Pr,Gdと称する、中心波長311nm)蛍光体などである。これらの蛍光体は、いずれも波長250nm未満の領域の紫外光を吸収して、各々有する中心波長帯の紫外線に変換し、放射する。
ガラス管6を炉に入れて、焼成する。焼成条件は、大気雰中で、約500〜800℃であり、最高温度での保持時間にして、0.2〜1時間加熱する。この焼成工程において、蛍光体5層とガラス層4との境界面でガラスの軟化が生じて蛍光体5がガラス層4に結着し、結果的に、強固な結合状態が得られる。
この結果、石英ガラスからなるガラス管6の内表面上に、低軟化点ガラス粉末からなるガラス層4、蛍光体5層がこの順に積層された状態が得られる。
なお、大気中での劣化が激しい蛍光体5の場合は、大気中でニトロセルロースが焼失する温度まで昇温したのち、非酸化雰囲気ないし還元雰囲気にすることにより、約800度程度までの加熱を行うことが可能である。
より具体的には、一対の塗布剤用排出パイプ631,632の内面に付着した蛍光体5層及びガラス層4を取り除いた後、一方の塗布剤用排出パイプ631をバーナー82で加熱し(図5(o))、封止されることで一方の塗布剤用パイプ残部251が形成される(図5(p))。この後、一方の塗布剤用排出パイプ632は、排気装置83に気密に接続され、この排気装置83によってガラス管6の内部の気体が排気された後、発光ガスとして、例えば、キセノン(Xe)、リプトン(Kr)、アルゴン(Ar)、ネオン(Ne)を、単独で封入しても良いし適宜の組み合わせで混合して封入してもよい。なお、これら希ガスの放電により得られる波長は、キセノン160−190nm、クリプトン124,140−160nm、アルゴン107−165nm、ネオン80−90nmである。
発光ガスが封入された後、一方の塗布剤用排出パイプ632をバーナー82で加熱封止(チップオフ)することで、内部に蛍光体5及びガラス層4が設けられた放電容器2が完成される。
この後、この放電容器2の外面に一対の電極31,32が設けられることで、図1及び2に示した蛍光ランプ1が得られる。
さらに、200nm以下の真空紫外線の場合、放電容器2の外部に流出すると、外部の酸素に吸収されてオゾンを生成し、装置に含まれる樹脂を分解するという不都合が生じるが、第1の実施例に係る蛍光ランプ1は、端壁241,242の内面に蛍光体5が設けられていることから、端壁241,242から真空紫外線が流出することを抑制できる。また、これに伴って装置はオゾン対策をしなくて良いため、装置の複雑化を招くことが無い。
放電容器2を硬質ガラスにすると、その軟化点が、石英ガラスの軟化点よりも低いことから、放電容器2に直接蛍光体5を設けることができる。ガラス層4を設けず、放電容器2に直接蛍光体5を設けた例として、第2の実施例を示す。
図6は、第2の実施例に係る蛍光ランプ1の長手方向に沿った断面図である。
なお、図6には、図1に示したものと同じものに同一の符号が付されている。
図6の第2の実施例の説明として、図1と共通する部分は省略し、相違する部分について述べる。
図7(a)は、第3の実施例に係る蛍光ランプ1の長手方向に沿った断面図である。図7(b)は、図7(a)の蛍光ランプ1の一方の端部の斜視図である。
なお、図7には、図1及び2に示したものと同じものに同一の符号が付されている。
図7の第3の実施例の説明として、図1及び2と共通する部分は省略し、相違する部分について述べる。
端壁241,242は、この側壁23の傾斜に沿うと共に、塗布剤用パイプ残部251,252に向かって順次縮径するように漏斗状に構成される。図7(a)に示す断面においては、端壁241,242は、中央に位置する塗布剤用パイプ残部251,252に向かって、紙面左右から対数関数の円弧を形成するように漏斗状に構成される。
このため、第3の実施例に係る蛍光ランプ1は、第1の実施例に係る蛍光ランプ1と同様の効果を得ることができる。
図8(a)は、第4の実施例に係る蛍光ランプ1の長手方向に沿った断面図である。図8(b)は、図8(a)の蛍光ランプ1の一方の端部の斜視図である。
なお、図8には、図1及び2に示したものと同じものに同一の符号が付されている。
図8の第4の実施例の説明として、図1及び2の共通する部分は省略し、相違する部分について述べる。
側壁23は、図8(b)に示すように、紙面手前側の面(一方の電極31,32が設けられた面)と紙面奥にある不図示の面との端部が、その幅が塗布剤用パイプ残部251,252に向かって順次狭くなるように直線状の傾斜が設けられる。
端壁241,242は、この側壁23の傾斜に沿うと共に、塗布剤用パイプ残部251,252に向かって傾斜された漏斗状に構成される。図8(a)に示す断面においては、端壁241,242は、紙面右に位置する塗布剤用パイプ残部251,252に向かって、紙面左に傾斜された漏斗状に構成される。
このため、第4の実施例に係る蛍光ランプ1は、第1の実施例に係る蛍光ランプ1と同様の効果を得ることができる。
図9は、第5の実施例に係る蛍光ランプ1の長手方向に沿った断面図である。
なお、図9には、図1に示したものと同じものに同一の符号が付されている。
図9の第5の実施例の説明として、図1との共通する部分は省略し、相違する部分について述べる。
このため、第5の実施例に係る蛍光ランプ1は、第1の実施例に係る蛍光ランプ1と同様の効果を得ることができる。
図10は、第6の実施例に係る蛍光ランプ1の長手方向に沿った断面図である。
なお、図10には、図8に示したものと同じものに同一の符号が付されている。
図10の第6の実施例の説明として、図8との共通する部分は省略し、相違する部分について述べる。
端壁241,242は、この側壁23の傾斜に沿うと共に、塗布剤用パイプ残部251,252に向かって傾斜された漏斗状に構成される。図10に示す断面においては、端壁241,242は、紙面右に位置する塗布剤用パイプ残部に向かって、紙面左から傾斜された漏斗状に構成される。
これにより、一対の電極31,32は、放電容器2の内管22及び外管21に介在され、外管21と内管22との間にある放電空間26にも介在される。
このため、第6の実施例に係る蛍光ランプ1は、第4の実施例に係る蛍光ランプ1と同様の効果を得ることができる。
図11(a)は、第7の実施例に係る蛍光ランプ1の一方の端部を示した斜視図である。図11(b)は、図11(a)の蛍光ランプ1の一方の端部を示した断面図である。
なお、図11には、図8に示したものと同じものに同一の符号が付されている。
図11の第7の実施例の説明として、図8と共通する部分は省略し、相違する部分について述べる。
一方の塗布剤用パイプ残部251は、その内面が、傾斜した端壁241の内面に連続しており、これにより、蛍光体塗布工程において、ガラス管6の内部に充填した蛍光体粉末を排出する際に、傾斜した端壁241を流れてきた蛍光体粉末を、傾斜した端壁241の内面に連続した塗布剤用排出パイプの内面に円滑に流して排出することができ、端壁241に蛍光体粉末の溜り(凝縮)が発生することを抑制できる。
このため、第6の実施例に係る蛍光ランプ1は、第4の実施例に係る蛍光ランプ1と同様の効果を得ることができる。
ただし、本発明の蛍光ランプ1からの光を照射される被照射物が、大型であるとき、蛍光ランプ1も例えば2m以上のような長尺のものを製造することがある。このとき、蛍光体スラリー72は粘度を有するものであるため、蛍光体粉末を排出する際に一方の塗布剤用排出パイプ631から排出するだけでは十分な排出が行えないことがある。このため、蛍光ランプ1が長尺である場合には、図1に示すように、他方の端壁242も、他方の塗布剤排出パイプに向かって漏斗状に構成することで、他方の端壁242に蛍光体粉末の溜り(凝縮)が発生することを抑制でき、他方の端壁242に設けられた蛍光体5の剥がれを抑制できる。
2 放電容器
21 外管
22 内管
23 側壁
231 放電容器形成管残部
241 一方の端壁
242 他方の端壁
251 一方の塗布剤用パイプ残部
252 他方の塗布剤用パイプ残部
26 放電空間
31 一方の電極
32 他方の電極
4 ガラス層
5 蛍光体
6 ガラス管
61 放電容器形成管
62 端壁形成板
621 穴部
631 一方の塗布剤用排出パイプ
632 他方の塗布剤用排出パイプ
71 ガラススラリー
72 蛍光体スラリー
811 一方のチャック
812 他方のチャック
813 治具
82 バーナー
83 排気装置
C 回転
N 窒素ガス
R 傾斜角度
Claims (4)
- 内面に蛍光体が設けられた放電容器と、
放電容器を介在させて対向された電極と、
からなる蛍光ランプにおいて、
前記放電容器は、少なくとも一方の端部に塗布剤用パイプ残部が設けられ、
この端壁は、塗布剤用排出パイプ残部に向かって略漏斗状であり、且つ、その内面にも蛍光体が設けられた
ことを特徴とする蛍光ランプ。 - 前記放電容器は、ガラス層を介して前記蛍光体が設けられた
ことを特徴とする請求項1に記載の蛍光ランプ。 - 前記塗布剤用パイプ残部が両方の端部に設けられた
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の蛍光ランプ。 - 内面に蛍光体が設けられた放電容器と、放電容器を介在させて対向された電極と、からなる蛍光ランプの製造方法において、
放電容器形成管の少なくとも一方の端部の端面が、放電容器形成管の長手方向に対して傾斜されるように形成され、一方の端壁形成板が、この傾斜された端面に沿って接合され、一方の塗布剤用排出パイプが、一方の端壁形成板が一方の塗布剤用排出パイプに向かって漏斗状となるように、且つ放電容器形成管の中空と塗布剤用排出パイプの中空とが連通するように、接合され、これによりガラス管が形成される工程と、
蛍光体スラリーが、ガラス管の内部に充填され、ガラス管の一方の塗布剤用排出パイプから排出される工程と、
を有することを特徴とする蛍光ランプの製造方法。
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