JP2009224134A - 蛍光ランプ用ガラスバルブ及び蛍光ランプ - Google Patents

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Abstract

【課題】ソーダガラスと同等の透明性と強度を有し、しかも、使用に伴いガラスバルブから析出したナトリウム成分が水銀や蛍光体と反応することによる蛍光体の劣化を抑制し、蛍光体の発光効率の低減やガラスバルブを透過する可視光の透過率の低減を抑制し、蛍光体の発光効率や蛍光ランプの発光効率を維持し、蛍光ランプの長寿命化を図ることができる、蛍光ランプ用ガラスバルブや、蛍光ランプを提供する。
【解決手段】ソーダガラスにより形成した蛍光ランプ用ガラスバルブであって、ナトリウム原子の含有量が、3.5質量%以上、8.0質量%以内である。
【選択図】なし

Description

本発明は、蛍光ランプ用ガラスバルブ及び蛍光ランプに関し、より詳しくは、耐久性を向上させ、長寿命の蛍光ランプ用ガラスバルブ及び蛍光ランプに関する。
蛍光ランプは、内部に希ガスと水銀とを気密に保持したガラスバルブの両端部付近に設けられる電極に電圧を印加して、希ガスを電離させ、電離した希ガスを電極に衝突させて二次電子を放出させグロー放電を生起させ、これにより励起された水銀が、253.7nmの紫外線を放射する。この紫外線を受けたガラスバルブの内壁面に設けられる蛍光体が可視光を発光する。この種の蛍光ランプにおいては、ガラスバルブとして、融点降下の効果が得られ、製造時に電極の劣化を抑制でき、透明性に優れる鉛含有ガラスが使用されている。しかしながら、鉛含有ガラスは廃棄処分により土壌汚染等の環境上の問題や、製造時の作業環境上の問題等を有する。また、ソータガラスは、安価であるものの、鉛含有ガラスと比較して融点が高く、ソーダガラス製のガラスバルブを用いた場合、蛍光ランプの製造時に電極の劣化が生じる場合がある。また、蛍光ランプの点灯時に、ガラスバルブ中でNaが移動し易く表面に析出し、水銀蒸気や蛍光体と反応して、蛍光体を劣化させ、可視光の出力が低下したり、生成される生成物がガラスバルブを黒褐色に着色することにより、可視光の透過率が低下する等の問題がある。
このような問題点を解消するため、ガラスバルブ中の酸化ナトリウムの含有量を1.0質量%以下にした蛍光ランプ(特許文献1)や、酸化ナトリウムの含有量を0.1質量%以下にした管球製品(特許文献2)が報告されている。その他、ソーダライムガラス基板中のNa2O含有量を2wt%以下にし、ガラス基板からのNaの析出を抑制し、カソードの汚染を低減した画像表示装置(特許文献3)、14質量%のアルカリ金属酸化物を含むガラスを使用し、ステム部のガラスを透過する紫外線量を減少させる蛍光ランプ(特許文献4)、アルカリ含有ガラスの表面を水素を含有したプラズマで処理することにより、表面のNa2Oの含有量を0.2〜4.0%まで減少させたガラス基板を有する平面型蛍光ランプ(特許文献5)等が知られている。
しかしながら、これらのNaの含有量を低減させたガラスバルブにおいては、強度が低下したり、蛍光体から発光される可視光の透過率が低減する等の問題が生じる。
特開2002−298781 特開2002−358925 特開2006−236592 特開2005−129373 特開2006−338894
本発明の課題は、炭酸ナトリウムを11質量%程度含有するソーダガラスと同等の透明性と強度を有し、しかも、使用に伴いガラスバルブから析出したナトリウム成分が水銀や蛍光体と反応することによる蛍光体の劣化を抑制し、蛍光体の発光効率の低減やガラスバルブを透過する可視光の透過率の低減を抑制し、蛍光体の発光効率や蛍光ランプの発光効率を維持し、蛍光ランプの長寿命化を図ることができる、蛍光ランプ用ガラスバルブや、蛍光ランプを提供することにある。
本発明者らは、蛍光ランプについて、使用に伴い明るさが低減する理由について研究を行った。その結果、ガラスバルブ中のナトリウム原子の含有量が3.5質量%以上、8.0質量%以下であることにより、ガラスバルブが透明性を有し、その強度が低下されず、しかも、蛍光ランプの使用時にナトリウム成分が析出するのを抑制できることの知見を得た。かかる知見に基づき、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、ソーダガラスにより形成した蛍光ランプ用ガラスバルブであって、ナトリウム原子の含有量が、3.5質量%以上、8.0質量%以内である蛍光ランプ用ガラスバルブに関する。
また、本発明は、上記蛍光ランプ用ガラスバルブを有することを特徴とする蛍光ランプに関する。
本発明の蛍光ランプ用ガラスバルブは、ナトリウム原子を高濃度で含有する従来のソーダガラスと同等の透明性と強度を有し、しかも、使用に伴いガラスバルブから析出したナトリウム成分が水銀や蛍光体と反応することによる蛍光体の劣化を抑制し、蛍光の発光率の低減やガラスバルブを透過する可視光の透過率の低減を抑制し、蛍光体や蛍光ランプの発光効率を維持し、蛍光ランプの長寿命化を図ることができる。
本発明の蛍光ランプ用ガラスバルブは、ソーダガラスにより形成した蛍光ランプ用ガラスバルブであって、ナトリウム原子の含有量が、3.5質量%以上、8.0質量%以下であることを特徴とする。
本発明の蛍光ランプ用ガラスバルブは、ソーダガラス製である。ソーダガラスは、珪砂、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム等を主原料とするものであるが、本発明の蛍光ランプ用ガラスバルブに用いるソーダガラスは、炭酸ナトリウムの含有量を低減させ、珪砂の含有量を増加させたものである。上記珪砂は、工業的に使用されている石英砂からなるシリカである。また、上記ガラスバルブ中に含まれるナトリウム成分としては、炭酸ナトリウム、酸化ナトリウム等を原料とすることができる。これらのナトリウム化合物として用いられるナトリウム原子のガラスバルブ中の含有量は3.5質量%以上、8.0質量%以下である。ガラスバルブ中のナトリム原子の含有量が3.5質量%以上であれば、ガラスバルブの透明性や強度の低下を抑制することができる。また、ガラスバルブ中のナトリウム原子の含有量が8.0質量%以下であれば、珪砂の溶融を容易にし、ガラスバルブ透明性を有する。ガラスバルブ中のナトリウム原子の含有量は4.5質量%以上、6.5質量%以下であることが、より好ましく、更に好ましくは、5.0質量%以上、6.3質量%以下である。
また、上記ガラスバルブ中に含まれるカルシウム成分としては、炭酸カルシウム、酸化カルシウム等を原料とすることができる。これらのカルシウム化合物として用いられるカルシウム原子のガラスバルブ中の含有量は4.0質量%以下であることが、ソーダガラスとしての硬度が得られることから好ましい。
上記ガラスバルブ中の原子の含有量は、ガラスバルブを粉砕して蛍光X線分析装置(XRF)(島津製作所製)を用いて測定した測定値を採用することができる。
上記ガラスバルブにおいては、ナトリウム原子やカルシウム原子の含有量が減少するが、その減少分を珪素原子、カリウム原子、ストロンチウム原子、バリウム原子等の含有量を増加させることが好ましい。珪素原子の含有量を増加させることにより、ガラスバルブにおいて透明性が低下するのを抑制し、強度が低下するのを抑制することができる。また、カリウム原子の含有量を増加させることにより、アマルガムの生成を抑制し、使用に伴いガラスバルブに黒色物質が付着するのを抑制することができる。また、ストロンチウム原子の含有量を増加させることにより、ガラスバルブの透明性を維持することができる。
上記蛍光ランプ用ガラスバルブの形状としては直管型、湾曲型、環形、バルブ型等いずれであってもよい。また、その直径もいずれであってもよいが、例えば、口径として15〜38mmを挙げることができる。ガラスバルブの肉厚としては、具体的には、例えば、1.0±0.1mmを挙げることができる。
このようなガラスバルブの内壁面には保護層及び蛍光体層を有することが好ましい。この蛍光体層は、水銀原子から放射される253.7nmの紫外線により可視光を発光する蛍光体を含有する。蛍光体としては、熱に対して劣化が少なく、また、水銀の吸着が少なく、蛍光ランプの始動時において水銀蒸気圧が高い状況が継続する場合があるが、そのような場合においても、蛍光体が吸着する水銀によるガラスバルブの劣化を抑制することができるものが好ましい。このような蛍光体として、例えば、Y23:Eu、YVO4:Eu、LaPO4:Ce,Tb、(Ba,Eu)MgAl1017、(Ba,Sr,Eu)(Mg,Mn)Al1017、Sr10(PO46l2:Eu、(Sr,Ca,Ba,Mg)10(PO46l2:Eu等を挙げることができる。また、蛍光体層は、このような蛍光体を適宜組み合わせて含有するものとしてもよい。このような蛍光体層は、水銀から放射される253.7nmの紫外線により励起された蛍光体が、緑色、赤色、青色領域の可視光を発光し、演色に優れた白色光を発光可能なものとなる。例えば、赤色蛍光体として、Y23:Eu、緑色蛍光体として、LaPO4: Tb、青色蛍光体として、BaMgAl10:Euの組み合わせを一例として挙げることができる。
上記蛍光体層の厚さは、例えば、10〜30μmを挙げることができる。
上記蛍光体層を作成するには、微細化した蛍光体を含有する分散液を調製し、これを塗布、乾燥する方法を用いることができる。蛍光体の分散媒としては、具体的には、水や、アルコール類、酢酸ブチル、キシレン等の有機溶剤や、これらを混合したものを挙げることができる。塗布方法としては、コーティング、浸漬、スプレー塗布等いずれであってもよい。所定の厚さに塗布した後、自然乾燥や、強制乾燥等の乾燥方法により乾燥することができる。強制乾燥の場合、エアブロー等の速度や温度が高い場合、表面のみの乾燥が先行し、内部の乾燥速度が遅く内外に応力が発生し、亀裂発生の要因となる。このため、例えば、温度、エアーブロ−速度を調整して行うことが好ましい。
上記ガラスバルブは、蛍光体層とガラスバルブ内壁面との間に、ガラスバルブを紫外線から保護し、また、ガラスバルブに含まれるナトリウム原子と水銀とがの反応を抑制する保護層を有することが好ましい。ガラスバルブの内壁面に設けられる保護層は、蛍光体から発光される可視光に対し、ガラスバルブの内部空間の屈折率より大きくガラスバルブの屈折率より小さい屈折率を有し、ガラスバルブの界面において反射による蛍光量の低減を抑制できる材質で形成されることが好ましい。このような保護層の材質としては、超微粒子の酸化アルミニウム、酸化イットリウム等を挙げることができる。酸化アルミニウムの粒子径としては好ましくは、20nm〜300nm、より好ましくは、50nm〜100nmである。粒子径300nm以下の酸化アルミニウムを用いることにより、ガラスバルブ界面における蛍光の反射光量の低減を図ることができる。
ここで酸化アルミニウムの粒子径としては、レーザー解析式粒度分布測定装置により測定した測定値を採用することができる。
酸化アルミニウムを上記粒子径となるように、微細化する方法としては、例えば、ジェットミル、ボールミル、ビーズミル等を用いることができる。
上記保護層は、上記物質の微粒子を含有する分散液を調製し、これをガラスバルブの内壁面に、塗布、乾燥して形成することができる。
保護層の厚さとしては、具体的には、例えば、1.0±0.9μmを挙げることができる。
上記蛍光ランプ用ガラスバルブの一例として、図1の側面図に示すガラスバルブを挙げることができる。図1に示すガラスバルブは、ガラスバルブの内壁面に、順次保護層、蛍光体層を有する。
本発明の蛍光ランプは、上記蛍光ランプ用ガスバルブを有するものであれば、冷陰極蛍光ランプ、熱電極蛍光ランプ等いずれであってもよい。
上記蛍光ランプのガスバルブ内には、アルゴンやネオン等の希ガスと共に、紫外線を発生する水銀が封入され、ガスバルブ内で発生した放電電子が水銀原子に衝突し、水銀原子が253.7nmを含む紫外線を発生する。封入する水銀の量としては、蛍光ランプの点灯時において、蒸気圧が例えば、1〜10Pa等となるような量を挙げることができる。
上記蛍光ランプには、ガラスバルブ内で上記水銀原子から紫外線を放射させるための放電を発生させる手段として1対の電極が設けられる。かかる電極としては、熱電極、冷陰極いずれであってもよい。熱電極としては、例えば、バリウム、カルシウム、イットリウム等の酸化物等のエミッタ物質を塗布したタングステンコイル等からなる熱電極を挙げることができる。熱電極間に電圧が印加されると、エミッタから放出される電子により希ガスを電離させ、この希ガスのイオンが電極に衝突してグロー放電を生起させ、水銀を励起して紫外線を放出させる。また、冷陰極としては、例えば、ニッケル、モリブデン等により成形されたカップ状の電極を開口を対向させて配置させたものを挙げることができる。この電極間に電圧が印加されると、透光管内に僅かに存在する電子により希ガスを電離させ、これが電極に衝突することにより放電を生起させ、水銀から紫外線を放射させる。
この種の蛍光ランプを駆動させる点灯回路としては、蛍光ランプと別途に設けた点灯回路により電極を予熱し高圧パルスを発生するスターター式点灯回路を用いることができるが、蛍光ランプと一体化して設けた、電極予熱回路と昇圧回路とを有する安定器を備えたラピッドスタート式点灯回路、更に高周波変換回路を備えたインバータ式点灯回路を用いることもできる。点灯回路を一体化して設ける場合、ガラスバルブを湾曲若しくは屈曲し、その周囲を更にグローブで覆い、点灯回路に接続された口金を有する電球型としても、また、ガラスバルブが外部に露出した構造としてもよい。
このような蛍光ランプを製造する方法としては、特に限定されるものではなく、上記方法により、ガラスバルブ内壁面に保護層を設け、蛍光体を溶媒に分散させた分散液を調製し、これを保護層上に所定の厚さに浸漬、スプレー等の方法により塗工する。その後、透光管の両端部に電極を配置し、それぞれの電極に接続されるリード線を貫通させた封止部材でガラスバルブの両端部を密封して製造することができる。
本発明の蛍光ランプは、透明性が高く、強度を有するガラスバルブを備え、ガラスバルブからナトリウム成分の析出が抑制されるため、蛍光体の劣化や、水銀原子から放射される253.7nmの紫外線により蛍光体が劣化されず、長寿命化を図ることができる。
以下に実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらに限定されない。
[実施例1]
表1に示す組成のガラスバルブを作成した。
得られたガラスバルブを蛍光ランプ(FHC34ED−SHG:NECライティング社製)に用いて、電圧を印加し開始直後の透過光を、光度計(クーゲル:ネムテック社製)で測定したところ、3814Lmであった。電圧の印加後100時間経過後の透過光を同様に測定したところ、3652Lmであり、透過光の減衰率は4.25%であった。
[比較例1]
表1に示す組成とした他は実施例1と同様にして、ガラスバルブを作成し、蛍光ランプを作成し、透過光の測定を行った。電圧の印加の開始直後の透過光は、3779Lmであった。電圧の印加後100時間経過後の透過光は、3560Lmであり、透過光の減衰率は5.80%であった。
Figure 2009224134
[実施例2〜4]
表1に示す組成のガラスバルブを用い、それぞれ高周波点灯用専用ランプ(FHC34W:NECライティング社製)の昼光色ED(実施例2)、昼白色EN(実施例3)、電球色EL(実施例4)蛍光ランプを作成し、電圧を印加し開始直後の透過光、100時間後の透過光を、実施例1と同様にして測定した。結果を表2に示す。
[比較例2〜4]
表1の比較例1に示す組成としたガラスバルブを用いた他は実施例2〜4と同様にして、蛍光ランプを作成し、透過光の測定を行った。結果を表2に示す。
Figure 2009224134
結果から本発明の蛍光ランプの透過光は電圧の印加直後においても、高い透光性を有し、使用に伴う透過光の減衰率もいずれも低減されていることが明らかである。
本発明の蛍光ランプ用ガラスバルブの側面図を示す図である。
符号の説明
1 ガラスバルブ
2 保護層
3 蛍光体層

Claims (5)

  1. ソーダガラスにより形成した蛍光ランプ用ガラスバルブであって、ナトリウム原子の含有量が、3.5質量%以上、8.0質量%以内であることを特徴とする蛍光ランプ用ガラスバルブ。
  2. カルシウム原子の含有量が、4.0質量%以下であることを特徴とする請求項1記載の蛍光ランプ用ガラスバルブ。
  3. ストロンチウム原子の含有量が、2.00質量%以上、5.00質量%以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の蛍光ランプ用ガラスバルブ。
  4. ガラスバルブ内壁面に、保護層及び蛍光層を有することを特徴とする請求項1記載の蛍光ランプ用ガラスバルブ。
  5. 請求項1又は2に記載の蛍光ランプ用ガラスバルブを有することを特徴とする蛍光ランプ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPH06338291A (ja) * 1993-03-31 1994-12-06 Toshiba Lighting & Technol Corp けい光ランプおよびこれを用いた照明装置
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