JP2010173945A - N−アルキルボラジンの製法 - Google Patents
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Abstract
【課題】N−アルキルボラジンを高効率で製造しうる手段を提供する。
【解決手段】ボラン(BH3)錯体またはジボラン(B2H6)と、RCN(Rは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、またはアラルキル基である)で表されるニトリルとを反応させてN−アルキルボラジンを合成する段階を有し、溶媒中で反応が行われることを特徴とする、N−アルキルボラジンの製造方法である。
【選択図】なし
【解決手段】ボラン(BH3)錯体またはジボラン(B2H6)と、RCN(Rは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、またはアラルキル基である)で表されるニトリルとを反応させてN−アルキルボラジンを合成する段階を有し、溶媒中で反応が行われることを特徴とする、N−アルキルボラジンの製造方法である。
【選択図】なし
Description
本発明は、N−アルキルボラジンの製法に関する。N−アルキルボラジンは、例えば、半導体用層間絶縁膜、バリアメタル層、エッチストッパー層を形成するために用いられる。
情報機器の高性能化に伴い、LSI等のデザインルールは、年々微細になっている。微細なデザインルールのLSI製造においては、LSIを構成する材料も高性能で、微細なLSI上でも機能を果たすものでなければならない。
例えば、LSI中の層間絶縁膜に用いられる材料に関していえば、高い誘電率は信号遅延の原因となる。微細なLSIにおいては、この信号遅延の影響が特に大きい。このため、層間絶縁膜として用いられうる、新たな低誘電材料の開発が所望されていた。また、層間絶縁膜として使用されるためには、誘電率が低いだけでなく、耐湿性、耐熱性、機械的強度などの特性にも優れている必要がある。
かような要望に応えるものとして、分子内にボラジン環骨格を有するボラジン化合物が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。ボラジン環骨格を有するボラジン化合物は分子分極率が小さいため、形成される被膜は低誘電率である。その上、形成される被膜は、耐熱性にも優れる。
ボラジン化合物の1つとして、ボラジン環を構成する窒素原子がアルキル基と結合しているN−アルキルボラジンがある。N−アルキルボラジンは、それ自体が半導体用層間絶縁膜などの原料として用いられうる。また、他のボラジン化合物を製造する際の中間体ともなる。例えば、N−アルキルボラジンのホウ素に結合している水素原子をアルキル基で置換することによって、ヘキサアルキルボラジンが製造される。
N−アルキルボラジンを製造する手法として、水素化ホウ素のアルカリ金属塩(水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウムまたは水素化ホウ素リチウム)とアルキルアミン塩(例えば、メチルアミン塩酸塩)とを溶媒中で反応させる手法の他に、ジボランとアセトニトリルのようなニトリルとを反応させる手法が知られている(非特許文献1〜3)。非特許文献1〜3には、ジボランをアセトニトリルに吹き込み、無溶媒で反応させてN,N’,N”−トリエチルボラジンを得る方法が記載されている。
H.J.Emeleus and K.Wade,J.Chem.Soc.,1960,2614−2617.
J.R.Jenninigs and K.Wade,J.Chem.Soc.,1968,1946−1950.
R.Coult,M.A.Fox,B.Rand,K.Wade,A.V.K.Westwood,J.Chem.Soc.,Dalton Trans.,1997,3411−3413.
しかしながら、上記非特許文献1〜3に記載の方法では、トリアルキルボランや、他のホウ素−窒素複素環化合物などの副生成物が生じる。そのため、N−アルキルボラジンを高効率で製造することは困難であった。
そこで本発明は、N−アルキルボラジンを高効率で製造しうる手段を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題に鑑み、ボラン錯体またはジボランとニトリルとの反応条件を鋭意検討した。その過程で、上記反応を溶媒中で行うことで、反応が効率的に進行し、N−アルキルボラジンの収率が向上しうることを見出した。
すなわち本発明は、ボラン(BH3)錯体またはジボラン(B2H6)と、RCN(Rは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、またはアラルキル基である)で表されるニトリルとを反応させてN−アルキルボラジンを合成する段階を有し、溶媒中で反応が行われることを特徴とする、N−アルキルボラジンの製造方法である。
本発明によれば、N−アルキルボラジンが高効率で製造されうる。
本発明は、下記反応式に示されるように、ボラン(BH3)錯体またはジボラン(B2H6)と、RCN(Rは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、またはアラルキル基である)で表されるニトリルとを反応させてN−アルキルボラジンを合成する段階を有し、溶媒中で反応が行われることを特徴とする、N−アルキルボラジンの製造方法である。
以下、本発明の製造方法について説明する。
ボランは、BH3の化学式で表される化合物である。一般にボランは単独では不安定であるので、二量体であるジボラン(B2H6)として存在する。また、単量体のボランは、例えばテトラヒドロフラン、ジメチルエーテル、ジメチルスルフィド、ピリジン、トリエチルアミン、トリフェニルホスフィンのようなルイス塩基との錯形成によって安定化されることが知られている。本発明においては、ジボラン、および錯形成によって安定化されたボラン錯体のいずれも原料として用いることができる。
ニトリル(RCN)において、Rは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、またはアラルキル基である。アルキル基は、直鎖であっても、分岐であってもよい。アルキル基の有する炭素数は、特に限定されないが、好ましくは1〜8個、より好ましくは1〜4個、さらに好ましくは1個である。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などが挙げられる。これら以外のアルキル基が用いられてもよい。シクロアルキル基の有する炭素数は、特に限定されないが、好ましくは3〜8個、より好ましくは4〜7個、さらに好ましくは5〜6個である。シクロアルキル基の例としては以下に限定されることはないが、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。アリール基の具体例としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基などが挙げられる。アラルキル基の具体例としては、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基などが挙げられる。
使用するニトリルは、合成するN−アルキルボラジンの構造に応じて選択すればよい。例えば、ボラジン環を構成する窒素原子にエチル基が結合しているN,N’,N”−トリエチルボラジンを製造する場合にはRがメチル基であるアセトニトリルを用いればよい。
本発明において、原料であるニトリルの水分含量は、好ましくは1質量%以下であり、より好ましくは0.1質量%以下であり、さらに好ましくは0.05質量%以下であり、特に好ましくは0.01質量%以下である。ニトリルの水分含量が1質量%以下であれば、収率および純度の高いN−アルキルボラジンが得られうる。なお、ニトリルの水分含量の値としては、後述の実施例において採用される手法により測定される値を採用するものとする。
N−アルキルボラジンは、下記式で表される化合物である。
式中、Rは、ニトリルについて記載した通りであるため、ここでは説明を省略する。N−アルキルボラジンの例としては、N,N’,N”−トリメチルボラジン、N,N’,N”−トリエチルボラジン、N,N’,N”−トリ(n−プロピル)ボラジン、N,N’,N”−トリ(n−ブチル)ボラジン、N,N’,N”−トリ(イソブチル)ボラジン、N,N’,N”−トリ(2−メチルブチル)ボラジン、N,N’,N”−トリ(n−ペンチル)ボラジン、N,N’,N”−トリ(イソペンチル)ボラジン、N,N’,N”−トリ(neo−ペンチル)ボラジン、N,N’,N”−トリ(n−ヘキシル)ボラジン、N,N’−ジメチル−N”−エチルボラジン、N,N’−ジエチル−N”−メチルボラジン、N,N’−ジメチル−N”−プロピルボラジン、N,N’,N”−トリ(シクロへキシルメチル)ボラジン、N,N’,N”−トリベンジルボラジン、N,N’,N”−トリフェネチルボラジン、N,N’−ジメチル−N”−ベンジルボラジンなどが挙げられる。
本発明は、N−アルキルボラジンを合成の際、ボラン錯体またはジボランとニトリルとの反応を溶媒中で行う点に特徴を有する。溶媒中で反応を行うことにより、無溶媒の場合に比べて原料の分子の拡散が効果的に進行し、反応速度が向上しうる。また、熱の制御が容易になる。特に、ニトリルよりも沸点の高い溶媒を用いた場合、無溶媒の場合に比べてより高温での反応が可能になる。このため、反応が効率的に進行し、N−アルキルボラジンの収率を向上させることができる。
本発明に用いられうる溶媒は、原料を溶解し、生成したN−アルキルボラジンを分解しないものであれば特に制限されない。好ましくは、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、エーテル類が用いられうる。芳香族炭化水素としては、例えば、トルエン、ベンゼン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、イソプロピルベンゼンなどが挙げられる。脂肪族炭化水素としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、テトラリン、デカリンなどが挙げられる。エーテル類としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、モノエチレングリコールジメチルエーテル(モノグライム)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(トリグライム)、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(テトラグライム)、ペンタエチレングリコールジメチルエーテル(ペンタグライム)、モノエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、モノプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、テトラプロピレングリコールジメチルエーテル、モノプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテルなどが用いられうる。これらの溶媒は単一で用いてもよく2種類以上を併用してもよい。
上記溶媒は、はじめにニトリルと混合し、得られた混合液にボラン錯体またはジボランを添加して反応させてもよく、はじめにボラン錯体またはジボランと混合して得られた混合液をニトリルに供給してもよい。また、ニトリルおよびボラン錯体またはジボランをそれぞれ上記溶媒に供給し、これらを混合して反応させてもよい。好ましくは、はじめに溶媒とニトリルとを混合し、得られた混合液にボラン錯体またはジボランを添加して反応させる。
溶媒の使用量についても、特に限定されない。原料や生成物の溶解度や溶媒の取り扱い易さなどに応じて、溶媒の使用量を選択するとよい。好ましくは、ボラン錯体またはジボランとニトリルとの総量に対して、1〜20質量倍、より好ましくは3〜15質量倍、さらに好ましくは5〜10質量倍の溶媒が用いられる。
好ましくは、前記溶媒は、水分含量の低いものを用いる。N−アルキルボラジンは水との接触により分解しうるため、かような形態によってN−アルキルボラジンの分解およびこれに伴う収率の低下が抑制されうる。前記溶媒の水分含量は、好ましくは1質量%以下であり、より好ましくは0.1質量%以下であり、さらに好ましくは0.05質量%以下であり、特に好ましくは0.01質量%以下である。溶媒の水分含量が1質量%以下であれば、収率および純度の高いN−アルキルボラジンが得られうる。なお、溶媒の水分含量の値としては、後述の実施例において採用される手法により測定される値を採用するものとする。
気体状のジボランは、市販のものを用いてもよいが、ジボランは、例えば、ABH4(Aは、リチウム原子、ナトリウム原子またはカリウム原子である)で表される水素化ホウ素アルカリをBX3(Xはハロゲン原子である)で表されるハロゲン化ホウ素と反応させて得ることができる。上記反応は溶媒中で行うことが好ましい。水素化ホウ素アルカリの例としては、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素リチウム、および水素化ホウ素カリウムが挙げられる。ハロゲン化ホウ素の例としては、三フッ化ホウ素、三塩化ホウ素、三臭化ホウ素などが挙げられる。ハロゲン化ホウ素は、ジエチルエーテルやテトラヒドロフラン、ジメチルスルフィド、ピリジンなどにより錯体化されたものでもよい。好ましくは、BF3−Et2O錯体などが用いられうる。ここで、水素化ホウ素アルカリおよびハロゲン化ホウ素は、水分含量が低減されたものを用いることが好ましい。水素化ホウ素アルカリの水分含量は、好ましくは1質量%以下であり、より好ましくは0.1質量%以下であり、さらに好ましくは0.05質量%以下であり、特に好ましくは0.01質量%以下である。なお、水素化ホウ素アルカリの水分含量の値としては、後述の実施例において採用される手法により測定される値を採用するものとする。
水素化ホウ素アルカリとハロゲン化ホウ素との反応に用いられうる溶媒としては、特に制限されないが、例えば、テトラヒドロフラン、モノエチレングリコールジメチルエーテル(モノグライム)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(トリグライム)、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(テトラグライム)等が挙げられる。
好ましくは、水素化ホウ素アルカリとハロゲン化ホウ素との反応に用いられる溶媒は、水分含量が低いものを用いる。かような形態によって、生成するジボランの水分含量が低減され、これを原料として合成されるN−アルキルボラジンの分解およびこれに伴う収率の低下が抑制されうる。具体的には、溶媒の水分含量は、好ましくは1質量%以下であり、より好ましくは0.1質量%以下であり、さらに好ましくは0.05質量%以下であり、特に好ましくは0.01質量%以下である。なお、溶媒の水分含量の値としては、後述の実施例において採用される手法により測定される値を採用するものとする。
水分含量の低い水素化ホウ素アルカリ、ハロゲン化ホウ素、および水素化ホウ素アルカリとハロゲン化ホウ素との反応に用いられる溶媒の入手経路は特に限定されない。水分含量の少ない商品が市販されている場合には当該商品を購入して用いてもよいし、一般に市販されている比較的水分含量の多い商品を購入した後に、自ら当該商品中の水分含量を低減させて用いてもよい。
水素化ホウ素アルカリ、ハロゲン化ホウ素、および水素化ホウ素アルカリとハロゲン化ホウ素との反応に用いられる溶媒の水分含量を低減させる手法についても特に制限されず、化学合成の分野において従来公知の知見が適宜参照されうる。例えば、加熱乾燥、減圧乾燥、乾燥剤(例えば、シリカゲルや硫酸ナトリウム)による乾燥、蒸留などが挙げられる。
水素化ホウ素アルカリとハロゲン化ホウ素とのモル比は特に限定されないが、水素化ホウ素アルカリの使用量を1モルとした場合、ハロゲン化ホウ素の使用量を0.8〜1.2モルとすることが好ましい。
水素化ホウ素アルカリとハロゲン化ホウ素との反応条件は、特に限定されない。反応温度は、好ましくは、0〜100℃である。反応温度は、K熱電対などの温度センサを用いて測定されうる。
ジボランをニトリルに導入する方法は、特に制限されないが、例えば、気体状のジボランを、好ましくは窒素などの不活性ガスでジボラン:不活性ガスの体積比が1:10〜1:1000程度になるように希釈して、ニトリルと溶媒との混合液に導入し、撹拌して反応させる。
または、ジボランを、例えば液体窒素などを用いて融点(−164.9℃)以下の低温に冷却して液化させ、これをニトリルと溶媒との混合液に混合してもよい。液化させたジボランをニトリルと溶媒との混合液に混合したあと、昇温して反応させる。
反応温度は、好ましくは80〜200℃であり、より好ましくは100〜180℃であり、さらに好ましくは120〜170℃である。上記範囲で反応させると効率的に反応が進行しうる。反応温度は、K熱電対などの温度センサを用いて測定されうる。反応時間は、好ましくは1〜20時間であり、より好ましくは1〜10時間であり、さらに好ましくは1〜5時間である。
ジボランとニトリルのモル比は特に限定されないが、ニトリルの使用量を1モルとした場合、ジボランの使用量を、好ましくは0.5〜2.0モル、より好ましくは0.5〜1モルとする。
なお、ニトリルは、水分含量の少ないものであることが好ましい。水分含量が少ないニトリルを用いてN−アルキルボラジンを合成することで、合成されたN−アルキルボラジンの、水分の混入に起因する分解が効果的に抑制され、N−アルキルボラジンの収率がより向上する。また、ジボランがニトリルに含まれる水分と反応して、ホウ酸が生成してしまうことを防ぐことができる。水分含量の少ないニトリルの入手経路、自ら水分含量を低減させる手法などの形態については上述した通りである。
上述したように、一般にボラン(BH3)は不安定な化合物であり、例えばテトラヒドロフラン、ジメチルエーテル、ジメチルスルフィド、ピリジン、トリエチルアミンなどのルイス塩基との錯形成によって安定化されることが知られている。本発明の製造方法においては、錯形成によって安定化されたボラン錯体を原料として用いてもよい。前記ボラン錯体は、溶液の形態であってもよく、固体や液体の形態であってもよい。好ましくは、溶液の形態で用いられる。
ボラン錯体を溶液の形態で用いる場合、1〜10モル%の濃度に調製することが好ましい。溶媒としては、好ましくは、上記のルイス塩基を配位溶媒として用いる。または、ニトリルとの反応に用いられる溶媒と同じ溶媒を用いる。
ボラン錯体とニトリルとを溶媒中で混合する方法は特に制限されない。ボラン錯体(またはボラン錯体と溶媒との混合液)を滴下してニトリル(またはニトリルと溶媒との混合液)に加えてもよく、ニトリル(またはニトリルと溶媒との混合液)を滴下してボラン錯体(またはボラン錯体と溶媒との混合液)に添加してもよい。
好ましい反応温度、反応時間はジボランを原料とした場合と同様である。また、ニトリルの使用量を1モルとした場合、ボラン錯体の使用量を0.5〜1.5モルとすることが好ましい。
なお、前記ボラン錯体は、水分含量を低減させたものを用いることが好ましい。ボラン錯体は、例えば、蒸留、乾燥剤(例えば、シリカゲルや硫酸ナトリウム)による乾燥などの手法によって水分含量を低減させることができる。
合成されたN−アルキルボラジンは、必要に応じて精製されうる。N−アルキルボラジンの精製方法としては、例えば、蒸留精製が用いられる。
蒸留精製装置の大きさや種類は、環境や規模に応じて決定されればよい。例えば、大量のN−アルキルボラジンを処理するのであれば、工業的規模の蒸留塔が用いられうる。少量のN−アルキルボラジンを処理するのであれば、蒸留管を用いた蒸留精製が用いられうる。例えば、少量のN−アルキルボラジンを処理する蒸留装置の具体例としては、3つ口フラスコにクライゼン型の連結管でリービッヒ冷却管を取り付けた蒸留装置が用いられうる。ただし、このような蒸留装置を用いる実施形態に、本発明の技術的範囲が限定されるわけではない。
蒸留精製の際の温度は特に制限されず、合成されたN−アルキルボラジンの種類に応じて適宜設定されうる。一例を挙げると、通常は100〜150℃程度である。
製造されたN−アルキルボラジンは、特に限定されないが、半導体用層間絶縁膜、バリアメタル層、エッチストッパー層などの形成に用いられうる。その際には、N−アルキルボラジンがそのまま用いられてもよいし、N−アルキルボラジンに改変を加えた化合物(誘導体)が用いられてもよい。N−アルキルボラジンまたはN−アルキルボラジンの誘導体を重合させた重合体を、半導体用層間絶縁膜、バリアメタル層またはエッチストッパー層の原料として用いてもよい。以下、「N−アルキルボラジン」、「N−アルキルボラジンの誘導体」および「これらに起因する重合体」をまとめて、「ボラジン環含有化合物」と称する。
ボラジン環含有化合物を用いて、半導体用層間絶縁膜、バリアメタル層またはエッチス
トッパー層を形成する手法としては、例えば、ボラジン環含有化合物を含む溶液状または
スラリー状の組成物を調製し、これを所望の部位に塗布することによって、塗膜を形成す
る手法が用いられうる。
トッパー層を形成する手法としては、例えば、ボラジン環含有化合物を含む溶液状または
スラリー状の組成物を調製し、これを所望の部位に塗布することによって、塗膜を形成す
る手法が用いられうる。
以下、実施例および比較例を用いて本発明の実施の形態をより詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は下記の形態のみには制限されない。
なお、下記の実施例および比較例において、原料であるニトリル、水素化ホウ素アルカリおよび溶媒の水分含量は、以下の手法により測定した。
すなわち、ニトリルおよび溶媒の水分含量については、カールフィッシャーAQ−7(平沼産業株式会社製)を用いて測定した。この際、発生液としてはアクアライトRSを用い、対極液としてはアクアライトCNを用いた。
また、水素化ホウ素アルカリの水分含量については、カールフィッシャーCA−100(三菱化学株式会社製)を用いて測定した。この際、発生液としてはアクアミクロンAXを用い、対極液としてはアクアミクロンCXUを用いた。
(実施例1)
反応原料であるニトリルとしてアセトニトリルを準備し、蒸留の方法で乾燥処理し、水分含量0.003質量%のアセトニトリルを得た。
反応原料であるニトリルとしてアセトニトリルを準備し、蒸留の方法で乾燥処理し、水分含量0.003質量%のアセトニトリルを得た。
同様にジボランを発生させるための原料として、水素化ホウ素アルカリである水素化ホウ素ナトリウム、ハロゲン化ホウ素である三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(BF3−Et2O)、溶媒であるジグライムを準備した。水素化ホウ素ナトリウムを25℃、0.07MPaの雰囲気下に12時間放置して、減圧乾燥させ、水分含量0.08質量%の水素化ホウ素ナトリウムを得た。ジグライムは、モレキュラーシーブ3A(巴工業株式会社製)を添加することによって乾燥させ、水分含量0.012質量%のジグライムを得た。
冷却管を備えた反応容器1に、窒素置換しながらアセトニトリル(24.6g、水分含量0.003質量%)およびジグライム(50g、水分含量0.012質量%)を仕込み、60℃に加熱した。一方、別の反応容器2にジグライム(150g、水分含量0.012質量%)と水素化ホウ素ナトリウム(19.0g、水分含量0.08質量%)とを仕込み、そこにBF3−Et2O(71g)を滴下することでB2H6を発生させた。発生させたB2H6は、窒素で希釈しながら順次反応容器1のアセトニトリル中に撹拌しながら2時間バブリングした。B2H6のバブリング終了後、反応溶液を120℃まで加熱し2時間撹拌を行った。反応後の溶液を蒸留することで、20gのN,N’,N”−トリエチルボラジンを得た(収率61%)。
(比較例1)
実施例1と同様に、アセトニトリル、水素化ホウ素ナトリウム、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(BF3−Et2O)を準備し、アセトニトリルおよび水素化ホウ素ナトリウムを乾燥させた。
実施例1と同様に、アセトニトリル、水素化ホウ素ナトリウム、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(BF3−Et2O)を準備し、アセトニトリルおよび水素化ホウ素ナトリウムを乾燥させた。
反応容器1に、窒素置換しながら、アセトニトリル(24.6g、水分含量0.003質量%)を仕込み、60℃に加熱した。一方、別の反応容器2にジグライム(150g、水分含量0.012質量%)と水素化ホウ素ナトリウム(19.0g、水分含量0.08質量%)を仕込み、そこにBF3−Et2O(71g)を滴下することでB2H6を発生させた。発生させたB2H6は、窒素で希釈しながら順次反応容器1のアセトニトリル中にバブリングし、同時に反応容器1の反応液の撹拌を行った。B2H6のバブリング終了後、反応溶液を2時間撹拌した。反応溶液を蒸留することで、13gのN,N’,N”−トリエチルボラジンを得た(収率40%)。
以上の実施例および比較例に示す結果から、N−アルキルボラジンの合成において、ジボランとニトリルとの反応を溶媒中で行うことで、N−アルキルボラジンの収量を向上させうることが示される。
Claims (3)
- ボラン(BH3)錯体またはジボラン(B2H6)と、RCN(Rは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、またはアラルキル基である)で表されるニトリルとを反応させてN−アルキルボラジンを合成する段階を有し、
溶媒中で反応が行われることを特徴とする、N−アルキルボラジンの製造方法。 - 前記溶媒が、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、エーテル類から選択される1以上である、請求項1に記載の製造方法。
- 反応温度が80〜200℃である、請求項1または2に記載の製造方法。
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2009
- 2009-01-27 JP JP2009015903A patent/JP2010173945A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2014057885A1 (ja) | 2012-10-12 | 2014-04-17 | Jx日鉱日石エネルギー株式会社 | 潤滑剤添加剤、及び潤滑油組成物 |
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