JP5437671B2 - グリニヤール試薬の製造方法 - Google Patents

グリニヤール試薬の製造方法 Download PDF

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本発明は、グリニヤール試薬を製造するための方法に関するものである。
トリス(フッ化アリール)ホウ素化合物、とりわけトリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素は、様々な用途を有する。例えば、オレフィン重合反応で用いられる重合触媒であるメタロセン触媒の活性を高める助触媒として有用である。このトリス(フッ化アリール)ホウ素化合物は、対応するグリニヤール試薬から合成することができる。その一例を、下記式に示す。
グリニヤール試薬の溶媒としては、実験室レベルでは、ジエチルエーテルが一般的である。例えば非特許文献1には、乾燥ジエチルエーテル中でペンタフルオロフェニルマグネシウムブロマイドを合成した例が開示されている。
しかし、ジエチルエーテルの沸点や引火点は低いので、工業的な大量生産で使用するのは危険である。よって、溶媒を大量に使用せざるを得ない場合には、ジエチルエーテル以外の溶媒が望ましいといえる。
非特許文献2〜3には、テトラヒドロフラン中、フッ化ベンゼン化合物にエチルマグネシウムブロマイドを作用させ、交換的にグリニヤール試薬を合成した例が記載されている。テトラヒドロフランはジエチルエーテルよりも安全であるので、工業的な大量生産でも用い得ると考えられる。
ところがテトラヒドロフランは、ルイス酸であるホウ素化合物が存在すると開環重合するため、トリス(フッ化アリール)ホウ素化合物の合成には用いることができない。従って、溶媒としてテトラヒドロフランを用いて合成されたグリニヤール試薬は、トリス(フッ化アリール)ホウ素化合物の合成では使用できない。
そこで特許文献1に記載の技術では、t−ブチルメチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ジイソプロピルエーテルなどの鎖状エーテルを溶媒し、ハロゲン化低級アルキルから誘導されたグリニヤール試薬を用い、フッ化アリール化合物から交換的にグリニヤール試薬を得ている。
特開2000−191666号公報
E.Nield,他1名,Journal of the Chemical Society(ジャーナル・オブ・ザ・ケミカル・ソサイエティ),pp.166-171(1959年) Robert J.Harper,他2名,Journal of Organc Chemistry(ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー),vol.29,pp.2385-2389(1964年) CHRIST TAMBORSKI,他1名,Journal of Organometallic Chemistry(ジャーナル・オブ・オルガノメタリック・ケミストリー),vol.26,pp.153-156(1971年)
上述したように、従来、グリニヤール試薬合成用の溶媒としては、実験室レベルではジエチルエーテルが用いられているが、ジエチルエーテルは工業的には適さない。また、テトラヒドロフランは、ホウ素化合物により開環重合を起こすため、トリス(フッ化アリール)ホウ素化合物の前駆体としてのグリニヤール試薬の合成では使用できない。そこで、グリニヤール反応の溶媒として、ジエチルエーテル以外の鎖状エーテルを溶媒として用いた例が知られている。
しかし、ジエチルエーテル以外の鎖状エーテルを溶媒としたグリニヤール反応の例は、低級アルキルのグリニヤール試薬とハロゲン化フェニル化合物との金属交換反応であるが、低級アルキルのグリニヤール試薬が残存すると次工程であるBF3等のハロゲン化ホウ素との反応でトリス(フッ化アリール)ホウ素化合物の純度が低下するという問題点がある。また、使用した低級アルキルのグリニヤール試薬からは低級アルキルハライドが副生するので、これを除去する工程が必要である。さらに、工業的な大量生産においては、より安価な金属マグネシウムの使用が好ましい。ところが、ジエチルエーテル以外の鎖状エーテルは、金属マグネシウムを用いたフッ化ベンゼンのグリニヤール反応では溶媒として適さないことが本発明者による実験で分かった。
そこで本発明の目的は、工業的な大量合成にも適する安全なものであり、金属マグネシウムを使うものであるにもかかわらず収率が良好な、フッ化ベンゼンのグリニヤール試薬の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を進めた。その結果、環状アルキル基とメチル基等の低級アルキル基からなる非対称なエーテルを溶媒として用い、且つ反応開始剤を用いることにより、金属マグネシウムを用いる場合でも、フッ化ベンゼンのグリニヤール試薬を高収率で製造できることを見出して、本発明を完成した。
本発明方法は、下記式(I)で表されるグリニヤール試薬を製造するための方法であって、
[式中、R1〜R5は、独立して水素原子、フッ素原子、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基またはフッ化C1-6アルキル基を示し、且つR1〜R5のうち3以上はフッ素原子を示し;Xは、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を示す]
下記式(II)で表されるエーテルを含む溶媒中、
6−O−R7 ・・・ (II)
[式中、R6はC4-8シクロアルキル基を示し、R7はC1-2アルキル基を示す]
反応開始剤の存在下、金属マグネシウムと下記(III)で表されるハロゲン化フェニル化合物
[式中、R1〜R5およびXは、前記と同義を示す]
とを反応させる工程を含むことを特徴とする。
本発明において、「C1-6アルキル基」は、炭素数1〜6の直鎖状または分枝鎖状の脂肪族炭化水素基を意味する。例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル等である。好ましくはC1-4アルキル基であり、より好ましくはC1-2アルキル基であり、最も好ましくはメチルである。
「C1-6アルコキシ基」は、炭素数1〜6の直鎖状または分枝鎖状の脂肪族炭化水素オキシ基を意味する。例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、t−ブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシ等であり、好ましくはC1-4アルコキシ基であり、より好ましくはC1-2アルコキシ基であり、最も好ましくはメトキシである。
「フッ化C1-6アルキル基」は、フッ素原子に置換されたC1-6アルキル基を意味する。例えば、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、トリクロロメチル、フルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、ペンタフルオロエチル、フルオロプロピル、フルオロブチル、フルオロヘキシル等である。好ましくはフッ化C1-4アルキル基であり、より好ましくはフッ化C1-2アルキル基であり、より好ましくはトリフルオロメチルまたはペンタフルオロエチルである。
「C4-8シクロアルキル基」としては、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルを挙げることができる。好ましくはC4-6シクロアルキル基である。
本発明方法においては、溶媒としてシクロペンチルメチルエーテルを用いることが好ましい。本発明者による実験的な知見によれば、フッ化ベンゼンのグリニヤール試薬の製造においては、シクロペンチルメチルエーテルが反応を良好に進行せしめる上で特に好適である。
本発明方法においては、反応開始剤をハロゲン化フェニル化合物(III)の0.02モル倍以上用いることが好ましい。反応開始剤を十分量用いることにより、収率をより一層高めることができる。
本発明方法においては、金属マグネシウムとハロゲン化フェニル化合物(III)との反応開始後、さらに反応開始剤を追加添加することが好ましい。本発明反応を良好に進行せしめるためには反応開始剤が必須であるので、ハロゲン化フェニル化合物(III)の添加の前や、ハロゲン化フェニル化合物(III)の一部と同時に、或いはハロゲン化フェニル化合物(III)の一部を添加した後に、反応開始剤を添加する。もちろん、反応の開始のために、これらの添加態様を組合わせてもよい。ところが、通常のグリニヤール反応と異なり、本発明反応は、いったん反応が開始しても十分に進行しない場合がある。そこで、その様な場合や収率を顕著に向上させたい場合には、反応開始剤を追加添加することが好ましい。即ち、本発明において「追加添加」とは、ハロゲン化フェニル化合物(III)の一部の添加の前後や添加と同時に反応開始剤をいったん添加して反応を開始した後、さらに反応開始剤を追加するとの意味である。
本発明方法によれば、グリニヤール反応の溶媒として一般的であるものの沸点や引火点が低く危険なジエチルエーテルを用いる必要がなく、また、より安価な金属マグネシウムを使う場合であっても、フッ化ベンゼンのグリニヤール試薬を良好な収率をもって製造することができる。よって本発明は、フッ化ベンゼンのグリニヤール試薬の工業的な大量合成に資する技術として、産業上極めて有用である。
本発明方法は、通常のグリニヤール反応に準じて実施することができる。より具体的には、金属マグネシウムを含む溶媒中、原料化合物を添加すればよい。
本発明の原料化合物であるハロゲン化フェニル化合物(III)は、比較的シンプルな構造を有することから、市販のものがあれば購入して使用してもよいし、当業者公知の方法により市販化合物から合成してもよい。例えば、目的化合物に対応するフッ化ベンゼンに臭素と三臭化アルミニウムを反応させることにより、臭素原子に置換されたフッ化ベンゼンを合成することができる。
本発明方法では、金属マグネシウムを用いる。グリニヤール反応では、金属マグネシウムの代わりにエチルマグネシウムブロマイドなど低級アルカンのグリニヤール試薬を用いることもあるが、本発明は工業的な大量生産を志向していることから、より安価な金属マグネシウムを用いる。
本発明で用いるマグネシウムとしては、反応性を高めるため、粒状や粉末状、削状といった比表面積の高いものが好ましい。
ハロゲン化フェニル化合物(III)と金属マグネシウムの使用量は、理論的には等モルでよいが、より安価な方を過剰に用いてもよい。一般的には金属マグネシウムの方が安価であるので、例えば金属マグネシウムの使用量を、ハロゲン化フェニル化合物(III)に対して1.01モル倍以上、1.3モル倍以下程度とすることができる。
本発明は、R6−O−R7[式中、R6はC4-8シクロアルキル基を示し、R7はC1-2アルキル基を示す]で表されるエーテル(II)を含む溶媒を用いることを特徴の一つとする。
当該溶媒としては、例えば、シクロブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、シクロヘキシルメチルエーテル、シクロヘプチルメチルエーテル、シクロオクチルメチルエーテル、シクロブチルエチルエーテル、シクロペンチルエチルエーテル、シクロヘキシルエチルエーテル、シクロヘプチルエチルエーテル、シクロオクチルエチルエーテルを挙げることができる。これらの中でも、シクロペンチルメチルエーテルとシクロヘキシルメチルエーテルが好適である。エーテル(II)は、一種のみを用いてもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。
本発明方法において、エーテル(II)に混合して用いることができる溶媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、イソドデカン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒;ジイソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、ジブチルエーテル、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、アニソールなどのエーテル系溶媒を挙げることができる。これら溶媒も、一種のみを用いてもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。但し、本発明ではエーテル(II)の作用効果を十分に活用するために、混合溶媒におけるエーテル(II)の割合を50容量%以上とすることが好ましく、70容量%以上とすることがより好ましく、90容量%以上とすることがさらに好ましい。特に好適には、エーテル(II)のみを溶媒として用いる。
本発明方法では原料としてハロゲン化フェニル化合物を用いるが、この場合、低級アルキルを原料として用いるよりも反応は進み難いといえる。特に本発明に係る反応は、溶媒を変更するのみでも進行しなくなることから、反応開始剤の使用が極めて重要である。
本発明方法で用いる反応開始剤としては、金属マグネシウムを活性化できるものであれば特に制限されないが、例えば、I2やハロゲン化C1-6アルカンを挙げることができる。
ハロゲン化C1-6アルカンとしては、例えば、クロロエタン、クロロプロパン、クロロブタン、1,2−ジクロロエタンなどのクロロC1-6アルカン;ブロモエタン、ブロモプロパン、ブロモブタンや1,2−ジブロモエタンなどのブロモC1-6アルカン;ヨードメタン、ヨードエタン、ヨードプロパン、ヨードブタン、1,2−ジヨードエタンなどのヨードC1-6アルカンを挙げることができる。より好ましくは、I2、ジクロロエタン、ジブロモエタンを用いる。
反応開始剤の使用量は特に制限されないが、例えば、ハロゲン化フェニル化合物(III)に対して0.01モル倍以上とすれば、良好に反応を進行せしめることができる。上限は特に制限されないが、当該量をハロゲン化フェニル化合物(III)に対して0.5モル倍以下とすることが好ましい。さらに、本発明者の知見によれば、本発明方法においては、ハロゲン化C1-6アルカンを反応開始剤として用いる場合、その使用量が多いほど収率はより一層向上するので、当該量はハロゲン化フェニル化合物(III)に対して0.02モル倍以上とすることがより好ましく、0.05モル倍以上とすることがさらに好ましい。
本発明方法においては、金属マグネシウムを含む溶媒中に原料化合物であるハロゲン化フェニル化合物(III)を添加すればよい。金属マグネシウムに加える溶媒の使用量は特に制限されず、金属マグネシウムが浸るほどでよいが、通常、金属マグネシウムの5質量倍以上、100質量倍以下程度とすればよい。当該量が5質量倍未満であると、反応が過剰に進行するおそれがあり得る。一方、当該量が100質量倍を超えると、後処理が困難になり得る。
ハロゲン化フェニル化合物(III)の添加速度は、速過ぎると反応が過剰に進むおそれがある一方で、遅過ぎると生産性が低下する可能性があるので、通常、ハロゲン化フェニル化合物(III)の添加により反応液の温度が0℃以上、120℃以下程度となるように調整することが好ましく、必要であれば冷却や加熱してもよい。
本発明方法においては、反応を開始するために反応開始剤を用いる。この反応開始剤は、ハロゲン化フェニル化合物(III)の添加前に反応液に加えてもよいし、ハロゲン化フェニル化合物(III)の一部と同時に添加してもよいし、ハロゲン化フェニル化合物(III)の一部を添加した後に加えてもよい。これらの添加方法を組合わせてもよい。反応開始剤は一度に加えてもよいし、或いは連続的または逐次的に加えてもよい。また、反応の進行をNMRなどで確認しつつ、徐々に加えてもよい。
本発明においては、反応開始後、反応をさらに促進するために反応開始剤を追加添加するのも好適な態様である。かかる態様により、反応がいったん開始したにもかかわらず反応が停止したり或いは反応が進行し難いような場合でも、金属マグネシウムとハロゲン化フェニル化合物(III)とを速やかに反応させることができ、原料化合物の転化率が高められると共に、収率を顕著に向上させることも可能になる。ここで、反応開始剤の追加添加とは、いったん反応開始剤を添加して金属マグネシウムとハロゲン化フェニル化合物(III)との反応が開始した後に、反応開始剤を追加的に添加することをいう。より具体的には、かかる追加添加は、反応開始後であれば、例えばハロゲン化フェニル化合物(III)と同時であってもよいし、ハロゲン化フェニル化合物(III)を全て添加した後に加えてもよい。これらの添加方法を組合わせてもよい。また、追加添加においても、反応開始剤は一度に加えてもよいし、或いは連続的または逐次的に加えてもよい。また、反応の進行をNMRなどで確認しつつ、徐々に加えてもよい。なお、本発明方法における反応の開始は、金属マグネシウム、ハロゲン化フェニル化合物(III)の一部および少なくとも一部の反応開始剤を添加した後で、反応液の温度上昇や、反応液の色の変化により確認することができる。
ハロゲン化フェニル化合物(III)と反応開始剤は、それぞれ反応の進行度合いを調整するために、0.5質量倍以上、2質量倍以下程度の溶媒で希釈してもよい。もちろん、溶媒で希釈せずに添加してもよい。また、ハロゲン化フェニル化合物(III)と反応開始剤の添加は、それぞれ一度に添加してもよいし、滴下によってもよい。
反応液に水が混入すると、生成したグリニヤール試薬が分解するおそれがあるため、大気中からの水の混入を防止すべく、窒素ガスやアルゴンガスで反応器内を置換したり、これらガスを導入しつつ反応を行ってもよい。
反応時間は適宜調整すればよく、具体的には予備実験で決定したり、原料化合物の残量を確認しつつ決定すればよいが、通常、ハロゲン化フェニル化合物(III)の添加から0.5時間以上、10時間以下程度とすることができる。この際、反応温度を0℃以上、60℃以下程度となるように調整することが好ましく、必要であれば冷却や加熱してもよい。
本発明方法で得られたグリニヤール試薬は、それ以上精製することなく使用することができる。例えば、反応後の反応液にBF3等のハロゲン化ホウ素を加え、トリス(フッ化アリール)ホウ素化合物に導くことが可能である。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
実施例1 本発明方法によるグリニヤール試薬の製造
還流管、滴下ロート、窒素導入管および温度計を備えた4つ口フラスコに、削状の金属マグネシウム(1.087g)とシクロペンチルメチルエーテル(10.22g)を仕込んだ。また、滴下ロートにブロモペンタフルオロベンゼン(9.898g)を仕込んだ。4つ口フラスコの内部へ窒素を導入しつつ、攪拌下、25℃で1,2−ジブロモエタン(0.143g)を加えた。次いで、滴下ロートよりブロモペンタフルオロベンゼンの10%を添加した。反応液の温度が上昇したことから反応開始を確認し、当該温度が再び25℃まで下がったところで、反応液温度を25℃に保ちながら残りのブロモペンタフルオロベンゼンを1時間かけて滴下した。滴下終了後、同温度で反応液を2時間攪拌した。
反応液の一部を採取し、C66で希釈した後、19F−NMRで分析した。その結果、グリニヤール試薬の収率は82.8%であり、その他、副生物であるペンタフルオロベンゼンの収率が1.6%であり、また、未反応のブロモペンタフルオロベンゼンは15.6%含まれており、転化率は84.4%であった。
実施例2 本発明方法によるグリニヤール試薬の製造
還流管、滴下ロート、窒素導入管および温度計を備えた4つ口フラスコに、削状の金属マグネシウム(3.501g)とシクロペンチルメチルエーテル(60.42g)を仕込んだ。また、滴下ロートにブロモペンタフルオロベンゼン(29.879g)と1,2−ジブロモエタン(1.170g)との混合物を仕込んだ。4つ口フラスコの内部へ窒素を導入しつつ、攪拌下、20℃で1,2−ジブロモエタン(0.138g)を加えた。次いで、滴下ロートよりブロモペンタフルオロベンゼン−ジブロモエタン混合物の13%を添加した。反応液の温度が上昇したことから反応開始を確認し、当該温度が再び20℃まで下がったところで、反応液温度を20℃に保ちながら残りのブロモペンタフルオロベンゼン−ジブロモエタン混合物を5時間かけて滴下した。
滴下終了後、反応液の一部を採取し、C66で希釈した後、19F−NMRで分析した。その結果、グリニヤール試薬の収率は89.6%であり、その他、副生物であるペンタフルオロベンゼンの収率が2.1%であり、また、未反応のブロモペンタフルオロベンゼンは8.3%含まれており、転化率は91.7%であった。
さらに、滴下ロートに1,2−ジブロモエタン(0.591g)とシクロペンチルメチルエーテル(2.02g)との混合物を仕込み、反応液を20℃に保ちながら2時間かけて滴下した。
滴下終了後、反応液を上記と同様に分析したところ、グリニヤール試薬の収率は97.2%であり、その他、副生物であるペンタフルオロベンゼンの収率が2.3%であり、また、未反応のブロモペンタフルオロベンゼンは0.5%含まれており、転化率は99.5%であった。かかる結果により、本発明に係る反応をより一層良好に進行せしめるには、反応開始剤である1,2−ジブロモエタンが重要であることが分かった。
比較例1 溶媒として鎖状エーテルを用いたグリニヤール試薬の製造
還流管、滴下ロート、窒素導入管および温度計を備えた4つ口フラスコに、削状の金属マグネシウム(1.095g)とジイソプロピルエーテル(10.42g)を仕込んだ。攪拌下、26℃で1,2−ジブロモエタン(0.133g)を加え、次いでブロモペンタフルオロベンゼン(0.944g)を添加した。
しかし、反応液温度の上昇は見られず、そのまま同温度で3時間攪拌したが、反応液の色は変化しなかった。上記実施例1と同様にして反応液を19F−NMRで分析したが、原料化合物であるブロモペンタフルオロベンゼン以外のピークは確認できず、ブロモペンタフルオロベンゼンは全く添加していないことが分かった。
そこで、ブロモペンタフルオロベンゼン(1.150g)と1,2−ジブロモエタン(0.114g)との混合物を反応液へ追加し、26℃で2.5時間攪拌した。反応液を19F−NMRで分析したが、状況は変化しておらず、ブロモペンタフルオロベンゼンはほぼ全量残っており、全く転化していなかった。さらに反応温度を高め、40℃で30分間攪拌した。反応液を19F−NMRで分析したが、反応の進行は認められなかった。
以上のとおり、金属マグネシウムと1,2−ジブロモエタンを用いるグリニヤール反応においては、溶媒の選択が重要であることが明らかとなった。
比較例2 溶媒として鎖状エーテルを用いたグリニヤール試薬の製造
還流管、滴下ロート、窒素導入管および温度計を備えた4つ口フラスコに、削状の金属マグネシウム(1.103g)とt−ブチルメチルエーテル(9.874g)を仕込んだ。攪拌下、23℃で1,2−ジブロモエタン(0.145g)を加え、次いでブロモペンタフルオロベンゼン(1.182g)を添加した。
しかし、反応液温度の上昇は見られず、そのまま同温度で3時間攪拌したが、反応液の色は変化しなかった。上記実施例1と同様にして反応液を19F−NMRで分析したが、原料化合物であるブロモペンタフルオロベンゼンはほぼ全量残っており、全く転化していなかった。
そこで、ブロモペンタフルオロベンゼン(0.960g)と1,2−ジブロモエタン(0.130g)との混合物を反応液へ追加し、23℃で1時間攪拌した。反応液を19F−NMRで分析したが、状況は変化しておらず、ブロモペンタフルオロベンゼンはほぼ全量残っており、全く転化していなかった。さらに反応温度を高め、40℃で1時間攪拌した。反応液を19F−NMRで分析したが、反応の進行は認められなかった。
以上のとおり、金属マグネシウムと1,2−ジブロモエタンを用いるグリニヤール反応においては、溶媒としてt−ブチルメチルエーテルを用いた場合であっても、比較例1と同様に反応は全く進行しないことが分かった。
比較例3 溶媒として鎖状エーテルを用いたグリニヤール試薬の製造
還流管、滴下ロート、窒素導入管および温度計を備えた4つ口フラスコに、削状の金属マグネシウム(1.029g)と1,2−ジメトキシエタン(20.10g)を仕込んだ。攪拌下、22℃で1,2−ジブロモエタン(0.125g)を加え、次いでブロモペンタフルオロベンゼン(1.182g)を添加した。
しかし、反応液温度の上昇は見られず、そのまま同温度で5時間攪拌したが、反応液の色は変化しなかった。上記実施例1と同様にして反応液を19F−NMRで分析したが、原料化合物であるブロモペンタフルオロベンゼンはほぼ全量残っており、全く転化していなかった。
以上のとおり、金属マグネシウムと1,2−ジブロモエタンを用いるグリニヤール反応においては、溶媒として1,2−ジメトキシエタンを用いた場合であっても、比較例1と同様に反応は全く進行しないことが分かった

Claims (4)

  1. 下記式(I)で表されるグリニヤール試薬を製造するための方法であって、
    [式中、R1〜R5は、独立して水素原子、フッ素原子、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基またはフッ化C1-6アルキル基を示し、且つR1〜R5のうち3以上はフッ素原子を示し;Xは、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を示す]
    下記式(II)で表されるエーテルを含む溶媒中、
    6−O−R7 ・・・ (II)
    [式中、R6はC4-8シクロアルキル基を示し、R7はC1-2アルキル基を示す]
    反応開始剤の存在下、金属マグネシウムと下記(III)で表されるハロゲン化フェニル化合物
    [式中、R1〜R5およびXは、前記と同義を示す]
    とを反応させる工程を含むことを特徴とする方法。
  2. 溶媒として、シクロペンチルメチルエーテルを用いる請求項1に記載の方法。
  3. 反応開始剤を、ハロゲン化フェニル化合物(III)の0.02モル倍以上用いる請求項1または2に記載の方法。
  4. 金属マグネシウムとハロゲン化フェニル化合物(III)との反応開始後、さらに反応開始剤を追加添加する請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
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