JP2017002002A - 含フッ素有機化合物及びこれとグリニャール試薬によるビアリール化合物の製造方法 - Google Patents

含フッ素有機化合物及びこれとグリニャール試薬によるビアリール化合物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】少ない使用量でもグリニャール試薬のホモカップリング反応を低温下、短時間で効率的に進行させることのできる、含フッ素有機化合物を提供するとともに、それを用いたグリニャール試薬のホモカップリング反応により、低温下、短時間で効率的にビアリール化合物を製造する方法を提供する。【解決手段】下記一般式(1):【化1】(式中、Ar1及びAr2は、それぞれ独立して、少なくともフッ素原子及びトリフルオロメチル基で置換されているアリール基を表し、互いに異なっていても同じでもよい。)で表される化合物からなる含フッ素有機化合物、及びそれを用いたグリニャール試薬とのホモカップリング反応によるビアリール化合物の製造方法である。【選択図】なし

Description

本発明は、含フッ素有機化合物及びこれとグリニャール試薬とのホモカップリング反応により、ビアリール化合物を製造する方法に関するものである。
ホモカップリング反応によるビアリール化合物の合成は工業的にも重要な反応であるが、現在最も用いられている方法は、1当量以上の銅試薬を用いハロゲン化アリールを直接カップリングさせるウルマン反応である。この反応は一般的に100℃程度の高温反応であり、反応時間も終夜反応が普通である。特に長い反応時間は工業的に好まれない条件である。一般的に中程度の収率でしか生成物が得られない。また当量の銅試薬から生じる反応副生成物は反応系から生成物の単離精製を困難にし、工業的プロセスを複雑なものにしている。さらに、用いるハロゲン化アリールはヨウ化アリール>臭化アリール>塩化アリールの順に反応性が減少し、最も原料として安価である塩化アリールを反応基質として用いることは困難な場合が多い。
これに対し、ハロゲン化アリールを他の官能基に変換し(例えば、アリールボロン酸やアリールスズ試薬)、それをパラジウム触媒などの遷移金属触媒を用いてホモカップリングさせる方法も知られている。アリールボロン酸は鈴木-宮浦カップリング反応でも用いられているためすでに工業的に利用されているところ、ホウ素は枯渇が懸念されている典型元素であり、コストも比較的高い。またスズ試薬は毒性の問題から工業利用には適さない。こうしたアリールボロン酸やアリールスズ試薬を得るためには、ハロゲン化アリールを一旦アリールグリニャール試薬やアリールリチウム試薬に変換する必要がある。
一方、グリニャール試薬はマグネシウムとハロゲン化アリールから生成させる試薬であり、工業的にもよく用いられる反応試剤である。この汎用性の高いグリニャール試薬を直接用いてホモカップリングさせる方法も知られている。この中で最も用いられているのは、(a) グリニャール試薬に対し1当量以上の鉄などの遷移金属錯体を用いる方法か、(b) グリニャール試薬に対し触媒量の遷移金属触媒と1当量以上の有機酸化剤を併用する方法である。 これに対し、最近、遷移金属錯体を全く用いず、有機酸化剤のみを用いたグリニャール試薬のホモカップリング反応が報告されている(非特許文献1〜7)。これらの特徴として、室温付近での反応が可能であり、反応時間も1時間以内という短時間で良いことが挙げられる。しかし、これらの有機酸化剤は、原理的にグリニャール試薬に対し50mol%必要であり、実際に報告されている先行例において有機酸化剤は、100〜50mol%用いられている。
この有機酸化剤を用いるグリニャール試薬のホモカップリング反応の中で、触媒的反応と主張されている例が一例報告されている(非特許文献6)。しかし、これは100mol%の有機酸化剤でグリニャール試薬のホモカップリングを行った後に、同一容器内で酸素を加え有機酸化剤を再生し、再生した有機酸化剤と等モルのグリニャール試薬を追加し、また同様の操作を繰り返していく、という疑似的な触媒反応であり、結果としてグリニャール試薬に対し14mol%の有機酸化剤を用いた触媒的カップリング反応となっているが、全く実用的な手法ではない。
また、非特許文献8には、グリニャール試薬とオクタフルオロシクロペンテンの反応の記載があるが、ホモカップリング反応について記載は全くない。
Cheng, J.-W.; Luo, F-T. Tetrahedron Lett. 1988, 29, 1293. Nishiyama, T.; Seshita, T.; Shodai, H.; Aoki, K.; Kameyama, H.; Komura, K. Chem. Lett. 1996, 549. Krasovskiy, A.; Tishkov, A.; del Amo, V.; Mayr, H.; Knochel, P. Angew. Chem., Int. Ed. 2006, 45, 5010. Ramnial, T.; Taylor, S. A.; Clyburne, J. A. C.; Walsby. C. J. Chem. Commun. 2007, 2066. Amaya, T.; Suzuki, R.; Hirao, T. Chem. Eur. J. 2014, 20, 653. Maji, M. S.; Pfeifer, T.; Studer, A. Angew. Chem., Int. Ed. 2008, 47, 9547. Blangetti,M.; Fleming, P.; O’Shea, D. F. J. Org. Chem. 2012, 77, 2870−2877. Yamada, S.; Konno, T.; Ishihara, T.; Yamanaka, H. J. Fluorine Chem. 2005, 126, 125.
上記従来技術の問題点に鑑み、本発明の目的は、少ない使用量でもグリニャール試薬のホモカップリング反応を低温下、短時間で効率的に進行させることのできる、含フッ素有機化合物、及びこれとグリニャール試薬とのホモカップリング反応により、ビアリール化合物を製造する方法を提供することである。
本発明者らは、上記に鑑み鋭意検討を行った結果、含フッ素有機化合物がグリニャール試薬のホモカップリング反応を低温下、短時間で収率よくビアリール化合物を与えることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は以下のとおりである。
本発明は、下記一般式(1):
(式中、Ar1及びAr2は、それぞれ独立して、少なくともフッ素原子及びトリフルオロメチル基で置換されているアリール基を表し、互いに異なっていても同じでもよい。) で表される化合物からなる含フッ素有機化合物。
Ar1及びAr2が下記式(2):
で表される請求項1に記載の含フッ素有機化合物。
下記一般式(3):
(式中、R1、R2、R3、R4及びR5は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいC1〜C20のアルキル基、C1〜C20のアルコキシル基、フェニル基、及びナフチル基のいずれかを表し、互いに異なっていても同じでもよい。Xはハロゲン原子を表す。) で表されるグリニャール試薬と、請求項1又は請求項2の含フッ素有機化合物とのホモカップリング反応によりビアリール化合物を製造する方法。
本発明の新規有機化合物は、原理的に必要と考えられていた50mol%の半分となる25mol%の使用量でグリニャール試薬のホモカップリング反応が効率的に進行するため、今までの有機酸化剤よりも優れた原子効率での反応を可能にする(実施例2)。さらに本反応は従来のウルマン反応と比べ、反応溶液からの生成物の分離が容易であり、抽出操作後カラムクロマトグラフィーによる生成操作で速やかに反応生成物を定量的に単離することができる。
また、反応時間や反応温度といった反応条件も従来報告されている有機酸化剤によるホモカップリング反応と遜色ない。グリニャール試薬のマグネシウム上に含有するハロゲンの種類によらず反応は進行する(表1)。これは言いかえれば、ウルマン反応では用いることが難しい塩化アリールを原料として用いることが可能であることを意味する。電子求引性置換基や電子供与性置換基が導入されたグリニャール試薬を用いても1時間以内に高収率でビアリール化合物が生成する(表1)。立体的に込み合ったグリニャール試薬の場合には反応温度を50℃まで上昇させれば1時間でも高収率でビアリール化合物が生成する(表1)。この程度の温度上昇は工業的利用に何の問題もない。
本発明の含フッ素有機化合物は、下記一般式(1):
(式中、Ar1及びAr2は、それぞれ独立して、少なくとも1つ以上のフッ素原子及びトリフルオロメチル基で置換されているアリール基を表し、互いに異なっていても同じでもよい。) で表される化合物である。
次に、本発明の含フッ素有機化合物の製造方法について説明する。本発明の含フッ素有機化合物の製造方法は、次に説明するものは一例であって、これに特に制限されるものではないが、次式に示す方法を好適に採用することができる。具体的には、環状フッ素化合物とアリールリチウム化合物を反応させる。 以下、各工程について説明する。
まず、工程(A)において使用しうるハロゲン化アリール化合物は、下記一般式(4):
(式中、R6、R7、R8、R9及びR10は、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子及びト0リフルオロメチル基のいずれかを表し、フッ素原子及びトリフルオロメチル基は少なくとも一つ以上を含み、Xはハロゲン原子であり、そのハロゲン原子としては塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子から適宜選択される。) で表される化合物である。
上記工程(A)において例示したn-ブチルリチウムは、これに何ら限定されることはなく、t-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウムなどのアルキルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムヘキサメチルジシラジド、カリウムヘキサメチルジシラジド、リチウムイソプロピルシクロアミド、カリウムアミド類、あるいは金属リチウム、金属ナトリウムなどのアルキル金属から適宜選択されるが、好ましくはn-ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミドが満足する反応性を与える。
次に、工程(B)においては、工程(A)において得られたアリールリチウム化合物のジエチルエーテル溶液に、環状フッ素化合物を反応させる。環状フッ素化合物としては、ヘキサフルオロシクロブテン、オクタフルオロシクロペンテン、デカフルオロシクロヘキセンなどが挙げられるが、この中でもオクタフルオロシクロペンテンが反応効率の点で好ましい。
工程(B)の反応で得られる一般式(1)で示される環状フッ素化合物のうち、Ar1とAr2が同一の場合の具体例としては、1,2−ビス(4−トリフルオロメチル−2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテンの他に、1,2−(4−トリフルオロメチル−3,5−ジフルオロフェニル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン、1,2−ビス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)−2,4,6−トリフルオロフェニル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン、1,2−ビス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)−4−フルオロフェニル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテンなどが挙げられる。
また、工程(B)の反応で得られる一般式(1)で示される環状フッ素化合物のうち、Ar1とAr2が異なる場合の具体例としては、1−(4−トリフルオロメチル−2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)−2−(4−トリフルオロメチル−3,5−ジフルオロフェニル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン、1−(4−トリフルオロメチル−2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)−2−(3,5−ビス(トリフルオロメチル)−2,4,6−トリフルオロフェニル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン、1−(4−トリフルオロメチル−2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)−2−(3,5−ビス(トリフルオロメチル)−4−フルオロフェニル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテンなどが挙げられる。
上記工程(B)におけるアリールリチウム化合物と環状フッ素化合物の反応は、両者を混合すれば良いため、特に制限はないが、除熱設備および攪拌機を備えた反応器を使用し、アリールリチウム化合物を溶解させた溶液に、環状フッ素化合物を溶解させた溶液を滴下する方法が好ましい。
アリールリチウム化合物の使用量は、環状フッ素化合物1molに対して、通常、1〜5mol、好ましくは1〜4mol、特に好ましくは1〜3molである。
工程(A)及び工程(B)の反応に使用する溶媒に特に制限はなく、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、t-ブチルメチルエーテル、t-ブチルエチルエーテル、ジ-i-プロピルエーテル、ジ-n-ブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、シクロヘキシルメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等、通常の有機リチウム化合物使用時に使用される溶媒が用いられるが、これらの中でもジエチルエーテル、テトラヒドロフランが特に好ましい。
工程(A)及び(B)の反応は、通常、−100℃〜100℃、好ましくは−100℃〜40℃、特に好ましくは−80℃〜25℃の温度で行われる。反応温度が高すぎると、使用する環状フッ素化合物の沸点が低い場合に揮発によるロスが生じたり、副反応を併発して収率が低下する傾向がある。また反応温度が低すぎると、反応速度が遅すぎたり、進行しない場合がある。
次に、本発明のビアリール化合物の製造方法について説明する。本グリニャール試薬のホモカップリング反応によりビアリール化合物を製造する方法は特に制限されるものではないが、次式に示す方法を好適に採用することができる。
反応基質となるグリニャール試薬は、下記一般式(3)
で表される化合物であることが好ましい。式中、R1、R2、R3、R4及びR5は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいC1〜C20のアルキル基、C1〜C20のアルコキシル基、フェニル基、及びナフチル基のいずれかを表し、互いに異なっていても同じでもよい。置換基を有していてもよいC1〜C20のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、メトキシメチル基、ベンジル基などが挙げられ、好ましくは、メチル基である。置換基を有していてもよいC1〜C20のアルコキシル基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ペントキシ基などが挙げられ、好ましくはメトキシ基である。置換基を有していてもよいフェニル基としては、フェニル基、クロロフェニル基、トリル基、メトキシフェニル基などが挙げられる。置換基を有していてもよいナフチル基としては、ナフチル基、メチルナフチル基などが挙げられる。
ホモカップリング反応を円滑に進行させるためには、上記一般式(3)は立体的に混み合っていないことが望ましく、R1、R2、R3、R4及びR5の中の少なくとも2つ以上が水素原子であることが好ましく、より好ましくは3つ以上が水素原子である。特に立体的要因からR1又はR5が水素原子であることが好ましく、さらに好ましくはR1、R2、R4及びR5が水素原子である。
また、上記一般式(3)において、Xはハロゲン原子であり、そのハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられ、好ましくは塩素原子又は臭素原子である。
ホモカップリング反応に用いる、本発明の含フッ素有機化合物は、下記一般式(1):
で表される化合物であることが好ましい。式中、Ar1及びAr2は、それぞれ独立して、少なくともフッ素原子及びトリフルオロメチル基で置換されているアリール基を表し、互いに異なっていても同じでもよい。
グリニャール試薬と一般式(1)で示される環状フッ素化合物の反応は、両者を混合すれば良いため、特に制限はないが、攪拌機を備えた反応器を使用し、環状フッ素化合物を溶解させた溶液に、グリニャール試薬を溶解させた溶液を滴下する方法が好ましい。
環状フッ素化合物の使用量は、グリニャール試薬1molに対して、通常、通常、0.1〜0.5mol、好ましくは0.1〜0.25mol、特に好ましくは0.25molである。
ホモカップリング反応に使用する溶媒に特に制限はなく、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、t-ブチルメチルエーテル、t-ブチルエチルエーテル、ジ-i-プロピルエーテル、ジ-n-ブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、シクロヘキシルメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等、通常の有機マグネシウム化合物使用時に使用される溶媒が用いられるが、これらの中でもジエチルエーテル、テトラヒドロフランが特に好ましい。
ホモカップリング反応は、通常、0℃〜100℃、好ましくは10℃〜80℃、特に好ましくは25℃〜60℃の温度で行われる。Ar1及びAr2がフッ素である環状フッ素化合物を用いた場合、反応温度が高すぎると、使用する環状フッ素化合物の沸点が低い場合に揮発によるロスが生じ、副反応を併発して収率が低下する傾向がある。また反応温度が低すぎると、反応が進行しない場合がある。
以下に実施例を挙げ、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<実施例1>1,2−ビス(ヘプタフルオロトリル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテンの合成
(1)アリールリチウム溶液の調製
アルゴン雰囲気下、フレーム乾燥させたガラス製3つ口フラスコに1−ブロモ−2,3,5,6−テトラフルオロベンゾトリフルオリド2.91g(9.8mmol)とジエチルエーテル10mLを入れ、−78℃に冷却した。ここに濃度1.60mol/Lのn−ブチルリチウム/n−ヘキサン溶液5.8mL(9.28mmol)を30分かけて全量滴下した。滴下終了後、−78℃で2時間撹拌し、アリールリチウム試薬を調製した。
(2)1,2−ビス(ヘプタフルオロトリル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテンの合成
上記(1)で調製したアリールリチウムのジエチルエーテル溶液に、0.494mg(2.33mmol)のオクタフルオロシクロペンテンを溶解させたジエチルエーテル溶液25mLを40分かけて全量滴下した。滴下終了後、−78℃で3時間撹拌した。反応終了後、反応混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて停止させ、ジエチルエーテル(20mL×5回)で抽出を行った。ジエチルエーテル層を分離後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、ロータリーエバポレーターにて減圧濃縮した。この濃縮物をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:n−ヘキサン)で単離精製し、1,2−ビス(ヘプタフルオロトリル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン1.35g(2.22mmol)を得た。オクタフルオロシクロペンテン基準の収率は、95%であった。
(1,2−ビス(ヘプタフルオロトリル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテンの物性データ)
13C NMR (100.62 MHz, CDCl, MeSi)δ= 109.63 (t, J = 17.8 Hz), 110.56 (tt, J = 274.9, 24.7 Hz), 113.62 (dt, J = 35.4, 12.4 Hz), 114.56 (tt, J = 263.2, 25.2 Hz), 120.24 (q, J = 206.9 Hz), 136.77 (t, J = 28.3 Hz), 142.92 − 143.28 (m), 145.49 − 145.77 (m); 19F NMR (376.46 MHz, CDCl, C)δ= −137.35 (s, 4F), −135.79 (s, 4F), −133.01 (s, 2F), −112.27 (s, 4F), −57.85 − −57.73 (m, 6F);IR (KBr) 1663.3 (w), 1485.9 (m), 1422.2 (w), 1354.8 (s), 1304.6 (m), 1273.8 (s), 1214.9 (m), 1157.1 (s), 1058.7 (w), 1000.9 (s), 966.2 (m), 876.5 (w), 711.6 (s), 572.8 (m), 422.3 (m) cm−1 ; HRMS (EI) Found: m/z 607.9685. Calcd for C1920: 607.9681.
<実施例2>1,2−ビス(ヘプタフルオロトリル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテンを用いたホモカップリング反応
アルゴン雰囲気下、フレーム乾燥させたガラス製シュレンク管に1,2−ビス(ヘプタフルオロトリル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン78.3mg(0.129mmol)とテトラヒドロフラン0.5mLを入れ、1,2−ビス(ヘプタフルオロトリル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテンが完全に溶解するまで十分に撹拌した。ここに濃度1.03mol/Lのフェニルマグネシウムブロミド/テトラヒドロフラン溶液0.5mL(0.515mmol)を入れ、25℃で1時間反応させた。反応終了後、反応混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて停止させ、酢酸エチル(3mL×6回)で抽出を行った。酢酸エチル層を分離後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、ロータリーエバポレーターにて減圧濃縮した。この濃縮物をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:n−ヘキサン)で単離精製し、1,1’−ビフェニル39.3mg(0.255mmol)を得た。収率は99%であった。実施例2のまとめを表1に示す。
(1,1’−ビフェニルの物性データ)
H NMR (400.13 MHz, CDCl, MeSi)δ= 7.33 (t, J = 7.3 Hz, 1H), 7.43 (t, J = 7.6 Hz, 2H), 7.53 (d, J = 7.2 Hz, 2H); 13C NMR (100.62 MHz, CDCl, MeSi)δ= 127.30, 127.38, 128.89, 141.36.
<実施例3〜7>
グリニャール試薬、反応温度を表1に示されるように変更した以外は実施例2と同様に、1,1’−ビフェニル又は1,1’−ビアリール化合物を得た。
<比較例1〜2,実施例8〜11>
まず フェニルマグネシウムブロミドに対し50mol%のオクタフルオロシクロペンテンを加え、THF 中25℃で0.5時間撹拌すると、33%の収率でビフェニルが得られた(表2の比較例1)。しかし同時にオクタフルオロシクロペンテンのビニルフッ素の一つ又は二つがフェニル基により置換された化合物も副生成物として得られた。二つがフェニル基により置換された副生成物を酸化剤として用いホモカップリング反応を行ってみたが、反応は全く進行しなかった(表2の比較例2)。しかしArとしてフェニル基の代わりに含フッ素芳香環を導入するとホモカップリング反応は進行するようになり、特に本発明のヘプタフルオロトリル基を有する化合物を用いた場合には、82%の収率でビフェニルが得られることがわかった。これら化合物のLUMO を計算してみると、LUMO のエネルギーが低いものほど反応性が高い傾向にあることが明らかになった。
<実施例12>
実施例2において、1,2−ビス(ヘプタフルオロトリル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテンを用いたホモカップリング反応は、フェニルマグネシウムブロミドに対し25mol%の前記ヘキサフルオロシクロペンテンの量で、25℃、1時間で定量的に反応が進行した。これは当該化合物が4 電子酸化剤として働いていることを示している。さらにフェニルマグネシウムブロミドに対し10mol%の1,2−ビス(ヘプタフルオロトリル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテンを用い、アルゴン雰囲気下→空気雰囲気下で反応を行ったところ、83%収率でビフェニルが得られ、触媒的に反応が進行することが明らかになった。アルゴン雰囲気下のみで反応を行った場合は,収率は37%であった。
<実施例13>
アルゴン雰囲気下、フレーム乾燥させたガラス製シュレンク管に1,2−ビス(ヘプタフルオロトリル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン228.07mg(0.375mmol)とテトラヒドロフラン1.5mLを入れ、1,2−ビス(ヘプタフルオロトリル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテンが完全に溶解するまで十分に撹拌した。ここに濃度1.00mol/Lのフェニルマグネシウムブロミド/テトラヒドロフラン溶液1.5mL(1.5mmol)を入れ、25℃で1時間反応させた。その後、反応器に塩化カルシウムに通じた空気を送り込みながらフェニルマグネシウムブロミド/テトラヒドロフラン溶液2.25mLを5時間かけて滴下し、その後更に3時間撹拌した。反応終了後、反応混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて停止させ、酢酸エチル(3mL×9回)で抽出を行った。酢酸エチル層を分離後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、ロータリーエバポレーターにて減圧濃縮した。この濃縮物をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:n−ヘキサン)で単離精製し、1,1’−ビフェニル238.58mg(1.547mmol)を得た。収率は83%であった。
本発明によれば、含フッ素有機化合物を用いて、グリニャール試薬のホモカップリング反応を行うことにより、低温下、短時間で効率的にビアリール化合物を製造することができるので、工業的に有用である。

Claims (3)

  1. 下記一般式(1):
    (式中、Ar1及びAr2は、それぞれ独立して、少なくともフッ素原子及びトリフルオロメチル基で置換されているアリール基を表し、互いに異なっていても同じでもよい。) で表される化合物からなる含フッ素有機化合物。
  2. Ar1及びAr2が下記式(2):
    で表される請求項1に記載の含フッ素有機化合物。
  3. 下記一般式(3):
    (式中、R1、R2、R3、R4及びR5は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいC1〜C20のアルキル基、C1〜C20のアルコキシル基、フェニル基、及びナフチル基のいずれかを表し、互いに異なっていても同じでもよい。Xはハロゲン原子を表す。) で表されるグリニャール試薬と、請求項1又は請求項2に記載の含フッソ有機化合物とのホモカップリング反応によりビアリール化合物を製造する方法。
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