JP2010163581A - 無機蛍光体 - Google Patents

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Abstract

【課題】発光波長ピークが580nm以上の赤色域に発光中心を有し、十分な発光効率が得られる無機蛍光体粒子、それを用いる交流分散型無機EL素子および直流薄膜型無機EL素子を提供する。
【解決手段】第2−16族化合物および第12−16族化合物から選ばれる少なくとも1種、またはそれらの混晶を母体材料とする無機蛍光体であって、周期律表の第6族〜第11族の第2遷移系列に属する金属元素および第3遷移系列に属する金属元素のうちの少なくともいずれかを含有し、且つ、CuとInを含有する。
【選択図】なし

Description

本発明は、交流分散型無機EL素子、交流薄膜型無機EL素子、直流薄膜型無機EL素子等に有用な無機蛍光体(以下、無機蛍光体材料または無機蛍光体粒子ともいう)に関するものである。
蛍光体とは、外部から光、電気、圧力、熱、電子線等のエネルギーが与えられることによって発光する材料のことであり、古くから知られている材料である。中でも無機材料から成る蛍光体は、その発光特性や安定性などからブラウン管、蛍光ランプ、エレクトロルミネッセンス(EL)素子等に用いられてきた。近年ではLED用の色変換材料として、PDPといった低速電子線励起用としても盛んに研究がなされている。
無機蛍光体を用いたエレクトロルミネッセンス(EL)素子は、駆動方法によって交流駆動型と直流駆動型に大別される。交流駆動型の中には高誘電性バインダーに蛍光体粒子を分散してなる交流分散型EL素子、誘電体層間に蛍光体薄膜を挟んでなる交流薄膜型EL素子の2種類があり、直流駆動型の中には、透明電極と金属電極で蛍光体薄膜を挟んで低電圧直流駆動する直流薄膜型EL素子がある。
次に直流駆動型無機EL素子を取り上げて説明する。
直流駆動型無機EL素子は、1970〜80年代に研究が盛んになされていた(非特許文献1)。これはZnSe:MnをGaAs基板上にMBEにより成膜し、Au電極と挟むことで構成される素子である。約4Vを印加することで電極からトンネル効果で電子が注入され、発光中心であるMnを励起し、発光するという機構である。しかしながら、この素子は発光効率が低いこと(〜0.05lm/W)、再現性が低いことから、それ以来、実用化はもとより学術的な研究もなされていない。
近年、新たな直流駆動型無機EL素子が報告された(特許文献1)。発光材料としては、CuやMnといった従来から知られている発光中心を含有するZnS系であり、これを透明電極であるITO電極と背面電極であるAg電極とで挟みこんだ構成である。その発光機構については記載されていないが、想定される機構としては、Cuとともに含有するClとでDAペア対を形成し、そこで注入された電子と正孔の再結合すなわち発光すると考えられる。
同様な駆動方法で発光する有機EL素子と比較して、発光素子がすべて無機材料で構成されているため、熱や、酸化還元などの化学反応に対する耐久性が高く、照明やディスプレイなど様々な分野での活用が可能となる。さらに同様な駆動であるLEDはすべて無機材料で構成されているという点で類似しているが、LEDは発光面積が極微小すなわち点発光であるため、単位面積あたりの輝度は高いものの、絶対光量(光束)は少ないために、用途が限られる。一方無機ELはもともと面発光であるため、照明用途などにおいて多くの光束を得ることが可能であるという点で有利である。
次に交流分散型EL素子を取り上げて説明する。
分散型EL素子の一般的な形状は、蛍光体粒子を高誘電率のバインダー中に分散したものを蛍光体層とし、少なくとも一方が透明な二枚の電極の間に該層を挟み込んだ構造からなり、両電極間に交流電場を印加することにより蛍光体層が発光する。蛍光体粒子を用いて作製された分散型EL素子は数mm以下の厚さとすることが可能で、面発光体であり、発熱が少なく、発光効率が良いなど数多くの利点を有する為、道路標識、各種インテリアやエクステリア用の照明、液晶ディスプレイ等のフラットパネルディスプレイ用の光源、大面積の広告用の照明光源等をしての用途が期待されている。
特許文献2は、交流分散型無機EL素子に好適に用いられる蛍光体を開示している。付活剤として銅を含み、共付活剤として塩素および臭素から選ばれる少なくとも1種類を含み、かつ、6族から10族までの第2遷移系列または第3遷移系列に属する金属元素の少なくとも1種類を含有する硫化亜鉛粒子からなる無機蛍光体を、特許文献3は、硫化亜鉛を母体として、付活剤として銅、第1の共付活剤として塩素、臭素の少なくとも1種、第2の共付活剤として金を含有する蛍光体を、それぞれ開示している。
特許文献4には、カラーブラウン管用蛍光体としてInやCuを含有するZnSが開示されているが、色純度や粒子形状、粒度分布を改善させるためにホウ素やビスマスの添加を行っている。しかしながらその発光効率については記載されておらず、その改善が望まれていた。
国際公開第07/043676号パンフレット 特開2006−233147号公報 特開平4−270780号公報 特開平7−305057号公報
Journal of Applied Physics,52(9),5797,1981.
しかしながら、特許文献1〜3には発光中心としてCuとハロゲンの青もしくは緑の発光波長領域のDAペア対を有する蛍光体のみに言及しており、また特許文献4や非特許文献1にいたっては発光効率の議論はなされていない。
以上のことから、Cu、Inという発光波長ピークが580nm以上の発光中心を有し、且つ、高輝度高効率で発光する新たな蛍光体の開発が望まれていた。
従って、本願発明は、周期律表の第6族〜第11族の第2遷移系列に属する金属元素および第3遷移系列に属する金属元素を母体材料中に充分にドープされ、且つCuおよびInのDAペア対発光において、発光波長ピークが580nm以上の赤色域に発光中心を有し、十分な発光効率が得られる無機蛍光体粒子、それを用いる交流分散型無機EL素子および直流薄膜型無機EL素子を提供しようとするものである。
発明者らは、鋭意検討の結果、周期律表の第6族〜第11族までの第2遷移系列に属する金属元素または第3遷移系列に属する金属元素を第2−16族化合物および第12−16族化合物から選ばれる少なくとも1種、またはそれらの混晶を母体材料に添加し、且つCuおよびInを含有することで、紫外線励起でのフォトルミネッセンスおよび交流駆動もしくは直流駆動によるエレクトロルミネッセンスを示す新規な蛍光体を見出したことにより、本発明を成すに至った。
即ち、本発明は以下の要件により達成される。
(1)第2−16族化合物および第12−16族化合物から選ばれる少なくとも1種、またはそれらの混晶を母体材料とする無機蛍光体であって、周期律表の第6族〜第11族の第2遷移系列に属する金属元素および第3遷移系列に属する金属元素のうちの少なくともいずれかを含有し、且つCuおよびInを含有することを特徴とする無機蛍光体。
(2)該無機蛍光体が、全粒子のうち粒子数で30%以上の粒子が面状の積層欠陥を5nm以下の間隔で10枚以上含んでいる粒子であることを特徴とする(1)に記載の無機蛍光体。
(3)含有される周期律表の第6族〜第11族の第2遷移系列に属する金属元素または第3遷移系列に属する金属元素がOs、IrおよびPtのうち少なくとも1種であることを特徴とする(1)または(2)に記載の無機蛍光体。
(4)(1)〜(3)のいずれかに記載の無機蛍光体を用いて形成された直流駆動型無機EL素子。
(5)(1)〜(3)のいずれかに記載の無機蛍光体を用いて形成された交流分散型無機EL素子。
本発明の無機蛍光体粒子は、これまでにない高い発光効率で、発光波長ピークが580nm以上の赤色域に発光中心を有する発光を示すだけでなく、無機エレクトロルミネッセンス素子用の蛍光体材料として有用であり、発光輝度に優れ長寿命を有するものである。
実施例2の直流駆動型無機EL素子の構造の概略を示す図である。 実施例3の交流分散型無機EL素子の構造の概略を示す図である。
以下本発明について詳しく説明する。
本発明の無機蛍光体材料は、第2−16族化合物および第12−16族化合物から選ばれる少なくとも1種、またはそれらの混晶を母体材料とする無機蛍光体材料であって、周期律表の第6族〜第11族の第2遷移系列に属する金属元素および第3遷移系列に属する金属元素のうちの少なくともいずれかを含有し、且つ、CuおよびInを含有することを特徴とする。
なお、本発明の無機蛍光体材料の母体材料として用いられる、第2−16族化合物とは、周期律表の第2族に属する少なくとも1種の元素と周期律表の第16族に属する少なくとも1種の元素からなる化合物、第12−16族化合物とは、周期律表の第12族に属する少なくとも1種の元素と周期律表の第16族に属する少なくとも1種の元素からなる化合物を意味するものであり、本発明の属する技術分野における通常の知識を有するもの(当業者)が通常使用している標記・表現である。
該母体材料の例としては、ZnS、ZnSe、ZnSSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、CaS、SrSe、SrSSeSrS、BaSなどの第2−16族化合物および第12−16族化合物から選ばれる少なくとも1種またはそれらの混晶が用いられる。好ましくはZnS、ZnSe、ZnSSe、SrS、CaS、SrSe、SrSSeであり、さらに好ましくは、ZnS、ZnSe、ZnSSeである。
本発明の無機蛍光体材料に用いられる周期律表の第6族〜第11族の第2遷移系列に属する金属元素および第3遷移系列に属する金属元素としては、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、W、Re、Os、Ir、Pt、Auがあるが、中でもRu、Pd、Os、Ir、Pt、Auが好ましいが、さらにはOs、Ir、Ptが好ましい。これらの金属は単独で含有していてもよいし、複数で含有していてもよい。
本発明の無機蛍光体材料はCuおよびInを含有する。例えばZnS中にCuおよびハロゲンを有する無機蛍光体材料は一般的に発光ピーク波長が450〜550nmの青〜緑色に発光するのに対して、本発明の無機蛍光体材料の発光ピーク波長は580nm以上である。これはInが深い電子トラップとなるため、ハロゲンを含む蛍光体材料に対して発光エネルギーが小さくなり、波長としては長波長な赤色域での発光を示すものと推測される。このようなInのような深い電子トラップを有する蛍光体材料は発光効率を高めることが難しかったが、本発明ではこれを改善し、高効率すなわち高輝度で赤色発光を得ることに成功した。
また、本発明の蛍光体粒子は、全粒子のうち30%以上が面状の積層欠陥を5nm以下の間隔で10枚以上含んでいる粒子であることが好ましい。面状の積層欠陥を5nm以下の間隔で10枚以上含んでいる粒子が50%以上の粒子であることがより好ましく、80%以上の粒子であることが特に好ましい。
ここで述べる積層欠陥とは、双晶面ならびに相界面を指す。硫化亜鉛を例にあげるならば、これらの面は、通常{111}面に垂直な面欠陥となる。積層欠陥に関する一般的な記載は、B.Henderson著堂山昌男訳「格子欠陥」第1章と第7章丸善株式会社に詳細に記載されている。硫化亜鉛の場合には、AndrewC.WrightandIanV.F.Viney、PhilosophicalMag.B、2001、Vol.81、No.3、p279−p297に記載されている。
積層欠陥の評価は、蛍光体粒子を塩酸等の酸でエッチングした際に、粒子側面(粒子表面)に現れる積層状の構造を観察することで、評価する。少なくともこの面状の積層構造を5nm以下の間隔で1粒子あたり10枚以上含んでいる粒子が、本発明における積層欠陥粒子である。
このようにして得られたドープ率の高い蛍光体粒子を用いることで、粉末として使用する場合だけでなく、蒸着等により形成した蛍光体層も高いドープ率を有することができる。積層欠陥を増やすことによって、周期律表の第6族〜第11族の第2遷移系列に属する金属元素および第3遷移系列に属する金属元素やCuおよびInを存在させる場所を提供するため、結果として積層欠陥が少ない蛍光体粒子よりも、前記金属のドープ率向上を可能とする。さらに、前記積層欠陥は、電子や正孔の一次的な捕獲サイトとして機能するため、電子や正孔が再結合する前に失活することを防ぐ役割があり、さらなる発光効率の向上をもたらす。
積層欠陥は、後述するドープする際などに増やすことが出来る。
これらの積層面欠陥の間隔に関しては、微細な構造があることが知られている。実際本発明の積層欠陥粒子を粉砕した破片粒子の透過電子顕微鏡写真を観察すると面状の積層欠陥を5nm以下の間隔で10枚以上有していることが観察される場合がある。本発明の粒子は、このように面状の積層欠陥を5nm以下の間隔という高密度で10枚以上有していることが好ましく、より好ましくは15枚以上、更に好ましくは18枚以上有している。
積層欠陥は、層構造と層構造の界面に存在し、エッチングにより表面にストライプ状に見えるようになる。このような層構造は、1個の粒子全体に存在し、SEMやTEMにより明確に数えることができる。また、材料を粉砕して、積層欠陥面に対して垂直に璧開した場合には、透過電顕鏡観察により明確に層構造を観察することもできる。たとえば、蛍光体粒子をメノー乳鉢ですりつぶし、粒子の破片をTEM観察することで、積層欠陥の間隔、枚数を直接観察することも可能である。面状の積層欠陥を5nm以下の間隔10枚以上有すると、粒子上の100nmの区間を観察した場合に9枚(箇所)以上の界面を観測できる。
また、蛍光体粒子の結晶構造については特に制限なく、硫化亜鉛の場合、閃亜鉛構造(立方晶)とウルツ構造(六方晶)の存在比率については、どのような比率であっても良い。
上記の周期律表の第6族〜第11族の第2遷移系列に属する金属元素および第3遷移系列に属する金属元素やCuおよびInの母体材料への含有のさせ方、すなわちドープ方法は、いかなる方法にも限定するものではないが、たとえば、焼成での粒子形成時に金属塩の形で混入させても良いし、焼成条件で溶融、昇華、もしくは反応可能であれば化合物結晶の形で混入させても良い。特に焼成によるドープが好ましい。
金属塩としては、酸化物、硫化物、硫酸化物、シュウ酸化物、ハロゲン化物、硝酸化物、窒化物等、いかなる化合物でも良いが、中でも酸化物、硫化物、ハロゲン化物が好ましく用いられる。それぞれ単独で用いても良いが、複数種の金属塩を用いても良い。
ドープ量としては、母体材料1モルに対して1×10−7〜1×10−1モルが好ましく、さらに好ましくは1×10−5〜1×10−2モルである。
本発明の蛍光体を構成する粒子の平均粒子径は0.5〜20μmが好ましく、0.5〜15μmがより好ましく、1.0〜12.0μmが特に好ましい。本発明における粒子径(粒子サイズ)の変動係数は、(体積加重の粒子サイズ分布の標準偏差÷体積加重の平均粒子サイズ×100%)で計算することができ、好ましくは35%以下であり、より好ましくは30%以下であり、さらに好ましくは3〜25%であり、特に好ましくは3〜20%である。個々の粒子サイズは、体積を球換算してその直径で表す。粒子サイズは、その個々の粒子の写真を撮って測定してもよいし、光学的にその分布を測定してもよいし、沈降速度から分布を割り出してもよい。
焼成により蛍光体粒子内には積層欠陥が発生するが、微細な粒子で、かつ、より多くの積層欠陥が蛍光体粒子内に含まれるように、2回の焼成を行い、第1の焼成と第2の焼成の条件を適宜選択することがより好ましい。
また、蛍光体粒子、好ましくは第1の焼成で得られた焼成物(中間蛍光体粒子)に、ある範囲の大きさの衝撃力を加えることにより、粒子を破壊することなく、積層欠陥の密度を大幅に増加させることができる。
衝撃力を加える方法としては、蛍光体粒子同士を接触混合させる方法、アルミナ等の球体を混ぜて混合させる(ボールミル)方法、粒子を加速させ衝突させる方法、超音波を照射する方法、静水圧を印加する方法、爆薬等の爆発による衝撃により瞬間的に圧力を発生させる方法などを好ましく用いることができる。
衝撃を与える方法について、ボールミルを例に挙げて説明する。
ボールミルに用いる容器及びボールは、ガラス、アルミナ、ジルコニア、等を好ましく用いることができ、ボールによる汚染の点でアルミナとジルコニアをより好ましく用いることができる。使用するボール径は、0.01〜10mmの範囲が好ましく、0.05〜1mmがより好ましい。最適なボール径とすることで、小さすぎると処理後の中間蛍光体粒子との分離が容易になり、かつ中間蛍光体粒子の破砕を防ぎ、均一な応力付与が容易になる。ボール径の異なる2種以上のボールを混合することも、中間蛍光体粒子に均一に応力を与えられるため好ましい。中間蛍光体とボールの比率は、中間蛍光体1質量部に対してボールが1〜100質量部の範囲が好ましく、2〜20質量部がより好ましい。ボールと中間蛍光体の混合物の充填率は、容器の容積に対して10〜60体積%の範囲が好ましい。ボールミルの回転数は、容器の外径により適宜選択されるが、このときの線速度は1〜500cm/secの範囲が好ましく、10〜100cm/secがより好ましく、ボールと中間蛍光体の混合物が容器内で半月状の運動をし、回転中のボールの傾斜角度が5〜45°の範囲になるように回転数を設定することが好ましい。ボールミルの時間は、回転数などの前記条件により異なるが、1分〜24時間の範囲が好ましく、10分〜3時間がより好ましい。これらの条件は、EL蛍光体の輝度と寿命から適宜組み合わせることが好ましい。上記はボールミルを乾式で行う方法であるが、湿式で行う場合は、溶媒として水の他に、アルコール類、ケトン類、等の有機溶媒を用いることができる。加える溶媒量は、ボールの隙間をちょうど充填する量が最適とされるが、混合物の流動性を向上させるために、充填する体積の1〜10倍量の範囲を加えることが好ましい。添加する溶媒量を最適にすることで、混合物の流動性を保ち、均一な応力付与が容易となる。混合物の流動性を向上させるために、分散剤として界面活性剤、水ガラス等を添加しても良い。その他のボールミル条件は、乾式ボールミルと同様の範囲を用いることが好ましい。
ボールを用いた応力付与の場合、ボールをインペラー、ローター等で強制的に撹拌する装置や、容器を振動する装置などを用いることもできる。
また、単に衝撃力を加えたのみでは、積層欠陥の発生確率は低く、その後更に焼成を行うことによって、積層欠陥が高密度に発生する。
これら第6族〜第11族の第2遷移系列に属する金属元素および第3遷移系列に属する金属元素やCuおよびInの母体材料の結晶内に取り込まれた部分以外の結晶表面への析出分や、結晶表面への吸着分は、エッチングや洗浄等で除去することが好ましい。
例えば、HCl等の酸でエッチングして表面に付着している金属酸化物を除去し、さらに、表面に付着した酸化物(たとえばZnO)を、KCNまたは8−キノレリノール等のキレート剤で洗浄して除去、乾燥して蛍光体粒子を得ることが好ましい。
次に、本発明の発光素子について詳しく説明する。
無機蛍光体を用いた発光素子、すなわち無機EL素子には、直流駆動で発光するものと交流駆動で発光するものがある。直流駆動で発光する無機EL素子は、電極上に電子ビーム蒸着などで蛍光体発光層を形成し、さらにその上に電極層を形成させた構造のものが知られている。電極の一方はITOなどの透明電極であり、他方はAlなどの金属電極である。素子を形成する順序としては、透明電極上に蛍光体薄膜を形成し、金属電極層を形成させてもよく、金属電極上に蛍光体薄膜を形成した後に、透明電極層を形成してもよい。このような構造の無機EL素子は、薄膜型無機EL素子と呼ばれる。また、交流駆動で発光する無機EL素子は、無機蛍光体粒子を高誘電率のバインダー中に分散させ、透明電極と金属からなる背面電極とでサンドイッチした構造のものが知られている。このような構造の無機EL素子は、分散型EL素子と呼ばれる。
一般に交流駆動の無機EL素子は電圧50〜300V、周波数50〜5000Hzで駆動するが、直流駆動の無機EL素子は0.1〜20Vと低電圧で駆動できることが特徴として挙げられる。本発明の無機蛍光体粒子は、分散型無機EL素子、薄膜型無機EL素子といった交流駆動型素子、さらには直流駆動型の無機EL素子に有用である。
次に直流駆動型無機EL素子について詳しく説明する。
(発光層)
直流駆動型無機EL素子は、少なくとも透明電極(透明導電膜とも称する)と蛍光体層(発光層とも称する)と背面電極とから構成される。発光層の厚みは厚くなりすぎると発光に必要な電界強度を得るために両電極間の電圧が上昇するので、低電圧駆動を実現するためには50μm以下が好ましく、さらに好ましくは30μm以下である。また厚みが薄くなりすぎると、蛍光体層の両面にある電極が短絡しやすくなるため、短絡を避けるために厚みは50nm以上が好ましく、さらに好ましくは100nm以上である。
発光層の成膜方法としては、物理的蒸着法である抵抗加熱蒸着法や電子ビーム蒸着、スパッタリングやイオンプレーティング、CVD(Chemical Vapor Deposition)など無機材料を一般的に成膜する方法が用いられる。本発明に用いられる蛍光体粒子は高温でも安定で高融点であることから、高融点材料を蒸着するのに適した電子ビーム蒸着法や、蒸着源をターゲット化できる場合はスパッタリング法が好適に用いられる。さらに電子ビーム蒸着の場合、蛍光体粒子中に含有する金属の蒸気圧が、母体材料の蒸気圧と大幅に異なる場合には、それぞれ単独の蒸着源として複数の蒸着源を利用した蒸着方法も有用である。また結晶性を高めるという意味で、基板との格子マッチングを考慮したMBE(Molecular Beam Epitaxy)法も好適である。
(透明電極)
本発明に好ましく用いられる透明導電膜の表面抵抗率は、10Ω/□以下であることが好ましく、0.01Ω/□〜10Ω/□が更に好ましい。特に0.01Ω/□〜1Ω/□が好ましい。
透明導電膜の表面抵抗率は、JIS K6911に記載の方法に準じて測定することができる。
透明導電膜は、ガラス又はプラスチック基板上に形成されており、かつ酸化錫を含有していることが好ましい。
すなわち、ガラスとしては無アルカリガラス、ソーダライムガラスなど、一般的なガラスが用いられるが、耐熱性が高く平坦性の高いガラスを用いることが好ましい。プラスティック基板としては、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート、トリアセチルセルロースベース等の透明フィルムが好適に用いられる。それらを基板として、インディウム・錫酸化物(ITO)や錫酸化物、酸化亜鉛等の透明導電性物質を蒸着、塗布、印刷等の方法で付着、成膜することができる。
この場合、耐久性を上げる目的で透明導電膜表面を酸化錫を主体の層とすることが、好ましい。
透明導電膜を構成する透明導電性物質の好ましい付着量は、透明導電膜に対して、100質量%〜1質量%、より好ましくは、70質量%〜5質量%、さらに好ましくは、40質量%〜10質量%である。
透明導電膜の調製法はスパッター、真空蒸着等の気相法であっても良い。ペースト状のITOや酸化錫を塗布やスクリーン印刷で作成したり、膜全体を加熱したりレーザーにて加熱して成膜しても良い。
本発明のEL素子において、透明導電膜には一般的に用いられる任意の透明電極材料が用いられる。例えば錫ドープ酸化錫、アンチモンドープ酸化錫、亜鉛ドープ酸化錫、フッ素ドープ酸化錫、酸化亜鉛などの酸化物、銀の薄膜を高屈折率層で挟んだ多層構造、ポリアニリン、ポリピロールなどの共役系高分子などが挙げられる。
更に低抵抗化するには、例えば櫛型あるいはグリッド型等の網目状ないしストライプ状金属細線を配置して通電性を改善することが、好ましい。金属や合金の細線としては、銅や銀、アルミニウム、ニッケル等が好ましく用いられる。この金属細線の太さは、任意であるが、0.5μm程度から20μmの間が好ましい。金属細線は、50μm〜400μmの間隔のピッチで配置されていることが、好ましく、特に100μm〜300μmピッチが、好ましい。金属細線を配置することで、光の透過率が減少するが、この減少は出来るだけ小さいことが重要で、好ましくは、80%以上100未満の透過率を確保することが、好ましい。
金属細線は、メッシュを透明導電性フィルムに張り合わせてもよいし、予めマスク蒸着ないしエッチングによりフィルム上に形成した金属細線上に金属酸化物等を塗布、蒸着しても良い。また、予め形成した金属酸化物薄膜上に上記の金属細線を形成してもよい。
これとは、異なる方法となるが、金属細線の代わりに、100nm以下の平均厚みを有する金属薄膜を金属酸化物と積層して本発明に適した透明導電膜とすることができる。金属薄膜に用いられる金属としては、AuやIn、Sn、Cu、Niなど耐腐食性が高く、展延性等に優れたものが好ましいが、特にこの限りではない。
これらの複層膜は、高い光透過率を実現することが好ましく、具体的には70%以上の光透過率を有することが好ましく、80%以上の光透過率を有することが特に好ましい。光透過率を規定する波長は、550nmである。
光の透過率に関しては、干渉フィルターを用いて550nmの単色光を取り出し、一般に用いられる白色光源を用いた積分型光量測定やスペクトル測定装置を用いて測定することが出来る。
(背面電極)
光を取り出さない側の背面電極は、導電性の有る任意の材料が使用出来る。金、銀、白金、銅、鉄、アルミニウムなどの金属、グラファイトなどの中から、作製する素子の形態、作製工程の温度等により適宜選択されるが、その中でも熱伝導率が高いことが重要で、2.0W/cm・deg以上であることが好ましい。
また、EL素子の周辺部に高い放熱性と通電性を確保するために、金属シートや金属メッシュを用いることも好ましい。
次に交流分散型無機EL素子について説明する。
本発明の交流分散型無機EL素子は、少なくとも誘電体層、蛍光体層、およびこれらの層をその間に挟む、一対の電極からなり、電極のうち少なくとも一方は透明性のある電極が用いられるのが通常の形態である。
透明導電膜や背面電極となり得る一対の電極については直流駆動型無機EL素子と共通に使用できるので、説明は省略する。
本発明の無機蛍光体粒子を用いて交流分散型EL素子を作製する場合、これら粒子を有機分散媒に分散して、その分散液を塗布し層状を形成させる。有機分散媒としては、有機高分子材料、または高沸点の有機溶剤を用いることが出来るが、有機高分子材料を主に構成される有機バインダーが好ましい。上記有機バインダーとしては、誘電率の高い素材が望ましく、含フッ素高分子化合物(例えばフッ化エチレン、3フッ化1塩化エチレンを重合単位として含む高分子化合物)、または水酸基がシアノエチル化された多糖類、ポリビニルアルコール、フェノール樹脂が挙げられ、これらを全部または一部含んでなることが好ましい。このようなバインダーと上記発光粒子との配合割合は、発光粒子含有層中の上記発光粒子の含有量が固形分全体に対して30〜90質量%となる割合とするのが好ましく、60〜85質量%となる割合とするのが更に好ましい。バインダーとしては、水酸基がシアノエチル化された高分子化合物を発光粒子含有層全体の有機分散媒のうち質量比で、好ましくは20%以上、更に好ましくは50%以上使用する。
このように得られる発光粒子含有層の厚みは1μm以上200μm以下が好ましく、より好ましくは3μm以上100μm以下である。
また特開2004−137482号公報に開示されているように、本発明の無機蛍光体粒子を酸化物、硫化物、窒化物からなる非発光シェルで被覆して用いることも好ましい。
また本発明の交流分散型無機EL素子は蛍光体層から見て透明電極と反対側に誘電体層を有することが好ましい。誘電体層は、誘電率と絶縁性が高く、且つ高い誘電破壊電圧を有する誘電体材料であれば任意のものを用いて形成することができる。これらは金属酸化物、窒化物から選択され、例えばTiO2、BaTiO3、SrTiO3、PbTiO3、KNbO3、PbNbO3 、Ta23、BaTa26、LiTaO3、Y23、Al23、ZrO2、AlON、ZnSなどが用いられる。これらは薄膜結晶層として設置されても良いし、また粒子構造を有する膜として用いても良い。またそれらの組合せであっても良い。
本発明の交流分散型EL素子において、蛍光体層、誘電体層は、スピンコート法、ディップコート法、バーコート法、あるいはスプレー塗布法などを用いて形成材料を溶剤に溶解してなる塗布液を塗布して形成することが好ましい。特に、スクリーン印刷法のような印刷面を選ばない方法やスライドコート法のような連続塗布が可能な方法を用いることが好ましい。これらの塗布に供する場合、蛍光体層、誘電体層の構成材料に適当な有機溶剤を加えた塗布液を調製して用いることが好ましい。好ましく用いられる有機溶剤としては、ジクロロメタン、クロロホルム、アセトン、アセトニトリル、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、トルエン、キシレンなどが挙げられる。蛍光体層は、塗膜の乾燥膜厚が5μm以上で50μm以下になるように連続的に塗布して形成することが特に好ましい。
支持体上に塗布された各機能層は、少なくとも塗布から乾燥工程までを連続工程とすることが好ましい。乾燥工程は、塗膜が乾燥固化するまでの恒率乾燥工程と、塗膜の残留溶媒を減少させる減率乾燥工程に分けられる。本発明では、各機能層の結合剤比率が高いため、急速乾燥させると表面だけが乾燥し塗膜内で対流が発生し、いわゆるベナードセルが生じやすくなり、また急激な溶媒の膨張によりブリスター故障を発生しやすくなり、塗膜の均一性を著しく損う。逆に、最終の乾燥温度が低いと、溶媒が各機能層内に残留してしまい、防湿フィルムのラミネート工程等のEL素子化の後工程に影響を与えてしまう。したがって、乾燥工程は、恒率乾燥工程を緩やかに実施し、溶媒が乾燥するのに充分な温度で減率乾燥工程を実施することが好ましい。恒率乾燥工程を緩やかに実施する方法としては、支持体が走行する乾燥室をいくつかのゾーンに分けて、塗布工程終了後からの乾燥温度を段階的に上昇することが好ましい。
本発明に利用可能な無機蛍光体粒子は、前述した積層欠陥を多く導入する工程以外は当業界で広く用いられる焼成法(固相法)で形成することができる。
例えば、硫化亜鉛の場合、液相法で粒子直径10nm〜50nmの微粒子粉末(生粉と呼ぶ)を作成し、これを一次粒子として用い、これに付活剤と呼ばれる不純物を混入させて融剤とともに坩堝にて900℃〜1300℃の高温で30分〜10時間、第1の焼成をおこない、粒子を得る。第1の焼成によって得られる中間蛍光体粉末をイオン交換水で繰り返し洗浄してアルカリ金属ないしアルカリ土類金属および過剰の付活剤、共付活剤を除去する。この過程で、前述した積層欠陥を導入する工程を適宜用いることが好ましい。次いで、得られた中間体蛍光体粉末に第2の焼成をほどこす。第2の焼成は、第1の焼成より低温の500〜800℃で、また短時間の30分〜3時間の加熱(アニーリング)をする。
上記製法により無機蛍光体粒子を得ることができるが、直流型無機ELに用いる場合には上記製法により得られた蛍光体粒子を好ましくは加圧成型し、電子ビーム蒸着等の物理蒸着によってEL素子を得ることができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔実施例1〕
サンプルA
硫化亜鉛(ZnS)粒子粉末25gと、塩化イリジウム、硫化銅、硫化インジウムを亜鉛に対しそれぞれIr:2×10−4mol/mol、Cu:9×10−4mol/mol、In:3×10−4mol/mol添加した乾燥粉末に、融剤としてNaClおよびMgClと塩化アンモニウム(NH3Cl)の粉末を適量、並びに酸化マグネシウム粉末を蛍光体粉末に対し10質量%を、アルミナ製ルツボに入れて1150℃で2時間焼成したのち降温した。焼成後の粒子5gに対して、1mmφのアルミナボール20gとを、15mmφのガラス瓶に充填して20分間10rpmの回転速度でボールミルした後、100メッシュの篩いを用いてアルミナボールと中間蛍光体粒子を分離した。さらにZnOを5g、硫黄を0.25g加え、乾燥粉末を作成し、再度アルミナルツボに入れて700℃で6時間焼成した。焼成後の粒子は、再度粉砕し、40℃のH2Oに分散・沈降、上澄み除去を行って洗浄したのち、10質量%の塩酸水溶液を加えて分散・沈降、上澄み除去を行い、不要な塩を除去して乾燥させた。さらに10質量%のKCN水溶液を70℃に加熱して表面のZnOなどの酸化物を除去した。さらに6Nの塩酸で粒子全体の10質量%に相当する表面層をエッチング除去した。
この様にして得られた粒子をさらに篩いにかけて、小サイズ粒子を取り出した。
このようにして得られた蛍光体粒子をすり鉢で粉砕し、厚みが0.2μm以下の砕片を取り出して、200kVの加速電圧条件で、その電子顕微鏡観察を行ったところ、観察した砕片粒子の22%(粒子数)が面状の積層欠陥を5nm以下の間隔で10枚以上有する部分を含んでいた。
サンプルB
塩化イリジウムを添加しないこと以外はサンプルAと同様に行った。
サンプルC
硫化インジウムを添加しないこと以外はサンプルAと同様に行った。
サンプルD
ボールミルの時間を60分間に変更した以外はサンプルAと同様に行った。同様に電子顕微鏡観察を行ったところ、破片粒子の33%(粒子数)が面状の積層欠陥を5nm以下の間隔で10枚以上有する部分を含んでいた。
サンプルE
塩化イリジウムを添加しない以外はサンプルCと同様に行った。
得られた各蛍光体の330nmの紫外線で励起したときのフォトルミネッセンス(PL)の発光波長、および、発光強度を下表1に記した。発光強度はサンプルAの発光強度を100とした相対強度である。
Figure 2010163581
サンプルAはCuとInがDAペア対を形成したため発光ピーク波長が645nmと赤色域で発光を示した。またIrも添加しているため発光効率も高めることができた。それに対してサンプルBはイリジウムを添加していないため、発光効率が低く、PL強度として極端に低いレベルにとどまる。サンプルCはインジウムを添加していないため、融剤として添加したNaClやMgClなどの塩素がZnS中にドープされることで、CuとClとでDAペアを形成し、青緑発光を示した。
サンプルDはボールミルによる粉砕の時間を延ばしたため、面状の積層欠陥が5nm以下の間隔で10枚以上有するという高密度積層欠陥頻度が高くなり、PL発光強度を高くすることができた。これは積層欠陥にIrが固定化され安定に存在できることが主な要因と考えられる。サンプルEは同じ青緑発光であるサンプルCと比べて発光強度が半分程度である。これはIrの高効率化の効果であるが、赤発光の蛍光体におけるIrの有無(サンプルAとB)の発光強度の差異よりも小さく、赤発光の蛍光体におけるIrの高効率化の効果が著しく大きいことがわかった。
〔実施例2〕
実施例1のサンプルAの無機蛍光体粒子を用いて直流駆動型無機EL素子を作製した。該直流駆動型無機EL素子の構造の概略を図1に示す。
透明ガラス基板(1)上に、厚さ200nmのITOをスパッタにより形成し、透明電極である第1電極(2)を設けた。電極(2)上に、Aの無機蛍光体粒子を、EB蒸着装置にて成膜した。より具体的には該無機蛍光体粒子を第1の蒸着源に、セレン金属を第2の蒸着源に配置し、第1の蒸着源からは一定の成膜レートで、第2の蒸着源では成膜前半にはセレンの重量比が0.5%以下で成膜して第1発光層(3)を、後半にはセレンの重量比が1%程度で成膜して第2発光層(4)を積層させた。前半と後半の時間比を概ね1:1で積層した総厚みは合計で2μmであった。そのときの蒸着チャンバー内の真空度は1.3×10−4Pa、基板温度は200℃に設定した。さらに、結晶性を向上させるために、成膜後に同一チャンバー内で600℃で、1時間、熱アニールを施した。続いて、抵抗加熱蒸着により第2電極(5)である銀を0.2μm蒸着することで、直流駆動型無機EL素子を得た。
第2電極5である銀電極をプラスに、第1電極2であるITOをマイナスにして、直流電源を接続し、電流を流したところ、ピーク波長645nmの発光が確認された。
〔実施例3〕
実施例1のサンプルA及びCの無機蛍光体粒子を用いて交流分散型無機EL素子を作製した。該交流分散型無機EL素子の構造の概略を図2に示す。
厚み70μmのアルミニウム電極(背面電極)(12)上に、以下に示す各層を第1層、第2層の順序で、それぞれ、厚みが20μm、40μmとなるように層形成用塗布液を塗布して形成し、更にインジウム−スズ酸化物(8)を厚み40nmの透明電極を形成するようにスパッタしたポリエチレンテレフタレートフイルムベース(厚み75μm)(7)を透明電極(8)側(導電性面側)がアルミニウム電極(12)側を向くように、透明電極(8)と第2層である蛍光体層(10)が隣接するようにして190℃のヒートローラーで窒素雰囲気下で圧着した。
以下に示す各層の添加物量は、EL素子1平方メートルあたりの質量を表す。
第1層;誘電体層(11)
シアノエチルプルラン 14.0g
シアノエチルポリビニルアルコール 10.0g
チタン酸バリウム粒子(平均球相当直径0.05μm) 100.0g
第2層;蛍光体層(10)
シアノエチルプルラン 18.0g
シアノエチルポリビニルアルコール 12.0g
サンプルAまたはCの蛍光体粒子(9) 120.0g
各層は、ジメチルホルムアミドを加えて粘度を調節した塗布液とした上で塗布して作成し、その後110℃ で10 時間乾燥させた。
このようにして得られた塗布物に前述したように透明電極(8)付きのフィルム(7)を圧着し、アルミニウム電極(12)、透明電極(8)それぞれに電極端子( 厚み60μmのアルミニウム板)を配線してから、封止フィルム(ポリ塩化三フッ化エチレン;厚み200μm)(6,13)にて密封し、交流分散型無機EL素子を作製した。
以上のようにして得られた素子に1kHz、100Vの交流電場を印加した結果、発光が確認された。連続100時間駆動後の発光強度をサンプルA(発光波長645nm)およびC(発光波長520nm)で作製した素子で比較したところ、サンプルAで作製した資料は初期輝度に対して80%以上の輝度を維持していたのに対して、サンプルCは65%にまで減少しており、本発明の蛍光体材料は劣化を抑制する効果があることが示された。
1 ガラス基板
2 第1電極
3 第1発光層
4 第2発光層
5 第2電極
6、13 封止フイルム
7 フイルムベース(PET)
8 インジウム− スズ酸化物(透明電極)
9 無機蛍光体粒子
10 蛍光体層
11 誘電体層
12 アルミニウム電極

Claims (5)

  1. 第2−16族化合物および第12−16族化合物から選ばれる少なくとも1種、またはそれらの混晶を母体材料とする無機蛍光体であって、
    周期律表の第6族〜第11族の第2遷移系列に属する金属元素および第3遷移系列に属する金属元素のうちの少なくともいずれかを含有し、且つ、CuとInを含有する無機蛍光体。
  2. 該無機蛍光体が、全粒子のうち30%以上の粒子が面状の積層欠陥を5nm以下の間隔で10枚以上含んでいる粒子であることを特徴とする請求項1に記載の無機蛍光体。
  3. 含有される周期律表の第6族〜第11族の第2遷移系列に属する金属元素または第3遷移系列に属する金属元素がOs、IrおよびPtのうち少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または2に記載の無機蛍光体。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の無機蛍光体を用いて形成された直流駆動型無機EL素子。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載の無機蛍光体を用いて形成された交流分散型無機EL素子。
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