JP2010251369A - エレクトロルミネッセンス素子、エレクトロルミネッセンス素子の製造方法、発光装置、照明装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】低電圧駆動が可能で砒素を含まない高輝度の無機系エレクトロルミネッセンス素子を提供する。
【解決手段】母体材料として硫化亜鉛を用い、これに不純物元素として0.00001重量%〜1重量%の範囲内のイリジウムを添加した半導体層と、セレン化硫化亜鉛からなる発光層を積層したエレクトロルミネッセンス素子に使用する。この発光層および半導体層の積層構造を一対の電極間に挟持し、一対の電極の少なくとも一方を発光層の発光波長に対して透光性とした素子構造を採用する。半導体層は、硫化亜鉛およびイリジウムを含むターゲットを用いてスパッタリング法により形成する。
【選択図】図1
【解決手段】母体材料として硫化亜鉛を用い、これに不純物元素として0.00001重量%〜1重量%の範囲内のイリジウムを添加した半導体層と、セレン化硫化亜鉛からなる発光層を積層したエレクトロルミネッセンス素子に使用する。この発光層および半導体層の積層構造を一対の電極間に挟持し、一対の電極の少なくとも一方を発光層の発光波長に対して透光性とした素子構造を採用する。半導体層は、硫化亜鉛およびイリジウムを含むターゲットを用いてスパッタリング法により形成する。
【選択図】図1
Description
本発明は、発光装置、照明装置等に用いられるエレクトロルミネッセンス素子に関する。
近年、軽量・薄型の面発光型素子としてエレクトロルミネッセンス素子(以下、EL素子という)が注目されている。このEL素子は、発光材料を一対の電極で挟み、電圧を印加することにより発光材料からの発光を得ることができるものである。
EL素子には、蛍光体粒子を有機高分子材料からなるバインダー中に分散させ発光層とする分散型EL素子と、厚さが1μm程度の薄膜発光層の両側あるいは片側に絶縁層を設けた薄膜型EL素子とがある。蛍光体粒子は一般的に、硫化亜鉛など金属硫化物の母体材料中に、銅や銀、マンガンなどの発光中心となる元素を賦活材として含有する化合物が用いられる。EL素子の発光は、高電界で加速された電子による母体材料または発光中心の衝突励起により得られる。このため、一般的なEL素子で発光を得るためには高い電界が必要であり、EL素子に数百Vの電圧を印加する必要がある(特許文献1)。
EL素子の駆動電圧を低下させる方法として、特許文献2では硫化亜鉛に塩化マグネシウムおよび塩化イリジウムなどの化合物を添加して爆発圧縮した後、砒化ガリウムと共に焼成して得られる蛍光体を、セレンと共蒸着することによって発光層を形成することが開示されている。これにより、EL素子の駆動電圧は低下しているものの、発光層が有害な砒素を含んでいるという問題があった。
特開2007−224174号公報
国際公開WO2007−43676号公報
上記問題に鑑み、本発明は、低電圧駆動が可能で砒素を含まないエレクトロルミネッセンス素子を提供し、また、低消費電力の発光装置および照明装置を提供することを課題とする。
無機系の材料を用いたエレクトロルミネッセンス素子としては、その発光層を形成する母材として硫化亜鉛(ZnS)を用いる場合がある。ZnSをエレクトロルミネッセンス素子とする場合は、銅、銀、マンガン等を賦活材として用いるが、この場合、素子を発光させるために印加する電圧が数十V以上と高く、このことが無機系エレクトロルミネッセンス素子を広範囲で使用可能とすることの妨げとなっていた。また、硫化亜鉛にさらにイリジウムや砒化ガリウムを添加することで駆動電圧を下げることは可能であるが、有害な砒素を含んでいるため、やはり広範な用途での実用化は難しかった。
本願発明者らは、ZnSを用いた無機系エレクトロルミネッセンス素子の低電圧発光化の検討を行い、素子の構造を最適化することにより、有害な砒素を添加することなく、10V以下の低電圧で発光可能となることを見出し本発明を完成させた。すなわち本発明は次の構成を採用する。
(1)一対の電極間に第1の半導体層、発光層、第2の半導体層が挟持されてなり、前記第1および第2の半導体層が硫化亜鉛を母体材料とし、不純物としてイリジウムを含む層であり、前記発光層がセレン化硫化亜鉛からなる層である、エレクトロルミネッセンス素子。
(2)前記第1および第2の半導体層中に含まれるイリジウムの濃度が、0.00001重量%〜1重量%の範囲内であることを特徴とする(1)に記載のエレクトロルミネッセンス素子。
(3)前記一対の電極の少なくとも一方が、発光層の発光波長に対して透光性であることを特徴とする(1)または(2)に記載のエレクトロルミネッセンス素子。
(2)前記第1および第2の半導体層中に含まれるイリジウムの濃度が、0.00001重量%〜1重量%の範囲内であることを特徴とする(1)に記載のエレクトロルミネッセンス素子。
(3)前記一対の電極の少なくとも一方が、発光層の発光波長に対して透光性であることを特徴とする(1)または(2)に記載のエレクトロルミネッセンス素子。
(4)一対の電極間に第1の半導体層、発光層、第2の半導体層が挟持されてなり、前記第1および第2の半導体層が硫化亜鉛を母体材料とし、不純物としてイリジウムを含む層であり、前記発光層がセレン化硫化亜鉛からなる層である、エレクトロルミネッセンス素子の製造方法であって、前記第1および第2の半導体層はスパッタリング法により形成し、スパッタリングに使用するターゲットは、硫化亜鉛を母体材料として、硫化亜鉛に0.00001重量%〜1重量%の範囲内のイリジウムを添加することを特徴とするエレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
(5)前記スパッタリングに使用するターゲットを、硫化亜鉛およびイリジウム化合物の混合物を15GPa以上で衝撃圧縮して形成した材料により製造することを特徴とする(4)に記載のエレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
(6)(1)〜(3)のいずれか1項に記載のエレクトロルミネッセンス素子と、該エレクトロルミネッセンス素子から放出される光を吸収し、吸収した光の波長とは異なる波長の光を放出する色変換部材を含む発光装置。
(7)(6)に記載の発光装置を用いた照明装置。
(5)前記スパッタリングに使用するターゲットを、硫化亜鉛およびイリジウム化合物の混合物を15GPa以上で衝撃圧縮して形成した材料により製造することを特徴とする(4)に記載のエレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
(6)(1)〜(3)のいずれか1項に記載のエレクトロルミネッセンス素子と、該エレクトロルミネッセンス素子から放出される光を吸収し、吸収した光の波長とは異なる波長の光を放出する色変換部材を含む発光装置。
(7)(6)に記載の発光装置を用いた照明装置。
本発明のエレクトロルミネッセンス素子は低電圧駆動が可能であり、従って、これを用いた発光装置および該発光装置を用いた照明装置の消費電力を低減することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
本願発明のエレクトロルミネッセンス素子は、硫化亜鉛の母体材料中に不純物としてイリジウムを含有する半導体層で、セレン化硫化亜鉛発光層を挟んだ積層構造を有する。このような構成を採用することにより、有害な砒素を添加しなくても低電圧で発光させることが可能となる。
本願発明のエレクトロルミネッセンス素子は、硫化亜鉛の母体材料中に不純物としてイリジウムを含有する半導体層で、セレン化硫化亜鉛発光層を挟んだ積層構造を有する。このような構成を採用することにより、有害な砒素を添加しなくても低電圧で発光させることが可能となる。
図1は、本発明のエレクトロルミネッセンス素子の概略構成図である。図1では、基板(1)上に、発光層からの発光波長に対して透光性の透明電極(2)、第1の半導体層(3)、発光層(4)、第2の半導体層(5)、対向電極(6)をこの順で積層している。これとは逆に、基板(1)上に、対向電極(6)、第2の半導体層(5)、発光層(4)、第1の半導体層(3)、透明電極(2)をこの順で積層してもよい。透明電極(2)と対向電極(4)とは、電源を介して電気的に接続されている。また、透明電極(2)と第1の半導体層(3)の間に、正孔注入障壁を低減するための正孔注入層をさらに積層してもよく、第2の半導体層(5)と対向電極(6)の間に、電子注入障壁を低減するための電子注入層をさらに積層してもよい。このような正孔注入層を形成する材料としては、例えばマグネシウムをドープした窒化ガリウム、マグネシウムをドープした窒化アルミニウム、窒素をドープした硫化亜鉛、ホウ素をドープしたシリコン、酸化ケイ素等の無機化合物、トリフェニルアミン、ポリビニルカルバゾール、ポリチオフェン等の有機化合物を用いることができ、電子注入層を形成する材料としてはシリコンをドープした窒化ガリウム、ガリウムをドープした硫化亜鉛、砒素をドープしたシリコン、フッ化ナトリウム等の無機化合物、アルミニウムトリキノリノラート、トリアリールボラン等の有機化合物を用いることができる。
基板(1)は、その上に形成する各層を支持でき、上記発光層から放出される光の波長に対して透明な絶縁性基板が好適に用いられる。具体的には、ソーダライムガラス、無アルカリガラス、石英のほか、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミド、ポリアミド等の透明プラスチックが用いられる。また、基板(1)側から光を取り出さない構成の場合は、基板(1)は透明である必要がなく、不透明な金属やセラミックス基板を用いることができる。
透明電極(2)の材料は、上記発光層から放出される光の波長に対して透過性を有するものであればよく、表面抵抗が1〜50Ω/□(オーム/スクエアー)であることが好ましい。このような材料としては、例えばITO(酸化インジウム錫)、酸化錫、酸化亜鉛等の金属酸化物、金、銀、アルミニウム等の金属の薄膜、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン等の導電性高分子を例示することができる。透明電極(2)の膜厚は、50〜300nmであることが好ましい。
ITOはその透明性を向上させ、あるいは抵抗率を低下させる目的で、スパッタリング法、電子ビーム蒸着法、イオンプレーティング法等の方法で成膜できる。また、成膜後に、抵抗率制御の目的で、プラズマ処理などの表面処理を施してもよい。
対向電極(6)の材料は、透明であっても不透明であってもよく、ITO、酸化錫、酸化亜鉛等の金属酸化物、金、銀、銅、白金、ニッケル、クロム等の遷移金属、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属、銀とマグネシウムの合金、リチウムとアルミニウムの合金、カルシウムとアルミニウムの合金、アルミニウムのほか、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン等の導電性高分子を用いることができる。
対向電極(6)の成膜方法としては、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などが用いられ、膜厚は50〜500nmであることが好ましい。
本発明における第1および第2の半導体層は母体材料と不純物元素とからなり、前記母体材料は硫化亜鉛であり、前記不純物元素はイリジウムであることを特徴とする。前記硫化亜鉛母体材料中に含まれるイリジウムの濃度は、0.00001重量%〜1重量%の範囲であることが好ましい。イリジウムの濃度が0.00001重量%より低いと、半導体層の導電性が低下するためエレクトロルミネッセンス素子の駆動電圧が高くなり、イリジウムの濃度が1重量%よりも高いと、イリジウムを母体材料中に均一分散させることが難しくなり、イリジウムが析出する可能性がある。イリジウムの濃度のより好ましい範囲は0.00001重量%〜0.001重量%である。
前記第1および第2の半導体層を形成する材料は、固相反応、すなわち硫化亜鉛およびイリジウム化合物を秤量し、乳鉢で混合、電気炉で加熱して焼成することにより得るのが好ましい。前駆体として用いる硫化亜鉛は六方晶であっても立方晶であってもよく、またこれらの双晶であってもよい。前記イリジウム化合物としては、ハロゲン化物や硫化物等を用いることができるが、ハロゲンの不純物混入を最小限にするために硫化物を用いることが好ましい。焼成温度は700℃〜1500℃が好ましい。温度が低すぎる場合は固相反応が進まず、温度が高すぎる場合は母体材料が分解してしまう。なお、焼成は粉末状態で行ってもよく、ペレット状態で行ってもよい。
また、上記の硫化亜鉛およびイリジウム化合物の混合物を焼成する代わりに、該混合物に衝撃波を印加して衝撃圧縮して形成するのか好ましい。衝撃圧縮の詳細な手順については、例えば特許文献1や2に記載されているが、印加する衝撃波の圧力は、硫化亜鉛の弾性限界以上である15GPa以上とすることが好ましい。衝撃圧縮した上記混合物は、さらに700℃〜1500℃で2〜8時間程度焼成することが好ましい。
第1および第2の半導体層は、上記の方法で得られる硫化亜鉛およびイリジウムからなる材料を、前記透明電極(2)または対向電極(6)の上に成膜することによって形成される。成膜方法としては抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法など公知の方法を用いることができる。また上記材料をポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド等の有機高分子材料および溶剤と混合し、塗布により半導体層の成膜を行ってもよい。塗布による成膜法としてはインクジェット法、スピンコート法、ディップコート法、印刷法などが挙げられる。半導体層の膜厚は10nm〜2000nmであることが好ましく、50nm〜500nmであることがより好ましい。
本願発明では第1および第2の半導体層の成膜方法として、スパッタリング法を用いるのが好ましい。スパッタリング法を採用することにより、低い基板温度で均質な膜を大面積で形成することが可能となり、衝撃圧縮で形成した硫化亜鉛を、その結晶構造を変えることなく薄膜化することが可能となる。この場合、硫化亜鉛、および、硫化亜鉛中に0.00001重量%〜1重量%の範囲内のイリジウムを含むターゲットを用いてスパッタリング法により成膜を行うのが好ましい。
本発明における発光層としては、セレン化硫化亜鉛が用いられる。硫化亜鉛はバンドギャップが広いので、イリジウムを含む半導体層を用いて硫化亜鉛の発光層を発光させることは難しい。セレン化亜鉛は硫化亜鉛と比べてバンドギャップが狭く、セレン化硫化亜鉛のバンドギャップは硫化亜鉛とセレン化亜鉛の中間となるので、イリジウムを含む半導体層を用いて発光させることができる。セレン化硫化亜鉛発光層におけるセレン化亜鉛および硫化亜鉛の組成比をそれぞれxおよび(1−x)とすると、xは0.1以上1以下であることが好ましく、0.3以上0.8以下であることがより好ましい。また、発光層には、発光強度を増大させる目的で、さらにアルミニウム、インジウム、ガリウム、塩素、臭素、ヨウ素などの不純物が含まれていてもよい。
発光層(6)の成膜方法としては、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法など公知の方法が用いられ、膜厚は10〜500nmであることが好ましい。
本発明のエレクトロルミネッセンス素子は、大気中の酸素や水分等による劣化を防止するため、ガラスや金属板、プラスチック板などの封止材で封止されていることが好ましい。封止材は少なくとも全ての発光領域を覆うように、エポキシ等の接着剤を用いて基板に接着するか、基板に融着する。また、封止板で封止する代わりに、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化窒化ケイ素、酸化アルミニウム、ポリ(パラキシリレン)などの封止膜で封止してもよい。このような封止膜は、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法、化学気相蒸着法(CVD)などの方法で形成することができる。
本発明のエレクトロルミネッセンス素子は、高電界により加速された電子を必要とすることなく、発光層からの発光を得ることができる。つまりエレクトロルミネッセンス素子に高電圧を印加する必要がなくなるため、低駆動電圧で動作可能なエレクトロルミネッセンス素子を得ることができる。また、低駆動電圧で発光可能なため、消費電力も低減されたエレクトロルミネッセンス素子を得ることができる。
本発明のエレクトロルミネッセンス素子は、色変換部材と組み合わせた発光装置として用いることもできる。色変換部材は、エレクトロルミネッセンス素子から放出される光の少なくとも一部を吸収し、吸収した光の波長とは異なる波長の光を放出する機能を有するものである。このような色変換部材としては、例えばクマリン色素やローダミン色素などの有機蛍光体、Sr(PO4)3Cl:Eu2+、ZnS:Ag,Cl、CaMgSi2O6:Eu、CaWO4:Pb、Y2SiO5:Eu、Sr4Al14O25:Eu,Dy、BaMgAl10O17:Eu,Mn、Zn2SiO4:Mn、(Zn,A)2SiO4:Mn(Aはアルカリ土類金属である)、ReBO3:Tb(ReはSc、Y、La、Ce、およびGdよりなる群から選択される少なくとも1つの希土類元素である)、(Y,Gd)BO3:Tb、La2O2S:Eu3+酸硫化物蛍光体、Y2O2S:Eu3+、Li(Eu,Sm)W2O8、MgSiO3:Mn2+、Y3Al5O12:Ce3+などの無機蛍光体を、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂などの高分子バインダー中に分散したものが用いられる。
本発明のエレクトロルミネッセンス素子および発光装置は、照明装置として用いることができる。この照明装置は面発光の照明装置であり大面積化も可能であるため、屋内照明や液晶ディスプレイ用バックライトとして用いることができる。
以下、本発明の詳細について実施例を用いて説明する。
硫化亜鉛はアルドリッチ社製(純度99.99%、粒径10μm)を用いた。硫化イリジウムは、特開2009−7200号公報に記載の方法に従って合成した。すなわち、ヘキサクロロイリジウム(IV)酸アンモニウム200mgと硫黄400mg(イリジウムに対して元素比で28倍)を混合し、アルミナルツボに入れ、窒素雰囲気下、400℃で1時間焼成して合成した。
硫化亜鉛はアルドリッチ社製(純度99.99%、粒径10μm)を用いた。硫化イリジウムは、特開2009−7200号公報に記載の方法に従って合成した。すなわち、ヘキサクロロイリジウム(IV)酸アンモニウム200mgと硫黄400mg(イリジウムに対して元素比で28倍)を混合し、アルミナルツボに入れ、窒素雰囲気下、400℃で1時間焼成して合成した。
硫化亜鉛10g、硫化イリジウム0.001gを乳鉢で混合した後、ヘキサン50mlを加え、超音波(20kHz、300W)を3時間照射した。得られた混合物を窒素気流中で50℃に加温してヘキサンを揮発させ、硫化物を乾燥した。この混合物を、鋼(SS−41)製の試料容器(内径20mm×高さ10mm)中に充填し、衝撃銃を用いて20GPaの圧力が加わるように衝撃圧縮した。試料容器内の粉体をアルミナボートの上に移し、電気炉中、800℃で3時間加熱した。生成物を2−プロパノールで洗浄後、真空中で100℃に加熱して乾燥した。
得られた化合物をプレス機でペレット状にし、さらにこれを圧縮成型してターゲットとし、このターゲットを用いてスパッタリング装置により、ITO付きガラス基板(15mm×15mm、ニッポ電機(株)製)上に成膜することで第1の半導体層を形成した。第1の半導体層の膜厚は100nmであった。次に第1の半導体層の上に、電子ビーム蒸着法によってセレン化硫化亜鉛層(膜厚20nm)を形成し、さらにその上に、第1の半導体層と同様にして、スパッタリングにより第2の半導体層(膜厚100nm)を形成した。続いて第2の半導体層の上に、膜厚150nmのアルミニウム対向電極を、スパッタリング装置を用いて成膜することでエレクトロルミネッセンス素子を作製した。
Y3Al5O12:Ce3+蛍光体1gとシリコーン樹脂(信越化学社製、品番:KJR−9032)10gを混合し、上記エレクトロルミネッセンス素子のガラス基板上の発光層と反対側の面に、約1mm厚の色変換層を形成した。このように作製した発光装置の電極にリード線を取り付け、プログラマブル直流電圧/電流源(TR6143、(株)アドバンテスト社製)を用いて電圧を印加して発光させ、分光放射輝度計(CS−1000T、コニカミノルタ社製)を用いて輝度を測定した。8.5Vの電圧を印加した時の輝度は1000cd/m2であり、発光色は黄白色であった。
上記のように、本発明のエレクトロルミネッセンス素子は、低駆動電圧であっても高輝度が得られた。
上記のように、本発明のエレクトロルミネッセンス素子は、低駆動電圧であっても高輝度が得られた。
本発明のエレクトロルミネッセンス素子は、具体的には、ディスプレイ、バックライト、電子写真、照明光源、記録光源、露光光源、読み取り光源、標識、看板、インテリア、光通信などに好適に用いられる。
1: 基板
2: 透明電極
3: 第1の半導体層
4: 発光層
5: 第2の半導体層
6: 対向電極
2: 透明電極
3: 第1の半導体層
4: 発光層
5: 第2の半導体層
6: 対向電極
Claims (7)
- 一対の電極間に第1の半導体層、発光層、第2の半導体層が挟持されてなり、前記第1および第2の半導体層が硫化亜鉛を母体材料とし、不純物としてイリジウムを含む層であり、前記発光層がセレン化硫化亜鉛からなる層である、エレクトロルミネッセンス素子。
- 前記第1および第2の半導体層中に含まれるイリジウムの濃度が、0.00001重量%〜1重量%の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載のエレクトロルミネッセンス素子。
- 前記一対の電極の少なくとも一方が、発光層の発光波長に対して透光性であることを特徴とする請求項1または2に記載のエレクトロルミネッセンス素子。
- 一対の電極間に第1の半導体層、発光層、第2の半導体層が挟持されてなり、前記第1および第2の半導体層が硫化亜鉛を母体材料とし、不純物としてイリジウムを含む層であり、前記発光層がセレン化硫化亜鉛からなる層である、エレクトロルミネッセンス素子の製造方法であって、前記第1および第2の半導体層はスパッタリング法により形成し、スパッタリングに使用するターゲットは、硫化亜鉛を母体材料として、硫化亜鉛に0.00001重量%〜1重量%の範囲内のイリジウムを添加することを特徴とするエレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
- 前記スパッタリングに使用するターゲットを、硫化亜鉛およびイリジウム化合物の混合物を15GPa以上で衝撃圧縮して形成した材料により製造することを特徴とする請求項4に記載のエレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載のエレクトロルミネッセンス素子と、該エレクトロルミネッセンス素子から放出される光を吸収し、吸収した光の波長とは異なる波長の光を放出する色変換部材を含む発光装置。
- 請求項6に記載の発光装置を用いた照明装置。
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