JP2010163140A - タイヤ対 - Google Patents

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Abstract

【課題】 前後輪に互いにタイヤサイズが異なる空気入りラジアルタイヤを配置したタイヤ対における操縦安定性と耐偏摩耗性とを両立させるようにしたタイヤ対、特にネガティブキャンバー角の付与された車両に対して好適なタイヤ対を提供する。
【解決手段】 車両に対する装着方向が指定され、かつタイヤサイズが前輪タイヤと後輪タイヤとで互いに異なるタイヤ対において、これらタイヤの車両外側と車両内側とでビードフィラー7A、7Bの剛性を異ならせ、ビードフィラー7A、7Bの断面積とゴム硬さとの積で表される剛性指数を、車両外側のビードフィラー7Aにおいて車両内側のビードフィラー7Bよりも大きくした。
【選択図】 図1

Description

本発明はタイヤ対に関し、さらに詳しくは、高性能用として前後輪でタイヤサイズが異なるようにセットされたタイヤにおける操縦安定性能と耐偏摩耗性能とを両立させたタイヤ対に関する。
従来、車両の高性能化を受けて、空気入りラジアルタイヤには、旋回性能やトラクション性能を含めた高いレベルでの操縦安定性が強く望まれてきた。この要請に応えるために、前後輪でタイヤサイズを異ならせ、前輪に装着するタイヤ幅を狭幅にして、後輪に装着するタイヤ幅を広幅にすることにより、前輪タイヤにおける優れたハンドル応答性を確保しながら、後輪タイヤにおける優れた路面グリップ力を確保して、操縦安定性の向上を図る試みがなされてきた。
ところが、このような対策だけでは、操縦安定性を向上させるには限界があるため、前輪と後輪とにそれぞれ仕様(構造や材料など)の異なるタイヤを装着して、操縦安定性のさらなる向上を図る試みがなされてきた(例えば、特許文献1参照)。特許文献1では、前輪タイヤと後輪タイヤとでそれぞれベルトエッジカバー層の幅を異ならせ、前輪タイヤ側のベルトの中央域の周方向剛性を大きくすることによって、操縦安定性のさらなる向上を図ることを提案している。
しかしながら、車両の高速安定性の追及に伴い、車両にネガティブキャンバーが付され、特に後輪に大きなキャンバー角が付与された車両になると、後輪タイヤの車両内側の接地圧が高くなり過ぎてタイヤの接地面積が充分に確保できず、良好な旋回性能やトラクション性能を確保することが難しくなると同時に、接地面圧の局部的な上昇により車両内側に偏摩耗が生じ易くなるいう新たな問題が生ずるに至った。
特開平5−4505号公報
本発明の目的は、上述する従来の問題点を解消するもので、前後輪に互いにタイヤサイズが異なる空気入りラジアルタイヤを配置したタイヤ対における操縦安定性と耐偏摩耗性とを両立させるようにしたタイヤ対、特にネガティブキャンバー角の付与された車両に対して好適なタイヤ対を提供するものである。
上記目的を達成するための本発明のタイヤ対は、車両に対する装着方向が指定され、かつタイヤサイズが互いに異なる前輪タイヤと後輪タイヤとからなり、それぞれが左右一対のビードコアの外周側にビードフィラーを配置した空気入りラジアルタイヤからなるタイヤ対であって、前記前輪タイヤ及び後輪タイヤにおけるビードフィラーの断面積Sとゴム硬さHとの積で表される剛性指数Gを、それぞれ車両外側のビードフィラーにおいて車両内側のビードフィラーよりも大きくしたことを特徴にするものである。
また、上述する構成において、以下(1)〜(3)に記載するように構成することが好ましい。
(1)前記前輪タイヤ及び後輪タイヤにおける車両外側のビードフィラーの剛性指数Gout と車両内側のビードフィラーの剛性指数Ginとの比C=Gout /Ginを1.05〜2.05にする。この場合において、前記前輪タイヤにおける車両外側のビードフィラーの剛性指数Gout と車両内側のビードフィラーの剛性指数Ginとの比Cf と、前記後輪タイヤにおける車両外側のビードフィラーの剛性指数Gout と車両内側のビードフィラーの剛性指数Ginとの比Cr との比R=Cf /Cr を0.7〜1.5にするとよい。
(2)前記後輪タイヤの断面幅を前記前輪タイヤの断面幅よりも広くする。
(3)前記前輪タイヤ及び後輪タイヤの扁平比をそれぞれ50%以下にすると共に、前記ビードフィラーの断面積Sを0.82〜2.01cm2 、JIS Aタイプのゴム硬さを76〜96にする。
本発明のタイヤ対によれば、車両に対する装着方向が指定され、かつタイヤサイズが前輪タイヤと後輪タイヤとで互いに異なるタイヤ対において、これらタイヤの車両外側と車両内側とでビードフィラーの剛性を異ならせ、ビードフィラーの断面積とゴム硬さとの積で表される剛性指数を、車両外側のビードフィラーにおいて車両内側のビードフィラーよりも大きくしたので、前輪タイヤでは車両外側におけるサイド剛性の高まりにより旋回走行時のコーナリングフォースが確保されて、操縦安定性を向上させることができると共に、後輪タイヤでは車両内側におけるサイド剛性の低下によりタイヤの接地面積が確保されて、旋回性能やトラクション性能を低下させることがなくなると同時に、接地面圧の局部的な上昇が抑制されるために、耐偏摩耗性を向上させることができる。
本発明の実施形態によるタイヤ対における空気入りラジアルタイヤの一例を示す断面図である。
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明の実施形態によるタイヤ対における空気入りラジアルタイヤの一例を示す断面図である。図1において、空気入りラジアルタイヤ1は左右一対のビード部2A、2Bと、これらビード部2A、2Bからそれぞれ半径方向外側に延びるサイドウォール部3A、3Bと、これらサイドウォール部3A、3Bの半径方向外側同士を連ねる円筒状のトレッド部4とを備えている。
左右一対のビード部2A、2B間にはカーカス層5が装架され、その両端部がそれぞれビード部2A、2Bに埋設されたビードコア6A、6Bの周囲にビードフィラー7A、7Bを包み込んでタイヤ内側から外側に向かって折り返されている。トレッド部4のカーカス層5の外周側にはベルト層8及びベルトカバー層9が配設されている。
本発明のタイヤ対では、車両に対する装着方向が指定され、かつ良好な操縦安定性を確保する観点から、タイヤサイズを前輪タイヤと後輪タイヤとで互いに異ならせている。そして、前輪タイヤ及び後輪タイヤにおけるビードフィラー7A、7Bの断面積Sとゴム硬さHとの積で表される剛性指数Gを、それぞれ車両外側のビードフィラー7Aにおいて車両内側のビードフィラー7Bよりも大きくしている。
これにより、前輪タイヤでは車両外側におけるサイド剛性の高まりにより旋回走行時のコーナリングフォースが確保されて、操縦安定性を向上させることができると共に、後輪タイヤでは車両内側におけるサイド剛性の低下によりタイヤの接地面積が確保されて、旋回性能やトラクション性能を低下させることがなくなると同時に、接地面圧の局部的な上昇が抑制されるために、耐偏摩耗性を向上させることができる。
本発明において、前輪タイヤ及び後輪タイヤにおける車両外側のビードフィラー7Aの剛性指数Gout と車両内側のビードフィラー7Bの剛性指数Ginとの比C=Gout /Ginが1.05〜2.05、好ましくは1.05〜1.40となるように調整するとよい。
これにより、操縦安定性と耐偏摩耗性とを高いレベルで両立させることができる。ここで、上述する比Cが1.05未満では操縦安定性及び耐偏摩耗性の向上効果が不足することになり、2.05超になると操縦安定性が低下することになる。
さらに好ましくは、前輪タイヤにおける車両外側のビードフィラー7Aの剛性指数Gout と車両内側のビードフィラー7Bの剛性指数Ginとの比Cf と、後輪タイヤにおける車両外側のビードフィラー7Aの剛性指数Gout と車両内側のビードフィラー7Bの剛性指数Ginとの比Cr との比R=Cf /Cr が0.7〜1.5、好ましくは1.0〜1.5となるように調整するとよい。
これにより、操縦安定性と耐偏摩耗性とを一層高いレベルで両立させることができる。上述する比Rが上記の範囲を逸脱すると操縦安定性が低下することになる。ここで、最も好ましくは、上述するCf がCr よりも大きくなる(Cf >Cr )ように設定するとよい。これにより、高速走行時におけるハンドル応答性がさらに高まり、高速走行時における操縦安定性を一層向上させることができる。
本発明のタイヤ対では、前輪タイヤのタイヤサイズと後輪タイヤのタイヤサイズとを互いに異ならせることにより、操縦安定性と耐偏摩耗性とのバランスを調整させるようにしているが、好ましくは、後輪タイヤの断面幅を前輪タイヤの断面幅よりも広く設定することが好ましい。
上述するように、本発明のタイヤ対は、前輪タイヤと後輪タイヤとのタイヤサイズを互いに異ならせたうえで、前輪タイヤ及び後輪タイヤにおけるビードフィラーの断面積とゴム硬さとの積で表される剛性指数を、それぞれ車両外側のビードフィラーにおいて車両内側のビードフィラーよりも大きくすることにより操縦安定性と耐偏摩耗性とを両立させるようにしたもので、特にネガティブキャンバー角の付与された車両におけるタイヤ対として、しかも車両外側のサイド剛性と車両内側のサイド剛性とが操縦安定性及び耐偏摩耗性に対して大きな影響を及ぼす扁平比を50%以下にする空気入りラジアルタイヤのタイヤ対に対して好ましく適用することができる。
さらに、ビードフィラーの断面積を0.82〜2.01cm2 、好ましくは1.38〜2.01cm2 、JIS Aタイプのゴム硬さを76〜96、好ましくは93〜96とする空気入りラジアルタイヤのタイヤ対に対して好ましく適用することができる。
前輪タイヤのタイヤサイズを225/50R18、後輪タイヤのタイヤサイズを245/45R18にすると共に、タイヤ構造を図1として、左右のビードフィラーの断面積とゴム硬さとを表1のように異ならせて空気入りラジアルを作製し、これら空気入りラジアルにそれぞれ内圧240kPaを充填したうえで、表1のように組み合わせて車両(国産スポーツカー、キャンバー角:前輪−1.40°、後輪−2.50°)の前後輪に装着して、従来タイヤ対(従来例)及び本発明タイヤ対(実施例1、2)とした。
なお、各タイヤ対を構成するそれぞれの空気入りラジアルは、左右のビードフィラーを構成するゴムを除く全てのタイヤ構成部材料を同等にした。
これら3種類のタイヤ対に対して、以下に記載する試験方法により操縦安定性及び耐摩耗性を評価し、この結果を従来例を100とする指数により表1に併記した。数値が大きいほど優れていることを示している。
〔操縦安定性の評価〕
アスファルト路面からなるテストコースを平均速度80km/hにて6,000km走行させ、熟練されたテストドライバーによる官能評価を行った。
〔耐偏摩耗性の評価〕
走行後のタイヤについて、後輪タイヤのトレッド面における摩耗量を車両外側と車両内側とでそれぞれ計測して、その摩耗量の差を以って耐偏摩耗性の評価とした。
Figure 2010163140
表1の結果より、本発明タイヤ対は、従来タイヤ対に比して操縦安定性と耐摩耗性とがバランスよく向上していることがわかる。
1 空気入りラジアルタイヤ
6A、6B ビードコア
7A、7B ビードフィラー

Claims (5)

  1. 車両に対する装着方向が指定され、かつタイヤサイズが互いに異なる前輪タイヤと後輪タイヤとからなり、それぞれが左右一対のビードコアの外周側にビードフィラーを配置した空気入りラジアルタイヤからなるタイヤ対であって、
    前記前輪タイヤ及び後輪タイヤにおけるビードフィラーの断面積Sとゴム硬さHとの積で表される剛性指数Gを、それぞれ車両外側のビードフィラーにおいて車両内側のビードフィラーよりも大きくしたタイヤ対。
  2. 前記前輪タイヤ及び後輪タイヤにおける車両外側のビードフィラーの剛性指数Gout と車両内側のビードフィラーの剛性指数Ginとの比C=Gout /Ginを1.05〜2.05にした請求項1に記載のタイヤ対。
  3. 前記前輪タイヤにおける車両外側のビードフィラーの剛性指数Gout と車両内側のビードフィラーの剛性指数Ginとの比Cf と、前記後輪タイヤにおける車両外側のビードフィラーの剛性指数Gout と車両内側のビードフィラーの剛性指数Ginとの比Cr との比R=Cf /Cr を0.7〜1.5にした請求項2に記載のタイヤ対。
  4. 前記後輪タイヤの断面幅を前記前輪タイヤの断面幅よりも広くした請求項1〜3のいずれか1項に記載のタイヤ対。
  5. 前記前輪タイヤ及び後輪タイヤの扁平比がそれぞれ50%以下であり、前記ビードフィラーの断面積Sが0.82〜2.01cm2 で、JIS Aタイプのゴム硬さが76〜96である請求項1〜4のいずれか1項に記載のタイヤ対。
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