JP2010157696A - 電波吸収体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも1層の抵抗膜層2、スペーサー層3、電気的損失材料を含有する層4及び反射層5を積層してなる電波吸収体であって、該電気的損失材料を含有する層の厚さが、電波吸収体の全体の厚さdに対し、d/8以上の電波吸収体である。
【選択図】図1
Description
スペーサーを介して反射材から1/4波長の位置に抵抗膜を配したλ/4型電波吸収体は、そのシンプルな構造から、様々の材料で多くの検討がなされてきた。しかしながら、このような吸収体は、垂直に入射に対する吸収性能には優れるものの、斜めから入射する電波については吸収性能が低下してしまい、十分な吸収性能を得ることできないといった問題があった。
この問題を解消するため、特許文献1には、抵抗膜層の上に空気層を介して偏波特性調整用の第二の誘電体層を備えた電波吸収体が提案されている。このような吸収体は、斜入射性能に優れるものの、空気層さらには第二の誘電体層が必要となり、電波吸収体全体の厚さが厚くなるといった問題や、空気層の厚さを正確に合わせる必要があるため手間がかかるといった問題がある。
特許文献2には、第1の導電層と該導電層から間隔を置いて配置された反射層との間に少なくとも1層の導電層が配置されている電波吸収体が提案されている。このような吸収体は、炭素皮膜からなる導電層を複数枚積層した、言わばλ/4型吸収体の構成を重ねたようなものであり、垂直入射において吸収する電波の周波数帯域は広げることができるものの、上記λ/4型電波吸収体と同様に十分な斜入射性能を得ることができないといった問題がある。
抵抗膜層は、周波数500MHz〜18GHzにおける比誘電率が、実数部において50〜1000の範囲内であり、かつ、虚数部において30〜1500の範囲内の値を有するものが好ましい。さらに好ましくは、周波数800MHz〜1GHzにおける比誘電率の実数部が150〜700の範囲内であり、かつ、虚数部が150〜600の範囲内、および/または周波数2GHz〜6GHzにおける比誘電率の実数部が50〜300の範囲内であり、かつ、虚数部が30〜200の範囲内の値を有するものが好ましい。
この範囲を下回ると厚みが薄い場合には電波吸収に必要な電気的抵抗が得られず、入射する電波の殆どを透過してしまい電波吸収性能の機能を発現できなくなり、したがって、電波吸収体としての機能を発現させようとすると厚さを厚くする必要があり、加工性・取り扱い性が悪くなってしまう。また、この範囲を上回ると、電気的抵抗が必要以上に高くなり入射する電波の殆どを反射してしまい電波吸収体としての機能を発現できない。よって、上記範囲の誘電率を有する抵抗膜層とすることで、本発明の用途に適した厚みで電波吸収体としての機能を十分に発現でき、加工性・取り扱い性に優れたものとなる。
上記のような比誘電率を有する抵抗膜層は後述する材料・形態とすることにより得ることができる。
抵抗膜層の電気的抵抗は、抵抗膜層に導電性繊維を含有させることにより付与することができる。導電性繊維は、抵抗膜層の形態の例として後述する紙においても分散性に優れる。導電性繊維としては、炭素繊維、金属繊維、または合成繊維の表面を金属または金属酸化物薄膜で被覆した繊維や、合成繊維に硫化銅を化学結合させた繊維を使用することができる。また、炭素繊維や炭化ケイ素繊維を製造する際に焼成温度を制御することにより得られる半導体繊維でもよい。中でも、軽く、長期間の使用においても殆ど性能の変化もないことから炭素繊維が特に好ましい。また、炭素繊維はその比重が軽いため、金属繊維などの比重の重い繊維に比べ、抄紙工程において水中での繊維の分散性が良いことからも好ましく用いられる。また、導電性繊維は、1種を単独で用いても良いし、2種以上を併用してもよい。
天然繊維としては、木材から得られる木質パルプの他、バガス、ムギワラ、アシ、パピルス、タケ類等のイネ科植物、木綿、ケナフ、ローゼル、アサ、アマ(亜麻)、ラミー(苧麻)、ジュート、ヘンプ(大麻)、等の靭皮繊維、サイザルアサおよびマニラアサ等の葉脈繊維等を用いることができる。
上記の中でも、使用後の廃棄、或いは再生の容易性を向上させるためには木質パルプが好ましく使用され、用途によっては防炎性を向上させるためにガラス繊維や鉱物繊維が好ましく用いられる。また、ガラス繊維は剛直な繊維であるため、紙にした際、紙の強度を上げることができ、ガラス繊維の繊維長を導電性繊維と同等な繊維長にすることにより、抄紙する際、導電性繊維がランダムに分散しやすくなり、導電性繊維の方向性を回避することができ、安定した電波吸収性能を得ることができるため好ましい。
抵抗膜層には、水酸化アルミニウム等の無機結合材や、澱粉、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリエチレン、パラフィン、アクリル繊維等の有機結合材を添加してもよい。
次にスペーサー層について説明する。スペーサー層は電気的損失を持たない誘電体で構成されるシート状またはボード状のものである。
次に電気的損失を含有する層について説明する。電気的損失材料を含有する層は、層内の電気的損失材料により、入射する電波の電波エネルギーを微少な電流に変換し、さらに熱エネルギーに変換することで電波の減衰を行う。
電気的損失材料を含有する層は、周波数500MHz〜18GHzにおける層全体の比誘電率が、実数部において1〜50の範囲であり、かつ、虚数部において1〜30の範囲の値を有するものが好ましい。さらに好ましくは、実数部が1〜30範囲内であり、かつ、虚数部が1〜15の範囲内の値を有するものが好ましい。
比誘電率が、この範囲を下回ると十分な斜入射性能が得られず、また、この範囲を上回ると、層による反射が強くなってしまうため、本来の電波吸収体としての性能が得られなかったり、性能が変化したりと不具合が生じる。よって、上記の比誘電率の範囲にすることで、層内の多重反射による内部損失により電波を効率よく減衰させることができ、斜めから入射する電波についても高い吸収性能を発揮することができる。このような電気的損失材料を含有する層としては、以下に説明する材料・形態を用いることにより得ることができる。
電気的損失材料を含む層内に使用する電気的損失材料としては、例えばカーボンブラック粉、カーボンマイクロ粉の導電性粉体や、炭素繊維、金属繊維、金属メッキ繊維等の導電性繊維のような物である。
また、炭素繊維や炭化ケイ素繊維を製造する際に焼成温度を制御することにより得られる半導体繊維でもよい。
電気的損失材料を含有する層の形態としては、上記電気的損失材料を誘電体中に含んで構成されるシート状またはボード状のものであることが好ましい。例えば、上記抵抗膜層に使用する薄状のシートを後述する段ボール構造体とすることにより、得ることもできる。
電気的損失材料を含有する層を形成する誘電体としては上記スペーサー層と同様の樹脂やガラス、繊維、紙等を採用することが出来る。また、電気的損失材料を含有する層の材質あるいは構造も、上記スペーサー層と同様に、軽量性の点から、発泡スチロールや、空隙率の高いハニカム構造体、段ボール構造体、格子構造体であってもよい。
中でも、軽量かつ高強度であり、生産性が高く、取り扱い性が容易な段ボール構造体が好ましい。段ボール構造体を得る方法としては、コルゲータなど、通常の段ボールと同様の製造方法を利用することができる。
段ボール構造体の1段当たりの厚さとしては、1〜5mmが好ましい。1mm以上とすることで軽量かつ高強度な段ボール構造の効果を得ることができ、また5mm以下とすることで内部が空虚な構造となりすぎて強度が低下するのを防ぐことができ、また複数枚を積層しても嵩張るのを防ぐことができる。
段ボールの構造としては、片面段ボール、両面段ボール、複両面段ボール、トリプルウォール等から選択することができる。
また、電気的損失材料を含有する層は、難燃材料からなるものであるか、または、難燃加工されたものであることも好ましい。難燃性を有することで、ビルや住宅、病院等の難燃性を必要とする場所でも使用出来る。
本発明の電波吸収体が対象とする電波の周波数はおおむね500MHz〜18GHzであるが、上記電波吸収体全体の厚さは、吸収したい周波数のλ/4以下であることが好ましく、より好ましくは、λ/6〜λ/20であることが好ましい。λ/6以下とすることで取り扱い性に優れたものとすることができ、λ/20以上とすることで製造性に優れたものとすることができる。これは、抵抗膜層として上述した導電性繊維を含有する紙を用いることで、容量性のセサプタンスを有する抵抗膜となり、従来の酸化インジウム錫(ITO)蒸着フィルムを抵抗膜として用いた電波吸収体よりも薄型の吸収体にすることができる。
本発明の電波吸収体において各層を接合する方法としては、各層が電気的損失を持たない材料で接合もしくは固定されていれば特に制限はなく、例えば、層間に接着剤を用いた接合や、積層体の周囲に枠材等を装着し固定してもよい。接着剤を使用する場合は、酢酸ビニル系接着剤、アクリル系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリビニルアルコール系接着剤、エポキシ系接着剤、ゴム系接着剤などを用いることができる。
本発明の電波吸収体は、垂直入射で最大の吸収性能を示す周波数において、電波の入射角度(垂直〜45度)による吸収性能の差が小さいことが好ましい。例えば、垂直入射で電波性能が20dB以上の場合、入射角30度での電波吸収量がTM波・TE波共に15dB以上、また、入射角45°での電波吸収量がTM波・TE波共に10dB以上であることが好ましく、より好ましくは15dB以上であることが好ましい。このような電波吸収性能は、上述した抵抗膜層、スペーサーおよび電気的損失材料を含有する層、反射材層を採用し、抵抗膜層における導電性繊維の繊維長と混率及び、スペーサー層および電気的損失材料を含有する層の厚み、さらには電気的損失材料の含有量を調整することにより得ることができる。
ここで、TE波とは入射電波の電界が入射面に垂直な場合、TM波とは入射電波の磁界が入射面に垂直な場合と定義されている。
また、上記において垂直入射で最大の吸収量を示す周波数が、RFIDや無線LANの通信システムで使用される周波数帯域にあることが好ましい。例えば、RFIDでは、860MHz〜960MHz、2.45GHzであり、無線LANでは、2.4GHz〜2.5GHz、4.9GHz〜5.35GHzであることが好ましい。
(1)電波吸収性能
ブランクとして、縦60cm×横60cm×厚さ5mmのアルミニウム板に、3m離れたアンテナから、500MHz〜18GHzの電波を0.05GHz刻みで、入射角度7度で入射した。そのときの反射レベルを、アジレントテクノロジー社製のネットワークアナライザを用いて測定した。
また、縦60cm×横60cmの電波吸収体の試料を前記アルミニウム板の上に重ねて置いて、電波の入射に対する反射レベルをブランクと同様にして測定した。
両者の反射レベルから次式により垂直入射における電波吸収体の電波吸収量を求めた。
電波吸収量(dB)=電波吸収体の反射レベル(dB)−アルミニウム板の反射レベル(dB)
(2)斜入射に対する電波吸収性能
入射角度を30度、45度とした以外は上記(1)と同様にして、垂直入射で最大の吸収性能を示した周波数において、TE波・TM波のそれぞれについて電波吸収量を求めた。
(3)比誘電率
縦60cm×横60cm×厚さ5mmのアルミニウム板の前面に、発泡スチロール製スペーサーを介してサンプル(抵抗膜層または電気的損失材料を含有する層)を配置し、3m離れたアンテナから、抵抗膜層の場合は、800MHz〜1GHzと2GHz〜6GHz、電気的損失材料を有する層の場合は、500MHz〜18GHzの電波を入射し、アジレントテクノロジー社製のネットワークアナライザを用いて、入力インピーダンスを測定した。その後、サンプルを取り除き、上記と同様にスペーサー単独での入力インピーダンスを測定し、サンプルがある場合とない場合との入力インピーダンスの差から、逆算によりサンプルの比誘電率を求めた。なお、上記発泡スチロール製スペーサーの厚みは、周波数500MHz〜1GHzの範囲では75mm、1GHz〜10GHzの範囲では10mm、10GHz〜18GHzの範囲では4mmの厚みの物を使用した。
[実施例1]
(抵抗膜層)
平均繊維長3mmの炭素繊維、平均繊維長4mmのチョップドガラス繊維、木質パルプ、平均繊維長3mmの芯鞘型熱融着ポリエステル短繊維(東レ株式会社製“サフメット”(登録商標))、水酸化アルミニウムを、それぞれ1質量%、19質量%、7質量%、3質量%、70質量%の割合で混合し、巻き取りスピード100m/分で湿式抄紙し、厚み0.13mm、米坪量100g/m2の抵抗膜層を得た。
得られた抵抗膜層の比誘電率は、800MHz〜1GHzにおいて、実数部が250〜350、虚数部が150〜250、2〜6GHzにおいて、実数部が140〜200、虚数部が100〜140であった。
厚さ10mm、密度0.01g/cm3の発泡スチロールをスペーサーとした。
平均繊維長6mmの炭素繊維、平均繊維長4mmのチョップドガラス繊維、木質パルプ、平均繊維長3mmの芯鞘型熱融着ポリエステル短繊維(東レ株式会社製“サフメット”(登録商標))、水酸化アルミニウムを、それぞれ0.4質量%、19.6質量%、7質量%、3質量%、70質量%の割合で混合し、巻き取りスピード100m/分で湿式抄紙し、厚み0.13mm、米坪量100g/m2の電気的損失材料を含むシートAを得た。
次に、平均繊維長4mmのチョップドガラス繊維、木質パルプ、平均繊維長3mmの芯鞘型熱融着ポリエステル短繊維(東レ株式会社製“サフメット”(登録商標))、水酸化アルミニウムを、それぞれ20質量%、7質量%、3質量%、70質量%の割合で混合し、巻き取りスピード150m/分で湿式抄紙し、厚み0.13mm、米坪量100g/m2のシートBを得た。
次に、コルゲータを用いて、上記シートAを段高さ2.5mmにコルゲート加工した。このコルゲート加工したシートAを中芯に、シートBをライナに使用し、デンプン系接着剤を段ボール1m2あたり2.5g用いて片面段ボールシートを作製した。
上記で得られた段ボールシートを2枚積層し、電気的損失材料を含有する層を得た。得られた電気的損失材料を含有する層の500MHz〜18GHzにおける比誘電率は、実数部が3〜10であり、虚数部が2〜4であった。
(反射材層)
厚さ7μmのアルミ箔を紙(目付33g/m2)に貼り合わせたアルミシートとした。
(株)サンゲツ社製 壁紙 品番SP−2301(厚み0.5mm)を保護層兼意匠層とした。
上記抵抗膜層、スペーサー、電気的損失材料を含有する層、反射材層及び保護層(兼意匠層)をそれぞれ60cm×60cmに裁断した。裁断した各材料を、層間を接着剤(コニシ(株)製 ボンドスプレーのり Z2)で接着させて、反射材層/電気的損失材料を含有する層/スペーサー層/抵抗膜層/保護層の順に積層し、電波吸収体を得た。
得られた電波吸収体の全体の厚さは15.4mm、電気的損失材料を含有する層の厚さみは5.26mmであり、電波吸収体の全体の厚さの約1/3の厚さであった。
この電波吸収体の垂直入射に対する電波吸収性能は、周波数2.45GHzにおいて最大の電波吸収量24dBを示した。また、同周波数における入射角度30度における電波吸収量は、TE波で20dB、TM波で21dBであり、入射角度45度における電波吸収量は、TE波で12dB、TM波で14dBであり、また、垂直入射での電波吸収量と、各入射角度における電波吸収量の差は、入射角度30度において、TE波で4dB、TM波で3dB、入射角度40度において、TE波で12dB、TM波で10dBであり、垂直入射及び斜入射の電波吸収性能に優れるものであった。
[実施例2]
実施例1に記載の同様の材料を用い、各材料を、層間を接着剤(コニシ(株)製 ボンドスプレーのり Z2)で接着させて、反射材層/電気的損失材料を含有する層/抵抗膜層/スペーサー/抵抗膜層/保護層の順に積層し、電波吸収体を得た。
得られた電波吸収体の全体の厚さは、15.53mm、電気的損失材料を含有する層の厚さみは5.26mmであり、電波吸収体の全体の厚さの約1/3の厚さであった。
この電波吸収体の垂直入射に対する電波吸収性能は、周波数2.45GHzにおいて最大の電波吸収量30dBを示した。また、同周波数における入射角度30度における電波吸収量は、TE波で25dB、TM波で23dBであり、入射角度45度における電波吸収量は、TE波で19dB、TM波で17dBであり、また、垂直入射での電波吸収量と、各入射角度における電波吸収量の差は、入射角度30度において、TE波で5dB、TM波で7dB、入射角度40度において、TE波で11dB、TM波で13dBであり、垂直入射及び斜入射の電波吸収性能に優れるものであった。
[実施例3]
(抵抗膜層)
平均繊維長3mmの炭素繊維、平均繊維長4mmのチョップドガラス繊維、木質パルプ、平均繊維長3mmの芯鞘型熱融着ポリエステル短繊維(東レ株式会社製“サフメット”(登録商標))、水酸化アルミニウムを、それぞれ1質量%、19質量%、7質量%、3質量%、70質量%の割合で混合し、巻き取りスピード100m/分で湿式抄紙し、厚み0.13mm、米坪量100g/m2の抵抗膜層Aを得た。
得られた抵抗膜層の比誘電率は、800MHz〜1GHzにおいて、実数部が250〜350、虚数部が150〜250、2〜6GHzにおいて、実数部が140〜200、虚数部が100〜140であった。
また、平均繊維長3mmの炭素繊維、平均繊維長4mmのチョップドガラス繊維、木質パルプ、平均繊維長3mmの芯鞘型熱融着ポリエステル短繊維(東レ株式会社製“サフメット”(登録商標))、水酸化アルミニウムを、それぞれ1.5質量%、18.5質量%、7質量%、3質量%、70質量%の割合で混合し、巻き取りスピード100m/分で湿式抄紙し、厚み0.13mm、米坪量100g/m2の抵抗膜層Bを得た。
得られた抵抗膜層の比誘電率は、800MHz〜1GHzにおいて、実数部が400〜560、虚数部が380〜430、2〜6GHzにおいて、実数部が170〜230、虚数部が120〜220であった。
(スペーサー層)
厚さ27mm、密度0.01g/cm3の発泡スチロールをスペーサーとした。
平均繊維長6mmの炭素繊維、平均繊維長4mmのチョップドガラス繊維、木質パルプ、平均繊維長3mmの芯鞘型熱融着ポリエステル短繊維(東レ株式会社製“サフメット”(登録商標))、水酸化アルミニウムを、それぞれ0.6質量%、19.4質量%、7質量%、3質量%、70質量%の割合で混合し、巻き取りスピード100m/分で湿式抄紙し、厚み0.13mm、米坪量100g/m2の電気的損失材料を含むシートCを得た。
次に、コルゲータを用いて、上記シートCを段高さ2.5mmにコルゲート加工した。このコルゲート加工したシートCを中芯に、実施例1で用いたシートBをライナに使用し、デンプン系接着剤を段ボール1m2あたり2.5g用いて片面段ボールシートを作製した。
上記で得られた段ボールシートを3枚積層し、電気的損失材料を含有する層を得た。
得られた電気的損失材料を含有する層の500MHz〜18GHzにおける比誘電率は、実数部が4〜8であり、虚数部が3〜5であった。
(反射材層)
実施例1と同様のものを用いた。
実施例1と同様のものを用いた。
上記抵抗膜層AおよびB、スペーサー層、電気的損失材料を含有する層、反射材層及び保護層(兼意匠層)をそれぞれ60cm×60cmに裁断した。裁断した各材料を、層間を接着剤(コニシ(株)製 ボンドスプレーのり Z2)で接着させて、反射材層/電気的損失材料を含有する層/抵抗膜層B/スペーサー層/[抵抗膜層A/抵抗膜層A](2枚重ね)/保護層の順に積層し、電波吸収体を得た。
得られた電波吸収体の全体の厚さは35.28mm、電気的損失材料を含有する層の厚さみは7.89mmであり、電波吸収体の全体の厚さの約1/4.5の厚さであった。
[実施例4]
(抵抗膜層)
実施例1と同様のものを用いた
(スペーサー層)
厚さ32mm、密度0.01g/cm3の発泡スチロールをスペーサーとした。
実施例3のシートCを段高さ4.5mmにコルゲート加工した。このコルゲート加工したシートBを中芯に、実施例1で用いたシートBをライナに使用し、デンプン系接着剤を段ボール1m2あたり2.5g用いて片面段ボールシートを作製した。
上記で得られた段ボールシート1枚を、電気的損失材料を含有する層とした。得られた電気的損失材料を含有する層の500MHz〜18GHzにおける比誘電率は、実数部が3.5〜6であり、虚数部が2〜3であった。
(反射材層)
実施例1と同様のものを用いた。
実施例1と同様のものを用いた。
上記抵抗膜層、スペーサー、電気的損失材料を含有する層、反射材層及び保護層(兼意匠層)をそれぞれ60cm×60cmに裁断した。裁断した各材料を、層間を接着剤(コニシ(株)製 ボンドスプレーのり Z2)で接着させて、反射材層/電気的損失材料を含有する層/スペーサー層/[抵抗膜層A/抵抗膜層A](2枚重ね)/保護層の順に積層し、電波吸収体を得た。
得られた電波吸収体の全体の厚さは36.9mm、電気的損失材料を含有する層の厚さみは4.63mmであり、電波吸収体の全体の厚さの約1/8の厚さであった。
この電波吸収体の垂直入射に対する電波吸収性能は、周波数950MHzにおいて最大の電波吸収量25dBを示した。また、同周波数における入射角度30度における電波吸収量は、TE波で22dB、TM波で15dBであり、入射角度45度における電波吸収量は、TE波で16dB、TM波で10dBであり、また、垂直入射での電波吸収量と、各入射角度における電波吸収量の差は、入射角度30度において、TE波で3dB、TM波で10dB、入射角度40度において、TE波で9dB、TM波で15dBであり、垂直入射及び斜入射の電波吸収性能を有するものであった。
[実施例5]
(抵抗膜層)
平均繊維長3mmの炭素繊維、平均繊維長4mmのチョップドガラス繊維、木質パルプ、平均繊維長3mmの芯鞘型熱融着ポリエステル短繊維(東レ株式会社製“サフメット”(登録商標))、水酸化アルミニウムを、それぞれ2質量%、18質量%、7質量%、3質量%、70質量%の割合で混合し、巻き取りスピード100m/分で湿式抄紙し、厚み0.13mm、米坪量100g/m2の抵抗膜層を得た。
得られた抵抗膜層の比誘電率は、800MHz〜1GHzにおいて、実数部が880〜1100、虚数部が750〜870、2〜6GHzにおいて、実数部が200〜400、虚数部が180〜310であった。
厚さ15mm、密度0.01g/cm3の発泡スチロールをスペーサーとした。
実施例3で用いた片面段ボールシート5枚を積層し、電気的損失材料を含有する層とした。
得られた電気的損失材料を含有する層の500MHz〜18GHzにおける比誘電率は、実数部が4〜8であり、虚数部が3〜5であった。
(反射材層)
実施例1と同様のものを用いた。
実施例1と同様のものを用いた。
上記抵抗膜層、スペーサー、電気的損失材料を含有する層、反射材層及び保護層(兼意匠層)をそれぞれ60cm×60cmに裁断した。裁断した各材料を、層間を接着剤(コニシ(株)製 ボンドスプレーのり Z2)で接着させて、反射材層/電気的損失材料を含有する層/スペーサー層/抵抗膜層/保護層の順に積層し、電波吸収体を得た。
得られた電波吸収体の全体の厚さは28.75mm、電気的損失材料を含有する層の厚さみは13.2mmであり、電波吸収体の全体の厚さの約1/2.2の厚さであった。
この電波吸収体の垂直入射に対する電波吸収性能は、周波数950MHzにおいて最大の電波吸収量14dBを示した。また、同周波数における入射角度30度における電波吸収量は、TE波で10dB、TM波で14dBであり、入射角度45度における電波吸収量は、TE波で8dB、TM波で16dBであり、また、垂直入射での電波吸収量と、各入射角度における電波吸収量の差は、入射角度30度において、TE波で4dB、TM波で0dB、入射角度40度において、TE波で6dB、TM波で−2dBであり、垂直入射における吸収性能は若干低いものの、斜入射の特にTM波において垂直入射での電波吸収量との差が小さく斜入射の電波吸収性能を有するものであった。
[比較例1]
(抵抗膜層)
実施例1と同様のものを用いた
(スペーサー層)
厚さ15mm、密度0.01g/cm3の発泡スチロールをスペーサーとした。
(反射材層)
実施例1と同様のものを用いた
(保護層・意匠層)
実施例1と同様のものを用いた
(電波吸収体)
上記抵抗膜層、スペーサー、反射材層及び保護層(兼意匠層)をそれぞれ60cm×60cmに裁断した。裁断した各材料を、層間を接着剤(コニシ(株)製 ボンドスプレーのり Z2)で接着させて、反射材層/スペーサー層/抵抗膜層/保護層の順に積層し、電波吸収体を得た。
得られた電波吸収体の垂直入射に対する電波吸収性能は、周波数2.45GHzにおいて最大の電波吸収量22dBを示した。また、同周波数における入射角度30度における電波吸収量は、TE波で19dB、TM波で10dBであり、入射角度45度における電波吸収量は、TE波で13dB、TM波で4dBであり、また、垂直入射での電波吸収量と、各入射角度における電波吸収量の差は、入射角度30度において、TE波で3dB、TM波で12dB、入射角度40度において、TE波で9dB、TM波で18dBであり、斜入射の特にTM波において垂直入射での電波吸収量との差が大きく電波吸収性能に劣るものであった。
[比較例2]
(抵抗膜層)
実施例3の抵抗膜層Aと同様の物を用いた
(スペーサー層)
厚さ35mm、密度0.01g/cm3の発泡スチロールをスペーサーとした。
(反射材層)
実施例1と同様のものを用いた。
(保護層・意匠層)
実施例1と同様のものを用いた。
(電波吸収体)
上記抵抗膜層A、スペーサー層、反射材層及び保護層(兼意匠層)をそれぞれ60cm×60cmに裁断した。裁断した各材料を、層間を接着剤(コニシ(株)製 ボンドスプレーのり Z2)で接着させて、反射材層/スペーサー層/[抵抗膜層A/抵抗膜層A](2枚重ね)/保護層の順に積層し、電波吸収体を得た。
この電波吸収体の垂直入射に対する電波吸収性能は、周波数950MHzにおいて最大の電波吸収量23dBを示した。また、同周波数における入射角度30度における電波吸収量は、TE波で17dB、TM波で12dBであり、入射角度45度における電波吸収量は、TE波で12dB、TM波で3dBであり、また、垂直入射での電波吸収量と、各入射角度における電波吸収量の差は、入射角度30度において、TE波で6dB、TM波で11dB、入射角度40度において、TE波で11dB、TM波で20dBであり、斜入射の特にTM波において垂直入射での電波吸収量との差が大きく電波吸収性能に劣るものであった。
[比較例3]
(抵抗膜層)
実施例1と同様のものを用いた。
厚さ32mm、密度0.01g/cm3の発泡スチロールをスペーサーとした。
(電気的損失材料を含有する層)
実施例3のシートCを段高さ2.5mmにコルゲート加工した。このコルゲート加工したシートCを中芯に、実施例1で用いたシートBをライナに使用し、デンプン系接着剤を段ボール1m2あたり2.5g用いて片面段ボールシートDを作製した。
次に実施例3のシートを段高さ1.3mmにコルゲート加工した。このコルゲート加工したシートCを中芯に、実施例1で用いたシートBをライナに使用し、デンプン系接着剤を段ボール1m2あたり2.5g用いて片面段ボールシートEを作製した。
上記で得られた片面ダンボールシートDとEを一枚ずつ積層し、電気的損失材料を含有する層を得た。得られた電気的損失材料を含有する層の500MHz〜18GHzにおける比誘電率は、実数部が8〜13であり、虚数部が5〜10であった。
(反射材層)
実施例1と同様のものを用いた
(保護層・意匠層)
実施例1と同様のものを用いた
(電波吸収体)
上記抵抗膜層、スペーサー、反射材層及び保護層(兼意匠層)をそれぞれ60cm×60cmに裁断した。裁断した各材料を、層間を接着剤(コニシ(株)製 ボンドスプレーのり Z2)で接着させて、反射材層/電気的損失材料を含有する層/スペーサー層/[抵抗膜層A/抵抗膜層A](2枚重ね)/保護層の順に積層し、電波吸収体を得た。
得られた電波吸収体の全体の厚さは36.3mm、電気的損失材料を含有する層の厚さみは3.96mmであり、電波吸収体の全体の厚さの約1/9の厚さであった。
得られた電波吸収体の垂直入射に対する電波吸収性能は、周波数950MHzにおいて最大の電波吸収量23dBを示した。また、同周波数における入射角度30度における電波吸収量は、TE波で20dB、TM波で12dBであり、入射角度45度における電波吸収量は、TE波で13dB、TM波で7dBであり、また、垂直入射での電波吸収量と、各入射角度における電波吸収量の差は、入射角度30度において、TE波で3dB、TM波で11dB、入射角度40度において、TE波で10dB、TM波で16dBであり、斜入射の特にTM波において垂直入射での電波吸収量との差が大きく電波吸収性能に劣るものであった。
2:抵抗膜層
3:スペーサー層
4:電気的損失材料を含有する層
5:反射層
6:電波入射方向
Claims (5)
- 少なくとも1層の抵抗膜層、スペーサー層、電気的損失材料を含有する層及び反射層を積層してなる電波吸収体であって、該電気的損失材料を含有する層の厚さが、電波吸収体の全体の厚さdに対し、d/8以上であることを特徴とする電波吸収体。
- 前記電波吸収体の全体の厚さが、吸収したい電波の波長λに対し、λ/4以下である請求項1に記載の電波吸収体。
- 前記抵抗膜層は平均繊維長が2〜6mmの導電性繊維を抵抗膜層中に0.4〜3質量%含有したシートである請求項1または2に記載の電波吸収体。
- 前記導電性繊維が炭素繊維である請求項3に記載の電波吸収体。
- 前記抵抗膜層が紙である請求項1〜4いずれかに記載の電波吸収体。
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