JP2010155980A - エポキシ樹脂組成物並びにプリプレグ、積層板 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐薬品性が良好で、かつ、加熱処理や紫外線照射処理による光反射率の低下が小さい、プリント配線板に適したエポキシ樹脂組成物を提供する。
【解決手段】エポキシ樹脂を主剤とし、硬化剤及び無機充填材を含むエポキシ樹脂組成物であって、エポキシ樹脂が脂環式エポキシ樹脂であり、硬化剤がフェノール類ノボラック樹脂であり、かつ、無機充填材が二酸化チタンを必須成分とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、エポキシ樹脂を主剤とし、硬化剤及び無機充填材を含むエポキシ樹脂組成物に関する。また、このエポキシ樹脂組成物を用いたプリプレグ、積層板ないしは金属箔張り積層板に関する。
従来、発光ダイオード(LED;Light Emitting Diode)実装用プリント配線板の基板としては、二酸化チタンを含有したエポキシ樹脂をガラス織布に含浸させた後、加熱硬化させた積層板や、二酸化チタンに加えて、アルミナを含有したエポキシ樹脂を用いた積層板等が知られている。これら従来技術によるエポキシ樹脂積層板は、積層板段階での反射率は、概ね満足できるレベルではあるが、プリント配線板の製造工程や実装工程における加熱処理や、或いはLED実装後の使用時における加熱や紫外線照射によって、積層板が変色し、反射率の低下が大きくなること等、更なる改善が必要であった。
その対策として、例えば、特許文献1には、エポキシ樹脂としてビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂と脂環式エポキシ樹脂を使用し、樹脂中に二酸化チタンを配合する技術が開示されている。しかしながら、加熱処理や紫外線照射処理後の光反射率の低下が大きく、充分満足できるレベルに達していないという問題がある。
特開2008−1880号公報
エポキシ樹脂を主剤とし、硬化剤として酸無水物を使用したエポキシ樹脂組成物が、加熱処理や紫外線照射処理後の光反射率の低下が小さいことは従来知られている。しかしながら、前記エポキシ樹脂組成物は、耐薬品性が低下するという問題がある。
本発明が解決しようとする課題は、耐薬品性が良好で、かつ、加熱処理や紫外線照射処理による光反射率の低下が小さい、プリント配線板に適したエポキシ樹脂組成物を提供することである。また、このエポキシ樹脂組成物を適用したプリプレグ、積層板ないしは金属箔張り積層板を提供することである。
上記課題を解決するために、本発明に係るエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂を主剤とし、硬化剤及び無機充填材を含むエポキシ樹脂組成物であって、前記エポキシ樹脂が脂環式エポキシ樹脂であり、前記硬化剤がフェノール類ノボラック樹脂であり、かつ、前記無機充填材として二酸化チタンを必須成分とすることを特徴とする(請求項1)。
本発明に係るプリプレグは、上記エポキシ樹脂組成物を基材に含浸し乾燥してなるものである(請求項2)。
本発明に係る積層板は、上記プリプレグの層を表面層ないし全部の層として、これを加熱加圧成形してなるものである(請求項3)。
本発明に係る金属箔張り積層板は、上記積層板の少なくとも片面に金属箔が一体化されているものである(請求項4)。
本発明に係るエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂として脂環式エポキシ樹脂を使用し、硬化剤としてフェノール類ノボラック樹脂を使用する。これにより、耐薬品性が良好で、かつ、加熱処理や紫外線照射処理による光反射率の低下を抑えることができる。
本発明に係るエポキシ樹脂組成物において、脂環式エポキシ樹脂としては、公知の脂環式エポキシ樹脂であれば特に限定されない。代表的なものを例示すると、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、1−エポキシエチル−3,4−エポキシシクロヘキサン、リモネンジエポキシド,2,2ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロセキサン付加物等が挙げられる。好ましい脂環式エポキシ樹脂としては、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2,2ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロセキサン付加物などが挙げられる。これらを単独あるいは2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
また、フェノール類ノボラック樹脂は、公知のフェノール類ノボラック樹脂であれば特に限定されない。クレゾールノボラック樹脂、フェノールノボラック樹脂、ビスフェノール類ノボラック樹脂等を適宜選択できる。好ましくは、ビスフェノール類ノボラック型樹脂が挙げられる。これらを単独あるいは2種類以上を組み合わせて用いてもよい。なおフェノール類ノボラック樹脂の含有量は、樹脂組成物に含まれるエポキシ樹脂100質量部に対して、好ましくは10〜65質量部、より好ましくは15〜60質量部である。これにより、充分な耐熱性が得られるとともに、加熱処理や紫外線照射処理による光反射率の低下を抑えることができる。
本発明で使用される二酸化チタンとしては、結晶構造がルチル型のものとアナターゼ型のものを採用することができる。ルチル型の二酸化チタンを採用する場合、耐候性に優れるので、使用環境を選ばず所定の光反射率を長期にわたって維持可能な積層板にすることができる。アナターゼ型の二酸化チタンを採用する場合、可視光領域における光反射率が極めて優れた積層板にすることができる。二酸化チタンの含有量は、樹脂組成物の樹脂固形分100質量部に対して、好ましくは20〜200質量部、より好ましくは40〜150質量部である。これにより、加熱処理や紫外線照射処理による光反射率の低下を抑えるとともに、充分な金属箔との接着強度、打ち抜き加工性を得ることができる。
本発明に係るエポキシ樹脂組成物には、二酸化チタンに加えて、無機充填剤として、天然シリカ、溶融シリカ、合成シリカ、タルク、焼成タルク、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、アルミナ等の公知の無機充填剤を使用してもよい。
また、樹脂組成物の硬化速度の調整等のために、硬化促進剤を必要に応じて添加してもよい。硬化促進剤の種類としては、公知の硬化促進剤であれば特に限定されない。具体例としては、第3級アミン、イミダゾール類及びその誘導体等が挙げられる。
さらに、本発明に係るエポキシ樹脂組成物には、必要に応じて、有機溶剤を使用してもよい。この有機溶剤としては、脂環式エポキシ樹脂とフェノール類ノボラック樹脂に相溶するものであれば、特に限定されるものではない。具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、ジメチルホルムアミドやジメチルアセトアミドなどのアミド類等が挙げられる。
本発明に係るプリプレグ及び積層板は、次のようにして製造できる。
プリプレグは、基材(例えば、ガラス繊維の織布や不織布)に上記エポキシ樹脂組成物のワニスを含浸し加熱乾燥して、エポキシ樹脂の硬化を半硬化状態まで進める。
積層板は、上記プリプレグの層を表面層ないし全部の層として使用し、これを加熱加圧成形して製造する。この場合、所定厚みの金属箔(例えば銅箔)をプリプレグ層の片面又は両面に載置して加熱加圧成形することにより、金属箔張り積層板とすることができる。
以下、本発明に係る実施例を説明する。本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
実施例1
エポキシ樹脂として脂環式エポキシ樹脂2,2ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロセキサン付加物(ダイセル化学工業(株)製、商品名:EHPE−3150)100質量部、硬化剤としてビスフェノールAノボラック樹脂(DIC(株)製、商品名:LF6161)7質量部、硬化促進剤として2−エチル−4−メチルイミダゾール0.1質量部をジメチルホルムアミド(DMF)に溶解した。そして、二酸化チタン(石原産業(株)製、商品名:R−820)を75質量部(樹脂固形分100質量部に対して70質量部)配合して混合し、エポキシ樹脂ワニスを調製した。
上記エポキシ樹脂ワニスをガラス繊維織布(旭シュエーベル(株)製、商品名:216;厚さ100μm)に含浸し、120℃で10分間乾燥して、プリプレグを得た。樹脂(無機充填材を含む)の含有量は、48質量%である。このプリプレグを2枚重ね、温度175℃、圧力3.9MPaの条件で、90分間加熱加圧成形し、厚み0.2mmの積層板を得た。
実施例2〜6
実施例1において、硬化剤としてのビスフェノールAノボラック樹脂配合量を各例毎に表1に示した量となるように調整したエポキシ樹脂ワニスを使用する以外は、実施例1と同様にして積層板を得た。
比較例1
エポキシ樹脂として脂環式エポキシ樹脂2,2ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロセキサン付加物(ダイセル化学工業(株)製、商品名:EHPE−3150)100質量部、硬化剤としてジシアンジアミド4質量部、硬化促進剤として2−エチル−4−メチルイミダゾール0.1質量部をジメチルホルムアミド(DMF)に溶解した。そして、二酸化チタン(石原産業(株)製、商品名:R−820)を73質量部(樹脂固形分100質量部に対して70質量部)配合して混合し、エポキシ樹脂ワニスを調製した。その後は、実施例1と同様にして積層板を得た。
比較例2
エポキシ樹脂として脂環式エポキシ樹脂2,2ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロセキサン付加物(ダイセル化学工業(株)製、商品名:EHPE−3150)30質量部、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製、商品名:Ep157)70質量部、硬化剤としてジシアンジアミド5質量部、硬化促進剤として2−エチル−4−メチルイミダゾール0.1質量部をジメチルホルムアミド(DMF)に溶解した。そして、二酸化チタン(石原産業(株)製、商品名:R−820)を74質量部(樹脂固形分100質量部に対して70質量部)配合して混合し、エポキシ樹脂ワニスを調製した。その後は、実施例1と同様にして積層板を得た。
比較例3
エポキシ樹脂として脂環式エポキシ樹脂2,2ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロセキサン付加物(ダイセル化学工業(株)製、商品名:EHPE−3150)100質量部、硬化剤としてメチルヘキサヒドロ無水フタル酸(新日本理化(株)製、商品名:MH−700)93質量部、硬化促進剤として2−エチル−4−メチルイミダゾール0.1質量部をジメチルホルムアミド(DMF)に溶解した。そして、二酸化チタン(石原産業(株)製、商品名:R−820)を135質量部(樹脂固形分100質量部に対して70質量部)配合して混合し、エポキシ樹脂ワニスを調製した。その後は、実施例1と同様にして積層板を得た。
上記の各実施例と比較例における積層板について、加熱処理後の光反射率、紫外線照射処理後の光反射率、耐薬品性、ガラス転移温度を評価した。その結果を表1〜2に示した。表中に示した各特性は、次のようにして評価した。
加熱処理後の光反射率:180℃の熱風乾燥機で24時間処理した積層板について、分光光度計(島津製作所製UV−2200)を使用して、波長470nmでの光反射率を測定した。
紫外線照射処理後の光反射率:紫外線照射24時間処理した積層板について、分光光度計(島津製作所製UV−2200)を使用して、波長470nmでの光反射率を測定した。
耐薬品性:積層板を30mm×30mmに裁断し、アルカリ水溶液浸漬処理前後の試験片の質量を電子天秤で測定し、質量変化率を求めた。なお、処理条件は、10%水酸化ナトリウム水溶液中80℃−60分である。
ガラス転移温度:積層板を30mm×5mmに裁断し、DMA法(JIS−C6481準拠)にてガラス転移温度を測定した。
Figure 2010155980
Figure 2010155980
実施例1〜6と比較例1〜3の対照から、エポキシ樹脂として脂環式エポキシ樹脂を使用し、硬化剤としてフェノール類ノボラック樹脂を使用することにより、耐薬品性が良好で(アルカリ水溶液浸漬処理前後の質量変化率が小さく)、かつ、加熱処理後や紫外線照射処理後においても光反射率が良好であることが理解できる。比較例1及び2は硬化剤としてアミン系硬化剤を使用しているために加熱処理後の光反射率が低下している。フェノール類ノボラック型エポキシ樹脂を併用した比較例2は、紫外線照射処理後においても光反射率が低下している。また、比較例3は硬化剤として酸無水物系硬化剤を使用しているためにアルカリ水溶液浸漬処理前後の質量変化率が大きく耐薬品性が低下している。
また、実施例2〜5と実施例1及び6の対照から、フェノール類ノボラック樹脂の含有量を、エポキシ樹脂100質量部に対して10〜65質量部とすることにより、加熱処理後や紫外線照射処理後においても光反射率が良好であり、かつ、ガラス転移温度が高く充分な耐熱性が得られることが理解できる。

Claims (4)

  1. エポキシ樹脂を主剤とし、硬化剤及び無機充填材を含むエポキシ樹脂組成物であって、
    前記エポキシ樹脂が脂環式エポキシ樹脂であり、前記硬化剤がフェノール類ノボラック樹脂であり、かつ、前記無機充填材が二酸化チタンを必須成分とすることを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
  2. 請求項1記載のエポキシ樹脂組成物を基材に含浸し乾燥してなるプリプレグ。
  3. 請求項2記載のプリプレグの層を表面層ないし全部の層として、これを加熱加圧成形してなる積層板。
  4. 請求項3記載の積層板の少なくとも片面に金属箔が一体化されている金属箔張り積層板。
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