JP2016201510A - プリント配線板用プリプレグ、それを用いた金属張り積層板及びプリント配線板 - Google Patents
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Abstract
【課題】 吸水率が低く、耐熱性に優れたプリプレグ、金属張り積層板、およびプリント配線板を提供する。【解決手段】 熱硬化性樹脂をガラスクロスに含浸し、乾燥してなるプリプレグの少なくとも一方の面に、フッ素原子を含有する樹脂フィルムをラミネートしたプリント配線板用プリプレグ。熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂が好ましく、フッ素原子を含有する樹脂フィルムが、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)またはフルオロエチレン・ビニルエーテル交互共重合体のフィルムであると好ましい。【選択図】 なし
Description
本発明は、プリント配線板用材料として好適なプリント配線板用プリプレグ、これを用いた金属張積層板及びプリント配線板に関する。
電子機器の小型化、高性能化に伴い、その中に搭載されるプリント配線板は、高多層化、薄物化、スルーホールの小径化および穴間隔の狭小等による高密度化が進んでいる。さらに、携帯電話やモバイルコンピュータ等の携帯情報端末機器に搭載されるプリント配線板には、マイクロプロセッシングユニット(MPU)をプリント配線板上に直接搭載するプラスチックパッケージや各種モジュール用のプリント配線板をはじめとして、大容量の情報を高速に処理することが求められている。そのため、信号処理の高速化や低伝送損失化、更なるダウンサイジングが必要となってきており、プリント配線板は、より一層の高密度化が進み、これまで以上の微細配線が要求されている。
上記のような事情に伴い、MPUを搭載するプリント配線板やモジュール用プリント配線板には、これまで以上の接続信頼性を確保するために、耐熱性に優れた材料が要求されるようになってきた。
また、近年の環境問題に対する急速な関心の高まりに伴い、プリント配線板に使用されるはんだとして、鉛が含まれていない鉛フリーはんだを使用する傾向が強くなってきているが、鉛フリーはんだは、従来のはんだに比べて融点が高いため、プリント配線板の部品実装時におけるはんだリフロー温度についても、従来の鉛入りはんだ使用時と比較して高くなる傾向にある。それゆえ、プリント配線板に使用される材料には、より優れた耐熱性が要求されるようになってきている。耐熱性を良好にする手法として、吸水率を低くすることが挙げられる。従来の手法としては、フィラー量を増やして、有機樹脂成分比率を下げる手法が取られていた。しかし、前記方法では、吸湿率の低下には限界があった。
上記を鑑みて、本発明は、従来よりも吸水率が低く、耐熱性に優れたプリント配線板用材料として好適なプリント配線板用プリプレグ、金属張り積層板及びプリント配線板を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明に係るプリント配線板用プリプレグの要旨とするところは、プリプレグの少なくとも一方の面にフッ素原子を含有する樹脂フィルムをラミネートしたことにある。
本発明は、[1] 熱硬化性樹脂をガラスクロスに含浸し、乾燥してなるプリプレグの少なくとも一方の面に、フッ素原子を含有する樹脂フィルムをラミネートしたプリント配線板用プリプレグである。
また、本発明は、[2] 熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂を含む上記[1]に記載のプリント配線板用プリプレグである。
また、本発明は、[3] 熱硬化性樹脂が、シアネート樹脂とエポキシ樹脂を含む請求項1または請求項2に記載のプリント配線板用プリプレグである。
また、本発明は、[4] フッ素原子を含有する樹脂フィルムが、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)またはフルオロエチレン・ビニルエーテル交互共重合体のフィルムである上記[1]から[3]のいずれか一項に記載のプリント配線板用プリプレグである。
また、本発明は、[5]上記[1]から[4]のいずれか一項に記載のプリプレグを、1枚以上積層し、その片面、もしくは両面に金属箔を配置し、これを加熱、加圧して得られる金属張り積層板である。
また、本発明は、[6]上記[5]に記載の金属張り積層板を用いて配線を形成したプリント配線板である。
また、本発明は、[2] 熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂を含む上記[1]に記載のプリント配線板用プリプレグである。
また、本発明は、[3] 熱硬化性樹脂が、シアネート樹脂とエポキシ樹脂を含む請求項1または請求項2に記載のプリント配線板用プリプレグである。
また、本発明は、[4] フッ素原子を含有する樹脂フィルムが、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)またはフルオロエチレン・ビニルエーテル交互共重合体のフィルムである上記[1]から[3]のいずれか一項に記載のプリント配線板用プリプレグである。
また、本発明は、[5]上記[1]から[4]のいずれか一項に記載のプリプレグを、1枚以上積層し、その片面、もしくは両面に金属箔を配置し、これを加熱、加圧して得られる金属張り積層板である。
また、本発明は、[6]上記[5]に記載の金属張り積層板を用いて配線を形成したプリント配線板である。
本発明によれば、従来よりも吸水率が低く、耐熱性に優れたプリント配線板用材料として好適なプリント配線板用プリプレグ、金属張り積層板及びプリント配線板を提供することが可能となる。
以下、本発明について詳述する。
本発明に用いる熱硬化性樹脂としては、特に限定されないが、エポキシ樹脂系、ポリイミド樹脂系、トリアジン樹脂系、フェノール樹脂系、メラミン樹脂系、ポリエステル樹脂系これらの変性系等が挙げられる。また、これらの樹脂は2種類以上を併用してもよい。汎用性、コストなどの点から考慮するとエポキシ樹脂を使用することが好ましい。エポキシ樹脂の種類としては、(a)分子内に2個以上のエポキシ基を有するものであることが好ましく、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、多官能フェノールのジグリシジルエーテル化物、多官能アルコールのジグリシジルエーテル化物、これらのハロゲン化物、これらの水素添加物等があり、何種類かを併用することもできる。耐熱性を良好にするのにTgが高いことは効果があり、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、多官能フェノールのジグリシジルエーテル化物等のノボラック型エポキシ樹脂が好ましい。
本発明に用いる熱硬化性樹脂としては、特に限定されないが、エポキシ樹脂系、ポリイミド樹脂系、トリアジン樹脂系、フェノール樹脂系、メラミン樹脂系、ポリエステル樹脂系これらの変性系等が挙げられる。また、これらの樹脂は2種類以上を併用してもよい。汎用性、コストなどの点から考慮するとエポキシ樹脂を使用することが好ましい。エポキシ樹脂の種類としては、(a)分子内に2個以上のエポキシ基を有するものであることが好ましく、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、多官能フェノールのジグリシジルエーテル化物、多官能アルコールのジグリシジルエーテル化物、これらのハロゲン化物、これらの水素添加物等があり、何種類かを併用することもできる。耐熱性を良好にするのにTgが高いことは効果があり、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、多官能フェノールのジグリシジルエーテル化物等のノボラック型エポキシ樹脂が好ましい。
本発明に用いるフッ素原子を含有する樹脂フィルムは、フッ素原子を含有するフッ素樹脂である。これ等のフッ素樹脂として、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル(PFA)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、クロロトリフルオロエチレン・エチレン共重合体(ECTFE)、フルオロエチレン・ビニルエーテル交互共重合体(FEVE)、フルオロエチレン・ビニルエステル共重合体(4F-FEVs)、トリフルオロエチレン・ビニルエステル共重合体(3F−FEVs)、アモルファスフッ素樹脂(CYTOP、旭硝子株式会社製)などが挙げられる。これ等のフッ素樹脂は熱可塑性樹脂であって接着性を有するだけでなく、耐熱性が高く、吸湿性の低い特性を有しているものが好ましい。特に、フッ素樹脂としてテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体樹脂(FEP)またはフルオロエチレン・ビニルエーテル交互共重合体(FEVE)、アモルファスフッ素樹脂(CYTOP)が上記諸特性の点でより好ましい。したがって、熱硬化性樹脂、好ましくはエポキシ樹脂組成物を含浸、乾燥したプリプレグにフッ素樹脂層が被着形成されたプリプレグの片面又は両面にそのフッ素樹脂を接着剤として金属箔、好ましくは銅箔を接着することができ、金属張り積層板(銅張り積層板)を得ることができる。
本発明で用いる熱硬化性樹脂の樹脂組成物には、上記熱硬化性樹脂に加え、無機充填剤を配合すると好ましい。無機充填剤の配合量は、樹脂組成物中の全固形分に対して、15〜35質量%であることが好ましい。無機充填剤の配合量が15質量%未満であると樹脂組成物の耐熱性が劣る傾向にあり、35質量%を超えると樹脂組成物の流動性が小さくなり、プレス時の成形性が低下する傾向にある。
上記無機充填剤としては、特に限定されないが、例えば、炭酸カルシウム、アルミナ、マイカ、炭酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、シリカ、タルク、ガラス短繊維や、ホウ酸アルミニウムや炭化ケイ素等の各種ウィスカ等を用いることができる。また、これらを数種類併用しても良い。耐熱性の観点では、シリカを用いることが好ましく、さらに特性向上の観点から、水酸化アルミニウムとシリカを併用することが好ましい。
本発明においては、無機充填剤のうち80質量%以上をシリカとすることが好ましい。また、シリカは、金属張り積層板の成形性および作業性の観点から、球状シリカであることが好ましい。また、シリカの平均粒径は、0.4〜5μmの範囲であることが好ましい。特に、シリカの平均粒径が1〜5μmの範囲であると、組成物の耐熱性と接着強度を両立させる上で非常に好ましい。また、ドリル加工時の作業性をも重視する場合には、シリカの平均粒径を0.4〜0.7μmの範囲にすることが好ましい。ただし、シリカの平均粒径が0.4μm未満であるとワニスの増粘が著しく、作業性が低下する傾向にあり、さらに、金属箔との接着強度が低下する傾向にある。また、平均粒径が5μmを超えるとドリル加工時にドリル刃の磨耗量が増加したり、小径穴あけ時の穴位置精度が悪化し易くなる。さらに、チッピング等の問題が発生し易くなる傾向がある。また、シリカの含水率は、0.04質量%以下であることが好ましい。シリカの含水率が0.04質量%を超えるとシリカの凝集が発生し易くなり、金属箔張り積層板の外観上の問題が発生し易くなったり、耐熱性が劣る傾向にある。なお、上記球状シリカは、公知の合成方法、例えば、特開昭61−17416号公報に記載された方法等により得ることができる。また、株式会社アドマテックス、電気化学工業株式会社、マイクロン株式会社、東燃株式会社などから合成シリカが市販されており、これらを好適に使用することができる。なお、平均粒径は、市販のレーザー光散乱式粒度分布測定装置等を用いて測定することができる。
無機充填剤の配合方法としては、従来公知の技術を用いることができ、特に限定されないが、例えば、混練機を用いる方法や国際公開第97/01595号パンフレットに開示された方法を用いることができる。
また、本発明で用いる熱硬化性樹脂組成物には、公知の硬化剤、硬化促進剤、難燃剤、着色剤、酸化防止剤、還元剤、紫外線不透過剤等の添加剤を必要に応じて適宜量添加してもよい。特に、熱硬化性樹脂として上記(a)分子内に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂を用いる場合には、硬化剤を配合することが好ましく、例えば、従来公知のジシアンジアミド、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルフォン、無水フタル酸、無水ピロメリット酸、フェノールノボラックやクレゾールノボラック等の多官能性フェノール等を用いることができ、これらは何種類かを併用することもできる。耐熱性、信頼性を考慮すると(b)フェノール類とホルムアルデヒドの重縮合物を使用することが好ましい。フェノール類とホルムアルデヒドの重縮合物としては、分子内に2個以上のフェノール性水酸基を有するものであることが好ましく、例えば、フェノール、クレゾール、アルキルフェノール、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等のノボラック樹脂、およびこれらのハロゲン化物等が挙げられ、これらは何種類かを併用してもよい。また、フェノール類とホルムアルデヒドの重縮合物以外のフェノール性水酸基を含有する化合物を併用してもよいが、その場合にも、分子内に2個以上のフェノール性水酸基を有する化合物を用いることが好ましい。また、分子内に2個以上のフェノール性水酸基を有する化合物のハロゲン化物を併用すると、難燃性を付与できるため好ましい。硬化剤の配合量は、本発明で用いる樹脂組成物に使用する熱硬化性樹脂の種類や配合量に応じて、適宜決定すればよく、特に限定されないが、硬化剤として、フェノール類とホルムアルデヒドの重縮合物ならびに上記併用可能なフェノール性水酸基を有する化合物を用いる場合には、使用するエポキシ樹脂のエポキシ基に対してフェノール性水酸基が0.8〜1.2当量となるように配合することが好ましく、0.9〜1.1当量となるように配合することがより好ましい。
また、硬化促進剤としては、イミダゾール類などが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種類以上併用してもよい。
また、本発明で用いる熱硬化性樹脂組成物は、耐熱性の観点から、樹脂成分中の窒素含有率が0.1〜10質量%の範囲であることが好ましく、0.1〜5質量%の範囲であることがより好ましい。窒素を含有する化合物として、(c)トリアジン環あるいはイソシアヌル環を有する樹脂を含むことが好ましい。特に限定されないが、例えば、シアヌレート類、メラミン類、フェノール類とトリアジン環を有する化合物とアルデヒド類との縮合物及びそのグリシジルエーテル化物、イソシアヌレート類、イソシアヌレート型エポキシ樹脂、シアネート樹脂等が挙げられ、これらは単独で、もしくは2種以上を併用して用いることができる。窒素を含有する化合物として、シアネート樹脂が好ましく、エポキシ樹脂と併用して用いることがより好ましい。シアネート樹脂としては、ノボラック型シアネート樹脂、ビスフェノールA型シアネート樹脂、ビスフェノールE型シアネート樹脂、テトラメチルビスフェノールF型シアネート樹脂等のビスフェノール型シアネート樹脂及びこれらが一部トリアジン化したプレポリマー等を挙げることができる。
上記(c)成分は、樹脂成分中の窒素含有率が上記範囲となるように配合することが好ましい。
上記(c)成分は、樹脂成分中の窒素含有率が上記範囲となるように配合することが好ましい。
本発明で用いる熱硬化性樹脂(熱硬化性樹脂組成物)は、上記熱硬化性樹脂と上記無機充填剤と必要に応じて添加される各種添加剤を有機溶媒に溶解ないし分散し、ワニスとして用いることが好ましい。
上記有機溶媒としては、特に限定されないが、アセトン、キシレン、メチルセルソルブ、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、キノリン、シクロペンタノン、m−クレゾール、クロロホルム等が挙げられ、これらは単独でも2種以上併用しても良い。また、ワニス中の固形分濃度は特に制限はなく、樹脂組成物の組成や各組成の配合量等により適宜変更できるが、50〜85質量%の範囲であることが好ましい。ワニス中の固形分濃度が50質量%未満であると、ワニス粘度が小さくなる上、プリプレグに含浸した場合の樹脂分が低くなってしまう恐れがあり、85質量%を超えるとワニスの増粘等によりプリプレグの外観等が低下し易い。
また、本発明で用いる熱硬化性樹脂組成物作製時の作業性、および使用時の塗布作業性をより良好ならしめるため、必要に応じて希釈剤を添加することができる。このような希釈剤としては、例えば、ブチルセロソルブ、カルビトール、酢酸ブチルセロソルブ、酢酸カルビトール、エチレングリコールジエチルエーテル、α−テルピネオール等の比較的沸点の高い有機溶剤、PGE(フェニルグリシジルエーテル、日本化薬株式会社製)、PP−101(アルキルフェニルグリシジルエーテル、東都化成株式会社製)、ED−502、503、509(アデカグリシドール、株式会社ADEKA製)、YED−122(アルキルフェノールモノグリシジルエーテル、三菱化学株式会社製)、KBM−403(3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)、LS−7970(1,3−ビス(3´−グリシジルオキシプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン)(信越化学工業株式会社製)、TSL−8350(γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)、TSL−8355(γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン)、TSL−9905(γ−グリシドキシプロピルペンタメトキシジシロキサン)(東芝シリコーン株式会社製)等の1分子中に1〜2個のエポキシ基を有する反応性希釈剤等の公知の化合物が挙げられる。
本発明で用いるプリプレグは、例えば、熱硬化性樹脂組成物と有機溶媒とを配合して得た樹脂ワニスを、基材に含浸させて、乾燥することにより得ることができる。ここで使用する基材としては、特に限定されないが、一般的には織布や不織布等の繊維基材が用いられる。繊維基材としては、例えば、ガラス、アルミナ、ボロン、シリカアルミナガラス、シリカガラス、チラノ、炭化ケイ素、窒化ケイ素、ジルコニア等の無機繊維やアラミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルサルフォン、セルロース等の有機繊維およびこれらの混抄系があり、特にガラス繊維の織布や不織布が好ましく用いられる。また、基材の厚みは、所望のプリプレグまたは積層板の厚さに合わせて適宜選択すればよく、特に限定されないが、好ましくは0.01〜0.4mm、より好ましくは0.02〜0.3mmのものを用いる。プリプレグを製造する時の乾燥条件は、特に限定されないが、乾燥温度60〜200℃、乾燥時間1〜30分間の間で目的のプリプレグ特性に合わせて自由に選択することができる。また、基材中の含浸樹脂組成物の割合は、特に限定されないが、好ましくは30〜90質量%であり、より好ましくは40〜80質量%である。
本発明で用いる樹脂フィルムは、フッ素原子を含んでいることが必須であり、樹脂フィルムとプリプレグの接着方法としては、ラミネート法が好ましく、タック性を多く有するプリプレグの樹脂組成物のタック性低下にも有効となる。
フッ素原子を含有する樹脂フィルムとプリプレグをラミネートする方法としては、熱硬化性樹脂組成物、好ましくはエポキシ樹脂組成物をガラスクロスに含浸、乾燥したプリプレグの片面、または両面にフッ素樹脂によって形成したフィルムを配置して、そのフッ素樹脂の軟化点以上の温度に加熱してラミネートする方法があり、フッ素樹脂層を有するプリプレグを作製することができる。フッ素原子を含有する樹脂フィルムの厚みは、限定するものではないが、片面の厚みとして0.1〜50μmが好ましく、1〜18μmがより好ましく、2〜15μmが更に好ましい。
フッ素原子を含有する樹脂フィルムとプリプレグをラミネートする方法としては、熱硬化性樹脂組成物、好ましくはエポキシ樹脂組成物をガラスクロスに含浸、乾燥したプリプレグの片面、または両面にフッ素樹脂によって形成したフィルムを配置して、そのフッ素樹脂の軟化点以上の温度に加熱してラミネートする方法があり、フッ素樹脂層を有するプリプレグを作製することができる。フッ素原子を含有する樹脂フィルムの厚みは、限定するものではないが、片面の厚みとして0.1〜50μmが好ましく、1〜18μmがより好ましく、2〜15μmが更に好ましい。
本発明の金属張り積層板は、目的とする積層板の厚みに合わせて、本発明のフッ素原子含有樹脂フィルム付プリプレグを単層のままか、または2枚以上積層し、その片面または両面に金属箔を重ね、加熱加圧して製造することができる。使用する金属箔としては主に銅箔やアルミ箔を用いるが、他の金属箔を用いてもよい。金属箔の厚みは通常2〜200μmである。また、加熱加圧は、一般的な方法により行えばよく、多段プレス、多段真空プレス、連続成形、オートクレーブ成形機等を使用し、好ましくは、温度130〜230℃、圧力0.5〜10MPa、より好ましくは、温度160〜210℃、圧力1〜4MPaの条件で0.1〜5時間加熱加圧する。これらの条件は、プリプレグ特性、使用する熱硬化性樹脂の反応性、プレス機の能力、目的の積層板の厚み等により適宜決定することが望ましい。なお、成形温度は、フッ素原子を含有する樹脂フィルムとして、フッ素樹脂を用いた場合、その軟化点や融点が高い場合、前記温度より高い温度で、短時間だけ加熱して樹脂フィルム同士、樹脂フィルムと金属箔の接着が行われるよう設定することができる。
本発明のプリント配線板は、上記本発明の金属箔張り積層板をサブトラクト法や穴あけ加工などのプリント配線板の製造方法において公知の方法により加工することで得ることができる。また、本発明のプリント配線板用プリプレグ、金属張り積層板、およびプリント配線板を適宜組み合わせて積層、加工することで、多層配線板を得ることもできる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(実施例1)
<ワニスの調整>
エポキシ樹脂(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、新日鉄住金化学株式会社製)30質量部、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂(東都化成株式会社製、商品名YDB−400)70質量部、ジシアンジアミド4質量部、粉砕シリカ(平均粒径5μm、含水率0.06質量%)45質量部、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール0.4質量部を、メチルエチルケトンとエチレングリコールモノメチルエーテルの混合溶剤(質量比で1:1)に溶解して、不揮発分70質量%のワニスを得た。
<ワニスの調整>
エポキシ樹脂(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、新日鉄住金化学株式会社製)30質量部、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂(東都化成株式会社製、商品名YDB−400)70質量部、ジシアンジアミド4質量部、粉砕シリカ(平均粒径5μm、含水率0.06質量%)45質量部、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール0.4質量部を、メチルエチルケトンとエチレングリコールモノメチルエーテルの混合溶剤(質量比で1:1)に溶解して、不揮発分70質量%のワニスを得た。
(実施例2)
エポキシ樹脂(ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、三菱化学株式会社製)30質量部、シアネート樹脂(シアン酸エステル化合物)70質量部、難燃剤であるテトラブロモビスフェノールA(DEAD SEA−Bromine 社製)58質量部、フェノールノボラック樹脂(DIC株式会社製、商品名フェノライトTD−2106)32質量部、球状シリカ(平均粒径0.7μm、含水率0.02質量%)98質量部、フェニルイミダゾール0.5質量部を、メチルエチルケトンとプロピレングリコールモノメチルエーテルの混合溶剤(質量比で2:1)に溶解して、不揮発分70質量%のワニスを得た。
エポキシ樹脂(ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、三菱化学株式会社製)30質量部、シアネート樹脂(シアン酸エステル化合物)70質量部、難燃剤であるテトラブロモビスフェノールA(DEAD SEA−Bromine 社製)58質量部、フェノールノボラック樹脂(DIC株式会社製、商品名フェノライトTD−2106)32質量部、球状シリカ(平均粒径0.7μm、含水率0.02質量%)98質量部、フェニルイミダゾール0.5質量部を、メチルエチルケトンとプロピレングリコールモノメチルエーテルの混合溶剤(質量比で2:1)に溶解して、不揮発分70質量%のワニスを得た。
(実施例3)
エポキシ樹脂(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、新日鉄住金化学株式会社製)30質量部、シアネート樹脂(シアン酸エステル化合物)70質量部、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC株式会社製、商品名エピクロン153)65質量部、ビスフェノールAノボラック樹脂(DIC株式会社製、商品名VH−4150)75質量部、粉砕シリカ(平均粒径5μm、含水率0.06質量%)60質量部、ウンデシルイミダゾール0.8質量部を、メチルエチルケトンとプロピレングリコールモノメチルエーテルの混合溶剤(質量比で2:1)に溶解して、不揮発分70質量%のワニスを得た。
エポキシ樹脂(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、新日鉄住金化学株式会社製)30質量部、シアネート樹脂(シアン酸エステル化合物)70質量部、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC株式会社製、商品名エピクロン153)65質量部、ビスフェノールAノボラック樹脂(DIC株式会社製、商品名VH−4150)75質量部、粉砕シリカ(平均粒径5μm、含水率0.06質量%)60質量部、ウンデシルイミダゾール0.8質量部を、メチルエチルケトンとプロピレングリコールモノメチルエーテルの混合溶剤(質量比で2:1)に溶解して、不揮発分70質量%のワニスを得た。
<プリプレグの作製>
実施例1〜3のワニスをそれぞれ厚み100μmのガラス織布(IPC品番2116タイプ)に、含浸し、それぞれ150℃の乾燥器中で4分間乾燥し、樹脂分48質量%のB−ステージ状態のプリプレグを得た。
実施例1〜3のワニスをそれぞれ厚み100μmのガラス織布(IPC品番2116タイプ)に、含浸し、それぞれ150℃の乾燥器中で4分間乾燥し、樹脂分48質量%のB−ステージ状態のプリプレグを得た。
<フッ素原子を含有する樹脂フィルムの作製>
厚み50μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムに、FEVE交互共重合体(フルオロエチレン・ビニルエーテル交互共重合体)としてルミフロン(旭硝子株式会社製)5質量%メチルエチルケトン溶液に、イソホロンジイソシアネートを固形分に対して5質量%となるよう混合した溶液を塗布し、60〜75℃で加熱することを繰り返し厚み約5μmのFEVEの樹脂フィルムを得た。
厚み50μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムに、FEVE交互共重合体(フルオロエチレン・ビニルエーテル交互共重合体)としてルミフロン(旭硝子株式会社製)5質量%メチルエチルケトン溶液に、イソホロンジイソシアネートを固形分に対して5質量%となるよう混合した溶液を塗布し、60〜75℃で加熱することを繰り返し厚み約5μmのFEVEの樹脂フィルムを得た。
<樹脂フィルムのラミネート>
上記で得られたプリプレグ表面の両面に、上記で得たFEVEの樹脂フィルムをラミネートにより積層した(ラミネート時には、PETフィルムも同時にラミネートし、使用時には、PETフィルムを剥離してFEVE付プリプレグを使用)。これをそれぞれ実施例1〜3とした。また、上記で得たFEVEの樹脂フィルムをラミネートしないものを、それぞれ比較例1〜3とした。
上記で得られたプリプレグ表面の両面に、上記で得たFEVEの樹脂フィルムをラミネートにより積層した(ラミネート時には、PETフィルムも同時にラミネートし、使用時には、PETフィルムを剥離してFEVE付プリプレグを使用)。これをそれぞれ実施例1〜3とした。また、上記で得たFEVEの樹脂フィルムをラミネートしないものを、それぞれ比較例1〜3とした。
<金属張積層板の作製>
上記で得られた各FEVE付プリプレグ(実施例1〜3)及び、樹脂フィルムをラミネートしていない各プリプレグ(比較例1〜3)をそれぞれ8枚ずつ重ね、その両面に厚み18μmの銅箔を配し、実施例1〜3および比較例1〜3のプリプレグを用いたものは圧力3.5MPa、温度180℃で90分間加熱、加圧して、両面銅張り積層板を得た。
上記で得られた各FEVE付プリプレグ(実施例1〜3)及び、樹脂フィルムをラミネートしていない各プリプレグ(比較例1〜3)をそれぞれ8枚ずつ重ね、その両面に厚み18μmの銅箔を配し、実施例1〜3および比較例1〜3のプリプレグを用いたものは圧力3.5MPa、温度180℃で90分間加熱、加圧して、両面銅張り積層板を得た。
<評価>
以上のように作製した各両面銅張り積層板の銅箔をエッチングにより除去し、吸湿はんだ耐熱性、および吸水率を評価した。
以上のように作製した各両面銅張り積層板の銅箔をエッチングにより除去し、吸湿はんだ耐熱性、および吸水率を評価した。
基板の吸湿はんだ耐熱性は、121℃、100%RHの加圧チャンバー中にて所定時間(3h、5h、7h)加熱、加圧、吸湿処理(PCT処理)した後に、288℃のはんだ槽に20秒間浸積した基板の外観を観察することで評価した。
吸水率は、121℃、100%RHの加圧チャンバー中にて所定時間(1h、3h、5h)加熱、加圧、吸湿処理(PCT処理)した基板の処理前後の質量を測定し、吸水率を評価した(単位は質量%である)。すなわち、加熱前後の基板の質量差を加熱前の基板の質量で除し、100分率で表した。
以上の評価結果を表1に示した。なお、基板の吸湿はんだ耐熱性の各評価記号は、○:変化無し、△:ミーズリング発生、×:ふくれ発生を意味し、3つの記号は、3つの試験片により評価した結果である。吸水率は、質量%である。
表1から、実施例1〜3の基板は、吸水率が低く、吸湿はんだ耐熱性に優れ耐熱性が良好な積層板を得ることができる。
Claims (6)
- 熱硬化性樹脂をガラスクロスに含浸し、乾燥してなるプリプレグの少なくとも一方の面に、フッ素原子を含有する樹脂フィルムをラミネートしたプリント配線板用プリプレグ。
- 熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂を含む請求項1に記載のプリント配線板用プリプレグ。
- 熱硬化性樹脂が、シアネート樹脂とエポキシ樹脂を含む請求項1または請求項2に記載のプリント配線板用プリプレグ。
- フッ素原子を含有する樹脂フィルムが、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)またはフルオロエチレン・ビニルエーテル交互共重合体のフィルムである請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のプリント配線板用プリプレグ。
- 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のプリント配線板用プリプレグを、1枚以上積層し、その片面、もしくは両面に金属箔を配置し、これを加熱、加圧して得られる金属張り積層板。
- 請求項5に記載の金属張り積層板を用いて配線を形成したプリント配線板。
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-
2015
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