JP2010155939A - 徐溶解剤および水洗トイレット用洗浄剤 - Google Patents
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前記の水洗トイレット用洗浄剤には、洗浄成分および芳香成分のほかに、これらを徐々に溶解または分散させる徐放性基剤として徐溶解剤が配合されている。この徐溶解剤は、芳香成分や洗浄成分を固形化するためのバインダーとしての役割のほか、流水や貯水への配合成分の溶解速度をコントロールして適度な芳香性と洗浄性を適度な期間持続させる役割を担っている。
そのため、疎水基としてポリオキシプロピレン鎖を導入したもの(特許文献1)、ポリエチレングリコールの片末端もしくは両末端の水酸基をアルキル基などの疎水性基で置換してエーテルまたはエステルとしたもの(特許文献2)、炭素数4〜40のエポキシドをポリエチレングリコールと共重合させたもの(特許文献3)、高級アルコールアルキレンオキサイドと多価アルコールとのウレタン化物などが用いられている(特許文献4)。
しかしながら、これら従来の水洗トイレット用芳香洗浄剤の基剤には、以下のような問題がある。
また、特許文献2の技術は、薬剤の徐放性は改善されるが水酸基を脂肪酸などでエステル化し水酸基を封鎖してしまうため、水を吸収し膨潤して容器からはみ出るという別の大きな問題を生じる。
特許文献3の技術は、炭素数4〜40のエポキシドを共重合させているが、炭素数4のブチレンオキサイドではプロピレンオキサイドと効果は変わらず、炭素数が5より大きいものは立体障害が大きく共重合性が悪いため、非水溶性の副生物が生成し、トイレット洗浄水が濁り、汚れ付着の原因になるという問題が生じる。
特許文献4の技術は、ポリウレタン化するため設計どおりの分子構造のものは得られず、イソシアネートに起因する不溶解物が副生し便器を汚染するという問題がある。また、数平均分子量が5万未満では満足する持続性は得られず、5万以上にすると粘度が上がりすぎて成型温度80〜100℃での成形性が悪化し生産効率が悪くなるといった問題がある。
すなわち、本発明は、下記一般式(1)で表される化合物(A)を必須成分とし、数平均分子量が10,000〜25,000かつオキシエチレン鎖部分の含有量が70〜90重量%であることを特徴とする徐溶解剤(B);およびこの徐溶解剤を配合した水洗トイレット用洗浄剤である。
飽和または不飽和の炭化水素基としては、直鎖または分岐鎖でもよく、炭素数が通常6〜24である。好ましくは直鎖で炭素数10〜18の飽和炭化水素基である。
また、R2OCH2CH2CH2で表されるアルコキシプロピル基としては、炭素数が通常6〜18、好ましくは10〜18、さらに好ましくは12〜18である。
脂肪族第1アミンは1種または2種以上の混合物を用いてもよい。また、これらの脂肪族第1アミンは蒸留精製してあることが望ましい。
前述の一般式(1)中のaとbはそれぞれオキシプロピレン基の平均付加モル数を表し、15〜40の数である。
a+bは30〜80の数である。
プロピレンオキサイドの平均付加モル数a+bは、通常30〜80モルであり、好ましくは30〜60モルである。30モル以上で適度の疎水性が得られ、良好な徐溶解性能が得られる。80モルを超えると反応させるプロピレンオキサイドがアリルアルコールに転位し、目的物以外に副生物としてアリルアルコールプロピレンオキサイド付加物が多くできるため徐溶解性能が悪くなる。
前述の一般式(1)中のcとdはそれぞれオキシエチレン基の平均付加モル数を表し、100〜250の数である。c+dは200〜500の数である。
エチレンオキサイドの平均付加モル数c+dは、通常200〜500モルであり、好ましくは225〜450モルであり、さらに好ましくは250〜400モルである。200モル以上で徐溶解剤(B)に良好な結晶性を付与することができる。500モルを超えると結晶性が高すぎて固化成型時にひび割れを起こす等の問題を生じる。
好ましくは75〜85重量%である。
70%重量以上であれば、室温で適度な徐溶解性能を有する結晶物となる。90%重量を超えると硬くなりすぎて、成型物にひび割れを生じるため好ましくない。
融点が50〜70℃であると適度な徐溶解性能を有する結晶物となる。
液体と固体の境界は通常、凝固点や融点で表わされるが、本願発明では正確な温度を測定できる点で融点を採用する。
粘度が500mPa・s未満のものは、水への拡散速度が速いため溶解時間も短くなる。粘度が20,000mPa・sを超えるものは成型時に他の薬剤と混合し難いという問題がある。
<試験片の作成>
まず、徐溶解剤を80〜120℃の範囲で溶融させる。溶融した徐溶解剤を直径3cmの円柱状の型(材質は問わないが、120℃以上耐熱性のあるポリプロピレンやポリエチレンが型からの取り外しの点において好ましい。)に7.0g流し込み、約1時間かけて放冷して冷却する。粘度が低いほど成型しやすく、成形性の良いものは容易に型から外すことができる。
25℃に温度調節した水中で試験を行う。
300mlのビーカーに300mlの水を入れ、長さが約3cmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)被覆の磁性撹拌子にて、100rpmで撹拌し水流を作る。
10メッシュのステンレス製金網で、直径4cm×高さ2〜3cmの円柱状のかごを作成し、試験片の受け容器とした。これをビーカーの底から高さ3cmの位置に吊り下げる。
試験片を受け容器に入れた時点を開始時刻とする。試験片が溶解して完全に消失するまでの時間を溶解時間とする。
温度計、撹拌機、アルキレンオキサイド導入口および窒素導入口を備えた耐圧反応容器に、ステアリルアミン269.5g(1.0モル)、水酸化カリウム2.1gを仕込み、反応容器内の空気を窒素ガスで置換した後、110℃に加熱し、減圧下脱水を30分行った。脱水後、110℃でプロピレンオキサイド580.0g(10.0モル)を0.5MPa以下の圧力を保ちながら6時間かけて滴下し、同温度で1時間熟成を行い、850gのステアリルアミンプロピレンオキサイド10モル付加物を得た。
ステアリルアミンプロピレンオキサイド10モル付加物272.3g(0.32モル)を耐圧反応容器に戻し、水酸化カリウム1.4gを追加し、反応容器内の空気を窒素ガスで置換した後、110℃に加熱し、減圧下脱水を30分行った。脱水後、110℃でプロピレンオキサイド575.4g(9.92モル)を0.5MPa以下の圧力を保ちながら10時間かけて滴下し、同温度で2時間熟成を行い、850.0gのステアリルアミンプロピレンオキサイド41モル付加物を得た。
(A−1)の数平均分子量は約12,200である。
製造例1と同様にして、本発明の化合物(A−2)〜(A−6)を得た。
(A−1)〜(A−6)の原料アミン、プロピレンオキサイド(PO)付加モル数(a+b)、エチレンオキサイド(EO)付加モル数(c+d)、オキシエチレン鎖含有量、および数平均分子量、融点、100℃における粘度の測定結果を表1に示す。
製造例1と同様にして、比較製造例の化合物(A’−1)〜(A’−3)を得た。
(A’−1)〜(A’−3)の原料アミン、プロピレンオキサイド(PO)付加モル数(a+b)、エチレンオキサイド(EO)付加モル数(c+d)、オキシエチレン鎖含有量、および数平均分子量、融点、100℃における粘度の測定結果を表1に示す。
特開平5−59398号公報(特許文献3の製造例1)に記載の方法で、プロピレングリコールへのブチレンオキサイド(13.7モル)プロピレンオキサイド(43.2モル)エチレンオキサイド(320モル)分子量380の1,2−エポキシアルカン1.2モルのブロック付加物を製造し、比較のための化合物(D−2)とした。
実施例として、製造例1〜6で得られた本発明の化合物(A−1)〜(A−6)の溶解試験結果および比較例1〜6を表2に示す。
なお、比較例4では分子量20,000のポリエチレングリコール(D−1)、比較例5では上記の比較製造例4の化合物(D−2)、比較例6ではポリエチレングリコール分子量8,000のジステアリン酸エステル(D−3)を用いて溶解試験を行った。
一方、PO付加モル数以外本発明を満足しない比較例1は溶解時間が非常に速い。分子量が低い比較例2は溶解時間が不十分である。オキシエチレン鎖の含有量が高すぎる比較例3は溶解時間がやや不十分であると同時に成型物自体にひび割れを生じ、きれいな成型物が得られなかった。比較例4は非常に溶解時間が速過ぎる。比較例5は溶解時間がやや不十分であると同時に試験後の水が白くにごり、水への不溶解分が多くビーカーに付着し汚染した。水酸基を封鎖した比較例6は、徐溶解作用を示さず膨らみ続け金網からはみ出してきた。
Claims (4)
- 融点が50〜70℃であり、100℃における粘度が500〜20,000mP・sである請求項1記載の徐溶解剤(B)。
- 直径3cm、厚さ1cmの円柱状の該徐溶解剤の試験片を25℃で300mlの水中に浸漬して行う溶解試験において、溶解時間が8時間以上である請求項1または2記載の徐溶解剤(B)。
- 請求項1〜3いずれか記載の徐溶解剤(B)を含有してなることを特徴とする水洗トイレット用洗浄剤(C)。
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