JP6632140B2 - 食器洗い用液体洗浄剤 - Google Patents
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Description
特許文献1には、アニオン界面活性剤と、両性界面活性剤及び/又は半極性界面活性剤と、カチオン化セルロースとを併用して、洗浄力及び水切れ性だけでなく、泡立ち性や低温安定性にも優れる食器洗い用の液体洗浄剤が開示されている。
特許文献1に記載された液体洗浄剤においては、液体洗浄剤の濃度が低下するとカチオン化セルロースの濃度も低下するため、水切れ性が発現しにくくなるという問題があった。
しかし、液体洗浄剤中のカチオン化セルロースの含有量が多くなると、液体洗浄剤が高粘度化する傾向にあり、使用性が低下しやすい。
[1] (A)成分:アニオン界面活性剤と、(B)成分:半極性界面活性剤及び両性界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1種と、(C)成分:脂肪酸モノアルカノールアミド及びポリオキシエチレン脂肪酸モノアルカノールアミドからなる群より選ばれる少なくとも1種と、(D)成分:カチオン化セルロースと、を含有し、(A)成分/((B)成分+(C)成分)で表される質量比が0.5〜1.2であり、(C)成分/(D)成分で表される質量比が8〜100である、食器洗い用液体洗浄剤。
[2] 前記(A)成分が、サルフェート型界面活性剤(a1)及びスルホネート型界面活性剤(a2)を含み、(a1)成分/(a2)成分で表される質量比が3〜15である、[1]に記載の食器洗い用液体洗浄剤。
[3] (a2)成分/(D)成分で表される質量比が2〜20である、[2]に記載の食器洗い用液体洗浄剤。
[4] (A)成分/(D)成分で表される質量比が30〜60である、[1]〜[3]のいずれか1つに記載の食器洗い用液体洗浄剤。
[5] (A)成分の含有量が5〜15質量%である、[1]〜[4]のいずれか1つに記載の食器洗い用液体洗浄剤。
[6] (B)成分の含有量が5〜15質量%である、[1]〜[5]のいずれか1つに記載の食器洗い用液体洗浄剤。
[7] (C)成分の含有量が1〜15質量%である、[1]〜[6]のいずれか1つに記載の食器洗い用液体洗浄剤。
[8] (D)成分の含有量が0.05〜0.5質量%である、[1]〜[7]のいずれか1つに記載の食器洗い用液体洗浄剤。
[9] (D)成分の2質量%水溶液の粘度が50〜35000mPa・sである、[1]〜[8]のいずれか1つに記載の食器洗い用液体洗浄剤。
[10] (C)成分のHLBが10.0〜14.0である、[1]〜[9]のいずれか1つに記載の食器洗い用液体洗浄剤。
本発明の食器洗い用液体洗浄剤(以下、単に「液体洗浄剤」ともいう。)は、以下に示す(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分を含有する。
なお、本発明において、液体洗浄剤が洗浄中に希釈されて濃度が低下したときの水切れ性を特に、「低濃度時の水切れ性」ともいう。
(A)成分は、アニオン界面活性剤である。
液体洗浄剤が(A)成分を含有することで、水切れ性が高まる。
(A)成分としては、サルフェート型界面活性剤(a1)(以下、「(a1)成分」ともいう。)、スルホネート型界面活性剤(a2)(以下、「(a2)成分」ともいう。)などが挙げられる。
これらサルフェート型アニオン界面活性剤の塩の形態としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属塩;モノエタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウム、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン塩などが挙げられる。
(a1)成分は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸エステル塩としては、炭素数8〜18の直鎖又は分岐鎖のアルケニル基を有し、平均1〜10モルのオキシエチレン基(EO)を付加したもの、さらに平均0〜6モルのオキシプロピレン基(PO)を付加したもの(すなわち、ポリオキシエチレン(プロピレン)アルケニルエーテル硫酸塩)が好ましい。
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩としては、例えば、下記一般式(a1)で表される化合物が挙げられる。
R11−O−[(PO)p/(EO)q]−SO3 − 1/X・M+ ・・・(a1)
POの平均繰り返し数(すなわち、プロピレンオキシドの平均付加モル数)は、0以上、1未満であり、0が好ましい。
EOの平均繰り返し数(すなわち、エチレンオキシドの平均付加モル数)は、0超、4以下であり、1〜3が好ましい。
M+としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属塩;モノエタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウム、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン塩から誘導されるカチオン等が挙げられる。
(PO)p/(EO)qにおいて、EOとPOはランダム付加であってもよくブロック付加であってもよく、配列状態は問わない。
なお、本発明においてポリオキシエチレン(1)、ポリオキシプロピレン(0.4)等のカッコ内の数値は、前者がオキシエチレンを平均1モル付加、後者はオキシプロピレンを平均0.4モル付加されていることを表わす。
これらスルホネート型アニオン界面活性剤の塩の形態としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属塩;モノエタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウム、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン塩などが挙げられる。
(a2)成分は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
α−オレフィンスルホン酸塩としては、炭素数10〜20のα−オレフィンスルホン酸塩が好ましい。
アルキル基を有するアルカンスルホン酸塩としては、炭素数は10〜20のアルカンスルホン酸塩が挙げられ、炭素数14〜17のアルカンスルホン酸塩が好ましく、第2級アルカンスルホン酸塩が特に好ましい。
α−スルホ脂肪酸エステル塩としては、炭素数10〜20のα−スルホ脂肪酸エステル塩が好ましい。
(B)成分は、半極性界面活性剤及び両性界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1種である。
液体洗浄剤が(B)成分を含有することで、水切れ性が高まる。
なお、「半極性界面活性剤」とは、半極性界面活性剤が溶解する溶液又は分散する分散系のpHにより、陽イオン性、非イオン性となるものをいう。
アミンオキシド型界面活性剤としては、例えばアルキルアミンオキシド、アルカノイルアミドアルキルアミンオキシドなどが挙げられ、これらの中でも下記一般式(b1)で表される化合物が好ましい。
(b1)成分は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
カルボン酸塩型の両性界面活性剤の具体例としては、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシアルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシアルキルアミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン(コカミドプロピルベタイン)などが挙げられる。
(b2)成分は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
(C)成分は、脂肪酸モノアルカノールアミド及びポリオキシエチレン脂肪酸モノアルカノールアミドからなる群より選ばれる少なくとも1種である。
液体洗浄剤が(C)成分を含有することで、低濃度時の水切れ性を維持できる。
(C)成分としては、下記一般式(c1)で表される化合物が挙げられる。
nは、0〜3の数であり、1〜3の数が好ましく、1〜2の数がより好ましい。nが3以下であれば、(C)成分の疎水性が適度なものとなり、(C)成分の効果が充分に発揮され、低濃度時の水切れ性をより良好に維持できる。特に、nが1〜3の数であれば、疎水性がより適度なものとなる。
なお、一般式(c1)で表される化合物は、nが平均繰返し数を示すことからも分かるように、オキシエチレン基の繰返し数が異なる分子の混合物であってもよい。
n=0のとき、一般式(c1)で表される化合物は脂肪酸モノアルカノールアミドであり、n=1〜3のとき、一般式(c1)で表される化合物はポリオキシエチレン脂肪酸モノアルカノールアミドである。
ポリオキシエチレン脂肪酸モノアルカノールアミドとしては、例えば、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ポリオキシエチレンラウリン酸モノエタノールアミド、ポリオキシエチレンミリスチン酸モノエタノールアミド、ポリオキシエチレンパルミチン酸モノエタノールアミド、ポリオキシエチレンステアリン酸モノエタノールアミド、ポリオキシエチレンイソステアリン酸モノエタノールアミド、ポリオキシエチレンラウリン酸モノイソプロパノールアミドなどが挙げられる。
これらの中でも、低濃度時の水切れ性能により優れることから、ポリオキシエチレン脂肪酸モノアルカノールアミドが好ましく、その中でも、ポリオキシエチレンラウリン酸モノエタノールアミド、ポリオキシエチレンミリスチン酸モノエタノールアミドがより好ましく、ポリオキシエチレンラウリン酸モノエタノールアミドが特に好ましい。
(C)成分は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
なお、2種以上の(C)成分を用いる場合、これらの混合物のHLBは、各(C)成分のHLBの加重平均の値が10.0〜14.0の範囲内であることが好ましい。
有機概念図におけるIOBとは、該有機概念図における有機性値(OV)に対する無機性値(IV)の比、即ち「無機性値(IV)/有機性値(OV)」をいう。
該有機概念図とは、藤田穆により提案されたものであり、その詳細は“Pharmaceutical Bulletin”,1954,vol.2,2,pp.163−173;「化学の領域」,1957,vol.11,10,pp.719−725;「フレグランスジャーナル」,1981,vol.50,pp.79−82などで説明されている。すなわち、全ての有機化合物の根源をメタン(CH4)とし、他の化合物は全てメタンの誘導体とみなして、その炭素数、置換基、変態部、環などにそれぞれ一定の数値を設定し、そのスコアを加算して有機性値及び無機性値を求める。そして、これらの値を、有機性値をX軸、無機性値をY軸とした図上にプロットしていくものである。この有機概念図は、「有機概念図−基礎と応用−」(甲田善生著、三共出版、1984)等にも示されている。
通常、モノアルカノールアミンを反応容器に投入した後、常温のもしくは加温した脂肪酸又は脂肪酸アルキルエステルを1〜5時間かけて滴下し、反応させる。反応温度は、生成する脂肪酸モノアルカノールアミドの融点以上で行う。反応圧力は、常圧から減圧の範囲であり、減圧に設定することにより、副生するアルキルアルコールを効率的に留去できるため好ましい。脂肪酸又は脂肪酸アルキルエステルの滴下終了後から、1.2kPa以下まで徐々に減圧し、0.1〜4時間程度保持することで反応を完結させる。
(D)成分は、カチオン化セルロースである。
液体洗浄剤が(D)成分を含有することで、水切れ性が高まる。
(D)成分としては、例えば、下記一般式(d1)で表される化合物、下記一般式(d2)で表される化合物、下記一般式(d3)で表される化合物などが挙げられ、具体的には、ヒドロキシトリメチルアンモニオプロピルヒドロキシエチルセルロースクロリド、ヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウムクロリド重合体等のカチオン変性ヒドロキシエチルセルロースなどが挙げられる。これらの中でも、水切れ性の観点から、下記一般式(d1)で表される化合物が好ましい。
一般式(d2)で表される化合物の平均分子量は1万〜数十万である。
一般式(d3)で表される化合物の平均分子量は1万〜数十万である。
ここで、「カチオン化度」とは、(D)成分の分子中に占める、カチオン化剤に由来する窒素原子の含有率(質量%)、すなわち、(D)成分の総質量に対する窒素原子の含有率を意味する。
(D)成分のカチオン化度は、特定された化学構造に基づいて計算される。
(D)成分における任意のモノマーの比率が不明な場合等、(D)成分の化学構造が特定されない場合には、(D)成分のカチオン化度は、実験的に求められた窒素含有率から算出される。(D)成分中の窒素含有率の測定方法としては、例えば、ケルダール法等が挙げられる。
粘度は、25℃の(D)成分の2質量%の水溶液をB型粘度計で測定した値である。粘度の測定条件は、以下の通りである。
[ローター]
測定対象の粘度に対応するローター番号、ローター回転数は、下記の通りである。
・粘度が500mPa・s未満:ローター番号No.2、回転数60rpm。
・粘度が500mPa・s以上2000mPa・s未満:ローター番号No.3、回転数60rpm。
・粘度が2000mPa・s以上10000mPa・s未満:ローター番号No.4、回転数60rpm。
・粘度が10000mPa・s以上50000mPa・s未満:ローター番号No.4、回転数12rpm。
[数値の読み取り]
ローターの回転の開始から60秒後。
(D)成分は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
さらに、(A)成分が(a2)成分を含む場合、(a2)成分/(D)成分で表される質量比(以下、「a2/D比」ともいう。)は2〜20が好ましく、3〜10がより好ましく、4〜6がさらに好ましい。
A/D比やa2/D比が上記範囲内であれば、低濃度時の水切れ性により優れる。特に(A)成分が(a2)成分を含む場合は、A/D比が30〜60であり、かつa2/D比が2〜20であることが好ましい。
本発明の液体洗浄剤は、製造時のハンドリングのし易さ、使用する際の水への溶解性等の観点から、溶剤として水を含有することが好ましい。
液体洗浄剤は、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、(A)成分、(B)成分及び(C)成分以外の成分(任意成分)を必要に応じて含有してもよい。
任意成分としては、食器洗い用、台所用、硬質表面用又は衣料用等の洗浄剤組成物に用いられている成分が挙げられ、例えば、(A)成分、(B)成分及び(C)成分以外の界面活性剤(他の界面活性剤)、ハイドロトロープ剤、防腐剤、pH調整剤、漂白成分、金属捕捉成分、ラジカルトラップ剤、香料などが挙げられる。
他の界面活性剤としては、(C)成分以外のノニオン界面活性剤(他のノニオン界面活性剤)、カチオン界面活性剤などが挙げられる。
他のノニオン界面活性剤としては、例えば、アルキルポリグリコシドなどが挙げられる。
カチオン界面活性剤としては、例えば、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジデシルジメチルアンモニウムメトサルフェート、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、ジオクチルジメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジヒドロキシエチルアンモニウムクロライド、ジ牛脂アルキルジメチルアンモニウムクロライド、ジ(ステアロイルオキシエチル)ジメチルアンモニウムクロライド、ジ(オレオイルオキシエチル)ジメチルアンモニウムクロライド、ジ(パルミトイルオキシエチル)ジメチルアンモニウムメトサルフェート、ジ(ステアロイルオキシイソプロピル)ジメチルアンモニウムクロライド、ジ(オレオイルオキシイソプロピル)ジメチルアンモニウムクロライド、ジ(オレオイルオキシブチル)ジメチルアンモニウムクロライド、ジ(ステアロイルオキシエチル)メチルヒドロキシエチルアンモニウムメトサルフェート、トリ(ステアロイルオキシエチル)メチルメトサルフェートなどが挙げられる。なお、「牛脂アルキル」基の炭素数は14〜18である。
他の界面活性剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
液体洗浄剤がハイドロトロープ剤を含有することにより、主として、液体洗浄剤の保存安定性(特に低温安定性)が向上して、透明外観をより安定に確保しやすくなる。
ハイドロトロープ剤としては、例えば、トルエンスルホン酸、トルエンスルホン酸塩、クメンスルホン酸、クメンスルホン酸塩、安息香酸、安息香酸塩、エタノールなどが挙げられる。
ハイドロトロープ剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
液体洗浄剤が防腐剤を含有することにより、液体洗浄剤に微生物等が混入しても、菌の増殖が抑制される。
防腐剤としては、例えば、イソチアゾリン系化合物が挙げられ、具体的には、ベンズイソチアゾリノン(1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン)、メチルイソチアゾリノン(2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン)、ブチルベンズイソチアゾリノン、クロロメチルイソチアゾリノン、オクチルイソチアゾリノン、ジクロロオクチルイソチアゾリノン等が挙げられる。
防腐剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
pH調整剤としては、例えば、無機アルカリ剤、有機アルカリ剤などが挙げられる。
無機アルカリ剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどが挙げられる。これらの中でも、液体洗浄剤の保存安定性が向上しやすいことから、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化物が好ましい。
有機アルカリ剤としては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルプロパノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、N−(β−アミノエチル)エタノールアミン、ジエチレントリアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン等のアミン化合物などが挙げられる。これらの中でも液体洗浄剤の保存安定性が向上しやすいことから、モノエタノールアミンが好ましい。
なお、液体洗浄剤のpHが高すぎる場合には、pH調整剤として、例えば塩酸、硫酸等の無機酸;酢酸、クエン酸等のカルボン酸などの酸を用いてもよい。
本発明の液体洗浄剤は、例えば、上述した(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分と、必要に応じて任意成分とを、水に溶解し、pH調整剤を用いて所定のpHに調整することによって製造できる。
本発明の液体洗浄剤の25℃でのpHは、6〜8が好ましい。液体洗浄剤の25℃でのpHが上記範囲内であれば、水切れ性がより向上する。
本発明において、液体洗浄剤のpH(25℃)は、JIS Z 8802:1984「pH測定方法」に準拠した方法により測定される値を示す。
液体洗浄剤のpHは、上述したpH調整剤を用いて調整すればよい。
以上説明した本発明の液体洗浄剤においては、(A)成分と(B)成分と(C)成分と(D)成分とを特定の比率で含有するので、濃度が低下する前はもちろんのこと、食器等の洗浄対象物の洗浄中に液体洗浄剤が希釈されて濃度が低下しても、優れた水切れ性を発揮できる。係る理由は以下のように考えられる。
優れた水切れ性は(A)成分と(B)成分と(D)成分とによって、カチオン性を保ちながら、疎水的なコンプレックス(会合体)を形成し、その会合体が洗浄対象物の表面に均一に吸着することにより発現する。しかし、液体洗浄剤の濃度が低下すると、必然的に各成分の濃度も低下するため、会合体の量が減り、水切れ性が充分に発現しにくくなる。
そこで、(C)成分を他の成分との質量比が特定の割合になるように加えることにより、会合体に(C)成分が取り込まれる。その結果、会合体の量が増えるとともに、会合体の疎水性も高まるため、液体洗浄剤が低濃度になっても優れた水切れ性を発揮できると考えられる。特に、(C)成分のHLBが10.0〜14.0であれば、あるいは、(C)成分が上記一般式(c1)で表される化合物である場合に式(c1)中のnが3以下であれば、(C)成分の疎水性が適度なものとなるため、会合体に取り込まれやすくなり、低濃度時の水切れ性をより良好に維持できる。また、(C)成分を取り込んだ会合体の疎水性も適度なものとなる。その結果、会合体の疎水性が高くなりすぎないため、洗浄対象物への吸着性を良好に維持できる。
洗浄対象物の例としては、食器、調理器具等の台所用品などが挙げられる。
(A)成分として、以下に示す化合物を用いた。
・A−1:ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム(AES)、上記一般式(a1)中、R11=炭素数12〜14の直鎖アルキル基、p=0、q=1、M=ナトリウム、X=1。下記合成方法により合成されたもの。
・A−2:炭素数10〜14のアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(LAS)、テイカ株式会社製の商品名「テイカパワーL121」が水酸化ナトリウムで中和されたもの。
・A−3:炭素数14〜17の2級アルカンスルホン酸ナトリウム(SAS;クラリアントジャパン株式会社製、商品名「HOSTAPUR SAS 30A」)。
4Lオートクレーブ中に、原料アルコールとしてP&G社製の商品名「CO1270アルコール(C12/C14=75%/25%、質量比)」400gと、反応用触媒として水酸化カリウム0.8gとをそれぞれ仕込み、オートクレーブ内を窒素で置換した後、撹拌しながら昇温した。続いて、温度を180℃、圧力を0.3MPa以下に維持しつつ、エチレンオキシド91gを導入し、反応させた。得られたポリオキシアルキレンエーテルのエチレンオキシドの平均付加モル数は1であった。
次いで、得られたポリオキシアルキレンエーテルのエチレンオキシド237gを撹拌装置付の500mLフラスコにとり、窒素置換した後、液体無水硫酸(サルファン)96gを反応温度40℃に保ちながらゆっくりと滴下した。滴下終了後、撹拌を1時間続け(硫酸化反応)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸を得た。
次いで、得られたポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸を水酸化ナトリウム水溶液で中和することにより、A−1を得た。
・B−1:n−ドデシルジメチルアミンオキシド(AX;ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製、商品名「カデナックスDM12D−W」)。上記一般式(b1)中、R21=炭素数12の直鎖アルキル基、R22=メチル基、R23=メチル基、r=0。
・B−2:ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド(APAX;クラリアントジャパン株式会社製、商品名「GENAMINOX AP」)。上記一般式(b1)中、R21=炭素数12の直鎖アルキル基、R22=メチル基、R23=メチル基、R24=プロピレン基、r=1。
・B−3:コカミドプロピルベタイン(CAPB;東邦化学工業株式会社製、商品名「オバゾリンCAB−30」)。
・C−1:ポリオキシエチレンラウリン酸モノエタノールアミド(ラウリン酸モノエタノールアミドのエチレンオキシド平均1モル付加物、HLB12.3)。上記一般式(c1)中、R31=炭素数11の直鎖アルキル基、R31=水素原子、n=1。下記合成方法により合成されたもの。
・C−2:ポリオキシエチレンラウリン酸モノエタノールアミド(ラウリン酸モノエタノールアミドのエチレンオキシド平均2モル付加物;川研ファインケミカル株式会社製、商品名「アミゼット2L−Y」、HLB13.1)。上記一般式(c1)中、R31=炭素数11の直鎖アルキル基、R31=水素原子、n=2。
・C−3:ポリオキシエチレンラウリン酸モノエタノールアミド(ラウリン酸モノエタノールアミドのエチレンオキシド平均3モル付加物、HLB15.1)。上記一般式(c1)中、R31=炭素数11の直鎖アルキル基、R31=水素原子、n=3。下記合成方法により合成されたもの。
・C−4:ポリオキシエチレンミリスチン酸モノエタノールアミド(ミリスチン酸モノエタノールアミドのエチレンオキシド平均2モル付加物、HLB11.8)。上記一般式(c1)中、R31=炭素数13の直鎖アルキル基、R31=水素原子、n=2。下記合成方法により合成されたもの。
・C−5:ポリオキシエチレンミリスチン酸モノエタノールアミド(ミリスチン酸モノエタノールアミドのエチレンオキシド平均3モル付加物、HLB13.6)。上記一般式(c1)中、R31=炭素数13の直鎖アルキル基、R31=水素原子、n=3。下記合成方法により合成されたもの。
・C−6:ラウリン酸モノエタノールアミド(HLB10.7)。上記一般式(c1)中、R31=炭素数11の直鎖アルキル基、R31=水素原子、n=0。下記合成方法により合成されたもの。
・C−7:ミリスチン酸モノエタノールアミド(HLB9.4)。上記一般式(c1)中、R31=炭素数13の直鎖アルキル基、R31=水素原子、n=0。下記合成方法により合成されたもの。
・C’−1(比較品):ラウリン酸ジエタノールアミド(川研ファインケミカル株式会社製、商品名「アミゾールLDE」、HLB12.5)。
2Lの4つ口フラスコに撹拌器と冷却管とを据え付け、ラウリン酸メチルエステルに対してモル比1.05倍量のモノエタノールアミンを仕込み、さらに触媒としてナトリウムメチラート(28質量%溶液)をラウリン酸メチルエステル100質量部に対して0.25質量部(純分換算)仕込んだ。
ここに、反応温度100℃、圧力40kPa(減圧下)において、ラウリン酸メチルエステルを3時間かけて滴下し、アミド化反応を行った。滴下終了後、1.3kPaに減圧して4時間熟成することにより、C−6を得た。
ラウリン酸メチルエステルに代えて、ミリスチン酸メチルエステルを用いた以外は、C−6の合成方法と同様にして、C−7を得た。
C−6の合成方法と同様にしてラウリン酸モノエタノールアミドを得た。
得られたラウリン酸モノエタノールアミド(触媒のナトリウムメチラートをそのまま含む)を2Lオートクレーブに仕込み、反応温度100℃、反応圧力として常圧から0.4MPaまでの条件下で、エチレンオキシドガスを、ラウリン酸モノエタノールアミドに対して1.0モル当量分を1時間かけて吹き込むことで反応を行い、さらに系内の圧力が変化しなくなるまで30分間熟成を行うことにより、C−1を得た。
エチレンオキシドガスの量を、ラウリン酸モノエタノールアミドに対して3.0モル当量分に変更した以外は、C−1の合成方法と同様にして、C−3を得た。
C−7の合成方法と同様にしてミリスチン酸モノエタノールアミドを得た。
得られたミリスチン酸モノエタノールアミド(触媒のナトリウムメチラートをそのまま含む)を2Lオートクレーブに仕込み、反応温度100℃、反応圧力として常圧から0.4MPaまでの条件下で、エチレンオキシドガスを、ミリスチン酸モノエタノールアミドに対して2.0モル当量分を1時間かけて吹き込むことで反応を行い、さらに系内の圧力が変化しなくなるまで30分間熟成を行うことにより、C−4を得た。
エチレンオキシドガスの量を、ミリスチン酸モノエタノールアミドに対して3.0モル当量分に変更した以外は、C−4の合成方法と同様にして、C−5を得た。
・D−1:カチオン化セルロース1(ダウ・ケミカル社製、商品名「UCARE JR 125」、第4級窒素含有率1.9質量%、25℃における2質量%水溶液の粘度130mPa・s)。
・D−2:カチオン化セルロース2(ダウ・ケミカル社製、商品名「UCARE JR 400」、第4級窒素含有率1.9質量%、25℃における2質量%水溶液の粘度400mPa・s)。
・D−3:カチオン化セルロース3(ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製、商品名「レオガードGP」、第4級窒素含有率1.8質量%、25℃における2質量%水溶液の粘度300mPa・s)。
・D−4:カチオン化セルロース4(ダウ・ケミカル社製、商品名「UCARE LR 30M」、第4級窒素含有率1.0質量%、25℃における2質量%水溶液の粘度30000mPa・s)。
なお、25℃における2質量%水溶液の粘度は、上記測定条件に基づき測定した。
・エタノール:関東化学株式会社製。
・pTS−H:パラトルエンスルホン酸(関東化学株式会社製)。
・安息香酸Na:安息香酸ナトリウム(関東化学株式会社製)。
・MIT:2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン(ダウ・ケミカル社製、商品名「ネオロン M−10」)。
・BIT:1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン(アーチケミカルズ社製、商品名「PROXEL XL2」)。
・クエン酸:扶桑化学株式会社製の商品名「クエン酸(無水)」。
<液体洗浄剤の調製>
表1〜4に示す配合組成の液体洗浄剤1000gを以下の手順にて調製した。
1Lビーカーに(A)成分と、エタノールと、pTS−Hと、安息香酸Naと、クエン酸とを入れ、マグネチックスターラー(Fine社製、商品名「F−606N」)で充分に撹拌した。続いて、(B)成分と、(C)成分又は(C’)成分と、その他の任意成分とを加え、混合した後、(D)成分を加えてさらに混合した。混合終了後、25℃でのpHが7.8になるように、必要に応じpH調整剤(水酸化ナトリウム、硫酸)を適量添加した後、全体量が100質量%になるように水(蒸留水)を加え、さらによく撹拌し、液体洗浄剤を得た。
液体洗浄剤のpH(25℃)は、液体洗浄剤を25℃に調温し、ガラス電極式pHメーター(東亜ディーケーケー株式会社製、商品名「HM−30G」)を用い、ガラス電極を液体洗浄剤に直接に浸漬し、1分間経過後に示すpHを測定した。測定方法は、JIS Z 8802:1984「pH測定方法」に準拠して行った。
得られた各例の液体洗浄剤について、以下のようにして、水切れ性を評価した。結果を表1〜4に示す。
汚れが付着していない直径18.5cmの陶器皿を洗浄対象物とした。
11.5cm×7.5cm×3cmの食器洗い用スポンジに、水道水39.6gと液体洗浄剤0.4gをとり(すなわち、液体洗浄剤の濃度1質量%)、10回手で揉んだ後、洗浄対象物の陶器皿1枚の表面を10回、擦り洗いした。その後、水道水で充分にすすいだ。この陶器皿をほぼ垂直になるように、市販の食器かごに立てかけ、目視により観察しながら陶器皿から水が流れ落ちて陶器皿表面全体の100%の面積に水が付着していない状態になるまでの時間(100%水切れ時間)を計測し、以下の評価基準にて評価した。○、◎、◎◎を合格とする。
◎◎:100%水切れ時間が30秒以下である。
◎:100%水切れ時間が30秒を超え、60秒以下である。
○:100%水切れ時間が60秒を超え、180秒以下である。
×:100%水切れ時間が180秒を超える(最大300秒まで計測)。
また、「A/(B+C)比」は、(A)成分/((B)成分+(C)成分)で表される質量比である。「C/D比」は、(C)成分/(D)成分で表される質量比である。「A/D比」は、(A)成分/(D)成分で表される質量比である。「a1/a2比」は、(a1)成分/(a2)成分で表される質量比である。「a2/D比」は、(a2)成分/(D)成分で表される質量比である。
なお、実施例1の液体洗浄剤について、濃度5質量%(水道水38gに対して液体洗浄剤2g)の状態にして水切れ性の評価を行ったところ、100%水切れ時間は22秒であり、水切れ性に優れていた。
よって、本発明の液体洗浄剤であれば、濃度が低下する前はもちろんのこと、洗浄対象物の洗浄中に液体洗浄剤が希釈されて濃度が低下しても、優れた水切れ性を発揮できる。
A/(B+C)比が0.4又は1.3である比較例5、6の液体洗浄剤は、低濃度時の水切れ性に劣っていた。
(C)成分の代わりにラウリン酸ジエタノールアミド(C’−1)を用いた比較例7の液体洗浄剤は、低濃度時の水切れ性に劣っていた。
C/D比が4又は140である比較例8、9の液体洗浄剤は、低濃度時の水切れ性に劣っていた。
Claims (2)
- (A)成分:アニオン界面活性剤と、
(B)成分:半極性界面活性剤及び両性界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1種と、
(C)成分:脂肪酸モノアルカノールアミド及びポリオキシエチレン脂肪酸モノアルカノールアミドからなる群より選ばれる少なくとも1種と、
(D)成分:カチオン化セルロースと、
を含有し、
(A)成分/((B)成分+(C)成分)で表される質量比が0.5〜1.2であり、
(C)成分/(D)成分で表される質量比が8〜100である、食器洗い用液体洗浄剤。 - 前記(A)成分が、サルフェート型界面活性剤(a1)及びスルホネート型界面活性剤(a2)を含み、
(a1)成分/(a2)成分で表される質量比が3〜15である、請求項1に記載の食器洗い用液体洗浄剤。
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