JP2010151906A - ベルト駆動機構、定着装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】無端ベルトを押圧部材と駆動ローラで挟持し駆動するベルト駆動機構における、ベルトのスラスト方向の寄りを検知する寄り検知手段と、前記駆動ローラと押圧部材間の押圧力を、前記駆動ローラの軸方向両端部で異なる押圧力に調節するための押圧力調節手段とを具備させる。
【選択図】図4
Description
一般に電子写真方式の画像形成装置では、特に朝一でユーザが電源をオンしてから、マシンが使用可能になるまでには定着部材が狙いの温度に早く到達する必要があり、定着装置の使用可能までのウォームアップ時間の短縮はユーザのお待たせ時間を短縮するために重要な課題となっている。
この課題を達成するために定着部材の熱容量を低減することで、定着装置のウォームアップ時間を短縮する定着装置が開発され広く使用されている。その中には熱容量の小さな定着フィルムと対向する回転体によりニップを形成したものがある。また定着部材としてベルトを用い、ベルトを二つ以上の回転体(=ローラ)により張架したベルト駆動機構となし、そのうち一方の端部の回転体は定着ニップを形成する目的で熱伝導性の低い回転体を用い、ベルト外周側で対向する回転体とニップを形成し、ベルトを張架する他方端部の回転体に熱源を設けたものが見られる。熱源としてもヒータ以外にも、熱容量の小さな定着部材を誘導加熱により直接発熱させるものが見受けられるようになってきている。
一般に、ベルト駆動機構では、ベルト部材の幅方向の位置ずれを防止する必要がある。画像形成装置においても、ベルト定着ではベルトのスラスト方向の寄りが問題となる。例えば、特許文献2の画像形成装置では、ベルト部材としての中間転写ベルトの回転方向上流側に当接するローラ端部側方向に寄せるような力を与えるようにしてある。これにより、中間転写ベルトは所定の方向に付勢され、中間転写ベルトに設けられた寄り止め部材がテンションローラの上記端部側とは反対側の端部に突き当たり、幅方向の位置が規制される。ベルト部材の幅方向の位置ずれの問題は定着ローラと加圧ローラとの間のスラスト方向の圧力バランスが均衡に保てていない時に起こる事は良く知られている。
また、請求項2に記載の発明は、画像形成装置に用いる定着装置であって、加熱ローラと、前記加熱ローラと平行に配置された定着ローラと、前記加熱ローラと前記定着ローラとに張り渡され、前記加熱ローラにより加熱されるとともにこれらのローラによって回転される無端帯状のトナー加熱媒体と、前記トナー加熱媒体を介して前記定着ローラに圧接され定着ニップ部を形成する加圧部材と、前記トナー加熱媒体を押圧部材との間で挟持して被定着物の搬送方向へと駆動するための駆動ローラとを具備した定着装置において、前記トナー加熱媒体のスラスト方向の寄りを検知する寄り検知手段と、前記駆動ローラと前記押圧部材間の押圧力を、前記駆動ローラの軸方向両端部で略均等にまた互いに異なる押圧力に調節するための押圧力調節手段とを備え、前記押圧力調節手段が、前記駆動ローラの非修正動作時には軸方向で略均等な押圧力を前記寄り検知手段からの出力に応じて軸方向両端部で異ならせることにより、前記トナー加熱媒体のスラスト方向の寄りを修正することを特徴とする。
また、請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の定着装置において、前記トナー加熱媒体を介して前記定着ローラに圧接された加圧部材として、加圧ローラを具備したことを特徴とする。
また、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の定着装置において、前記加圧ローラが、該加圧ローラを周回して張設されている加圧ベルトを介して前記定着ローラと圧接されていることを特徴とする。
また、請求項6に記載の発明は、請求項4または5に記載の定着装置において、前記定着ローラを前記駆動ローラとし前記加圧ローラを前記押圧部材として用いる、もしくは前記加圧ローラを前記駆動ローラとして機能させることを特徴とする。
また、請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の定着装置において、前記押圧力調節手段は、前記加圧ローラもしくは前記定着ローラのジャーナル部を押圧して偏倚させるために、前記加圧ローラもしくは前記定着ローラの端部ジャーナル部付近に配置されたカム機構と当該カム機構を駆動制御する制御部とを含み構成されており、前記寄り検知手段からの出力に応じて前記駆動ローラの軸方向両端部での押圧力を異ならせて前記トナー加熱媒体のスラスト方向の寄りを修正することを特徴とする。
また、請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の定着装置において、前記左右のカム機構のカムは、実質的に同軸上に配置され、左右の回転カム機構のカム形状を左右で異ならせて回転角に応じたカムシフト量の増減量が左右で異なり、且つ回転の向きにより左右のカムでカムシフト量の増減方向が逆になるように構成してあることを特徴とする。
また、請求項11に記載の発明は、請求項5または6に記載の定着装置において、前記押圧力調節手段は、一端部を揺動可能に固定した前記加圧ローラもしくは前記定着ローラの他端部のジャーナル部を押圧して偏倚させるために、前記他端部付近に配置されローラ端部を押圧する回転カム機構と、当該回転カム機構を駆動制御する制御部とを含み構成され、前記回転カム機構はそのカム形状が、ローラ間の押圧力がローラ軸方向で左右均等となる所定回転位置からの回転の向きに対応してカムシフト量の増減方向が逆になるように構成してあり、前記回転カム機構を押圧力左右均等となる前記所定回転位置から前記寄り検知手段からの出力に応じて制御して加圧ローラもしくは前記定着ローラの軸方向両端部での押圧力を異ならせることで前記トナー加熱媒体のスラスト方向の寄りを修正することを特徴とする。
また、請求項13に記載の発明は、請求項12に記載の定着装置において、前記回転角α1からα2までの範囲のカムリフト量a(α)とb(α)の差、及び前記回転角γ1からγ2までの範囲のカムリフト量a(γ)とb(γ)の差は連続的に変化することを特徴とする。
また、請求項15に記載の発明は、請求項7乃至14のいずれか一項に記載の定着装置において、前記カムは板カムであることを特徴とする。
また、請求項16に記載の発明は、請求項7乃至15のいずれか一項に記載の定着装置において、前記回転カム機構は前記加圧ローラもしくは前記定着ローラを押圧方向に付勢するためのスプリングを有したレバー機構を備えていることを特徴とする。
また、請求項17に記載の発明は、画像形成装置であって、請求項2乃至16のいずれか一項に記載の定着装置を備えていることを特徴とする。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。本実施形態では、定着ベルトがスラスト方向の左右どちらかに寄っている事を検知する寄り検知手段(検知部)を持ち、且つ加圧ローラもしくは定着ローラを押圧するためのカムが長尺カム軸の左右で異なる形状であることを特徴としている。寄り検知手段からの情報により、カム駆動制御部はカムを任意の回転角度に調節することとし、その調節は定着ベルトの回転中に行われる。
図1は本発明の第1の実施形態の画像形成装置100の全体構成を横断面図で示す概略図である。また、図2は本発明の特徴となる、熱定着装置300の概略構成を模式的に示した側面図、図3は同じく上面図である。これらの基本の構成及び動作について簡略に触れる。なお、この種の画像形成装置は周知であるため、詳細については以下の説明にては省略している。
第1実施形態の画像形成装置(カラープリンタ)100は、タンデム型間接転写方式の電子写真式の画像形成装置である。画像形成装置本体には、中央に、無端ベルト状の中間転写体(以下では中間転写ベルトと記載)11を設ける。中間転写ベルト11は、多層構造となっておりベース層を例えば伸びの少ないフッ素樹脂やPVDFシート、ポリイミド系樹脂でつくり、表面をフッ素系樹脂等の平滑性のよいコート層で被ってある。そして、図1に示すとおり、図示例では中間転写ベルト11は、支持ローラ10・12・34・35(34が駆動ローラ)に掛け回して図中反時計回りに回転搬送可能になっている。
また、支持ローラ12と支持ローラ35間に張り渡した中間転写ベルト11上には、その搬送方向に沿って、マゼンタ、シアン、イエロー、ブラックの4つの画像形成手段(a、b、c、d)を横に並べて配置してタンデム画像形成装置を構成している。
そのタンデム画像形成装置の下には、図1に示すように、さらに露光装置4を設ける。一方、中間転写ベルト11の駆動方向に関して1次転写ローラ群20より下流の支持ローラ35の対向側には、二次転写装置を備えている。二次転写装置は、図示例では、二次転写ローラ200Aで構成し、中間転写ベルト11を介して支持ローラ35に押し当てて配置し、二次転写ローラ200Aにより搬送されニップ部を通過するシート上に中間転写ベルト11上の重ね合わせトナー画像を一括二次転写する。転写後のシートは、図示を省略した適宜の搬送手段により定着装置300へと搬送される。なお、符号32は排出ローラ、31は搬送路、40は排紙トレイである。
二次転写装置(二次転写ローラ200A)の上部には、シート上の転写画像を定着する定着装置300を設けてある。定着装置300は、定着ヒータ301を内包した加熱ローラ302と定着ローラ303との間に定着ベルト304を巻回して張設し、定着ローラ303に定着ベルト304を介して定着用の加圧ローラ305を押し当てて構成されている。本実施形態の特徴部である、この定着装置300については図2、図3を用いて、後で更に詳細に説明する。
つぎに、上記画像形成装置の画像形成動作の概略について説明する。不図示のスタートスイッチが押されると、不図示の駆動モータで支持ローラ34を回転駆動して他の3つの支持ローラ10・12・35を従動回転し、中間転写ベルト11を回転駆動搬送する。同時に、個々の画像形成手段a、b、c、dでそれぞれの感光体1を回転して、感光体1の回転とともに、帯電装置3で感光体1の表面を一様に帯電する。
次いで、画像データに従って露光装置4からのレーザによる書込み光を照射して各感光体1上に静電潜像を形成する。その後、各現像装置5によりトナーが付着され静電潜像を可視像化することで各感光体1上にそれぞれ、マゼンタ、シアン、イエロー、ブラックの単色画像を形成する。そして、中間転写ベルト11の搬送とともに、それらの単色画像を順次転写して中間転写ベルト11上に重ね合わせされた合成カラー画像を形成する。
そして、中間転写ベルト11上の合成カラー画像にタイミングを合わせてレジストローラ28を回転し、中間転写ベルト11と二次転写装置(二次転写ローラ200A)との間にシートを送り込み、二次転写装置で転写してシート上にカラー画像を記録する。二次転写後のシート(記録媒体)は、二次転写装置で搬送して定着装置300へと送り込まれ、定着装置300で熱と圧力とを加えて転写画像が定着され、その後、排出ローラ32で排出されて排紙トレイ40上にスタックされる。
一方、画像を転写した後の中間転写ベルト11は、中間転写ベルトクリーニング装置25で、画像転写後に残留する残留トナーを除去され、タンデム画像形成装置による再度の画像形成に備える。
図2の拡大側面図及び図3の拡大上面図で示したように、この定着装置300は、定着ヒータ301を内包した加熱ローラ302と定着ローラ303との間にトナー加熱媒体である定着ベルト304を巻回して張設し、定着ローラ303に定着ベルト304を介して定着用の加圧ローラ305を押し当てて構成した熱定着ベルト方式を採用しており、特に、定着ベルト304の両側方縁部(側縁部)にはベルト寄り検知手段306が、また、加圧ローラ305の軸方向両端部付近それぞれにカム機構が備えられている。すなわち、加圧ローラ305の両端ジャーナル部を押圧するための左右一対のカム機構として、カム軸401を共用し、このカム軸401の一端に取り付けたカム(本体):410Aを含むカム機構400A、及び同じカム軸401の他端に固着したカム(本体):410Bを含むカム機構400B備えられている。
本実施形態では、カム軸401を共用して、各カムの駆動力は単一のアクチュエータ405から得ている。また、図示されない電子基板上に、アクチュエータ制御駆動部が備えられている。なお、図示例のカム機構400では、カムフォロア402及びレバー403を用いてあり、左右のカムは加圧ローラ及び定着ローラのジャーナル部をレバー403を介して押圧し、さらにレバー403には加圧スプリング404による押圧力も加わるようにしているが、レバー等を用いずに左右のカムにより、直接加圧ローラ軸受け307の軸端部を夫々に押圧する構成としても構わない。この場合は、適宜の付勢手段によって、カムの摺接面とこれに圧接する部材を常時当接状態にする。なお、2つのカム機構を別個のカム軸と夫々の駆動源を備えた構成としても良く、この場合には左右のカム機構が同期して回動するように制御すれば良い。
図4(a)、(b)は本実施形態で特徴的なカム形状と左右のカムの取り付け状態(固定角度)の一例を示した側方から見た(カム軸方向、先の図1及び図2における紙面側から見た)側面図であり、図4(a)にカムAのカム形状を、図4(b)には、これと同一のカム軸に固定された対応するカムBのカム形状(同じく紙面側から見た状態)を同一角度(姿勢)で示してある。また、図4(c)は、左右2つのカムA・カムBの、回転角度に対応した、それぞれのカムシフト量を重ねて示した両カムの具体的なタイミング線図の一例である。実線は、カムAのカムシフト量を、破線はカムBのカムシフト量を夫々表している。
図4のように同一方向から見た場合にカムAとカムBは同一形状ではない(面対称でない)。但し、上死点は一致していて、ベルトの正常搬送時のカム保持位置(=非修正動作時静止回転角度)において、カムA、カムBそれぞれに対応したカムフォロア402と対向して接触点となる。本明細書では、上死点を基準当接点と記すことがある。カムA、カムBは、カム軸の所定角度範囲内での正逆の回動に応じて揺動回転する(図4中矢印Rの向きを以下、正転方向と言う)。
一方、前述の上死点近傍区間の他方の端β2から矢印Rとは逆の向き(以下、逆転方向と言う)にカムが回動した場合に対応して回転角度:γ1までの回転角区間においてはカムリフト量が連続的に緩慢に減少し、続く回転角γ1から回転角γ2の回転角区間(後述の第2調整時動作点)においてはカムリフト量a(γ)は一定になっている。この第2調整時動作点のカムリフト量a(γ)は、先述のカムリフト量a(α)に比べてより大きい値になっている。このようにカムAでは、回転角区間に於いて、上死点近傍部から回転角度の向きに応じてカム形状が異なり、左右のカムリフト量の変化曲線は異なっている。
また、β2から回転角度:γ1までの回転角区間においてはカムリフト量が連続的に急峻に減少し、続く回転角γ1から回転角γ2の回転角区間(第2調整時動作点)においてはカムリフト量b(γ)は一定になっている。この第2調整時動作点のカムリフト量a(γ)は、カムリフト量b(α)に比べて小さい値になる。また、カムリフト量a(γ)は、既述したカムAの第2調整時動作点でのカムリフト量a(γ)に比べて小さい値になっている。以上形状について説明したカムA及びカムBが、一つのカム軸401の両端夫々に、既に説明したように線対称位置に上死点(領域)を周方向に一致させて線対称姿勢で(取り付け角で)、すなわち、軸方向同一側から見て図4に示した姿勢で、嵌合その他の適宜の方法で固着されてカム機構400に組み込まれている。
こうして、結果的に基準当接点(上死点)以外の回転角区間においては加圧ローラの軸方向左右でのカムリフト量は異なり、従って転写ベルト及び駆動ローラに対しての軸方向左右の端部で押圧力が異なることになる。また、カム軸の回動方向に応じて、軸方向の左右どちらの端部の押圧力がより減少するかが決まる。なお、言うまでもないが、カムA、カムBの動作時回動範囲全域におけるカムリフト量については、ローラ間の押圧力が常に本来の定着処理動作に不都合が生じない押圧力範囲に留まるように設定されている。
なお、上述説明ではカムA及びカムBと区別して、別な物のように説明しているが、実施形態の場合は、実際上はこれまでカムAとして説明した単一種類の板カムのみを用意すれば足り、軸端左右2つのカムAが上死点を一致した軸対称姿勢となるように一方のカムを裏返してカム軸401に固着させることで、実施形態の上述したカム機構400が構成でき部品共通化ができて合理的である。
なお、制御部(制御手段)19は、図示した以外の周知の構成要素も含み構成され、また、図示しない装置各部の駆動装置等が接続されていて画像形成装置全体の周知の制御も行っている。例えば、適正な画像が得られるようにプロセス制御や、トナー補給制御のためのトナー補給量の最適化なども行ったりしているが、これらの周知構成・周知機能については、特には説明しない。
ベルトが(左方向について)規定のずれ量範囲内で走行している場合には、光反射型フォトセンサ16に受光があり規定電圧が得られ(検知出力としては無し)、ステップS02の判定結果はNOとなり、ステップS06に移行してベルト右側縁部の光反射型フォトセンサ17からの出力の有無を判定する(ベルト右側ずれ検知出力検知)。ベルトが(右方向について)規定のずれ量範囲内で走行している場合には、光反射型フォトセンサ17に受光があり規定電圧が得られ(検知出力としては無し)、ステップS02の判定結果はNOとなる。この場合は、ベルトに左右いずれの方向に対してもずれが無いので、(ステップ01)に戻る。
ベルトが正常走行位置まで戻ると(ステップS04:NO)、回転駆動制御回路18を制御してカム機構400を前記所定回動角度だけ逆転方向に回動させた後に停止させる(S05)。これにより、カムが第1の修正位置から定常回動位置に戻り、“ベルトの左側の押圧力=ベルトの右側の押圧力”となる。以降(ステップS01)に移行して規定監視インターバル毎のずれ監視を繰り返す。
なお、上述した各修正監視処理(ステップS04、ステップS08)において、更に計時要素を加味して、規定短時間内に修正が終了しない場合には、エラー出力を行いユーザに不具合を報知する或は装置を停止させる機能を設けるようにするのが好ましい。このようにすれば、寄り検知手段に故障が生じた場合、及びベルト寄り修正機能のその他の部分に故障が生じた場合に対応できる。
以上説明した実施形態とは異なった形状のカムを用いることもできる。例えば、図7は、異なるカム形状とした場合の具体的なタイミング線図の一例を示したものである。カム以外の部分は、全て前実施形態と同じで良く、重複する説明はしない。
図中で先の図4(c)と同一符号を付した部分は、略対応する部分を示している。この第2の実施形態の場合、左右のカムA2、カムB2では、その形状が、回転角(β1〜β2)の区間については、図4(c)の場合と同様でカムA2、カムB2ともにカムリフト量a(β)は一定であるが、カムA2ではこの区間の端に続く、回転角度:β2から回転角度:γ1までの回転角区間においてもカムリフト量は変化せずa(β)ままで一定になっている。回転角度:γ1以降はカムリフト量は連続的に減少する。そして、回転角(β1〜β2)の区間の他方の端β1から回転角度:α2までの回転角区間においては図4と同様にカムリフト量が連続的に急峻に減少し、続く回転角α2から回転角α1の回転角区間においてはカムリフト量a(α)は一定になっている。
このカムA2と対となるカムB2は、カムA2と軸対称の形状及び姿勢でカム軸に取り付けられている。すなわち、図7に示すように、回転角度:β2から回転角度:α2までの回転角区間においてはカムリフト量は変化せずa(β)であり、この区間の端に続く回転角度:β2から回転角度:γ1までの回転角区間においてカムリフト量が連続的に急峻に減少し、続く回転角γ1から回転角γ2の回転角区間においてはカムリフト量は一定(b(γ)=a(α))になっている。そして、回転角(β2〜α2)の区間に続く端α2以降はカムリフト量は連続的に減少する。
このようなカム形状としたカム機構を、やはりアクチュエータにより左右にその回転角度を制御することで、加圧ローラに於いてより細かな左右圧力差(従って、ニップ部の押圧力差)を作り出して(調節)、トナー加熱媒体のスラスト方向の寄りをより細かに修正することが可能になっている。このように、左右のカムリフト量の差を回転角と比例させ連続的に変化させることで、より細やかな加圧ローラの左右圧力偏差を作り出すことが可能となる。
更に異なるカム形状の例を挙げる。これまで、例示したカムは、通常動作点範囲(回転角:β1〜β2)から、回転によって回転方向に応じて左右の押圧力に差が生じるが、その際に必ず押圧力の和が減少するようになっている。しかし、これに限らず通常動作点範囲から回転(揺動)すると、必ず左右の押圧力の和が増大しながら回転方向に応じて左右の押圧力に差が生じるようにしても良く、回転角に応じたカムシフト量の増減量が左右で異なり、且つ回転の向きにより左右のカムでカムシフト量の増減方向が逆に増大する形状のカム(カムA3、B3。形状図は省略。)によっても構成できる。この場合の具体的なタイミング線図の一例を図8に示す。通常動作点範囲から回動した調整時には押圧力の和が増大するとともに、やはり回転方向に応じてローラの左右の押圧力に差が生じ、定着ベルト304の幅方向の位置ずれを修正することが可能になる。
以上説明した各実施形態では、左右違う形状のカムを同一軸上の単一のアクチュエータで同時に駆動させており、安価に所望の効果が得られている。また、左右で形状が違うカムでも、ある回転角度においては同一のカムリフト量が得られることで、定着ベルト寄りが起こらない場合に安定した加圧力を与えることが出来ている。その他、レバーを用いることで、テコの原理を利用しアクチュエータの負担を軽減することが可能になっている。またさらにスプリングを用いる事で同様の効果を得ることが出来ている。なお、上述した夫々の実施形態でのカム形状の場合、回転角度により左右どちらのカムリフト量がどの程度大きくなるかを決めておく事で加圧ローラの左右圧力偏差をコントロールする事が可能である。
図9に示す如くに、より単純な形状のカムによって、本発明に係るカム機構を構成することもできる。図9では、先の図4(a)、(b)に準じ、より簡略化して示した(タイミング線図は省略した)。図9に示したカムC、カムDは、共に半円周と半楕円周を組み合わせたカム形状の板カムで、同じカム素材を単一の軸401の両端部に図示した如き角度(姿勢)で固着されていて、左右のカムの円周部が図中で合致する回転角度範囲(前述の基準当接点範囲)の中央部を正常時当接位置とする。このカムでは、回動方向に応じてどちらか一方のカムのカムシフト量は一定であるが、左右のカムによる押圧力に差が生じ、しかも回動方向(向き)に対応して左右の押圧力の差は逆転する。このカム形状の場合も、既に述べた検出手段及び制御部と協働させて、既に説明したと同等の制御を行うことで、定着ベルトのスラスト方向の正常位置からのずれ修正が可能となる。
図11も、左右2つのカムの、異なるカム形状とその固定角度の例を示した側面図である(タイミング線図は省略)。図11に示したカムG、カムHは、共に板カムで、同じカム素材を単一の軸401の両端部に図示した如き角度(姿勢)で固着されている。カムG、カムHにおいては、図中のPcを正常時当接位置とする。このカムの場合も、回動方向に応じてどちらか一方のカムのカムシフト量が増し他方のカムのカムシフト量は減少する。適宜回動位置を既述の調整時動作点とする。正常時当接位置からの回動により、左右のカムによる押圧力に差が生じ、しかも回動方向(向き)に対応して左右の押圧力の差が逆転する。既に述べた検出手段及び制御部と協働させて、既に説明したと同等の制御を行うことで、定着ベルトのスラスト方向の正常位置からのずれ修正が可能である。
図10のカムでは定常動作位置のみカムシフト量一定、図11のカムは動作回転範囲ではカムシフト量一定部は無い。なお、カムシフト量一定部を設けない場合でも、駆動アクチュエータをカム軸と軸を直交させたステッピングモータとし、このステッピングモータとカム軸との間にウォームギヤを介在させた駆動機構とすれば、カムを固定しておきたいときでも加圧ローラの反力によりカムは回転しようとするが、ウォームギヤが下流からの回転力を伝達せずストッパとし機能する。この構成では、減速比が大きいのでより細かい位置制御が可能になる(但し、カムの回転速度は遅くなる)。
なお、これまで説明したカム形状のうちで、例えば図10のカムのように、回動方向に応じてどちらか一方のカムのカムシフト量が増し他方のカムのカムシフト量は減少する形状のカムの場合には、ローラ軸の一方の端部は揺動可能に固定するのみで、ローラ軸他方の端部側にのみカム機構を設けるようにしても(唯一枚のカムのみで)、前記回転カム機構を押圧力左右均等となる前記所定回転位置から前記寄り検知手段からの出力に応じて制御して加圧ローラもしくは前記定着ローラの軸方向両端部での押圧力を異ならせることができ、ベルトのスラスト方向の寄りを修正することができる。
あるいは、一般に周回するベルトを張設していてその移動方向を変える部位(例えば、実施形態のように両端部、2箇所以上で支持・張設する場合も多い)に位置するローラでなくとも、張設されたベルトが略一定方向に移動する直線部の適宜の位置に押圧力調節のためのローラ対を別途に設け既述した如き寄り検知手段及び押圧力調節手段と協働してベルトの寄りを修正するようにしても良い。また、定着性を考慮し、通紙時以外の紙間もしくは連続通紙を一時的に停止し定着ベルト寄りを補正するために非通紙で定着ベルトを駆動させるという方法をとっても構わない。
この他にも、定着ローラとの間に定着ローラの軸方向に延び且つ定着ローラに向けて押圧される耐熱弾性部材製の加圧パッドを有した構造の定着装置が知られているが、このような形態の定着装置においても、これまで説明したと同等の押圧力調節手段を定着ローラに付加する、あるいは周回する定着ベルトの適宜の位置に別途配設された押圧力調節手段を配設し既述したと同様の制御を行うことにより、定着ベルトのスラスト方向の寄りを修正することが可能である。
この他にも、寄り検知手段については、ベルト端部の位置に対応してアナログ的(あるいは多数段階的)に出力するタイプの既存の検出部(例えば、濃度検出用送受光アレイ)を用いるようにすれば制御対象のベルトの片側に1つ設ければ足り、適宜の制御処理を行って目的とする定着ベルトのスラスト方向の寄りを検出でき、既述したと同様にして寄り修正が行える。
Claims (17)
- 張設された無端ベルトを押圧部材との間で挟持して定方向へと搬送駆動するための駆動ローラを含み構成されたベルト駆動機構において、
前記無端ベルトのスラスト方向の寄りを検知する寄り検知手段と、
前記駆動ローラと前記押圧部材間の押圧力を、前記駆動ローラの軸方向両端部で略均等にまた互いに異なる押圧力に調節するための押圧力調節手段とを備え、
前記押圧力調節手段が、前記駆動ローラの非修正動作時には軸方向で略均等な押圧力を前記寄り検知手段からの出力に応じて軸方向両端部で異ならせることにより、前記無端ベルトのスラスト方向の寄りを修正することを特徴としたベルト駆動機構。 - 加熱ローラと、前記加熱ローラと平行に配置された定着ローラと、前記加熱ローラと前記定着ローラとに張り渡され、前記加熱ローラにより加熱されるとともにこれらのローラによって回転される無端帯状のトナー加熱媒体と、前記トナー加熱媒体を介して前記定着ローラに圧接され定着ニップ部を形成する加圧部材と、
前記トナー加熱媒体を押圧部材との間で挟持して被定着物の搬送方向へと駆動するための駆動ローラとを具備した定着装置において、
前記トナー加熱媒体のスラスト方向の寄りを検知する寄り検知手段と、
前記駆動ローラと前記押圧部材間の押圧力を、前記駆動ローラの軸方向両端部で略均等にまた互いに異なる押圧力に調節するための押圧力調節手段とを備え、
前記押圧力調節手段が、前記駆動ローラの非修正動作時には軸方向で略均等な押圧力を前記寄り検知手段からの出力に応じて軸方向両端部で異ならせることにより、前記トナー加熱媒体のスラスト方向の寄りを修正することを特徴とした定着装置。 - 前記加圧部材として、前記定着ローラの軸方向に延び且つ前記定着ローラに向けて押圧される耐熱弾性部材製の加圧パッドを有することを特徴とした請求項2に記載の定着装置。
- 前記トナー加熱媒体を介して前記定着ローラに圧接された加圧部材として、加圧ローラを具備したことを特徴とする請求項2に記載の定着装置。
- 前記加圧ローラが、該加圧ローラを周回して張設されている加圧ベルトを介して前記定着ローラと圧接されていることを特徴とする請求項4に記載の定着装置。
- 前記定着ローラを前記駆動ローラとし前記加圧ローラを前記押圧部材として用いる、もしくは前記加圧ローラを前記駆動ローラとして機能させることを特徴とする請求項4または5に記載の定着装置。
- 前記押圧力調節手段は、前記加圧ローラもしくは前記定着ローラのジャーナル部を押圧して偏倚させるために、前記加圧ローラもしくは前記定着ローラの端部ジャーナル部付近に配置されたカム機構と当該カム機構を駆動制御する制御部とを含み構成されており、前記寄り検知手段からの出力に応じて前記駆動ローラの軸方向両端部での押圧力を異ならせて前記トナー加熱媒体のスラスト方向の寄りを修正することを特徴とした請求項6に記載の定着装置。
- 前記押圧力調節手段は、前記加圧ローラもしくは前記定着ローラのジャーナル部を押圧して偏倚させるために、前記加圧ローラもしくは前記定着ローラの軸方向両端部付近それぞれに対となり配置されローラ端部をそれぞれに押圧する一対の回転カム機構と、当該回転カム機構を駆動制御する制御部とを含み構成され、前記回転カム機構を押圧力均等位置から前記寄り検知手段からの出力に応じて制御して加圧ローラもしくは前記定着ローラの軸方向両端部での押圧力を異ならせることで前記トナー加熱媒体のスラスト方向の寄りを修正することを特徴とした請求項5または6に記載の定着装置。
- 前記左右のカム機構のカムは、実質的に同軸上に配置され、左右の回転カム機構のカム形状を左右で異ならせて回転角に応じたカムシフト量の増減量が左右で異なり、且つ回転の向きにより左右のカムでカムシフト量の増減方向が逆になるように構成してあることを特徴とする請求項8に記載の定着装置。
- 前記加圧ローラもしくは前記定着ローラの両端部の前記左右のカムは、単一の回転軸に固設されており、且つ、左右の回転カム機構のカム形状を左右で異ならせて回転角に応じたカムシフト量の増減量が左右で異なり、且つ回転の向きにより左右のカムでカムシフト量の増減方向が逆になるように構成してあることを特徴とする請求項8に記載の定着装置。
- 前記押圧力調節手段は、一端部を揺動可能に固定した前記加圧ローラもしくは前記定着ローラの他端部のジャーナル部を押圧して偏倚させるために、前記他端部付近に配置されローラ端部を押圧する回転カム機構と、当該回転カム機構を駆動制御する制御部とを含み構成され、前記回転カム機構はそのカム形状が、ローラ間の押圧力がローラ軸方向で左右均等となる所定回転位置からの回転の向きに対応してカムシフト量の増減方向が逆になるように構成してあり、前記回転カム機構を押圧力左右均等となる前記所定回転位置から前記寄り検知手段からの出力に応じて制御して加圧ローラもしくは前記定着ローラの軸方向両端部での押圧力を異ならせることで前記トナー加熱媒体のスラスト方向の寄りを修正することを特徴とした請求項5または6に記載の定着装置。
- 前記左右の回転カム機構のカムをそれぞれカムA、カムBとした時、前記回転カム機構は、前記カムAのカムリフト量をa、前記カムBのカムリフト量をbと表すとき、特定の回転角度範囲に亘って漸次カムリフト量が一定または定方向に変化して、前記回転角度範囲で略中央領域の回転角β1からβ2の範囲ではa(β)=b(β)であり、この中央領域から一方の回転方向に続く回転角α1からα2の範囲ではa(α)>b(α)であり、前記中央領域から逆の回転方向に続く回転角γ1からγ2の範囲ではa(γ)<b(γ)であり、
前記制御部は前記トナー加熱媒体の回転駆動中に、前記寄り検知手段からの情報により、前記トナー加熱媒体のスラスト方向の寄りが修正される回転方向に前記カムを回転駆動することを特徴とする請求項9または10に記載の定着装置。 - 前記回転角α1からα2までの範囲のカムリフト量a(α)とb(α)の差、及び前記回転角γ1からγ2までの範囲のカムリフト量a(γ)とb(γ)の差は連続的に変化することを特徴とする請求項12に記載の定着装置。
- 前記制御部は前記トナー加熱媒体の回転駆動中に、前記寄り検知手段からの情報により、前記トナー加熱媒体のスラスト方向の寄りが修正されるように前記回転カム機構を駆動することを特徴とする請求項8乃至請求項13のいずれか一項に記載の定着装置。
- 前記カムは板カムであることを特徴とする請求項7乃至14のいずれか一項に記載の定着装置。
- 前記回転カム機構が、前記加圧ローラもしくは前記定着ローラを押圧方向に付勢するためのスプリングを有したレバー機構を備えていることを特徴とする請求項7乃至15のいずれか一項に記載の定着装置。
- 請求項2乃至16のいずれか一項に記載の定着装置を備えた画像形成装置。
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