JP2010143789A - 圧電体材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】鉛を使用せずに、圧電定数とヤング率の積が大きい圧電性に優れた圧電体材料を提供する。
【解決手段】組成式ABON(Aは3価の陽イオン、Bは4価の陽イオンを示す。但し、A、Bは鉛を除く。)で表されるペロブスカイト型結晶または前記ペロブスカイト型結晶を含むバルク材料からなる圧電体材料であって、前記圧電体材料中に含まれる窒素Nの個数をNxyzとし、Nxyzのうち結晶中の面心位置であってかつ長軸方向に配置された窒素の個数をNzとすると、Nz/Nxyz>1/3である圧電体材料。前記AはLa、BはTiであることが好ましい。
【選択図】図3

Description

本発明は、圧電性を有する圧電体材料に関するものである。
従来、デバイスに使用されてきた圧電体材料の主なものは鉛を含有しており、例えば代表的なものとして、AMO型ペロブスカイト構造を持つPbTiOとPbZrOを固溶したPZT(クレバイト社製品名)が使用されている。しかしながら近年、鉛の人体へ与える悪影響が懸念されており、各国ではRoHS指令等でガラスや高温はんだに対する
鉛の使用が規制され始めている。そのため、各種デバイスに使用されている圧電体材料においても、現存する材料の代替として鉛を使用しない非鉛材料が求められている。しかし、特にアクチュエータデバイスに必要とされる特性である圧電特性とヤング率の積が大きい材料は未だ見つかっていない。
例えば、ユニモルフ型圧電アクチュエータであれば、両端を電極で挟まれた圧電体と、弾性体とが接合されて構成されている。そして、両端の電極から圧電体に電界を印加すると、圧電特性に従って発生する歪みと、圧電体のヤング率に従って応力が発生する。これにより、弾性体の端面を歪ませる力が発生し、積層体全体を撓ませることが出来る。従って弾性体に、より大きな撓みを与えるためには、圧電定数とヤング率の積がより大きい材料が望まれている。
一方、圧電材料の主な構造はABO型ペロブスカイト構造であるが、図1に示すように、酸素原子1つを窒素原子1つに置換した構造であるABON型ペロブスカイト構造も存在する。ABO型ペロブスカイト構造は、AイオンとBイオンとO(酸素)イオンで構成されており、例えば立方晶であれば、酸素が作る八面体の中心にBイオンが配置しており、その酸素八面体がAイオンの作る六面体に囲まれている構造である。そして、AイオンとBイオンとOイオンの相対変位により立方晶構造から例えば正方晶構造等の別の結晶構造へ変化し、強誘電性が発現する。この内、一部のOイオンがN(窒素)イオンに置換された酸窒化物をABON型ペロブスカイト構造と呼んでいる。尚、図1は正方晶構造の場合を例にして、単一格子の長軸方向(Z方向)にNイオンが配置され、短軸方向(X、Y方向)にOイオンが配置された場合を表したものである。
圧電性に関してはこれまで酸化物が中心に検討されてきたため、AサイトとBサイトの陽イオンの価数の和は6の組み合わせに限定されていたが、前記した酸窒化物ペロブスカイト構造にする事で、価数の和が7となる新規のAとBの組み合わせの圧電性を検討できる。
このような酸窒化物は、既にいくつか報告があり、例えば特許文献1、2には、LaTiONやSrTaONがコンデンサー材料として公開されている。しかしながら、圧電に関する記載は無く、窒素の異方性に関する記述も無い。
一方、特許文献3には、酸素欠損を補うために窒素イオンを導入し、酸素欠損によるリーク電流を抑える方法が強誘電性材料として提案されている。しかし、既に形式電荷的に中性な組成に対して、マイナス2価の酸素の代わりにマイナス3価の窒素イオンを入れている。そのため、粒界を含めた全体では中性であるが、組成として中性を狙って作製しているわけでない。つまり、ABONの組成であればAサイトとBサイトの陽イオンの価数の和は7でないと形式電荷的に中性とならない。
特開昭61−122108号公報 特許第3730840号公報 特開2004−292180号公報
本発明は、この様な背景技術に鑑みてなされたものであり、鉛を使用せずに、圧電定数とヤング率の積が大きい圧電性に優れた圧電体材料を提供することである。
上記の課題を解決する圧電体材料は、組成式ABON(Aは3価の陽イオン、Bは4価の陽イオンを示す。但し、AとBは鉛を除く。)で表されるペロブスカイト型結晶または前記ペロブスカイト型結晶を含むバルク材料からなる圧電体材料であって、前記圧電体材料中に含まれる窒素Nの個数をNxyzとし、Nxyzのうち結晶中の面心位置であってかつ長軸方向に配置された窒素の個数をNzとすると、Nz/Nxyz>1/3であることを特徴とする。
また、上記の課題を解決する圧電体材料は、組成式A’B’ON(A’は2価の陽イオン、B’は5価の陽イオンを示す。但し、A’とB’は鉛を除く。)で表されるペロブスカイト型結晶または前記ペロブスカイト型結晶を含むバルク材料からなる圧電体材料であって、前記圧電体材料中に含まれる窒素Nの個数をNxyzとし、Nxyzのうち結晶中の面心位置であってかつ長軸方向に配置された窒素の個数をNzとすると、0≦Nz/Nxyz<0.05またはNz/Nxyz>1/3であることを特徴とする。
本発明によれば、鉛を使用せずに、圧電定数とヤング率の積が大きい圧電性に優れた圧電体材料を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係る第一の圧電体材料は、組成式ABON(Aは3価の陽イオン、Bは4価の陽イオンを示す。但し、AとBは鉛を除く。)で表されるペロブスカイト型結晶または前記ペロブスカイト型結晶を含むバルク材料からなる圧電体材料であって、前記圧電体材料中に含まれる窒素Nの個数をNxyzとし、Nxyzのうち結晶中の面心位置であってかつ長軸方向に配置された窒素の個数をNzとすると、Nz/Nxyz>1/3であることを特徴とする。
本発明者らが鋭意検討した結果、ABONで表されるペロブスカイト型結晶からなる酸窒化物において、酸窒化物における窒素と酸素の異方性により、圧電特性とヤング率の積が増加することを見出した。
本発明における組成式ABONで表されるペロブスカイト型結晶において、窒素Nが異方的に配置されていることが好ましい。また、前記「異方的」とは、窒素原子のサイト占有性に、異方性のあることである。即ち、圧電体材料中に含まれる窒素の個数をNxyzとし、Nxyzのうち結晶中の面心位置であってかつ長軸方向に配置された窒素の個数をNzとすると、Nz/Nxyz>1/3であることを特徴とする。また、Nz/Nxyzの上限値は、Nz/Nxyz≦1である。
本発明における組成式ABONで表されるペロブスカイト型結晶において、Aは3価の陽イオンを示し、3価の陽イオンとしては、例えばLa、Bi、Y等が挙げられる。
Bは4価の陽イオンを示し、4価の陽イオンとしては、例えばTi、Zr、Si、Hf、Ge、Sn等が挙げられる。
前記のA,Bの組み合わせとして、AはLa、BはTiであることが好ましい。
また、本発明に係る第二の圧電体材料は、組成式A’B’ON(A’は2価の陽イオン、B’は5価の陽イオンを示す。但し、A’とB’は鉛を除く。)で表されるペロブスカイト型結晶または前記ペロブスカイト型結晶を含むバルク材料からなる圧電体材料であって、前記圧電体材料中に含まれる窒素Nの個数をNxyzとし、Nxyzのうち結晶中の面心位置であってかつ長軸方向に配置された窒素の個数をNzとすると、0≦Nz/Nxyz<0.05またはNz/Nxyz>1/3であることを特徴とする。
本発明における組成式A’B’ONで表されるペロブスカイト型結晶において、窒素Nが異方的に配置されていることが好ましい。また、前記「異方的」とは、窒素原子のサイト占有性に、異方性のあることである。即ち、圧電体材料中に含まれる窒素の個数をNxyzとし、Nxyzのうち結晶中の面心位置であってかつ長軸方向に配置された窒素の個数をNzとすると、0≦Nz/Nxyz<0.05またはNz/Nxyz>1/3であることを特徴とする。また、Nz/Nxyzの上限値は、Nz/Nxyz≦1である。
本発明における組成式A’B’ONで表されるペロブスカイト型結晶において、A’は2価の陽イオンを示し、2価の陽イオンとしては、例えばSr、Ba、Ca等が挙げられる。
B’は5価の陽イオンを示し、5価の陽イオンとしては、例えばNb、Ta、W、V、Sb等が挙げられる。
前記のA’,B’の組み合わせとして、A’はSr、B’はNbであることが好ましい。
圧電体材料中に含まれる窒素の個数をNxyzとし、Nxyzのうち結晶中の面心位置であってかつ長軸方向に配置された窒素の個数をNzとすると、Nz/Nxyz≧2/3であることが好ましい。
圧電体材料中に含まれる窒素の個数をNxyzとし、Nxyzのうち結晶中の面心位置であってかつ長軸方向に配置された窒素の個数をNzとすると、Nz/Nxyz≧4/5であることが好ましい。
前記圧電体材料中に含まれる窒素の少なくとも97個数%以上の窒素が、結晶中の面心位置であってかつ短軸方向に配置されていることが好ましい。ただし、圧電体材料中に含まれる窒素の個数をNxyzとし、Nxyzのうち結晶中の面心位置であってかつ長軸方向に配置された窒素の個数をNzとすると、0≦Nz/Nxyz<0.05の範囲とする。
以下、本発明を適用した実施例について図面に基づいて説明する。
実施例1
まず、実施例1として、組成式ABONで表されるペロブスカイト型結晶を含むバルク材料において、AとBはそれぞれ3価と4価の陽イオンであって、窒素Nが異方的に配置されている圧電体材料を例に実施例の説明を行う。
ここで、本実施例は、第一原理計算と呼ばれる電子状態計算のシミュレーション結果に基づくものである。まず、電子状態計算シミュレーションの概要について、以下に説明を行う。
第一原理計算とはフィッティングパラメータ等を一切使用しない電子状態計算手法の総称であり、単位格子や分子等を構成する各原子の原子番号と座標を入力するだけで、電子状態計算が可能な手法である。
第一原理計算手法の一つとして、擬ポテンシャル法と呼ばれる計算手法がある。この手法は、単位格子等を構成する各原子のポテンシャルを予め用意し電子状態計算を行う方法であり、構造最適化の計算も可能であるという利点を有している。
また、任意の組成比の原子を含む系の電子状態計算は、仮想結晶近似(Virtual Crystal Approximation:VCA)と呼ばれる手法により、比較的簡単に且つ高精度に求めることが出来る。このVCAは、複数の原子をある組成比で混合した仮想原子のポテンシャルを予め用意し電子状態計算を行う方法である。従って、VCAを用いた擬ポテンシャル法により電子状態計算を行えば、任意の組成比の原子を含む系の最安定構造での電子状態を計算することが可能となる。
このVCAを用いた擬ポテンシャル法の第一原理計算パッケージプログラムとして、コーネル(Cornell)大学のゴンズ(X.Gonze)教授が中心となって開発した、「ABINIT」と呼ばれるパッケージプログラムがある。本実施例で示す圧電定数の値は、全て「ABINIT」を用いて計算を行った結果である。
ここで、組成式ABONを見ると、酸素と窒素の比は2:1なので、単一格子で見れば窒素の配置は異方性を有する事は明らかである。しかし、それらの集まりである薄膜、バルク材料においては全体で見れば窒素の配置依存性は等方となる場合と異方性を持つ場合があり、それぞれの場合の特性も異なるはずである。そこで、上記VCAを用いて、Z方向にある窒素率の構造への依存性と圧電定数とヤング率の積に対する依存性を調べた。
なお、本発明者の調べた限り、Z方向の窒素率に対する圧電定数、ヤング率の関係を導出する際に、このような方法で計算した例は無い。
図2、図3は、LaTiONを例にして、これらを計算した結果である。ただし、ここでのZ方向とは、正方晶構造における長軸(主軸)方向と一致させている。また、横軸はZ方向の窒素依存率であり、材料中に含まれる窒素の個数をNxyzとし、Nxyzのうち結晶中の面心位置であって、かつ長軸方向に配置された窒素の個数をNzとした時の比Nz/Nxyzで表している。従って、Nz/Nzxy=1/3の時が窒素と酸素が等方に配置されている状態である。また、図2中の右縦軸はヤング率Y11、左縦軸は圧電定数d31とした。また、図3中の右縦軸は圧電定数とヤング率の積に−1を掛けた値、左縦軸は結晶格子の短軸長(a)と長軸長(c)の比であるテトラゴナリティ(c/a)とした。
結果をみると明らかなように、Z方向の窒素率が等方に配置された状態よりも、Z方向に窒素が異方性を有する状態の方が、圧電定数とヤング率の積が大きい事が分かる。これは、テトラゴナリティ(c/a)が大きくなることで、BサイトであるTiのZ方向の空間が広くなり動きやすくなった結果であり、そのために圧電定数が増加したことによるものと考えられる。
さらに、テトラゴナリティが大きいと相転移温度も大きくなると一般的に言われており、そのためデバイスとしての使用温度領域も広い可能性が示唆される。
ここで、圧電定数d31とは、応力一定において、単位電界あたりに発生する歪みを表すもので、正方晶構造であれば、d31=d32は、z軸方向の電界に対するx、y軸方向の歪みとなる。
また、本計算対象は完全等方性材料では無いため、コンプライアンスマトリックス(S)のS11成分の逆数をヤング率Y11とした。
さらに、図3の結果を見ると、酸素と窒素が等方的であるNz/Nxyz=1/3より大きい所で、圧電定数とヤング率の積はより大きくなる傾向となっており、より好ましくはNz/Nxyz>1/3である事が分かった。
次に、本発明を適用した実施例についての製法を以下で説明する。
本実施例のLaTiONは、セラミックスの場合でも薄膜の場合でも作製が可能である。
薄膜の場合は、スパッタリング法、ゾルゲル法、レーザーアブレーション法、CVD法などの公知の方法を用いて成膜が可能である。例えばスパッタ装置による成膜の場合、Oガス、Nガス及びArガスが流入しているチャンバー内に、例えば、La及びTiの金属ホルダーを用意し、それらのホルダー上にイオン源となるArビームを照射する。所望とする元素組成、構造が得られるように基板、電極、成膜条件を設定し、Arビームにより叩き出された各金属をチャンバー内に備えた前記基板上に飛翔させることにより、目的とするLaTiON圧電体膜を形成することが出来る。
セラミックスの場合は、例えば、原料として酸化ランタン(La)、窒化ランタン(LaN)、酸化チタン(TiO)、窒化チタン(Ti)から少なくとも2種を選択し、LaTiONの組成となるようなモル比で混合し、常圧から10GPa程度までの範囲での条件により、焼結することで、LaTiONを作製すれば良い。
なお、本製法による焼結はカプセル等に入れて焼結するような密閉系で行うことで、外からの酸素などによって引き起こされる酸素と窒素の組成ずれを防止しやすい。さらに言えば、原料粉の取り扱いは全てグローブボックス内で行う事が望ましく、原料粉の段階で酸化還元反応を極力減らす方が組成ずれを防ぐ事ができる。
また、上記焼結はアンモニア雰囲気で焼結する事でも窒素が逃げにくく、酸素と窒素の組成ずれを防止しやすい。
一方、Z方向に窒素を配置させる方法としては、上記方法に加え、一軸方向の加圧、通電加熱、ホットプレス、磁場配向により異方性を有する環境により焼結すると良い。
なお、材料中に含まれる各元素の測定方法としては、XRF(蛍光エックス線)測定により金属元素の含有量が分かり、燃焼ガス分析やXPS(エックス線光電子分光)により酸素、窒素量の含有量が分かる。
さらに、窒素の異方性については、中性子回折等により調べることが出来る。
実施例2
次に、実施例2として、組成式A’B’ONで表されるペロブスカイト型結晶を含むバルク材料において、A’とB’はそれぞれ2価と5価の陽イオンであって、窒素Nが異方的に配置されている圧電体材料の場合を例に実施例の説明を行う。
図4、図5は、SrNbONを例にして、実施例1と同様に、テトラゴナリティ、圧電定数とヤング率の積のZ方向の窒素率依存性を計算したものである。ただし、ここでのZ方向とは、正方晶構造における自発分極方向と一致させている。横軸はZ方向の窒素依存率であり、1/3の時が窒素と酸素が等方に配置されている状態である。また、図4中の右縦軸はヤング率Y11、左縦軸は圧電定数d31とした。また、図5中の右縦軸は圧電定数とヤング率の積に−1を掛けた値、左縦軸は結晶格子の短軸長(a)と長軸長(c)の比であるテトラゴナリティ(c/a)を示している。
結果をみると明らかなように、Nz/Nxyzが1/3の時よりも、1/3を超えた時の方が、圧電定数とヤング率の積が大きい事が分かる。これは、テトラゴナリティ(c/a)が大きくなることで、BサイトであるNbのZ方向の空間が広くなり動きやすくなった結果、圧電定数が増加したことによるものと考える。
さらに、図5の結果を見ると、Nz/Nxyzが0.8以上で圧電定数とヤング率の積は飛躍的に大きくなる傾向となっており、より好ましくはNz/Nxyzが0.8以上である。
また、Nz/Nxyzが0.03以下では、さらに圧電定数とヤング率の積が大きくなっている事が分かる。これは、5価という高い価数を有するBサイトイオンと、同一XY面内にあるマイナス3価の窒素イオンとのクーロン力によって結合力が増し、その結果としてヤング率が向上している事が第一の要因として考えられる。また、BサイトイオンとZ方向に位置する酸素イオンとの軌道の混成により、Z方向の有効電荷が上昇し、圧電特性は有効電荷に比例することから、結果として圧電特性も大きい状態となっていることが第二の要因として考えられる。
従って、これらの結果により、SrNbONでの窒素の異方性は、Nz/Nxyzが0.03以下、もしくは1/3よりも大きいところが等方的に窒素が配置された状態よりも圧電定数とヤング率の積が大きいことが分かった。また、Nz/Nxyzが1/3よりも大きいところではテトラゴナリティも大きく、前述したように、相転移温度も大きくなる事が期待される。従って、デバイスとしての使用温度領域も広い可能性が示唆された。
ここで、これまで組成式ABON中の酸素と窒素はそれぞれ2と1で全て表したが、これに限られるものではなく、欠陥等による組成のずれがあったとしても、同様の効果が得られる。
しかしながら、酸素欠陥が多くなると、材料の抗電界が大きくなり、低電界での圧電性が発現しなくなる。そのため、本実施例の酸素と窒素の和は、2.8以上が望ましく、分極処理が容易となる。
本発明は、電極を有する圧電体材料である圧電素子を利用した超音波モーター、振動センサー、インクジェットヘッド、変圧器、フィルター等のデバイスに適用可能である。
また、本発明は、強誘電性を利用した強誘電体メモリ等のデバイスにも適用可能である。
ABONペロブスカイト構造を説明する説明である。 LaTiONの各Nz/Nxyzでの圧電定数とヤング率を説明する説明図である。 LaTiONの各Nz/Nxyzでのテトラゴナリティ−と、圧電定数とヤング率の積を説明する説明図である。 SrNbONの各Nz/Nxyzでの圧電定数とヤング率を説明する説明図である。 SrNbONの各Nz/Nxyzでのテトラゴナリティ−と、圧電定数とヤング率の積を説明する説明図である。

Claims (7)

  1. 組成式ABON(Aは3価の陽イオン、Bは4価の陽イオンを示す。但し、AとBは鉛を除く。)で表されるペロブスカイト型結晶または前記ペロブスカイト型結晶を含むバルク材料からなる圧電体材料であって、前記圧電体材料中に含まれる窒素Nの個数をNxyzとし、Nxyzのうち結晶中の面心位置であってかつ長軸方向に配置された窒素の個数をNzとすると、Nz/Nxyz>1/3であることを特徴とする圧電体材料。
  2. 前記AはLa、BはTiであることを特徴とする請求項1に記載の圧電体材料。
  3. 組成式A’B’ON(A’は2価の陽イオン、B’は5価の陽イオンを示す。但し、A’とB’は鉛を除く。)で表されるペロブスカイト型結晶または前記ペロブスカイト型結晶を含むバルク材料からなる圧電体材料であって、前記圧電体材料中に含まれる窒素Nの個数をNxyzとし、Nxyzのうち結晶中の面心位置であってかつ長軸方向に配置された窒素の個数をNzとすると、0≦Nz/Nxyz<0.05またはNz/Nxyz>1/3であることを特徴とする圧電体材料。
  4. 前記A’はSr、B’はNbであることを特徴とする請求項3に記載の圧電体材料。
  5. 前記圧電体材料中に含まれる窒素の少なくとも97個数%以上の窒素が、結晶中の面心位置であってかつ短軸方向に配置されていることを特徴とする請求項3または4に記載の圧電体材料。
  6. 圧電体材料中に含まれる窒素の個数をNxyzとし、Nxyzのうち結晶中の面心位置であってかつ長軸方向に配置された窒素の個数をNzとすると、Nz/Nxyz≧2/3であることを特徴とする請求項3または4に記載の圧電体材料。
  7. 圧電体材料中に含まれる窒素の個数をNxyzとし、Nxyzのうち結晶中の面心位置であってかつ長軸方向に配置された窒素の個数をNzとすると、Nz/Nxyz≧4/5であることを特徴とする請求項3または4に記載の圧電体材料。
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