JP2010030827A - 圧電材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】絶縁性の高い、菱面体晶構造を有するペロブスカイト酸化物からなる圧電材料を提供する。
【解決手段】菱面体晶構造を有する、Bi(Mg1/2Si1/2)Oで表されるペロブスカイト酸化物からなる圧電材料。互いに異なる結晶相を持つ二つのペロブスカイト酸化物のBi(Mg1/2Si1/2)OとA(2)M(2)Oとを固溶させて得られた、下記一般式(3)で表される酸化物からなる圧電材料。
Figure 2010030827

(式中、A(2)およびM(2)は、それぞれ1種類以上の元素が混晶されている元素を表す。Xは0<X<1を表す。)
【選択図】なし

Description

本発明は、圧電材料に関するものであり、特に鉛を含有しない圧電材料に関する。
圧電材料は、アクチュエータ、超音波振動子、マイクロ電源、高圧電発生装置等の用途で、幅広く利用されている。これらに使用されている圧電体の多くは、いわゆるPZTと呼称されている材料で、鉛(Pb)、ジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)を含む酸化物である。そのため、環境上の問題から、非鉛圧電材料の開発が進められている。
非鉛圧電材料としては、例えばBiM(3)Oの一般式で記述されるBi系ペロブスカイト酸化物がある。但しM(3)は、特に制限はなく、少なくとも1種類以上の元素がある組成比で混晶されたものを表すが、一般式BiM(3)Oの電荷が中性になることを満足する必要がある。
BiM(3)Oでは、BiとOの混成軌道の反結合性軌道を電子が占有するため、Bi−O間のクーロン反発が強くなり、Biの変位はKやBa等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の場合と比べて大きくなる。Biの変位が正方晶の形成に有利に働くことを鑑みると、正方晶BiM(3)Oは多数存在しているかのように考えられても不思議ではない。しかしながら、Bi系ぺロブスカイト酸化物として報告されている正方晶材料は、BiCoOのみである(非特許文献1)。その一方で、菱面体晶材料は、BiMg1/2Ti1/2、BiAlO、BiFeO等の材料が報告されている(非特許文献2、非特許文献3、非特許文献4)。
一方、より大きな圧電定数の値を得るための方法として、結晶相境界(MPB)領域付近の圧電材料を用いる方法がある。一般に、互いに異なる結晶構造の2種類の圧電材料を固溶させると、そのMPB領域付近において圧電定数の値が大きくなることが知られている。従って、MPB領域を形成するためには、まず菱面体晶と非菱面体晶という異なる結晶構造をとる2種類の圧電材料を選択することが重要であり、係る選択のためには結晶構造の予測技術の確立が必要である。
A. A. Belik et al.,Chemistry of Materials vol.18,p.798から803(2006) S. M. Choi et al.,Journal of Applied Physics、vol.98,p.034108(2005) A. A. Belik et al.,Chemistry of Materials、vol.18,p.133から139(2006) S. R. Shannigrahi et al.,Applied Physics Letters、vol.90,p.022901(2007)
しかしながら、これまでBi系ぺロブスカイト酸化物からなる圧電材料においては、結晶構造の予測技術は確立しておらず、BiMg1/2Ti1/2、BiAlO、BiFeO等が何故菱面体晶構造をとるのかも明確ではなかった。
一方、圧電特性は絶縁性の高い状態でのみ測定可能なため、絶縁性の高い圧電材料の選択も重要である。
例えば、BiFeOは絶縁性の低い圧電材料として知られているが、BiFeOの絶縁性が低い理由は、以下のように電子論的に説明可能である。Feの3d軌道には、5個の電子が占有されており、残り5個の準位は電子が占有されていない。従って、電子が占有されている軌道のうち最もエネルギーが高い準位(一般にこの準位はフェルミ準位と呼ばれている)は、Feの3d軌道の集合体(バンド、と一般的には呼ばれている)の間に存在する。非特許文献3によると、Feの3dバンドには、電子が占有されている準位と非占有準位との間に約1eVのエネルギーギャップ(バンドギャップ)が存在する。しかしながら、この程度のバンドギャップでは、組成比が僅かにずれたり不純物元素が僅かに入っていたりすることで、フェルミ準位が容易にシフトし有限個の電子が存在するようになる。
従って、絶縁性が高い圧電材料BiM(3)Oを得るためには、大きなバンドギャップをとるM(3)を選択する必要がある。具体的には、イオンの状態でd軌道が全く存在しないか、または最外殻のd軌道に電子が全く占有されていないかまたは全て占有されているかあるいは全てのd軌道が10個の電子で占有されているか(以下、形式電荷がdまたはd10、と表現する。d軌道が存在しない場合もdと表現する)のM(3)を選択することである。
本発明は、この様な背景技術に鑑みてなされたものであり、絶縁性の高い、菱面体晶構造を有するペロブスカイト酸化物からなる圧電材料を提供することにある。
上記の課題を解決する圧電材料は、菱面体晶構造を有する、下記一般式(1)で表されるペロブスカイト酸化物からなることを特徴とする。
Figure 2010030827
(式中、A(1)はBiを表し、M(1)はMg及びSiを含む2種類以上の元素を表す。)
また、上記の課題を解決する圧電材料は、互いに異なる結晶相を持つ二つのペロブスカイト酸化物のA(1)M(1)OとA(2)M(2)Oとを固溶させて得られた、下記一般式(2)で表される酸化物からなることを特徴とする。
Figure 2010030827
(式中、A(1)はBiを表し、M(1)はSi、Snのうちの少なくとも1種類と、Mgとを含む2種類以上の元素を表す。A(2)およびM(2)は、それぞれ1種類以上の元素が混晶されているものを表す。Xは0<X<1を表す。)
本発明によれば、絶縁性の高い、菱面体晶構造を有するペロブスカイト酸化物からなる圧電材料を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係る圧電材料は、菱面体晶構造を有する、下記一般式(1)で表されるペロブスカイト酸化物からなることを特徴とする。
Figure 2010030827
(式中、A(1)はBiを表し、M(1)はMg及びSiを含む2種類以上の元素を表す。)
また、本発明に係る圧電材料は、互いに異なる結晶相を持つ二つのペロブスカイト酸化物のA(1)M(1)OとA(2)M(2)Oとを固溶させて得られた、下記一般式(2)で表される酸化物からなることを特徴とする。
Figure 2010030827
(式中、A(1)はBiを表し、M(1)はSi、Snのうちの少なくとも1種類と、Mgとを含む2種類以上の元素を表す。A(2)およびM(2)は、それぞれ1種類以上の元素が混晶されている元素を表す。Xは0<X<1を表す。)
前記一般式(2)で表される酸化物は、結晶相境界領域を有することが好ましい。
本発明の圧電材料は、菱面体晶構造のBiM(1)Oからなり、M(1)にMgを含み、且つSi、Snのうち少なくとも1種類を含み、M(1)イオンの形式電荷がdまたはd10であることを特徴とする。
以下、本発明の実施例について、図面を参照して説明する。
(第1の実施例)
本発明の第1の実施例は、菱面体晶構造を有する、下記一般式(1)で表されるペロブスカイト酸化物からなる圧電材料である。
Figure 2010030827
式中、A(1)はBiを表す。
M(1)は、Mg及びSiとを含む2種類以上の元素を表す。M(1)には、Mg、Si以外の元素としては、例えばTi,Znなどが含有されていてもよい。
以下、一般式(1)で表されるペロブスカイト酸化物のA(1)M(1)Oにおいて、A(1)がBiで、M(1)がMg及びSiで形成されている菱面体晶BiM(1)Oからなる圧電材料について、図1乃至図3を参照して説明する。
BiM(1)Oの好ましい組成は、BiMg1/2Si1/2である。
上記の組成において、Biイオンは形式電荷が3+、即ちBi3+と記述され、同様にOイオンはO2−と記述される。またM(1)イオンは、Mg1/2Si1/2で形式電荷は3+、即ち(Mg1/2Si1/23+と記述する。
本実施例は、第一原理計算と呼ばれる電子状態計算のシミュレーション結果に基づくものである。まず、電子状態計算シミュレーションの概要について、以下に説明を行う。
第一原理計算とはフィッティングパラメータ等を一切使用しない電子状態計算手法の総称であり、単位格子や分子等を構成する各原子の原子番号と座標を入力するだけで、電子状態計算が可能な手法である。
第一原理計算手法の一つとして、擬ポテンシャル法と呼ばれる計算手法がある。この手法は、単位格子等を構成する各原子のポテンシャルを予め用意し電子状態計算を行う方法であり、構造最適化の計算も可能であるという利点を有している。
また、任意の組成比の原子を含む系の電子状態計算は、仮想結晶近似(Virtual Crystal Approximation: VCA)と呼ばれる手法により、比較的簡単に且つ高精度に求めることが出来る。このVCAは、複数の原子をある組成比で混合した仮想原子のポテンシャルを予め用意し電子状態計算を行う方法である。従って、VCAを用いた擬ポテンシャル法により電子状態計算を行えば、任意の組成比の原子を含む系の最安定構造での電子状態を計算することが可能となる。
このVCAを用いた擬ポテンシャル法の第一原理計算パッケージプログラムとして、コーネル(Cornell)大学のゴンズ(X.Gonze)教授が中心となって開発した、「ABINIT」と呼ばれるパッケージプログラムがある。本実施例で示す電子状態計算結果は、全て「ABINIT」を用いて行った結果である。
次に、「ABINIT」によるBiM(1)Oの全エネルギーの計算方法、最安定構造の決定方法、及び最安定構造と元素M(1)との相関について、以下に説明する。
BiM(1)Oには、最安定な構造以外にも準安定な構造が存在する。これら2つの構造が例えば正方晶(tetragonal:tetra)および菱面体晶(rhombohedral:rhombo)であるとする。それぞれの安定構造を求めるには、然るべき正方晶構造及び菱面体晶構造のBiM(1)Oをそれぞれ初期構造として用意し、構造最適化を含む電子状態計算を行えばよい。係る電子状態計算から求めた安定構造における全エネルギーを、それぞれEtetra及びErhomboと定義する。全エネルギーの小さな方が最安定構造、他方が準安定構造であると結論出来る。
当然のことながら、正方晶構造及び菱面体晶構造のどちらが最安定構造をとるかについては、M(1)としてどのような元素を選択するかで決定される。しかしながら、M(1)と最安定構造との関係を示す指標については、これまで明確に提示されたことはなかった。本発明者らは、BiM(1)Oの最安定構造と元素M(1)との相関について鋭意検討した結果、寛容因子(tolerance factor)というぺロブスカイト構造特有のパラメータとBiM(1)Oの最安定構造との間に密接な相関があることを見出した。
図1は、各BiM(1)Oの菱面体晶と正方晶との全エネルギーの差即ちΔE=Erhombo−Etetraと、そのBiM(1)Oの寛容因子(tolerance factor)tとの相関を示したものである(但し破線は、ガイドラインとしての近似曲線である)。従って、寛容因子tの値が1.006未満のときは、ΔE<0となり、菱面体晶が最安定構造となる。BiMg1/2Si1/2の寛容係数tの値は0.9885であるため、図1に示すように菱面体晶が最安定構造であることがわかる。
図1に示した計算結果は、以下に示す格子定数の変化からも、信頼性が高い結果であることがわかる。図2は、正方晶のBiM(1)Oの、ab面内及びc軸方向の格子定数の比c/aの値と寛容因子との関係を示したものである。正方晶が最安定なBiM(1)Oの場合は、c/aの値が1.2以上と大きな値を示す一方で、菱面体晶が最安定なときの正方晶BiM(1)Oにおけるc/aの値は1.1未満と、顕著な差が生じていることがわかる。図2の結果からも、図1の結果は信頼性の高い結果であることが証明される。
ここでBiM(1)Oの寛容因子tは、下記数式(1)で定義されるパラメータである。
Figure 2010030827
但し、rBi、r及びrは、それぞれBi、M(1)及びOのイオン半径を表す。各イオン半径の値は、ほとんどの元素について既に数種類の値が求められており、改めて計算する必要はない。図1では、広く一般に用いられている「Shannonのイオン半径(R.D.Shannon,Acta Cryst. vol.A31,pp.751−767(1976))」と呼ばれる値を用いている。なお、複数の元素により構成されているM(1)のイオン半径rについてであるが、各構成元素のイオン半径と組成比を用いて平均化されたイオン半径を求め、その値をrの値と定義している。
数式(1)の定義より、BiM(1)Oにおける寛容因子tの値を小さくするためには、rの値を大きくする必要がある。即ち、菱面体晶のBiM(1)Oを得るためには、イオン半径の大きなM(1)を選択する必要がある。BiMg1/2Si1/2において菱面体晶が最安定構造となるのは、Mg1/2Si1/2のイオン半径が大きいからである。
M(1)は2種類以上の元素がある組成比で混晶されたものであるが、本発明では、イオン状態での形式電荷がdまたはd10のM(1)であることが必要である。図1に示したBiM(1)Oは、全て形式電荷がdまたはd10のM(1)であるが、M(1)の形式電荷がdまたはd10以外の場合は、最安定構造が異なる場合が多いため、図1の相関の適用は困難となる。
本発明を形式電荷がdまたはd10のM(1)としたのは、以下のような理由による。第一に、イオン状態での形式電荷がdまたはd10のM(1)を用いることにより、BiM(1)Oの絶縁性を高くすることが出来るからである。何故なら、有限個のd電子は伝導電子として寄与するからである。第二に、有限個のd電子は、M(1)のd軌道とOの2p軌道が形成する混成軌道の反結合性軌道を占有するため、M(1)−O間のクーロン反発が強くなり結合を弱めてしまうからである。以上のような理由から、本発明のM(1)は、イオン状態での形式電荷がdまたはd10としている。具体的にはdまたはd10である元素とは、イオンの形で記載すると、d軌道が存在しないd元素としてLi、Na、K、Rb、Cs、Be2+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、B3+、Al3+、C4+、Si4+がある。また、イオン状態で最外殻のd軌道に電子が全く占有されていないd元素としては、Sc3+ 、Y3+、La3+、Ti4+、Zr4+、Hf4+、V5+、Nb5+、Ta5+がある。またイオン状態で10個の電子で占有されている元素として、Zn2+、Cd2+、Hg2+、Ga3+、In3+、Tl3+、Ge4+、Sn4+、Pb4+がある。
BiMg1/2Si1/2は絶縁性の高い圧電材料である。何故なら、Mg及びSiはともにd電子を持たない元素であるため、Mg1/2Si1/2イオンもd電子を持たないイオンとなるからである。図3にBiMg1/2Si1/2の状態密度を示す。図3中、DOSは(density of states)状態密度を示す。Biの6pバンドがフェルミ準位より約3eV上に存在し、その上にはMg及びSiのs及びpの構成軌道のバンドが存在している。即ちBiMg1/2Si1/2のバンドギャップは約3eVと大きいため、絶縁性の高い圧電材料であることがわかる。
本実施例のBiMg1/2Si1/2は、セラミックスの場合でも薄膜の場合でも容易に作製が可能である。
例えばセラミックスの場合は、酸化ビスマス(Bi)、酸化マグネシウム(MgO)、及び珪砂(SiOを主とする石英砂)を1:1:1のモル比で調整し、酸性水溶液に加え、加熱下、懸濁、溶解させた後、アルカリ処理して析出物をろ過、採取、乾燥し、BiMg1/2Si1/2を合成する。
一方、薄膜の場合は、スパッタリング法、ゾルゲル法、レーザーアブレーション法、CVD法などの公知の方法を用いて容易に成膜が可能である。例えばスパッタ装置による成膜の場合、Oガス及びArガスが流入しているチャンバー内に、例えば、Bi、Mg及びSiの金属ホルダーを用意し、それらのホルダー上にイオン源となるArビームを照射する。所望とする元素組成が得られるように成膜条件を設定し、Arビームにより叩き出された各金属をチャンバー内に備えた基板上に飛翔させることにより、目的とするBiMg1/2Si1/2圧電体膜を形成することが出来る。
(第2の実施例)
本発明の第2の実施例は、互いに異なる結晶相を持つ二つのペロブスカイト酸化物のA(1)M(1)OとA(2)M(2)Oとを固溶させて得られた、下記一般式(2)で表される酸化物からなる圧電材料である。
Figure 2010030827
式中、A(1)M(1)Oは一般式(1)で表される酸化物と同じである。
A(2)およびM(2)は、それぞれ1種類以上の元素により混晶されている元素を表す。Xは0<X<1を表す。
本実施例の圧電材料は、菱面体晶A(1)M(1)Oと、非菱面体晶A(2)M(2)Oとを固溶させることによって得られる。
菱面体晶A(1)M(1)OがBiMg1/2Si1/2の場合、上記一般式(2)で表される酸化物は、下記のような一般式(3)で表される酸化物となる。
Figure 2010030827
以下、上記一般式(3)に係る実施例として、本実施例の説明を行う。
A(2)M(2)Oは、擬立方晶、正方晶、斜方晶、単斜晶などのうち少なくとも1つの構造をとる非菱面体晶の酸化物である。
A(2)の構成元素については、特に制限はないが、環境上の問題から、Pbを含まないことが望ましい。A(2)としては、例えばBaの元素が挙げられる。
また、M(2)の構成元素についても、特に制限はないが、絶縁性の高い圧電材料を得るためには、イオン状態での形式電荷がdまたはd10であることが望ましい。M(2)としては、例えばTiの元素が挙げられる。
本実施例の菱面体晶Bi(Mg1/2Si1/2)Oと非菱面体晶A(2)M(2)Oとを固溶させることによって得られる酸化物からなる圧電材料を、以下に例示する。これらは、一般式(3)のXの値を省略し、組合せだけを表しているものである。
(ハイフンの左右に圧電材料の組成式を記載した)
Bi(Mg1/2Si1/2)O−BiCoO
Bi(Mg1/2Si1/2)O−BaTiO
Bi(Mg1/2Si1/2)O−Ba(Cu1/3Nb2/3)O
Bi(Mg1/2Si1/2)O−PbTiO
等である。但し、右側に表記した酸化物は、非菱面体晶構造をとるものである。
ここで表記した酸素数はすべて3と表記したが、焼成条件、成膜条件等により3.0未満になってもよい。しかしながら、酸素欠陥が多くなると、材料の抗電界が大きくなり、低電界での圧電性が発現しなくなる。そのため、本実施例の酸素数は、2.9以上が望ましい。
本実施例の圧電材料のセラミックスの製造方法は特に限定されず、従来の焼結法を適宜用いるとよい。例えば、複数の材料の粉末をよく混合した後に、必要に応じてバインダー等を添加後プレス成形し、焼結炉で焼結させる粉末冶金の方法等が挙げられる。この際、配向制御により方位を一定方向に制御することが望ましい。
また、本実施例の圧電材料の薄膜の製造方法も特に限定されず、スパッタリング法、ゾルゲル法、レーザーアブレーション法、CVD法などの公知の方法を用いて、容易に成膜が可能である。
次に、本実施例の具体例として、A(2)M(2)OがBiCoOの場合の合成例を示す。
合成例1
(1−X){Bi(Mg1/2Si1/2)O}−X{BiCoO}セラミックス
(A(2)=Bi、B(2)=Coの例)
酸化ビスマス(Bi)、酸化マグネシウム(MgO)、及び珪砂(SiOを主とする石英砂)を1:1:1のモル比で調整する。これを酸性水溶液に加熱し、懸濁、溶解させた後アルカリ処理により析出物をろ過、採取、乾燥し、Bi(Mg1/2Si1/2)Oを合成する。
また、酸化ビスマス(Bi)及び酸化コバルト(CoO)を1:2のモル比で調整する。これを酸性水溶液に加熱し、懸濁、溶解させた後アルカリ処理により析出物をろ過、採取、乾燥し、BiCoOを合成する。
上記2つの原料をX=0.35のモル比で混合しボールミルで粉砕、大気中1100℃で加熱処理した。その後、加圧形成機で成形し、焼結処理を10時間、1250℃で焼結した。焼結体を研磨処理し、電極付け後5kV/cmの電界強度で分極処理を行い、本実施例の圧電材料を得る。
合成例2
(1−X){Bi(Mg1/2Si1/2)O}−X{BiCoO}薄膜
(A(2)=Bi、B(2)=Coの例)
スパッタ装置による成膜の場合、O2ガス及びArガスが流入しているチャンバー内に、Bi、Mg、Si及びCoの金属ホルダーを用意し、それらのホルダー上にイオン源となるArビームを照射する。所望とする元素組成が得られるように成膜条件を設定し、Arビームにより叩き出された各金属をチャンバー内に備えた基板上に飛翔させることにより、目的とする圧電体膜を形成することが出来る。
本発明の圧電材料は、絶縁性の高い、菱面体晶構造を有するペロブスカイト酸化物からなるので、圧電素子を利用した超音波モーター、振動センサー、インクジェットヘッド、変圧器、フィルター等のデバイス、また強誘電性を利用した強誘電体メモリ等のデバイスに利用することができる。
BiM(1)OのΔE=Erhombo−Etetraと寛容因子tとの関係を示す図である。 BiM(1)Oのc/aと寛容因子tとの関係を示す図である。 Bi(Mg1/2Si1/2)Oの状態密度を示す図である。

Claims (3)

  1. 菱面体晶構造を有する、下記一般式(1)で表されるペロブスカイト酸化物からなることを特徴とする圧電材料。
    Figure 2010030827
    (式中、A(1)はBiを表し、M(1)はMg及びSiを含む2種類以上の元素を表す。)
  2. 互いに異なる結晶相を持つ二つのペロブスカイト酸化物のA(1)M(1)OとA(2)M(2)Oとを固溶させて得られた、下記一般式(2)で表される酸化物からなることを特徴とする圧電材料。
    Figure 2010030827
    (式中、A(1)はBiを表し、M(1)はSi、Snのうちの少なくとも1種類と、Mgとを含む2種類以上の元素を表す。A(2)およびM(2)は、それぞれ1種類以上の元素が混晶されている元素を表す。Xは0<X<1を表す。)
  3. 前記一般式(2)で表される酸化物は、結晶相境界領域を有することを特徴とする請求項2に記載の圧電材料。
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