JP2010139994A - 機能性色素を含有する光学材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】蛍光色素や非線形光学色素等の機能性色素を高濃度で光学的に均一に分散できる高分子マトリクスを提供し、これら高分子マトリクスと前記機能性色素を含有する組成物、さらには該組成物を用いて得られる光学材料を提供する。
【解決手段】(A)成分として下記式(1)で表される構造単位を含む高分子化合物、及び(B)成分として機能性色素を含む組成物。
Figure 2010139994

【選択図】なし

Description

本発明は、光スイッチ、光変調などの光情報処理、光通信などに用いられる機能性色素を含有する光学材料に関し、詳細には蛍光色素あるいは非線形光学色素を高分子マトリクス中に分散させた組成物並びに該組成物から形成される光学材料に関する。
近年、光情報処理、光通信などの分野において、蛍光色素を含有する材料や非線形光学材料を用いた種々の光電子素子の開発が進められている。これらのうち非線形光学材料とは、光の電界の2乗や3乗あるいはそれ以上の高次の項に比例する分極応答を示す材料であって、第2次高調波発生(SHG)材料や1次の電気光学効果であるポッケルス効果が知られており、光スイッチ、光変調などの応用が考えられている。
従来、無機非線形光学材料としてニオブ酸リチウム、リン酸二水素カリウムが実用化され、広く用いられている。しかしながら近年、これらの無機材料に対し、高い非線形光学性能、安価な材料コスト、高い量産性等の優位性を有する、有機非線形光学材料が注目され、実用化に向けての活発な研究開発が行われている。
有機材料を用いてデバイスを作製する方法としては、非線形光学特性を有する化合物の単結晶を用いる方法、また、蒸着法やLB膜法が知られている。さらには非線形光学特性を有する構造を高分子化合物の主鎖または側鎖に導入する方法、或いは非線形光学特性を有する化合物を高分子マトリクス中に分散させる方法などがある。特に高分子系においては、キャスト法、ディップ法、スピンコート法などにより製膜できるため、加工が容易である。
これらのうち、高分子マトリクス中に非線形光学特性を有する化合物を分散させる方法においては、非線形光学特性を有する化合物が凝集せず高濃度に分散され、光学的に均一になることが必要とされる。
ここで使用する非線形光学特性を有する化合物としては、π共役鎖の一方の端に電子供与性官能基、他方の端に電子吸引性官能基を有する、プッシュ−プル型のπ共役系化合物が知られている。例えば、π共役鎖としてのアゾベンゼンに、電子供与性基であるジエチルアミノ基及び電子吸引性基であるニトロ基を有する、Disperse Red 1(DR1)などである。
しかしながら、このような分子は双極子モーメントが大きいため分子間相互作用が大きく、媒体への溶解性ないしは分散性が悪く、高分子マトリクスとして一般に用いられているポリメタクリル酸メチル(PMMA)等へ高濃度で分散させることが困難であった。また、PMMAのガラス転移温度は100℃程度と低く、PMMAを高分子マトリクスとして用いた有機非線形光学色素の配向は室温でも次第に緩和し、その特性が経時で低下してしまうという欠点がある。
このため、PMMAの代替となる高分子マトリクスの探索が活発に行われ、ポリカーボネートやポリイミド、ポリスルフォン等のガラス転移温度の高い高分子を用いることが報告されている(特許文献1参照)。
特開平6−202177号公報
上述したように、PMMA以外の高分子マトリクスの使用が種々検討されているが、これらの高分子マトリクスとDR1等の非線形光学特性を有する化合物との相溶性も決して良いとは言えるものではなかった。すなわち、非線形光学特性を高めるために色素分子を高濃度で添加すると、それらが凝集化あるいは結晶化してしまったり、また低濃度であっても加熱や経時により凝集化あるいは結晶化が起こってしまったりするという問題があった。
本発明は、上記の事情に鑑みなされたものであって、蛍光色素や非線形光学色素等の機能性色素を高濃度で光学的に均一に分散できる高分子マトリクスを提供し、これら高分子マトリクスと前記機能性色素を含有する組成物、さらには該組成物を用いて得られる光学材料を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、高分子マトリクスとしてビフェニレン骨格を有する特定の高分子化合物、すなわちハイパーブランチポリマーを採用することにより、機能性色素をより高濃度で添加しても凝集することの少ない組成物が得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は第1観点として、(A)成分として下記式(1)で表される構造単位を含む高分子化合物、及び(B)成分として機能性色素を含む組成物。
Figure 2010139994
〔式中、Qは水素原子又は式(2)で表される基を表す。R1は水素原子、式(2a)又
は式(2b)で表される基を表す。R2及びR3はそれぞれ独立に水素原子又は炭素原子数1ないし6のアルキル基を表し、また構造単位間のQ、R1、R2及びR3は夫々同一であ
っても異なっていても良い。〕
第2観点として、前記機能性色素が蛍光色素である第1観点に記載の組成物。
第3観点として、前記機能性色素が非線形光学色素である第1観点に記載の組成物。
第4観点として、前記蛍光色素がヒドロキシ基及びカルボキシル基のうちの少なくとも一つを有することを特徴とする、第2観点に記載の組成物。
第5観点として、前記非線形光学色素がヒドロキシ基及びカルボキシル基のうちの少なくとも一つを有することを特徴とする、第3観点に記載の組成物。
第6観点として、前記非線形光学色素が式(3)で表される化合物であることを特徴とする、第3観点に記載の組成物。
Figure 2010139994
〔式中、Ar1及びAr2はそれぞれ独立にヘテロ原子を含んでいてもよい5員環ないし14員環の芳香環基を表し、Dは電子供与性官能基を表し、Aは電子吸引性官能基を表し、Lはアゾ基、イミン基、アルケニル基又はアルキニル基を表し、nは0ないし2の整数を表す。〕
第7観点として、第1観点ないし第6観点のうち何れか一項に記載の組成物を含有するワニス。
第8観点として、第7観点記載のワニスから作製される薄膜。
第9観点として、第1観点、第3観点、第5観点及び第6観点のうち何れか1項に記載の組成物を用いた非線形光学材料。
本発明によれば、ビフェニレン骨格を有するハイパーブランチポリマーを高分子マトリクスとして用いることによって、蛍光色素や非線形光学色素等の機能性色素が、従来技術に比してより高濃度で存在しても凝集せずに均一な分散状態にある組成物を提供できる。特に、カルボキシル基又はヒドロキシ基を含む前記ハイパーブランチポリマーと、ヒドロキシ基又はカルボキシル基を含む前記色素との組合せとしたとき、該色素をより高濃度でハイパーブランチポリマーの高分子マトリクス内に分散することができる。そして、例えば蛍光色素をより高濃度で分散させた際には発光強度を増大させることができ、簡単に成形できる光学デバイスを形成することが可能となる。また、例えば非線形光学色素をより高濃度で分散させた際には非線形光学定数を増大させることができる。
また本発明の組成物は、溶媒に溶解してワニス形態と為し、簡単に成形可能であることからハンドリング性の高い光学材料として、光電子材料分野において好適に用いることができるという効果が得られる。
さらに本発明の非線形光学材料は、大きな非線形光学定数を有し、簡単に成形できる光学デバイスを形成することが可能となる。
本発明の組成物は、(A)成分として下記式(1)で表される構造単位を含む高分子化合物、(B)成分として機能性色素を含有し、所望により溶媒、さらにその他添加剤を含有する組成物である。
以下、本発明の組成物の各成分の詳細を説明する。
<(A)成分>
[式(1)で表される構造単位を含む高分子化合物]
本発明において、(A)成分はビフェニレン骨格を有する高分子化合物、すなわち、下記式(1)で表される構造単位を含む高分子化合物である。その重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィーによるポリスチレン換算値で2,000ないし500,000であることが好ましい。
Figure 2010139994
式中、Qは水素原子又は式(2)で表される基を表し、R1は式(2a)又は式(2b
)で表される基を表す。また、R2及びR3は夫々独立して水素原子又は炭素原子数1ないし6のアルキル基を表す。なお各式中のQ、R1、R2及びR3はそれぞれ同一の基であっ
ても異なる基であっても良い。
ここでアルキル基は直鎖状又は分枝鎖状アルキル基を表す。
また上記式(1)においてQが式(2)で表される基(すなわちケトン部位)である場合の位置は、2位もしくは3位のいずれであってもよい。
また、式(2)におけるR1の置換位置はオルト位、メタ位、パラ位のいずれであって
も良い。
式(1)中、Qは溶媒への溶解性の観点から式(2)で表される基であることが好ましい。
式(2)中、R1は溶媒溶解性及び成膜性の観点から式(2a)又は式(2b)で表さ
れる基であることがより好ましい。特に式(2a)であることが好ましく、式(2a)中のR2が水素原子であること(すなわち−COOH基であること)が最も好ましい。
本発明に用いられる(A)成分である高分子化合物は、式(1)で表される構造単位を含む高分子化合物であるので、式(1)で表される構造単位以外のその他の構造単位を含んでもよい。その他の構造単位としては、ベンゼン、チオフェン、ピリジン、ナフタレン等の構造単位を挙げることができる。上記その他の構造単位を含む場合、高分子化合物全体に対して、式(1)で表される構造単位が50モル%ないし99モル%であることが望ましい。
一方、(A)成分の高分子化合物は、式(1)で表される構造単位のみからなる高分子化合物であることが、本発明の効果を発現させやすいためより好ましい。したがって、本発明の(A)成分の高分子化合物は、式(1)で表される構造単位を50モル%ないし100モル%で含むことが望ましい。
[式(1)で表される構造単位を含む高分子化合物の製造方法]
本発明の(A)成分である、上記式(1)で表される構造単位を含む高分子化合物は、一般に、下記スキームに従って式の方法で合成できる。
Figure 2010139994
すなわち、式(4)で表される化合物をニッケル錯体、パラジウム錯体、銅錯体などの遷移金属錯体と、必要な場合には配位子となる化合物や塩基の存在下、一般に溶媒中で重合反応を行い、式(1)で表される構造単位を有する高分子化合物を得る。
上記スキーム中、Xはハロゲン原子を表し、Qは前述に定義したとおりである。
上記製造方法において、式(4)で表される化合物は一種単独で使用しても良いし、又は二種以上を組み合わせて用いることもできる。二種以上を用いる場合には、それら各化合物の比率は特に制限されず、目的とする高分子の構造に応じて適宜調整することができる。
また、前述の通り、式(1)で表される構造単位を有する高分子化合物は、式(1)で表される構造単位以外の構造単位(ベンゼン、チオフェン、ピリジン、ナフタレン等)を含んでいてもよい。その場合、上記式(4)で表される化合物に加え、その他モノマーとして、2つ以上のハロゲン原子を有する芳香族系化合物を用いて、高分子化合物を得ることができる。その他のモノマーを用いる場合には、本発明の高分子化合物を得るために用いる全モノマーに対して、1モル%ないし50モル%の範囲で用いることができる。
上記2つ以上のハロゲン原子を有する芳香族系化合物は、芳香族環における任意の位置の2つ以上の水素がハロゲン原子に置換されたものであれば、その種類に特に制限はなく、目的とする構造単位の構造に応じて適切なものを選択すればよい。具体例としては、1,4−ジクロロベンゼン、1,3−ジクロロベンゼン、1,6−ジクロロナフタレン、2,5−ジクロロチオフェン、2,5−ジクロロピリジン、2,6−ジクロロピリジン、1,4−ジブロモベンゼン、1,3−ジブロモベンゼン、1,6−ジブロモナフタレン、2,5−ジブロモチオフェン、2,5−ジブロモピリジン、2,6−ジブロモピリジン等を挙げることができる。
上記その他のモノマー(2つ以上のハロゲン原子を有する芳香族系化合物)についても、一種を単独で用いても良く、二種以上を任意の組み合わせで使用しても良い。また、その比率も特に制限されず、目的とする高分子の構造に応じて調整することができる。
上記重合反応で用いる遷移金属錯体は特に制限されず、公知の各種の重合用金属錯体の中から、任意に選択して使用することができる。例としては、銅錯体、ニッケル錯体、パラジウム錯体等の還元触媒が挙げられる。中でも、ニッケル錯体、パラジウム錯体が好ましい。
上記ニッケル錯体としては、テトラキス(トリフェニルホスフィン)ニッケル、ジクロロ(2,2’−ビピリジン)ニッケル、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル等が挙げられる。中でも重合能力の高さから、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル等の0価ニッケル錯体が好ましい。なお、ニッケル錯体は、何れか一種を単独で用いても良く、二種以上を組み合わせて用いても良い。また、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(2価)と還元剤として金属亜鉛を併用することもできる。
上記パラジウム錯体としては、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジ
クロロ{1,3−ビス(ジフェニルホスフィン)プロパン}パラジウム等が挙げられる。中でも、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムが好ましい。なお、パラジウム錯体は、何れか一種を単独で用いても良く、二種以上を組み合わせて用いても良い。
金属錯体は、原料であるモノマーに対して、2×10-3倍ないし2×10-2倍のモル比で使用することができる。また、0価ニッケル錯体のようにそれ自身が反応剤として作用する場合には、原料であるモノマーに対して、1倍ないし5倍のモル比で使用することができる。
上記重合反応において、必要な場合には配位子となる化合物及び/又は塩基を反応条件に応じて適宜使用する。
配位子となる化合物としては、トリフェニルホスフィン(PPh3)、トリス(4−メ
チルフェニル)ホスフィン((Tol)3P)、トリターシャリーブチルホスフィン((
t−Bu)3P)、トリシクロヘキシルホスフィン((Cy)3P)、dppe(1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン)、dppp(1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン)、dppf(1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)、cod(1,5−シクロオクタジエン)、ビピリジン等が挙げられる。
また、塩基はそのままの形態で用いてもよく、或いは水溶液の形態として用いてもよい。好適な塩基として、水素化ナトリウム、水素化カリウム、ブチルリチウム、ターシャリーブトキシカリウム等に加え、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、燐酸カリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等の無機塩基、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等の脂肪族アミン、ピリジン、キノリン、イミダゾール等の芳香族アミン等の有機塩基が挙げられる。
重合の手順は特に制限されないが、通常は、反応容器中でモノマーを溶媒に溶解又は分散させ、そこに触媒や必要な場合には配位子や塩基を加えて反応を開始する。
上記重合反応に用いる溶媒としては、モノマーを好適に溶解又は分散させることができ、且つ、モノマーや反応中に生じた高分子化合物との間に好ましからぬ副反応を生じないものであれば、その種類は特に制限されない。例としては、アルコール類、非プロトン性極性有機溶媒(N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチルピロリドン(NMP)等)、エーテル類(ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ターシャリーブチルメチルエーテル(TBME)、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)、テトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサン等)、脂肪族炭化水素類(ペンタン、ハキサン、石油エーテル等)、芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、テトラリン等)、ハロゲン系炭化水素類(クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)、低級脂肪酸エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル等)、ニトリル類(アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル等)を用いることができる。なお、溶媒は一種を単独で用いても良く、二種以上を任意の組み合わせで混合して用いても良い。
重合反応時の雰囲気は特に限定されないが、通常は空気中又は不活性雰囲気下、好ましくは不活性雰囲気下で行なう。不活性雰囲気の例としてはアルゴンガス又は窒素ガス雰囲気が挙げられる。
重合反応時の温度に特に制限はないが、−20℃ないし100℃である。好ましくは、20℃ないし60℃である。重合反応時の圧力にも特に制限はないが、通常は常圧で行な
う。
重合反応の時間は、使用するモノマーや触媒の種類、重合時の温度や圧力等によっても異なるが、1時間ないし1000時間である。好ましくは2時間ないし20時間である。
重合反応の終了後、得られた高分子化合物を任意の方法で回収し、必要に応じて洗浄等の後処理を行なう。反応溶液から高分子を回収する方法としては、再沈殿等の方法が挙げられる。
後処理としては、塩酸等の酸やキレート化剤等を用いた洗浄による金属錯体の除去等が挙げられる。
<式(4)で表される化合物の製造方法>
前記式(4)中、Qが式(2)で表される基であるところの式(4)で表される化合物(単量体)であるアロイルビフェニル化合物の製造方法について以下に述べる。
[アロイルビフェニル化合物の製造方法[1]]
前記アロイルビフェニル化合物は、一般に、下記スキームに従って製造される。
Figure 2010139994
すなわち、式(5)で表される化合物と式(6)で表される化合物とをパラジウム錯体、銅錯体、ニッケル錯体などの遷移金属触媒と、必要な場合には塩基の存在下、溶媒中でカップリング反応を行い、式(7)で表される化合物(前記式(4)中、Qが式(2)で表される基であるところ化合物)を得る。
上記スキーム中、R1は式(1)で表される構造単位の説明において定義したとおりで
あり、Xはハロゲン原子を表す。
式(6)中、Yはハロゲン原子、又はR7SO3基(R7は炭素原子数1ないし10のア
ルキル基、フッ素原子で置換されている炭素原子数1ないし10のアルキル基又はベンゼン環(アルキル基置換されていても良い)を表す)から選択される。
また式(5)中、ZはMgR4、Li、Al(R42、ZnR4、Sn(R53、B(OR62又はSi(R53から選択され、好ましくは、B(OR62又はSi(R53である(式中、R4はハロゲン原子又は炭素原子数1ないし6のアルコキシル基を表し、R5はハロゲン原子、炭素原子数1ないし6のアルコキシル基、又は炭素原子数1ないし6のアルキル基を表し、R6は水素原子又は炭素原子数1ないし6のアルキル基を表す)。
上記Zの定義と上記Yの定義は夫々互いに入れ替わっても良い。
上記合成反応の際に用いる触媒は、遷移金属触媒であれば特に限定はされないが、上述の中でもパラジウム錯体の使用が好ましい。パラジウム錯体として種々の構造のものが使用可能であるが、特に3級ホスフィンや3級ホスファイトを配位子とする、低原子価パラジウム錯体が好ましい。或いは、反応系中で、容易にゼロ価錯体に変換される適当な前駆体を(触媒として)用いても良い。
また、反応系中で、3級ホスフィンや3級ホスファイトを配位子として含まないパラジウム錯体と、3級ホスフィンや3級ホスファイトとを混合し、3級ホスフィンや3級ホスファイトを配位子とする低原子価錯体を発生させても良い。
さらに、3級ホスフィンや3級ホスファイトを含まないパラジウム触媒及び/または3級ホスフィンや3級ホスファイトを含むパラジウム触媒と、上記配位子(3級ホスフィンや3級ホスファイト)とを組み合わせて用いてもよい。
上記3級ホスフィンや3級ホスファイトを含まないパラジウム触媒としては、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、酢酸パラジウム、塩化パラジウム、パラジウム−活性炭等が挙げられる。
また上記3級ホスフィンや3級ホスファイトを既に配位子として含むパラジウム錯体としては、ジメチルビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジメチルビス(ジフェニルメチルホスフィン)パラジウム、(エチレン)ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムジクロリド等が挙げられる。
さらに、上記配位子として使用可能な3級ホスフィン、3級ホスファイトとしては、例えば、トリフェニルホスフィン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、トリ(ターシャリーブチル)ホスフィン、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、1,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフタレントリメチルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリフェニルホスファイト等が挙げられる。
これらの配位子の2種類以上を混合して錯体化させたパラジウム錯体を用いても良い。
上記パラジウム錯体の使用量は、原料物質に対して20モル%以下で十分であり、通常、10モル%以下で使用される。
上記合成反応において、必要な場合には塩基を、反応条件に応じてそのままの形態あるいは水溶液の形態として使用しても良い。適当な塩基として、無機塩基としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、燐酸カリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等、有機塩基としてはトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等の脂肪族アミン、ピリジン、キノリン、イミダゾール等の芳香族アミンが挙げられる。
上記合成反応に用いる溶媒としては、当該反応条件下において安定であって、且つ不活性であり、合成反応を妨げないものであれば特に制限されない。具体的には、水、アルコール類、非プロトン性極性有機溶媒(N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチルピロリドン(NMP)等)、エーテル類(ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ターシャリーブチルメチルエーテル(TBME)、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)、テトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサン等)、脂肪族炭化水素類(ペンタン、ハキサン、石油エーテル等)、芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、テトラリン等)、ハロゲン系炭化水素類(クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)、低級脂肪酸エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル等)、ニトリル類(アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル等)等が挙げられる。
上記合成反応の反応温度は、−100℃から使用する溶媒の沸点まであってよく、好ましくは、−50ないし150℃の範囲であることが望ましい。
また反応時間は、0.1ないし1000時間であることが好ましい。
最後に上記合成反応によって得られた粗生成物を、蒸留、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、再結晶等を用いて精製し、式(7)で表されるアロイルビフェニル化合物を得る。
[アロイルビフェニル化合物の製造方法[2]]
前記アロイルビフェニル化合物(前記式(4)中、Qが式(2)で表される基であるところ化合物)の別の製造方法として、下記スキームを挙げることができる。
Figure 2010139994
すなわち、式(5)で表される化合物と式(8)で表される化合物とをパラジウム錯体、銅錯体、ニッケル錯体等の遷移金属触媒と、必要な場合には塩基の存在下、溶媒中でカップリング反応を行い、式(9)で表される化合物(中間体1)を得る。その後、式(10)で表されるR1を有する芳香族金属化合物を反応させ、式(11)で表されるアルコ
ール化合物に変換し、最後に式(11)中のヒドロキシ基を酸化して式(7)で表される化合物を得る。
上記式中、R1、X、Y及びZは前述に定義したとおりである。
式(10)中、Mは式(9)中のアルデヒド基に付加反応可能な官能基であり、MgR4、Li、Al(R42、ZnR4、Ti(R43、Zr(R43(式中、R4はハロゲン
原子又は炭素原子数1ないし6のアルコキシル基を表す)から選択されることが好ましい。
式(11)で表される化合物の酸化に用いる酸化剤は、ベンゼン上の置換基Xを酸化しない酸化剤であれば良く、例えば、クロム系酸化剤、DMSO系酸化剤、マンガン系酸化剤、TEMPO(テトラメチルピペリジン オキシラジカル)等が挙げられる。
上記スキームで用いられる好適な遷移金属触媒及び塩基として、アロイルビフェニル化合物の製造方法[1]で示した化合物を夫々挙げることができる。
また、上記スキームの一連の好適な反応条件(反応温度、反応時間、溶媒)及び精製方法も、前記製造方法[1]で示した反応条件及び精製方法を用いることができる。
[アロイルビフェニル化合物(前記式(4)中、Qが式(2)で表される基であるところ化合物)の原料化合物である、式(6)で表される化合物及び式(8)で表される化合物の製造方法]
前記アロイルビフェニル化合物の製造方法[1]又は[2]において、原料化合物とし
て用いられる式(6)で表される化合物又は式(8)で表される化合物として、市販品(式中、Yがハロゲン原子であるもの)を用いてもよい。
式(6)で表される化合物又は式(8)で表される化合物において、Yがハロゲン原子でない場合、すなわち、YがR7SO3基(R7は炭素原子数1ないし10のアルキル基、
フッ素原子で置換されている炭素原子数1ないし10のアルキル基又はベンゼン環(アルキル基置換されていても良い)を表す)である場合、下記スキームに従い、式(12)で表される置換基Pを有するフェノール化合物を、塩基の存在下、溶媒中で、対応するスルホニルクロリド又はスルホン酸無水物と反応させて得ることができる。
Figure 2010139994
上記スキーム中、X、Y及びR1は前述に定義されたとおりである。
上記合成反応で用いるスルホニルクロリドとしては、メタンスルホニルクロリド、トルエンスルホニルクロリド等が挙げられる。また、スルホン酸無水物としては、メタンスルホン酸無水物、トルエンスルホン酸無水物、トリフルオロメタンスルホン酸無水物等が挙げられる。
上記合成反応で用いる塩基としては、水素化ナトリウム、水素化カリウム、ブチルリチウム、ターシャリーブトキシカリウム等の他、前記アロイルビフェニル化合物の製造方法[1]で挙げた無機塩基及び有機塩基を挙げることができる。
また、上記合成反応で用いる溶媒は、前記アロイルビフェニル化合物の製造方法[1]で挙げた各種溶媒を好適に用いることができる。
上記合成反応の反応温度は、−100℃から使用する溶媒の沸点まであってよく、好ましくは、−50ないし150℃の範囲であることが望ましい。
また反応時間は、0.1ないし1000時間であることが好ましい。
最後に上記合成反応によって得られた粗生成物を、蒸留、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、再結晶等を用いて精製し、式(6)又は式(8)で表される化合物を得る。
[アロイルビフェニル化合物のその他の製造方法[3]]
上記式(7)で表されるアロイルビフェニル化合物(前記式(4)中、Qが式(2)で表される基であるところ化合物)は、上記製造方法[1]及び[2]の他に、下記スキームによっても製造可能である。
Figure 2010139994
すなわち、式(5)で表される化合物と、式(13)で表される官能基Tを有する化合物を、パラジウム錯体、銅錯体、ニッケル錯体等の遷移金属触媒と、必要な場合には塩基の存在下、溶媒中でカップリング反応を行い、式(14)で表される化合物(中間体2)を得る。その後、式(15)で表されるR1を有する芳香族化合物反応させて、式(7)
で表されるアロイルビフェニル化合物を得る。
上記スキーム中、X、Y、Z及びR1は前述に定義したとおりである。
また、上記式(13)又は式(14)において、置換基Tはシアノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基から選択される。このため、本製造方法[3]は、前記製造方法[2]において必要とされる酸化工程を省略できる。
上記式(15)において、Uは官能基T(シアノ基、カルボキシル基又はアルコキシカルボニル基)に付加反応可能な官能基であり、MgR4(R4はハロゲン原子又は炭素原子数1ないし6のアルコキシル基を表す)又はLiから選択されることが好ましい。
上記スキームで用いられる好適な遷移金属触及び塩基として、前記アロイルビフェニル化合物の製造方法[1]で示した化合物を夫々挙げることができる。
また、上記スキームの一連の好適な反応条件(反応温度、反応時間、溶媒)及び精製方法も、前記製造方法[1]で示した反応条件及び精製方法を用いることができる。
[アロイルビフェニル化合物のその他の製造方法[4]]
上記式(7)で表されるアロイルビフェニル化合物は、上記製造方法[1]ないし[
3]の他に、下記スキームによっても製造可能である。
Figure 2010139994
すなわち、式(5)で表される化合物と、式(16)で表されるベンジルアルコール化合物を、パラジウム錯体、銅錯体、ニッケル錯体等の遷移金属触媒と必要な場合には塩基の存在下、溶媒中でカップリング反応を行い、式(17)で表される化合物(中間体3)を得る。その後、脱保護を行い式(18)で表されるアルコール化合物に変換した後、ヒドロキシ基を酸化して、式(9)で表されるアルデヒド化合物を得る。
このようにして得られた式(9)で表される化合物は、前記製造方法[2]に記載の方法を用いて、式(7)で表されるアロイルビフェニル化合物に変換することができる。
上記スキーム中、X、Y及びZは前述に定義したとおりである。
また上記スキーム中、R8はヒドロキシ基の保護基として使用することができる置換基
であれば特に制限はされないが、炭素原子数1ないし10のアルキル基、トリフェニルメチル基、炭素原子数1ないし10のアシル基、炭素原子数1ないし10のアルコキシカルボニル基、テトラヒドロピラン基、メトキシメチル基、1−エトキシエチル基、Si(R103(R10は炭素原子数1ないし10のアルキル基、フェニル基を表す)から選択され
る基であることが好ましい。
上記スキームで用いられる好適な遷移金属触媒及び塩基として、前記アロイルビフェニル化合物の製造方法[1]で示した化合物を夫々挙げることができる。
また脱保護は、塩基、酸、フッ化物を使用して行うこと事が可能である。脱保護に用いられる塩基としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、リン酸カリウムなどが挙げられる。また、酸としては塩化水素、硫酸、リン酸などの無機酸、及び、ギ酸、トルエンスルホン酸などの有機酸等が挙げられる。さらに、フッ化物としては、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム、R11NF(式中、R11は炭素原子数1ないし10のアルキル基を表す)等を挙げることができる。
さらに、上記式(18)で表される化合物の酸化に用いる酸化剤は、ヒドロキシ基をアルデヒド基に酸化できる酸化剤であれば特に制限は無い。好適な酸化剤として、ピリジニウムクロロクロメート、ピリジニウムジクロメートなどのクロム系酸化剤、DMSO系酸化剤、マンガン系酸化剤、TEMPO(テトラメチルピペリジン オキシラジカル)等を挙げることができる。
また、上記スキームの一連の好適な反応条件(反応温度、反応時間、溶媒)及び精製方法も、前記製造方法[1]で示した反応条件及び精製方法を用いることができる。
<(B)成分>
[機能性色素]
本発明において、(B)成分は機能性色素であり、ここでいうところの機能性色素とは、蛍光色素や非線形光学色素を含む。
上記蛍光色素としては、例えばペリレン、ピレン、アントラセン、ナフタレン、クマリン、オキサジン、ローダミン、フルオレセイン、ベンゾフラザン、キナクドリン、スチルベン、ルミノール、フェノチアジン、キノリン、チアゾール等の骨格を有する化合物及びその誘導体が挙げられる。
これらのうち、該蛍光色素は構造内にヒドロキシ基及びカルボキシル基のうち少なくとも一つを有するものであることが好ましい。
具体例としては、p−ターフェニル、p−クォーターフェニル、ローダミン101、スルフォローダミン101、カルボスチリル124、Cresyl Violet、3,3’−ジエチルオキサジカルボシアニン(DODC)、クマリン102、クマリン120、クマリン151、クマリン152、クマリン2、クマリン314、クマリン314T、クマリン339、クマリン30、クマリン307、クマリン343、クマリン6、HIDC、DTPC、DOTC、HITC、DTTC、フルオレセイン、2,7−ジクロロフルオレセイン、Nile Blue A、 ローダミン6G、ローダミン19、ローダミンB、スルフォローダミンB、オキサジン4、4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−(p−(ジメチルアミノ)スチリル)−4H−ピラン(DCM)等が挙げられる。
また前記非線形光学色素としては、構造内にヒドロキシ基及びカルボキシル基のうちの少なくとも一つを有することが好ましく、また、下記式(3)で表される化合物であることが望ましい。特に好ましくは下記式(3)で表される化合物の中でもその構造内にヒドロキシ基及びカルボキシル基のうちの少なくとも一つを有する化合物である。
Figure 2010139994
式中、Ar1及びAr2はそれぞれ独立にヘテロ原子を含んでいてもよい5員環ないし14員環の芳香環基を表し、Dは電子供与性官能基を表し、Aは電子吸引性官能基を表し、Lはアゾ基、イミン基、アルケニル基又はアルキニル基を表し、nは0ないし2の整数を表す。
Dで表される電子供与性官能基としては、例えばアルキル基、アリール基又はアシル基で置換されてもよいアミノ基、炭素原子数6以下のアルコキシ基、アリルオキシ基並びにチオエーテル基等の代表的な電子供与性基並びにそれらを含む全体として電子供与性の基を含む基が挙げられ、特に炭素原子数6以下のアルキル基で置換されたアミノ基を含む基であることが好ましい。
Aで表される電子吸引性官能基としては、例えばニトロ基、シアノ基、ジシアノビニル基、トリシアノビニル基、ハロゲン原子、カルボニル基、スルホン基、ペルフルオロアルキル基等の代表的な電子吸引性基並びにそれらを含む全体として電子吸引性の基を含む基が挙げられ、特にニトロ基、シアノ基、ジシアノビニル基、トリシアノビニル基を含む基であることが好ましい。
Ar1及びAr2で表されるヘテロ原子を含んでいても良い5員環ないし14員環の芳香環基としては、例えばベンゼン環、ピリジン環、チオフェン環、チアゾール環、チアジアゾール環、フラン環、オキサゾール環、オキサジアゾール環、ナフタレン環、アントラセン環等が挙げられる。
これら芳香環基において、環に結合する水素原子が、アルキル基やアルコキシ基等で置換されていても良く、さらにこの置換基の水素原子の一部がフッ素原子やヒドロキシ基等で置換されていても良い。
前記式(3)で表される非線形光学色素の具体例としては、パラニトロアニリン(p−NA)、4−ジメチルアミノ−4’−ニトロスチルベン(DANS)、2−メチル−4−ニトロアニリン(MMA)、2−メトキシ−5−ニトロフェノール(MNP)、4−[N−エチル−N−(ヒドロキシエチル)]アミノ−4’−ニトロアゾベンゼン(DR1)、4−(N,N−ビス(ヒドロキシエチル))アミノ−4′−ニトロアゾベンゼン(DR19)、4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−(p−(ジメチルアミノ)スチリル)−4H−ピラン(DCM)、4−[(4−アミノフェニル)アゾ]ニトロベンゼン(DO3)、3−メチル−4−ニトロピリジン−N−オキシド(POM)、2−シクロオクチルアミノ−5−ニトロピリジン(COANP)、4’−ニトロベンジリデン−3−アセチルアミノ−4−メトキシアニリン(MNBA)、3,5−ジメチル−1−(4−ニトロフェニル)ピラゾール(DMNP)、4−(イソポロパキシカルボニル)アミノニトロベンゼン(PCNB)、N−メトキシメチル−4−ニトロアニリン(MMNA)の他、式[10]で表される2−(3−シアノ−4−(4−((4−(エチル(2−ヒドロキシエチル)アミノ)フェニル)ジアゼニル)スチリル)−5,5−ジメチルフラン−2(5H)−イリデン)マロノニトリル(AzTCF−OH)、式[13]で表される2−(3−シアノ−4−(4−((4−(ビス(2−ターシャリーブチルカルボニルオキシエチル)アミノ)フェニル)ジアゼニル)スチリル)−5,5−ジメチルフラン−2(5H)−イリデン)マロノニトリル(AzTCF)等が挙げられる。
Figure 2010139994
なお上記式[10]で表される化合物(AzTCF−OH)又は[13]で表される化合物(AzTCF)は、A. Kaneko et.al., JAPANESE JOURNAL OF APPLIED PHYSICS Vol.
41 Part2 (2002) , No.5B pp.L559-L561に記載の方法に準じて合成できる。
なお本発明において、構造内にヒドロキシ基及びカルボキシル基を含み、特に好適に使用可能な非線形光学色素の例としては、以下のものが挙げられる。
Figure 2010139994
本発明の組成物における(B)成分の機能性色素の含有量は、(A)成分の高分子化合物及び(B)成分の機能性色素の合計質量の0.0001乃至60質量%であることが好ましい。
特に(B)成分の機能性色素が蛍光色素である場合には、0.0001乃至20質量%であることが好ましく、より好ましくは0.001乃至10質量%である。
また(B)成分の機能性色素が非線形光学色素である場合には、1乃至60質量%であることが好ましく、より好ましくは10乃至40質量%である。
これらの割合が過小である場合には、十分な色素の機能を得ることができない場合があり、また過大である場合には、製膜が難しい、或いは材料の機械的な強度が低下する恐れ
がある。
<組成物並びにワニス>
本発明の組成物を非線形光学材料として使用する場合、一般に薄膜の形態として使用する。前記薄膜の作製方法としては、本発明の組成物を適当な有機溶剤に溶解してワニスの形態とし、該ワニスを適当な基板(例えば、シリコン/二酸化シリコン被覆基板、シリコンナイトライド基板、金属、例えば、アルミニウム、モリブデン、クロムなどが被覆された基板、ガラス基板、石英基板、ITO基板等)やフィルム(例えば、トリアセチルセルロースフィルム、ポリエステルフィルム、アクリルフィルム等の樹脂フィルム)上に、回転塗布、流し塗布、ロール塗布、スリット塗布、スリットに続いた回転塗布、インクジェット塗布、印刷などによって塗布することによって成膜する湿式塗布法が好ましい。
ここでワニス調製に用いられる溶剤は、前記(A)成分及び(B)成分を溶解し、且つ所望により添加される後述の添加剤などを溶解するものであり、斯様な溶解能を有する溶剤であれば、その種類及び構造などは特に限定されるものでない。
好ましい有機溶剤の例としては、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、シクロヘキサノール、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、トルエン、クロロベンゼン、キシレン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、クロロベンゼン、プロピレングリコールメチルエーテル等が挙げられる。なお、これらの有機溶剤は単独で用いても、複数を混合して用いてもよい。
これらの溶剤は、一種単独で、または二種以上の組合せで使用することができる。
これら溶剤の中、プロピレングリコールモノメチルエーテル、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等が、(A)成分の溶解性が高く、塗膜性が良好という観点より好ましい。
上記ワニスにおける固形分は、例えば0.5乃至30質量%であり、又、例えば5乃至30質量%である。ここで言うところの固形分とは、前記ワニスから溶媒を除いた質量を意味する。
而して、調製されたワニスは、孔径が0.2μm程度のフィルタなどを用いて濾過した後、使用することが好ましい。
なお上記ワニスは、本発明の効果を損なわない限りにおいて、必要に応じて、ハイドロキノン等の酸化防止剤、ベンゾフェノン等の紫外線吸収剤、シリコーンオイル、界面活性剤等のレオロジー調整剤、シランカップリング剤等の接着補助剤、高分子マトリクスの架橋剤、相溶化剤、硬化剤、顔料、保存安定剤、消泡剤等を含有することができる。
<非線形光学材料>
本発明において、前記組成物を用いて作製された材料(例えば薄膜)は、非線形光学特性を発現させるためには、ポーリング処理を必要とする。ポーリング処理とは、材料のガラス転移温度以上、溶融点以下の温度に材料を加熱した状態で所定電界を印加し、その電界を維持した状態で材料を冷却することで非線形光学色素分子を配向させる操作である。この操作により材料は実質的に非線形光学特性を発現することができる。
本発明においても、単に組成物を薄膜化しただけでは、非線形光学色素分子の配向はランダムとなっていることから、マトリクスである高分子化合物のガラス転移温度以上(高分子化合物がガラス転移温度を示さない場合にはおよそ120℃以上)、溶融点以下の温度に加熱し、ポーリング処理を行い、非線形光学特性を発現させる。
なお、非線形光学色素が3次非線形光学色素の場合には、非線形光学特性を発現させるために、ポーリング処理により非線形光学色素を配向させる必要はなく、単に高濃度に非線形光学色素を分散させた材料で3次非線形光学特性を発現させることができる。
以上のように、本発明の組成物は、高濃度で機能性色素を高分子マトリクス中に分散できることから、特に非線形光学色素を用いた場合には、材料の非線形光学定数を増大させることができる。
このため、例えば高分子光導波路を使ったマッハツェンダー型光変調器等を形成する材料として好適である。
以下、実施例を挙げて、本発明を更に詳しく説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものでない。
以下の合成例並びに実施例において使用した測定装置は以下のとおりである。
1H−NMR]
装置:Varian NMR System 400NB(400MHz)
JEOL−ECA700(700MHz)
測定溶媒:CDCl3、DMSO−d6
基準物質:テトラメチルシラン(TMS)(δ0.0ppm)
13C−NMR]
装置:Varian NMR System 400NB(100MHz)
測定溶媒:CDCl3
基準物質:CDCl3 (δ77.0ppm)
[GPC]
装置:東ソー(株)製 HLC−8200 GPC
カラム:Shodex(登録商標) KF−804L+KF−805L
カラム温度:40℃
溶媒:テトラヒドロフラン
検出器:UV(254nm)
検量線:標準ポリスチレン
[多角度光散乱検出器]
装置:Wyatt社製 DAWN HELEOS
溶媒:テトラヒドロフラン
[示差熱天秤(TG−DTA)]
装置:(株)リガク製 TG−8120
昇温速度:10℃/分
測定温度:25℃−500℃
[スピンコーター] ミカサ(株)製 1H−D7
[紫外可視分光光度計] 日本分光(株)製 V−670
[微分干渉顕微鏡] (株)ニコン製 ECLIPSE L150
[触針式表面形状測定器](株)アルバック製 Dektak3
<合成例1:式(4)で表されるアロイルビフェニル化合物(モノマー)の製造>
Figure 2010139994
アルゴン雰囲気下、5−クロロサリチルアルデヒド[1](78.9g、0.504mol)の塩化メチレン(1.20L)溶液を−10℃に冷却し、ピリジン(47.3mL、0.585mol)を滴下した。続いて、温度を−20℃に冷却し、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(156g、0.554mol)を20分かけて滴下した。同温度で、1.5時間、反応を行った。反応液に蒸留水(600mL)に注ぎ、有機層を分離した。水層を塩化メチレン(600mL)で抽出した後、有機層を集めて蒸留水(600mL)、飽和炭酸水素ナトリウム水(500mL)、蒸留水(600mL)、飽和食塩水(500mL)の順序で洗浄した。分離した有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた後、溶媒を減圧下留去し、化合物[2](収量145g、収率100%)を得た。
化合物[2]の1H−NMRの測定結果は以下の通りであった。
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ10.22(s,1H),7.96(d,J=2.4Hz,1H),7.68(dd,J=8.8,2.4Hz,1H),7.38(d,J=8.8Hz,1H).
アルゴン雰囲気下、化合物[2](トリフラート体)(145g、0.501mol)と3,5−ジクロロフェニルボロン酸[3](100g、0.526mol)のトルエン(1.15L)溶液に、炭酸ナトリウム(133g、1.25mol)、塩化リチウム(63.7g、1.50mol)、蒸留水(870mL)、エタノール(290mL)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(15.6g、13.5mmol)を加え、80℃で44時間、反応させた。冷却後、不溶物をろ過で除去し、ろ物をトルエン(1L)と蒸留水(500mL)で洗浄した。得られたろ液を分液し、水層をトルエン(1L)で抽出した。集めた有機層を蒸留水(1L)で2回、さらに、飽和食塩水(1L)で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を減圧下で留去し、化合物[4]の粗物(重量181g)を得た。粗物をトルエン(30mL)とヘキサン(460mL)の混合溶媒中で加熱還流させた後、10℃まで冷却した。固体をろ取し、乾燥後、精製品のアルデヒド化合物[4](収量92.0g、収率64%)を得た。
アルデヒド化合物[4]の1H−NMR及び13C−NMRの測定結果は以下の通りであ
った。
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ 9.92(s,1H),8.00(d,J=2.4Hz,1H),7.63(dd
,J=8.4,2.4Hz,1H),7.47(t,J=2.0Hz,1H),7.36(d,J=8.4Hz,1H),7.25(d,J=2.0Hz,2H).
13C−NMR(100MHz,CDCl3):δ 189.80,140.91,139.57,135.42,135.29,134.52,133.72,131.93,128.58,128.20,127.95.
アルゴン雰囲気下、4−ヨード安息香酸メチル[5](94.9g、0.362mol)のテトラヒドロフラン(1.80L)溶液を−20℃に冷却し、イソプロピルグリニャール試薬(2mol/Lジエチルエーテル溶液、186mL、0.372mol)を30分かけて滴下した。滴下終了後、同温度で2時間、攪拌した後、アルデヒド化合物[4](89.7g、0.314mol)のテトラヒドロフラン(660mL)溶液を、45分かけて滴下した。その後、同温度で1時間、反応させた。反応溶液に飽和塩化アンモニウム水溶液(1L)を加え、有機層を分離した。有機層を飽和食塩水(400mL)で4回洗浄後、減圧下で溶媒を留去した。残渣をトルエン(100mL)で3回共沸し、化合物[6](148g)の粗物を得た。
化合物[6]の1H−NMRの測定結果は以下の通りであった。
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ 7.92(d,J=8.4Hz,2H),7.58(d,J=2.0Hz,1H),7.36(t,J=2.0Hz,1H),7.33(dd,J=8.4,2.0Hz,1H),7.16(d,J=8.4Hz,2H),7.11(d,J=8.4Hz,1H),7.04(d,J=2.0Hz,2H),5.81(s,1H),3.89(s,3H),2.62(bs,1H).
臭化カリウム(3.75g、31.5mmol)と2,2,6,6−テトラメチルピペリジン 1−オキシル(TEMPO、0.500g、3.20mmol)と上記の反応で得られた化合物[6]の粗物(148g)を含む塩化メチレン(900mL)溶液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(900mL)を加えた。塩氷水で冷却し、次亜塩素酸ナトリウム溶液(350g)を30分かけて滴下した。滴下終了後、1時間、反応させた。反応溶液を分液し、分離した有機層を蒸留水(600mL)で2回、その後、飽和食塩水(600mL)で洗浄した。溶媒を減圧下で留去し、固体(173g)を得た。この固体(173g)を酢酸エチル(500mL)と塩化メチレン(166mL)に溶解し、活性炭粉末7gを加え、30分攪拌した後、セライトを用いてろ過を行った。この活性炭処理とセライトろ過の作業は、ろ液の着色が抜けるまで繰り返した(3回)。ろ液を減圧下濃縮し、得られた残渣(151g)を酢酸エチル(300mL)とヘキサン(1.50L)を用いて再結晶を行い、化合物[7](収量109g、化合物[4]からの収率82%)を得た。
化合物[7]の1H−NMR及び13C−NMRの測定結果は以下の通りであった。
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ 7.98(d,J=8.4Hz,2H),7.64(d,J=8.4Hz,2H),7.60(dd,J=8.4,2.0Hz,1H),7.55(d,J=2.0Hz,1H),7.39(d,J=8.4Hz,1H),7.15(t,J=1.6Hz,1H),7.07(d,J=1.6Hz,2H),3.93(s,3H).
13C−NMR(100MHz,CDCl3):δ 195.85,165.90,141.48,139.87,139.52,136.68,134.95,134.72,133.99,131.17,131.11,129.54,129.31,129.11,127.80,127.23,52.47.
<合成例2:式(1)で表される構造単位を含む高分子化合物(HB−PBP(COOMe))の製造>
Figure 2010139994
還流塔を付した1Lフラスコに合成例1で得られた化合物[7](25.0g、59.6mmol)を入れ、1,4−ジオキサン(744mL)に溶解した。系内を窒素置換した後、これに、2,2’−ビピリジン[関東化学(株)製](16.7g、107mmol)、1,8−シクロオクタジエン[関東化学(株)製](9.7g、89.4mmol)、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル[関東化学(株)製](29.5g、107mmol)を仕込み、40℃で5時間反応を行った。室温まで放冷後、クロロホルム(1,350g)、30%塩酸水溶液(500g)、イオン交換水(1,500g)を加えて有機層を洗浄した。さらに、30%塩酸水溶液(500g)、イオン交換水(1500g)を加えて洗浄し、再度イオン交換水(1500g)によって洗浄した。クロロホルムおよび1,4−ジオキサンを減圧によって留去し、残滓にテトラヒドロフラン(42g)を加え、メタノール(1400g)によって再沈殿した。得られた無色固体を乾燥して、目的とする高分子化合物(19.3g)を得た。得られた高分子化合物が式[8]で表される構造単位を有する化合物であることを1H−NMRスペクトルにより確認した。
該高分子化合物のゲル浸透クロマトグラフィーによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは9,900、分散度Mw/Mnは2.3であった。また、示差熱天秤(TG−DTA)により測定した5%重量減少温度は363℃であった。
<合成例3:式(1)で表される構造単位を含む高分子化合物(HB−PBP(COOH))の製造>
Figure 2010139994
還流塔を付した1Lフラスコに合成例2で得られた高分子化合物[8](13.0g)を入れ、テトラヒドロフラン(260mL)に溶解した。系内を窒素置換した後、これに水酸化リチウム一水和物[関東化学(株)製](5.2g、123mmol)、イオン交換水(26g)を仕込み、70℃で1時間反応を行った。室温まで放冷後、30%塩酸水溶液(66g)加え、メタノール(1000g)によって再沈殿を行った。得られた無色固体をテトラヒドロフラン(45g)に溶解し、イオン交換水(500g)によって再沈殿を行った。得られた無色固体を乾燥し、目的とする化合物[9]を得た(8.2g)。1H−NMR測定の結果、3.7ppm付近のメチル基のピークが消失しており、水素原
子に変換されていることを確認した。
得られた高分子化合物[9]のゲル浸透クロマトグラフィーによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは10,300、分散度Mw/Mnは2.6であった。
<実施例1:ヒドロキシ基含有色素AzTCF−OHのハイパーブランチポリマーへの分散特性>
下記式[10]で表されるヒドロキシ基を有する色素(AzTCF−OH)5mg、10mg、20mg、40mgそれぞれに対して、合計100mgになるように合成例3で得られたHB−PBP(COOH)を加え(固形分中の色素濃度はそれぞれ5、10、20、40wt%)、これをそれぞれジメチルアセトアミド567mgに溶解(固形分濃度15wt%)した。この溶液を孔径0.2μmのフィルタによりろ過した後、スピンコーターを用いてガラス基板(コーニング社製,Eagle 2000)上に回転数3000rpmにて100秒間で成膜した。
この薄膜の吸収スペクトルを紫外可視分光光度計を用いて測定した。また、触針式表面形状測定器を用いて得られた薄膜の膜厚の値より、吸光度を吸光係数に換算(吸光係数=吸光度÷膜厚)した。結果を図1に示す。
さらに、微分干渉顕微鏡を用いてノマルスキー微分干渉観察を実施したところ、何れの色素濃度においても色素の凝集領域は確認されなかった。
Figure 2010139994
<実施例2:ヒドロキシ基含有色素DR19のハイパーブランチポリマーへの分散特性>
下記式[11]で表されるヒドロキシ基を有する色素(DR19)5mg、10mg、20mgそれぞれに対して、合計100mgになるように合成例3で得られたHB−PBP(COOH)を加え(固形分中の色素濃度はそれぞれ5、10、20wt%)、それぞれジメチルアセトアミド567mgに溶解(固形分濃度15wt%)させた以外は、実施例1と同様にして薄膜を作成し、評価を行った。結果を図2に示す。
また同様に微分干渉顕微鏡を用いてノマルスキー微分干渉観察を実施したところ、何れの色素濃度においても色素の凝集領域は確認されなかった。
Figure 2010139994
<実施例3:ヒドロキシ基含有色素DR1のハイパーブランチポリマーへの分散特性>
下記式[12]で表されるヒドロキシ基を有する色素(DR1)5mg、10mg、20mgそれぞれに対して、合計100mgになるように合成例3で得られたHB−PBP(COOH)を加え(固形分中の色素濃度はそれぞれ5、10、20wt%)、それぞれジメチルアセトアミド567mgに溶解(固形分濃度15wt%)させた以外は、実施例1と同様にして薄膜を作成し、評価を行った。結果を図3に示す。
また同様に微分干渉顕微鏡を用いてノマルスキー微分干渉観察を実施したところ、何れの色素濃度においても色素の凝集領域は確認されなかった。
Figure 2010139994
<実施例4:ヒドロキシ基非含有色素AzTCFのハイパーブランチポリマーへの分散特性>
下記式[13]で表される色素(AzTCF)5mg、10mg、20mg、40mgそれぞれに対して、合計100mgになるように合成例3で得られたHB−PBP(COOH)を加え(固形分中の色素濃度はそれぞれ5、10、20、40wt%)、それぞれジメチルアセトアミド567mgに溶解(固形分濃度15wt%)させた以外は、実施例1と同様にして薄膜を作成し、評価を行った。結果を図4に示す。
また同様に微分干渉顕微鏡を用いてノマルスキー微分干渉観察を実施したところ、色素濃度が40wt%の場合に若干の色素の凝集領域が確認された。
Figure 2010139994
<比較例1:ヒドロキシ基含有色素AzTCF−OHのPMMAへの分散特性>
前記式[10]で表されるヒドロキシ基を有する色素(AzTCF−OH)5mg、10mg、20mgそれぞれに対して、合計100mgになるようにポリメチルメタクリレート(PMMA、和光純薬工業(株)、製品名:メタクリル酸メチルポリマー)を加え(固形分中の色素濃度はそれぞれ5、10、20wt%)、それぞれシクロペンタノン733mg(固形分濃度12wt%)に溶解させた以外は、実施例1と同様にして薄膜を作成し、評価を行った。結果を図5に示す。
同様に微分干渉顕微鏡を用いてノマルスキー微分干渉観察を実施したところ、色素濃度が20wt%の場合に色素の凝集領域が確認された。
<比較例2:ヒドロキシ基含有色素DR19のPMMAへの分散特性>
前記式[11]で表されるヒドロキシ基を有する色素(DR19)5mg、10mg、20mgそれぞれに対して、合計100mgになるようにポリメチルメタクリレート(PMMA、和光純薬工業(株)、製品名:メタクリル酸メチルポリマー)を加え(固形分中の色素濃度はそれぞれ5、10、20wt%)、それぞれシクロペンタノン733mg(固形分濃度12wt%)に溶解させた以外は、実施例1と同様にして薄膜を作成し、評価を行った。結果を図6に示す。
同様に微分干渉顕微鏡を用いてノマルスキー微分干渉観察を実施したところ、色素濃度が10wt%以上の場合に色素の凝集領域が確認された。
<比較例3:ヒドロキシ基含有色素DR1のPMMAへの分散特性>
前記式[12]で表されるヒドロキシ基を有する色素(DR1)5mg、10mg、20mgそれぞれに対して、合計100mgになるようにポリメチルメタクリレート(PMMA、和光純薬工業(株)、製品名:メタクリル酸メチルポリマー)を加え(固形分中の色素濃度はそれぞれ5、10、20wt%)、それぞれシクロペンタノン733mg(固形分濃度12wt%)に溶解させた以外は、実施例1と同様にして薄膜を作成し、評価を行った。結果を図7に示す。
同様に微分干渉顕微鏡を用いてノマルスキー微分干渉観察を実施したところ、色素濃度が20wt%の場合に色素の凝集領域が確認された。
[評価結果]
マトリクスとして式(1)で表される単位構造を含む高分子化合物、すなわち、特定のハイパーブランチポリマーを採用して色素を分散させた実施例1ないし実施例4の薄膜は
、図1ないし図4に示すように、色素濃度の変化に比例して吸光係数が変化した吸収スペクトルが得られ、薄膜中で色素が凝集せずに均一に分散していることが示唆される結果となった。また、ノマルスキー微分干渉観察結果からも、色素が高濃度でも凝集せずに均一に分散した薄膜が得られていることが確認された。
一方、マトリクスとしてPMMAを用いて色素を分散させた比較例1ないし比較例2の薄膜は、図5ないし図6に示すように、吸光係数が色素濃度の変化に比例していない現象が観測され、薄膜中で色素が均一に分散せず、凝集していることが示唆される結果となった。また、ノマルスキー微分干渉観察結果からも、高濃度では色素の凝集領域の存在が確認された。
さらに、比較例3の薄膜は、図7に示すように、吸光係数が色素濃度の変化に比例した現象が観測されたものの、ノマルスキー微分干渉観察結果では、高濃度領域では色素の凝集領域の存在が確認された。
以上の結果より、従来のPMMAの代わりに本発明で用いるハイパーブランチポリマー:HB−PBP(COOH)(高分子ホスト)として用いることが、色素分子を高濃度に分散する手法として有効であることがわかった。
特にヒドロキシ基を有する色素は、上記ハイパーブランチポリマーに対してより高濃度での分散が可能であり、これは、高分子化合物中のカルボキシル基と色素のヒドロキシ基との、水素結合等の相互作用が高濃度分散に大きく貢献していることがわかった。
<実施例5:ポーリング処理による配向化>
前記式[10]で表されるAzTCF−OH 20mgに、合成例3で得られたHB−PBP(COOH)80mgを加え(固形分中の色素濃度は20wt%)、これをジメチルアセトアミド400mgに溶解(固形分濃度20wt%)した。この溶液を孔径0.2μmのフィルタによりろ過した後、一端をマスクしたITO透明電極付きガラス基板上にスピンコーターを用いて回転数1000rpmにて100秒間で成膜した。触針式表面形状測定器で膜厚を測定したところ1μmであった。
マスクを外した後80℃で真空乾燥し、作製した薄膜上にマグネトロンスパッタ装置((株)真空デバイス製、MPS−10)を用いて金上部電極を100nmの厚さで作製し試験セルとした。
次いで、この試験セルの上部金電極とITO基板のマスク部分にリード線を付け、高電圧装置(ADCMT社製、デジタル高抵抗/微小電流計8340A)を用いて、100V/μmの電圧を30分印加した。その際、試験セルをホットプレート(アズワン(株)製、ND−1)上に置き、120℃に加熱した。ポーリング後、室温まで冷却し、印加電圧を止めポーリング処理を終了した。
ポーリング処理をした薄膜の電気光学効果(ポッケルス係数r33)を、1.31μmの半導体レーザーを用いて測定したところ電気光学効果が確認されたことから、該薄膜に含まれる非線形光学色素が配向していることが示唆される結果が得られた。
図1は、実施例1で得られた薄膜のUVスペクトルの測定結果(吸光係数換算)である。 図3は、実施例2で得られた薄膜のUVスペクトルの測定結果(吸光係数換算)である。 図2は、実施例3で得られた薄膜のUVスペクトルの測定結果(吸光係数換算)である。 図4は、実施例4で得られた薄膜のUVスペクトルの測定結果(吸光係数換算)である。 図5は、比較例1で得られた薄膜のUVスペクトルの測定結果(吸光係数換算)である。 図6は、比較例2で得られた薄膜のUVスペクトルの測定結果(吸光係数換算)である。 図7は、比較例3で得られた薄膜のUVスペクトルの測定結果(吸光係数換算)である。

Claims (9)

  1. (A)成分として下記式(1)で表される構造単位を含む高分子化合物、及び(B)成分として機能性色素を含む組成物。
    Figure 2010139994
    〔式中、Qは水素原子又は式(2)で表される基を表す。R1は水素原子、式(2a)又
    は式(2b)で表される基を表す。R2及びR3はそれぞれ独立に水素原子又は炭素原子数1ないし6のアルキル基を表し、また構造単位間のQ、R1、R2及びR3は夫々同一であ
    っても異なっていても良い。〕
  2. 前記機能性色素が蛍光色素である請求項1に記載の組成物。
  3. 前記機能性色素が非線形光学色素である請求項1に記載の組成物。
  4. 前記蛍光色素がヒドロキシ基及びカルボキシル基のうちの少なくとも一つを有することを特徴とする、請求項2に記載の組成物。
  5. 前記非線形光学色素がヒドロキシ基及びカルボキシル基のうちの少なくとも一つを有することを特徴とする、請求項3に記載の組成物。
  6. 前記非線形光学色素が式(3)で表される化合物であることを特徴とする、請求項3に記載の組成物。
    Figure 2010139994
    〔式中、Ar1及びAr2はそれぞれ独立にヘテロ原子を含んでいても良い5員環ないし14員環の芳香環基を表し、Dは電子供与性官能基を表し、Aは電子吸引性官能基を表し、Lはアゾ基、イミン基、アルケニル基又はアルキニル基を表し、nは0ないし2の整数を表す。〕
  7. 請求項1ないし請求項6のうち何れか一項に記載の組成物を含有するワニス。
  8. 請求項7記載のワニスから作製される薄膜。
  9. 請求項1、請求項3、請求項5及び請求項6のうち何れか1項に記載の組成物を用いた非線形光学材料。
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