JP7368168B2 - 化合物、組成物、膜、積層体および表示装置 - Google Patents

化合物、組成物、膜、積層体および表示装置 Download PDF

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Description

本発明は、化合物、組成物、膜、積層体および表示装置に関する。
画像表示パネル等のディスプレイに対して薄型化の継続的な要求が存在しており、その構成要素の1つである偏光板、偏光子等に対してもさらなる薄型化が要求されている。このような要求に対して、例えば、重合性液晶化合物と二色性を示す色素化合物とを含む偏光膜を備える薄型のホストゲスト型偏光子が提案されている(例えば、特許文献1および2参照)。
特表2007-510946号公報 特開2013-37353号公報
しかしながら、偏光子が備える偏光膜を製造する工程で紫外線(UV)露光を用いると色素化合物が変性することがあり、そのため加工プロセスが制限される場合があった。
本発明は、紫外線(UV)耐久性が高く、製造される偏光膜の二色比の低下を抑制できる色素化合物を提供することを目的とする。
本発明は、下記[1]から[7]を提供する。
[1] 下記式(1)で表される化合物。
-R-Ar-(-R-Ar-)-N=N-Ar-R (1)
[式(1)中、Arは、置換基を有していてもよい2価の含硫黄芳香族複素環基を表し、ArおよびArは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい1,4-フェニレン基を表す。
nは、1または2の整数を表す。
は、単結合、または-OC(=O)-、-C(=O)O-、-C≡C-、-CH=CH-、-CH=N-および-N=CH-からなる群から選択される少なくとも1つの基を表し、Arと結合するRは単結合を表す。
は、重合性基を有していてもよいアルキルアミノ基、または重合性基を有していてもよいアルコキシ基を表す。
は、炭素数4から20のアルカンジイル基、炭素数2から20のアルカンジイルオキシ基、炭素数2から20のアルカンジイルオキシカルボニル基および炭素数2から20のアルカンジイルカルボニルオキシ基からなる群より選択される少なくとも1つの基を表す。
は、重合性基または水素原子を表す。
nが2の場合、2個あるRは同一でも相異なってもよく、2個あるArは同一でも相異なってもよい。]
[2] 前記式(1)中、nが1の整数である[1]に記載の化合物。
[3] 前記重合性基が、ラジカル重合性基である[1]または[2]に記載の化合物。
[4] [1]から[3]のいずれかに記載の化合物を含む組成物。
[5] [1]から[3]のいずれかに記載の化合物を形成材料とする膜。
[6] [5]に記載の膜を含む積層体。
[7] [5]に記載の膜を備える表示装置。
本発明によれば、紫外線耐久性が高く、製造される偏光膜の二色比の低下を抑制できる色素化合物を提供することができる。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。また組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、本発明の範囲はここで説明する実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を損なわない範囲で種々の変更をすることができる。
<化合物>
本実施形態にかかる化合物は、色素として利用可能な化合物であり、下記式(1)で表される構造を有する。
-R-Ar-(-R-Ar-)-N=N-Ar-R (1)
式(1)中、nは1または2の整数を表し、nは1であることが好ましい。式(1)におけるアゾ基の幾何異性は、シスおよびトランスのいずれでもよいが、トランスが好ましい。
式(1)におけるArは、置換基を有していてもよい2価の含硫黄芳香族複素環基を表す。Arにおける2価の含硫黄芳香族複素環基としては、チオフェン、ベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、ベンゾジチオフェン、チエノフラン、チエノチオフェン、チアゾール、フロチアゾール、チエノチアゾール、およびベンゾチアゾールからなる群から選択される含硫黄芳香族複素環化合物から2個の水素原子を除いて形成される基が挙げられる。なかでも、二面角の捻じれが小さく、分子長軸方向のπ共役の拡がりが促進され、二色比が高くなる傾向にあることから、チオフェン、チアゾール、フロチアゾール、チエノチアゾール、およびベンゾチアゾールからなる群から選択される含硫黄芳香族複素環化合物から2個の水素原子を除いて形成される基が好ましく挙げられる。
式(1)におけるArおよびArは、互いに独立に、置換基を有していてもよい1,4-フェニレン基を表す。ArおよびArが1,4-フェニレン基であることで、分子合成の簡便さと高い性能とを両立することができる。
Ar、ArおよびArにおける置換基としては、メチル基、エチル基およびブチル基などの炭素数1から10のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基およびブトキシ基などの炭素数1から10のアルコキシ基;トリフルオロメチル基などの炭素数1から10のフッ化アルキル基;シアノ基;ニトロ基;塩素原子、フッ素原子などのハロゲン原子;アミノ基、ジエチルアミノ基およびピロリジノ基などの置換または無置換アミノ基が挙げられる。ここで、置換アミノ基とは、窒素原子上に炭素数1から10のアルキル基を1つまたは2つ有するアミノ基、あるいは窒素原子上の2つのアルキル基が互いに結合して炭素数2から8のアルカンジイル基を形成しているアミノ基を意味する。また、無置換アミノ基は、-NHである。なお、炭素数1から10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、ヘキシル基などが挙げられる。炭素数2から8のアルカンジイル基としては、エチレン基、プロパン-1,3-ジイル基、ブタン-1,3-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基、ペンタン-1,5-ジイル基、ヘキサン-1,6-ジイル基、ヘプタン-1,7-ジイル基、オクタン-1,8-ジイル基などが挙げられる。
Ar、ArおよびArが置換基を有する場合、置換基はハロゲン原子、炭素数1から10もしくは1から3のアルキル基、または炭素数1から10もしくは1から3のアルコキシ基であることが好ましく、本実施形態にかかる化合物を形成材料とする膜の二色比の観点から、フッ素原子、メチル基またはメトキシ基であることがより好ましい。特定の置換基を有することにより、式(1)で表される化合物が、スメクチック液晶のような高秩序液晶構造中に包摂されることがより容易になる。また、Ar、ArおよびArが有する置換基の数としては、1個又は2個であることが好ましく、1個であることがより好ましい。これにより、式(1)で表される化合物が、スメクチック液晶のような高秩序液晶構造中に包摂されることがより容易になる。
本実施形態にかかる化合物は、ArおよびArの少なくとも一方が、置換基としてフッ素原子を有していてもよい。これにより化合物の紫外線耐久性がより向上する傾向がある。ArおよびArが有するフッ素原子の総数は、1個以上4個以下であることが好ましく、1個または2個であることがより好ましく、1個であることが更に好ましい。ArおよびArのうちいずれか一方が、置換基としてフッ素原子を有することが好ましい。ArおよびArのうちいずれか一方が、1個以上4個以下のフッ素原子を有することが好ましく、1個または2個のフッ素原子を有することがより好ましく、1個のフッ素原子を有することが更に好ましい。
また、本実施形態に係る化合物は、2価の含硫黄芳香族複素環基であるArと、1,4-フェニレン基であるArとが単結合で直接結合した構造を含むことで、当該化合物を含む膜の二色比が向上する傾向がある。さらに、当該化合物を含む膜は、UV露光前後で比較した際の二色比の維持率が高くなる傾向がある。
は、単結合、または-OC(=O)-、-C(=O)O-、-C≡C-、-CH=CH-、-CH=N-および-NH=C-からなる群から選択される少なくとも1種の連結基を表す。ただし、Arと結合するRは単結合である。式(1)で表される化合物においてRが複数存在する場合は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。Rは単結合、-OC(=O)-、または-C(=O)O-であることが好ましく、単結合であることがより好ましい。
は、重合性基を有していてもよいアルキルアミノ基、または重合性基を有していてもよいアルコキシ基を表す。Rにおける重合性基としては、ラジカル重合性基が好ましく、例えば、(メタ)アクリレート基((メタ)アクリロイルオキシ基)、スチリル基(ビニルフェニル基)などのラジカル重合性基が挙げられ、中でも、(メタ)アクリレート基が好ましい。Rが重合性基を有する場合、その数は、例えば、1個または2個であり、1個であることが好ましい。
におけるアルキルアミノ基としては、例えば、窒素原子上に炭素数1から10のアルキル基を1個または2個有するアミノ基、あるいは窒素原子上の2個のアルキル基が互いに結合して炭素数2から8のアルカンジイル基を形成している環状アミノ基を挙げることができる。Rにおけるアルキルアミノ基の具体例としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、メチルエチルアミノ基、メチルヘキシルアミノ基、ピロリジノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基などを挙げることができる。Rにおけるアルキルアミノ基は、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、メチルエチルアミノ基、およびメチルヘキシルアミノ基からなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
におけるアルコキシ基としては、例えば、炭素数1から10のアルコキシ基を挙げることができる。Rにおけるアルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ブチルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基などを挙げることができる。Rにおけるアルコキシ基は、エトキシ基、プロピルオキシ基などからなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
式(1)におけるRは、炭素数4から20のアルカンジイル基、炭素数2から20のアルカンジイルオキシ基、炭素数2から20のアルカンジイルオキシカルボニル基および炭素数2から20のアルカンジイルカルボニルオキシ基からなる群から選択される少なくとも1種の2価基を表す。
炭素数4から20のアルカンジイル基としては、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基等の無置換の(置換基を有していない)直鎖状又は分枝鎖状の炭素数4から20のアルキル基から水素原子を1つ取り除いて形成されるアルカンジイル基が挙げられる。アルカンジイル基の炭素数は、4から16が好ましく、4から12がより好ましい。
前記炭素数4から20のアルキル基を構成する1つ以上の水素原子は、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子)、ヒドロキシ基、アミノ基または置換アミノ基で置換されていてもよい。ここで置換アミノ基としては、例えば、N-メチルアミノ基、N-エチルアミノ基、N,N-ジメチルアミノ基、N,N-ジエチルアミノ基等の1つまたは2つの炭素数1から20のアルキル基で置換されたアミノ基などが挙げられる。1つ以上の水素原子がハロゲン原子、ヒドロキシ基、アミノ基等で置換されたアルキル基としては、フルオロブチル基、オクタフルオロブチル基等の炭素数4から20のハロアルキル基;ヒドロキシブチル基、ヒドロキシペンチル基、ヒドロキシヘキシル基等の炭素数4から20のヒドロキシアルキル基;アミノブチル基、2-(N,N-ジメチルアミノ)ブチル基等の無置換アミノ基または置換アミノ基を有する炭素数4から20のアルキル基などが挙げられる。
前記アルキル基を構成する炭素原子間には、-O-または-NR-が挿入されていてもよい。ここでRは、水素原子または炭素数1から6、好ましくは炭素数1から4のアルキル基を表わし、炭素数1から6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、ブチル基、ヘキシル基などが挙げられる。炭素原子間に、-O-または-NR-が挿入されたアルキル基としては、2-エトキシエチル基、2-(2-エトキシエトキシ)エチル基、2-[2-(エチルアミノ)エチル)アミノ]エチル基等が挙げられる。
炭素数2から20のアルカンジイルオキシ基としては、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロピルオキシ基、n-ブトキシ基、イソブチルオキシ基、tert-ブトキシ基、n-ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、n-ヘプチルオキシ基、n-オクチルオキシ基、n-ノニルオキシ基、n-デシルオキシ基等の無置換の直鎖状又は分枝鎖状の炭素数2から20のアルコキシ基から水素原子を1つ取り除いて形成されるアルカンジイルオキシ基が挙げられる。アルカンジイルオキシ基の炭素数は、2から16が好ましく、2から12がより好ましい。
炭素数2から20のアルコキシ基を構成する1つ以上の水素原子は、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子)、ヒドロキシ基、アミノ基または置換基アミノ基で置換されていてもよい。置換基アミノ基は上記と同様である。1つ以上の水素原子がハロゲン原子、ヒドロキシ、アミノ基等で置換されたアルコキシ基としては、テトラフルオロエトキシ基、オクタフルオロブトキシ基等の炭素数2から20のハロアルコキシ基;2-ヒドロキシエトキシ基等の炭素数2から20のヒドロキシアルコキシ基;アミノエトキシ基、2-(N,N-ジメチルアミノ)エトキシ基等の無置換アミノ基または置換基アミノ基を有する炭素数2から20のアルコキシ基が挙げられる。
前記アルコキシ基を構成する炭素原子間には、-O-または-NR-が挿入されていてもよい。炭素原子間に、-O-または-NR-が挿入されたアルコキシ基としては、メトキシメトキシ基、2-エトキシエトキシ基、2-(2-エトキシエトキシ)基などが挙げられる。なお、Rは既述の通りである。
炭素数2から20のアルカンジイルオキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n-プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、n-ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、tert-ブトキシカルボニル基、n-ペンチルオキシカルボニル基、イソペンチルオキシカルボニル基、ネオペンチルオキシカルボニル基、n-ヘキシルオキシカルボニル基、n-ヘプチルオキシカルボニル基、n-オクチルオキシカルボニル基、n-ノニルオキシカルボニル基、n-デシルオキシカルボニル基等の無置換の炭素数2から20のアルコキシカルボニル基から水素原子を1つ取り除いて形成されるアルカンジイルオキシカルボニル基が挙げられる。アルカンジイルオキシカルボニル基のアルカンジイル部分の炭素数は、1から16が好ましく、1から12がより好ましい。
炭素数2から20のアルコキシカルボニル基を構成する1つ以上の水素原子は、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子)、ヒドロキシ基、アミノ基または置換基を有するアミノ基で置換されていてもよい。置換基を有するアミノ基は上記と同様である。1つ以上の水素原子がハロゲン原子、ヒドロキシ基、アミノ基等で置き換わったアルコキシカルボニル基としては、フルオロエトキシカルボニル基、トリフルオロエトキシカルボニル基、テトラフルオロエトキシカルボニル基、オクタフルオロブトキシカルボニル基等の炭素数2から20のハロアルコキシカルボニル基が挙げられる。
炭素数2から20のアルカンジイルカルボニルオキシ基としては、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、n-プロピルカルボニルオキシ基、イソプロピルカルボニルオキシ基、n-ブチルカルボニルオキシ基、イソブチルカルボニルオキシ基、tert-ブチルカルボニルオキシ基、n-ペンチルカルボニルオキシ基、イソペンチルカルボニルオキシ基、ネオペンチルカルボニルオキシ基、n-ヘキシルカルボニルオキシ基、n-ヘプチルカルボニルオキシ基、n-オクチルカルボニルオキシ基、n-ノニルカルボニルオキシ基、n-デシルカルボニルオキシ基等の無置換の炭素数2から20のアルカノイルオキシ基から水素原子を1つ取り除いて形成されるアルカンジイルカルボニルオキシ基が挙げられる。アルカンジイルカルボニルオキシ基のアルカンジイル部分の炭素数は、1から16が好ましく、1から12がより好ましい。
炭素数2から20のアルカノイルオキシ基を構成する1つ以上の水素原子は、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子)、ヒドロキシ基、アミノ基または置換基を有するアミノ基で置換されていてもよい。置換基を有するアミノ基は上記と同様である。1つ以上の水素原子がハロゲン原子、ヒドロキシ基等で置換されたアルカノイルオキシ基としては、テトラフルオロエチルカルボニルオキシ基、オクタフルオロブチルカルボニルオキシ基等の炭素数2から20のハロアシルオキシ基が挙げられる。
式(1)におけるRは、重合性基または水素原子を表す。Rにおける重合性基としては、ラジカル重合性基が好ましく、例えば、(メタ)アクリレート基、スチリル基などが挙げられるが、中でも、(メタ)アクリレート基が好ましい。
式(1)で表される化合物は二色性色素であることが好ましい。二色性色素とは、分子の長軸方向における吸光度と、短軸方向における吸光度とが異なる性質を有する色素をいう。二色性色素は、可視光を吸収する特性を有することが好ましく、380nm以上680nm以下の範囲に吸収極大波長(λMAX)を有することがより好ましく、420nm以上520nm以下の範囲に吸収極大波長(λMAX)を有することがさらに好ましい。
式(1)で表される化合物の具体例としては、以下の、式(2-2)から式(2-118)で表される化合物が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 0007368168000001
Figure 0007368168000002
Figure 0007368168000003
Figure 0007368168000004
Figure 0007368168000005
Figure 0007368168000006
Figure 0007368168000007
Figure 0007368168000008
Figure 0007368168000009
Figure 0007368168000010
Figure 0007368168000011
Figure 0007368168000012
Figure 0007368168000013
Figure 0007368168000014
Figure 0007368168000015
Figure 0007368168000016
Figure 0007368168000017
Figure 0007368168000018
Figure 0007368168000019
Figure 0007368168000020
Figure 0007368168000021
Figure 0007368168000022
Figure 0007368168000023
式(1)で表される化合物は、式(2-2)から式(2-118)中、式(2-2)から式(2-9)、式(2-24)から式(2-109)のいずれかで表される化合物からなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、中でも、式(2-2)から式(2-9)、式(2-24)から式(2-31)、式(2-39)から式(2-109)のいずれかで表される化合物からなる群から選択される少なくとも1種がより好ましい。
(製造方法)
式(1)で表される化合物の製造方法について説明する。式(1)で表される化合物のうち、n=1である化合物(1a)は例えば、式(1X)で表される化合物[以下、化合物(1X)ともいう]と、式(1Y)で表される化合物[以下、化合物(1Y)ともいう]とから、下記反応式で示される工程により製造することができる。
Figure 0007368168000024
前記反応式において、Ar、Ar、Ar、R、R、RおよびRは、式(1)におけるそれらと同じ意味である。ReおよびReは、互いに反応してRで表される単結合を形成し得る基の組み合わせである。ReおよびReの組み合わせとしては例えば、ジヒドロキシボリル基又はジアルコキシボリル基と、ハロゲン原子との組み合わせなどが挙げられる。
また、式(1)で表される化合物のうち、n=2である化合物(1b)は例えば、式(1A)で表される化合物[以下、化合物(1A)ともいう]と、式(1B)で表される化合物[以下、化合物(1B)ともいう]とから、下記反応式で示される工程により製造することができる。
Figure 0007368168000025
前記反応式において、Ar、Ar、Ar、R、R、RおよびRは、式(1)におけるそれらと同じ意味である。ReおよびReは、互いに反応してRで表される連結基または単結合を形成し得る基の組み合わせである。ReおよびReの組み合わせとしては、例えば、以下が挙げられる。Rが単結合の場合は、ジヒドロキシボリル基又はジアルコキシボリル基と、ハロゲン原子との組み合わせなどが挙げられる。Rが-C(=O)O-または-OC(=O)-の場合は、カルボキシ基および水酸基の組み合わせ、カルボニルハライド基および水酸基の組み合わせ、カルボニルオキシアルキル基および水酸基の組み合わせなどが挙げられる。Rが-C≡C-の場合は、例えばハロゲン原子とエチニル基(-C≡CH)の組み合わせなどが挙げられる。Rが-CH=CH-の場合は、例えばハロゲン原子とエテニル基(-CH=CH)の組み合わせなどが挙げられる。Rが-CH=N-または-N=CH-の場合は、例えばホルミル基とアミノ基の組み合わせなどが挙げられる。
上記反応式では、R-R-を有する化合物(1X)または化合物(1A)、およびR-を有する化合物(1Y)または化合物(1B)を用いる製造方法を説明したが、R-R-を適当な保護基で保護した化合物と、R-を適当な保護基で保護した化合物とを互いに反応させて、その後、適当な脱保護反応を行うことで化合物(1)を製造することもできる。
化合物(1X)または化合物(1A)、および化合物(1Y)または化合物(1B)を反応させる際の反応条件は、用いる化合物(1X)または化合物(1A)、および化合物(1Y)または化合物(1B)の種類に応じて適宜、最適な公知の条件を選択できる。
例えば、Rが単結合であって、Reがジヒドロキシボリル基又はジアルコキシボリル基であり、Reがハロゲン基の場合、例えば、Netherton, M. R.; Fu, G. C. Org. Lett. 2001, 3 (26), 4295-4298.などを参考にして、鈴木カップリングの反応条件を用いることができる。溶媒としてはジエチレングリコールジメチルエーテルおよび水の混合溶媒を用い、酢酸カリウム存在下、PdCldppfなどのPd触媒を加えて加熱することで化合物(1)を得ることができる。反応温度は、化合物(1X)または化合物(1A)、および化合物(1Y)または化合物(1B)の種類に応じて選択されるが、例えば室温から160℃の範囲が挙げられ、好ましくは60℃から150℃の範囲である。反応時間としては、例えば15分から48時間の範囲が挙げられる。なおReがハロゲン原子であり、Reがジヒドロキシボリル基又はジアルコキシボリル基である場合も同様に実施できる。
なお、Reがジヒドロキシボリル基又はジアルコキシボリル基である化合物(1X)または化合物(1A)は、例えばArにおけるブロモ基をノルマルブチルリチウムなどでリチオ化した後、トリアルコキシボランを作用させることでジヒドロキシボリル基又はジアルコキシボリル基を導入して得ることができる。またReがジヒドロキシボリル基又はジアルコキシボリル基である化合物(1Y)または化合物(1B)は、例えばArにおけるブロモ基をノルマルブチルリチウムなどでリチオ化した後、トリアルコキシボラン化合物を作用させることでジヒドロキシボリル基又はジアルコキシボリル基を導入して得ることができる。
化合物(1Y)または化合物(1B)におけるアゾ構造は、例えば、国際公開WO2016/136561号の段落[0220]から[0268]の製造例の記載等を参考に、1級アミノ基を有する芳香族アミン化合物を亜硝酸ナトリウムなどでジアゾニウム塩に変換し、芳香族化合物とジアゾカップリングさせることで構築することができる。
例えば、Rが-C(=O)O-であって、Reがカルボキシ基であり、Reが水酸基である場合の反応条件としては、Jiang, L.; Lu, X.; Zhang, H.; Jiang, Y.; Ma, D. J. Org. Chem. 2009, 74 (3), 4542-4546.などを参考にして脱水縮合反応を用いることができる。例えば、溶媒中、エステル化縮合剤の存在下で縮合する条件が挙げられる。溶媒としては、クロロホルム等の、化合物(1X)または化合物(1A)、および化合物(1Y)または化合物(1B)をともに可溶な溶媒が挙げられる。エステル化縮合剤としては、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC・HCl)、ジイソプロピルカルボジイミド(IPC)などが挙げられる。ここでは、さらにN,N-ジメチルアミノピリジン(DMAP)等の塩基を併用することが好ましい。反応温度は、化合物(1X)または化合物(1A)、および化合物(1Y)または化合物(1B)の種類に応じて選択されるが、例えば-15℃から70℃の範囲が挙げられ、好ましくは0℃から40℃の範囲である。反応時間としては、例えば15分から48時間の範囲が挙げられる。なお、Rが-OC(=O)-であって、Reが水酸基であり、Reがカルボキシ基である場合も同様に実施できる。
例えば、Rが-C≡C-であって、Reがエチニル基(-C≡CH)であり、Reがハロゲン原子である場合は、Pd、Cu触媒を用いる薗頭カップリングを適用することで化合物(1)を合成することができる。なお、Reがハロゲン原子であり、Reがエチニル基(-C≡CH)である場合も同様に実施できる。
例えば、Rが-C=C-であって、Reがエテニル基(-CH=CH)であり、Reがハロゲン基である場合は、Pd触媒、リン配位子を用いるHeck反応を適用することで化合物(1)を合成することができる。なお、Reがハロゲン原子であり、Reがエテニル基(-CH=CH)である場合も同様に実施できる。
例えば、Rが-CH=N-であって、Reがホルミル基であり、Reがアミノ基である場合は、一般的な脱水縮合反応を適用することで化合物(1)を合成することができる。なお、Rが-N=CH-であって、Reがアミノ基であり、Reがホルミル基である場合も同様に実施できる。
得られた化合物(1)におけるRが炭素数2から20のアルカンジイルオキシカルボニル基である場合、一般的なエステル交換反応によりRを他の炭素数2から20のアルカンジイルオキシカルボニル基に変えることができる。エステル交換反応には、例えば、Chen, C.-T.; Kuo, J.-H.; Ku, C.-H.; Weng, S.-S.; Liu, C.-Y. J. Org. Chem. 2005, 70 (4), 1328-1339.などを参考にして、ルイス酸触媒としてTiO(acac)(名称:ビス(2,4-ペンタンジオナト)チタン(IV)オキシド)を用い、溶媒中でアルコール化合物と共に加熱する方法を適用できる。溶媒としてはキシレン、トルエンなどの炭化水素系芳香族化合物を用いることができる。なお、他の炭素数2から20のアルカンジイルオキシカルボニル基には、アルカンジイル基部分が異なるものが含まれ、炭素数が異なっていてよく、置換基が異なっていてもよい
化合物(1)の製造方法における反応時間は、反応途中の反応混合物を適宜サンプリングし、液体クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィーなどの公知の分析手段により、化合物(1X)または化合物(1A)、および化合物(1Y)または化合物(1B)の消失の度合い、化合物(1)の生成の度合いなどを確認して定めることもできる。
反応後の反応混合物からは、再結晶、再沈殿、抽出及び各種クロマトグラフィーといった公知の方法により、或いはこれらの操作を適宜組み合わせることにより、化合物(1)を取り出すことができる。
<組成物>
式(1)で表される化合物を含む組成物について説明する。本実施形態にかかる組成物は、式(1)で表される化合物を、例えば色素化合物として含み、液媒体等のその他の成分を必要に応じて含んで構成される。組成物における、式(1)で表される化合物の含有量は、組成物の固形分100質量部に対して、50質量部以下であることが好ましく、0.1質量部以上10質量部以下の範囲がより好ましく、0.1質量部以上5質量部以下の範囲がさらに好ましい。上記範囲内であれば、式(1)で表される化合物の分散が十分にできる。これにより、式(1)で表される化合物を形成材料とする膜であって、欠陥発生が十分に抑制された膜を効率的に得ることができる。なお本明細書において、固形分とは、組成物から溶剤等の揮発性成分を除いた成分の合計量をいう。
[その他の成分]
(その他の色素化合物)
組成物は、式(1)で表される化合物以外のその他の色素化合物、例えば二色性色素の少なくとも1種を更に含んでいてもよい。その他の色素化合物としては、例えば、モノアゾ色素、ビスアゾ色素、トリスアゾ色素、テトラキスアゾ色素、スチルベンアゾ色素などのアゾ色素を挙げることができ、これらからなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。組成物は、その他の色素化合物を1種単独で含んでいてもよく、2種以上を組み合わせて含んでいてもよい。例えば塗布型偏光板材料として用いる場合では組成物が含むその他の色素化合物は、式(1)で表される化合物とは異なる波長範囲に極大吸収波長を有することが好ましい。塗布型偏光板材料として用いる場合では組成物は、式(1)で表される化合物を含めて、3種類以上の二色性色素を組み合わせて含むことが好ましく、3種類以上のアゾ色素を組み合わせて含むことがより好ましい。組成物が極大吸収波長の異なる3種以上の色素化合物を組み合わせて含むことで、例えば、組成物から形成される膜によって可視光全域で吸収を得ることができる。
組成物が、その他の色素化合物を含む場合、その含有量は、組成物の固形分100質量部に対して、50質量部以下であることが好ましく、0.1質量部以上10質量部以下の範囲がより好ましく、0.1質量部以上5質量部以下の範囲がさらに好ましい。上記範囲内であれば、その他の色素化合物の分散が十分に可能になる。
(重合性液晶化合物)
組成物は、式(1)で表される化合物に加えて、重合性液晶化合物の少なくとも1種を更に含んでいてもよい。重合性液晶化合物とは、分子内に重合性基を有し、配向することによって液晶相を示すことができる化合物である。重合性液晶化合物は、好ましくは単独で配向することによって液晶相を示すことができる化合物である。組成物は、1種単独の重合性液晶化合物を含んでいてよく、2種類以上の重合性液晶化合物を含んでいてもよい。
重合性基とは、重合反応に関与する基を意味し、光重合性基であることが好ましい。ここで、重合性基とは、後述する重合開始剤から発生した活性ラジカル、酸等によって重合反応に関与し得る基のことをいう。重合性基としては、ビニル基、ビニルオキシ基、1-クロロビニル基、イソプロペニル基、4-ビニルフェニル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、オキシラニル基、およびオキセタニル基が挙げられる。中でも、重合性基は、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニルオキシ基、オキシラニル基、およびオキセタニル基からなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、アクリロイルオキシ基がより好ましい。
重合性液晶化合物は、サーモトロピック液晶型ポリマーを構成し得るものであってもよいし、リオトロピック液晶型ポリマーを構成し得るものであってもよい。
重合性液晶化合物は、ネマチック液晶相を示す化合物であってもよいし、スメクチック液晶相を示す化合物であってもよいし、ネマチック液晶相およびスメクチック液晶相の両方を示す化合物であってもよい。好ましくはスメクチック液晶相を示す化合物であり、より好ましくは高次スメクチック液晶相を示す化合物である。スメクチック液晶相を示す重合性液晶化合物を含む組成物は、偏光性能により優れる偏光膜を与えることができる。
式(1)で表される化合物は、スメクチック液晶相を示す重合性液晶化合物から形成された、密な分子鎖間に分散した状態であっても、高い二色性を示すことができる。従って、式(1)で表される化合物と、重合性液晶化合物、特にスメクチック液晶相を示す重合性液晶化合物とを含む組成物は、二色比の高い偏光膜を与えることができる。
高次スメクチック液晶相としては、スメクチックB相、スメクチックD相、スメクチックE相、スメクチックF相、スメクチックG相、スメクチックH相、スメクチックI相、スメクチックJ相、スメクチックK相、およびスメクチックL相が挙げられる。中でも、スメクチックB相、スメクチックF相、およびスメクチックI相が好ましく、スメクチックB相がより好ましい。重合性液晶化合物が示すスメクチック液晶相がこれら高次スメクチック相であると、配向秩序度のより高い偏光膜が得られる。配向秩序度の高い高次スメクチック液晶相を示す重合性液晶化合物を含む組成物から得られる偏光膜は、X線回折測定においてヘキサチック相またはクリスタル相といった高次構造由来のブラッグピークを示す。ブラッグピークとは、分子配向の面周期構造に由来するピークである。組成物から得られる偏光膜が有する周期間隔(秩序周期)は、好ましくは0.30nm以上0.60nm以下である。
重合性液晶化合物が示す液晶相の種類は、例えば、以下に示す方法で確認することができる。即ち、適当な基材を準備し、当該基材に重合性液晶化合物と溶剤とを含む溶液を塗布して塗布膜を形成した後、加熱処理または減圧処理することで当該塗布膜に含有される溶剤を除去する。続いて、基材上に形成された塗布膜を等方相温度まで加熱した後、徐々に冷却することで発現する液晶相を、偏光顕微鏡によるテクスチャー観察、X線回折測定または示差走査熱量測定により検査する。この検査において、例えば、第一温度まで冷却することでネマチック液晶相を示し、さらに第二温度まで除々に冷却することで、スメクチック液晶相を示すことを確認することができる。
重合性液晶化合物は、好ましくは式(4)で表される化合物(以下、「化合物(4)と記すことがある)である。
-V-W-X-Y-X-Y-X-W-V-U (4)
式中、X、XおよびXは、各々独立して、置換基を有していてもよい1,4-フェニレン基、または置換基を有していてもよいシクロヘキサン-1,4-ジイル基を表す。但し、X、XおよびXのうちの少なくとも1つは、置換基を有していてもよい1,4-フェニレン基である。また、シクロへキサン-1,4-ジイル基を構成する-CH-の少なくとも1つは、-O-、-S-または-NR-に置換されていてもよい。ここで、Rは、炭素数1から6のアルキル基またはフェニル基を表す。
およびYは、各々独立して、単結合、-CHCH-、-CHO-、-(C=O)O-、-O(C=O)O-、-N=N-、-CR=CR-、-C≡C-、または-CR=N-を表す。RおよびRは、各々独立して、水素原子または炭素数1から4のアルキル基を表す。
は、水素原子または重合性基を表す。
は、重合性基を表す。
およびWは、各々独立して、単結合、-O-、-S-、-(C=O)O-、または-O(C=O)O-を表す。
およびVは、各々独立して、置換基を有していてもよい炭素数1から20のアルカンジイル基を表し、当該アルカンジイル基を構成する-CH-は、-O-、-S-または-NH-に置換されていてもよい。)
置換基を有していてもよい1,4-フェニレン基は、好ましくは置換基を有していない1,4-フェニレン基である。置換基を有していてもよいシクロへキサン-1,4-ジイル基は、好ましくは置換基を有していてもよいトランス-シクロへキサン-1,4-ジイル基である。置換基を有していてもよいトランス-シクロへキサン-1,4-ジイル基は、好ましくは置換基を有していないトランス-シクロへキサン-1,4-ジイル基である。
置換基を有していてもよい1,4-フェニレン基、または置換基を有していてもよいシクロへキサン-1,4-ジイル基が任意に有する置換基としては、メチル基、エチル基、n-ブチル基等の炭素数1から4のアルキル基、シアノ基、およびハロゲン原子などが挙げられる。
は、好ましくは単結合、-CHCH-、または-(C=O)O-であり、Yは、好ましくは-CH-または-CHO-である。
は、水素原子または重合性基であり、好ましくは重合性基である。Uは、重合性基である。UおよびUは、ともに重合性基であることが好ましく、ともに光重合性基であることがより好ましい。光重合性基を有する重合性液晶化合物は、より低温条件下で重合できる点で有利である。
およびUで表される重合性基は、互いに異なっていてもよいが、好ましくは同一である。重合性基としては、ビニル基、ビニルオキシ基、1-クロロビニル基、イソプロペニル基、4-ビニルフェニル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、オキシラニル基、およびオキセタニル基が挙げられる。中でも、UおよびUで表される重合性基は、ビニルオキシ基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、オキシラニル基、およびオキセタニル基からなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、アクリロイルオキシ基がより好ましい。
およびVで表されるアルカンジイル基としては、メチレン基、エチレン基、プロパン-1,3-ジイル基、ブタン-1,3-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基、ペンタン-1,5-ジイル基、ヘキサン-1,6-ジイル基、ヘプタン-1,7-ジイル基、オクタン-1,8-ジイル基、デカン-1,10-ジイル基、テトラデカン-1,1-ジイル基、およびイコサン-1,20-ジイル基が挙げられる。VおよびVは、好ましくは炭素数2から12のアルカンジイル基であり、より好ましくは炭素数6から12のアルカンジイル基である。
置換基を有していてもよい炭素数1から20のアルカンジイル基が任意に有する置換基としては、シアノ基およびハロゲン原子が挙げられる。当該アルカンジイル基は、好ましくは置換基を有していないアルカンジイル基であり、より好ましくは置換基を有しておらず、かつ直鎖状のアルカンジイル基である。
およびWは、各々独立して、単結合または-O-であることが好ましい。
化合物(4)の具体例としては、下記式(4-1)から式(4-43)で表される化合物が挙げられる。化合物(4)がシクロヘキサン-1,4-ジイル基を有する場合には、そのシクロヘキサン-1,4-ジイル基は、トランス型であることが好ましい。
Figure 0007368168000026
Figure 0007368168000027
Figure 0007368168000028
Figure 0007368168000029
Figure 0007368168000030
Figure 0007368168000031
Figure 0007368168000032
Figure 0007368168000033
Figure 0007368168000034
中でも、化合物(4)は、式(4-5)、式(4-6)、式(4-7)、式(4-8)、式(4-9)、式(4-10)、式(4-11)、式(4-12)、式(4-13)、式(4-14)、式(4-15)、式(4-22)、式(4-24)、式(4-25)、式(4-26)、式(4-27)、式(4-28)、および式(4-29)のいずれかで表される化合物からなる群から選択される少なくとも1種で表される化合物であることが好ましい。
化合物(4)は、例えば、Lub etal.Recl. Trav. Chim. Pays-Bas,115,321-328(1996)、特許第4719156号公報等の公知文献に記載の方法により製造することができる。
組成物は、2種類以上の重合性液晶化合物を含んでいてもよい。2種類以上の重合性液晶化合物を組み合わせる場合には、そのうちの少なくとも1種類が化合物(4)であることが好ましく、そのうちの2種類以上が化合物(4)であることがより好ましい。2種類以上の重合性液晶化合物を組み合わせることにより、液晶-結晶相転移温度以下の温度であっても液晶相を一時的に保持することができる場合がある。組成物に含まれる化合物(4)の含有量は、組成物中の全重合性液晶化合物の総質量に対して合計で、好ましくは40質量%以上であり、より好ましくは60質量%以上であり、全ての重合性液晶化合物が化合物(4)であってもよい。化合物(4)の含有量が上記範囲内であると、重合性液晶化合物が高い配向秩序度で並びやすく、それに沿って式(1)で表される化合物が配向することにより、優れた偏光性能を有する偏光膜を得ることができる。
組成物における重合性液晶化合物の含有割合は、重合性液晶化合物の配向性を高くするという観点から、組成物の固形分100質量部に対して、好ましくは70質量部以上99.5質量部以下であり、より好ましくは80質量部以上99質量部以下であり、さらに好ましくは80質量部以上94質量部以下である。
(高分子化合物)
組成物は、式(1)で表される化合物に加えて、高分子化合物を更に含んでいてもよい。組成物が高分子化合物を含むことで、式(1)で表される化合物が高分子化合物に分散した組成物を構成することができる。
組成物が含みうる高分子化合物としては、式(1)で表される化合物を分散可能であれば、特に制限はなく、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン;ノルボルネンポリマーなどの環状オレフィン樹脂;ポリアルキレンエーテル、ポリビニルアルコール;ポリメタクリル酸エステル;ポリアクリル酸エステル;等が挙げられ、これらの高分子化合物が液晶性の有機基を有する。中でも、式(1)で表される化合物を均一に分散させやすい点から、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリル酸エステルが好ましい。組成物が含む高分子化合物は、1種類であってもよく、2種類以上であってもよい。
組成物が含みうる高分子化合物としては、液晶性の高分子化合物であってもよく、例えば、前記重合性液晶化合物の重合体が挙げられる。前記重合性液晶化合物の重合体の構成モノマーである前記重合性液晶化合物は、1種類であってもよく、2種類以上であってもよい。組成物は、前記重合性液晶化合物およびその重合体を含んでいてもよい。
高分子化合物のポリスチレン換算の重量平均分子量は、例えば1万以上20万以下であり、好ましくは2万以上15万以下である。
組成物が高分子化合物を含む場合、その含有量は、目的等に応じて適宜選択することができる。高分子化合物の含有量は、組成物の固形分100質量部に対して、70質量部以上99.5質量部以下であると好ましく、80質量部以上99質量部以下の範囲がより好ましく、80質量部以上94質量部以下の範囲がさらに好ましい。
組成物が化合物(1)および重合性液晶化合物を含む場合、組成物における化合物(1)の含有量は、重合性液晶化合物100質量部に対して、通常、0.1質量部以上50質量部以下であり、好ましくは0.1質量部以上20質量部以下であり、より好ましくは0.1質量部以上10質量部以下であり、さらに好ましくは0.1質量部以上5質量部以下である。重合性液晶化合物100質量部に対する化合物(1)の含有量が50質量部以下であると、重合性液晶化合物と化合物(1)との配向の乱れが少なく、高い配向秩序度を有する膜を得ることができる傾向がある。
組成物が化合物(1)および高分子化合物を含む場合、組成物における化合物(1)の含有量は、高分子化合物100質量部に対して、通常、0.1質量部以上50質量部以下であり、好ましくは0.1質量部以上20質量部以下であり、より好ましくは0.1質量部以上10質量部以下であり、さらに好ましくは0.1質量部以上5質量部以下である。前記高分子化合物が液晶性の高分子化合物である場合、液晶性の高分子化合物100質量部に対する化合物(1)の含有量が50質量部以下であると、液晶性の高分子化合物と化合物(1)との配向の乱れが少なく、高い配向秩序度を有する膜を得ることができる傾向がある。
組成物は、好ましくは溶剤等の液媒体および重合開始剤をさらに含み、必要に応じて光増感剤、重合禁止剤、レベリング剤等をさらに含んでいてもよい。
(溶剤)
溶剤は、化合物(1)、重合性液晶化合物および高分子化合物を完全に溶解し得る溶剤であることが好ましい。また、重合性液晶化合物の重合反応に不活性な溶剤であることが好ましい。
溶剤としては、メタノール、エタノール、エチレングリコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、γ-ブチロラクトン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、乳酸エチル等のエステル溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2-ヘプタノン、メチルイソブチルケトン等のケトン溶剤;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素溶剤;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶剤;アセトニトリル等のニトリル溶剤;テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等のエーテル溶剤;および、クロロホルム、クロ
ロベンゼン等の塩素含有溶剤;が挙げられる。これら溶剤は、1種類のみを用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
組成物が溶剤を含む場合において、溶剤の含有割合は、組成物の総量に対して50質量%以上98質量%以下が好ましい。換言すると、組成物における固形分の含有割合は、2質量%以上50質量%以下が好ましい。当該固形分が50質量%以下であると、組成物の粘度が低くなり、組成物から得られる膜の厚みが略均一になり、当該膜にムラが生じ難くなる傾向がある。かかる固形分の含有割合は、製造しようとする膜の厚さを考慮して定めることができる。
(重合開始剤)
重合開始剤は、重合性液晶化合物の重合反応を開始し得る化合物である。重合開始剤は、より低温条件下で重合反応を開始できる点で、光重合開始剤が好ましい。具体的には、光の作用により活性ラジカルまたは酸を発生できる光重合開始剤が挙げられ、中でも、光の作用によりラジカルを発生する光重合開始剤が好ましい。
重合開始剤としては、ベンゾイン化合物、ベンゾフェノン化合物、アルキルフェノン化合物、アシルホスフィンオキサイド化合物、トリアジン化合物、ヨードニウム塩、およびスルホニウム塩などが挙げられる。重合開始剤は、公知の重合開始剤から目的等に応じて適宜選択することができる。また、重合開始剤は、1種単独または2種以上を組み合わせて使用できる。
ベンゾイン化合物としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルおよびベンゾインイソブチルエーテルなどが挙げられる。
ベンゾフェノン化合物としては、ベンゾフェノン、o-ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド、3,3,4,4-テトラ(tert-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンおよび2,4,6-トリメチルベンゾフェノンなどが挙げられる。
アルキルフェノン化合物としては、ジエトキシアセトフェノン、2-メチル-2-モルホリノ-1-(4-メチルチオフェニル)プロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)ブタン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1,2-ジフェニル-2,2-ジメトキシエタン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-〔4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル〕プロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンおよび2-ヒドロキシ-2-メチル-1-〔4-(1-メチルビニル)フェニル〕プロパン-1-オンのオリゴマーなどが挙げられる。
アシルホスフィンオキサイド化合物としては、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイドおよびビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイドなどが挙げられる。
トリアジン化合物としては、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシナフチル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシスチリル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-〔2-(5-メチルフラン-2-イル)エテニル〕-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-〔2-(フラン-2-イル)エテニル〕-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-〔2-(4-ジエチルアミノ-2-メチルフェニル)エテニル〕-1,3,5-トリアジンおよび2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-〔2-(3,4-ジメトキシフェニル)エテニル〕-1,3,5-トリアジンなどが挙げられる。
ヨードニウム塩およびスルホニウム塩としては、例えば、下記式で表される塩などが挙げられる。
Figure 0007368168000035
重合開始剤として、市販品を用いることもできる。市販の重合開始剤としては、イルガキュア(Irgacure)(登録商標)907、184、651、819、250、および369(BASFジャパン株式会社製);セイクオール(登録商標)BZ、Z、およびBEE(精工化学株式会社製);カヤキュアー(kayacure)(登録商標)BP100、およびUVI-6992(ダウ・ケミカル株式会社製);アデカオプトマーSP-152、およびSP-170(株式会社ADEKA製);TAZ-A、およびTAZ-PP(日本シイベルヘグナー株式会社製);並びに、TAZ-104(株式会社三和ケミカル製);などが挙げられる。
組成物が重合開始剤を含有する場合、その含有量は、該組成物に含まれる重合性液晶化合物の種類およびその量に応じて適宜決定すればよい。重合開始剤の含有量は、重合性液晶化合物100質量部に対して、例えば0.001質量部以上、0.01質量部以上または0.1質量部以上であり、例えば30質量%以下、10質量%以下または8質量%以下である。また重合開始剤の含有量は、重合性液晶化合物100質量部に対して、0.001質量部以上30質量部以下が好ましく、0.01質量部以上10質量部以下がより好ましく、0.1質量部以上8質量部以下がさらに好ましい。重合性開始剤の含有量が上記範囲内であると、重合性液晶化合物の配向を乱すことなく重合させることができる。
(光増感剤)
組成物が光重合開始剤を含有する場合、組成物は、好ましくは光増感剤の少なくとも1種を含有してよい。組成物が光重合開始剤および光増感剤を含有することにより、重合性液晶化合物の重合反応がより促進される傾向がある。当該光増感剤としては、キサントンおよびチオキサントン等のキサントン化合物(例えば、2,4-ジエチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン);アントラセンおよびアルコキシ基含有アントラセン(例えば、ジブトキシアントラセン)等のアントラセン化合物;フェノチアジンおよびルブレン;などが挙げられる。光増感剤は、1種単独または2種以上を組み合わせて使用できる。
組成物が光増感剤を含む場合、組成物における光増感剤の含有量は、光重合開始剤および重合性液晶化合物の種類およびその量に応じて適宜決定すればよい。組成物における光増感剤の含有量は、重合性液晶化合物100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上30質量部以下であり、より好ましくは0.5質量部以上10質量部以下であり、さらに好ましくは0.5質量部以上8質量部以下である。
(重合禁止剤)
組成物は、重合禁止剤の少なくとも1種を含んでいてもよい。重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、アルコキシ基含有ハイドロキノン、アルコキシ基含有カテコール(例えばブチルカテコール)、ピロガロール、2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジニルオキシラジカル等のラジカル捕捉剤;チオフェノール類;β-ナフチルアミン類およびβ-ナフトール類;などが挙げられる。
組成物が重合禁止剤を含むことにより、重合性液晶化合物の重合反応の進行度合いを制御することができる。
組成物が重合禁止剤を含む場合、組成物における重合禁止剤の含有量は、重合性液晶化合物100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上30質量部以下であり、より好ましくは0.5質量部以上10質量部以下であり、さらに好ましくは0.5質量部以上8質量部以下である。
(レベリング剤)
組成物は、レベリング剤の少なくとも1種を含んでいてもよい。レベリング剤は、組成物の流動性を調整し、該組成物を塗布することにより得られる塗膜をより平坦にする機能を有し、具体的には、界面活性剤が挙げられる。レベリング剤としては、ポリアクリレート化合物を主成分とするレベリング剤およびフッ素原子含有化合物を主成分とするレベリング剤からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。レベリング剤は、1種単独または2種以上を組み合わせて使用できる。
ポリアクリレート化合物を主成分とするレベリング剤としては、例えば、“BYK-350”、“BYK-352”、“BYK-353”、“BYK-354”、“BYK-355”、“BYK-358N”、“BYK-361N”、“BYK-380”、“BYK-381”および“BYK-392”(BYK Chemie社)などが挙げられる。
フッ素原子含有化合物を主成分とするレベリング剤としては、例えば、“メガファック(登録商標)R-08”、同“R-30”、同“R-90”、同“F-410”、同“F-411”、同“F-443”、同“F-445”、同“F-470”、同“F-471”、同“F-477”、同“F-479”、同“F-482”および同“F-483”(DIC(株));“サーフロン(登録商標)S-381”、同“S-382”、同“S-383”、同“S-393”、同“SC-101”、同“SC-105”、“KH-40”および“SA-100”(AGCセイミケミカル(株));“E1830”、“E5844”((株)ダイキンファインケミカル研究所);“エフトップEF301”、“エフトップEF303”、“エフトップEF351”および“エフトップEF352”(三菱マテリアル電子化成株式会社製);などが挙げられる。
組成物がレベリング剤を含む場合、レベリング剤の含有量は、重合性液晶化合物および高分子化合物の合計量100質量部に対して、好ましくは0.05質量部以上5質量部以下であり、より好ましくは0.05質量部以上3質量部以下である。レベリング剤の含有量が前記範囲内であると、重合性液晶化合物を水平配向させやすく、かつ、ムラが生じ難く、より平滑な膜、例えば偏光膜を得られる傾向がある。
レベリング剤の含有量が上記範囲内であると、重合性液晶化合物または重合性液晶化合物の重合体などの液晶性の高分子化合物を水平配向させることが容易であり、かつ、得られる膜がより平滑となる傾向がある。重合性液晶化合物に対するレベリング剤の含有量が上記範囲を超えると、得られる膜にムラが生じる場合がある。
組成物は、上記以外の他の添加剤を含有してよい。他の添加剤としては、例えば、離型剤、安定剤、酸化防止剤、ブルーイング剤等の着色剤、難燃剤および滑剤などが挙げられる。組成物が他の添加剤を含有する場合、他の添加剤の含有量は、組成物の固形分に対して、0%を超えて20質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0%を超えて10質量%以下である。
<膜>
本実施形態にかかる膜は、式(1)で表される化合物を形成材料として得られものであり、例えば偏光膜を構成してよい。すなわち、膜は、式(1)で表される化合物からなる膜であってよく、式(1)で表される化合物を含む組成物からなる膜、または式(1)で表される化合物を含む組成物の硬化物であってもよい。式(1)で表される化合物からなる膜は、式(1)で表される化合物を基材に付与し、成膜することで形成されてよい。また、式(1)で表される化合物を含む組成物からなる膜は、組成物を基材に付与し、成膜することで形成されてよい。また、式(1)で表される化合物を含む組成物が、重合性液晶化合物を含む場合、該重合性液晶化合物を重合させて得られる硬化物を含む膜は、組成物を基材に付与し、成膜した後に該重合性液晶化合物を重合し、硬化させることで形成されてよい。
<積層体>
本実施形態にかかる積層体は、式(1)で表される化合物を形成材料とする膜を含む。積層体は、基材と、基材上に配置される式(1)で表される化合物を形成材料とする膜とを備えていてよい。積層体は、例えば、偏光板を構成することができる。積層体は、基材上に、式(1)で表される化合物を含む組成物を付与し、付与された組成物を成膜することで製造することができる。
本実施形態にかかる積層体は、下記工程A及び工程Bを含み、必要に応じて工程Cを含む製造方法によって製造することができる。組成物が式(1)で表される化合物の他に液晶性の高分子化合物を含む場合はさらに工程Bで液晶性の高分子化合物を配向させることが好ましい。組成物が式(1)で表される化合物の他に重合性液晶化合物を含む場合は工程A、BおよびCを含むことが好ましい。
工程A:基材の表面に、少なくとも化合物(1)を含む組成物を塗布して塗布膜を形成する工程と、
工程B:加熱して溶剤を除去しつつ、形成された塗布膜に含まれる液晶性の高分子化合物および重合性液晶化合物の少なくとも一方と化合物(1)とを配向させる工程と、
工程C:配向した重合性液晶化合物に活性エネルギー線を照射することにより重合性液晶化合物を重合する工程と、を含む製造方法により、積層体が製造される。
(工程A)
基材は、ガラス基材、樹脂基材等のいずれであってもよく、好ましくは樹脂基材である。樹脂からなるフィルム基材を用いることで、薄い積層体を得ることができる。
樹脂基材は、好ましくは透明樹脂基材である。透明樹脂基材とは、光、特に可視光を透過し得る透光性を有する基材を意味し、透光性とは、波長380nm以上780nm以下の波長範囲にわたる光線に対しての視感度補正透過率が、80%以上となる特性をいう。
基材を構成する樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ノルボルネン系ポリマー等のポリオレフィン;環状オレフィン系樹脂;ポリビニルアルコール;ポリエチレンテレフタレート;ポリメタクリル酸エステル;ポリアクリル酸エステル;トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、およびセルロースアセテートプロピオネート等のセルロースエステル;ポリエチレンナフタレート;ポリカーボネート;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ポリエーテルケトン;ポリフェニレンスルフィド;ポリフェニレンオキシド;等が挙げられる。好ましくはセルロースエステル、環状オレフィン系樹脂、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリエチレンテレフタレート、またはポリメタクリル酸エステルからなる群から選択される少なくとも1種である。
基材の厚さは、実用的な取り扱いができる程度である限り、薄い方が好ましいが、薄すぎると強度が低下し、加工性に劣る場合がある。基材の厚さは、通常、5μm以上300μm以下であり、好ましくは20μm以上200μm以下である。
(工程B)
前記組成物が溶剤を含む場合には、通常、形成された塗布膜から溶剤を除去する。溶剤の除去方法としては、自然乾燥法、通風乾燥法、加熱乾燥および減圧乾燥法等が挙げられる。
形成された塗布膜に液晶性の高分子化合物及び重合性液晶化合物が含まれる場合は、通常、溶液状態に転移する温度以上に加熱され、次いで液晶配向する温度まで冷却されることによって、配向して液晶相を形成し得る。
形成された塗布膜に液晶性の高分子化合物及び重合性液晶化合物が含まれる場合、液晶性の高分子化合物及び重合性液晶化合物が配向する温度は、予め、当該液晶性の高分子化合物及び当該重合性液晶化合物を含む組成物を用いたテクスチャー観察等により求めればよい。また、溶剤の除去と液晶配向とを同時に行ってもよい。このときの温度としては、除去する溶媒や重合性液晶化合物の種類にもよるが、50℃以上200℃以下の範囲が好ましく、基材が樹脂基材の場合には、80℃以上130℃以下の範囲がより好ましい。
(工程C)
形成された塗布膜に重合性液晶化合物が含まれる場合は、配向した重合性液晶化合物に活性エネルギー線を照射することにより、重合性液晶化合物を重合する。
配向した重合性液晶化合物が重合することによって、配向した状態で重合した重合性液晶化合物と、当該重合性液晶化合物と共に配向した化合物(1)とを含む偏光膜が得られる。
スメクチック液晶相を保持したまま重合した重合性液晶化合物を含む偏光膜は、従来のホストゲスト型偏光膜、即ち、ネマチック液晶相を保持したままで重合性液晶化合物等を重合して得られる偏光膜と比較して偏光性能が高く、また、二色性色素またはリオトロピック液晶型の液晶化合物のみを塗布した偏光膜と比較して、偏光性能および強度に優れる。
活性エネルギー線の線源としては、紫外線、電子線、X線等を発生する線源であればよい。好ましくは低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプ等の、波長400nm以下に発光分布を有する光源である。
<表示装置>
表示装置とは、表示素子を有する装置であり、発光源として発光素子または発光装置を含む装置である。本実施形態にかかる膜、好ましくは偏光膜を備える表示装置としては、例えば、液晶表示装置、有機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置、無機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置、電子放出表示装置(例えば、電場放出表示装置(FED)、表面電界放出表示装置(SED))、電子ペーパー(電子インク、電気泳動素子等を用いた表示装置)、プラズマ表示装置、投射型表示装置(例えば、グレーティングライトバルブ(GLV)表示装置、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)を有する表示装置)、および圧電セラミックディスプレイ等が挙げられる。液晶表示装置は、透過型液晶表示装置、半透過型液晶表示装置、反射型液晶表示装置、直視型液晶表示装置、および投写型液晶表示装置等のいずれも包含する。これらの表示装置は、二次元画像を表示する表示装置であってもよいし、三次元画像を表示する立体表示装置であってもよい。
本実施形態にかかる膜(好ましくは偏光膜)は、特に、液晶表示装置、有機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置、および無機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置に有効に用いることができる。上記有機EL表示装置は、本実施形態にかかる膜、好ましくは偏光膜および有機EL素子を少なくとも備えて構成されている。有機EL素子は、公知の構成の素子を用いることができる。
本実施形態にかかる膜、好ましくは偏光膜と1/4波長板とを有する積層体である円偏光板は、特に、有機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置および無機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置に有効に用いることができる。上記有機EL表示装置は、本実施形態にかかる積層体、好ましくは円偏光板および有機EL素子を少なくとも備えて構成されている。
本実施形態にかかる膜、好ましくは偏光膜を液晶表示装置に用いる場合には、当該膜は液晶セルの外部に備えられていてもよく、液晶セルの内部に備えられていてもよい。液晶セルは、本実施形態にかかる膜、好ましくは偏光膜、液晶層および基体を少なくとも備えて構成されている。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1:化合物(2-9)の合成
化合物(2-9)を合成するために、まず化合物(2-9-a)を合成した。続いて化合物(2-9-a)と化合物(2-1-c)とを鈴木カップリングさせて化合物(2-9―b)を得た。続いてエステル交換反応により化合物(2-9)を得た。なお、化合物(2-1-c)は化合物(2-1-b)を経て合成した。
化合物(2-9-a)の合成
臭化銅(II)(6.48g、29.0mmol)のアセトニトリル(200mL)溶液に亜硝酸イソブチル(4.40mL、37mmol)、および2-アミノベンゾチアゾール-6-カルボン酸エチル(5.56g、25.0mmol)を順に加えた。65℃にて1.5時間攪拌後、反応溶液を室温まで冷却後、0.4M塩酸(200mL)に注ぎ、反応を停止した。クロロホルム/水で分液後、有機層を水、次いで飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥、エバポレーターで濃縮することにより化合物2-9-aを得た(6.56g、収率92%)。
Figure 0007368168000036
化合物(2-1-b)の合成
4-ブロモアニリン(13.2g、77.6mmol)、35%塩酸(22.0mL,249mmol)、および水(200mL)を混合して0℃から5℃に冷却した。そこへ亜硝酸ナトリウム(13.0g、189mmol)の水(26mL)溶液を滴下した。その後、0℃から5℃を保ちながら30分間撹拌し、さらにアミド硫酸(11.0g,113mmol)を添加してジアゾ液を調製した。一方、N,N-ジメチルアニリン(14.0mL、111mmol)、酢酸ナトリウム(24.8g,302mmol)、メタノール(200mL)、および水(100mL)を混合して0℃から5℃に冷却し、先ほど調製したジアゾ液全量を滴下した。滴下終了後常温まで昇温し、析出した固体を濾別して化合物(2-1-b)を得た(21.0g、収率90%)。
Figure 0007368168000037
化合物(2-1-c)の合成
化合物(2-1-b)(18.3g、60.0mmol)のTHF(450mL)溶液を-78℃に冷却し、そこへ1.57Mのn-ブチルリチウムヘキサン溶液(38.0mL、59.7mmol)を滴下した。その後、-78℃を保ちながら30分間攪拌し、さらにiPrOBpin(2-イソプロポキシ-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロランの略。11.0mL,64.8mmol)を滴下した。滴下終了後常温まで昇温し、30分間攪拌した。塩化アンモニウム(60g)の水(400mL)溶液を加えて反応を停止し、有機層を分液し、飽和食塩水で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥、エバポレーターで濃縮した。得られた固体をクロロホルム/ヘキサンからの再沈殿により精製し、化合物(2-1-c)を得た(16.7g、収率79%)。
Figure 0007368168000038
化合物(2-9-b)の合成
化合物(2-9-a)(1.43g、5.01mmol)、および化合物(2-1-c)(1.76g、5.00mmol)のTHF(50mL)溶液に、Pd(dba)(116mg、0.126mmol)、およびP(t-Bu)・HBF(72.0mg、0.248mmol)を加え撹拌した。さらに3Mリン酸カリウム水溶液(5.0mL、15mmol)を加え、60℃で3時間加熱撹拌した。さらにPd(dba)(116mg、0.126mmol)、およびP(t-Bu)・HBF(71.9mg、0.248mmol)を加え、60℃で2.5時間加熱撹拌した。反応溶液にメタノールを加え、析出した固体をろ取し、化合物(2-9-b)を得た(1.72g、収率80%)。
Figure 0007368168000039
化合物(2-9)の合成
化合物(2-9-b)(0.646g、1.50mmol)、TiO(acac)(ビス(2,4-ペンタンジオナト)チタン(IV)オキシドの略。0.197g、0.752mmol)、およびn-ヘキサノール(0.464g、4.54mmol)のp-キシレン(15mL)溶液を4時間加熱還流した。反応溶液にメタノールを加え、析出した固体をろ取し、クロロホルムを展開溶媒としたシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、さらにクロロホルム/メタノールからの再沈殿により精製し、化合物(2-9)を得た(0.461g、収率63%)。
H-NMR(400MHz、CDCl):δ(ppm)=8.64(d,1H),8.25-8.22(m,2H),8.18(dd,1H),8.10(d,1H),7.99-7.95(m,2H),7.95-7.91(m,2H),6.80-6.76(m,2H),4.38(t,2H),3.12(s,6H),1.82(tt,2H),1.52-1.45(m,2H),1.40-1.34(m,4H),0.92(t,3H).
UV可視光スペクトル:λmax=460nm(アセトニトリル中)
Figure 0007368168000040
実施例2:化合物(2-29)の合成
2-ブロモ-5-n-ブチルチエノチアゾールと前述の化合物(2-1-c)を鈴木カップリングさせて化合物(2-29)を得た。
化合物(2-29)の合成
2-ブロモ-5-n-ブチルチエノチアゾール(0.344g、1.25mmol)、および化合物(2-1-c)(0.351g、1.00mmol)のTHF(10mL)溶液に、Pd(dba)(36.7mg、0.0401mmol)、およびP(t-Bu)・HBF(22.8mg、0.0786mmol)を加え撹拌した。さらに3Mリン酸カリウム水溶液(1.0mL、3.0mmol)を加え、60℃で5時間加熱撹拌した。さらにPd(dba)(36.8mg、0.0402mmol)、およびP(t-Bu)・HBF(23.1mg、0.0796mmol)を加え、60℃で2時間加熱撹拌した。反応溶液にメタノールを加え、析出した固体をろ取し、クロロホルムを展開溶媒としたシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、さらにクロロホルム/メタノールからの再沈殿により精製し、化合物(2-29)を得た(0.159g、収率38%)。
H-NMR(400MHz、CDCl):δ(ppm)=8.09-8.06(m,2H),7.93-7.89(m,4H),6.95(s,1H),6.79-6.75(m,2H),3.11(s,6H),2.92(t,2H),1.74(tt,2H),1.44(tq,2H),0.97(t,3H).
UV可視光スペクトル:λmax=451nm(アセトニトリル中)
Figure 0007368168000041
実施例3:化合物(2-28)の合成
化合物(2-28)を合成するために、まず化合物(2-28-a)および化合物(2-28-b)を経て化合物(2-28-c)を合成した。2-ブロモ-5-n-ブチルチエノチアゾールと化合物(2-28-c)を鈴木カップリングさせて化合物2-28を得た。
化合物(2-28-a)の合成
4-ブロモアニリン(12.9g、75.0mmol)、35%塩酸(22.0mL,249mmol)、および水(200mL)を混合して0℃から5℃に冷却し、そこへ亜硝酸ナトリウム(5.18g、75.1mmol)の水(10mL)溶液を滴下してジアゾ液を調製した。一方、フェノール(7.80g、82.9mmol)、酢酸ナトリウム(24.6g,300mmol)、メタノール(200mL)、および水(100mL)を混合して0℃から5℃に冷却し、先ほど調製したジアゾ液全量を滴下した。滴下終了後常温まで昇温し、析出した固体を濾別して化合物(2-28-a)を得た(17.7g、収率85%)。
Figure 0007368168000042
化合物(2-28-b)の合成
化合物(2-28-a)(2.77g、10.0mmol)、炭酸カリウム(3.46g、25.0mmol)、アセトニトリル(40mL)、およびヨードメタン(0.60mL、9.6mmol)を混合し、50℃で20時間加熱攪拌した。室温まで冷却後、水(200mL)に注いで反応を停止した。THF/水で分液後、有機層を水、次いで飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥、エバポレーターで濃縮することにより化合物(2-28-b)を得た(16.7g、収率79%)。
Figure 0007368168000043
化合物(2-28-c)の合成
化合物(2-28-b)(2.33g、8.00mmol)、Bpin(正式名称はビス(ピナコラト)ジボロン。2.24g、8.80mmol)、および酢酸カリウム(2.36g、24.0mmol)の1,4-ジオキサン(40mL)溶液に、PdCldppf(327mg、0.400mmol)を加え、80℃で2時間加熱撹拌した。反応溶液をトルエン/水で分液し、有機層を水、次いで飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥、エバポレーターで濃縮した。得られた固体をクロロホルム/ヘキサンからの再沈殿により精製し、化合物(2-28-c)を得た(1.86g、収率69%)。
Figure 0007368168000044
化合物(2-28)の合成
2-ブロモ-5-n-ブチルチエノチアゾール(0.309g、1.12mmol)、および化合物(2-28-c)(0.338g、1.00mmol)の1,4-ジオキサン(10mL)溶液に、Pd(dba)(23.3mg、0.0254mmol)、およびP(t-Bu)・HBF(15.5mg、0.0534mmol)を加え撹拌した。さらに3Mリン酸カリウム水溶液(1.0mL、3.0mmol)を加え、100℃で4時間加熱撹拌した。反応溶液にメタノールを加え、析出した固体をろ取し、クロロホルムを展開溶媒としたシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、さらにクロロホルム/メタノールからの再沈殿により精製し、化合物(2-28)を得た(0.166g、収率41%)。
H-NMR(400MHz、CDCl):δ(ppm)=8.11-8.10(m,2H),7.97-7.94(m,4H),7.04-7.02(m,2H),6.96(s,1H),3.91(s,3H),2.92(t,2H),1.74(tt,2H),1.44(tq,2H),0.97(t,3H).
UV可視光スペクトル:λmax=391nm(アセトニトリル中)
Figure 0007368168000045
実施例4:化合物(2-6)の合成
化合物(2-6)を合成するために、まず5-ブロモチオフェン-2-カルボン酸エチルと前述の化合物(2-1-c)を鈴木カップリングさせて化合物(2-6―a)を得た。続いてエステル交換反応により化合物(2-6)を得た。
化合物(2-6-a)の合成
5-ブロモチオフェン-2-カルボン酸エチル(1.30g、5.51mmol)、および化合物(2-1-c)(1.76g、5.00mmol)のTHF(50mL)溶液に、Pd(dba)(115mg、0.125mmol)、およびP(t-Bu)・HBF(72.6mg、0.250mmol)を加え撹拌した。さらに3Mリン酸カリウム水溶液(5.0mL、15mmol)を加え、2時間加熱撹拌した。反応溶液にメタノールを加え、析出した固体をろ取し、化合物(2-6-a)を得た(1.50g、収率79%)。
Figure 0007368168000046
化合物(2-6)の合成
化合物(2-6-a)(0.379g、1.04mmol)、TiO(acac)(ビス(2,4-ペンタンジオナト)チタン(IV)オキシドの略。0.131g、0.501mmol)、およびn-ヘキサノール(0.517g、5.06mmol)のp-キシレン(15mL)溶液を4時間加熱還流した。反応溶液にメタノールを加え、析出した固体をろ取し、クロロホルムを展開溶媒としたシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、さらにクロロホルム/メタノールからの再沈殿により精製し、化合物(2-6)を得た(0.238g、収率55%)。
H-NMR(400MHz、CDCl):δ(ppm)=7.92-7.87(m,4H),7.78(d,1H),7.76-7.73(m,2H),7.36(d,1H),6.79-6.75(m,2H),4.31(t,2H),3.11(s,6H),1.77(tt,2H),1.50-1.40(m,2H),1.39-1.33(m,4H),0.92(t,3H).
UV可視光スペクトル:λmax=443nm(アセトニトリル中)
Figure 0007368168000047
実施例5:化合物(2-8)の合成
化合物(2-8)を合成するために、まず化合物(2-8-a)を合成した。続いて化合物(2-8-a)と前述の化合物(2-1-c)を鈴木カップリングさせて化合物(2-8)を得た。
化合物(2-8-a)の合成
EDC・HCl(1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩の略。1.01g、5.25mmol)、およびDMAP(N,N-ジメチルアミノピリジンの略。61.6mg、0.504mmol)のクロロホルム(50mL)溶液にn-ヘキサノール(0.565g、5.53mmol)、および2-ブロモチアゾール-5-カルボン酸(1.04g、5.01mmol)を順に加えた。室温にて3.5時間攪拌後、反応溶液をクロロホルム/水で分液し、有機層を水、次いで飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥、エバポレーターで濃縮することにより化合物(2-8-a)を得た(1.37g、収率93%)。
Figure 0007368168000048
化合物(2-8)の合成
化合物(2-8-a)(0.647g、2.21mmol)、および化合物(2-1-c)(0.703g、2.00mmol)の1,4-ジオキサン(20mL)溶液に、Pd(dba)(68.8mg、0.0751mmol)、およびP(t-Bu)・HBF(43.7mg、0.151mmol)を加え撹拌した。さらに3Mリン酸カリウム水溶液(2.0mL、6.0mmol)を加え、7時間加熱還流した。反応溶液にメタノールを加え、析出した固体をろ取し、クロロホルムを展開溶媒としたシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、さらにクロロホルム/メタノールからの再沈殿により精製し、化合物(2-8)を得た(0.115g、収率13%)。
H-NMR(400MHz、CDCl):δ(ppm)=8.44(s,1H),8.12-8.09(m,2H),7.94-7.89(m,4H),6.79-6.75(m,2H),4.34(t,2H),3.12(s,6H),1.77(tt,2H),1.49-1.40(m,2H),1.39-1.33(m,4H),0.92(t,3H).
UV可視光スペクトル:λmax=459nm(アセトニトリル中)
Figure 0007368168000049
実施例6:化合物(2-31)の合成
2-ブロモ-5-n-ヘキシルチオフェンと前述の化合物(2-1-c)を鈴木カップリングさせて化合物(2-31)を得た。
化合物(2-31)の合成
2-ブロモ-5-n-ヘキシルチオフェン(1.36g、5.50mmol)、および化合物2-1-c(1.76g、5.00mmol)のTHF(50mL)溶液に、Pd(dba)(115mg、0.125mmol)、およびP(t-Bu)・HBF(72.6mg、0.250mmol)を加え撹拌した。さらに3Mリン酸カリウム水溶液(5.0mL、15mmol)を加え、3時間加熱還流した。反応溶液にメタノールを加え、析出した固体をろ取し、クロロホルムを展開溶媒としたシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、さらにクロロホルム/メタノールからの再沈殿により精製し、化合物(2-31)を得た(1.73g、収率88%)。
H-NMR(400MHz、CDCl):δ(ppm)=7.90-7.86(m,2H),7.85-7.82(m,2H),7.67-7.64(m,2H),7.21(d,1H),6.79-6.75(m,3H),3.09(s,6H),2.83(t,2H),1.71(tt,2H),1.44-1.30(m,6H),0.90(t,3H).
UV可視光スペクトル:λmax=432nm(アセトニトリル中)
Figure 0007368168000050
実施例7:化合物(2-101)の合成
化合物(2-101)を合成するために、まず化合物(2-101-a)を合成した。続いて化合物(2-101-a)と化合物(2-101-d)とを鈴木カップリングさせて化合物(2-101-b)を得た。続いてエステル交換反応により化合物(2-101)を得た。なお、化合物(2-101-d)は化合物(2-101-c)を経由して合成した。
化合物(2-101-a)の合成
臭化銅(II)(6.48g、29.0mmol)のアセトニトリル(200mL)溶液に亜硝酸イソブチル(4.40mL、37mmol)、および2-アミノベンゾチアゾール-6-カルボン酸エチル(5.56g、25.0mmol)を順に加えた。65℃にて1.5時間攪拌後、反応溶液を室温まで冷却後、0.4M塩酸(200mL)に注ぎ、反応を停止した。クロロホルム/水で分液後、有機層を水、次いで飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥、エバポレーターで濃縮することにより化合物(2-101-a)を得た(6.56g、収率92%)。
Figure 0007368168000051
化合物(2-101-c)の合成
4-ブロモ-2-フルオロアニリン(14.3g、75.0mmol)、35%塩酸(22.0mL,249mmol)、および水(200mL)を混合して0℃から5℃に冷却し、そこへ亜硝酸ナトリウム(7.76g、112mmol)の水(26mL)溶液を滴下した。その後、0℃から5℃を保ちながら30分間撹拌し、さらにアミド硫酸(4.36g,45.0mmol)を添加してジアゾ液を調製した。一方、ジメチルアニリン(13.6g、113mmol)、酢酸ナトリウム(24.6g,300mmol)、メタノール(200mL)、および水(100mL)を混合して0℃から5℃に冷却し、先ほど調製したジアゾ液全量を滴下した。滴下終了後常温まで昇温し、析出した固体を濾別して化合物(2-101-c)を得た(15.8g、収率66%)。
Figure 0007368168000052
化合物(2-101-d)の合成
化合物(2-101-c)(3.23g、10.0mmol)、Bpin(ビス(ピナコラト)ジボロン。2.79g、11.0mmol)、および酢酸カリウム(2.99g、30.4mmol)の1,4-ジオキサン(60mL)溶液に、PdCldppf(249mg、0.305mmol)を加え、80℃で7時間加熱撹拌した。反応溶液をトルエン/水で分液し、有機層を水、次いで飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥、エバポレーターで濃縮した。得られた固体をクロロホルム/ヘキサンからの再沈殿により精製し、化合物(2-101-d)を得た(2.53g、収率69%)。
Figure 0007368168000053
化合物(2-101-b)の合成
化合物(2-101-a)(0.631g、2.21mmol)、および化合物(2-5-b)(0.739g、2.00mmol)のTHF(20mL)溶液に、Pd(dba)(0.0464g、0.0507mmol)、およびP(t-Bu)・HBF(0.0290g、0.100mmol)を加え撹拌した。さらに3Mリン酸カリウム水溶液(2.0mL、6.0mmol)を加え、60℃で12時間加熱撹拌した。反応溶液にメタノールを加え、析出した固体をろ取し、化合物(2-101-b)を得た(0.782g、収率87%)。
Figure 0007368168000054
化合物(2-101)の合成
化合物(2-101-b)(0.450g、1.00mmol)、TiO(acac)(ビス(2,4-ペンタンジオナト)チタン(IV)オキシドの略。0.132g、0.504mmol)、およびn-ヘキサノール(0.512g、5.01mmol)のp-キシレン(15mL)溶液を4時間加熱還流した。反応溶液にメタノールを加え、析出した固体をろ取し、クロロホルムを展開溶媒としたシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、化合物(2-101)を得た(0.366g、収率72%)。
H-NMR(400MHz、CDCl):δ(ppm)=8.65(d,1H),8.19(dd,1H),8.11(d,1H),8.02(dd,1H),7.97-7.91(m,3H),7.88(dd,1H),6.79-6.75(m,2H),4.38(t,2H),3.13(s,6H),1.82(tt,2H),1.52-1.45(m,2H),1.40-1.34(m,4H),0.92(t,3H).
UV可視光スペクトル:λmax=482nm(アセトニトリル中)
Figure 0007368168000055
実施例8:化合物(2-76)の合成
2-ブロモ-5-n-ブチルチエノチアゾールと前述の化合物(2-101-d)を鈴木カップリングさせて化合物(2-76)を得た。
化合物(2-76)の合成
2-ブロモ-5-n-ブチルチエノチアゾール(0.304g、1.10mmol)、および化合物(2-101-d)(0.369g、1.00mmol)のTHF(10mL)溶液に、Pd(dba)3(0.0367mg、0.0400mmol)、およびP(t-Bu)・HBF(0.0232mg、0.0800mmol)を加え撹拌した。さらに3Mリン酸カリウム水溶液(2.0mL、6.0mmol)を加え、16時間加熱撹拌した。反応溶液にメタノールを加え、析出した固体をろ取し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/トルエン=10/90)にて精製し、化合物(2-76)を得た(0.127g、収率29%)。
H-NMR(400MHz、CDCl):δ(ppm)=9.95-7.91(m,2H),7.87-7.81(m,2H),7.77(dd,1H),6.95(s,1H),6.78-6.74(m,2H),3.12(s,6H),2.92(t,2H),1.74(tt,2H),1.44(tq,2H),0.97(t,3H).
UV可視光スペクトル:λmax=475nm(アセトニトリル中)
Figure 0007368168000056
実施例9:化合物(2-77)の合成
化合物(2-77-a)を経て化合物(2-77-b)を合成した後、2-ブロモ-5-n-ブチルチエノチアゾールと化合物(2-77-b)とを鈴木カップリングさせて化合物(2-77)を得た。
化合物(2-77-a)の合成
4-ブロモ-3-フルオロアニリン(1.90g、10.0mmol)、35%塩酸(3.0mL,34mmol)、および水(25mL)を混合して0℃から5℃に冷却し、そこへ亜硝酸ナトリウム(0.69mg、10.0mmol)の水(2.5mL)溶液を滴下してジアゾ液を調製した。一方、ジメチルアニリン(1.33g、11.0mmol)、酢酸ナトリウム(3.28g、40.0mmol)、メタノール(25.0mL)、および水(12.5mL)を混合して0℃から5℃に冷却し、先ほど調製したジアゾ液全量を滴下した。滴下終了後常温まで昇温し、析出した固体を濾別して化合物(2-77-a)を得た(2.59g、収率80%)。
Figure 0007368168000057
化合物(2-77-b)の合成
化合物2-77-a)(2.26g、7.00mmol)、Bpin(正式名称はビス(ピナコラト)ジボロン。1.96g、7.70mmol)、および酢酸カリウム(2.06g、21.0mmol)の1,4-ジオキサン(35mL)溶液に、PdCldppf(0.286g、0.351mmol)を加え、80℃で15時間加熱撹拌した。反応溶液をトルエン/水で分液し、有機層を水、次いで飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥、エバポレーターで濃縮した。得られた固体をクロロホルム/ヘキサンからの再沈殿により精製し、化合物(2-77-b)を得た(1.74g、収率67%)。
Figure 0007368168000058
化合物(2-77)の合成
2-ブロモ-5-n-ブチルチエノチアゾール(0.307g、1.11mmol)、および化合物(2-77-b)(0.370g、1.00mmol)の1,4-ジオキサン(10mL)溶液に、Pd(dba)(0.023g、0.0251mmol)、およびP(t-Bu)・HBF(0.015g、0.0517mmol)を加え撹拌した。さらに3Mリン酸カリウム水溶液(1.0mL、3.0mmol)を加え、4時間加熱撹拌した。反応溶液にメタノールを加え、析出した固体をろ取し、クロロホルムを展開溶媒としたシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、さらにクロロホルム/メタノールからの再沈殿により精製し、化合物(2-77)を得た(0.317g、収率72%)。
H-NMR(400MHz、CDCl):δ(ppm)=8.42(dd,1H),7.92-7.89(m,2H),7.78(dd,1H),7.68(dd,1H),6.97(s,1H),6.79-6.75(m,2H),3.12(s,6H),2.93(t,2H),1.75(tt,2H),1.45(tq,2H),0.97(t,3H).
UV可視光スペクトル:λmax=471nm(アセトニトリル中)
Figure 0007368168000059
比較例1:化合物(2-1)の合成
化合物(2-1)を合成するために、まず化合物(2-1-a)を合成した。続いて化合物(2-1-a)と前述の化合物(2-1-c)を鈴木カップリングさせて化合物(2-1)を得た。
化合物(2-1-a)の合成
EDC・HCl(1.36g、7.10mmol)、およびDMAP(0.083g、0.68mmol)のジクロロメタン(60mL)溶液にn-ヘキサノール(0.90mL、7.2mmol)、および4-ブロモ安息香酸(1.36g、6.76mmol)を順に加えた。室温にて6時間攪拌後、反応溶液を水、次いで飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥、エバポレーターで濃縮することにより化合物(2-1-a)を得た(1.70g、収率88%)。
Figure 0007368168000060
化合物(2-1)の合成
化合物(2-1-a)(285mg、1.00mmol)、化合物(2-1-c)(457mg、1.30mmol)、および酢酸カリウム(650mg、6.63mmol)のジエチレングリコールジメチルエーテル(13mL)、および水(2mL)の混合溶液に、PdCldppf(41.0mg、0.0502mmol)を加え、140℃で4時間加熱撹拌した。反応溶液にTHFを加え、シリカゲルショートカラムを通した後、エバポレーターで濃縮した。得られた固体をメタノール/水で洗浄後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/トルエン=20/80)にて精製し、化合物(2-1)を得た(238mg、収率55%)。
H-NMR(400MHz、CDCl):δ(ppm)=8.14-8.11(m,2H),7.95-7.89(m,4H),7.76-7.71(m,4H),6.80-6.76(m,2H),4.35(t,2H),3.11(s,6H),1.79(tt,2H),1.51-1.44(m,2H),1.37-1.33(m,4H),0.92(t,3H).
Figure 0007368168000061
<評価>
(組成物の調製)
ポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA、Aldrich製、Mw=約120000)10質量%トルエン水溶液を1g、実施例1で得られた化合物(2-101)4mg、光ラジカル開始剤(イルガキュア369)6mgを混合し、80℃で30分間加熱して組成物E1を調製した。
化合物(2-101)の代わりに、化合物(7-76)、化合物(2-77)または化合物(2-1)を用いたこと以外は上記と同様にして、組成物E7からE9および組成物C1を得た。
(薄膜の形成)
透明基材としてガラス基板を用いた。ガラス基板上にスピンコーター(MS-A100、回転数1000rpm、20秒間)を用いて、組成物E1をスピンコートして薄膜を形成して、評価用の積層体を得た。
組成物E1の代わりに、組成物E7からE9、または組成物C1を用いたこと以外は上記と同様にして薄膜を形成して、評価用の積層体をそれぞれ得た。
(吸光度測定)
上記で得られた評価用の積層体について、分光光度計(Varian社製、CARY UV-vis-NIR Spectrophotometer 5E)を用いて、常温(25℃)下で、UV-visスペクトルを測定し、極大吸収波長(λmax1)および極大吸収波長(λmax1)における吸光度(abs)を得た。その後、評価用の積層体に露光機(大日本科研製、MA-1300A型)にて3000mJ/cmのUV光を25℃にて照射した後、再度UV-visスペクトルを測定し、UV照射後の極大吸収波長(λmax2)および極大吸収波長(λmax2)における吸光度(abs)を得た。UV照射後の吸光度(abs)を、UV照射前の吸光度(abs)で除して吸光度維持率(%)を算出した。結果を表1に示す。積層体の吸光度の維持率が80%を超える場合、偏光板として良好とする。
Figure 0007368168000062
表1から、式(1)で表される化合物は、紫外線(UV)耐久性が高いことがわかる。
実施例11:化合物(2-9)を含む組成物の調製
下記の成分を混合し、80℃で1時間攪拌することで、組成物E11を得た。
・重合性液晶化合物(A-6) 75質量部
・重合性液晶化合物(A-7) 25質量部
・化合物(2-9) 4.0質量部
・重合開始剤: 2-ジメチルアミノ-2-ベンジル-1-(4-モルホリノフェニル)ブタン-1-オン(イルガキュア369;BASFジャパン社製)
6質量部
・レベリング剤:ポリアクリレート化合物(BYK-361N;BYK-Chemie社製)
1.2質量部
・溶剤:o-キシレン 250質量部
重合性液晶化合物(A-6)
Figure 0007368168000063
重合性液晶化合物(A-7)
Figure 0007368168000064
なお、重合性液晶化合物(A-6)は、Lub et al. Recl. Trav. Chim. Pays-Bas, 115, 321-328 (1996)に記載の方法で合成した。また、この方法に準拠して、重合性液晶化合物(A-7)を製造した。
実施例12:化合物(2-29)を含む組成物の調製
化合物(2-9)の代わりに、化合物(2-29)を用いたこと以外は実施例11と同様にして、組成物E12を得た。
実施例13:化合物(2-28)を含む組成物の調製
化合物(2-9)の代わりに、化合物(2-28)を用いたこと以外は実施例11と同様にして、組成物E13を得た。
実施例14:化合物(2-6)を含む組成物の調製
化合物(2-9)の代わりに、化合物(2-6)を用いたこと以外は実施例11と同様にして、組成物E14を得た。
実施例15:化合物(2-8)を含む組成物の調製
化合物(2-9)の代わりに、化合物(2-8)を用いたこと以外は実施例11と同様にして、組成物E15を得た。
実施例16:化合物(2-31)を含む組成物の調製
化合物(2-9)の代わりに、化合物(2-31)を用いたこと以外は実施例11と同様にして、組成物E16を得た。
実施例17:化合物(2-101)を含む組成物の調製
化合物(2-9)の代わりに、化合物(2-101)を用いたこと以外は実施例11と同様にして、組成物E17を得た。
実施例18:化合物(2-76)を含む組成物の調製
化合物(2-9)の代わりに、化合物(2-76)を用いたこと以外は実施例11と同様にして、組成物E18を得た。
実施例19:化合物(2-77)を含む組成物の調製
化合物(2-9)の代わりに、化合物(2-77)を用いたこと以外は実施例11と同様にして、組成物E19を得た。
<比較例11>:化合物(2-1)を含む組成物の調製
化合物(2-9)の代わりに、化合物(2-1)を用いたこと以外は実施例11と同様にして、組成物C11を得た。
<偏光板の製造>
1.配向膜の形成
透明基材としてガラス基板を用いた。ガラス基板上に、ポリビニルアルコール(ポリビニルアルコール1000完全ケン化型、和光純薬工業株式会社製)の2質量%水溶液(配向層形成用組成物)をスピンコート法により塗布し、乾燥後、厚さ100nmの膜を形成した。続いて、得られた膜の表面にラビング処理を施すことにより配向膜を形成し、ガラス基板上に配向膜が形成された積層体1を得た。
2.偏光膜の形成
上記で得られた積層体1の配向膜上に、上記で得られた組成物をスピンコート法により塗布し、120℃のホットプレート上で3分間加熱乾燥した後、速やかに70℃(降温時にスメクチック液晶相を示す温度)以下に冷却して、配向膜上に第1乾燥被膜が形成された積層体2を得た。
次いで、UV照射装置(SPOT CURE SP-7;ウシオ電機株式会社製)を用い、紫外線を、露光量2400mJ/cm(365nm基準)で偏光膜に照射することにより、第1乾燥被膜に含まれる重合性液晶化合物を、組成物の液晶状態を保持したまま重合させ、第1乾燥被膜から偏光膜を形成して、積層体3として偏光板を得た。
<評価>
積層体1の配向膜上に偏光膜が形成された状態の積層体2について、以下のようにして二色比の測定を行った。積層体2の偏光膜の極大吸収波長(λmax)における透過軸方向の吸光度(A1)及び吸収軸方向の吸光度(A2)を、分光光度計(島津製作所株式会社製 UV-3150)に、積層体1を備えるフォルダーをセットした装置を用いて、ダブルビーム法で測定した。該フォルダーには、リファレンス側に光量を50%カットするメッシュを設置した。測定された透過軸方向の吸光度(A1)及び吸収軸方向の吸光度(A2)の値から、比(A2/A1)を算出し、UV露光前の二色比(DR1)とした。
UV露光後の積層体3について、積層体3の偏光膜の極大吸収波長(λmax)における透過軸方向の吸光度及び吸収軸方向の吸光度を上記と同様にして測定して、UV露光後の二色比(DR2)を算出した。UV露光後の二色比(DR2)をUV露光前の二色比(DR1)で除して、二色比維持率(DR2/DR1;%)を算出した。結果を表1にまとめた。積層体3の二色比維持率が50%を超える場合、偏光板として良好とする。
Figure 0007368168000065
表2から、式(1)で表される化合物と、重合性液晶化合物および液晶性の高分子化合物の少なくとも一方の化合物とを含む組成物から形成される偏光膜を備えた偏光板は、優れた二色比を示す。例えば、化合物のArのみが異なる実施例11と比較例11とを比較すると、Arが、Arと単結合で直接結合する2価の含硫黄芳香族複素環基である実施例11が優れた二色比を示す。また、偏光板の製造工程にUV照射を含む場合に、UV照射前後での二色比の維持率に優れる。

Claims (5)

  1. 下記式(1)で表される化合物。
    -R-Ar-(-R-Ar-)-N=N-Ar-R (1)
    [式(1)中、Arは、置換基を有していてもよい2価の含硫黄芳香族複素環基を表し、ArおよびArは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい1,4-フェニレン基を表し、Ar 、Ar およびAr が置換基を有する場合、当該置換基は、フッ素原子、炭素数1から10のアルキル基または炭素数1から10のアルコキシ基である。
    nは、1を表す。
    、単結合を表す。
    は、ラジカル重合性基を有していてもよいアルキルアミノ基、またはラジカル重合性基を有していてもよいアルコキシ基を表す。
    は、炭素数4から20のアルカンジイル基、炭素数2から20のアルカンジイルオキシ基、炭素数2から20のアルカンジイルオキシカルボニル基および炭素数2から20のアルカンジイルカルボニルオキシ基からなる群より選択される少なくとも1つの基を表す。
    は、ラジカル重合性基または水素原子を表す
  2. 請求項1に記載の化合物を含む組成物。
  3. 請求項1に記載の化合物を形成材料とする膜。
  4. 請求項に記載の膜を含む積層体。
  5. 請求項に記載の膜を備える表示装置。
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