JP2006267736A - 非線形光学用ハイパーブランチポリマーおよびこれを含有する非線形光学用材料 - Google Patents

非線形光学用ハイパーブランチポリマーおよびこれを含有する非線形光学用材料 Download PDF

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Abstract

【課題】非線形光学機能等の機能性能、高分子相溶性、耐熱性、耐昇華性等に優れた有機機能性材料の提供。
【解決手段】ハイパーブランチポリマーの分枝構造単位(ブランチングユニット)、直線構造単位(リニアユニット)及び末端単位(ターミナルユニット)のいずれか1つないしは複数に、規則的または不規則的に、2次非線形光学活性色素原子団を結合させてなる非線形光学用ハイパーブランチポリマー。
【選択図】 なし

Description

本発明は、コピー機、プリンター、電子ペーパー等に利用できる有機電子写真感光体; 電子表示板、ディスプレー等に利用できる有機電界発光素子; 光情報通信、光情報処理等において有用な光変調器、光スイッチ、光集積回路、光コンピューター、光メモリー、波長変換素子、ホログラム素子等に利用できる有機非線形光学素子; 等の光および/または電気に関する機能を発揮する有機機能性素子に関する。さらに、本発明は、該有機機能性素子を形成する基幹材料である有機機能性材料に関する。
光を用いる光情報通信、光情報処理、イメージング等の分野において重要な波長変換素子、光変調器、光スイッチ、等の機能性素子の多くは非線形光学材料、特に二次非線形光学材料を用いることによって具現化される。二次非線形光学材料としてはこれまでにニオブ酸リチウム、燐酸ニ水素カリウム等の無機非線形光学材料が既に実用化され、広く用いられているが、近年、これらの無機材料に対し、高い非線形光学性能、安価な材料ならびに製造コスト、高い量産性、等の優位性を有する有機非線形光学材料が注目され、実用化に向けての活発な研究開発が行われている。
二次非線形光学効果は、原理的に系に対称中心が存在しないことが必須要件であり、非線形光学活性を有する有機化合物を対称中心の存在しない結晶構造に結晶化させた系(結晶系と呼ぶ)、と非線形光学活性を有する有機化合物を高分子バインダーに含有または結合させ、該非線形光学活性有機化合物を何らかの手段によって配向させた系(高分子系)に大別される。結晶系有機非線形光学材料は、非常に高い非線形光学性能を発揮し得ることが知られているが、結晶構造の人為的な制御は現状では不可能に近く対称中心の存在しない結晶構造が得られことは稀である、たとえ得られたとしても素子化に必要な大きな有機結晶を作製することは困難である、また有機結晶の強度は非常に脆く素子化工程で破損してしまう、等の問題がある。これに対し、高分子系有機非線形光学材料は、バインダー高分子により、素子化するに当って有用な成膜性、機械的強度、等の好ましい特性が付与され、実用化に向けてのポテンシャルが高く有望視されている。
高分子系有機非線形光学材料では、高分子バインダー中に非線形光学活性有機化合物が高濃度に凝集せずに均一に分散または結合され、光学的に均質透明となることが要求される。さらに、前記の通り二次の非線形光学効果を発現するには、非線形光学活性有機化合物を何らかの手段によって配向させ異方性を付与しなければならず、また機能性素子に利用するに当ってはその配向状態が素子の置かれる温湿度環境にあって長期間に亘って安定に保持されなければならない。
したがって、高分子系有機非線形光学材料に用いる非線形光学活性有機化合物としては、高い非線形光学性能に加えて、凝集性が低く、バインダー高分子との相溶性に優れることが要求される。また、高分子系有機非線形光学材料は一般に薄膜の形態にて素子化され、該薄膜の形成法としては湿式塗布法が好適に用いられるため、高分子系有機非線形光学材料に用いる非線形光学活性有機化合物としては、塗布溶剤への高い溶解性が要求される。一方、バインダー高分子としては、高い成膜性、機械的強度等に加え、内包する非線形光学活性有機化合物の配向状態を安定に保持するための高いガラス転移温度が要求される。
高分子系有機非線形光学材料において二次の非線形光学活性を生起させるには、上述の様に非線形光学活性有機化合物を配向させる必要がある。該配向法としては、一般に電界ポーリング法が用いられる。電界ポーリング法は、非線形光学材料に電界を印加し、非線形光学活性化合物の双極子モーメントと印加電界とのクーロン力によって、非線形光学活性化合物を印加電界方向に配向させる配向法であり、一般に、電界印加に加え、ガラス転移温度付近の温度にまで加熱することによって非線形光学活性化合物の分子運動を促進させる。
このような電場配向処理を施したものとしては、有機焦電材料(エレクトレット)がすでに実用化され、マイクロフォン、ヘッドホンなどに用いられている。エレクトレットに用いられる代表的な材料としては、ポリ(フッ化ビニリデン)PVDFが挙げられる。PVDFは結晶性の材料であり、非晶質領域に強誘電体の微結晶領域が混在する構造有し、電場印加時にはこの微結晶が電場方向に回転して配向することにより大きな焦電性が発現する。
一方、このような微結晶の存在は特に光学材料においては、散乱による損失等性能低下の原因となるため好ましくない。すなわち、これらの材料においてはモーメントを持つ分子自身が非晶質の材料中に均一に高濃度で分散していることが要求される。
ところで、前記非線形光学活性有機化合物としては、π共役鎖の一方の端に電子供与性基、他方の端に電子吸引性基を有する所謂、プッシュ-プル型のπ共役系化合物が有効であることが知られている。例えば、π共役鎖としてのジアゾベンゼン構造の4位に電子供与性基としてのN-エチル-N-(2-ヒドロキシエチル)アミノ基、4'位に電子吸引性基としてニトロ基を有するDisperse Red 1 (一般にDR1と略称される)などが、代表的な非線形光学活性有機化合物としてよく知られている。しかしながら、このような分子は双極子モーメントが大きいため分子間相互作用が大きく、媒体への溶解性ないしは分散性が良くなく、材料中に高濃度で導入することが一般に困難である。
特に光学材料に求められる透明性を満たすためには、媒体高分子自身も非晶質であることが求められるが、非晶質高分子は結晶化を防ぐため分子間、ないしは繰り返し単位間の相互作用が小さくなるように設計されており、これにより形成される場も非極性となる。したがって、上述のような極性分子の場への分散性は非常に悪くなるのが一般的である。
一方、非線形光学定数は単位体積媒体中のこの過程に関与しうる分子数に比例するとされており、高い能発現のためには媒体中への高濃度の非線形光学活性部位の導入が不可欠であるが、従来の技術では上述の理由によりこの実現が極めて困難であった。
この問題点を克服するために、重合体自身に非線形光学活性色素団を高濃度で導入させる手法が種々開発されている。
第一の手法としては、非線形光学活性色素団を有するモノマーを合成しこれを重合するという手段が可能である。この方法では設計通りに非線形光学活性色素団の導入が可能であるが、得られたポリマーは規則的に極性の高い、またほとんどの場合に嵩高い原子団を含むこととなり、原系から大きく乖離した性能を示す場合が多い。
例えば、高分子の極性が大きく増大することによる、結晶化、溶解性の著しい低下や、嵩高い置換基の導入によりガラス転移温度の著しい低下が見られる場合がしばしばある。したがって、この方法も媒体中への高濃度の非線形光学活性部位の導入手法として一般的なものとはなりえない。
この他にすでに形成された高分子鎖や高分子媒体中に高分子‐低分子の反応により非線形光学活性色素団を導入するという手段も検討されているが、この場合には所望の反応率を得ることが困難な場合が多く、非線形光学活性色素団の導入率が前記手法ほど高くはできないという問題がある。
さらに活性部位の導入による高分子の性能変化という点では前記の手段と同じ問題点を抱えており、課題解決の手段として一般的なものとはなりえない。
従って、本発明の目的は、上記の問題点がなく非線形光学活性色素団の導入率を高めることにある。
本発明者等は、前記の課題を解決すべく、非線形光学活性色素団の媒体への高濃度の導入と媒体の変性、特に結晶化を防止に関して鋭意検討を行った結果、これらを克服する手段として、ハイパーブランチポリマー(超分枝高分子)を活用することにより、前記の課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、上記課題は以下の本発明により解決される。
<1> ハイパーブランチポリマーの分枝構造単位(ブランチングユニット)、直線構造単位(リニアユニット)及び末端単位(ターミナルユニット)のいずれか1つないしは複数に、規則的または不規則的に、2次非線形光学活性色素原子団を結合させてなる非線形光学用ハイパーブランチポリマー。
<2> 2次非線形光学活性色素原子団が下記一般式(1)で表される化合物を含有することを特徴とする<1>記載の非線形光学用ハイパーブランチポリマー。
(式中Dは電子供与性を示す原子団を表し、Lはπ電子共役系を示し、Aは電子吸引性を示す原子団を表す。Y1及びY2は互いに独立に置換または未置換の脂肪族基もしくは芳香族基であり、Zは置換または未置換の芳香族基であり; Lは、単結合、又は環構造に含まれるか、直結するか、又は隣接する、置換基を有してもよいπ共役基を示す。尚、Y1、Y2、Z及びLはいずれかが連結して環構造を形成してもよい。)
<3> <1>又は<2>記載のハイパーブランチポリマーを、単独、相互に混合又は相互に化学結合させたものよりなることを特徴とする有機機能性材料。
<4> <1>又は<2>記載のハイパーブランチポリマーを、単独、相互に混合又は相互に化学結合させたものに、更に他の2次非線形光学活性色素原子団を含まないハイパーブランチポリマーを混合、または化学結合させて成ることを特徴とする有機機能性材料。
<5> 高分子バインダー中に、<3>又は<4>記載の有機機能性材料が含まれることを特徴とする有機機能性材料。
<6> 高分子バインダーが、熱可塑性樹脂であることを特徴とする<5>記載の有機機能性材料。
<7> 前記高分子バインダーが、ポリイミド、ポリアミド、ポリ(アミドイミド)、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリサルフォン、ポリエーテルスルフィド、ポリエーテルケトン及びポリ環状オレフィンから選ばれる1種又は2種以上である<6>記載の有機機能性材料。
<8> 前記高分子バインダーが、熱硬化性樹脂であることを特徴とする<5>記載の有機機能性材料。
<9> <3>〜<8>のいずれか1項記載の有機機能性材料を用いたことを特徴とする有機機能性素子。
<10> 有機機能性素子が、非線形光学機能によって動作することを特徴とする<9>記載の有機機能性素子。
<11> 非線形光学機能が、一次の電気光学効果であることを特徴とする<10>記載の有機機能性素子。
本発明の有機機能性材料は、非線形光学機能等の機能性能、アモルファス性、耐熱性、耐昇華性等に優れた特定の構造の超分枝構造重合体を高分子バインダーに分散または結合させてなることを特徴とし、高い濃度でも超分枝構造重合体が凝集せずに均一な分散状態を取るため高い光学品質と優れた機能性能を兼ね備え、また非線形光学材料においては配向状態の耐熱性ならびに経時安定性が高く、長期に亘って優れた性能を保持できる等の好ましい効果を奏する。このため、本発明の有機機能性材料を用いることによって、諸特性ならびに安定性に優れた有機機能性素子を具現化することができる。
以下に本発明を実施の形態に沿って詳しく説明する。
<非線形光学用ハイパーブランチポリマー>
第一に発明者は、媒体中に高濃度に非線形光学活性色素団を導入するための手段として、人工的に構築した数十ナノメートル以下のマクロ分子=ナノ粒子の利用を考案した。これらの分子もしくは粒子は波長に比してそのサイズがはるかに小さいため、光の散乱中心等光学材料の品位を下げる恐れが無いためである。
第二に発明者は、このマクロ分子としてハイパーブランチポリマー(超分枝高分子)を活用することを考案した。図1に超分枝高分子の概念図を示す。この超分枝高分子は図2に示すような、分枝構造単位(blanching unit)、直線構造単位(linear unit)、末端構造単位(terminal unit)の3つの単位より構成されている。なお図2の矢印は高分子の伸長反応の方向を、──┤は停止反応の起こる部位を概念的に示す。
各構造単位はそれぞれ有機化学的手法で合成されるものであり、ここにそれぞれ非線形光学活性色素団を導入することができる。これらの構造単位は通常の高分子合成手法により、ハイパーブランチポリマーとなすことが可能である。
得られるハイパーブランチポリマーは、通常の直線状高分子、分枝高分子、高分子架橋体と比較して以下の特徴を有する。
(1)通常の高分子に比較して、分子鎖が稠密である。このことは高分子鎖中に非線形光学活性色素団を導入すれば、この非線形光学活性色素団の濃度を極めて高くすることができる。
(2)非線形光学活性色素団の濃度が高すぎ、不具合がある場合、例えば吸収による光のロスや発熱等の問題のある場合には、適当な適当な非線形光学活性色素団を含まない単位と共重合することにより、この問題を解決することができる。
(3)密な分枝構造単位の存在により、分子鎖の運動抑制の程度が大きい。すなわち非線形光学活性色素団同士の結合、配向が大きく抑制される。その結果電場配向時における分子間の非線形光学活性の打ち消しあいや、結晶化が抑制される。
(4)ハイパーブランチポリマー個々の分子は、いわゆるミクロゲル等と比較してもサイズが小さく、一般に溶媒への溶解性は良好である。
(5)ハイパーブランチポリマー自身がある程度のサイズがあることから、相分離にかかる時間が長くなり、本来非相溶系の材料系に混入することも可能となる。
(6)分枝構造の存在により、分子量に比して分子サイズがコンパクトになり、分子の絡み合いが少なくなる。この結果、通常の直線状高分子と比較して、溶媒への溶解性が劇的に向上すると一般的に考えられている。例えばさらにハイパーブランチポリマーにおいては同程度の分子量の直線状高分子と比較して溶液状態、あるいは溶融状態において呈する粘性が低くなる。このことにより重合体の加工性が大きく向上する。
(7)同様な理由によりパイパーブランチポリマーの相溶性も相当する直線状高分子と比較して一般的に向上する。これを利用して、ポリマーブレンド操作により望む物性の付与も容易である。例えばガラス転移点の調整、屈折率の調整、界面特性たとえば接着性や平面性の向上等の物性の調整が可能である。
(8)分子全体のサイズが非線形光学活性色素団と比較して大きいため、電場配向後の再配列が起こりにくくなる。結果として経時安定性が向上する。
(9)末端構造単位には、高分子の伸長反応に関与しない、種々の原子団の導入が可能である。これにより、得られる重合体に種々の機能の付与が可能である。具体的な機能としては、架橋性付与、相溶性向上、屈折率調整、ひび割れ防止、帯電防止などが例示でき、このことにより得られた素子の更なる機能向上が期待できる。
本発明の非線形光学用ハイパーブランチポリマーは、既存の、あるいは新規に合成された、非線形光学活性色素団を有し、かつ重合反応に活性な2もしくはそれ以上の官能基を有する化合物を用い、その官能基に適当な既知のハイパーブランチポリマーの合成反応や、直線状高分子の反応を適用することにより簡便かつ容易に合成することが可能である。
例えば、AとBが互いに反応し結合しうる原子団である場合に、分子内にAを1つBを2つ持つモノマー(AB2モノマー)からは、図3のような反応様式でハイパーブランチポリマーを得ることができる。
また、分子内にAを2つ持つモノマー(A2モノマー)とBを3つ持つモノマー(B3モノマー)からも、図4に示すように同様の反応様式でハイパーブランチポリマーを得ることができる。
一般的には、ABn(n≧3)モノマーの反応やA2モノマーとBn(n≧3)モノマーの反応によってもハイパーブランチポリマーが生成することが知られている。
ハイパーブランチポリマーの骨格としては、例えば文献「デンドリティック高分子」(柿本雅明、高分子、47巻、804ページ 、1998年)、『分岐ポリマーのナノテクノロジー』(石津浩二編著、アイピーシー、2000年)、M. Kakimoto and M. Jikei, 「Synthesis of にhyperbranched Aromatic Polymers from Self-polycondensation of ABn Type Monomers」(T. Kunitake, S. Nakahama, S. Takahashi and N Toshima Ed., Precision Polymers and Nano-Organized Systems, p147-150, Kodansha, 2000)や特許(特開2001−98071)に例示されているものを用いることができる。以下にいくつかの例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。また、以下に例示する構造はAB2モノマーより生成する物を示しているが、ABn(n≧3)モノマーの反応やA2モノマーとBn(n≧2)モノマーの反応によってこれらのポリマーを得ることができる。
ハイパーブランチポリマーと類似の分枝構造を有する重合体としては、図5に示すようなデンドリマーが知られている。これはハイパーブランチポリマーの各反応を1段階ずつ行い、反応が不十分な重合体および余分なモノマーを精製により除きながら合成されるものであり、分子鎖のパッキングが密で分子鎖の絡み合いが少ないため溶解性に優れるなど、ハイパーブランチポリマーと共通の性質を示す。加えて分子が真球状に近くかつ分子量分布が非常に狭い(理想的には分子量分布はない)ため、溶解時あるいは溶融時の粘度が相当するハイパーブランチポリマーより低くかつばらつきが小さい、分子内に径の制御された空孔を有し他の分子とコンプレックスを作ることができるなど一部にはハイパーブランチポリマーを凌ぐ性質も示す。これらの性質を利用してデンドリマーを非線形光学材料に応用する提案もハイパーブランチポリマーに先行してなされている。(例えば、横山ら「デンドリマーの非線形光学材料への応用」、高分子、47巻、828ページ(1988))。
一方、デンドリマーは反応と精製のサイクルの繰り返しで合成されるため、合成に多段階を要し生産性が非常に低い、モノマーの利用効率が低く経済性に問題が生ずる場合がある、ある程度以上反応が進んだ分子については、反応物と未反応物の化学的性質が酷似してくるため精製が困難であるなど実用的には問題が多い。そこで発明者らはより合成が容易で経済性に優れたハイパーブランチポリマーを利用することにより、デンドリマー系材料が有する問題点を克服するに至った。
本発明の有機機能性材料は、上記の非線形光学用ハイパーブランチポリマーを含有することを特徴とし、ハイパーブランチポリマー単独の単結晶、多結晶、アモルファス固体として利用してもよいが、一般に素子化するに当っての成膜性や機械的強度等の要請から超分枝構造重合体を高分子バインダーに分散または結合した複合材料として用いることが好ましい。
<バインダー高分子>
本発明に用いるバインダー高分子は、光学品質ならびに成膜性に優れるものであれば如何なるものでも構わないが、ガラス転移温度が100℃以上であるものが好ましい。特に好ましくは、ガラス転移温度が140℃以上であり、且つ機械的強度の高いのものであり、具体的にはポリイミド、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリ環状オレフィンが挙げられる。ハイパーブランチポリマーは、対応する直鎖状ポリマーに比して、同一分子量の場合、分子サイズがコンパクトでかつ分子鎖の絡み合いが少ないため、種々の媒体に対する溶解性、相溶性が高いことが一般に知られており、この性質を利用することにより通常バインダイー高分子として用いることが難しいとされる高分子も本発明の系に用いることが可能である。
さらには別途合成した、非線形光学特性を有しないハイパーブランチポリマーもバインダー高分子として好適に利用可能である。
<有機機能性材料>
上記のハイパーブランチポリマーはバインダー高分子中に微結晶を含む状態またはアモルファス分子状にて分散された状態にて有機機能性材料として供されるが、光に関する機能を活用する素子に応用するにあたってはアモルファス分子状態にて分散することが、透明性等の光学品質の点で好ましい。また、上記のハイパーブランチポリマーをバインダー高分子の側鎖または主鎖中に化学的に連結させてもよい。
本発明の有機機能性材料の形態は、如何なるものでも構わないが、非線形光学素子への応用に当っては薄膜の形態にて利用されることが一般的である。本発明の有機機能性材料を含有する薄膜の作製方法としては、射出成形法、プレス成形法、ソフトリソグラフ法、湿式塗布法等の公知の手法が利用可能であるが、製造装置の簡便性、量産性、膜品質(膜厚の均一性、気泡等の欠陥の少なさ等)、等の観点から、少なくとも上記の有機機能性材料を単独、あるいは必要に応じてバインダー高分子とともに、有機溶剤に溶解させた溶液をスピンコート法、ブレードコート法、浸漬塗布法、インクジェット法、スプレー法等の手法により適当な基板上に塗布することによって成膜する湿式塗布法が好ましい。
湿式塗布法において用いる有機溶剤は、用いる超分枝構造重合体とバインダー高分子とを溶解し得るものであれば如何なるものでも構わないが、その沸点が100〜200℃の範囲内にあるものが好ましい。沸点が100℃未満の有機溶剤を用いると、塗布溶液の保管時に溶剤揮発が起こり塗布溶液の粘度が変化(上昇)してしまう、塗布時に溶剤の揮発速度が早過ぎ結露が発生してしまう、等の問題が顕著となる傾向にある。一方、沸点が200℃を超える有機溶剤を用いると、塗布後の溶剤除去が困難になり残存した有機溶剤が高分子バインダーの可塑剤として働きガラス転移温度の低下を齎す、等の問題が発生する場合がある。好ましい有機溶剤の例としては、ジエチレングリコールジメチルエーテル、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘキサノール、トルエン、クロロベンゼン、キシレン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、等が挙げられる。尚、これらの有機溶剤は単独で用いても、複数を混合して用いてもよい。尚、これらの好ましい有機溶剤に沸点が100℃未満のテトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、メチルエチルケトン、イソプロパノール等の有機溶剤を添加した混合溶剤も利用可能である。
本発明の有機機能性材料において、超分枝構造重合体の含有量は、用いる超分枝構造重合体の種類、要求される機能性能や機械的強度、等によって異なるため一概には規定できないが、一般的に、有機非線形光学材料全重量に占める割合として、1〜90重量%の範囲内であることが好ましい。その理由は、1重量%未満では、十分な機能性能が得られない場合が多く、また90重量%を超えると、十分な機械的強度が得られない、等の問題が発生する傾向にあるためである。超分枝構造重合体の含有量のより好ましい範囲は10〜75重量%であり、さらに好ましくは25〜60重量%である。
本発明の有機機能性材料には、前記のハイパーブランチポリマーとバインダー高分子の他に、必要に応じ種々の添加物を加えることができる。例えば、ハイパーブランチポリマーおよび/またはバインダー高分子の酸化劣化を抑制する目的で2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、ヒドロキノン等の公知の酸化防止剤を、ハイパーブランチポリマーおよび/またはバインダー高分子の紫外線劣化を抑制する目的で2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン等の公知の紫外線吸収剤を、また、湿式塗布法を用いる場合には、その塗布液に、塗布膜の表面平滑性を改善する目的でシリコーンオイル等の公知のレベリング剤を、あるいは架橋硬化性官能基を有する超分枝構造重合体および/またはバインダー高分子を用いる場合には、その架橋硬化を促進させる目的で公知の硬化触媒や硬化助剤を添加してもよい。
高分子系有機非線形光学材料において二次の非線形光学活性を生起させるには、前述の様に非線形光学活性有機化合物を配向させる必要がある。該配向法としては、高分子系有機非線形光学材料を、表面に配向膜を有する基板上に塗布し、該基板配向膜の配向性により、高分子系有機非線形光学材料中の非線形光学活性有機化合物の配向を誘起する方法がある。また、光ポーリング法、光アシスト電界ポーリング法、電界ポーリング法等の公知のポーリング法も有効に利用できる。これらの中でも、電界ポーリング法は、装置の簡便性、得られる配向度合いの高さ、等の点で特に好ましい。
電界ポーリング法は、非線形光学材料を一対の電極で挟み電界を印加するコンタクトポーリング法と、基板電極上の非線形光学材料の表面にコロナ放電を施し、帯電電界を印加するコロナポーリング法に大別される。電界ポーリング法は、非線形光学活性化合物の双極子モーメントと印加電界とのクーロン力によって、非線形光学活性化合物を印加電界方向に配向させる配向法である。電界ポーリング法においては、一般的に、電界を印加した状態で、非線形光学材料のガラス転移温度付近の温度に加熱することによって非線形光学活性化合物の電界方向への配向移動を促進させ十分な配向が誘起された後、電界を印加した状態のまま室温まで冷却し該配向状態を凍結した上で、印加電界を除去する。しかしながら、この配向状態は基本的に熱力学的非平衡状態であるため、直線状の高分子中に非線形光学活性化合物を分散または結合させた系では、ガラス転移温度以下の温度であっても経時にて徐々にランダム化し、非線形光学性能が低下してしまうという根本的な問題を抱えている。本発明のハイパーブランチポリマーを用いた系においては、直線状の高分子と比較して、分子鎖が密に配列しており、非線形光学材料近傍の自由体積が小さいため、経時による配向状態のランダム化は顕著に低減される。
<有機機能性素子>
本発明の有機機能性素子は、本発明の有機機能性材料の持つ機能を活用することを特徴とし、その具体例としては、電荷輸送機能および/または電荷発生機能を活用する有機電子写真感光体; 電荷輸送機能および/またはエレクトロルミネッセンス機能を活用する電界発光素子; フォトルミネッセンス機能を活用するレーザー素子または光増幅素子; 高調波発生機能、電気光学機能、フォトリフラクティブ機能等の非線形光学機能を活用する非線形光学素子等が挙げられる。本発明の有機機能性材料は特に優れた非線形光学性能を有することから、本発明の有機機能性素子としては、非線形光学素子非線形光学機能を有する本発明の有機機能性材料を用いた有機非線形光学素子が特に好ましい。
有機非線形光学素子としては、非線形光学効果に基づいて動作するものであれば如何なるものでもよく、その具体例としては、例えば、高調波発生素子、波長変換素子、フォトリフラクティブ素子、電気光学素子、等が挙げられる。特に好ましくは、電気光学素効果に基づき動作する光スイッチ、光変調器、位相シフト器等の電気光学素子である。
電気光学素子は、非線形光学材料を基板上に導波路構造にて形成し、入力電気シグナル用の電極対で挟み込む構成とした素子として利用することが好ましい。
このような基板を構成する材料としては、アルミニウム、金、鉄、ニッケル、クロム、チタン等の金属; シリコン、ガリウム−ヒ素、インジウム−燐、酸化チタン、酸化亜鉛等の半導体; ガラス等のセラミックス; ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリスルフォン、ポリエーテルケトン、ポリイミド等のプラスチック; 等を用いることができる。
これらの基板材料の表面には、導電性膜が形成されていてもよく、該導電性膜の材料としては、アルミニウム、金、ニッケル、クロム、チタン等の金属; 酸化スズ、酸化インジウム、ITO(酸化スズ−酸化インジウム複合酸化物)等の導電性酸化物; ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリパラフェニレンビニレン、ポリアセチレン等の導電性高分子等が用いられる。これらの導電性膜は、蒸着、スパッタリング等の公知の乾式成膜法や、スプレー塗布法、浸漬塗布法、電解析出法等の公知の湿式成膜法を利用して形成され、必要に応じてパターンが形成されていてもよい。尚、導電性基板、あるいは、上記したように基板上に形成された導電性膜は、ポーリング時や素子としての動作時の電極(以下、「下部電極」と略す)として利用される。
基板上にはさらに、必要に応じて、その上に形成される膜と基板との接着性を向上させるための接着層、基板表面の凹凸を平滑化するためのレベリング層、あるいはこれらの機能を一括して提供する何らかの中間層が形成されていてもよい。このような膜を形成する材料としては、特に限定されないが、例えば、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、アミド樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、ビニルアルコール樹脂、アセタール樹脂等およびそれらの共重合物; ジルコニウムキレート化合物、チタンキレート化合物、シランカップリング剤等の架橋物およびそれらの共架橋物; 等の公知のものを用いることができる。
本発明の電気光学素子は、導波路構造を含むものとして形成することが好ましく、本発明の非線形光学材料を、導波路のコア層に含有させることが特に好ましい。
本発明の非線形光学材料を含有するコア層と基板との間にはクラッド層(以下、「下部クラッド層」と略す)が形成されていてもよい。この下部クラッド層としては、コア層よりも屈折率が低く、コア層形成の際に侵されないものであれば如何なるものでもよい。このようなものとして、アクリル系、エポキシ系、シリコーン系等のUV硬化性あるいは熱硬化性の樹脂; ポリイミド; SiO2等が好ましく使用される。
本発明の非線形光学材料によるコア層を形成した後、さらにその上部にクラッド層(以下、「上部クラッド層」と略す)を下部クラッド層と同様にして形成してもよい。これにより、基板/下部クラッド層/コア層/上部クラッド層、という構成のスラブ型導波路が形成される。
また、コア層を形成した後、反応性イオンエッチング(RIE)、フォトリソグラフィー、電子線リソグラフィー等の半導体プロセス技術を用いた公知の方法によりコア層をパターニングし、チャネル型導波路あるいはリッジ型導波路を形成することもできる。あるいは、コア層の一部にUV光、電子線等をパターン化して照射することにより、照射部分の屈折率を変化させてチャネル型またはリッジ型導波路を形成することもできる。
上部クラッド層の表面に入力電気シグナルを印加するための電極(以下、「上部電極」と略す)を、前記上部クラッド層の所望の領域に形成することで基本的な電気光学素子を形成することができる。
上記のようにしてチャネル型導波路やリッジ型導波路を形成する際、コア層のパターンとしては、直線型、Y分岐型、方向性結合器型、Mach−Zender型等の公知のデバイス構造を構成することができ、光スイッチ、光変調器、位相シフト器等の公知の光情報通信用デバイスへの適用が可能である。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はそれらによって制限されるものではない。
(実施例1)
窒素導入管、マグネティックスターラを備えた100mlのフラスコにディスパースレッド(Disperse Red 19) 4.96gを取り、ここにN,N-ジメチルアセトアミド15mlを加え攪拌して溶解させる。ここにトリエチルアミン2.4ml(約1.8g)を加え、均一になった後に系を0℃まで冷却する。ここにトリメシン酸クロリド2.65gを固体のまま加え、系をゆっくり攪拌しながら、0℃で3時間、室温で6時間反応させた。反応終了後、系をメタノール500mlに投入し、生成した赤色を帯びた黒色の固体をろ別し、メタノールおよび水でよく洗浄した後、乾燥した。収量5.9g(83%)。得られた高分子の数平均分子量は、N,N-ジメチルホルムアミドを溶媒とするGPC測定により1600であった。この超分枝構造重合体の計算上の分枝点間分子量は約400である。なお、この高分子は、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、クロロホルム、o-クロロフェノール、m-クレゾールなどに可溶であった。N,N-ジメチルアセトアミドを溶剤として測定した固有粘度値は0.07dl/g(30℃)であった。
(実施例2)
窒素導入管、マグネティックスターラを備えた100mlのフラスコにDisperse Red 19 3.96gを取り、ここにN,N-ジメチルアセトアミド12mlを加え攪拌して溶解させる。ここにトリエチルアミン1.6ml(約1.2g)を加え、均一になった後に系を0℃まで冷却する。ここにイソフタル酸クロリド1.22gを固体のまま加え、系をゆっくり攪拌しながら、0℃で3時間反応させた。ここにさらに、トリメシン酸クロリド0.53gを固体のまま加え、系をゆっくり攪拌しながら、0℃で3時間、室温で6時間反応させた。反応終了後、系をメタノール500mlに投入し、生成した赤色を帯びた黒色の固体をろ別し、メタノールおよび水でよく洗浄した後、乾燥した。収量4.4g(78%)。得られた高分子の数平均分子量は、N,N-ジメチルホルムアミドを溶媒とするGPC測定により2000であった。この超分枝構造重合体の計算上の分枝点間分子量は約850である。なお、この高分子は、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、クロロホルム、o-クロロフェノール、m-クレゾールなどに可溶であった。N,N-ジメチルアセトアミドを溶剤として測定した固有粘度値は0.09dl/g(30℃)であった。
(比較例1)
窒素導入管、マグネティックスターラを備えた100mlのフラスコにDisperse Red 19 3.3gを取り、ここにN,N-ジメチルアセトアミド10mlを加え攪拌して溶解させる。ここにトリエチルアミン1.6ml(約1.2g)を加え、均一になった後に系を0℃まで冷却する。ここにイソフタル酸クロリド2.03gを固体のまま加え、系をゆっくり攪拌しながら、0℃で3時間、室温で6時間反応させた。反応終了後、系をメタノール500mlに投入し、生成した赤色を帯びた黒色の固体をろ別し、メタノールおよび水でよく洗浄した後、乾燥した。収量3.8g(83%)。得られた高分子の数平均分子量は、N,N-ジメチルホルムアミドを溶媒とするGPC測定により3400であった。この高分子の計算上の分枝点間分子量は無限大であるが、実測された分子量から、直線構造単位の長さは3000程度であると考えられる。なお、この高分子は、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、クロロホルム、o-クロロフェノール、m-クレゾールなどに可溶であった。N,N-ジメチルアセトアミドを溶剤として測定した固有粘度値は0.13dl/g(30℃)であった。
(比較例2)
窒素導入管、マグネティックスターラを備えた100mlのフラスコにDisperse Red 19 1.98gおよびDisperse Red 1 1.89gを取り、ここにN,N-ジメチルアセトアミド12mlを加え攪拌して溶解させる。ここにトリエチルアミン1.3ml(約0.9g)を加え、均一になった後に系を0℃まで冷却する。ここにイソフタル酸クロリド0.61gを固体のまま加え、系をゆっくり攪拌しながら、0℃で3時間反応させた。ここにさらに、トリメシン酸クロリド0.265gを固体のまま加え、系をゆっくり攪拌しながら、0℃で3時間、室温で6時間反応させた。反応終了後、系を水500mlに投入し、生成した赤色を帯びた黒色の固体をろ別し、乾燥した。収量1.8g(48%)。得られた高分子の数平均分子量は、N,N-ジメチルホルムアミドを溶媒とするGPC測定により600であった。この高分子は、中心点から分子量約900、2個の非線形光学活性色素団を有する枝を3本有する星状の高分子であり、超分枝構造重合体の分率は低いものとの推定される。なお、この高分子は、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、クロロホルム、o-クロロフェノール、m-クレゾールなどに可溶であった。N,N-ジメチルアセトアミドを溶剤として測定した固有粘度値は0.02dl/g(30℃)であった。
(実施例4)
表面に金製の平行電極対(電極間距離=20μm)が備えられたガラス基板上に、前記実施例1で得られた超分枝構造重合体5重量部と、比較例1で得られた直鎖状高分子5重両部とを、テトラヒドロフラン(沸点66℃)90重量部に溶解させた溶液をスピンコート法により塗布し、室温にて3時間、100℃にて3時間、乾燥させ膜厚0.1μmの薄膜を得た。
次に、前記電極間に50V/μmの電界を印加した状態で、前記薄膜を170℃に15min保持し、その状態から電界を印加したまま室温まで冷却した後、電界を除去した。
このようにして得られた本発明の電界ポーリングを施した有機非線形光学材料からなる薄膜に、1550nmの発振波長を持つ半導体レーザー光を照射したところ、775nmの二次高調波の発生が観測でき、非線形光学材料として有効に機能することが確認できた。さらに、本非線形光学材料を65℃の高温環境に10日間保持した後に、再度、レーザー光を照射したところ、初期と同等の強度の約80%の強度を有する二次高調波の発生が確認でき、本非線形光学材料が高い耐熱性ならびに経時安定性を有することが確認できた。
尚、本薄膜を光学偏光顕微鏡にて観察したところ、非常にクリアであり非線形光学活性色素団偏析は認められなかった。
(実施例5)
表面に金製の平行電極対(電極間距離=20μm)が備えられたガラス基板上に、前記実施例2で得られた超分枝構造重合体5重量部と、比較例1で得られた直鎖状高分子5重両部とを、テトラヒドロフラン(沸点66℃)90重量部に溶解させた溶液をスピンコート法により塗布し、室温にて3時間、100℃にて3時間、乾燥させ膜厚0.1μmの薄膜を得た。
次に、前記電極間に50V/μmの電界を印加した状態で、前記薄膜を170℃に15min保持し、その状態から電界を印加したまま室温まで冷却した後、電界を除去した。
このようにして得られた本発明の電界ポーリングを施した有機非線形光学材料からなる薄膜に、1550nmの発振波長を持つ半導体レーザー光を照射したところ、775nmの二次高調波の発生が観測でき、非線形光学材料として有効に機能することが確認できた。さらに、本非線形光学材料を65℃の高温環境に10日間保持した後に、再度、レーザー光を照射したところ、初期強度の約70%の強度を有する二次高調波の発生が確認でき、本非線形光学材料が高い耐熱性ならびに経時安定性を有することが確認できた。
尚、本薄膜を光学偏光顕微鏡にて観察したところ、非常にクリアであり非線形光学活性色素団偏析は認められなかった。
(比較例3)
表面に金製の平行電極対(電極間距離=20μm)が備えられたガラス基板上に、比較例1で得られた直鎖状高分子10重両部を、テトラヒドロフラン(沸点66℃)90重量部に溶解させた溶液をスピンコート法により塗布し、室温にて3時間、100℃にて3時間、乾燥させ膜厚0.1μmの薄膜を得た。
次に、前記電極間に50V/μmの電界を印加した状態で、前記薄膜を170℃に15min保持し、その状態から電界を印加したまま室温まで冷却した後、電界を除去した。
このようにして得られた本発明の電界ポーリングを施した有機非線形光学材料からなる薄膜に、1550nmの発振波長を持つ半導体レーザー光を照射したところ、775nmの二次高調波の発生が観測でき、非線形光学材料として機能することが確認できた。さらに、本非線形光学材料を65℃の高温環境に10日間保持した後に、再度、レーザー光を照射したところ、初期と同等の強度の約50%の強度を有する二次高調波の発生が確認できた。
尚、本薄膜を光学偏光顕微鏡にて観察したところ、非常にクリアであり非線形光学活性色素団偏析は認められなかった。
(比較例4)
表面に金製の平行電極対(電極間距離=20μm)が備えられたガラス基板上に、比較例1で得られた直鎖状高分子5重両部と、比較例2で得られた星状オリゴマー5重両部を、テトラヒドロフラン(沸点66℃)90重量部に溶解させた溶液をスピンコート法により塗布し、室温にて3時間、100℃にて3時間、乾燥させ膜厚0.1μmの薄膜を得た。
次に、前記電極間に50V/μmの電界を印加した状態で、前記薄膜を170℃に15min保持し、その状態から電界を印加したまま室温まで冷却した後、電界を除去した。
このようにして得られた本発明の電界ポーリングを施した有機非線形光学材料からなる薄膜に、1550nmの発振波長を持つ半導体レーザー光を照射したところ、775nmの二次高調波の発生が観測でき、非線形光学材料として機能することが確認できた。さらに、本非線形光学材料を65℃の高温環境に10日間保持した後に、再度、レーザー光を照射したところ、初期と同等の強度の約20%の強度を有する二次高調波の発生が確認できた。
尚、本薄膜を光学偏光顕微鏡にて観察したところ、非常に微細かつ少量であるが、輝点が観察された。
上記の通り、本発明の有機機能性材料は、非線形光学機能等の機能性能、アモルファス性、耐熱性、耐昇華性等に優れた特定の構造の超分枝構造重合体を高分子バインダーに分散または結合させてなることを特徴とし、高い濃度でも超分枝構造重合体が凝集せずに均一な分散状態を取るため高い光学品質と優れた機能性能を兼ね備え、また非線形光学材料においては配向状態の耐熱性ならびに経時安定性が高く、長期に亘って優れた性能を保持できる、等の好ましい効果を奏する。このため、本発明の有機機能性材料を用いることによって、諸特性ならびに安定性に優れた有機機能性素子を具現化することができる。
ハイパーブランチポリマーの分子構造の概念図である。 ハイパーブランチポリマーの分子を構成する各構造単位を概念的に示したものである。 AB2モノマーからのハイパーブランチポリマーの生成を模式的に示した図である。 A2モノマーとB3モノマーからのハイパーブランチポリマーの生成を模式的に示した図である。 デンドリマーの分子構造の概念図である。

Claims (11)

  1. ハイパーブランチポリマーの分枝構造単位(ブランチングユニット)、直線構造単位(リニアユニット)及び末端単位(ターミナルユニット)のいずれか1つないしは複数に、規則的または不規則的に、2次非線形光学活性色素原子団を結合させてなる非線形光学用ハイパーブランチポリマー。
  2. 2次非線形光学活性色素原子団が下記一般式(1)で表される化合物を含有することを特徴とする請求項1記載の非線形光学用ハイパーブランチポリマー。
    (式中Dは電子供与性を示す原子団を表し、Lはπ電子共役系を示し、Aは電子吸引性を示す原子団を表す。Y1及びY2は互いに独立に置換または未置換の脂肪族基もしくは芳香族基であり、Zは置換または未置換の芳香族基であり; Lは、単結合、又は環構造に含まれるか、直結するか、又は隣接する、置換基を有してもよいπ共役基を示す。尚、Y1、Y2、Z及びLはいずれかが連結して環構造を形成してもよい。)
  3. 請求項1又は2記載のハイパーブランチポリマーを、単独、相互に混合又は相互に化学結合させたものよりなることを特徴とする有機機能性材料。
  4. 請求項1又は2記載のハイパーブランチポリマーを、単独、相互に混合又は相互に化学結合させたものに、更に他の2次非線形光学活性色素原子団を含まないハイパーブランチポリマーを混合、または化学結合させて成ることを特徴とする有機機能性材料。
  5. 高分子バインダー中に、請求項3又は4記載の有機機能性材料が含まれることを特徴とする有機機能性材料。
  6. 高分子バインダーが、熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項5記載の有機機能性材料。
  7. 前記高分子バインダーが、ポリイミド、ポリアミド、ポリ(アミドイミド)、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリサルフォン、ポリエーテルスルフィド、ポリエーテルケトン及びポリ環状オレフィンから選ばれる1種又は2種以上である請求項6記載の有機機能性材料。
  8. 前記高分子バインダーが、熱硬化性樹脂であることを特徴とする請求項5記載の有機機能性材料。
  9. 請求項3〜8のいずれか1項記載の有機機能性材料を用いたことを特徴とする有機機能性素子。
  10. 有機機能性素子が、非線形光学機能によって動作することを特徴とする請求項9記載の有機機能性素子。
  11. 非線形光学機能が、一次の電気光学効果であることを特徴とする請求項10記載の有機機能性素子。
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