JP2006018157A - 有機機能性材料及びそれを用いた有機機能性素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】 諸要求特性を満足する特定のバインダー樹脂を用いることにより、優れた機能性能及びその優れた安定性等を兼ね備えた有機機能性材料、並びにそれを用いた有機機能性素子を提供することである。
【解決手段】 バインダー樹脂中に少なくとも有機機能性化合物を含有させてなる有機機能性材料であって、前記バインダー樹脂がフッ素含有芳香族ポリエーテル樹脂であり、かつ前記有機機能性化合物が電荷輸送機能及び/または非線形光学機能を有することを特徴とする有機機能性材料である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、コピー機、プリンター、電子ペーパー等に利用できる有機電子写真感光体;電子表示板、ディスプレー、照明等に利用できる有機電界発光素子;光情報通信、光情報処理等において有用な光変調器、光スイッチ、光集積回路、光コンピューター、光メモリー、波長変換素子、フォログラム素子等に利用できる有機非線形光学素子;等の光及び/または電気に関するアクティブな機能を発揮する有機機能性素子に関する。さらに、本発明は、上記有機機能性素子を作製するために必要とされる有機機能性材料に関する。
光及び/または電気に関するアクティブな機能を発揮する機能性素子は様々であるが、光情報通信、光情報処理、イメージング等の分野において重要な波長変換素子、光変調器、光スイッチ等の機能性素子の多くは非線形光学材料、特に2次非線形光学材料を用いることによって具現化される。2次非線形光学材料としてはこれまでにニオブ酸リチウム、燐酸二水素カリウム等の無機非線形光学材料が既に実用化され、広く用いられているが、近年、これらの無機材料に対し、高い非線形光学性能、安価な材料ならびに製造コスト、高い量産性等の優位性を有する有機非線形光学材料(有機機能性材料)が注目され、実用化に向けての活発な研究開発が行われている。
2次非線形光学効果は、原理的に系に対称中心が存在しないことが必須要件であり、非線形光学活性を有する有機化合物を対称中心の存在しない結晶構造に結晶化させた系(以下、「結晶系」と称する)と、非線形光学活性を有する有機化合物をバインダー樹脂に含有または結合させ、該非線形光学活性を有する有機化合物を何らかの手段によって配向させた系(以下、「樹脂分散系」と称する)とに大別される。
前記結晶系の有機非線形光学材料は、非常に高い非線形光学活性を発揮し得ることが知られているが、結晶構造の人為的な制御は現状では不可能に近く対称中心の存在しない結晶構造が得られことは稀である。したがって、たとえ得られたとしても素子化に必要な大きな有機結晶を作製することは困難であり、また有機結晶の強度は非常に脆く素子化工程で破損してしまう等の問題がある。これに対し、前記高分子系の有機非線形光学材料は、バインダー樹脂により、素子化するに当って有用な成膜性、機械的強度、等の好ましい特性が付与され、実用化に向けてのポテンシャルが高く有望視されている。
前記樹脂分散系の有機非線形光学材料では、バインダー樹脂中に非線形光学活性を有する有機化合物が凝集せずに均一に分散され、光学的に均質透明となることが要求される。さらに、前記の通り2次の非線形光学効果を発現するには、非線形光学活性を有する有機化合物を何らかの手段によって配向させ異方性を付与しなければならず、また、有機機能性素子に利用するに当っては、その配向状態が素子の置かれる温湿度環境にあって長期間に亘って安定に保持されなければならない。
したがって、樹脂分散系の有機非線形光学材料に用いる非線形光学活性を有する有機化合物としては、高い非線形光学性能に加えて、凝集性が低く、バインダー樹脂との相溶性に優れることが要求される。また、樹脂分散系の有機非線形光学材料は一般に薄膜の形態にて素子化され、該薄膜の形成法としては湿式塗布法が好適に用いられる。このため、樹脂分散系の有機非線形光学材料に用いる非線形光学活性を有する有機化合物としては、塗布溶剤への高い溶解性が要求される。一方、バインダー樹脂としては、高い成膜性、機械的強度等に加え、内包する非線形光学活性を有する有機化合物の配向状態を安定に保持するための高いガラス転移温度が要求される。
また、樹脂分散系の有機非線形光学材料において、2次の非線形光学活性を生起させるには、上述のように非線形光学活性を有する有機化合物を配向させる必要があるが、このための配向法としては、一般に電界ポーリング法が用いられる。該電界ポーリング法は、非線形光学材料に電界を印加し、非線形光学活性化合物の双極子モーメントと印加電界とのクーロン力によって、非線形光学活性化合物を印加電界方向に配向させる配向法であり、一般に、電界印加に加え、有機非線形光学材料のガラス転移温度付近の温度にまで加熱することによって、非線形光学活性化合物の分子運動を促進させ配向を支援する方法である。
前記非線形光学活性を有する有機化合物としては、π共役鎖の一方の端に電子供与性基、他方の端に電子吸引性基を有する、所謂プッシュ−プル型のπ共役系化合物が有効であることが知られている。例えば、π共役鎖としてのアゾベンゼン構造の4位に電子供与性基としてのN−エチル−N−(2−ヒドロキシエチル)アミノ基、4’位に電子吸引性基としてのニトロ基を有するDisperse Red 1(一般にDR1と略称される)が、代表的な非線形光学活性を有する有機化合物としてよく知られている。しかしながら、DR1は通常のバインダー樹脂との相溶性が低いだけでなく、昇華し易いため乾燥時や電界ポーリング時の加熱に伴い昇華消失してしまったり、ジアルキルアミノ基が酸化され易いため熱や紫外線で変質してしまったり、本質的に非線形光学性能が低い、等の問題がある。
これらの問題を解決するために、これまでに種々の非線形光学活性を有する有機化合物が開発されてきたが、未だに全ての課題を解消し得るものは見出されていない。特に、高い非線形光学性能と高いバインダー樹脂相溶性との両立が困難である。すなわち、前記プッシュ−プル型のπ共役系化合物においては、一般に、π共役鎖を長くする、電子吸引性基の電子吸引能を強くする、電子供与性基の電子供与能を強くする、ことによって非線形光学性能が向上することが知られているが、これらは同時に、凝集性の増加を齎しバインダー樹脂との相溶性の低下を伴う。
例えば、下記の構造の化合物において、非常に高い非線形光学性能を有するものの、凝集性も高く結晶析出を抑えてバインダー樹脂中に分子分散させた膜を得ることが非常に困難であることが開示されている(例えば、非特許文献1参照)。また、下記構造の化合物を用いた場合の塗布溶剤としては、沸点の低いハロゲン系溶剤を用いなければ光学品質の高い膜が得られないことも開示されているが、ハロゲン系溶剤は大気環境への悪影響が大きく、実用化に当っては好ましくない。
Figure 2006018157
一方、前記バインダー樹脂としては、ポリメチルメタクリレート(一般にPMMAと略称される)が最もよく検討されてきたが、PMMAのガラス転移温度は100℃程度と低く、PMMAをバインダー樹脂として用いた分散系の有機非線形光学材料の配向状態は室温でも徐々に緩和し、非線形光学性能が経時で著しく低下してしまうため、機能性素子としての実用化には耐えないことが知られている(例えば、非特許文献2参照)。
この問題を解決するために、PMMAに代わるバインダー樹脂の探索が活発に行われ、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリスルフォン等のPMMAよりもガラス転移温度の高い高分子の有効性が報告されているが(例えば、特許文献1参照)、これらの高いガラス転移温度を有するバインダー樹脂を用いると、電界ポーリング時に必要となる加熱温度も上げなければならなくなり、前記DR1等の非線形光学活性を有する有機化合物が電界ポーリング時に昇華により消失してしまったり、酸化変性されてしまったりするという問題があった。
また、前記の高いガラス転移温度を有するバインダー樹脂とDR1等の非線形光学活性有機化合物との相溶性は必ずしもよくなく、非線形光学性能を高めるために非線形光学活性有機化合物を高濃度で添加すると、それらが凝集化あるいは結晶化してしまったり、また低濃度であっても加熱や経時により凝集化あるいは結晶化が起こってしまったりする問題もあった。
さらにまた、前記の高いガラス転移温度を有するバインダー樹脂は、樹脂を構成する高分子自体の凝集性が高く、完全なアモルファス状態ではなく、凝集部での光散乱が起り、伝播損失が低下してしまうという問題もあった。
以上述べたような樹脂分散系の有機非線形光学材料における、高い機能(非線形光学材料においては非線形光学機能)の発現、及び高いバインダー樹脂相溶性の確保との両立という技術課題は、有機機能性化合物をバインダー樹脂に含有させてなる有機機能性材料に共通する課題である。
Chemstry of Materials、2001年、13巻、3043〜3050頁 Chemical Reviews、1994年、94巻、1号、31〜75頁 特開平6−202177号公報
本発明は、以上のような従来技術の問題を解決することを目的とする。
すなわち、本発明は、前記の諸要求特性を満足する特定のバインダー樹脂を用いることにより、優れた機能性能及びその優れた安定性等を兼ね備えた有機機能性材料、並びにそれを用いた有機機能性素子を提供することを目的とする。
本発明者等は、前記の課題を解決すべく、バインダー樹脂ならびに各種有機機能性化合物に関して鋭意検討を行った結果、特定のバインダー樹脂を活用することにより、前記の課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、
<1> バインダー樹脂中に少なくとも有機機能性化合物を含有させてなる有機機能性材料であって、前記バインダー樹脂がフッ素含有芳香族ポリエーテル樹脂であり、かつ前記有機機能性化合物が電荷輸送機能及び/または非線形光学機能を有することを特徴とする有機機能性材料である。
<2> 前記フッ素含有芳香族ポリエーテル樹脂が、下記一般式(1)〜(3)で示される繰返し単位のうちの少なくとも1種を含む重合体であることを特徴とする<1>に記載の有機機能性材料である。
Figure 2006018157
上記式中、X1は任意の有機基であり、X2及びX3は互いに独立に置換または無置換の芳香族基である。
Figure 2006018157
上記式中、Y1は置換基及び/またはヘテロ原子を有してもよい有機基であり、Y2は置換または未置換の芳香族基である。
Figure 2006018157
上記式中、Z1は置換基及び/またはヘテロ原子を有してもよい有機基であり、Z2は置換または未置換の芳香族基である。
<3> 前記フッ素含有芳香族ポリエーテル樹脂が、主鎖中に置換または未置換のフルオレニリデン構造を含むことを特徴とする<1>または<2>に記載の有機機能性材料である。
<4> 前記有機機能性化合物が、トリアリールアミン誘導体であることを特徴とする<1>〜<3>のいずれかに記載の有機機能性材料である。
<5> <1>〜<4>のいずれかに記載の有機機能性材料の機能に基き動作することを特徴とする有機機能性素子である。
本発明の有機機能性材料は、非線形光学機能、電荷輸送機能等の機能性能を有する有機機能性化合物を、アモルファス性、化学的安定性、溶解性等に優れ、かつ高いガラス転移温度を有する特定の構造のバインダー樹脂に分散または結合させてなることを特徴とし、材料中に高い濃度で有機機能性化合物を存在させても、これらが凝集せずに均一な分散状態をとるため、高い光学品質と優れた機能性能とを兼ね備える。また、特に有機非線形光学材料として用いた場合には、配向状態の耐熱性ならびに経時安定性が高く、長期に亘って優れた性能を保持できる等の好ましい効果を奏する。このため、本発明の有機機能性材料を用いることによって、諸特性ならびに安定性に優れた有機機能性素子を具現化することができる。
以下に、本発明を実施の形態に沿って詳しく説明する。
<有機機能性材料>
本発明の有機機能性材料は、バインダー樹脂中に少なくとも有機機能性化合物を含有させてなる有機機能性材料であって、前記バインダー樹脂がフッ素含有芳香族ポリエーテル樹脂であり、かつ前記有機機能性化合物が電荷輸送機能及び/または非線形光学機能を有することを特徴とする。
本発明におけるフッ素含有芳香族ポリエーテル樹脂とは、フッ素置換芳香族基を主鎖に含み、かつ連結基として少なくとも芳香族エーテル結合を含む重合体をいう。この重合体においては、フッ素置換芳香族基及び/または芳香族エーテル結合に起因して、高いアモルファス性、高い透明性、高い溶解性、高いガラス転移温度等の好ましい特性が発現される。
さらに、本発明者等の詳細な検討により、上記フッ素含有芳香族ポリエーテル樹脂は、一般に芳香族化合物である有機機能性化合物と高い相溶性を有し、高濃度まで有機機能性化合物を均一に分散することができ、諸特性とその安定性に優れた有機機能性材料を与え得ることが明らかとなった。
すなわち、本発明の目的とする優れた電荷輸送機能及び/または非線形光学機能を発現する有機機能性材料を得るためには、高い電荷輸送能や高い非線形光学機能を有する有機機能性化合物をそれらの機能を低下させることがないよう、バインダー樹脂中に高濃度で均一に分散させることが必要であり、さらに、非線形光学材料においては、これらの化合物の分散膜にポーリング処理を行った場合に、前記化合物の配向状態が変化することなく安定していることが必要とされる。
本発明の有機機能材料では、詳細な理由は明らかではないが、フッ素含有芳香族ポリエーテル樹脂を用いた場合に、特に非線形光学機能等を有する比較的嵩高い化合物に対しても高い相溶性を維持でき、例えば高温のポーリング処理に対応できると共に、その分散状態や配向状態等についても高い安定性が得られることが見出された。
本発明におけるフッ素含有芳香族ポリエーテル樹脂の中でも、特に下記一般式(1)〜(3)で示されるいずれかの繰返し単位を含む重合体が好ましい。以下、これらの各々について説明する。
Figure 2006018157
上記式中、X1は任意の有機基であり、X2及びX3は互いに独立に置換または無置換の芳香族基である。X1としては、電子吸引性基が好ましく、その具体例としては、シアノ基、ニトロ基、パーフルオロアルキル基、任意の置換基を有するカルボニル基、任意の置換基を有するスルホニル基、ハロゲン原子等が挙げられる。
2は芳香族基であれば如何なるものでも構わないが、置換または無置換のフェニル基が好ましい。X3は芳香族基であれば如何なるものでも構わないが、重合体合成の原料となるHO−X3−OHとしてビスフェノール誘導体を用いることが好ましい。特に好ましいビスフェノール誘導体としては、メチレンビスフェノール、ジメチルメチレンビスフェノール、ビス(トリフルオロメチル)メチレンビスフェノール、シクロヘキシレデンビスフェノール、フルオレニリデンビスフェノール、カルボニルビスフェノール、オキシビスフェノール等が挙げられる。
本発明におけるフッ素含有芳香族ポリエーテル樹脂としては、アモルファス性を高め、Tgを高くする観点から、主鎖中に置換または未置換のフルオレニリデン構造を含むことが好ましく、HO−X3−OHとしては、特に前記フルオレニリデンビスフェノールを用いることが好ましい。
なお、上記については、下記一般式(2)、(3)で示される繰り返し単位を含む重合体についても同様である。
Figure 2006018157
上記式中、Y1は置換基及び/またはヘテロ原子を有してもよい有機基であり、Y2は置換または未置換の芳香族基である。Y1としては、フッ素置換芳香族基側にカルボニル基で結合しているものが、出発原料の入手性等の点で好ましく、その具体例としては、−CO−、−COO−、−CONH−、−COS−、−COOCO−等が挙げられる。
2は芳香族基であれば如何なるものでも構わないが、置換または無置換のビスフェニル基が好ましく、オキシビスフェニル基、メチレンビスフェニル基、ジメチルメチレンビスフェニル基、ビス(トリフルオロメチル)メチレンビスフェニル基、シクロヘキシレデンビスフェニル基、フルオレニリデンビスフェニル基等が特に好ましい。
Figure 2006018157
上記式中、Z1は置換基及び/またはヘテロ原子を有してもよい有機基であり、Z2は置換または未置換の芳香族基である。Z1としては、両側のフッ素置換芳香族基にカルボニル基で結合しているものが、出発原料の入手性等の点で好ましく、その具体例としては、−CO−φ−O−CO−、−COO−、−CONH−φ−NHCO−、−COO−CH2CH(SH)−φ−CH2−φ−CH(SH)CH2−OCO−等(これらにおいて、φはフェニレン基を表す)が挙げられる。
2は芳香族基であれば如何なるものでも構わないが、重合体合成の原料となるHO−Z2−OHとしてビスフェノール誘導体を用いることが好ましい。特に好ましいビスフェノール誘導体としては、メチレンビスフェノール、ジメチルメチレンビスフェノール、ビス(トリフルオロメチル)メチレンビスフェノール、シクロヘキシレデンビスフェノール、フルオレニリデンビスフェノール、カルボニルビスフェノール、オキシビスフェノール等が挙げられる。
前記一般式(1)〜(3)で示されるいずれかの繰返し単位を含むこと高分子化合物の具体例としては、「高分子加工、2001年、50巻、7号、26〜33頁」、「特開2001−343541号公報」に記載されている一群の高分子化合物が挙げられる。それらの高分子化合物は、農薬や化粧品等の中間体として工業的に利用されているフッ素置換芳香族化合物を出発原料として用い、比較的容易に合成することができる。
本発明におけるフッ素含有芳香族ポリエーテル樹脂においては、前記一般式(1)〜(3)で示される繰り返し単位のうちの少なくとも1種が含まれていればよく、2種以上が含まれていてもよい。
また、前記一般式(1)〜(3)で示される繰り返し単位は、重合体を構成する総単量体量に対して10〜100モル%の範囲で含まれることが好ましく、50〜100モル%の範囲で含まれることがより好ましい。
本発明に用いるフッ素含有芳香族ポリエーテル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、150℃以上であることが好ましく、より好ましくは180℃以上であり、さらに好ましくは210℃以上である。
また、上記方法により合成されるフッ素含有芳香族ポリエーテル樹脂の重量平均分子量は、3000〜100万の範囲が好ましく、1万〜10万の範囲がより好ましい。
なお、本発明におけるバインダー樹脂としては、単独構造の前記フッ素含有芳香族ポリエーテル樹脂を用いてもよいし、異なる構造の前記フッ素含有芳香族ポリエーテル樹脂を混合して用いてもよい。また、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等の前記フッ素含有芳香族ポリエーテル樹脂以外の樹脂を混合して用いてもよい。
本発明に用いる有機機能性化合物は、電荷輸送機能及び/または非線形光学機能を有するものであれば如何なるものでもよいが、トリアリールアミン構造を有するもの(トリアリールアミン誘導体)が、化学的安定性、溶解性、フッ素含有芳香族ポリエーテル樹脂との相溶性等において特に優れており好ましい。
前記電荷輸送機能を有する有機機能性化合物としては、有機電子写真感光体や有機電界発光素子等の分野において用いられている任意の公知の化合物を利用できるが、その中でトリアリールアミン構造を有するものの例としては、下記に示す化合物等が挙げられる。なお、これらにおいて「Me」はメチル基を表す。
Figure 2006018157
前記非線形光学機能を有する有機機能性化合物としては、「Chemstry of Materials、2001年、13巻、3043〜3050頁」、「Ind.Eng.Chem.Res.、1999年、38巻、8〜33頁」、「特願2004−33803号明細書」、「特願2004−33945号明細書」、「特願2004−33948号明細書」等に記載の任意の公知の化合物を利用できるが、その中でも特に、「特願2004−33803号明細書」、「特願2004−33945号明細書」、「特願2004−33948号明細書」等に記載のトリアリールアミン構造を有するものを用いることによって、非線形光学性能、バインダー樹脂との相溶性、化学的安定性、
なお、本発明に用いられる非線形光学活性を有する有機機能性化合物の昇華温度は、120℃以上であることが好ましく、170℃以上であることがより好ましい。昇華温度が充分に高い非線形光学活性を有する有機機能性化合物を用いることにより、後述するポーリング処理において、非線形光学活性を有する有機化合物の昇華による消失を防ぐことができる。
本発明の有機機能性材料の必須構成要素である前記のフッ素含有芳香族ポリエーテル樹脂と有機機能性化合物とは、前述のように、有機機能性材料が薄膜の形態にて使用される場合には、その作製方法として湿式塗布法が好ましいことから、本発明における有機機能性化合物は塗布溶剤に対する溶解性に優れることが必要とされる。該溶解性としては、例えば、トルエン、テトラヒドロフラン、シクロペンタノン、クロロホルム、N,N−ジメチルアセトアミド等の溶剤に対し、室温で1質量%以上で溶解することが好ましく、5質量%で以上溶解することがより好ましい。
本発明の有機機能性材料の必須構成要素である前記のフッ素含有芳香族ポリエーテル樹脂と有機機能性化合物との構成比は、目的とする機能や用途、あるいは用いる有機機能性化合物の性能等に依存するため一概には規定できないが、概ね重量比で、10/90〜90/10(フッ素含有芳香族ポリエーテル樹脂/有機機能性化合物)の範囲が好ましく、30/70〜65/35の範囲がより好ましい。
本発明の有機機能性材料の形態は、如何なるものでも構わないが、非線形光学素子や電子写真感光体への応用に当っては薄膜の形態にて利用されることが一般的である。本発明の有機機能性材料を含有する薄膜の作製方法としては、射出成形法、プレス成形法、ソフトリソグラフ法、湿式塗布法等の公知の手法が利用可能であるが、製造装置の簡便性、量産性、膜品質(膜厚の均一性、気泡等の欠陥の少なさ等)等の観点から、少なくとも前記のフッ素含有芳香族ポリエーテル樹脂と有機機能性化合物とを有機溶剤に溶解させた溶液をスピンコート法、ブレードコート法、浸漬塗布法、インクジェット法、スプレー法等の手法により適当な基板上に塗布することによって成膜する湿式塗布法が好ましい。
上記湿式塗布法において用いる有機溶剤は、用いるフッ素含有芳香族ポリエーテル樹脂と有機機能性化合物とを溶解し得るものであれば如何なるものでも構わないが、その沸点が100〜200℃の範囲にあるものが好ましい。沸点が100℃未満の有機溶剤を用いると、塗布溶液の保管時に溶剤揮発が起こり塗布溶液の粘度が変化(上昇)してしまったり、塗布時に溶剤の揮発速度が早過ぎ結露が発生してしまったりする等の問題が顕著となる傾向にある。一方、沸点が200℃を超える有機溶剤を用いると、塗布後の溶剤除去が困難になり残存した有機溶剤がバインダー樹脂の可塑剤として働き塗膜のガラス転移温度の低下を齎す等の問題が発生する場合がある。
好ましい有機溶剤の例としては、ジエチレングリコールジメチルエーテル、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘキサノール、トルエン、クロロベンゼン、キシレン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。なお、これらの有機溶剤は単独で用いても、複数を混合して用いてもよい。また、これらの好ましい有機溶剤に沸点が100℃未満のテトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、メチルエチルケトン、イソプロパノール、クロロホルム等の有機溶剤を添加した混合溶剤も利用可能である。
本発明の有機機能性材料には、前記のフッ素含有芳香族ポリエーテル樹脂と有機機能性化合物の他に、必要に応じ種々の添加物を加えることができる。例えば、有機機能性化合物及び/またはフッ素含有芳香族ポリエーテル樹脂の酸化劣化を抑制する目的で2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、ヒドロキノン等の公知の酸化防止剤を、有機機能性化合物及び/またはフッ素含有芳香族ポリエーテル樹脂の紫外線劣化を抑制する目的で2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等の公知の紫外線吸収剤を用いることができる。
また、湿式塗布法を用いる場合には、その塗布液に、塗布膜の表面平滑性を改善する目的でシリコーンオイル等の公知のレベリング剤を、あるいは架橋硬化性官能基を有する有機機能性化合物及び/またはフッ素含有芳香族ポリエーテル樹脂を用いる場合には、その架橋硬化を促進させる目的で公知の硬化触媒や硬化助剤を添加してもよい。
本発明の有機機能性材料は、以上のようにして作製した塗布液等を、例えば前述のスピンコート法などによって薄膜として形成することによって作製される。前記のように、本発明においてはバインダー樹脂としてガラス転移温度が比較的高いフッ素含有芳香族ポリエーテル樹脂を用いるが、作製された有機機能性化合物を含む有機機能性材料としても、耐熱性等の観点からガラス転移温度が高いことが望ましい。
よって、上記有機機能性材料のガラス転移温度としては、130〜210℃の範囲とすることが好ましく、160〜200℃の範囲とすることがより好ましい。
本発明における有機機能性化合物を、非線形光学機能を有する有機化合物として用いた樹脂分散系の有機非線形光学材料において、2次の非線形光学活性を生起させるには、前述のように非線形光学機能を有する有機化合物を配向させる必要がある。このための配向法としては、樹脂分散系の有機非線形光学材料を、表面に配向膜を有する基板上に塗布し、該配向膜の配向性により、樹脂分散系の有機非線形光学材料中の非線形光学機能を有する有機化合物の配向を誘起する方法がある。また、光ポーリング法、光アシスト電界ポーリング法、電界ポーリング法等の公知のポーリング法も有効に利用できる。これらの中でも、電界ポーリング法は、装置の簡便性、得られる配向度合いの高さ等の点で特に好ましい。
上記電界ポーリング法は、非線形光学材料を一対の電極で挟み電界を印加するコンタクトポーリング法と、基板電極上の非線形光学材料の表面にコロナ放電を施し、帯電電界を印加するコロナポーリング法とに大別される。電界ポーリング法は、非線形光学活性化合物の双極子モーメントと印加電界とのクーロン力によって、非線形光学活性化合物を印加電界方向に配向(ポーリング)させる配向法である。
電界ポーリング法においては、一般的に、電界を印加した状態で、非線形光学材料のガラス転移温度付近の温度に加熱することによって非線形光学活性化合物の電界方向への配向移動を促進させ十分な配向が誘起された後、電界を印加した状態のまま室温まで冷却し該配向状態を凍結した上で、印加電界を除去する。しかしながら、この配向状態は基本的に熱力学的非平衡状態であるため、前記ガラス転移温度以下の温度であっても経時にて徐々にランダム化し、非線形光学性能が低下してしまうという根本的な問題を抱えている。
上記経時による配向状態のランダム化は、非線形光学材料の置かれる環境温度と非線形光学材料のガラス転移温度との差が大きい程、緩やかに進行するため、ガラス転移温度の高い高分子バインダーを用い、非線形光学材料のガラス転移温度を高く設定することによって実際の使用においては実質的にこの問題を解決することができる。本発明に用いるフッ素含有芳香族ポリエーテル樹脂のガラス転移温度は、前述のように非常に高く、有機機能性化合物を高濃度で分散させた膜としてのガラス転移温度も非常に高いものとなる。
なお、ポーリングされたかどうかを確認する指標として、どれだけの非線形光学分子(一般に二色性を有する)が電界方向に配向したかを表す数値(オーダーパラメータ:ψ)がある。具体的には、分子の向きがランダムになっている時の吸光度をA0、電界方向(膜厚方向)に配向させたときの吸光度をAtとした場合、ψは1−(At/A0)で計算できるものである。
上記オーダーパラメータは、全ての分子が完全に電界方向に配向した理想的な状態では1、完全にランダムなときは0となるパラメーターであり、値が大きいほど全体としての分子の配向度が高いことを表わす。この値を測定することにより、どれだけ効率よくポーリングできたかが判断でき、また、その安定性なども定量的に評価できる。
また、本発明における有機機能性化合物を、電荷輸送機能を有する有機化合物として用いた有機電荷輸送材料においては、該有機電荷輸送材料を積層型有機電子写真感光体の電荷輸送層として用いることが好ましい。積層型有機電子写真感光体は、導電性基板上に、少なくとも電荷発生層と電荷輸送層とを形成してなり、実用化されている電子写真感光体の主流となっている。
前記電荷輸送層としては、下層の電荷発生層との接着性に優れること、機械的強度が高いこと、耐熱性が高いこと等の特性が要求される。本発明の有機機能性材料である有機電荷輸送材料は、これらの諸要求特性を満足する。
前記電荷発生層としては、電子写真感光体の分野で公知の任意のものが利用できるが、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、アゾ顔料等の有機顔料を適当な樹脂バインダー中に分散させてなるものが好ましい。
<有機機能性素子>
本発明の有機機能性素子は、本発明の有機機能性材料の持つ機能を活用することを特徴とし、その具体例としては、電荷輸送機能を活用する電子写真感光体;有機電界発光素子等;波長変換機能、電気光学機能、フォトリフラクティブ機能等の非線形光学機能を活用する有機非線形光学素子;等が挙げられる。
有機非線形光学素子としては、非線形光学効果に基き動作するものであれば如何なるものでもよく、その具体例としては、例えば、波長変換素子、フォトリフラクティブ素子、電気光学素子、等が挙げられる。特に好ましくは、電気光学効果に基き動作する光スイッチ、光変調器、位相シフト器等の電気光学素子である。
上記電気光学素子としては、非線形光学材料からなる薄膜を基板上に形成し、入力電気シグナル用の電極対で挟み込む構造を有する素子として利用することが好ましい。
このような基板を構成する材料としては、アルミニウム、金、鉄、ニッケル、クロム、チタン等の金属;シリコン、ガリウム−ヒ素、インジウム−燐、酸化チタン、酸化亜鉛などの半導体;ガラス等のセラミックス;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリスルフォン、ポリエーテルケトン、ポリイミド等のプラスティック;等を用いることができる。
これらの基板材料の表面には、導電性膜が形成されていてもよく、該導電性膜の材料としては、アルミニウム、金、ニッケル、クロム、チタン等の金属;酸化スズ、酸化インジウム、ITO(酸化スズ−酸化インジウム複合酸化物)、IZO(酸化スズ−酸化亜鉛複合酸化物)等の導電性酸化物;ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリパラフェニレンビニレン、ポリアセチレン等の導電性高分子等が用いられる。これらの導電性膜は、蒸着法、スパッタリング法、CVD法等の公知の乾式成膜法や、浸漬塗布法や電解析出法、メッキ法等の公知の湿式成膜法を利用して形成され、必要に応じてパターンが形成されていてもよい。なお、導電性基板、あるいは、上記したように基板上に形成された導電性膜は、ポーリング時や素子としての動作時の電極(以下、「下部電極」と略す)として利用される。
基板表面にはさらに、必要に応じて、その上に形成される膜と基板との接着性を向上させるための接着層、基板表面の凹凸を平滑化するためのレベリング層、あるいはこれらの機能を一括して提供する何らかの中間層が形成されていても良い。このような膜を形成する材料としては、特に限定されないが、例えば、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、アミド樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、ビニルアルコール樹脂、アセタール樹脂等およびそれらの共重合物;ジルコニウムアルコキシド化合物、チタンアルコキシド化合物、シランカップリング剤等の架橋物およびそれらの共架橋物;等の公知のものを用いることができる。
さらに、前記電気光学素子は、光導波路構造を含むものとして形成することが好ましく、本発明の有機機能性材料を、光導波路のコア層に含有させることが特に好ましい。
本発明の有機機能性材料を含有するコア層と基板との間には、クラッド層(以下、「下部クラッド層」と略す)が形成されていてもよい。この下部クラッド層としては、コア層よりも屈折率が低く、コア層形成の際に侵されないものであれば如何なるものでもよい。このようなものとして、アクリル系、エポキシ系、シリコーン系等のUV硬化性あるいは熱硬化性の樹脂;ポリイミド;ガラス等が好ましく使用される。
本発明の有機機能性材料を用いてコア層を形成した後、さらにその上部にクラッド層(以下、「上部クラッド層」と略す)を下部クラッド層と同様にして形成してもよい。これにより、基板/下部クラッド層/コア層/上部クラッド層、という構成のスラブ型導波路が形成される。
コア層を形成した後、反応性イオンエッチング(RIE)、フォトリソグラフィー、電子線リソグラフィー等の半導体プロセス技術を用いた公知の方法によりコア層をパターニングし、チャネル型導波路あるいはリッジ型導波路を形成することもできる。あるいは、コア層の一部にUV光、電子線等をパターニングして照射することにより、照射部分の屈折率を変化させてチャネル型導波路あるいはリッジ型導波路を形成することもできる。
さらに、前記上部クラッド層の表面に入力電気シグナルを印加するための電極(以下、「上部電極」と略す)を、前記上部クラッド層の所望の領域に形成することで基本的な電気光学素子を形成することができる。
上記のようにしてチャネル型導波路やリッジ型導波路を形成する際、コア層のパターンとしては、直線型、Y分岐型、方向性結合器型、Mach−Zehnder型等の公知のデバイス構造を構成することができ、光スイッチ、光変調器、位相シフト器等の公知の光情報通信用デバイスへの適用が可能である。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はそれらによって制限されるものではない。なお、下記実施例、比較例においては、有機機能性材料、有機機能性素子としての有機非線形光学材料、有機非線形光学素子の評価を行った。
<実施例1>
(有機非線形光学材料の作製)
表面に金製の平行電極対(電極間距離:20μm)が備えられたガラス基板(2cm×2cm)上に、トリアリールアミン構造を有する下記構造式(I)に示す非線形光学機能を有する有機化合物(昇華温度:200℃以上)40質量部と、前記一般式(3)で示される繰り返し単位を含むものであり、主鎖中にフルオレニリデン基を有する下記構造式(II)で示されるフッ素含有芳香族ポリエーテル樹脂(Tg:240℃)60質量部とを、シクロペンタノン(沸点:130℃)1000質量部に溶解させた溶液をスピンコート法により塗布し、130℃にて1時間乾燥させ、膜厚が0.1μmの薄膜1を得た。
薄膜1は非常にクリアであり、前記非線形光学活性を有する有機化合物が均質に分散されていた。また、薄膜1のガラス転移温度は120℃であった。
Figure 2006018157
Figure 2006018157
次に、前記平行電極対間に50V/μmの電界を印加した状態で、前記薄膜1を120℃に15分間保持し、その状態から電界を印加したまま室温まで冷却した後、電界を除去した。薄膜1のポーリング状態の経時劣化については、作製直後のオーダーパラメーターと、10日間暗所に保管した後のオーダーパラメーターとがどちらとも0.33であり配向緩和が全く起こっていないことが確認された。
なお、上記オーダーパラメーターは、ポーリング処理を行なわず、非線形光学活性化合物がランダムに配向している薄膜A、及びポーリング処理により非線形光学活性化合物が膜厚方向に配向している薄膜Bの両方に対して、薄膜A及び薄膜Bの作製直後に、可視域での吸収スペクトルを分光光度計(日立製作所製、U−3000)で測定し、薄膜A及び薄膜Bの吸収が最大になる波長λmaxでの吸光度から、下記式(1)により算出した。
ψ=1−At/A0 ・・・ 式(1)
(但し、式(1)中、ψは、オーダーパラメーターを表し、Atは、ポーリング処理した薄膜Bの波長λmaxでの吸光度を表し、A0は、ポーリング処理を施さなかった薄膜Aの波長λmaxでの吸光度を表す。)
(有機非線形光学材料の評価)
上記のようにして得られた本発明の電界ポーリングを施した有機非線形光学材料からなる薄膜1に、1550nmの発振波長を持つ半導体レーザー光を照射したところ、775nmの2次高調波の発生が観測でき、非線形光学材料として有効に機能することが確認できた。さらに、この有機非線形光学材料を60℃の高温環境に10日間保持した後に、再度前記レーザー光を照射したところ、初期と同等の強度を有する2次高調波の発生が確認できた。
また、高温環境保持後の薄膜1を光学顕微鏡にて観察したところ、初期と同等に非常にクリアであり、前記非線形光学活性を有する有機化合物がバインダー樹脂中に均質かつ安定に分子分散されていることが確認できた。
以上より、この有機非線形光学材料が高い耐熱性ならびに経時安定性を有することがわかった。
<実施例2>
実施例1の有機非線型光学材料の作製において、非線形光学活性化合物を前記構造式(I)で示されるトリアリールアミン誘導体からDR1(昇華温度:120℃)に変更した以外は実施例1と同様にして、有機非線形光学材料の薄膜を作製しようとしたところ、DR1の微結晶が析出してしまい、クリアな膜は得られなかった。そこで、非線形光学活性化合物DR1の添加量を、薄膜中の非線型光学活性化合物量が実施例1における40質量%から25質量%となるように減らして同様にして有機非線形光学材料の薄膜を作製したところ、クリアな薄膜2を得ることができた。
得られた薄膜2に実施例1と同様にして電界ポーリング処理を施し、実施例1と同様にして評価を行ったところ、実施例1の半分程度の強度ではあるが2次高調波の発生が観測でき、非線形光学材料として有効に機能することが確認できた。
また、この有機非線形光学材料についても、60℃の高温環境に10日間保持した後に、再度前記レーザー光を照射したところ、初期と同等の強度を有する2次高調波の発生が確認できた。
<比較例1>
実施例1の有機非線形光学材料の作製において、バインダー樹脂をフッ素含有芳香族ポリエーテル樹脂からPMMA(Aldrich社製、ガラス転移温度:90℃)に変更した以外は実施例1と同様にして、有機非線形光学材料の薄膜を作製しようとしたところ、非線形光学活性化合物の微結晶が析出してしまい、クリアな膜は得られなかった。
<比較例2>
実施例1の有機非線形光学材料の作製において、バインダー樹脂をフッ素含有芳香族ポリエーテル樹脂からポリカーボネート樹脂の1種であるPoly[Bisphenol A carbonate-co-4,4'-(3,3,5-trimethylcyclohexylidene)diphenol carbonate](Aldrich社製、ガラス転移温度:202℃)に変更した以外は実施例1と同様にして、有機非線形光学材料の薄膜を作製したところ、クリアな薄膜3を得ることができた。
得られた薄膜3に実施例1と同様にして電界ポーリング処理を施し、実施例1と同様にして評価を行ったところ、実施例1と同等の強度の2次高調波の発生が観測でき、非線形光学材料として有効に機能することが確認できた。しかし、60℃の高温環境に10日間保持した後に、再度前記レーザー光を照射したところ、2次高調波の強度は初期値の十分の一程度にまで減少していた。
また、高温環境保持後の薄膜3を光学顕微鏡にて観察したところ、僅かではあるが非線形光学活性化合物のものと思われる微結晶が析出していた。
<実施例3>
(有機非線形光学素子の作製)
表面に下部電極としてのITO導電性膜を形成したガラス基板(2cm×2cm)上に、UV硬化型アクリル樹脂(Norland社製、商品名:NOA72)をスピンコート法により塗布し、100mW/cm2の紫外光(ウシオ電機社製高圧水銀灯)を30秒間照射した後、120℃で30分間の加熱処理を行い、膜厚2μmの下部クラッド層を形成した。
次に、実施例1で用いた非線形光学活性化合物35質量部とフッ素含有芳香族ポリエーテル樹脂65質量部とをシクロペンタノン700質量部に溶解させた溶液を、前記下部クラッド層の表面にスピンコート法により塗布し、120℃にて1時間乾燥させ、膜厚2μmのコア層を形成した。さらに、該コア層の表面に、前記下部クラッド層と同じUV硬化型アクリル樹脂を下部クラッド層と同様にして成膜して、膜厚が2μmの上部クラッド層を形成し、基板/下部クラッド層/コア層/上部クラッド層という構成のスラブ型導波路を作製した。
次いで、前記上部クラッド層の表面に、ストライプ状の金薄膜(ストライプ幅:20μm、ストライプ間隔:30μm)を、通常のフォトリソグラフ法ならびにスパッタリング法を用いて形成し、上部電極とした。
以上のようにして得られたサンプルを、ダイサー(Disco社製)によって、幅5mmのチップに切断し、切断面をサンドペーパーにて研摩し、有機非線形光学素子を作製した。
(有機非線形光学素子の評価)
次に、上記有機非線形光学素子の上部電極と下部電極との間に150V/μmの電界を印加し、145℃で15分間電界ポーリング処理を施した。
電界ポーリング処理を施した有機非線形光学素子が電気光学素子として機能することを確認するため、図1に示した評価系により電気光学特性評価を行った。
図1に示す評価系は、光源21から半波長板及び偏光子23aを通したレーザー光(富士ゼロックス社製VCSEL、発振波長:850nm)を、電気光学素子28の一方の端面(図における左側)から入射し、電気光学素子28中のコア層を伝播させ、他方の端面(図における右側)から出射した光を、ピンホール26及び偏光子23bを通した後に光検出器27によって検出するように構成されている。なお、図における24はレンズである。
電気光学素子28として前記のように作製した有機非線形光学素子を設置し、この上下部電極間に、電源25により電界を印加し、電界強度を0Vから50Vまで変化させたところ、電界強度の増加に伴い検出光強度が減少する挙動が確認できた。これは、前記有機非線形光学素子が電気光学効果を有し、電界印加に応じ光変調が生じたことによるものであり、この有機非線形光学素子が光変調器として有効に機能することを示すものである。さらに、この有機非線形光学素子を、70℃、85%RHの高温高湿環境に10日間保持した後に、再度、同様の評価を行ったところ、初期と同等の光変調特性が確認でき、この有機非線形光学素子が高い耐熱性及び経時安定性を有することが確認できた。
非線形光学素子の評価系の概略構成図である。
符号の説明
21 レーザー光源
22 半波長板
23a、23b 偏光子(Glan-Thompsonプリズム)
24 レンズ
25 電源
26 ピンホール
27 光検出器
28 電気光学素子

Claims (5)

  1. バインダー樹脂中に少なくとも有機機能性化合物を含有させてなる有機機能性材料であって、前記バインダー樹脂がフッ素含有芳香族ポリエーテル樹脂であり、かつ前記有機機能性化合物が電荷輸送機能及び/または非線形光学機能を有することを特徴とする有機機能性材料。
  2. 前記フッ素含有芳香族ポリエーテル樹脂が、下記一般式(1)〜(3)で示される繰り返し単位のうちの少なくとも1種を含む重合体であることを特徴とする請求項1に記載の有機機能性材料。
    Figure 2006018157
    (式中、X1は任意の有機基であり、X2及びX3は互いに独立に置換または無置換の芳香族基である。)
    Figure 2006018157
    (式中、Y1は置換基及び/またはヘテロ原子を有してもよい有機基であり、Y2は置換または未置換の芳香族基である。)
    Figure 2006018157
    (式中、Z1は置換基及び/またはヘテロ原子を有してもよい有機基であり、Z2は置換または未置換の芳香族基である。)
  3. 前記フッ素含有芳香族ポリエーテル樹脂が、主鎖中に置換または未置換のフルオレニリデン構造を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の有機機能性材料。
  4. 前記有機機能性化合物が、トリアリールアミン誘導体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の有機機能性材料。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の有機機能性材料の機能に基き動作することを特徴とする有機機能性素子。
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