JP4453383B2 - 有機非線形光学材料及びそれを用いた非線形光学素子 - Google Patents

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Description

本発明は、光を用いた光情報通信、光情報処理、イメージング等の分野において有用な光変調器、光スイッチ、光集積回路、光コンピューター、光メモリー、波長変換素子、フォログラム素子等に適用することのできる非線形光学素子に関する。さらに、本発明は、該非線形光学素子を作製するために必要とされる有機非線形光学材料に関する。
光を用いる光情報通信、光情報処理、イメージング等の分野において重要な波長変換素子、光変調器、光スイッチ等の機能性素子の多くは、非線形光学材料、特に2次非線形光学材料を用いることによって具現化される。2次非線形光学材料としては、これまでにニオブ酸リチウム、燐酸二水素カリウム等の無機非線形光学材料が既に実用化され、広く用いられているが、近年、これらの無機材料に対し、高い非線形光学性能、安価な材料ならびに製造コスト、高い製造性等の優位性を有する有機非線形光学材料が注目され、実用化に向けての活発な研究開発が行われている。
2次非線形光学効果は、原理的に系に対称中心が存在しないことが必須要件であり、非線形光学活性を有する有機化合物を対称中心の存在しない結晶構造に結晶化させた系(以下、「結晶系」と称する)と、非線形光学活性を有する有機化合物を高分子バインダーに分散または結合させ、該非線形光学活性を有する有機化合物を何らかの手段によって配向させた系(以下、「高分子系」と称する)に大別される。
前記結晶系の有機非線形光学材料は、非常に高い非線形光学性能を発揮し得ることが知られているが、素子化に必要な大きな有機結晶の作製が困難であり、該有機結晶の強度が非常に脆く素子化工程での破損等の問題がある。これに対し、前記高分子系の有機非線形光学材料は、高分子バインダーにより、素子化するに当って有用な成膜性、機械的強度等の好ましい特性が付与され、実用化に向けてのポテンシャルが高く有望視されている。
前記高分子系の有機非線形光学材料では、高分子バインダー中に非線形光学活性を有する有機化合物が凝集せずに均一に分散または結合され、光学的に均質透明となることが要求される。さらに、前記の通り2次の非線形光学効果を発現するには、非線形光学活性を有する有機化合物を何らかの手段によって配向させ異方性を付与しなければならず、また、機能性素子として利用するに当っては、その配向状態が素子の置かれる温湿度環境にあって長期間に亘って安定に保持されなければならない。
したがって、高分子系の有機非線形光学材料に用いる非線形光学活性を有する有機化合物としては、高い非線形光学性能に加えて、凝集性が低く、高分子バインダーとの相溶性に優れることが要求される。また、高分子系の有機非線形光学材料は一般に薄膜の形態にて素子化され、該薄膜の形成法としては湿式塗布法が好適に用いられる。このため、高分子系の有機非線形光学材料に用いる非線形光学活性を有する有機化合物としては、塗布溶剤への高い溶解性が要求される。一方、高分子バインダーとしては、高い成膜性、機械的強度等に加え、内包する非線形光学活性を有する有機化合物の配向状態を安定に保持するための高いガラス転移温度が要求される。
また、高分子系の有機非線形光学材料において、前記2次の非線形光学活性を生起させるには、上述のように非線形光学活性を有する有機化合物を配向させる必要があるが、このための配向法としては、一般に電界ポーリング法が用いられる。該電界ポーリング法は、非線形光学材料に電界を印加し、非線形光学活性化合物の双極子モーメントと印加電界とのクーロン力によって、非線形光学活性化合物を印加電界方向に配向させる配向法であり、一般に、電界印加に加え、有機非線形光学材料のガラス転移温度付近の温度にまで加熱し、非線形光学活性化合物の分子運動を促進させ配向を支援することによって行う。
前記非線形光学活性を有する有機化合物としては、Disperse Red 1(一般にDR1と略称される)や、4−(Dicyanomethylene)−2−methyl−6−(4−dimethylaminostyryl)−4H−pyran(一般にDCMと略称される)等の3級アミン誘導体がよく知られている(例えば、非特許文献1参照)。
一方、前記高分子バインダーとしては、ポリメチルメタクリレート(一般にPMMAと略称される)が最もよく検討されてきたが、PMMAのガラス転移温度は100℃程度と低く、PMMAを高分子バインダーとして用いた高分子系の有機非線形光学材料の配向状態は室温でも徐々に緩和し、非線形光学性能が経時で著しく低下してしまうため、機能性素子としての実用化には耐えないことが知られている(例えば、非特許文献2参照)。
この問題を解決するために、PMMAに代わる高分子バインダーの探索が活発に行われ、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリスルフォン等のPMMAよりもガラス転移温度の高い高分子の有効性が報告されているが(例えば、特許文献1参照)、これらの高いガラス転移温度を有する高分子バインダーを用いると、電界ポーリング時に必要となる加熱の温度も上がることになり、非線形光学活性を有する有機化合物として前記DR1やDCMを用いた場合、それらの低分子化合物が昇華により消失してしまったり、酸化されてしまったりするという問題があった。
また、これらの高いガラス転移温度を有する高分子バインダーと、前記DR1やDCMとの相溶性は必ずしもよくなく、非線形光学性能を高めるためにこれらを高濃度で添加すると、それらが凝集化あるいは結晶化してしまったり、また低濃度であっても加熱や経時により凝集化あるいは結晶化が起こってしまったりするという問題があった。
Chemistry of Materials、1999年、11巻、2554〜2561頁 Chemical Reviews、1994年、94巻、1号、31〜75頁 特開平6−202177号公報
本発明は、以上のような従来技術の問題を解決することを目的とする。
すなわち、本発明は、非線形光学性能、アモルファス性、耐酸化性、耐昇華性等に優れた特定の非線形光学活性を有する有機化合物を用いることによって、高いガラス転移温度を有する高分子バインダーが有効に活用でき、優れた非線形光学性能及び優れた安定性を兼ね備えた有機非線形光学材料、並びにそれを用いた非線形光学素子を提供することを目的とする。
本発明者等は、前記の課題を解決すべく、非線形光学活性を有する有機化合物ならびにバインダー高分子に関して鋭意検討を行った結果、特定の非線形光学活性を有する有機化合物を活用することにより、前記の課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、
<1> 非線形光学活性を有する有機化合物を高分子バインダーに分散させてなる有機非線形光学材料であって、前記非線形光学活性を有する有機化合物として、下記一般式(1)で示される3級アミン誘導体を少なくとも1種含有することを特徴とする有機非線形光学材料である。
上記式中、Z 及びZ は互いに独立に置換基を有してもよいフェニル基、またはフルオレン基であり; は置換基を有していてもよいフェニレン基であり;Lは置換基を有してもよいπ共役基であり;Aはシアノ基を有する環構造を含むπ共役系電子吸引性基であり;mは1を表し、かつZ3−Lmで表されるπ共役系はその両端に亘って5個以上の不飽和結合が連なって形成されている
> 前記高分子バインダーとして、少なくとも、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリ環状オレフィンのいずれかを含有することを特徴とする<1>に記載の有機非線形光学材料である。
> <1>に記載の有機非線形光学材料を用いたことを特徴とする非線形光学素子である。
> 前記非線形光学素子が、電気光学効果に基き動作することを特徴とする<>に記載の非線形光学素子である。
本発明の有機非線形光学材料は、非線形光学性能、アモルファス性、耐熱性、耐昇華性に優れた特定の非線形光学活性を有する有機化合物を、高いガラス転移温度を有する高分子バインダーに分散させてなることを特徴とし、材料中に高い濃度で非線形光学活性を有する有機化合物を存在させても、これらが凝集せずに均一な分散状態をとるため、高い光学品質と非線形光学活性とを兼ね備え、かつ非線形光学活性を有する有機化合物の配向状態の熱安定性並びに経時安定性が高く、長期に亘って優れた特性を保持できる等の好ましい効果を奏する。このため、本発明の有機非線形光学材料を用いることによって、諸特性ならびにその安定性に優れた非線形光学素子を具現化することができる。
以下に、本発明を実施の形態に沿って詳しく説明する。
<有機非線形光学材料>
本発明の有機非線形光学材料は、非線形光学活性を有する有機化合物を高分子バインダーに分散または結合させてなる有機非線形光学材料であって、前記非線形光学活性を有する有機化合物として、下記一般式(1)で示される3級アミン誘導体を少なくとも1種含有することを特徴とする。
上記式中、Z1〜Z3は互いに独立に置換基を有してもよい芳香族基であり;Lは置換基を有してもよいπ共役基であり;Aは置換基を有してもよい環構造を含むπ共役系電子吸引性基であり;mは0または1を表し、かつZ3−Lmで表されるπ共役系はその両端に亘って5個以上の不飽和結合が連なって形成されている。なお、Z1〜Z3、L、及びAは任意のいずれかが連結して環構造を形成してもよい。
前記一般式(1)で示される3級アミン誘導体は、トリアリールアミン構造を有し、かつπ共役系電子吸引性基が環構造を含み、分子構造的にも嵩高く設計されているため、耐熱性、耐酸化性、耐光性等の化学的安定性に優れ、かつアモルファス性が高く、種々の高分子バインダーと優れた相溶性を示す。さらに、昇華温度を非常に高く設計することができ、上述した電界ポーリング時の昇華の問題を回避することができる。また、非常に優れた非線形光学性能を示す。
すなわち、π共役鎖の一方の端に電子供与性基、他方の端に電子吸引性基を有する、所謂プッシュ−プル型のπ共役系非線形有機化合物においては、一般にπ共役鎖を長くする、電子吸引性基の電子吸引性を強くする、電子供与性基の電子供与性を強くする、等によって非線形光学性能が向上することが知られているが、本発明に規定するように、分子の中央部分のπ共役系をその両端に亘って5個以上の不飽和結合が連なって形成されたものにすることによって、非線形光学性能を向上させることができる。
(非線形光学活性を有する有機化合物)
以下、まず本発明に用いられる非線形光学活性を有する有機化合物について説明する。
前記のように、本発明に用いられる非線形光学活性を有する有機化合物は、前記一般式(1)で示される3級アミン誘導体である。該3級アミン誘導体におけるZ1及びZ2は、互いに独立に置換基を有してもよい芳香族基であり、該芳香族基としては、置換または未置換のアリール基であることが好ましい。
上記Z1及び/またはZ2は、少なくとも環構造を含む置換基を有する芳香族基であることが、アモルファス性を向上させることができる点で特に好ましい。また、上記環構造を含む置換基は、置換または無置換のアリール基であるものが、非線形光学性能の点で特に好ましい。
前記Z3としては、置換または未置換の1,4−フェニレン基であることが好ましく、さらに好ましくは無置換の1,4−フェニレン基である。
前記Lは、置換基を有してもよいπ共役基であり、特に本発明においては、一般式(1)で示される3級アミン誘導体におけるZ3−Lmで表されるπ共役系が、その両端に亘って5個以上の不飽和結合が連なって形成されていることが必要とされる。このような場合に、前述のようにプッシュ−プル型のπ共役化合物におけるπ共役鎖を十分長くすることができ、非線形光学性能の点で特に好ましい効果が発揮される。
上記π共役系は6個以上連なっていることが好ましいが、耐酸化性、耐凝集性の確保の点から、上限は10個程度であることが好ましい。なお、本発明において、前記「π共役系が連なっている」とは、不飽和結合が結合1つおきに存在して連なっていることをいう。
前記両端に亘って5個以上の不飽和結合が連なって形成されているZ3−Lmの具体例としては、以下のものが挙げられる。なお、これらにおいて、前記両端(一般式(1)におけるN、Aに結合する端部)を*で示し、両端に亘って連なった不飽和結合に番号を付記した。また、これらにおいて、「Me」はメチル基、「Bu」はブチル基を各々表す。
前記一般式(1)で示される3級アミン誘導体におけるAは、置換基を有してもよい環構造を含むπ共役系電子吸引性基であり、環構造を含むπ共役系であることによって、高いアモルファス性と高い化学的安定性とが齎される。特に、少なくともニトロ基、シアノ基、またはカルボニル基のうちの1種以上を有し、かつ環構造を含む電子吸引性π共役基であることが、非線形光学性能の点で、好ましい。
上記Aの好ましい具体例を下記に示す。なお、末端(一般式(1)におけるLmに結合する端部)を*で示した。また、これらにおける「Me」はメチル基、「Et」はエチル基を各々表す。
また、本発明において、前記一般式(1)で示される第3アミン誘導体におけるZ1〜Z3、L、Aは、任意のいずれかが連結して環構造を形成してもよい。
上記一般式(1)で表される前記3級アミン誘導体の中でも、特に下記一般式(2)で示される3級アミン誘導体が、合成の容易さ、化学的安定性、非線形光学性能等の点で特に好ましい。
上記式中、X1とX2とは互いに独立にNまたはCHであり;L1は、環構造に含まれもせず、直結もせず、あるいは隣接もしていない不飽和結合を含まず、置換基を有してもよいπ共役基である。Z1〜Z3、Aは前記一般式(1)におけるものと同一である。
上記L1における「環構造に含まれもせず、直結もせず、あるいは隣接もしていない不飽和結合」とは、環構造から孤立している不飽和結合を意味し、このような不飽和結合は化学的に不安定であるため、化合物中に含まれることが好ましくない。
本発明において好適に用いられる非線形光学活性を有する有機化合物の具体例としては、下記のものを例示することができる。なお、これらにおいて、「Me」はメチル基、「Et」はエチル基、「Bu」はブチル基を各々表す
上記一般式(1)で示される3級アミン誘導体の合成方法としては、任意の如何なる方法も利用可能である。例えば、下記に示すような、対応するホルミル化合物と活性メチル基を有する電子吸引性化合物を塩基の存在下にて脱水縮合させる方法が有用である。ホルミル化合物の合成方法としては、Vilsmeier法などのホルミル化法等が利用できる。活性メチル基を有する電子吸引性化合物の合成方法としては、「Synthetic Communications、1995年、25巻、19号、3045〜3051頁」、「Chemistry of Materials、2002年、14巻、2393〜2400頁」等に記載の方法が利用できる。
以上述べた本発明に用いられる非線形光学活性を有する有機化合物の昇華温度は、130℃以上であることが好ましく、170℃以上であることがより好ましい。
また、本発明に用いられる非線形光学活性を有する有機化合物としては、前述のように、有機非線形光学材料を作製する際の塗布液の溶剤に対する溶解性に優れることが必要とされる。該溶解性としては、例えば、テトラヒドロフラン、シクロペンタノン、クロロホルム、N,N−ジメチルアセトアミド等のような溶剤に対し、室温で1質量%以上溶解することが好ましく、5質量%以上溶解することがより好ましい。
さらに、本発明に用いられる非線形光学活性を有する有機化合物の電気光学定数は、10pm/V以上であることが好ましく、25pm/V以上であることがより好ましい。
なお、上記電気光学定数は、通常のATR法やエリプソ反射法等の測定方法により測定することができる。
(高分子バインダー)
本発明に用いるバインダー高分子は、光学品質ならびに成膜性に優れるものであれば如何なるものでも構わないが、ガラス転移温度が150℃以上であるものが好ましい。特に好ましくは、ガラス転移温度が170℃以上であり、かつ機械的強度の高いものであり、具体的にはポリイミド、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリ環状オレフィン等が挙げられる。
なお、本発明において、前記高分子バインダー及び後述する有機非線形光学材料のガラス転移温度の測定には、示差走査熱量計(DSC)を用い、室温から毎分10℃の昇温速度で測定を行った時の、ガラス転移に伴う吸熱過程の立ち上がり部分の勾配とベースラインとの交点に相当する温度をガラス転移温度とした。
本発明の有機非線形光学材料は、少なくとも前記の非線形光学活性を有する有機化合物と高分子バインダーとから形成される。なお、非線形光学活性を有する有機化合物は、高分子バインダー中に分子状態で分散されていてもよいし、また高分子バインダーの側鎖または主鎖中に化学的に連結されていてもよい。
本発明の有機非線形光学材料の形態は、如何なるものでも構わないが、非線形光学素子への応用に当っては、薄膜の形態にて利用されることが一般的である。本発明の有機非線形光学材料を含有する薄膜の作製方法としては、射出成形法、プレス成形法、ソフトリソグラフ法、湿式塗布法等の公知の手法が利用可能であるが、製造装置の簡便性、量産性、膜品質(膜厚の均一性、気泡等の欠陥の少なさ等)等の観点から、少なくとも上記の非線形光学活性を有する有機化合物とバインダー高分子とを有機溶剤に溶解させた溶液をスピンコート法、ブレードコート法、浸漬塗布法、インクジェット法等の手法により適当な基板上に塗布することによって成膜する湿式塗布法が好ましい。
上記湿式塗布法において用いる有機溶剤は、用いる非線形光学活性を有する有機化合物と高分子バインダーとを溶解し得るものであれば如何なるものでも構わないが、その沸点が50〜200℃の範囲にあるものが好ましい。沸点が50℃未満の有機溶剤を用いると、塗布溶液の保管時に溶剤揮発が起こり塗布溶液の粘度が変化(上昇)してしまったり、塗布時に溶剤の揮発速度が早過ぎ結露が発生してしまったりする等の問題が顕著となる傾向にある。一方、沸点が200℃を超える有機溶剤を用いると、塗布後の溶剤除去が困難になり残存した有機溶剤が高分子バインダーの可塑剤として働きガラス転移温度の低下を齎す等の問題が発生する場合がある。
好ましい有機溶剤の例としては、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、シクロヘキサノール、ジクロロエタン、クロロホルム、トルエン、クロロベンゼン、キシレン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。なお、これらの有機溶剤は単独で用いても、複数を混合して用いてもよい。
本発明の有機非線形光学材料において、非線形光学活性を有する有機化合物の含有量は、要求される非線形光学性能や機械的強度、用いる非線形光学活性を有する有機化合物の種類等によって異なるため一概には規定できないが、一般的に、有機非線形光学材料全質量に占める割合として、1〜90質量%の範囲であることが好ましい。その理由は、1質量%未満では、十分な非線形光学性能が得られない場合が多く、また90質量%を超えると、十分な機械的強度が得られない等の問題が発生する傾向にあるためである。非線形光学活性を有する有機化合物の含有量のより好ましい範囲は10〜75質量%の範囲であり、さらに好ましくは25〜60質量%の範囲である。
なお、上記非線形光学活性を有する有機化合物の好ましい含有量は、非線形光学活性を有する有機化合物が高分子バインダーに分散される場合であっても、高分子バインダーに結合させる場合であっても同様の範囲である。
本発明の有機非線形光学材料には、前記の非線形光学活性を有する有機化合物と高分子バインダーの他に、必要に応じ種々の添加物を加えることができる。例えば、非線形光学活性を有する有機化合物及び/または高分子バインダーの酸化劣化を抑制する目的で、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、ヒドロキノン等の公知の酸化防止剤を、非線形光学活性を有する有機化合物や高分子バインダーの紫外線劣化を抑制する目的で、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等の公知の紫外線吸収剤を用いることができる。
また、湿式塗布を行う場合には、その塗布液に、塗布膜の表面平滑性を改善する目的で、シリコーンオイル等の公知のレベリング剤を、あるいは架橋硬化性官能基を有する非線形光学活性を有する有機化合物及び/または高分子バインダーを用いる場合には、その架橋硬化を促進させる目的で公知の硬化触媒や硬化助剤を添加してもよい。
本発明の有機非線形光学材料は、以上のようにして作製した塗布液を用い、例えば前述のスピンコート法などによって薄膜として形成することによって作製される。前記のように、本発明においては高分子バインダーとしてガラス転移温度が比較的高いものを用いるが、作製された非線形光学活性を有する有機化合物を含む有機非線形光学材料としても、耐熱性等の観点からガラス転移温度が高いことが望ましい。
よって、上記有機非線形光学材料のガラス転移温度としては、130℃以上とすることが好ましく、150℃以上とすることがより好ましい。
高分子系の非線形光学材料において2次の非線形光学活性を生起させるには、前述のように、非線形光学活性を有する有機化合物を配向させる必要がある。このための配向法としては、高分子系の非線形光学材料を、表面に配向膜を有する基板上に塗布し、該配向膜の配向性により、高分子系の非線形光学材料中の非線形光学活性を有する有機化合物の配向を誘起する方法がある。また、光ポーリング法、光アシスト電界ポーリング法、電界ポーリング法等の公知のポーリング法も有効に利用できる。これらの中でも、電界ポーリング法は、装置の簡便性、得られる配向度合いの高さ等の点で特に好ましい。
上記電界ポーリング法は、非線形光学材料を一対の電極で挟み電界を印加するコンタクトポーリング法と、基板電極上の非線形光学材料の表面にコロナ放電を施し、帯電電界を印加するコロナポーリング法とに大別される。電界ポーリング法は、非線形光学活性化合物の双極子モーメントと印加電界とのクーロン力によって、非線形光学活性化合物を印加電界方向に配向(ポーリング)させる配向法である。
電界ポーリング法においては、一般的に、電界を印加した状態で、非線形光学材料のガラス転移温度付近の温度に加熱することによって非線形光学活性化合物の電界方向への配向移動を促進させ十分な配向が誘起された後、電界を印加した状態のまま室温まで冷却し該配向状態を凍結した上で、印加電界を除去する。しかしながら、この配向状態は基本的に熱力学的非平衡状態であるため、ガラス転移温度以下の温度であっても経時にて徐々にランダム化し、非線形光学活性が低下してしまうという根本的な問題を抱えている。
上記経時による配向状態のランダム化は、非線形光学材料の置かれる環境温度とガラス転移温度の差が大きい程、緩やかに進行するため、ガラス転移温度の高いバインダー樹脂を用い、非線形光学材料のガラス転移温度を高く設計することによって実際の使用においては実質的にこの問題を解決することができる。本発明においては、ガラス転移温度が150℃以上の高分子バインダーが好ましく用いられるが、この場合でも、前記のように本発明に用いられる非線形光学活性を有する有機化合物の昇華温度が高いため、加熱時に昇華してしまったり、劣化してしまったりすることがなく、非線形光学性能やその安定性に優れた非線形光学材料を作製することができる。
なお、ポーリングされたかどうかを確認する指標として、どれだけの非線形光学分子(一般に二色性を有する)が電界方向に配向したかを表す数値(オーダーパラメータ:φ)がある。具体的には、分子の向きがランダムになっている時の吸光度をA0、電界方向(膜厚方向)に配向させたときの吸光度をAtとした場合、φは1−(At/A0)で計算できるものである。
上記オーダーパラメータは、全ての分子が完全に配向した理想的な状態では1、完全にランダムなときは0となる数値であり、値が大きいほど全体としての分子の配向度が高いことを表わす。この値を測定することにより、どれだけ効率よくポーリングできたかが判断でき、また、その安定性なども評価できる。
<非線形光学素子>
本発明の非線形光学素子は、本発明の有機非線形光学材料を活用することを特徴とし、非線形光学効果に基き動作するものであれば如何なるものでもよく、その具体例としては、例えば、波長変換素子、フォトリフラクティブ素子、電気光学素子、等が挙げられる。特に好ましくは、電気光学効果に基き動作する光スイッチ、光変調器、位相シフト器等の電気光学素子である。
上記電気光学素子としては、非線形光学材料を基板上に形成し、入力電気シグナル用の電極対で挟み込む構造を有する素子として利用することが好ましい。
このような基板を構成する材料としては、アルミニウム、金、鉄、ニッケル、クロム、チタン等の金属;シリコン、酸化チタン、酸化亜鉛、ガリウム−ヒ素などの半導体;ガラス;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリスルフォン、ポリエーテルケトン、ポリイミド等のプラスティック;等を用いることができる。
これらの基板材料の表面には、導電性膜が形成されていてもよく、該導電性膜の材料としては、アルミニウム、金、ニッケル、クロム、チタン等の金属;酸化スズ、酸化インジウム、ITO(酸化スズ−酸化インジウム複合酸化物)、IZO(酸化インジウム−酸化亜鉛複合酸化物)等の導電性酸化物;ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリパラフェニレンビニレン、ポリアセチレン等の導電性高分子等が用いられる。これらの導電性膜は、蒸着、スパッタリング等の公知の乾式成膜法や、浸漬塗布や電解析出等の公知の湿式成膜法を利用して形成され、必要に応じてパターンが形成されていてもよい。なお、導電性基板、あるいは、上記したように基板上に形成された導電性膜は、ポーリング時や素子としての動作時の電極(以下、「下部電極」と略す)として利用される。
基板表面にはさらに、必要に応じて、その上に形成される膜と基板との接着性を向上させるための接着層、基板表面の凹凸を平滑化するためのレベリング層、あるいはこれらの機能を一括して提供する何らかの中間層が形成されていてもよい。このような膜を形成する材料としては、特に限定されないが、例えば、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、アミド樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、ビニルアルコール樹脂、アセタール樹脂等およびそれらの共重合物;ジルコニウムキレート化合物、チタンキレート化合物、シランカップリング剤等の架橋物およびそれらの共架橋物;等の公知のものを用いることができる。
本発明の非線形光学素子である電気光学素子は、導波路構造を含むものとして形成することが好ましく、本発明の非線形光学材料を、導波路のコア層に含有させることが特に好ましい。
本発明の非線形光学材料を含有するコア層と基板との間には、クラッド層(以下、「下部クラッド層」と略す)が形成されていてもよい。この下部クラッド層としては、コア層よりも屈折率が低く、コア層形成の際に侵されないものであれば如何なるものでもよい。このようなものとして、アクリル系、エポキシ系、オキセタン系、チイラン系、シリコーン系等のUV硬化性あるいは熱硬化性の樹脂;ポリイミド;ガラス等が好ましく使用される。
本発明の非線形光学材料によるコア層を形成した後、さらにその上部にクラッド層(以下、「上部クラッド層」と略す)を下部クラッド層と同様にして形成してもよい。これにより、基板/下部クラッド層/コア層/上部クラッド層、という構成のスラブ型導波路が形成される。
コア層を形成した後、反応性イオンエッチング(RIE)、フォトリソグラフィー、電子線リソグラフィー等の半導体プロセス技術を用いた公知の方法によりコア層をパターニングし、チャネル型導波路あるいはリッジ型導波路を形成することもできる。あるいは、コア層の一部にUV光、電子線等をパターニングして照射することにより、照射部分の屈折率を変化させてチャネル型導波路を形成することもできる。
前記上部クラッド層の表面に入力電気シグナルを印加するための電極(以下、「上部電極」と略す)を、前記上部クラッド層の所望の領域に形成することで基本的な電気光学素子を形成することができる。
上記のようにしてチャネル型導波路やリッジ型導波路を形成する際、コア層のパターンとしては、直線型、Y分岐型、方向性結合器型、Mach−Zehnder型等の公知のデバイス構造を構成することができ、光スイッチ、光変調器、位相シフト器等の公知の光情報通信用デバイスへの適用が可能である。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はそれらによって制限されるものではない。
<実施例1>
(有機非線形光学材料の作製)
表面に金製の平行電極対(電極間距離:20μm)が備えられたガラス基板(2cm×2cm)上に、下記構造式で示される前記一般式(2)で示されるトリールアミン誘導体(3級アミン誘導体、一般式(1)におけるZ3−Lmの両端に亘る不飽和結合が6個)の1種である非線形光学活性を有する有機化合物(昇華温度:200℃以上)3質量部と、ポリカーボネートの1種であるPoly[Bisphenol A carbonate-co-4,4'-(3,3,5-trimethylcyclohexylidene)diphenol carbonate](Aldrich社製、ガラス転移温度:200℃)7質量部とを、シクロペンタノン(沸点:130℃)90質量部に溶解させた溶液をスピンコート法により塗布し、130℃にて1時間、乾燥させ膜厚0.1μmの薄膜1を得た。
薄膜1は非常にクリアであり、前記トリアリールアミン誘導体が均質に分散されていた。また、薄膜1のガラス転移温度は160℃であった。
次に、前記平行電極対間に50V/μmの電界を印加した状態で、前記薄膜1を170℃に30分間保持し、その状態から電界を印加したまま室温まで冷却した後、電界を除去した。薄膜1のポーリングの経時劣化については、作製直後のオーダーパラメーターと、10日間暗所に保管した後のオーダーパラメーターとがどちらとも0.31であり配向緩和が全く起こっていないことが確認された。
なお、上記オーダーパラメーターは、ポーリング処理を行なわず、非線形光学活性化合物がランダムに配向している薄膜A、及びポーリング処理により非線形光学活性化合物が膜厚方向に配向している薄膜Bの両方に対して、薄膜A及び薄膜Bの作製直後に、可視域での吸収スペクトルを分光光度計(日立、U−3000)で測定し、薄膜A及び薄膜Bの吸収が最大になる波長λmaxから、下記式(1)により算出した。
φ=1−At/A0 ・・・ 式(1)
(但し、式(1)中、φは、オーダーパラメーターを表し、Atは、ポーリング処理した薄膜Bの波長λmaxでの吸光度を表し、A0は、ポーリング処理を施さなかった薄膜Aの波長λmaxでの吸光度を表す。)
(有機非線形光学材料の評価)
このようにして得られた本発明の電界ポーリングを施した有機非線形光学材料からなる薄膜1に、1550nmの発振波長を持つ半導体レーザー光を照射したところ、775nmの2次高調波が観測でき、非線形光学材料として有効に機能することが確認できた。さらに、本非線形光学材料を65℃の高温環境に10日間保持した後に、再度、レーザー光を照射したところ、初期と同等の強度を有する2次高調波の発生が確認できた。
また、高温環境保持後の薄膜を光学顕微鏡にて観察したところ、非常にクリアであり、トリアリールアミン誘導体がポリカーボネート中に均質に分子分散されていることが確認できた。さらに、この有機非線形光学材料を用いた素子作製を想定して、この薄膜1表面にはんだ付け(薄膜表面温度:200℃程度)を行ったが、前記トリールアミン誘導体は昇華することなく、薄膜形状の変形もなかった。
以上より、本発明の有機非線形光学材料が高い耐熱性ならびに経時安定性を有することがわかった。
<比較例1>
実施例1における非線形光学活性を有する有機化合物を、DCM(Aldrich社製)に変更した以外は、実施例1と同様にして有機非線形光学材料からなる薄膜を作製したところ、DCMの微結晶の析出が認められ、所望の透明均質な膜を得ることができなかった。
<比較例2>
実施例1における非線形光学活性を有する有機化合物を、下記構造式の3級アミン誘導体(一般式(1)におけるZ3−Lmの両端に亘る不飽和結合が3個、昇華温度:200℃以上)に変更した以外は実施例1と同様にして、電界ポーリングを施した有機非線形光学材料からなる薄膜を作製し、実施例1と同様にして非線形光学性能を評価した。
その結果、2次高調波の発生は観測できたものの、その強度は実施例1の3割程度と低いものであった。さらに、65℃の高温環境に10日間保持した後には、前記3級アミン誘導体の微結晶がわずかではあるが析出し、膜の透明性が低下していた。
<実施例2>
(有機非線形光学材料の作製)
実施例1における非線形光学活性を有する有機化合物の代わりに、下記構造式(A)の前記一般式(2)で示される3級アミン誘導体の1種である非線形光学活性を有する有機化合物(一般式(1)におけるZ3−Lmの両端に亘る不飽和結合が6個、昇華温度:200℃以上)を、高分子バインダーとしてポリカーボネートの代わりに、下記構造式(B)で示されるポリ環状オレフィン(JSR社製、商品名:Arton、ガラス転移温度:170℃)を用い、かつポーリング温度を140℃に変更した以外は実施例1と同様にして、電界ポーリングを施した有機非線形光学材料からなる薄膜2を作製した。
薄膜2は非常にクリアであり、前記3級アミン誘導体が均質に分散されていた。また、薄膜2のガラス転移温度は135℃であった。
また、薄膜2のポーリングの経時劣化については、作製直後のオーダーパラメーターと、10日間暗所に保管した後のオーダーパラメーターとがどちらとも0.34であり配向緩和が全く起こっていないことが確認された。さらに、この有機非線形光学材料を用いた素子作製を想定して、この薄膜2表面にはんだ付け(薄膜表面温度:200℃程度)を行ったが、前記トリールアミン誘導体は昇華することなく、薄膜形状の変形もなかった。
(有機非線形光学材料の評価)
得られた薄膜2を実施例1と同様にして評価したところ、実施例1の1.5倍程度の強度を有する2次高調波の発生が観測でき、非線形光学材料として有効に機能することが確認できた。さらに、65℃の高温環境に10日間保持した後においても、初期と同等の強度を有する2次高調波の発生が確認でき、また、高温環境保持後の薄膜を光学顕微鏡にて観察したところ、非常にクリアであり、3級アミン誘導体がポリ環状オレフィン中に均質にかつ安定に分子分散されていることが確認できた。
以上より、本非線形光学材料が高い耐熱性ならびに経時安定性を有することが確認できた。
<比較例3>
実施例2における非線形光学活性を有する有機化合物を、下記構造式の3級アミン誘導体(昇華温度:200℃以上)に変更した以外は実施例1と同様にして、電界ポーリングを施した有機非線形光学材料からなる薄膜を作製した。
上記薄膜について実施例1と同様にして非線形光学性能を評価したところ、初期においては実施例2における薄膜2と同等の強度を有する2次高調波の発生が観測できたものの、65℃の高温環境に10日間保持した後には、微結晶の析出による透明性の低下と2次高調波の強度の低下が認められた。
<実施例3>
(非線形光学素子の作製)
表面に下部電極としてのITO導電性膜を形成したガラス基板(2cm×2cm)上に、UV硬化型アクリル樹脂(Norland社製、商品名:NOA72)をスピンコート法により塗布し、100mW/cm2の紫外光(ウシオ電機社製高圧水銀灯)を30秒間照射した後、120℃で30分間の加熱処理を行い、膜厚2μmの下部クラッド層を形成した。
次に、前記下部クラッド層の表面に、実施例2で用いたポリ環状オレフィンと3級アミン誘導体とを含む溶液をスピンコート法により塗布し、120℃にて1時間乾燥させ、膜厚2μmのコア層を形成した。さらに、該コア層の表面に、下部クラッド層と同じUV硬化型アクリル樹脂を下部クラッド層と同様にして成膜して、膜厚が2μmの上部クラッド層を形成し、基板/下部クラッド層/コア層/上部クラッド層という構成のスラブ型導波路を作製した。
次いで、前記上部クラッド層の表面に、ストライプ状の金薄膜(ストライプ幅:20μm、ストライプ間隔:30μm)を、通常のフォトリソグラフ法ならびにスパッタリング法を用いて形成し、上部電極とした。
以上のようにして得られたサンプルを、ダイサー(Disco社製)によって、幅5mmのチップに切断し、該切断面をサンドペーパーにて研摩し、断面が図1に示す構成の非線形光学素子を作製した。
(非線形光学素子の評価)
次に、上記非線形光学素子の上部電極16と下部電極12との間に150V/μmの電界を印加し、140℃で30分間電界ポーリング処理を施した。
電界ポーリング処理を施した非線形光学素子が電気光学素子として機能することを確認するため、図2に示した評価系により電気光学特性評価を行った。
図2に示す評価系は、光源21から半波長板及び偏光子23aを通したレーザー光(富士ゼロックス社製VCSEL、発振波長:850nm)を、電気光学素子28の一方の端面(図における左側)から入射し、電気光学素子28中のコア層を伝播させ、他方の端面(図における右側)から出射した光を、ピンホール26及び偏光子23aと偏光面を揃えた偏光子23bを通した後に光検出器27によって検出するように構成されている。なお、図における24はレンズである。
電気光学素子28として前記のように作製した非線形光学素子を設置し、この上下部電極間に、電源25により電界を印加し、電界強度を0Vから5Vまで変化させたところ、電界強度の増加に伴い検出光強度が減少する挙動が確認できた。これは、前記非線形光学素子が電気光学効果を有し、電界印加に応じ光変調が生じたことによるものであり、この非線形光学素子が光変調器として有効に機能することを示すものである。さらに、この非線形光学素子を、65℃の高温環境に10日間保持した後に、再度、同様の評価を行ったところ、初期と同等の光変調特性が確認でき、本非線形光学素子が高い耐熱性及び経時安定性を有することが確認できた。
本発明の非線形光学素子の一例を示すの模式的断面図である。 非線形光学素子の評価系の概略構成図である。
符号の説明
11 ガラス基板
12 下部電極
13 下部クラッド層
14 コア層
15 上部クラッド層
16 上部電極
21 レーザー光源
22 半波長板
23a、23b 偏光子(Glan-Thompsonプリズム)
24 レンズ
25 電源
26 ピンホール
27 光検出器
28 電気光学素子

Claims (4)

  1. 非線形光学活性を有する有機化合物を高分子バインダーに分散させてなる有機非線形光学材料であって、前記非線形光学活性を有する有機化合物として、下記一般式(1)で示される3級アミン誘導体を少なくとも1種含有することを特徴とする有機非線形光学材料。

    (上記式中、Z 及びZ は互いに独立に置換基を有してもよいフェニル基、またはフルオレン基であり; は置換基を有していてもよいフェニレン基であり;Lは置換基を有してもよいπ共役基であり;Aはシアノ基を有する環構造を含むπ共役系電子吸引性基であり;mは1を表し、かつZ3−Lmで表されるπ共役系はその両端に亘って5個以上の不飽和結合が連なって形成されている。)
  2. 前記高分子バインダーとして、少なくとも、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリ環状オレフィンのいずれかを含有することを特徴とする請求項1に記載の有機非線形光学材料。
  3. 請求項1に記載の有機非線形光学材料を用いたことを特徴とする非線形光学素子。
  4. 前記非線形光学素子が、電気光学効果に基き動作することを特徴とする請求項3に記載の非線形光学素子。
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