JP2010137447A - 透明導電性積層フィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】透明プラスチックフィルム11からなる基材の少なくとも片面上に、組成傾斜薄膜層13及び透明導電性薄膜層14をこの順に積層した構成を有することを特徴とする透明導電性積層フィルム10。
【選択図】図1
Description
1. 透明プラスチックフィルムからなる基材の少なくとも片面に組成傾斜薄膜層及び透明導電性薄膜層をこの順に設けた透明導電性積層フィルムであって、組成傾斜薄膜層は厚さが20〜500nmであり、組成傾斜薄膜層の屈折率は厚さ方向で異なり、屈折率の最大値が1.70以上(透明導電性薄膜層の屈折率+0.30)以下であり、屈折率の最小値が1.30以上1.65以下であることを特徴とする透明導電性積層フィルム。
2. 組成傾斜薄膜層がMg、Si、Alから選ばれた少なくとも1元素、及びO、N、C、Fから選ばれた少なくとも2元素からなる無機薄膜層であることを特徴とする1.に記載の透明導電性積層フィルム。
3. 組成傾斜薄膜層の屈折率が基材から透明導電性薄膜層側に連続的に減少していることを特徴とする1.又は2.に記載の透明導電性積層フィルム。
4. 透明導電性薄膜層がインジウムを含有する金属酸化物薄膜からなることを特徴とする1.〜3.いずれかに記載の透明導電性積層フィルム。
5. 透明導電性薄膜層をパターニングした透明導電性積層フィルムの透明導電性薄膜層側に屈折率1.52のアクリル系粘着層を有する二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムを積層した状態において測定した透明導電性薄膜層を有する部分及び透明導電性薄膜層が無い部分の反射率が、下記(1)、(2)、及び(3)式を満たすことを特徴とする1.〜4.のいずれかに記載の透明導電性積層フィルム。
0≦|R1−R0|≦1.0 (1)
R1≦5.0 (2)
R0≦5.0 (3)
(R1:透明導電性薄膜層を有する部分のフィルムの反射率、R0:透明導電性薄膜層を有しない部分のフィルムの反射率)
6. 1.〜5.いずれかに記載の透明導電性積層フィルムの透明導電性薄膜層をパターニングした透明導電性積層フィルムの透明導電性薄膜層側に、屈折率が1.40以上1.70以下の誘電体層を積層したことを特徴とする誘電体層付き透明導電性積層フィルム。
さらに、上記透明導電性積層フィルムの透明導電性薄膜層をパターニングした透明導電性積層フィルムの透明導電性薄膜層側に、誘電体層を積層したことを特徴とする透明導電性積層フィルムである。
以下、各層別に詳細に説明する。
本発明で用いる透明プラスチックフィルムからなる基材とは、有機高分子をフィルム状に溶融押出し又は溶液押出しをしてフィルム状に成形し、必要に応じ、長手方向及び/又は幅方向に延伸、熱固定、熱弛緩処理を施したフィルムである。有機高分子としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ナイロン6、ナイロン4、ナイロン66、ナイロン12、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルサルファン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリアリレート、セルロースプロピオネート、ポリ塩化ビニール、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキサイド、ポリスチレン、シンジオタクチックポリスチレン、ノルボルネン系ポリマーなどが挙げられる。
本発明における組成傾斜薄膜層は、無機の薄膜であり、例えば、Mg、Si、Alから選ばれた少なくとも1元素、及びO、N、C、Fから選ばれた少なくとも2元素からなる無機薄膜層が挙げられる。組成傾斜薄膜層は、厚み方向で薄膜層を構成する各元素の組成が傾斜的に変化している。組成傾斜薄膜層の組成を厚み方向で傾斜的に変化させることによって、組成傾斜薄膜層の屈折率は、基材から透明導電性薄膜層側に連続的に減少している。
本発明における透明導電性薄膜としては、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、インジウム−スズ複合酸化物、スズ−アンチモン複合酸化物、亜鉛−アルミニウム複合酸化物、インジウム−亜鉛複合酸化物などが挙げられる。これらのうち、環境安定性や回路加工性の観点から、インジウム−スズ複合酸化物が好適である。
本発明において透明導電性薄膜層を積層して、透明導電性積層フィルムの表面抵抗値を好ましくは50〜2000Ω/□、更に好ましくは100〜1500Ω/□とすることによって、透明導電性積層フィルムとしてタッチパネルなどに使用できる。表面抵抗値が50Ω/□未満であったり、2000Ω/□を超える場合、タッチパネルの位置認識精度が悪くなり、好ましくない。
例えば、スパッタリング法の場合、酸化物ターゲットを用いた通常のスパッタリング法、あるいは、金属ターゲットを用いた反応性スパッタリング法等が用いられる。この時、反応性ガスとして、酸素、窒素、等を導入したり、オゾン添加、プラズマ照射、イオンアシスト等の手段を併用したりしてもよい。また、本発明の目的を損なわない範囲で、基板に直流、交流、高周波などのバイアスを印加してもよい。
本発明において屈折率が1.40以上1.70以下の誘電体層とは、表示体の部材として透明導電性積層フィルムを使用する際に透明導電性薄膜を保護するために積層する保護層としての目的と、指などでタッチした際の静電容量変化を大きくし、位置入力精度を向上させる目的を併せ持つ層である。
屈折率が1.40以上1.70以下の誘電体層としては、例えば、SiO2、Al2O3などの透明金属酸化物及びSiO2−Al2O3等の複合金属酸化物、アクリル、シリコーン、ポリエステル系の樹脂からなる有機物等が用いられる。
本願発明においては、透明導電性積層フィルムの透明導電性薄膜層をパターニングしてから、屈折率が1.40以上1.70以下の誘電体層を透明導電性薄膜層側に積層した状態において、透明導電性薄膜層を有する部分と有しない部分の光学特性の差が少ないことと反射率が大きすぎないことが重要であり、透明導電性薄膜側に屈折率1.52のアクリル系粘着層を有する二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡績社製 A4340、厚さ188μm)を保護フィルムとして貼り合わせた状態において測定した透明導電性薄膜層を有する部分及び透明導電性薄膜層が無い部分の反射率の値が、下記(1)及び(2)、(3)式を満たすことが好ましい。
0≦|R1−R0|≦1.0 (1)
R1≦5.0 (2)
R0≦5.0 (3)
(R1:透明導電性薄膜層を有する部分のフィルムの反射率、
R0:透明導電性薄膜層を有しない部分のフィルムの反射率)
本発明の誘電体層付き透明導電性積層フィルムは、上記本発明の透明導電性積層フィルムの透明導電性薄膜層をパターニングした透明導電性積層フィルムの透明導電性薄膜層側に、上記の屈折率が1.40以上1.70以下の誘電体層を積層した誘電体層付き透明導電性積層フィルムである。
日立製分光光度計U3500の積分球測定モードで測定光のサンプルへの入射角度を10度とし、透明導電性積層フィルムサンプルの裏面側に市販の黒色スプレーを用いて遮光層を形成し、サンプルの裏面反射や裏面側からの光の入射がない状態で波長550nmの反射率を測定した。
なお、(1)式及び(2)、(3)式におけるR1、R0は、透明導電性積層フィルムにエッチングレジストを印刷した後、1N塩酸中に浸漬し、更にアルカリ(1N−水酸化ナトリウム水溶液)浸漬により、5×5cmのパターンを形成した。パターニングした透明導電性積層フィルムの透明導電性薄膜側に屈折率1.52のアクリル系粘着層を有する二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡績社製 A4340、厚さ188μm)を保護フィルムとして貼り合わせた状態において測定した透明導電性薄膜層を有する部分及び透明導電性薄膜層が無い部分の反射率の値を測定した。
JIS−K7194に準拠し、4端子法にて透明導電性積層フィルムの透明導電性薄膜層の表面抵抗値を測定した。測定器は、三菱油化(株)製、Lotest AMCP−T400を用いた。
透明導電性積層フィルムにエッチングレジストを印刷した後、1N塩酸中に浸漬し、更にアルカリ(1N−水酸化ナトリウム水溶液)浸漬により、1×3cmのパターンを形成した。透明導電性薄膜側に屈折率1.52のアクリル系粘着層を有する二軸配向ポリエチレンテレフタレート(以下PETと略記する)フィルム(東洋紡績社製 A4340、厚さ188μm)を保護フィルムとして貼り合わせた。富士通社製FMV−BIBLOLOOX T70M/Tを用いて画面を白色表示にし、保護フィルムを貼り合わせたフィルムをその前に置いて、様々な角度からパターニングの見え方を評価した。
○: パターニングがほとんどみえない。
△: パターニングが少しみえる。
×: パターニングがみえる。
組成傾斜薄膜層、透明導電性薄膜層を積層したフィルム試料片を1mm×10mmの大きさに切り出し、電子顕微鏡用エポキシ樹脂に包埋した。これをウルトラミクロトームの試料ホルダに固定し、包埋した試料片の短辺に平行な断面薄切片を作製した。次いで、この切片の薄膜の著しい損傷がない部位において、透過型電子顕微鏡(JEOL社製、JEM−2010)を用い、加速電圧200kV、明視野で観察倍率1万倍にて写真撮影を行って得られた写真から膜厚を求めた。
ガラス(corning7059)上に組成傾斜薄膜層に用いる薄膜層、透明導電性薄膜層をそれぞれ同成膜条件にて作製した試料について分光エリプソメーター(大塚電子株式会社製、FE−5000)を用いて550nmの屈折率を測定した。
透明導電性積層フィルムにエッチングレジストを印刷した後、1N塩酸中に浸漬し、更にアルカリ(1N−水酸化ナトリウム水溶液)浸漬により、1×3cmのパターンを形成した。このようにして作製したパターンの端部間(2.6cm)の抵抗を測定した。
光重合開始剤含有紫外線硬化型アクリル系樹脂(大日精化工業社製、セイカビームEXF−01J)100質量部に、溶剤としてトルエン/MEK(80/20:質量比)の混合溶媒を、固形分濃度が50質量%になるように加え、撹拌して均一に溶解し塗布液を調製した。
ターゲットを珪素からアルミニウムに変更する以外は実施例1と同様にして透明導電性積層フィルムを作製した。このようにして最大屈折率が1.98、最小屈折率が1.65、厚さ59nmのAl、O、及びN元素からなる組成傾斜薄膜層を堆積させた。
ターゲットを珪素−アルミニウム(30:70)に変更する以外は実施例1と同様にして透明導電性積層フィルムを作製した。このようにして最大屈折率が1.96、最小屈折率が1.55、厚さ59nmのSi、Al、O、及びNの元素からなる組成傾斜薄膜層を堆積させた。
N2、O2ガスの比率(N2/O2)を成膜時間とともに徐々に増加させ、組成傾斜薄膜層の厚さを220nmとする以外は実施例1と同様にして透明導電性積層フィルムを作製した。
組成傾斜薄膜層を設けない以外は実施例1と同様にして透明導電性積層フィルムを作製した。
組成傾斜薄膜層の厚さを700nmにした以外は実施例1と同様にして透明導電性積層フィルムを作製した。
組成傾斜薄膜層の厚さを15nmにした以外は実施例1と同様にして透明導電性積層フィルムを作製した。
組成傾斜薄膜層を作製する際に、ターゲットとして珪素、チタン(Ti)の2枚のターゲットを用いた。放電ガスとしてArガスを、反応性ガスとしてO2ガスを導入し、0.4Paの雰囲気下でACマグネトロンスパッタリング法を用いて成膜した。また、センターロール温度は0℃として、フィルムをセンターロール上に沿って搬送することにより厚み方向に組成の傾斜した組成傾斜薄膜層を作製した。以上のようにして、最大屈折率が2.35、最小屈折率が1.48、厚さ41nmのTi、Si、及びOの元素からなる組成傾斜薄膜層を堆積させた。組成傾斜薄膜層以外は実施例1と同様にして透明導電性積層フィルムを作製した。
一方、組成傾斜薄膜層の屈折率が適切でない、又は膜厚が適切でない比較例1〜4に記載の透明導電性積層フィルムは、パターニングされた部分とされていない部分の差が見えるために視認性が劣った。
11:透明プラスチックフィルム(基材)
12:硬化物層
13:組成傾斜薄膜層
14:透明導電性薄膜層
20:誘電体層
Claims (6)
- 透明プラスチックフィルムからなる基材の少なくとも片面に組成傾斜薄膜層及び透明導電性薄膜層をこの順に設けた透明導電性積層フィルムであって、組成傾斜薄膜層は厚さが20〜500nmであり、組成傾斜薄膜層の屈折率は厚さ方向で異なり、屈折率の最大値が1.70以上(透明導電性薄膜層の屈折率+0.30)以下であり、屈折率の最小値が1.30以上1.65以下であることを特徴とする透明導電性積層フィルム。
- 組成傾斜薄膜層がMg、Si、Alから選ばれた少なくとも1元素、及びO、N、C、Fから選ばれた少なくとも2元素からなる無機薄膜層であることを特徴とする請求項1に記載の透明導電性積層フィルム。
- 組成傾斜薄膜層の屈折率が基材から透明導電性薄膜層側に連続的に減少していることを特徴とする請求項1又は2に記載の透明導電性積層フィルム。
- 透明導電性薄膜層がインジウムを含有する金属酸化物薄膜からなることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の透明導電性積層フィルム。
- 透明導電性薄膜層をパターニングした透明導電性積層フィルムの透明導電性薄膜層側に屈折率1.52のアクリル系粘着層を有する二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムを積層した状態において測定した透明導電性薄膜層を有する部分及び透明導電性薄膜層が無い部分の反射率が、下記(1)、(2)、及び(3)式を満たすことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の透明導電性積層フィルム。
0≦|R1−R0|≦1.0 (1)
R1≦5.0 (2)
R0≦5.0 (3)
(R1:透明導電性薄膜層を有する部分のフィルムの反射率、R0:透明導電性薄膜層を有しない部分のフィルムの反射率) - 請求項1〜5いずれかに記載の透明導電性積層フィルムの透明導電性薄膜層をパターニングした透明導電性積層フィルムの透明導電性薄膜層側に、屈折率が1.40以上1.70以下の誘電体層を積層したことを特徴とする誘電体層付き透明導電性積層フィルム。
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